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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 彼の戦場だな第64話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:c31caead 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/01/26 13:43
彼の戦場だな第64話


眼前の白鎧はそう叫ぶと、その二対の大きな剣を鋭く構え、
低い姿勢から、一気に飛び掛るように私に飛び掛ってくる。
しかし、私も彼女達の一番の姉として・・・、お嬢様に名を連ねる者達の長子として、引くわけには行かない。
それに、片方の鎖は切れたとはいえ、もう片方の鎖は残り、その鎖を引き上げるためか、白鎧の背後の兵達は徐々に後退している。

「アニエス、私がアレを抑える。
 私がアレを抑えられるだけ抑える・・・。
 その間に、他の姉妹達と共に鎖を切りて門をわれ!」

そう私が声を掛けると、アニエスは念話でただ一言『御武運』そう言い残し、

「行くぞ、姉妹達!」

そう声を上げ、砦への道を残った兵達を殺しながら駆けていく。
その様を、鍔迫り合いでがっぷりと組んだ白鎧は見ているのか、見ていないのか、そのフェイスガードで視線は解らないが、
それでも、今あの砦から駆け出してきて、こうして組んでいる者は雑兵とは思えないほどの、気迫をもっている。

「良いのか白鎧、お前の部下が物言わぬ死体に成り果てるぞ!」

そう、言葉を発すれば白鎧は苦虫を噛み潰したような声で、

「チッ、目障りな白髪だ。
 キサマは何故その姿をしている!」

そう叫びながら、組んでいた剣を大きく跳ね上げ、そのまま剣の柄で両の鎖骨を砕こうと振り下ろしてくる。
確かに、この近い間合いでそうされれば、コチラに出来るのは下がるか受け止めるかぐらいだ。
だが、こいつを抑えるのに、下がる事が有効かと問われれば答えはNO。
故に、私はコイツの剣を受け止めて跳ね上げる!!!

「そんな細腕で止めれるかよ!!」

「やってみろ!!」

そう声を荒げた瞬間、

グァキン!!!!!!!

そう、耳を引き裂くほど鉄と鉄の打ち合わされた音が響く。
そして、その衝撃で私の全身が軋みあがる。
クッ、体はまだなんとか動きそうだが、間接がヤバイ。
だが、それを気取られる気も無い!!

「ハッ!!」

そう気合を入れて、二本の剣を跳ね上げようとするが、

(跳ね上がらない!?
 そんなバカな、たかだか剣2本を跳ね上げる事ができない!?)

そう焦るものの、その剣は一切動かず眼前の白鎧はその焦りさえ見越したかのように、

「非力だな・・・、俺はお前に用はない。
 更に言えばお前の姉妹にも、砦の兵が皆殺しになろうが知った事じゃねぇ。
 だがな・・・・。」

そう一旦言葉を切ると同時に、上からかかる力が増し堪らず形膝をつく。

「弟だけは死なせたくねぇんだよ・・・。
 だから・・・・・・・・・・・、言えよ。」

その一言で、更に力が加わる。
軋みあがった間接は耐久力の限界か、ギチギチと音が上がりペキリペキリと砕けるような音がする。
いや、ペキリペキリは私の可動限界か。

「お前に似た白髪の娘は何処だ。
 俺が止めをさし損ねたあの娘はいったいどこだ!!!!」

その言葉にドロリと胸の中に怒りがわく。

「キサマが涙の原因か!!」

動かない体を尚も無理やり動かし、見っとも無くとも今受け止めていた剣を後ろに転がってよける。
見栄えなど関係ない、屈辱など化粧と変わらない、汚名など返上せず、むしろ進んで受け取ってくれる。
目の前の白鎧を倒すためならば、今のこの体砕けようとも!

「お前のせいで今の私達はこの様だ!!
 今のお前のせいで、私達はこうして今ここにいる!!」

そう叫びながら白鎧に縦横斜め、袈裟切りに切り上げ、刺突に切り裂き、
華麗さなど無く、技も業も技術さえ要らない殺すための作業。
しかし、歯痒い事にどれ1つ中らず、体は悲鳴を上げ続け動きは鈍り続ける。
だが、この男を私は許せない!!
そう思い、自らの剣の唸りを上げさせ、一刀両断しようと大きく剣を振り上げた時、

「お前に用はない・・・。
 静かに眠れ哀れな娘。この騎士団の長、アーチェが首を貰う。」

そう、静かに声をかけながら、白鎧が左の剣が煌く。
大きく振り上げた剣は後は振り下ろせば良い。
なら、それは片手でも出来る。
殺す事はできずとも、逸し報いる事はできる!!

「首はやらん!!!
 代わりに腕を持って逝け!!」

そう叫びながら、左から来る白刃の前に左手を出し、受け止めた瞬間から腕がひしゃげてズタズタになっていく。
しかし、剣の速度は緩まず、二の腕までに達している。
だが、私の剣ももう振り下ろされている!
相手の剣は1本のこっているが、それでも・・・、それでもその一本をこえて見せる!

剣は空を切り、速度は最高潮。
唸りに唸りをあげる剣は、もうじき男の頭をかち割る。
さぁ死ね、今死ね、逝きの駄賃に私の体もくれてやる、だから死ね!!
瞬き1つの間に相手の首を落とせる。

「何もいらん。」

その静かな声を、一瞬私は誰のモノか考え付く事ができなかった。
白鎧のフェイスガードの奥の瞳が一瞬ボゥっと輝いたとき、私はその声の持ち主が目の前の男だと知った。
そして、今まで動かなかった右手が、重々しくも軽やかに動き出す。
あと数秒、それだけの時間さえあれば良い。
それだけの時間さえ何事も無く進めば、私の今している事の意義が出来る。
だが・・・、たったそれだけの時間さえ、私には頂けなかった。

白鎧は私を切り裂いていた剣をピタリと止めると、まるで巻き戻すかのように同じ軌道で剣を抜き、
すかさず、残された剣を下から閃光の様な速度で切り上げる。
剣の合わさる音はしない。
振りぬいた手に、剣を持っている感覚は伝わってこない。
いや、剣を持っていた手自身が手首より先に無い。
あぁ、目の前の白鎧は私の手首から先を切り飛ばしたのか・・・。

そう考えた後、急激に思考が白くなる。
ガン!何かを叩きつける音がやけに耳元から響いてくる。
空がやけに綺麗に見える。
寒々しかった背中に今は硬い物の感覚がある。
あぁ、なるほど・・・、今は私は踏み倒されているのか。



「お姉様あぁぁぁぁぁぁぁ・・・!!!!!!!」

そう、援護射撃を行っていたソニアが悲痛な声を上げる。
その声で、彼女の姉、ィ・アリスがただ事ではない事が解る。

「お姉さま。」

そう、私の妹であるステラが私に声をかけてくる。
陣は前進し、橋の近くまで来ているがそのせいで焦りが出る。
選抜の切り込み隊は二分化し、アニエス砦内で戦い橋の上には的戦力1。
しかし、その1が凶暴すぎる。

私達が非力とは言わない。
しかし、それでも私達の中で、一番に戦闘に長けた彼女が倒されるという事は、
実質的に私達は接近戦で戦っては、あの白いヤツに勝てない事を意味する。
しかし、なら遠距離ならどうなのか。

「ステラ、貴女はここを離れないで。
 ソニア、一斉放火!!!
 あの白いのを落として!」

「言われなくとも!!!!」

その声と共に、ソニアの周りにありとあらゆる武器庫に詰まっていた重火器が出現する。
そして、それをかたっぱしから手にとっては射撃し、他の姉妹達も一転を目指して狙撃している。

「倒れてよ、倒れなさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・!!!!!」

そう、ソニアの声が辺りに木霊する。
だが逆を言えば、まだそれは敵が倒れていない事を指し示す。

「ソニア!ダメージはあるのか!!」

そう声を掛けると、ソニアはパイルバンカーから杭を打ち出しながら、

「あります・・・、きっとあります!!!
 だから私のお姉さまから、その汚い足をどけろ!!!!」

そう、希望的観測を叫ぶソニア。
やっている事は解らないでもない。
だが、

「狙撃を中止、敵の動きを見る。
 ・・・、ソニア止めろ。」

そう声を掛けるが、ソニアは止める気配が無い。
その事に苛立ちを覚える。

「止めろ!!!」

その、私の怒声に一瞬ソニアの引き金の指は緩むが、
しかし、今度は銃口が私に向く。

「何のまねだ。」

「それは私の台詞!
 ポーラン、何故攻撃を止めさせるの!!!
 いまあそこには、私の・・・、私だけの頼れるお姉さまがいるのよ!!!」

ソニアの気持ちはわかる。
だが、ここであの一点のみを集中攻撃すれば、他の姉妹達も危険にさらされる。
砦の弓兵の頭を抑えていたのは、他ならぬソニア達の援護射撃だ。
しかし、その援護が緩んだのを見ると、砦の兵達はまた弓を射ろうと顔を出してきている。
それだけでもうっとおしいのに、切り込んでいる姉妹達と分断され補給がままならないのも痛い。
だが、ここで私が冷静さを失えば全員が聞きにさらされる。

「もういい!!
 援護部隊、あの白鎧に再度集中砲・・・!!!」

そう、ソニアが指揮をとろうとするより早く、白鎧が素早く両の腕を振るい剣の切先が空を切る。
そして、それを私の横で見ていたステラが焦るように、

「目標より高速でコチラに接近するものを感知!!」

「チッ、問答は後!!
 散開!!!」

そう怒声で叫べば、一瞬ビクリとした後に姉妹たちが動き出し、大きく距離を取る。
しかし、ソニアだけはその指示に従わず、構えた銃の銃口を白鎧に向けたまま、

「私を狙うなら狙いなさい、その分お姉さまの時が永らえるのなら!!」

銃の引き金を引き、ひたすらな射撃を開始している。
しかし、今の私があの姉妹を・・・、ソニアを認めるわけにはいかない。
それに、一番最初に放たれたであろうモノは既に森の木々を刈り飛ばしながら、コチラに飛来している。
アレにあたれば、流石にただ事ではすまないし、今ソニアを失うのも痛い。
せめて、後1つ戦力があれば・・・。

「狙撃をするなら足を使って動け!!!
 そこでは狙われる!!!」

そう叫ぶが、一瞬だけ遅い。
既に、ソニアの目の前には見えない刃が迫り、その体を切り裂こうとしている。
そして、その刃を止める手段は、私はおろか他の姉妹達も持っていない。
ここで一人られるのか?いや、何か手は?何か、何かあるんじゃないかやれる事が?
距離が・・・、人が・・・、手段が・・・・!!!!

「だれか・・・、誰かその子を助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

そう叫ぶと同時に、ソニアの居た位置で大きな爆発が起きる。
あぁぁぁぁ・・・、私が、私が頼み込んでこうして姉妹達を外に出したが故に彼女がやられた・・・。
私の指揮がつたないばかりに、あそこに居たソニアが砕かれ、橋の上のィ・アリスが切り裂かれた居る。

「あぁぁぁぁ・・・・・。」

「姉さま・・・。」

膝から崩れ落ちて、自身の不甲斐無さに腹が立つ。
こうしている暇がないのも分かるが、今はこうしていた。
そっと私の方に触れられるソニア手は優しいが、今はその優しさが重い。

「まったく、君たちも無茶をする。」

そんな声が耳に入り、顔をガバット上げるとそこには革の軽鎧に身を包んだ彼が、
二本の槍を揺るぎ無く構え立っていた。

「チャチャゼロさん・・・。」


ーsideディルムッドー


危なくなかったといえば嘘になる。
いや、むしろ今も危ないのかもしれない。
視線の先には白い鎧を守ったヤツが一人、今俺が受け止めた気を撃ってきたのは間違いなくアレだろう。
その白鎧は未だに、その剣をおろす事無くコチラを見ているが、
剣の切先は何時その足モノて倒れているィ・アリスに向くか解らない。
そんな俺の背後から、

「助けてください。」

そう、ペタンと座り込んだソニアが俺に懇願してくる。
きてよかった・・・。
きっと、今俺がここに居る事は間違いじゃない。
今俺の後ろで座り込んでいる彼女のためにも、今あそこで横たわっている彼女のためにも・・・。
そして、今ここに居ない彼女のためにも。

「任せておけ・・・。
 これでも、かつては"英雄"って呼ばれてたんだぜ。」

そう、前半を大きく、後半を小さくつぶやいて自身を奮い立たせて眼前の敵めがけ、
虚空瞬動を使い、それでもあの敵に手が届かないのがもどかしくて槍を投擲する。
そうすれば、白鎧は体を最小限の動きで動かし、槍の射線軸から身をかわす。
その僅かな時間で、白鎧の前にたどり着きそのまま残った槍で、すくい上げるように下から上に槍を突き出すが、
足手はそれを首を振ってかわし、巨大な剣で右から切り払おうとす。

本来なら、この切り払いをバックステップでかわしたい所だが、俺の後ろには、たった今ここに来る前に『助けてください。』と、
そう頼まれた俺の助けたい家族がそこに居る!
だからこそ、俺はその切り払いを槍で受け止め、さっき投擲した槍を手に戻し、奇襲気味に敵の首を穿とうと繰り出す。
そこにきて初めて目の前の敵は動揺を見せ、後ろに飛んで交わそうとするが、空中ならコイツも早々身動きが取れないだろうと、
空中の敵めがけて気を乗せた槍撃を放つが、

「チッ、次から次と面倒が来る。」

そう、言葉を吐き捨て空を駆けて槍をかわした。
しかし、それを見ても俺は驚かない。
既に、瞬動術を使う人間と戦った時から、いずれはこういう敵が出てくると、
いずれは気を使い、瞬動術を駆使する敵が出てくるとそう考えていた。
そして、そのいずれ・・・となって訪れたのだと。

敵は俺から大きく距離を取って橋の上に着地し、一度は以後を振り返った。
それはそうだろう、この敵からすれば早くこの場からはなれ、砦内に進撃している娘達を砦の兵達と挟撃したいのだろうが、
俺がこの場にいる以上、それをさせる気は毛頭無い。

「何処を見ている、双剣使い。」

そう、目の前の敵に槍を構えながら言葉を投げかければ、敵は両腕をだらりとたらし、
剣の切っ先は地面につけたまま、戦意がまったく無いかのようにこちらを振り返り、
まるで、道端で立ち話でもするように。

「ああ、うちの家をな。
 あそこに弟が居るんで、ちっとばかし心配なんだわ。」

「ほぅ、バカに人間臭いな。」

そう返すと、敵は首を振りながら、
いら立ちを隠しもせず、怒気をはらませた声で、

「あぁ、俺は人間だからな。
 弟が心配なんだ、今にも狂っちまいそうで、奇行ばっかり繰り返して、人を食うようなヤツでもな。
 ・・・、なぁ槍のにぃちゃん。あんたも知ってるんだろ、そこに転がってる娘の仲間って事はさ、
 俺の仕留め損ねた白い髪の娘の居場所をよぉ!!!」

そう言って、敵は二本の剣を構えコチラに睨みを利かせてくる。
町を駆けずり回り、ロベルタの行き先を突き止めてここにきた。
理由は・・・、彼女達を護りたかったからだ。
いや・・・、きっと本心で俺は今こうなる事を望んでいたんだろう。
我主を失意のそこに叩き落した者を、自らの手で打ち倒し、突き殺し、抹殺する事を。

敵の構えに答えるように、俺も両の手に持った槍を構える。
武器を持った手では人を助け起こす事はできない。
武器を持たなければ大切な人を護れない。
ならば俺は、武器を持つ事を選択する!

「あぁ、よく、よぉく知ってるさ。
 何せお前が探しているのは、俺の大切で愛おしい主なのだからなぁ!!」

そう叫びながら、瞬動で一気に距離をつめようと踏み出せば、

「ならばその主を呼べぇぇぇ!!」

そう、叫びながら敵も瞬動で距離をつめ、
槍の穂先と剣の切っ先が交わった瞬間にはお互いとも、即座に獲物を引きながら、
俺は嵐のように激しく鋭い突きを乱れ打ち、敵もその二本の剣で突きを弾き、或いは受け流し姿勢を低くして足をすくおうとするが、
俺はそれを跳ねてかわし、相手の頭を穿たんと頭上から槍を繰り出す。

しかし、敵も然る者、その一撃を剣で切り払い、残った1本の剣で空中の俺を追撃しようとする。
だが、そんな一撃貰うわけが無い。
虚空手運動を使い、無理やりかわすと、敵も俺を追うように地を蹴り上に上がってくる。
それでいい、そうして俺を標的にすればいい。
コイツの弟が、何かよからぬものだというのは解ったが、それならコイツを殺してからソイツを殺しにいけばいい。

「空はどうだ双剣使い、見晴らしがいいだろう!!」

「チッ!!」

俺が声を掛ければ、敵が舌打ちで答える。
当然だろう、空中に居るという事は、俺の仲間達のいい的になると言うことだ。
現に、敵に向かっていくつもの閃光が放たれている。
その閃光に、例えどんなに小さなダメージしかなくとも、それで動きが制限されるなら、それに越した事は無い。
そして、そんな隙ができれば俺が見逃すわけが無い!!

「どうした!動きが鈍っているぞ!」

「小娘どもの手を借りて何を粋がる!?」

そう、敵は俺に言葉を投げつけてくる。
だが、

「同じ志を持ち、同じ事を願い武器を取る者がいる。
 その者達が結託して事を成し遂げる事をお前は否定するか?
 もし、そうするというのなら、今の戦場にお前の味方は誰一人いなくなる!」

そう叫びながら敵の脇をすり抜け、懐にもぐりこみ左右の剣を槍で押さえ込み、みぞおちめがけて気で強化した渾身の蹴りを放つ。
そうすれば、敵も流石にかわす事ができず、砦の方に吹っ飛んで行き、俺もそれを追うために虚空瞬動で追う。


ーside砦内ー


「た、大変ですシーナさん!!
 黒い服の娘達が、砦内の広場まで入ってきました!!」

そう、僕の前になだれ込んで来たのは、確かこの砦の防衛隊長だった人。
でも可笑しいなぁ、防衛するはずの人が僕の所に飛び込んでくるなんて。
でもまぁ、

「いいんじゃないの?
 入ってきたなら扉を閉めて、手厚く歓迎してあげなきゃね。
 それこそ骨の真まで蕩ける様な、熱い厚い歓迎を・・・、ね。」

「え・・・、あ・・・・。」

どうしたのかな隊長さん、僕の言ったことが聞こえなかったのかな、変な顔して固まってるけど。
でも、ちゃんと聞こえるぐらいの声では言ったと思うんだけどなぁ。

「いや、シーナさん!
 歓迎とかじゃなくてですね、べらぼうに腕の立つ娘達が、
 俺達を皆殺しにしそうな勢いで来てるっていうのにそんなのんきな!」

そう、隊長さんは叫んでくるけど、窓から顔を出して見た限りじゃあ、
あの娘さ達はそんなに長く動けなさそうだし、アーチェも時期に帰ってくるし、
うん、やっぱり焦る事なんて無いや。

「いいよ、焦らなくて。
 どうせこの世はことも無し、そうあれかしと叫んで切りかかれば、
 するりとひらきの出来上がり・ってね。
 動けない娘さん達を、ひらきにしても楽しくは無いだろうなぁ、でも、食べてしまえば一緒かな。」

ふふ、つまみ食いははしたないし、今いる娘さん達もそんなに美味しそうじゃない。
やっぱり、前菜にしてメインディッシュはあの白い髪の娘さんしかいないなかな。

「シーナさん、あんたの言うこと信じていいんですね?」

そう、隊長さんが僕に聞いてくるけど、さぁ、その判断は僕にはつかないかな。
だから、

「好きにするといいよ。
 娘さん達が入りきったら、門を閉めて閂掛けて全員総出でお出迎えっていうのもいいし、
 それとも、意表をついて皆で白旗でも振ってみようか?
 多分、結末は赤旗振ることになると思うけどね。」

「あ、赤旗ですか?」

そう、隊長さんが聞き返してくるけど、彼は忘れちゃったのかな一番最初に娘さん達が宣言した事を。

「あの子達は僕達を殲滅・・するために来たんだよ?
 ふふふ、頑張って守ってね防衛隊長さん。」


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