「おらぁあ」
オーク鬼の首を一閃。反転してもう一体のオーク鬼の胴体を切り離す。
「相棒、左だ」
「了解」
左から迫るオーク鬼の猛襲を捌き、飛び上がる。
「龍●閃!」
頭から真っ二つにしました。ビッと刀の血を振り落とす。
「相棒、好調だな」
「デルフのおかげさ、さすが、伝説の剣」
「あったりめーよ!」
ガチャガチャとうるさいやつである。
俺が八体ほど肉の塊にしたところで、全員が集まった。
「そっちはどうだった?」
「こいつが馬鹿だったわ」
ゴツンと拳骨を食らうギーシュ。
「いてて、さっき謝ったじゃないか!」
「作戦無視、なぜ連れてきた?」
キュルケの提案した宝探し。
学院を出発する際にシエスタに見つかり、彼女は強引についてきた。
タバサはキュルケから話を聞いていたのかシレッと一緒についてきていた。
「盾くらいになるとおもったんだが」
「ひどっ!」
「すごい! すごいです! あの凶暴なオーク鬼たちが一瞬で! サイトさんすごいですっ!」
それにしてもこのメイド、ノリノリである。
「確かに、サイトってすんごい強いのね」
キュルケは俺のことを呼び捨てにすることを決めたようです。
「強い……」
タバサはボソリと言った。いやいや、聞こえてますよ。
「私たちは五体だっけ?」
「そう」
「サイトは八体か、君は化け物かい?」
「ひでーな」
俺はゲームの経験値稼ぎの如くオーク鬼を倒した。
幕末の剣士の技を色々と試したかっただけである。さすがに一振りで三体は無理だっつーの!
ア●ン流に切り替えたり、オリジナル技を使ってみたり、力任せにやってたら、気づいたら終わっていた。
「すごいけど……、やっぱり、危ないことは、よくないですね」
「そうです。危ないです。これから先の戦闘はすべて俺に任せなさい」
「だめ」
タバサが断りを入れた。はいはい、強くなりたいのね。この戦闘民族が!
「ギーシュ、もうちょい空気読め、な、な!」
「わ、わかったよ。だから剣を向けるのはやめて」
その夜……、一行は寺院の中庭で、焚き火を取り囲んでいた。
誰もかれも、疲れきった顔であった。ギーシュが、恨めしそうに口を開いた。
「で、その『秘宝』とやらはこれかね?」
「今回も外れなのである」
「これで、七件目だ! 地図をあてにお宝が眠るという場所に苦労して行ってみても、見つかるのは金貨どころかせいぜい銅貨が数枚! 地図の注釈に書かれた秘宝なんかカケラもないじゃないか! インチキ地図ばっかりじゃないか!」
一番戦闘で役に立たないやつがよくいう。
「うるさいわね。だから言ったじゃない。〝中〟には本物があるかもしれないって」
「いくらなんでもひどすぎる! 廃墟や洞窟は化け物や猛獣の住処になってるし! 苦労してそいつらをやっつけて、得られた報酬がこれじゃあ、割にあわんこと甚だしい」
「なんというw 近くの村とかに退治したからカネくれって言った方が儲かったな~」
空気が凍った。一瞬の静寂もシエスタの明るい声が、その雰囲気を払ってくれた。
「みなさーん、お食事ができましたよー!」
「こりゃうまそうだ! と思ったらほんとにうまいじゃないかね! いったいなんの肉だい?」
ギーシュがシチューを頬張りながら呟いた。皆も、口にシチューを運んで、うまい! と騒ぎ始めた。シエスタは微笑んで言った。
「オーク鬼の肉ですわ」
「豚っぽいと思ったらあいつの肉って食えるのか。うむ、加工して売りだそうかな」
オーク鬼退治して金を貰い、そのまま死体を加工して売る。一石二鳥だ。あとギーシュは汚いから吐き出すな。
「じょ、冗談です! ほんとは野うさぎです! わなを仕掛けて捕まえたんです」
「なんだ。残念か」
「君は恐ろしいな」
「驚かせないでよね。でも、あなた器用ね。こうやって森にあるもので、おいしいものを作っちゃうんだから」
「田舎育ちですから」
田舎育ちとサバイバルスキルがどう繋がるのだろう。
飯は寄せ鍋だった。旨かったよ。だからそんな瞳で俺を見ないでおくれ。
俺はシエスタ、キュルケ、タバサの外での排便行為を思いながら抜いた。
さあ、次は『竜の羽衣』だ……。
翌朝、一行は空飛ぶ風竜の上にいた。うむ、朝飛行も良い。
シエスタが『竜の羽衣』の説明をしていた。
俺は話半分に聞きながらシルフィードに対してセクハラをしていた。
人間に変身すると、ナイスバディなのだ。
サワサワ
「どうして、『竜の羽衣』って呼ばれてるの?」
「それを纏ったものは、空を飛べるそうです」
「空を? 『風』系のマジックアイテムかしら?」
「そんな……、たいしたものじゃありません」
「どうして?」
「インチキなんです。どこにでもある、名ばかりの『秘宝』。ただ、地元の皆はそれでもありがたがって……、寺院に飾ってあるし、拝んでるおばあちゃんとかいますけど」
「へぇええ」
一行を乗せて、風竜は一路タルブの村へと羽ばたいた。
シルフィードは俺のセクハラに対して無反応だったので途中であきた。
SIDE:ルイズ
サイトの姿が見えなかったので学院を歩き回っているとモンモランシーから話しかけてきた。
珍しいと思い、話を聞いた。
「バカ(ギーシュ)とサイトとキュルケ、タバサは宝探しにいくって、一応伝えたぱよ」
「ぱよ?」
「もう! 聞かないで、サイトが伝言の語尾に入れたらお金増やすって言うから仕方なくよ」
モンモランシーはブツブツと顔を赤らめながら何かをつぶやいていた。
宝探し? 私聞いてない。
「なんだ楽しそうじゃないの、なんで私にいわないわけ? あのバカ犬」
「ああ、ルイズは贈る言葉を考えろって、私も行こうかと言ったけどルイズへのメッセンジャーにされたわ。ま、報酬はそこそこだったからよかったけどね」
そう、私は未だに詔《みことのり》を考えていない。
「あ、あと、最後の伝言だけど、聞く?」
なんだろう?
「なんで聞いてくるの? 聞くに決まってるわよ」
「じゃあ、言うわ。 ルイズ、俺が帰ってくるまでに言葉を何も考えてなかったら穴という穴を犯す。ってなんてこと言わせるのよ」
ボッとモンモランシーは赤くなった。私も伝言を聞いてカァと顔が熱くなるのがわかる。
「な、ななんてこと、モンモランシー。私犯されちゃうわ。手伝って」
「ええ!?」
「お願い」
「わ、わかったわよ」
よかった。帰ってきたら覚えてなさいバカ犬。