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No.17077の一覧
[0] ハルケギニア~俺と嫁と、時々息子(転生・国家改造・オリジナル歴史設定)[ペーパーマウンテン](2013/04/14 12:46)
[1] 第1話「勝ち組か負け組か」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 17:40)
[2] 第2話「娘が欲しかったんです」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 19:46)
[3] 第3話「政治は金だよ兄貴!」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 19:55)
[4] 第4話「24時間働けますか!」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 17:46)
[5] 第5話「あせっちゃいかん」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 20:07)
[6] 第4・5話「外伝-宰相 スタンリー・スラックトン」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 20:11)
[7] 第6話「子の心、親知らず」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 20:15)
[8] 第7話「人生の墓場、再び」[ペーパーマウンテン](2010/10/01 20:18)
[9] 第8話「ブリミルの馬鹿野郎」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:17)
[10] 第9話「馬鹿と天才は紙一重」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:22)
[11] 第10話「育ての親の顔が見てみたい」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:25)
[12] 第11話「蛙の子は蛙」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:31)
[13] 第12話「女の涙は反則だ」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:36)
[14] 第13話「男か女か、それが問題だ」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 18:42)
[15] 第14話「戦争と平和」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 19:07)
[16] 第15話「正々堂々と、表玄関から入ります」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 19:29)
[17] 第15.5話「外伝-悪い奴ら」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 19:07)
[18] 第16話「往く者を見送り、来たる者を迎える」[ペーパーマウンテン](2010/06/30 20:57)
[19] 第16.5話「外伝-老職人と最後の騎士」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:54)
[20] 第17話「御前会議は踊る」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:47)
[21] 第18話「老人と王弟」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:48)
[22] 第19話「漫遊記顛末録」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:50)
[23] 第20話「ホーキンスは大変なものを残していきました」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:50)
[24] 第21話「ある風見鶏の生き方」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:50)
[25] 第22話「神の国の外交官」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:50)
[26] 第23話「太陽王の後始末」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:51)
[27] 第24話「水の精霊の顔も三度まで」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:51)
[28] 第25話「酔って狂乱 醒めて後悔」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:52)
[29] 第26話「初恋は実らぬものというけれど」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:52)
[30] 第27話「交差する夕食会」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:53)
[31] 第28話「宴の後に」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:53)
[32] 第29話「正直者の枢機卿」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:53)
[33] 第30話「嫌われるわけだ」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:53)
[34] 第30・5話「外伝-ラグドリアンの湖畔から」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:54)
[35] 第31話「兄と弟」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:54)
[36] 第32話「加齢なる侯爵と伯爵」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:55)
[37] 第33話「旧い貴族の知恵」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:55)
[38] 第34話「烈風が去るとき」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:55)
[39] 第35話「風見鶏の面の皮」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:56)
[40] 第36話「お帰りくださいご主人様」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:56)
[41] 第37話「赤と紫」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:56)
[42] 第38話「義父と婿と嫌われ者」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:57)
[43] 第39話「不味い もう一杯」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:57)
[44] 第40話「二人の議長」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:57)
[45] 第41話「整理整頓の出来ない男」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:57)
[46] 第42話「空の防人」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:58)
[47] 第42.5話「外伝-ノルマンの王」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:58)
[48] 第43話「ヴィンドボナ交響曲 前編」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:58)
[49] 第44話「ヴィンドボナ交響曲 後編」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:58)
[50] 第45話「ウェストミンスター宮殿 6214」[ペーパーマウンテン](2010/10/09 18:07)
[51] 第46話「奇貨おくべし」[ペーパーマウンテン](2010/10/06 19:55)
[52] 第47話「ヘンリーも鳴かずば撃たれまい 前編」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:59)
[53] 第48話「ヘンリーも鳴かずば撃たれまい 後編」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:59)
[54] 第49話「結婚したまえ-君は後悔するだろう」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 18:59)
[55] 第50話「結婚しないでいたまえ-君は後悔するだろう」[ペーパーマウンテン](2010/08/06 19:03)
[56] 第51話「主役のいない物語」[ペーパーマウンテン](2010/10/09 17:54)
[57] 第52話「ヴィスポリ伯爵の日記」[ペーパーマウンテン](2010/08/19 16:44)
[58] 第53話「外務長官の頭痛の種」[ペーパーマウンテン](2010/08/19 16:39)
[59] 第54話「ブレーメン某重大事件-1」[ペーパーマウンテン](2010/08/28 07:12)
[60] 第55話「ブレーメン某重大事件-2」[ペーパーマウンテン](2010/09/10 22:21)
[61] 第56話「ブレーメン某重大事件-3」[ペーパーマウンテン](2010/09/10 22:24)
[62] 第57話「ブレーメン某重大事件-4」[ペーパーマウンテン](2010/10/09 17:58)
[63] 第58話「発覚」[ペーパーマウンテン](2010/10/16 07:29)
[64] 第58.5話「外伝-ペンは杖よりも強し、されど持ち手による」[ペーパーマウンテン](2010/10/19 12:54)
[65] 第59話「政変、政変、それは政変」[ペーパーマウンテン](2010/10/23 08:41)
[66] 第60話「百合の王冠を被るもの」[ペーパーマウンテン](2010/10/23 08:45)
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[17077] 第48話「ヘンリーも鳴かずば撃たれまい 後編」
Name: ペーパーマウンテン◆e244320e ID:b679932f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/06 18:59
最近、ロンディニウムではある噂がまことしやかにささやかれている。名前が挙がるのはロッキンガム首相、王政庁行政書記長官のヘッセンブルグ伯爵にシェルバーン財務大臣。バーミンガム市長のトマス・スタンリー男爵にトリステイン大使のチャールズ・タウンゼント伯爵等々。爵位も家柄も職種にも年齢にも、ましてや政治思想にも一貫性はなく、一見すると何の共通性もないように思える。

その点を繋ぐのがある王族の存在だ。彼らは何れもスラックトン前政権下で頭角を現し、その後ろ盾を持って出世したとされる。その筆頭がロッキンガム首相である。次期宰相の有力候補であったモーニントン伯爵を差し置き閣僚経験もない公爵が抜擢された事で、噂されていた疑惑は確信へと変わった。では実際にそうであるのかと調べてみると、それを裏付ける確たる証拠はどこにも存在しない。話題に上る人物の多くが特別目立った出世をしたというわけではなく、通常の人事異動や昇格であったのだが、ポスト争いに敗れた者にとって真実かどうかは関係ない。自身にその能力と適格性が欠けていたと認める事が出来ない者ほど、その原因を別のものに求めた。理由はともかくとしてその王族と繋がりがあるだけで彼らはこう呼ばれた。

『革新官僚』と

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ハルケギニア~俺と嫁と時々息子~(ヘンリーも鳴かずば撃たれまい 後編)

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「ふざけた話ですよまったく」

ロンディニウムの財務大臣公邸で、財務大臣のウィリアム・ぺティシェルバーン伯爵は、叔父のランズダウン侯爵ヘンリー・ペティ=フィッツモーリス貴族院外交委員長にその憤懣をぶつけていた。首相公邸を初めとした行政庁の多くがハヴィランド宮殿内の敷地にある中、財務大臣公邸はダウンニング街の外務省からも離れた大貴族の邸宅が立ち並ぶ高級住宅街の一角にあった。王政庁大蔵省から財政部門が分離して成立した財務省は、成立の経緯からして、行政府からも議会からも(無論国王からも)距離を置いて、アルビオンの財政や金融を「監視」する責務があった。タガを締めないと際限なく予算を膨らます行政府、景気の為に市場への貨幣流通を増やせと要求する議会、そしてその両方を要求しかねない国王を相手に出来るのは自分達しかいないという使命感と責任感こそが、財務官僚のプライドを支えている。その使命を果たすためにはハヴィランド宮殿やウエストミンスター宮殿の近くに財務大臣公邸を設けるわけにはいかなかったのだ。しかしそうした地理的距離や高級住宅街という人目をはばかる環境的制約も「おらが国(選挙区)に橋さかけてけろ」という熱意の前には意味を成さなかったが。

「出世レースに負けた者のウサ晴らしでしかありません。たまたまそこにヘンリー殿下と繋がる糸があったから、強引にそれと結びつけたのです。大体、タウンゼント伯爵などは殿下との面会は一度のみ。それも大使に着任して以降のことですよ。それがどうして殿下の威光で出世した事になるのか」

忌々しげに首を振る甥を、ランズダウン侯爵は苦笑しながら見つめた。親を早くに亡くしたこの甥の後見役として大学の資金までを出してやったが、向上心と闘争心はこちらが辟易するほど強い。これが自己の内面を高めるためではなく純粋に自己の栄達のためだけに費やしていたとすれば、今頃は彼の嫌うロビンソン庶民院議長とも互角に渡り合うだけの政治屋になっていたことだろう。

「しかしだね、伯爵と殿下が頻繁に会談しているのは事実だ」

それゆえこの甥は、ヘンリー殿下の元侍従であるヘッセンブルグ伯爵とならんで『革新官僚』の筆頭と見なされている。それがこの甥には不満である。個人的なヘンリー殿下への好感情とは全く別に、自身がその能力とは関係なしに政治的要因で引き立てられたと見なされる事が、我慢ならないのだ。

「そんな事、それがどうしたというのです。私が誰と会おうと勝手ではありませんか。そんなくだらない噂話に現を抜かしているから、出世を逃がすのだといってやってください」

興奮する甥にやんわりと諭すように言うランズダウン侯爵。

「伯爵の言うことは正論だ。しかし正論はそれが正しい故に通用しない。今確かな事は、閣僚である君が王弟と会う事自体が憶測を呼んでいるという事だ」

いったん言葉を切って甥の様子を伺う。苦りきった表情のシェルバーン伯爵がうなずくのを確認してからランズダウン侯爵は続ける。

「一官僚ならそれでいいだろう。数字と伯爵の正論を前にすれば、陳情者は黙らざるを得まい。しかし今の君は大臣-政治家なのだ。いつまでも官僚時代の考え方ややり方でやっていてはうまくいくまい」
「おっしゃることは理解します。ですが私もヘンリー殿下もそのような・・・」
「同じことを二度も言わせるな。君の本意やヘンリー殿下の本意や本心がどうであるかはこの際関係ない。『大臣』である伯爵が『王弟』と『個人的』に会うことがあらぬ憶測を呼んでいるのだ」

言い訳がましく反論しようとした甥の発言をぴしゃりと封じ込めるランズダウン侯爵。それで甥が失脚するのは勝手だが、今の反応と先ほど会談したヘンリー王子の言動では侯爵家にまで波及しかねない。わざわざ大臣公邸にまで出張って正解であった。

「くどい様だが君は大臣なのだ。君自身には何の価値もない。君の『財務大臣』という肩書きに意味があるのだ。君の一言で貨幣相場は乱高下し、君のサインひとつで多くの銀行が悲鳴を上げる。政策的なものはともかくとして、それ以外の言動は不用意だったといわざるを得ない」

ぐっと黙り込んだシェルバーン伯爵。いつまで官僚気分なのだと頬を張り飛ばされた気分だ。その表情は「ゲルマニア脅威論を沈静化してくれ」という頼みを「筋違いだ」と一蹴した時の王弟の表情によく似ている。考えればこの甥が(本人は否定しているが)変わり者の王弟と気が合うというのは根っからの楽観思考という性格的に合う面が大きいのだろう。自己の言動に無頓着であるという点を含めてもだ。


「官僚には官僚のやり方があるように、議会には議会のやり方が、政治家には政治家のやり方というものがある。それを横から口出しされては、例え正論であっても通るものも通らない。結論を急ぐ事が必ずしも良い結果を招くわけではなく、一見すると冗長で意味のないやり取りを繰り返しているように見えても、結果的には落ち着くところに落ち着く-それが政治の面白いところだ」

一端言葉をきったランズダウン侯爵は顎を引き、静かに甥を見つめた。いずれ子のない自分の養子として侯爵家を相続させるつもりだが、今のままでは家を継がせるわけには行かない。ちょうど今のままのヘンリー王子に甥を預ける事が出来ない様に。


「伯爵、君はしばらく殿下と距離を置きたまえ」


***


「・・・えーと、よく聞こえなかったんだが」

「だから、何でゲルマニアが旧東フランクを統一しては駄目なのかって聞いているの」


もう一度尋ね返し、間違いではなかった事を確認したヘンリーは、くたびれきった顔をますますしょぼつかせた。己は、この尼は、人が仕事(?)して帰ってきたらその前提にケチつけるような真似をしくさってからにと猛烈な憤怒の感情が湧き上がったが、その感情をひとまず棚上げする。昂ぶった気を落ち着かせるために小机の引き出しからシガーケースを取り出そうとして、その手をすぐに引っ込めた。最近ますますタバコの臭いを嫌うようになった妻の前で吸う事をためらったのだ。何よりこれ以上小言を重ねられてはたまらない。


「政治に素人-素人なのは貴方もだけど-言わせてもらえばね」

彼女の遠慮のない物言いに喧嘩になった事は何度もあったが、女の直感というか、迷いの本質を突く問いに助けられた事も同じくらい多い。そのことを理解しているヘンリーは「一々嫌味を入れなければ気が済まないのかこの女は」と思いながらも聞く姿勢をとる。

「小説なら今の旧東フランク諸国は『帝政ゲルマニア』として統一していたわけでしょう」
「どんな政治体制かはあまり触れられていなかったはずだが、確か国家のトップが皇帝だった気がする。諸国家が分裂している旧東フランク地域の現状からすると、おそらく連合王国というかドイツ帝国のようにプロイセン王国を中心とした一強と、そのほかの弱小王国という連邦国家のようなものではないかな」
「プロイセンの役割をゲルマニア王国が果たすと考えているわけね」
「そうだ。そしてビスマルクがドイツ統一のためにいくつかの戦争をしたように、ゲルマニアが旧東フランクを統一しようとすれば、間違いなく戦争がおきるのだろう」

今が原作開始の29年前。という事は少なくともそれまでにはゲルマニアと旧東フランク諸国の間で戦争が起きるはず。ザクセン王国やベーメン王国は無論のこと、バイエルンやヴェルデンベルグといった国々も経済的にはともかく、政治的盟主としては今のところ新興国ゲルマニアを認めるつもりはさらさらないだろう。

「ゲオルグ1世がいかなる人物であるかというのはこの際置いておこう。原作で帝政ゲルマニアが成立していたということから、あの老王は旧東フランクの統一を目指している事を前提に考えよう。ここまでで何かあるか?」
「いいんじゃない」

何でお前は上から目線なんだという複雑な思いを感じながら、すっと頭の芯が冷えて冷静になっていく。積み重なってこんがらがった知識が整理され、繋がっていく感覚。情報という洪水の後片付けをするのは、ヘンリーだけでは不可能だ。


「国家の統合とは何かだ。政治的なものと精神的なものの二つだ」
「どちらのほうが大事?」
「それは後者だ」

明快に答えるヘンリー。第一次大戦後にドイツを再分割しろという論議に対して、時のフランス首相クレマンソーが「統一とは心の問題だ」と答えたように、一度「ドイツ人」という意識に芽生えてしまえばそれが消える事は。そして実際、ドイツ帝国に組み込まれた弱小王国の中では敗戦後の苦しい環境の中でも独立論が盛り上がる事は無かった。結果的にはそれが冷戦終結後の東西ドイツ再統一に繋がることにもなる。

「精神的な統一としては『旧東フランク王国』と『ゲルマン人』の二つだろう。ホーエンツオレルン家(ゲルマニア王家)の紋章は双頭の鷲。ゲオルグ1世の真意がどうであれ、かつての統一国家である旧東フランク王国意識は各国諸侯や貴族をまとめるには都合がいいだろうからね。そのカードをみすみす捨てるつもりは無いだろう」

双頭の鷲は旧東フランク王国の紋章であり、デザインや色こそ異なれど多くの旧東フランク貴族が使用している。ゲオルグ1世の真意は旧東フランク貴族的なものの否定であるとヘンリーは考えているが、それをそのままストレートに出す事は無いだろう。

「ゲルマニア-『ゲルマン人の国』と名乗っているのは平民対策だろう」

ゲルマン人は旧東フランク王国崩壊のきっかけとなった民族。赤髪に褐色の肌の彼らはその武勇によって王国内で出世し、一部は貴族となったが、それが国内に亀裂を生み王国崩壊(2998)の原因となった。王国崩壊以降ゲルマン人は長きに渡り白い目で見られ、排斥されることになる。そうした環境が「ゲルマン民族主義」というゲルマン人としての国を持ちたいという政治主張に繋がった。しかし「ゲルマン人」と「それ以外の民族」で分けるような程度の低い民族主義をゲオルグ1世が考えているはずが無い。王国崩壊から早4000年。旧東フランク諸国の平民ではむしろゲルマン人の血を引いていない者の方が珍しい。ではゲルマン民族主義に頼らないとして「ゲルマン人の国」を名乗る理由は何か。

「これまで幾多の王が東フランク最高を目指して失敗してきた。結局それはハノーヴァー王国やザクセン王国などの自己の拡大に過ぎなかったからだともいえるが、やはり平民と貴族の意識の差だろう」
「平民が?」

てっきり経済的利害の対立や政治統合のプロセスの失敗を上げると想像していたキャサリンは、予想外の答えに首を傾げた。その態度に溜飲を下げたヘンリーは「あくまで私の考えだ」と断った上で述べる。その口調はまるで歴史学者のようだ。

「民草というものはおそろしいほど冷静で客観的なものだ。旧東フランク王国の再興というものに貴族や諸侯のロマン的な懐古主義や憧れがあることを見透かしている。そしてそんなものは何一つ自分たちの生活の役に立たないこともね。いくら貴族が強いからといって、その下で働き納税する平民が冷めていてはたとえ統一国家や連合王国をつくったところでうまく機能するはずがない。表向き「ザクセンの覇権に反対する」という諸侯のほうがやりやすかったかもね」

貴族と平民の乗り越えがたい意識の差。同じく旧東フランクの統一を目指すゲルマニアにとっても決して平坦な道のりではないのだろう。しかしかつてのザクセンやハノーヴァーのように深刻な意識の格差に悩む事は避けられるかもしれない。貴族達の旧フランク王国へのロマン的な憧れとは無縁でむしろ冷めている平民達も、自分達にもその血が流れる「ゲルマン人の国」であれば、自分たちの事として考える可能性は在る。

「貴族諸侯対策としての『双頭の鷲』に、平民達への『ゲルマニア』。上と下からの統一だな。旧いものと新しいものを融合させることは想像以上に困難だろうが、ゲオルグ1世ならやってのけるかもしれない」

いわば新たなナショナリズムをつくりだそうという、とてつもない壮大な話だ。誰それの臣下、誰それの領民ではなく「ゲルマニア王国(帝政ゲルマニア)の国民」という意識を、貴族・平民問わずに植えつけようというのだから。ここまではあくまでヘンリーの過程の話だが、あながち外れてもいまい。ヘンリーのゲオルグ1世観には賛成しないキャサリンも、これには納得したようだ。しかしすぐさま別の問題点を突いてくる。


「人は浪漫やナショナリズムで生きるわけではないのよ。パンを食べてワインを飲んでこそ、人間らしい生活が出来るの」

その言葉にあからさまにげんなりとした表情を見せるヘンリー。

「これだから女は」
「その女がいなければ何も出来ない男が偉そうな事言うものじゃないわ」

「悔しかったら子供産んでみなさい」というキャサリンに言葉を詰まらせるヘンリー。前世で妻の出産に立会い、その壮絶さに気を失って散々馬鹿にされて以来、ますます頭が上がらなくなった事を思い出したからだ。分が悪いと話題を元に戻すためにわざとらしく咳き込む。


「ウィンドボナ通商関税同盟が出来ただろう。おそらくまずは周辺国を経済的に囲い込むつもりだ。カザリン義姉さん(王妃)の母国であるダルリアダ大公国なんか国をあげて親ゲルマニアだよ。フォン・ツェルプストー侯爵家がゲルマニア王国に忠誠を誓ったのも、関税同盟によって特産の武具が周辺国で売れなくなったからだ」

歴史的に排斥されたゲルマン人の多くはブリミル教で敬遠される金融業に積極的に進出している。ゲルマン人に限ったことではないが、金融業者や経済界は関税同盟へ加わるようにと諸侯や王家に圧力をかけるだろう。今はゲルマニアと周辺4カ国(ダルリアダ大公国・トリエント公国・バイエルン王国・ヴュルテンベルク王国)だけだが、いずれは拡大すると見ていい。実際すでに近隣諸国の経済発展を目の当たりにしたベーメン王国の南西諸侯が老女王エリザベート8世に関税同盟に加わるべきであると突き上げているという。しかしそうした動きよりもヘンリーには北部都市同盟の沈黙が薄気味悪いものに見えていたが。

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(ブリミル暦6214年の旧東フランク王国領と周辺諸国)



                          ボンメルン大公国
               北
              部
             都
            市            ザクセン王国
           同
          盟
              ハノーヴァー王国

    トリステイン王国                 ベーメン王国

                            
              ゲルマニア王国

            ヴュルテンベルク王国          バイエルン王国
                     ダルリアダ大公国
                 トリエント公国
ガ リ ア

              (サヴォイア王国)
                  ロマリア

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「ラグドリアン戦争でガリアの勝利と見てハノーヴァー議会に手を回して、無理やり厳正中立にさせたから。謹慎中ってことじゃないの?」
「あの経済同盟がそんな生易しいタマかね」
「大博打に負けたってことでしょ。もう一度博打を打つにはまず負けた分の借金を返さなきゃ。それとも真面目に稼ぐのが一番だと気が付いたんじゃないの。それに今は北部都市同盟の話じゃないでしょ」

夫の尻を叩いて話をゲルマニアに戻させる。話が脱線しやすいところがヘンリーの悪いところだ。


「ゲルマニア王国が旧東フランク諸国を統一するという前提で話すわね。それで、貴方が問題だと思っているのは、ゲルマニアが統一戦争をしかけて、大陸情勢が混乱するのではないかということかしら?」

しばらく視線を宙に泳がせながら考えをめぐらせたヘンリーは「そうだ」と頷く。手が物欲しげに動いている。具体的には煙草とかタバコとかたばことか。それを無視してキャサリンは言った。

「それじゃあ問題ないんじゃないの」
「・・・それはどういう意味だい?」

ヘンリーが酷く無機質な視線で返したが、それを鼻で笑って受け流し肩をすくめるキャサリン。人には「身振りが大げさだ」と言いながら自分だって大概じゃないかという子供じみた考えにヘンリーが囚われるのは、相手か彼女だからだ。

「言葉の通りよ。放っておいても問題は無いってこと」
「みすみす戦争を見過ごせというわけだな」

思いつきで質問をぶつけてきたわけではないようだ。あらかじめヘンリーが直に反論する程度のものへの答えは用意してあったのか、すらすらと答えるキャサリン。

「帝政ゲルマニアが特に混乱してはいなかったはず。何より今は仇敵のはずのトリステインと同盟を組んでレコン・キスタと戦争をするぐらいよ?国外に兵を派遣するだけの余裕があり、なおかつ国内が安定していることの何よりもの証明じゃない」
「それは確かにそうだが、王族を謹慎させていたともあったぞ」
「その程度で済んでいたってことでもあるんじゃないの。それに今のように小国分立のまま続いたとして、ジョセフ王が原作と同じ性格になるとするならかえって無能王は喜ぶんじゃなくて?」
「・・・駒が増えるか」

その考えはなかったとヘンリーは腕を組んで唸った。

「仮に貴方のゲルマニアによる旧東フランク統一を阻止したとしましょう。その場合、小説内でのアルビオン、トリステイン、ロマリアに帝政ゲルマニアという4強からゲルマニアが抜けるわけでしょ。3強とその他大勢ってことね」

「いや、一強とその大勢だ」

帝政ゲルマニアとガリア、その間のトリステインと浮遊大陸アルビオン。アルビオンとトリステインは王子を婿入りさせるくらいだから半ば同盟関係にある。しかしガリアが、無能王がその気になればトリステインはどうにでもなる。それを防いでいたのが帝政ゲルマニアというわけか。多少強権的ではあれ国内をまとめた帝政ゲルマニアがあるからこそ、無能王もそう簡単には水の国に手を出すことができなかった・・・

それが今のような分裂状態のままならどうなる?ハノーヴァーやヴェルデンベルグなどを巻き込めばあっという間にトリステインは袋の中の鼠。「ラグドリアン戦争再び」だ。トリステインだけではない。無能王の気まぐれ如何によれば旧東フランク諸国は麻のように入り乱れ、王国崩壊直後のような戦国時代に逆戻りする可能性だってある。一強(ガリア)とその他大勢だからこそそれが出来る。

「無能王の選択肢が増えるわけだから、それこそ貴方、小説以上の混乱と戦乱が起きる可能性だってあるわよ。権力と金のある暇人ほど手に負えないものはないわ」
「・・・君を女にしておくのは勿体ないな」
「褒めても何も出ないわよ・・・それで『アルビオンの王族』である貴方はどう考えるわけ?」

挑発するように言うキャサリンに、ヘンリーの中でむくむくと負けず嫌いの根っこが顔を出し始める。われながら単純だなと思わないでもないが、こうして彼女に煽られているような感覚は嫌いではない。


「キャサリン。君の意見は確かに正しい。そしてその懸念はもっともだ。しかし君の話の前提はすべて結果論だ」

「ええ、そうよ」とうなずくキャサリン。

「あくまで小説での帝政ゲルマニアを前提にしている。しかし僕はそう簡単に帝政ゲルマニアが出来るとは思えないんだ」
「でも貴方はさっき言ってたじゃない。ゲルマニア王国は」
「ゲルマニア王国がこれまでとは違ってその可能性が高いことは認める。しかしそれとはまた別の話だよ。現状の旧東フランク地域を見るにつけ、今のままではどう考えても相当の血が流れなければ統一など出来るものではない。それに小説通りに国内が落ち着くという保証はどこにも存在しない」

ヘンリーは別に平和主義者というわけではない。一発や二発のどでかい花火で旧東フランクがまとまるというのなら、それはそれでいいかとも考えている。しかし旧東フランクの現状はとてもそうした雰囲気ではない。仮に戦争に勝ったところで戦後処理がまずければ旧ユーゴのように泥沼の内戦。当事者同士が交渉能力を失うという最悪の事態だってありえる。ヘンリーはそれを恐れていた。

プロイセン王国の前には二つの敵役があった。同じドイツ人が多数を占めるオーストリア帝国と、ナポレオン3世のフランス帝国だ。ビスマルクは普墺戦争でオーストリアと反プロイセン諸国というプロイセン主導のドイツ統一反対派を叩き潰し、ナポレオン3世を挑発して向こうから手を出させるように仕向けて悪役に仕立て上げ、国内の統一ドイツのナショナリズムをあおり普仏戦争の勝利でドイツを完全にひとつに纏め上げた。

「オーストリアの役回りを果たすのはザクセンか、ベーメンだろう。この2国は間違いなくゲルマニアの覇権を許さない。ナポレオン3世の狂言役を務めるのはガリアか、トリステインか。旧東フランクの新教徒を快く思わない宗教庁だっていざとなれば何をするかわからない」
「でも帝政ゲルマニアをロマリアは認めていたんでしょ。結局はそれで落ち着いたんじゃ」
「それは小説の話だ。そのとおりになるという保障はどこにもない。そして大陸の混乱はアルビオンにとっても人事ではない」


ヘンリーはそう言いながら心の中で自分の気の小ささを笑っていた。普段は言わずもがなのことをいいあれだけ大口をたたくのに、その内実は些細なことにこだわるばかりの嫌な男。小舅根性がしみついている。木を見て森を見ず、移り気で小心な大間抜け。キャサリンは違う。活発で聡明な見た目のまま、竹を割ったような気持ちのいい性格で誰にも好かれた。前世で一時期彼女と距離を置いたのは、彼女のまぶしさに耐え切れなくなったからだ。ヘンリーは妻の顔を見ながらつらつらと考えたことを意識の隅に追いやった。


「帝政ゲルマニアの建国を阻むにしろ、阻まないにしろ手は打っておく必要がある。ゲルマニアが強引な軍事行動を起こすのであれば、それを使って双頭の鷲を牽制することが出来る。何もしなければ口先に終わってしまうからね。カードは多ければ多いほどいい」

そう語るヘンリーの顔を見ながら、キャサリンは今は亡きスラックトン侯爵の言葉を思い出していた。選択肢を増やすことはいいが、それがどちらつかずの中途半端に終わる危険性を秘めている。

この人はそれをわかっているのだろうか。

切り捨てられる覚悟はあるのだろうか。そして切り捨てる覚悟も。


「まぁ、なるようにしかならんさ。でもやるだけのことはやってやる。最初からすべてが決まっているなんて運命論を嘯くつもりはない。何か行動を起こすからこそ、反応が返ってくるんだ。そうでなければ生きている実感というものがないじゃないか」


気負いも衒いもなくそういってのけたヘンリーの口振りは、どこか前の宰相閣下と似ているようにキャサリンは思った。


***

「距離を置けとおっしゃいましたか?」

叔父の言葉をシェルバーン伯爵はそのまま繰り返した。話の内容からそのような忠告を受けるのではないかと薄々感づいていたが、いつももったいぶった言い回しをする叔父がこうくるとは思わなかった。ランズダウン侯爵は「言葉の通りだ」と軽く目を伏せる。

「君は王子に近すぎる。ロッキンガム首相やヘッセンブルグ伯爵を見てみろ。あれは君と同じ『革新官僚』と言われながらも王子とはほどほどの付き合いをしている。個人的な感情はともかく、過剰に接触する事が仕事に差し支えることをわかっているからだ」

黙り込んだシェルバーン伯爵。その様子は「お門違いだ」と申し入れを拒否したときの王子の表情によく似ている。


ヘンリーの申し入れをランズダウン侯爵は言下に否定した。元々議会と王家は静かな緊張関係にあるのが本来の姿。互いに監視してこそ、両者の暴走を防ぐ事が出来る。確かに根回しは必要だ。何も下準備せずに議会に望めば、一日たりとて円滑に運営できるものではない。しかし今回のヘンリーのそれは余りにも安易に過ぎた。彼が今まで自由気ままに振舞う事が出来たのも、周囲がそれを許容していたのも、ひとえに「王族」という権威あってのもの。シェルバーン伯爵と同じく本人のそれではない。当人としてはいつもの延長線上で自分に頼みごとに来たのだろう。甘えとまでは言わないが、それに似た驕りが言葉の端々に感じられた。それを王子の言動に感じ取ったがゆえランズダウン侯爵はあえて顔を平手打ちするような対応で返した。今のままの王子では、いずれ甥を巻き込んで騒動になりかねないと見たからだ。

『・・・悪かったね。これは確かに無理なお願いだった』

王子は安易に頼もうとした自分が悪かったと視線を伏せた。素直に反省して見せる辺りはまだ見込みがあるということか。しかし性格とはそう簡単に変わるものではない。この甥とて長年の官僚生活で養った無意識に権威に媚びるという癖はなかなか取れないだろう。自覚がない上に個人的にもヘンリー王子とは馬が合うようであるしな。そのことに自分でもよくわからない滑稽さを感じ、湧き上がる笑みを堪えながら侯爵は硬い表情を崩さずに言った。

「伯爵は財務大臣として何をしたい」

「税制改革です。物納から金納への切り替えと、ギルドや商会ごとに徴収している売上税や所得税を個別の業者・商会ごとに徴収したいと考えています」

どちらも長年の財務省の懸案だ。農村部で農作業に従事する平民からは収穫作物を物納でおさめさせているが、これでは毎年の出来高で税収に差が出る。豊作の年はいいが、不作の年の税収減に頭を悩ませたのは一度や二度ではない。売上税は間にギルドや商会が入ることからその不確実性と中抜きが問題となっている。

「共に税収を安定させることが目的です。税収の見込みを立てることが出来ればそれに応じて予算案をつくる事が出来ます。軍事費も含めた全面的な予算制度への移行による財政の透明化と健全化。これが私がやりたいことです」

シェルバーン伯爵の答えに満足げにうなずくランズダウン侯爵。目的意識がはっきり定まっているのなら話は早い。

「ならばなおの事だ。君は政治的立場に注意しなければならない。今財務省が進めている領地の再編にしても、そのためには内務省の協力が必要不可欠。内務省だけではない。産業政策を担当する商工省、軍事費なら空軍省に陸軍省。宮中予算なら王政庁。すべての協力を得なければならない」

一瞬眉をひそめた甥に、侯爵はすばやく釘を刺す。

「妥協しろといっているわけではない。前向きに、少なくとも話を聞いてもらえるだけの環境づくりをする必要があるといっているのだ。そしてそれは財務大臣である君の仕事。しかしここでヘンリー王子とその一派であるとされる『革新官僚』に君が含まれるとどうなる?」

話を聞く以前からそれを拒否する輩が出ることはシェルバーン伯爵にも想像出来た。同時にこれが「政治家」という人種のものの考え方なのかとシェルバーン伯爵はこの叔父に身内の情や尊敬とは違う畏怖の念を覚えた。

「直接話すばかりが付き合いではあるまい。手紙なり使いなり、それこそ使い魔なりで話せばいいではないか」
「確かに、その通りです」

しかしシェルバーン伯爵は、叔父のこの言葉にだけは素直にうなずけなかった。アルビオンどころかハルケギニア全体を俯瞰し、気の遠くなるような未来を語る王子に驚かされたことは数え切れない。古くは専売所、王子に始めて会った時に語られた領地再編にしても、ゲルマニアにしてもそうだ。自分に人を見る目があるとは言わないが、あのヘンリー王子の器だけはうかがい知ることすら適わない。それでも王子と話している間だけは、彼と同じ高みに立つことが出来た。その歓喜にも似た心の震える感覚は何物にも変えがたい。直接あって話したいことはまだまだあるのだ。


言葉とは裏腹に納得していない表情をする甥に、ランズダウン侯爵は三度釘を刺した。

「ヘンリー殿下のためを思うからこそだぞ。何も付き合いをやめろといっているわけではない。合う回数を減らせといっているだけだ。くだらない嫉妬ややっかみで王子を政治的に追い詰めたいならそれでいいが」
「それは困ります」

先ほどとは違い即座に答えた甥に、いい加減抑えるものも馬鹿馬鹿しくなりランズダウン侯爵は口元を緩めた。

「焦る事はないのだ。ゆっくりとじっくりと、しかし確実に目の前の事を片付けていればいい。背後と足元に気をつけてな」
「背後と足元ですか」
「上に上れば上るほど、階段の下のことには疎くなるものだ・・・程々にしておけよ。国王陛下ならともかく王弟への義理はないのだからな」


身内としての忠告に、シェルバーン財務大臣は剃り上げた頭を右手でなでながら重々しくうなずいた。











「ザブトンって、何・・・」



ミリーは見た事も聞いた事もない「ザブトン」とやらを捜し求め、ハヴィランド宮殿の中をさ迷っていた。


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