「くっ!」
ターンに失敗し、顔面から地面に突っ込んで行くティアナ。この練習を始めてから、すでにおなじみになった光景だ。
「もう一度!」
「ティアナ、今日はそこまで!」
優喜の制止を聞き、そのままクールダウンに移る。かつての一件で優喜と和解したティアナは、内心でどれだけじれていようと、彼の言葉を素直に聞き入れるようになった。結局のところ、それが一番の近道だと、例の一件で痛いほど思い知ったからである。
今、ティアナが死に物狂いで練習しているのは、ホバー移動によるアサルトコンバットである。折角優喜に貰ったブレスレットとペンダントで、二本の足で走らなければいけないという移動速度を大きく削ぎ落す条件から解放されたと言うのに、現状ほとんど活かせていない。チーム全体の柔軟さを増すためにも、ティアナ自身の決定力不足解消のためにも、身体能力の向上も兼ねた特訓を続けているのだが、これがなかなかうまくいかない。なので、優喜に頼みこんで、特訓してもらっているのだ。
元々ヤマトナデシコを除けば、ティアナは最も竜岡式の経験が浅い。そのため、特訓に寄って伸びた基礎能力を、今一歩使いこなせていない。そう言った危機感もあって、チームのメンバーにも協力してもらって、自分が前に出る種類の奇襲を必死になって形にしようとしているのである。
「まだまだ、ターンピックを出すタイミングと固定の仕方が甘いね。」
「はい。」
「あと、身体の方が先走って、足がまだ残ってる状態で前に加速しようとする傾向がある。とはいっても、どっちも練習あるのみだからなあ……。」
「実戦で通用するようになるには、まだまだ時間がかかりそうですね……。」
「それはしょうがない。個人の場合、体で覚えるやり方以外で使いこなせる攻撃手段なんてまずないし。」
優喜の言葉に、思わずため息をつく。焦っても仕方がない、と言うのは分かってはいるが、使いこなさなければいけない物は他にもある。これにばかり時間をかけるのは、あまりよろしくない。やらなければいけない事は多いが、訓練時間は有限である。
使いこなさなければいけないもろもろのうち、一番大きいのがデバイスだろう。これはティアナだけではなく、四人全員がリミッターとプロテクトを解除してもらっているため、今までとは桁違いに性能が上がっているのだ。特にフルドライブが解禁されたスバルと、新しいモードが使えるようになったティアナは、そちらの運用も自分達で考え、形にしなくてはいけない。
その他にも、なのはから伝授されたものやこれまでの訓練で最低限の実用ラインに到達したものなど、選択肢に上がるところまでは来ているが、実戦ではまだ使えていない物がたくさんある。それらを死蔵しないために、その第一歩として自身の肉体を完全に掌握する必要がある。アサルトコンバットを完成させるのは、肉体を掌握するための一環に過ぎない。最初の一歩のその一部で、いつまでも躓いている暇はないのだ。
「本当に、先は長いです……。」
「地道に行こう。とりあえず、今日はこれから、イメージトレーニングも兼ねた仮想シミュレーターで、今日の反省点をもう一度振り返ればいい。あと、一度ターンピックの術式も見直してみたらどうかな?」
「分かりました。」
「でも、食事が先だからね。」
「釘を刺されなくても、すでにお腹がすいて我慢できなくなってますから。」
今や、普通の女子の三人前は平気で食べるようになったティアナ。スバルやエリオ、竜司などに比べれば大人しい方だが、それでも年頃の女性なら、体重を気にしてとても口にできない摂取カロリーだ。ぶっちゃけ、フェイトのように燃費がいい訳ではない普通の体質のティアナは、日ごろの消費カロリーからすれば、これ以下ではあっという間に痩せて体力が落ちてしまうのである。
ティアナに限らず広報六課のタレントたちは、スリムな割に非常によく食べる。一番食の細いフェイトですら、日によっては普通に二人前と別腹のデザートを平らげるほどだ。トーク番組や取材などで必ず聞かれるのが、それだけ食べてもなぜ太らないのか、と言う、美容を気にする女性の永遠の命題ともいえる質問である。言うまでもなく、ひたすら訓練が厳しくて、食べなければすぐに痩せて動けなくなるからではあるが、それをそのまま正直に言っても、あまり信用してもらえないかゴリラ女のような扱いを受けるのが悩みの種である。
「ティア~、シャワー浴びてご飯行こ~!」
「今クールダウン中だから、ちょっと待ってて。」
向こうの方で、フルドライブに体を慣らす訓練をしていたスバルが、子犬のように駆け寄ってくる。基本的に花より団子、色気より食い気というタイプだと思われているスバルだが、それでもシャワーの方が優先順位が上に来るあたり、一応きっちり年頃の女の子ではあるらしい。
「それでは師範、お先に失礼します。」
「行ってきま~す。」
シャワーと食事のために、意外と元気よく立ち去っていく二人を見て、もう少し絞れなくもないか、などと物騒な事を考える優喜であった。
「ヴィヴィオ、人参とピーマンも、ちゃんと食べなきゃ駄目だよ?」
「え~!?」
「リリィ、煮物のジャガイモ、残しちゃ駄目。」
「うう……。」
食堂では、なのは達保護者組が、エリオ以下のちびっ子たちの好き嫌いを注意していた。本日のメニューは肉野菜炒めとジャガイモ・大根・人参・こんにゃくの煮物にみそ汁、メザシ、デザートに桃が出る。
このメニュー、ほとんどの子供のの苦手なものが、何か一品は入っていたりする。ヴィヴィオは子供の嫌いなものの定番・人参とピーマンが、キャロはこんにゃくがどうにも苦手である。リリィはジャガイモが煮物限定で食べられず、ミコトはメザシがあまり好きではない。ヤマトナデシコのフォワード、マーチ・コレットも、野菜炒めに使われているもやしが嫌いだ。
エリオとトーマ、それにヤマトナデシコのセンターガードであるリーフ・ジェンナーは、今日のメニューは特に食べられない物がある訳でもなく、無心にモリモリ食べている。特にエリオの食欲は素晴らしく、すでにおかずのお代りは二回目、ご飯は五杯目である。
「食べたら死んじゃうものとかはしょうがないけど、好き嫌いはよくないよ。」
「どんな食べ物も、もとは生きていたものなんだから、ちゃんと感謝して、全部食べなきゃ駄目よ。」
すずかや紫苑にまで注意されて、涙目になりながら苦手なものを一生懸命食べている子供達。そんな姿に、昔の自分達を思い出し、思わず苦笑が漏れる。今でこそ何でも食べる優喜だが、事故で目をやる前は偏食がひどく、嫌いなものの方が多いぐらいだった。なのはとフェイトも子供のころは結構食べられない物が多く、なのはは野菜がいくつか、フェイトは魚介類の中にそれなりに、なかなか食べられるようにならなかったものがあった。特にフェイトは、昔はイカとホタテの克服に結構苦労していたが、大人になるにつれて味覚が変化したからか、気がつけば特に苦も無く食べられるようになっていた。
実際のところこの中で、昔から特に好き嫌いがなかったのは紫苑ぐらいで、すずかにいたっては、いまだに田楽味噌がどうにも苦手である。食べられなくはないのだが、後味がどうしても好きにはなれないのである。もっとも、世界は広い。多分探せば紫苑だけが苦手なもの、と言うのも一つぐらいはあるだろう。
「やっぱり、実戦組はよく食べますね~。」
自分の分をトレーに乗せたシャーリーが、感心するように声をかけてくる。なんだかんだと言っても、紫苑とヴィヴィオ以外全員、ご飯とみそ汁は二杯目である。子供達は、自分の苦手なものが入ったおかず以外は、きっちりお代りしている。
「そりゃまあ、食べなきゃ持たないし。」
「ただ、この子たち、結構好き嫌いに関して頑固だから、ちょっと苦労してるかな?」
「なのはさん達は、そう言うのはいつごろ克服したんですか?」
シャーリーに言われて、少し考え込む。
「ん~、私は中学に入ったぐらいには、大体何でも食べられるようになってたかな?」
「私は、ん~、苦手だったイカとホタテが気にならなくなったのが、高等部に入る直前ぐらい? イカとホタテ以外は、デビューする頃には、普通に食べてたよ。」
「なるほど、なるほど。第二次性徴が始まる前には、ほとんど好き嫌いなく何でも食べるようになっていたわけですね。」
「そうなるかな?」
「それが、その美貌とナイスバディの秘訣だった訳ですね~。」
シャーリーのある種無遠慮な台詞に、食堂内部の女性陣の動きが止まる。職員の低年齢化が進んでいる管理局に置いては、事務職にも、第二次性徴が始まったぐらいの子供、と言うのは結構いる。そう言った子供たちにとって、なのはやフェイトのその容姿は憧れであり、少しでも近づける可能性がある以上、どんな些細な情報でも重要なのだ。
「そう言う訳だから、ちびっこたち。」
「なんでしょう?」
「好き嫌いしてたら、チンクとかセインみたいな大惨事になっちゃうよ?」
その言葉に、微妙な沈黙が下りる。胸のあたりがやたらとストイックな体型のセインや、実年齢がなのは達を超えているはずなのに、いまだにエリオやキャロと大差ない年頃に見えるチンク。セインはまだしも、チンクと同じと言うのは正直勘弁願いたいところだ。
「ねえ、トーマ……。」
「どうしたの、リリィ?」
「やっぱりトーマも、なのはさんやフェイトさん、美穂さんみたいにおっきい方がいい?」
「リリィに身長で抜かれるのは、ちょっとショックかも。」
「身長の話じゃないのに……。」
全くかみ合わない会話をしているトーマとリリィ。その特殊な生まれゆえか、精神的には同じ年頃の女の子どころかキャロよりもませているリリィと、基本的な精神構造が小学校低学年の男子そのものであるトーマとでは、そういった方面で噛み合うはずがないのだ。
「とりあえず、無いよりはあった方がいいんじゃないかな?」
「……頑張る。」
「え? 何を? と言うか、何で涙目になりながらお代わりするのさ?」
シャーリーの言葉に素直にきゅっと拳を握り締め、天敵ともいえるジャガイモの煮物をお代りして挑むリリィを、思わず生温かい目で見守ってしまう年長者。苦手なものを必要以上に食べようとするリリィに、どうにもついていけない物を感じるトーマ。この場合、トーマが鈍いと言ってはいけない。普通、八歳ぐらいの男の子なんてこんなものだ。女子とつるんでいる事を恥ずかしいと思ったり、無意味にいじめようとしたりしないだけ大人だと言えるぐらいである。
「そっか。ないよりあった方がいいよね。」
無邪気に見えても、キャロもやはり女の子らしい。そう言えば美容にいいと言っていたっけ、見たいなことを呟いて、やはりお代わりしたこんにゃくに挑む。むしろ、食べ過ぎて太る方を警戒すべきではないのかと言う突っ込みもあるが、この場に居る子供たちは全員、何らかの理由で訓練を休んだ日は、普通に子供の一人前しか入らないと言うある意味便利な体質なので、それほど心配はいらない。苦手だから敬遠していただけで、まだまだ食べられる程度の空腹感はある。
「そう言えば、優喜さんは?」
「優君なら、もう食べ終わってムーンライトの方に行ったわ。」
「いろいろと作らなきゃいけないんだって。」
「そうですか。」
因みに、美穂も一緒について行っている。手が足りない事もあり、優喜がそっち方面の助手として、美穂に付与系をいろいろと教えているのだ。美穂の側も、あまり表に顔を出さずに人の役に立てるとあって、かなり真剣に勉強している。無駄に才能を詰め込まれたと言われるだけあって、この方面でも美穂のレベルアップは異常に速いらしい。
「ママ~、食べた!」
話があちらこちらに飛んでいるうちに、ヴィヴィオがいつの間にか、きっちり人参とピーマンを平らげていた。空になった器をどや顔で見せて、褒めて褒めてとばかりにアピールしてくる。
「お~、ヴィヴィオえらい。」
「がんばったね。」
「えへへ。」
駄弁りながらも、それなりに子供達の様子は観察していたので、ヴィヴィオが苦手なものを誰かに食べてもらう、と言うずるをしていない事は間違いない。つまり、本当に自分で全部平らげたのだ。
「いっぱい食べて大きくなったら、竜司さんと仲良くなれるかな!?」
「……やっぱりそこなんだ……。」
「……十年たっても同じ事を言ってるようだったら、あきらめて竜司さんに自分で何とかしてもらおう……。」
百パーセント子供だと言うのに、相変わらず竜司の事を語るときには、女の顔を見え隠れさせるヴィヴィオ。一方の竜司の方は、いくらなんでもこんな子供がそう言う意味合いで好き好きオーラを出しているとは思っていない。カリムを筆頭にシャッハやシグナム、シャマル、果てはヴィータまで何か感じいるところがあるらしいとなると、ベルカ人女性にだけ影響するフェロモンの類でもばら撒いているのではないか、と疑いたくなる。
「あらあら、恋の季節ね。」
そんな先走った子供たちの気持ちに対して、そんなのんきなコメントで全てをまとめる紫苑であった。
「さて、ドゥーエ。」
「プレシア、あなたが私を呼びつけるなんて、珍しいわね。なんだか嫌な予感しかしない訳だけど、何の用かしら?」
「大した用事じゃないわ。単に、スカリエッティとナンバーズの四番に、あれこれいろいろと報復する手伝いをしてもらいたいだけ。」
「それが大した用事じゃない、とは恐れ入るわね。」
呼びつけられた理由を聞き、表面上は冷静さを装いながらも、内心で冷や汗をだらだらと流すドゥーエ。今更ドクターに反旗を翻す事を躊躇いはしないが、個人的な報復のために向こうに何かを仕掛けるのは、正直遠慮したい。とは言え、流石に今回の事はプレシアが切れるには十分であり、特にクアットロには情状酌量の余地が見いだせない。
「とりあえず、あまり派手な事には付き合えないわよ?」
「分かっているわ。それに、スカリエッティに関しては、あの子たちの命を繋いだ事に対する情状酌量の余地で、それなりに手加減するつもりではあるから、安心しなさい。」
「つまり、クアットロには容赦はしない、と?」
「ええ。」
はっきりきっぱり言い切ったプレシアに、心の中で十字を切るドゥーエ。正直、この怒りの矛先が自分でなくて良かった、などと本気で思ってしまう程度には、今のプレシアは怖い。
「それで、あまり聞きたくはないけど、具体的には何をするつもり?」
「あの手合いに肉体的な面で報復したところで大した意味はないから、精神的・社会的に徹底的にやってあげようかと思っているわ。」
「精神的に、ねえ……。」
「別に、肉体的な報復として、拉致して優喜に適当なつぼを突かせた上で、精神的に壊れないように処置をして、あの期間のすずかに好きなだけいたぶらせる、って言うのもありだとは思っているけどね。ただ、それをやってもまだ足りない、と言うのが本音ね。」
「怖すぎるから、聞かなかった事にしておくわ……。」
あまりに苛烈な報復内容に、思わず全力で引くドゥーエ。何が怖いと言って、平気でその報復を口にしてまだ足りないと言うプレシアと同じぐらい、クアットロ相手ならそれぐらいやってしまった方がいいかもしれない、などと思わず心の中で考えてしまった自分が怖い。
「何というか、どう転んでも碌な事になりそうもない、って言うのが素敵ね。」
「大丈夫よ。ちゃんとあなたには、ご褒美を用意するつもりだから。」
「一応言っておくけど、踏むとかそういうのはご褒美じゃないからね。私はそういう方向に訓練された淑女じゃないからね。」
「あら? 優喜につぼを突かれてもだえていた七番達を、とても羨ましそうに見ていたと思ったのだけど、違ったのかしら?」
「見てない見てない!」
プレシアの言いがかりを、必死になって否定するドゥーエ。やたらと恍惚とした表情を浮かべていたセッテと、妙にエッチな声であえいでいたディードを見て、一体どんな状態になっていたのか少し気になったのは事実だが、間違っても羨ましい、などとは思っていない。多分。
「折角、昔フェイトが七歳ぐらいの頃お仕置きに使っていた道具を、久しぶりに手入れしておいたのに。」
「昔って、その頃あなた狂ってたでしょう!? その時期の道具って絶対ろくでもない代物よね!?」
「あなたがどんな声で鳴いてくれるのか、とても楽しみだったのに残念だわ……。」
「また狂ってる! 娘のクローンを好き勝手いじられたから、絶対また狂ってるよこの女!」
ニタリと嗤ったプレシアに、身の危険を感じて本気で逃げを打とうとするドゥーエ。こんな勘違いをされるようになったのは、百パーセント優喜のせいだ。絶対いつかこの事については復讐してやる、などと余計なフラグを立てながら、もしかしたら実は気持ちいいのかもしれない、などとほんの少しちらっと思った事には気付かない事にするのであった。
「さて、今日集まってもらったのはほかでもない。次の公聴会について、話しておきたい事があるからだ。」
「次の公聴会、それが終わったら、私とゲイズ中将は引退し、予備役に入ろうかと思う。」
溜めも何もなく、特に大した話でもない、という風情で二人の英雄が告げた言葉。それは、あまりにあっさりと軽く言われたため、その場に列席していた閣僚たちが理解するまでに、かなりの時間を必要とした。
「ゲ、ゲイズ中将、そんな簡単におっしゃるようなことではないかと思うのですが……。」
「別に、重々しく言おうが軽く言おうが、言葉の内容も意味するところも変わらん。」
「グレアム提督、いくらなんでも急すぎはしませんか!?」
「急、と言うほどでもないだろう。私もゲイズ中将も、前々から今期中にも引退する、と言っていたではないか。」
「で、ですが……。」
いきなり言われた陸と海の二大巨頭の去就に、一部を除いた閣僚や関係者は、大いに混乱する。今期中、と言っても、いくらなんでも期の途中で引退すると言い出すとは思わなかったのだ。
「いつまでもこのような老いぼれが頭に使えていては、組織としての活力は落ちる一方だ。」
「それに、我々は君達がこれからの管理局を支えられるよう、全身全霊をもって伝授できるだけの物は伝授したつもりだよ。」
「儂もグレアムもいい年だ。いつ死んだところでおかしくはないし、この十年の改革で強引な手も使ってきている。いい加減、叩いて出る埃が多すぎて、そろそろ管理局のような大規模な公的機関のトップに置いておくにはリスクが大きすぎる。」
「すでに、陸と海の対立と言う長年の問題は、組織の風通しを良くすることで解消に向けて大きく動き出している。ベテランの中には納得がいかない、と言う人間も多く居るが、それも時間が解決してくれるだろう。」
「最高評議会の置き土産も、管理局内部についてはあらかた処理が終わった。後は儂らの引退を餌にあぶり出して、一度に道連れにすれば終わる。これ以上は、儂らが第二の最高評議会になるだけだ。」
もはや引き際を決めてしまったグレアムとレジアスの、さまざまな覚悟が込められた言葉。長きにわたって管理局に尽くし、ここ十年は老朽化の弊害が出てきた組織の再建に全力を注いできた男達の結論。それを覆せる人間は、この場には居ない。
「グレアム提督、ゲイズ中将。」
「何かね、ハラオウン提督。」
「置き土産をあぶり出す、とおっしゃいましたが、連中の対応次第では、あなた方が犯罪者の汚名を着せられる事になりかねませんが……。」
「もとより、覚悟の上だよ。」
「十年前に竜岡優喜に諭され、八神はやての魂に触れた時点で、儂もグレアムも己の名誉など興味はない。」
予想していた通りの言葉を聞き、素直に質問を取り下げるリンディ。元々、グレアムとレジアスを引きとめるつもりはない。ただ、せっかくここまで築き上げてきた二人の名誉が、管理局の膿を出し切るためとはいえ、たかが生き残った小物を始末するためだけに失われるのが、少々どころではなく惜しいと感じたにすぎない。もっと言うなら、ここまで覚悟を決めてやり切った二人の魂が、小物と相打ちになる形で汚されるのが、心底口惜しいのだ。
「我らには、新たな世代への責任と言うものがある。管理局をひずませてしまったのは、私たち年寄りだ。ならば、命を捨ててでも、正しい姿に戻すことが責務だろう?」
「だからな。もし公聴会、もしくはその前段階で管理局を揺るがすようなスキャンダルがあったなら、容赦なく儂らに責任を押し付けてしまえ。責任者などと言うのは元来、目的を達成するために起こりうるトラブルを全て潰すとともに、起こってしまったトラブルの解決のために、その首を差し出す事が仕事だ。目的が若い世代が誇りを持てる管理局を作る事である以上、その前提を潰すようなトラブルは、全て儂らの責任だ。」
「間違っても、私達を庇おう、などと考えてはいけないよ。この段階で出てくるような致命的なスキャンダルなんて、私たちが実際にやらかした暗闘の途中経過か、それ以前に理想に立ち返る前、道を踏み外していた時にやってしまった自業自得の結果なのだから。」
「分かりました。その時は新しい管理局のために、容赦なくお二人を切り捨てさせていただきます。」
レティの言葉に一つ頷くと、さらにその場に居る人間を諭すために言葉を続ける。
「もう一つ、間違えてはいけない事がある。」
「管理局も、所詮は手段だ。我々の目的はあくまでも、力なき人たちが安心して、心から笑って暮らせる世の中を作り、守っていく事だ。我々上層部がその理念を忘れて、犯罪発生率や犯罪件数をただの数字として見るようでは終わりだ。ましてや、管理局と言う入れ物を守るために、一番大切な力なき者たちを切り捨てるようでは、本末転倒だ。」
「無論、現状では、管理局が無くなれば、治安の維持などできはしない。明日のために、今日ある程度の苦労を受け入れてもらうと言う事態は、どうしても避けられないだろう。だが、この管理局が、存在するためだけに存在するところまで堕してしまったのであれば、そんな組織は容赦なく潰してしまえ。」
「もう一度、いや、何度でも言おう。時空管理局も、所詮は手段だ。目的と手段を、取りちがえてはいけない。」
二人の遺言のような言葉に、真剣な顔で頷く幹部達。いや、彼らの言葉は、組織人として、英雄として、そして時空管理局の事実上のトップとしての「遺言」なのだろう。だからこそ、軽く扱ってはいけない。そこを取り違えるような人間は、間違ってもこの場に座ることなどできはしないのだ。
「さて、重苦しい話は、ここまでにしておこう。」
「この老いぼれどもの最後の花舞台だ。折角だから、それに合わせてコンサートの一つでもやろうではないか。」
「すでに企画は通っています。」
「現在、公聴会公演向けの新曲については、とりあえず舞台でお客様に聞いていただけるレベルには達しています。」
レティとリンディの言葉に、満足そうにうなずく。
「儂らは送り出される立場だ。今後は、細かい事には口をはさまんよ。」
「ただまあ、スカリエッティが聖王のゆりかごとやらを持ち出してくる可能性はある。そこは注意をしておくように。」
「分かっています。」
「ただ、聖王のゆりかごに関しては、詳細はいまだ不明です。伝承として残っている情報だけでは、対策を打つには不足しています。」
「また、ゆりかごを起動するためには、現在広報六課で保護している聖王のクローンを奪取するか、新たなクローンを作る必要があると考えられます。そのため、広報六課の隊舎自体にもある程度の戦力を残しておく必要があるかと思われます。」
「そこはリンディ君に任せよう。」
グレアムの一言に、一つ頭を下げて答えるリンディ。ヴィヴィオを時の庭園に退避させる、と言う方法も検討しているのだが、相手が同等レベルの天才であるスカリエッティである事に加え、時の庭園自体が個人の持ち物であるという問題もある。それならば、堂々と戦力を配置できる広報六課隊舎を利用する方がいいだろう。問題は、主要な戦力は公聴会の警備とコンサートに割かれてしまうため、どうしても隊舎の警備は相対的に薄くならざるを得ない事だ。
「後、これは個人的な要望だが、公聴会の内容を、もっと一般市民にも分かりやすいものにしてほしい。以前から議題に上がっていた事だが、資料作りを口実に、常に鼻であしらわれてきた問題だ。」
「所詮誰もまともに聞いてなど居ない、という気持ちも分からんではないが、そんな細かい姿勢一つ一つが、上層部が守るべき市民を軽視し、数字としてしか見なくなる事につながっていると考えている。もう日がない事なので、今回については無理にとは言わんが、次回からは出来るだけ配慮してほしい。」
「了解しました。不慣れな事ゆえ満足いく結果になるかどうかは保証しかねますが、全力を持って対処いたしましょう。」
「今更面倒な事を言い出して、済まんな。」
レジアスの言葉に首を横に振るレティ。実際のところ、言われるまでもなく、すでにできるだけ専門用語や難しい言い回しを排除し、可能な限り予備知識無しでも内容が分かるようにと、最初の段階から指示を出して資料を作らせている。グレアムとレジアスが言いださなくとも、リンディとレティは最初から、管理局の意識改革の一環として行うつもりだったのだ。
「最後に、もう言わなくとも分かっているとは思うが、私、ギル・グレアムの後任にはレティ・ロウランを。」
「レジアス・ゲイズの後任にはリンディ・ハラオウンを。」
「そして、その両名のサポートに、オーリス・ゲイズを充てることとする。」
自分達の後継として、手塩にかけて育て続けた三人の女傑。彼女達に後を任せることを宣言して、老英雄達の最後の会議は終わりを告げたのであった。
「フェイトちゃん、はやてちゃん、ちょっといいかな?」
「後はもう寝るだけだけど、どうしたの?」
「こんな時間になのはちゃんから話持ちかけてくるって、珍しいなあ。」
夕食後の団らんの時間が終わり、後は寝るだけとなったところで、珍しくなのはが声をかけてくる。
「なんだか、すごく真剣な顔だけど、大事な話?」
「うん。大事な話。」
「そっか。ほな、心して聞かせてもらうわ。ヴィヴィオは?」
「今日は、紫苑さんが預かってくれるよ。」
「了解や。」
普段はどちらかと言うと緩い表情をしている事が多いなのはが、こんな時間にこんなに真剣な表情で話を持ちかけてくると言うのは、本当に珍しい。雰囲気から言って、どうやら広報六課全体に影響する話になりそうな感じだ。
「それで、話って?」
なのはとフェイトの部屋におじゃまして、出されたハーブティーに軽く口をつけてから、はやてが話を切り出す。時間が時間なので、眠気を消さないように、リラックス効果のあるノンカフェインの物だ。
「あのね、私ね。」
口を開いていいかけ、少しためらってから、もう一度覚悟を決めなおして言おうと思っていた事を告げる。
「私、管理局をやめたいんだ。」
「えっ?」
「やっぱり……。」
なのはの言葉に、思いっきり驚いた顔をしていたはやてと、すでに悟っていたらしく静かな表情で頷くフェイト。
「やっぱりって、フェイトちゃんは分かっとったん?」
「そりゃそうだよ。私となのはは、誰よりも長く一緒に居るんだから。それに、はやてだってなのはが管理局の仕事を続けるかどうか迷ってる事は、気がついてたでしょ?」
「それはそうやけど、広報六課が立ちあがった頃は、はっきりやめたい、言うほどでもなかったやん。」
「まあ、あの頃はまだ、そこまではっきりとやめたい、って思うような出来事も動機もなかったから。」
何かを決意した様子のなのはが、ハーブティーを一口飲むと、気持ちをそのまま口にする。
「ずっとね、このまま管理局のお仕事を続けていくのって、どうなのかなって思ってたんだ。私はフェイトちゃんと違って、局員だからこそできる事、とかそう言うので、これを絶対やりたい、って言う事がなにもないから。」
「それは私もそうやで。」
「それに、はやてちゃんみたいに、管理局ではたらかなきゃいけない強い理由も持ってない。仕事そのものはずっと真剣勝負でやってきたけど、気持ちの上で惰性でやっていた部分があるのは、否定できないんだ。私はあくまで成り行きで管理局に所属して、フェイトちゃんとはやてちゃんが居るから続けてただけ、だから。」
なのはの告白を、黙って聞き続けるフェイト。いまいち納得ができずに、思わず唸るような声を出してしまうはやて。ぶっちゃけた話、なのはとはやてでは、気持ちの上ではそれほど大きな違いはない。仕事を惰性でやっている部分がある、なんていうのはそれこそフェイトだって同じに違いない。ただ、はやてには借金があり、なのはにはそれがない事と、せいぜいはやてには、ロストロギアのせいで理不尽に犯罪者や被害者になる人間を減らしたい、という気持ちがある事ぐらいだろう。
ロストロギアによる不幸を減らしたいという想いはなのはも同じだと思っていたが、随分温度差があったらしい。だが考えてみれば、自身がそういう境遇で、いっそ死のうかと思いたくなるような絶望も知っているはやてと、親友がそういう境遇ではあっても、自身はあくまで傍観者だったなのはでは、どんなに共感しようとしたところで、おのずと限界というものはある。モチベーションに大きな差が出てくるのも、ある意味仕方がない事ではあったのだろう。
「それは分かったけど、何で最近になって、急に?」
「きっかけは、ヴィヴィオを保護した事かな。」
「ヴィヴィオを?」
「うん。この事件が終わった後、ヴィヴィオの面倒を誰が見るのかな、って思った時にね。私たちがこのまま保護者になるのって、すごく無責任な事なんじゃないかな、って思ったんだ。」
なのはの指摘に反論できず、黙り込むしかないはやて。
「フェイトちゃんは、この件については?」
「私も、そこは気になってたんだ。なんだかんだ言って、ヴィヴィオは私となのはに一番懐いてるし、保護者として引き取って面倒を見るんだったら、今の仕事はそのままは続けられないから。」
「そっか。」
「それにね。この間、みんなでお菓子を作ったでしょ?」
「作っとったなあ。」
「あれで、思い知っちゃったんだ。高町なのはの原点は、翠屋なんだって。」
今までの言葉ではいまいち納得がいかなかったはやても、この一言には納得せざるを得なかった。なのはにとって、翠屋と言うのは将来の夢の一つであり、他の分野でいくら成功しようと、絶対に消せない憧れなのだ。
「優喜君には、その話はしたん?」
「まだしてないけど、ね。」
そういいながら、何らかの資料を取り出して、フェイトとはやてに見せる。
「これは、何?」
「仮にこっちで翠屋をする場合、店の維持費と収益、それから損益分岐点の大雑把な見積もり。こっちは店をやる場合に必要な資格と許可で、これは目ぼしい立地条件の店舗取得費用の一覧。あと、クラナガンで有名だったり人気だったりするお店のお菓子の大体の値段とか、そう言った評価。」
「こんなもんまで作ったん?」
「優喜君が、用意してくれてた。やっぱり、分かっちゃうんだな、って。」
なのはの言葉に、思わず微妙な表情になるはやて。流石に、この状況で惚気を聞かされるのは予想外だったのだ。とは言え、そんなはやて自身の気持ちなど、この際どうでもいい。お勧め物件や仕入れルートの情報など、ざっと見ただけでも、優喜はなのはを本気で応援していると言うのが分かる。
「フェイトちゃんはどないなん?」
「私は、なのはだってやりたい事をやっていいと思う。」
「それがデュオの解消になっても?」
「うん。これでWingが解散になっても、私となのはの絆まで消える訳じゃない。」
「はいはい、ご馳走さま。」
思わずアレな顔になりながら、見せてもらった資料をなのはに返す。
「まず、管理局サイドとしての意見やけど。」
「うん。」
「やめる、言うんを止める事はさすがに出来へん。せやけど、まったく縁を切るっちゅうんも無理やな。流石に、ロストロギアを持ってるSSSランクの魔導師を野放しにするんは無理や。かと言うて、なのはちゃんクラスになると、リンカーコアの封印作業も厳しい。」
「分かってる。それで、具体的には?」
「予備役、言う形で、非常勤の嘱託魔導師として、必要な時に出動要請を受けてもらうことを前提にした退役は認められると思う。」
はやての説明に、一つ頷くなのは。もとより、無条件で縁を切れるとは思っていない。
「あと、今言うてすぐにやめる、言う訳にもいかへんで。」
「それも分かってる。最低でも、今期いっぱいはちゃんと仕事するつもりだよ。それに。」
「それに?」
「やめてすぐに店をできる訳じゃないもの。資格もまだ七割ぐらいしか取れてないし、店を切り盛りするには、もっと修行もしなきゃいけない。そもそも、大学を卒業しないと無理があるよ?」
夢を実現すべき目標のレベルまで落としこんでしまったからか、なのはの言葉は実に現実的でかつ具体的だ。
「また、えらい具体的な話を……。」
「そもそもね、せめてヴィヴィオがトーマぐらいまで大きくなってからじゃないと、お店とかはちょっと不安があるし。」
「まだ自分で子供産んだ訳でもないのに、すっかり母親やなあ。」
「責任があるから、ね。」
呆れたようなはやての言葉に、どことなく慈愛のこもった微笑みを浮かべるなのは。
「まあ、とりあえず話は分かったわ。タイミング的に、決済を取る相手はリンディさんとレティさんになるやろうけど、頑張って話を通してくるわ。」
「うん。ごめんね、わがまま言っちゃって。」
「ええって。実際のところ、聖王のクローンとか結構な火種やし、ある意味においては好都合かもしれへん部分はあるし。」
「それでも、迷惑はかけると思うから。」
「そんなん、お互いさまや。」
「なのはが居場所を守ってくれるんだったら、私は安心して執務官の職務に専念できるし、迷惑なことばかりじゃないよ。」
十年来の付き合いとなる二人の親友。そんな彼女達との友情をかみしめながら、もう一度頭を下げる。そのまま、決済が通った後の実務周りについて、大雑把な打ち合わせをして、この日の秘密のお茶会はお開きとなった。
「また、あのメガネか。」
「なかなかに往生際が悪いようだの。」
「全く、スカリエッティも頭が痛いだろうな。自滅するなら、一人でしておいてほしいものだ。」
「何、あのメガネが自滅してくれたおかげで、世界征服ロボの改良もずいぶん進んだわ。スカリエッティのガジェットドローンも、似たようなもんじゃろうて。」
クアットロからの協力要請を見て、彼女をあざ笑いながら会話を続けるフィアットとマスタング。
「それで、どうする?」
「何がじゃ?」
「あのメガネからの要請だ。別に断ってもかまわんとは思うが?」
「そうじゃのう……。」
協力要請の内容を確認しながら、少々頭をひねるマスタング。
「儂ら自身も含めて、どちらに転んでもこれが最後になるじゃろうし、協力しても問題はなかろう。」
「いいのか? と言うより、私達もこれが最後になる、とはどういう意味だ?」
「流石に、いろいろ派手に動きすぎたようでの。儂らが直接噛んだのは三件程度じゃが、世界征服ロボを買ってはしゃいだ連中が、いろいろやらかしおったようでの。残念ながら、すでに管理局の連中に捕捉されて居るようじゃ。」
「ならば、管理外世界にでも逃げ込めば……。」
「そう簡単にはいかんだろうて。それにの、ようやく大型の奴がいい感じに仕上がっておるのじゃから、派手に暴れるのも悪くなかろう。」
にやりと笑うマッド爺さんに、思わず深々とため息をつく。どうせ、いろいろやらかした連中とやらも、あのメガネに扇動されたのだろう。自分達も似たような事をやったとはいえ、つくづく面倒な話だ。
「本当に逃げきれないのか?」
「連中とて、腐っても次元世界最大規模の組織じゃ。ここまでいろいろ派手にやらかして、そう簡単にドロンといけるほど無能ではないわ。」
「そうか……。」
「もっとも、一番大きいのは、今回尻馬に乗るのが一番勝率が高いから、と言うのもあるがの。」
爺の言葉に目を丸くするフィアット。性別不詳のその顔が、そう言う表情をすると妙に可愛らしく見える。
「勝率が高いのか!? あの駄メガネが立てた計画が!?」
「結局のところ、今の管理局に各個撃破を仕掛けても無意味じゃ。ガジェットも世界征服ロボも、一般の局員が相手ならば小型の物一機で十人は余裕で相手に取れる。であれば、圧倒的な物量で弱いところを食らいつくし、孤立させるのが一番確実じゃろうて。」
「圧倒的な物量、など用意できるのか?」
「大型の物が、現段階で試作を含めて五十程度、中型で千は軽いし、小型は各バリエーションで普通に万単位の数を確保しておる。」
確かに圧倒的、と言っていい物量だ。辺境の管理世界の小さな国の政府なら、余裕でたたきつぶせるだけの戦力である。
「それにの、公聴会と言うのがミソでの。」
「スキャンダルでも流すか?」
「そうなるじゃろうな。現在の管理局地上本部のトップは、過去にスカリエッティと癒着しておった男だ。犯罪者に資金や研究資料を横流ししていた、などと言うのは、十分に屋台骨を揺るがすだけのダメージになるじゃろうて。」
「そううまくいけばいいんだがな。」
フィアットとしては、マスタングのその希望的観測は、ずいぶん危ういものに見える。その手のスキャンダルと言うやつは、やりようによっては、むしろイメージアップにつながる事すらある。クレーム対応や不祥事の処理を適切に行った組織と言うのは、一般の評価が急上昇する事がある。
「何にせよ、こういう派手な祭りには、参加して何ぼじゃろう。」
「分かった。出来るだけリスクを減らす努力はするから、貴様は好きなように準備しておけ。」
「おうよ。」
こうして、スカリエッティと管理局との一連のエピソードは、最後の主要な事件に向けてじわじわと加速していくのであった。
あとがき
カールビンソンやらときめきトゥナイトやら年を疑われそうなネタばかり仕込んでいる作者ですが、一応年齢的には、小学校に上がる前に全員集合の本放送を見ていた記憶がある世代です。
あと]kyoko◆fd47bbf4さま、フォルム名に関してはそれを使わせていただきます。提案、ありがとうございます