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No.15817の一覧
[0] 【習作】魔術師、還る(銀英伝 逆行)[斗星](2010/01/24 18:13)
[1] プロローグ 『魔術師還る、ただし士官学校に』[斗星](2010/01/27 17:51)
[2] 第一話 『魔術師、いきなり落第危機』[斗星](2010/01/27 17:50)
[3] 第二話 『魔術師、やる気を出す』[斗星](2010/01/27 17:50)
[4] 第三話 『魔術師、大いに悩む』[斗星](2010/01/27 17:49)
[5] 閑話その1 『目覚めよ、ワイドボーン!』[斗星](2010/01/27 17:49)
[6] 第四話 『魔術師、決断の日』[斗星](2010/01/27 17:56)
[7] 第五話 『魔術師、友を巻き込む』[斗星](2010/01/31 11:45)
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[15817] プロローグ 『魔術師還る、ただし士官学校に』
Name: 斗星◆52051aa0 ID:876a2a6f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/01/27 17:51
大神オーディンが存在するとするのなら、
それは非常に戦が好きな神といえるであろう。




プロローグ 『魔術師還る、ただし士官学校に』




宇宙暦800年。新帝国暦2年。

二つの勢力にほぼ同時に現われた戦争の天才同士の戦いは、
戦場とは異なる場所で一つの結末を迎えようとしていた。

”不敗の魔術師” ヤン・ウェンリー
民主主義の象徴とも言えるその人は、
巡航艦レダⅡにおいて、その生涯を閉じようとしていた。

テロリストの凶弾によって腿の動脈を打ち抜かれた彼は、
流れ出る血液と共に朦朧とする意識の中で、
彼は自分が助かることは無いことを何とはなしに実感していた。

「ごめん、フレデリカ・・・ごめん、ユリアン・・・ごめん、みんな・・・」

彼が最後に口にした言葉は謝罪であった。
決して彼に落ち度が有ったわけではないのだが、
残された者達のことを思うと、謝罪せずには居られないのであった・・・

そしてその言葉を最後に彼は目を瞑り、意識を手放そうとした。

・・・


ふと、ヤンは自分の身体が軽くなった事に気づく。

抜けていく血液の量と反比例して重くなった身体が
今は嘘の様に軽いのだ。

まるで重力を感じないかのように。


そのおかしな感覚に耐え切れず、ヤンは目を見開くのだが、
そこで目にした物は・・・

壁を背に血の海に座り込む自身の姿であった。


・・・

『まいったね、まさか幽霊なんて非科学的なものに自分がなるとは・・・』

ヤンは現状を理解して考え込むが、
事態は彼に時間を与えずに物語を進めていく

つい先ほどまで自分自身であったものの傍らに、
彼の被保護者たる少年が到着したのであった。

「ヤン提督・・・?」

『ユリアン・・・』

彼はその後の光景に目を反らせたかったものの、
残されたもの達へ対する謝罪感から
逃げては行けないと思い踏みとどまる。

「赦してください、赦してください。ぼくは役立たずだ。
一番肝心なときに提督のお役に立てなかった・・・」

ヤンはそんな事は無いとユリアンに伝えたかったが、
質量を無くした彼の手はけっして正者に触れることは適わなかった。

・・・

ヤン・ウェンリーの魂はそれをただ傍観する事しか適わなく
展開は彼により一層の謝罪感を与えるだけであった。

泣き崩れる彼の妻の姿を見た時、その思いは最高潮に達していた。

『あぁ、こんな光景を見るくらいなら死ぬんじゃなかったな。
もっとも、死にたくてしんだわけでは無いんだけどね。』

申し訳無さから頭を掻き毟るヤンだが、残された者達はそれではすまない。

ヤンの亡き後、彼らはフレデリカとユリアンを旗手として
ささやかながら民主共和制の灯を消さない道を選ぶのだから。


やがて、そんなユリアンの光景を眺めるうちにヤンの意識は次第に暗転していった。
何とはなしに『これが成仏するってことかな』などと考えていたが、
暗転する意識の中でヤンは何者かの声を聞く。



それは果たしてうつつか幻か・・・




・・・

「不敗の魔術師が破れるは常勝の天才に非ずか・・・」

「だが、もしここで彼が死ななかったとしても果たして、
 最終的に勝つのはどちらとなったことか?」

「何分にも片方に対して圧倒的に有利な条件が揃っていたのは違いない。」

「今一度この二人の対決を見てみたいものよのう。次は対等の条件で・・・」

「は、オーディン様」


・・・


「先輩・・・ヤン先輩!おきて下さいよ!!」

「なんだよアッテンボロー・・・今起こしたら上官反逆罪にするぞ・・・」

「何馬鹿なこと言ってるんですか先輩!
 早く起きないとあのジャガイモ野郎に見つかりますよ?」

「いいからもう少し・・・って、ここは何所だ!?」

聞きなれた声に安心して二度寝使用としていたヤンだが、直前までの自分の状況を思い返して飛び起きる。

「ヤン先輩・・・まだ寝ぼけてるんですか?」

傍らに立っているのは彼のよく知る後輩のアッテンボローだが、
その格好に違和感を感じた。

そう、それは・・・

「ところで何で士官学校の制服なんて着てるんだい?」

その質問に不思議な顔をするアッテンボローだが、
彼の先輩がまだ寝ぼけてるのかと思い皮肉を返すのだった

「そりゃ今日が平日で学校があるからに決まってるでしょう。
 私服じゃ怒られますしね」

ヤンは会話が噛み合わない事に対して、背中に冷たい物を感じながらも、
その脳を必死に動かして現状を理解しようとする。

ふと、彼の手元に新聞がある事に気付く。
先ほどまで眠っていた彼の顔にかけられていたものであったが・・・


その日付を見て彼は過去最大級の驚きを得ることとなる。


宇宙暦785年×月○日


『・・・こいつはいったいどうしたって言うんだ?
 まさか過去に戻ってきたなんて馬鹿な事を言うんじゃないだろうな・・・』

この日、魔術師は無事に帰還した。

ただし、彼の愛する家族や仲間達の元ではなく、
今や彼の記憶の中で思い出となっていたハイネセン士官学校の日々に・・・


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