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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 花畑の出会いだな第58話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:968145c2 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/25 22:56
花畑の出会いだな第58話



寒くどんよりとした冬が過ぎ、季節はもう5月中旬。
夏が近いせいか、最近では半袖でも過ごしやすく、ロングスカートはそのままに、
上は、白の半袖で過ごす事が多くなった。
街の様子は、戦からの復興目覚しく、色々な店が乱立して賑わっている。
ちなみに、その中でもローエン商会は、並み居る商会を差し置いて、町のほぼトップといってもいいほどに繁盛していて、
ライアは毎日ホクホク顔で、指どころか顔までインクで汚している。

ちなみに、ウチの仕立て屋も波に乗り、街では一番と言われていているが、
店に来る客の割合が、男8割女2割と言うのを見ると、なんだか看板娘で売れた感があるのも否めない。
まぁ、この時代の商売はツラと腕と噂が揃えば、どうとでもなるということだろうか?
そんな事を思いながら、エマの所に身を寄せて既に1年半。

ノーラは1人で商品を扱うようになり、ディルムッドロベルタはそんなノーラを補佐。
俺の方はエマと2人で、商品を扱う事が増えた。
もっとも、2人で作業しても言葉は少なく、お互いに2人での空気を楽しんでいるという感があるが、
それでも、最近はお互いに笑顔が増え、緩やかな時というモノを味わっている。

「お嬢様、その糸の色はこの服には合わないのでは?」

「私としては、黒には赤か濃紺、もしくは白がいいと思うが?」

そう言いあいながら、今仕立てている服に使う糸の色を2人で模索している。
仕立てている服は、とある貴族から依頼のあった燕尾服。
ほとんどの物は完成しているが、最後の上着に使う糸で言いあっている。

ちなみに、襟や袖を金糸で縁取りし、襟元に紅い薔薇の刺繍注文をつけられたので、
そこそこ金持ちの貴族からの依頼だと思う。
ただ、薔薇戦争に巻き込まれないかと言う、不安はある訳だがなんとも。
まぁ、紅い薔薇ならランスターで勝利だから、問題ない訳だが。

「あんまり派手じゃない方がいいと思うが?」

「いえいえお嬢様。貴族の方はなんだかんだで派手好きですよ。
 既に、金糸の縁取りがそれを物語っています。」

そういって、エマは金糸で豪奢に仕立てた襟や袖を見せてくる。
何と言うか、シンプルな方が好きな俺から言わせると、

「悪趣味な成金にしか見えんな。
 どうせ豪華にするなら、良い生地の漆黒の燕尾服に、
 大粒のルビーのブローチでワンポイントの方が品がいい。」

そう言うと、エマは口元に軽く手を添えて微笑みながら、

「確かに、作った私が言うのもなんですが悪趣味ですね。」

そういって、お互いの顔を見て微笑みを交わす。
そうすると、エマがそろそろお茶にしましょうと言い、
紅茶とお菓子をトレーに入れて持ってきて、2人で静かな午後を過ごす。
町の通りに面したこの店なのに、今は町の喧騒さえ遠く感じる。

特に喋る事もなく、紅茶の渋みのある香りと、お菓子の甘い香りを楽しみ、
スッと吹く風を感じ開かれた窓の方を見ると、そこにあるのは暖かな日差しと、
行きかう人のシルエットを写す、風に揺れる白いカーテン。
そんな静かな空間で、エマがふと口を開き、

「お嬢様、冬の日の話を覚えていますか?」

そう、静かに俺に聞いてくる。
冬の日の話し・・・、それは多分、

「ライラックの花畑・・・?」

そう言うと、エマはふわりと皴の刻まれた顔に柔和な笑みを浮かべ、
暖かな湯気の立つカップを両手で持ったまま、

「はい・・・、
 最近店に来た青年に聞いたんです。
 森の中にある湖の近くに、そういった花畑があると。
 宜しければ、散歩がてらに行って見ませんか?」

そう、エマは何処か悪戯っ子の様な顔で俺に話しかける。
その顔の意味は多分1つ、2人でたまには出かけたいと言う事だろう。
ここにきてそれなりにたつが、彼女と2人きりで出かけた記憶はない。
それに、エマからのお願いと言うのも、また珍しい事で、彼女は自分のお願いと言うモノを俺にしてこない。
そんな彼女が、今俺にお願いしている。

「あぁ、午後いっぱい使って、
 たまには店の事を忘れて、ゆっくりのんびりと散歩しよう。」

そう言って、俺が出かける準備をしようと席を立つと、
エマは、自身のエプロンのポケットをごそごそと漁り、

「それと、その場所を教えてくれた青年がこれをお嬢様へと。」

そう言いながら、エマが俺の手に載せたのは小さな麻袋。
何かと思い中を見ると、そこに入っていたのは数十枚の硬貨と下手な字で書かれた手紙。
内容を読んでみると、そこに書かれていたのはたった一言。

『あの時のお金。』

の、その一言だった。
はて・・・、何の時のお金だったか?
だが、まぁいい。そう思い散歩の準備に入り、その日の午後も黄昏に暮れ、
少しお互いに近付いた日々が、これからも続くものと思っていた・・・。


ーsideアーチェー


弟のシーナは出会った時も変だったが、長い戦の後、
2度目の再開をはたした時は、それにわをかけて変になっていた。
それに、変と言えば、そのシーナが連れてきた男・・・、ジュアも変だ。
このジュアと言う男、そこに居るのにそこに居る気がしないし、
シーナ以外が話しかけてもろくに答えず、たまに答えたとしても話が通じたためしがない。

「おいシーナ、また流れ着いたヤツを食ったのか?
 いえ、今回は何処だ、腕か足か、それとも、頭なんて言いだすんじゃないだろうな?」

そう聞くと、シーナはニコニコ開いた顔のまま、肩をすくませて、

「腕だけだよアーチェ。
 それに、これはお仕置きだしね、だよねジュア?」

そう言って、シーナはガリガリと、伸びてもいない指の爪をかじるジュアに話しかける。
そうすれば、シュアはジュアで、

「悪事には鉄槌を!!
 盗み働く者は手を失え!!逃げ惑う者は足を切れ!!
 罪は罰を!!法は鉄が如く硬く、苦味を持つモノだ!!」

そう、今回はまぁ意味の分かる事を叫ぶように話している。
もっとも、これの意味が解るという事は、俺もジュアの妄言に毒されだしたという事かもしれない。
だが、それでもモノにはやっていい事と悪い事があるし、やりすぎも同じ事。

「だからって、腕を千切って食うのはやり過ぎだって何べん言えば分かる?
 まったく、一応俺達は名の売れてる傭兵団の俺が頭で、お前が副長なんだ。」

そう言うと、シーナはキョトンとした顔をした後、ポンと手で手の平を打ち、
ニコニコしながら、

「そう言えばそうだったね。
 何時からそうなったか忘れちゃったけど、そんな事もあったね。
 それだと、ジュアは参謀か何か?」

そう言いながら、シーナはジュアの方を見るが、
ジュアは、ズルズルと体を引きずって何処かへ消えていった。
そんなジュアの姿を二人して見ていると、シーナが今更ながら思い出したかのように、

「あぁ、そうだアーチェ。
 少しお金もらったよ。」

そう言って、シーナも部屋を後にしてどこかへと向かう。
そんなシーナの後姿に、俺が声をかけるとすれば、

「何処へいくか知らないが、あんまり遅くなるなよ。
 兄ちゃんである俺が心配するんだから。」

そう言うと、シーナは笑いながら振り返り、

「うん、そう遅くない時間で帰るよアーチェ。」

そう、出会って今まで一度も俺の事を兄と呼ばないシーナは部屋を後にした。
まぁ、この砦を1人で落とせるシーナが、早々死ぬような事はないんだろうが、
そのシーナの奇行はやはり、盗人の手を切るのが普通の罰だとしても何処か目に余る。
そう思いながら、いつも座る石造りのイスに腰をかければ、鎧の擦れる音が耳に届く。
未だに着続けている鎧は不思議と脱ぐ気が起こらず、白かった巨大な剣は血脈のように赤い線が走っていて、
時折鼓動しているような気さえする。

思えば、俺達はこの砦に来たときから、何処かおかしかったのかもしれない。
戦場を駆け、傷ついてもすぐに傷が治る体を手に入れ、砦を一人で落とせる力を手に入れ、
最初は、戦争を早くなくすための力と思っていたが、今見たいな空いた時間で考えると、
戦場で出会った魔法使いや、悪魔を倒すための力なんじゃないかと思うし、
俺を買い取ったヤツも、確か十字架を提げていた・・・。

「まぁ、俺の足りない頭じゃ考えても無駄か。
 ・・・、それにしても、シーナもジュアも、何処を毎日ほっつき歩いてるんだ?
 たまには様子でも見に行くか。」


ーsideシーナー


「ねぇ、君達ちょっとついて来てくれない?」

そう僕が声をかけたのは、砦の入り口近くに居た鎧を着込んだ3人の傭兵。
1人、片腕の無い人が声をかけた時にビクッとしてたから、
もしかしたら、彼は僕が腕を千切った人かもしれない。
でも、そんな事は今は気にしないで、砦のある森を歩いて湖の近くに向かう。

たぶん、あのお婆ちゃんが、優しくて美味しそうな人にお金を返してくれて、
あのお花畑に連れてくれるのは、たぶん今日ぐらいだと思うし、今日こないならまたあそこに行けばいいだけだし。
そんな事を考えながら後ろをチラリと見ると、あんまり傭兵の人たちとは話さないけど、3人の傭兵はちゃんとついて来てくれる。

「ねぇ、ジュア。
 あの娘さんは、今日来てくれるかな?」

そうジュアに聞くと、ジュアは体を左右に揺らしながら、

「来る!!きっと来ている!!
 こなければ、何度でも、そう!!何度でもそこに行けばいい!!
 惹かれあうものは必ず出会う!!それこそまさに世の心理とでも言うように!!」

そう、ジュアが何か難しい事を言っているけど、
最初の来るって言葉が分かれば、後の事はどうでもいい。
なにせ、あのいい匂いがする娘さんがそこに来てくれれば、僕は満足だし、
なぜかあの娘さんからは、昔どこかの狭い部屋に閉じ込められた時に、食べろって言われて食べた続けた変な生き物の匂いに似ている。
でも、あの部屋で食べ続けた、ぴかぴか光る大きい蟲見たいのとか、黒い羽の生えたヤツはなんだったんだろう?
まぁ、美味しかったと思うからからいいのかな?

そんな事を考えながら歩いていると、ジュアが声を上げていつも読んでくれる本の内容を詠う様に話しだす。

「プラ・クテ ビギナル!!光の精霊298柱集い来たりて敵を射て魔法の射手!!
 プラ・クテ ビギナル!!光精召喚天空の英兵98柱!!
 プラ・クテ ビギナル!!光の精よ!!悪しき敵を討たんと我が手に集え!!閃光の強襲・・・。」

「いいよジュア、もう全部覚えちゃったしね。」

そう言うと、ジュアは這いずる様に歩きながら口を閉ざす。
ジュアは僕をあの家に迎えに来てくれた人だけど、いつの間にかおかしくなっちゃった。
彼に一体何があったのかは知らないし、そんな事に興味は無いけど、多分彼は敬虔な人だったと思う。
なにせ、今みたいになっても毎日お祈りするし、くすんだ十字架を肌身離さす持っている。
そんな事を這いずるジュアを見ながら考えていると、後ろの方から声がする。


「なぁ、俺達本当について着てよかったのか?」

そう、長身の体格のいい男が俺に聞いてくるが、

「だけど、ついて行かなかったら何されるか・・・な。」

そう言って、前を歩く2人を見た後に、俺の少し後ろを歩く片腕の無い男を顎で指す。
そいつは、頑丈そうな鎧に兜をかぶっているが、動きはぎこちなく、シーナさんから離れるように歩いている。
ハァ、まったく持って今日はついていない日なんだろう。
朝からコイントスで負けて、仲間の変わりに門番に立ち、もうすぐ終わりって時にシーナさんから声をかけられる。
更に運が悪いといえば、断ろうとした時には次の門番が来ていた事だろう。

荒くれ者で怖い者知らずの傭兵になって、俺は早5年。
今一緒に歩いているやつらも、どこかで剣を交えた敵だったヤツかもしれないし、
どこかの戦場では、共に地を駆けたやつらかも知れねえ。
まぁ、今となってはどうとでもいいことだが、戦が終わって、
盗賊になるのも、面倒だと感じた俺が流れ着いたのがこの砦。

住んでる連中は、俺のように流れ着いた傭兵なんかが多いが、
それでも、あの砦にいればそれなりに仕事は来て、それなりに食うには困らない。
ただまぁ、そこのトップ3人がまともじゃない・・・・・・・と言う事に目をつぶればだが。

「はぁ、やっぱり今からふけるかな。」

そうボソリと声を出すと、片腕の無い男が慌てた様に俺の肩を残った腕でつかみ、

「バカ言うな!お前もこうなりたいのか!?」

そう言って、男は腕の無い肩をなでる。
はぁ、面倒で楽しみも無く、女もいないあの砦じゃ、暇で仕方が無い。
かといって、シーナさんやらアーチェさん達に逆らうのもめんどくさい。
ついでに言えば、腕を千切って食われるのはおっかない。

「面倒だから着いていくさ、叫ぶのも面倒なら、痛がるのも面倒だ。
 ・・・、お前もそう思うだろ?」

そう、横にいる長身で体格のいい男に聞くと、
そいつは首をすくめながら、

「確かに、面倒は面倒だが、それよりも痛いのがいただけない。
 腕を千切って食われるなんて、想像もしたくねーよ。」

そう言い終わると、腕の無い男が怒鳴るように、

「なら、黙って着いていけよ!!」

そう叫び、俺達は前を歩くシーナさん達に黙ってついていくことにした。
まぁ、そのシーナさんの横にいるジュアさんは、何時もながら奇妙な事を口走り、
シーナさんに何か言われるとビクッと震え、それでもいくばくかするとまた口を開く。
はぁ、どうせ出かけるならアーチェさんの方がよかった。

あの人はあの人で、白い鎧と巨大な2本の剣を置いた姿を見た事はないが、
それでも前の2人と違い、頭の中身はとてもまともだ。
戦の終わったこのご時勢でも、教会からの依頼で化け物討伐やら、
街からの依頼で盗賊団の討伐なんてものがあるが、その時は決まってアーチェさんが指揮を取り、
下手をすれば、アーチェさん1人でカタを付けてしまうこともある。

もっとも、そんなアーチェさんが1人で危ないと感じる時に名を呼ぶのは、
砦にいる数多の傭兵ではなく、弟のシーナさんであり、その連れのジュアさんである。
まぁ、どの道アーチェさんがかなわない次点で、俺たちがソレに勝てるわけも無いのだろうが。
そんな事を考えながら、気持ちのいい風を感じながら他の2人と馬鹿話をしながら、
歩いて着いたのは砦から少しいった所にある、湖の近くの花畑。

女みたいな姿のシーナさんが、お花畑で遊ぶというのは似合いすぎていっそのこと気持ち悪いが、
それでも、何時もジュアさんを連れてうろうろしているシーナさんが、
俺達に声を掛けるんだから、きっと何かあるんだろう。
そう思っていると、シーナさんはクルリと俺たちのほうを向いて、何時もみたいにニコニコした顔で、

「呼ぶまで近くで遊んできていいよ、僕はここにいるからね。」

そう言って、木に寄りかかって花畑の方を見つめだした。

「あぁ、そうですかい。なら、嬢さんみたいに花で冠でも作ってきましょうかね。」

そう、ここまで来て、更にこんななんも無い所で、好きにして言いなんていわれた事に嫌味を言って、
俺がきびすを返すと、他の2人も俺に続くように歩き出す。
そんな中、腕の無い男はビクビク震えながら、

「お前はバカか!下手に刺激してあの人がキレたらどうしてくれるんだ!!
 お前達は・・・、お前達はまだ腕が両方あるからいいが、俺なんかもう1本しか残ってねぇんだぞ!!」

そう言って、男は俺の肩を叫びながらつかんでくるが、

「そんなにこえーなら、今から砦を出たらいいだろ。
 好き好んであそこにいて、好き好んで盗み働いて、それの罰で腕千切られたんだ。
 おかしかねぇーし、道理も通る。なぁ。」

そう言って、長身の男を見ると、
そいつはシーナさんの方を見ながら、

「やりすぎはあるが、それでも死なないだけましだな。
 こんな陽気だ、ハレルヤとでも天に叫んで、神に腕を返してもらえるよう頼んだらどうだ?
 それで、シーナさんのクソになってなけりゃ、胃袋の中からかえってくるだろうよ。」

そう、長身の男がジョーク交じりに返すと、
腕の無い男は、顔を真っ赤にしながら大声で、

「化け物は見たから信じるが、クソッたれな神は信じねえ!!
 いるんなら、今すぐ俺の腕を返して、俺を国王にでもしやがれこのブタ野郎!!」

そう、街中で叫べば間違いなく、一発で火刑になる事を腕の無い男は言う。
そんな叫びを聞きながら、俺と長身の男は顔を見合わせ、

「今の俺たちん中で誰が一番命知らずかわかった。」

「奇遇だな、俺もここまで熱狂的に自殺志願するヤツは始めてみた。」

そう言いながら、近くの湖に向かう。
暖かくなった今なら、水浴びして垢を落としても問題はないだろう。
まぁ、あのヘンチクリンどもが声を掛けに来るまでだが・・・。
そう思い、湖の近くに行って、着ていた鎧や剣を置いて湖につかる。
水はまだ冷たいが、それでも震え上がるほどでもない。

腕の無い男は、鎧を脱ぐにももたついていたが、程なくして湖に入った。
そんな男の傷口を見れば、肩口の肉は思ったよりも醜くなく、肉が盛り上がった以外は、
そこに元から、腕なんてなかったかのような印象を受ける。
そんな事を思いながら、水浴びをしていると、花畑のほうから黒いゴミのような・・・、
あぁ、ジュアさんか、そう思った時にはジュアさんは湖に着き、俺たちに声をかける。

「早く上がれ、さぁ上がれ!
 静かに急いで、早く来い!!
 狩りだ!!狩の時間がやってきたぞ!!」

そう叫んでいる本人が、一番五月蝿い様な気がするが、
どうせあの人に言っても、まともに言葉が帰ってくる気がしない。
そう思っていると、長身の男が濡れた髪をかき上げながら、

「行くか。腕を食われちゃかなわん。」

「あぁ、まったくだ。
 おまえもだ・・・、ろ?」

そう、腕の無い男に話を振ろうとしたが、
そいつは既に岸から上がって、早くも鎧を着込んでいる。

「まったく、気の早いことだ。」

そう言葉を残して、俺と長身の男も湖から上がって鎧を着込んで剣を腰に下げる。
はぁ、このまま面倒も無く、一日が終われば町に繰り出して娼婦と遊んでもよかったが、
それも叶いそうも無いらしいし、今から仕事すれば動く気もなくなる。

「はぁ、面倒くせぇー。」

そう言うと、長身の男も渋い顔をしながら、

「まったくだ、まったく持って面倒くさい。」

そう言いながら、先を小走りでは知る片腕の男とジュアさんを追う。
そうして着いたのは、花畑の近くの森の中。
そこに待っていたのは、当然といえば当然のシーナさん。
まぁ、花で出来た冠を頭に載せているのは、俺の言った嫌味に対する意趣返しだろう。
そんなシーナさんは、何時ものように笑顔を振りまきながら俺たちを手招きし、指でチョイチョイと花畑の方を指差す。
見ろと言う意味だろうと、そっと木の陰から花畑を覗くと、その花畑には白い髪の美しい娘と、
黒い服と白いエプロンをつけた、背筋の真っ直ぐした老婆。

街で一番の娼館にいっても、あんな上玉の娘はいないだろうし、
今見ている光景も、貴族の屋敷・・・、それも名門貴族なんかの屋敷に行かないと、見れない光景じゃないだろうか?
そんな事を他の2人も感じ取ったのか、黙ってその光景を見続けている。
そんな中、誰かが舌なめずりする音がしたと思い、そちらの方を見ると、
そこに居たのは花の冠をつけたシーナさん。
そして、そのシーナさんは俺と目が合うと何時ものようにニコニコした顔で、

「ねぇ、あの人達を襲ってきてくれないかな?
 多分、君たちが行けばお婆さんは逃げるだろうし、娘さんもそんなに早く走れないだろうから。
 僕はね、娘さんを捕まえたいんだよ。」

そう言って、微笑むシーナさんはしかし、細めた目は笑わず、何処か獣よりなお鋭く、
夕闇よりなお暗い光を、その瞳に称えているように思う。

「お願い・・・、できるよね?」

そう言って、目が合って硬直している俺の肩をぽんと叩く。
一瞬、脳裏に湖で見た、腕の無い男の体が俺の体に重なる。
叩かれたのは利き腕じゃない、だが、それでも俺が見た肩から先に腕はある。
だが、きっと断れば俺の腕も、目の前の女みたいな男の胃に消える。

「ハッ!面倒くせー、だが、腕を食われるのはもっと面倒くせー。」

そう、俺が言いながら剣を腰から抜くと、他の2人も同じように、剣を抜いて兜をかぶって準備をする。
チッ、上玉の娘と遊ぶなら、宿のベッドの上の方が嬉しいが、それも腕があって命がないと楽しめねぇ。
そう思っていると、長身の男が舌打ちしながら、

「チッ、俺好みの娘なのに、行き着く先は腹の中か。
 一回ぐらい楽しめないかねぇ~。」

そう、誰とも無く話を振るが、それに俺は答えず、代わりに片腕の無い男が、

「死ななきゃまた次の娘に会える、腕1本でも娘は抱ける。
 だが、命が無きゃ次に抱くのは神か天使だ。
 俺に男を抱く趣味はない。」

そうげんなりした声で答える。
まぁ、俺もそんな趣味はねぇ。

「結局、人より自分の命だ。
 好き好んで殺し殺されの傭兵になったが、それでも生きてるなら命は惜しい。
 俺達の命の価値は高々銀貨数枚か、下手すりゃ銅貨にもならねぇ。
 だが、それでも惜しいモノは惜しい。

 なにせ、神は俺達に祝福してくれねぇし、その神は金持ちにしか微笑まねぇ。
 この世のルールは欲しけりゃ力づくで手に入れろ、力が無いならとっととくたばれクソヤロウ、だ。」

そう言うと、長身がヒュ~と口笛を吹き、

「語るね旦那。」

そう茶化しながら、娘と老婆の前に踊りでる。


「綺麗な場所ですねお嬢様。」

そう、エマは俺に話しかける。
昼食をとって、その席でディルムッド達に花畑に行く事を伝え、
家を出発して目的地に着いたのは、何だかんだで太陽の傾きからして3時ぐらいになっていた。
着いた場所は、近くに湖があり色々な花が咲き乱れる、まさに花畑と言うに相応しい場所。
そんな中、記憶を頼りにライラックを探す。
色は薄紫で、4枚の花びらの小さな花をつける木。

「あぁ、綺麗な場所だ。
 昔見た景色に似ている。」

そう言いながら、幼少の頃のエヴァ記憶を呼び起こすと、
ここに似た場所の記憶が浮かび上がる。
その記憶を元に懐かしむと言う、何処か釈然としない事態だが、
それはそれで、悪くは無い・・・、と思う。

そんな事を考えながらエマと花畑を歩き、ちょうど湖の近くでライラックを見つけ、
そのライラックの木陰で座って一休みする。
漂うライラックの香りは、品のいい香水のような香りがし、
俺は今回初めて嗅いだが、体がこの匂いを覚えているのか、とてもリラックスできる。

「確かに懐かしい場所ですね・・・、
 これでお屋敷があれば、あの当時の光景そのままです。」

そう、エマは湖の方を見ながら、昔を懐かしむような声を出す。
あの屋敷は俺が燃やし、ゲスは俺の手で止めを刺し、エヴァの両親の遺骸も多分、
あの屋敷の業火と共に灰に帰っている。
これが、俺が彼女から俺が奪ったもの・・・、か。

「今は炎の記憶しか浮ばない・・・。」

そう、普通に話した筈の自身の声は、何処か耳に渋く聞こえ、
エマもそれを感じ取ったのか、俺の横の静かに腰をかける。

「後悔してらっしゃるのですか?
 自身で、自身の屋敷を焼いた事を。」

そう聞くエマに、俺は顔を伏し、静かに答える。

「後悔はしていない・・・。
 ただ、私はエマの帰る場所を奪ったのかもしれない。」

そう言うと、エマは静かに俺の頭に手を置き、優しく指で髪を梳きながら、

「それでも、今は帰る場所もありますし、お嬢様もいます。
 家はまた建てれば、それでも元通りになりますが、人は死ねばおしまいです。
 後は哀しみのみが降り積もる雪のように重なり、溶ける春を待つばかり。」

主を奪い、帰る家を奪い、彼女の愛しかった人を奪った俺には、
・・・、彼女の手の温もりは熱過ぎる。
そんな彼女に何か言おうと、顔を上げるか否かと言うときに、
彼女の手は俺の頭から手を放し、スッと立ち上がり森の方を見る。

それに習い、俺も森の方を見ると、そこから走ってくる3人の人影・・・。
見える姿は重厚な兜で顔を隠し、手に手に抜き放った剣を構える。
立ち上がる俺の前にエマはスッと進み出て、片手で俺を制止、

「お嬢様、今から全力で走ってこの場をお離れ下さい。」

そう、走ってくる奴等から、目を話さずに俺を言う。
しかし、それではエマの身が危ない。
彼女はただのメイドで、戦闘経験なんて皆無なのだから。

「ダメだ!一緒に逃げよう!
 今からこの場を離れて森に入れば、奴等をまく事は可能だ!」

そう言っている間にも、鎧を着ている奴等は花を踏み荒らしながら地を駆け、
もう、寸伝の所まで来ている。

「いえ、年老いた私では早々早く走れません。
 ですから、どうかお嬢様だけでも。」


そういって、お嬢様の顔を見れば、お嬢様は真剣な目で、共に逃げようと私を見てきます。
手持ちの武器は、縫い針が数本と糸のみ。
既に年老いた私では、きっと彼らに造作もなく私は殺されるでしょう。
ですが、その造作もない時間で、お嬢様を逃がす事が出来れば僥倖です。
来ている服は、もう漆黒のメイド服ではなく、仮面も剥がれかかっていますが、
それでも、今はのこボロボロの仮面が残っている事に感謝しましょう。

「それならば、私が背負って運ぶ!」

そう言って、お嬢様は私の手をつかみ、走り出そうとしますが、
逆にその手を引き、お嬢様と正面から向かい合い、その顔を両手でつかんで固定して、

「お嬢様・・・、彼らの目的は多分、若い娘の体でしょう。
 それならば、きっと私の体には見向きもしません。
 それに、夫の居られるお嬢様には、そういった仕打ちはむごすぎます。」

そういって、お嬢様の胸をトンと突き、疾走してくる男達に向かい駆け出します。
しかし、スピードも無ければ、老いた体では活力も無く、こうして正面から向かうに私は適しません。
ただ、願うのは背後のお嬢様が無事に逃げる事のみ。
そう思い、エプロンのポケットから針を取り出し、兜の目隠しの隙間から目をめがけて針を投げます。


「がっ!!いてぇ!!!目が見ねぇ!!!」

そう言って、立ち止まって跪いたのは先頭を走っていた片腕の男。
さて、あのばぁさん何をやったかねぇ。
片腕の男は、自身の兜を外そうともがいてやがる。
だが、それに気にする暇はない。
長身の男もそれは一緒か、跪いた瞬間にその男の肩を踏んで飛び越えた。

「おい、あのばぁさん何かやるぞ!」

そう叫んだ瞬間に、長身の男も片目を押さえてすっ転ぶ。
チッ面倒くせぇ、まったく持って面倒せぇ!!

「ばぁさん・・・、黙って死んでな!!」

そう言って、トロトロ走るばぁさんに向かい走る。
しかし、何かを感じて瞬間的に片手を目の所にかざせば、手の甲に虫に食われたみたいな痛み。
走りながらチラリと見れば、そこにあるのは細い縫い針!

「クソ!!何処の化けもんだよばぁさん!!
 目隠しの隙間から、目を縫い付けるなんてよ!!」

そう言うと、背後から1つの足音が聞こえ、

「チッ!!俺の片目どうしてくれんだよ!!」

そう、キレれる声は長身の男のもの。
多分、片腕の男は両目をやられたから、何も見えなかったんだろ。
アイツはシーナさんの胃袋行き決定・・・、か。
まぁ、運の無かった男だ。
そんな事を考えながら、ばぁさんの背後の白髪の娘を見れば、
娘は、何処か呆けたような顔をして今の光景を見てやがる。
だがまぁ・・・、逃げないならばぁさん殺して娘を捕まえるだけか。

「恨むなよ・・・、恨むなら運の無い自分を恨め。
 パンドラの箱には、希望なんてモンが残ったらしいが、そんなあるかないかわからねぇモノに縋りはしねぇ。
 信じるのは・・・、血と剣と死のみだ。」

そう呟くように言いながら、ばぁさんに縦に切り掛かれば、
ばぁさんは身を翻すように、その場でくるりと横に回り、また何かを投げるしぐさ。
しかし、俺の後ろの長身の男がその避けた場所を突く。
だが、ハハッこのばぁさんただもんじゃねぇな!
突いた剣を蹴って叩き落としやがったんだからよ!!

「なら、あなたの死を私に捧げなさい。
 私の大切な者は、私の命を捨石にして護ります。」

そう呟くように、ばぁさんが俺たちに話し掛けて来る。

「なんだこのばぁさんは!!」

「知るか!ただのばぁさんじゃなきゃ、アバズレのばぁさんだ!!」

そういう間にも、ばぁさんは体を落として俺の懐に入ろうとしてくるが、

「ざけんなばぁさん、こちとらまだ若いんだよ。」

そう言って、ばぁさんの腹めがけて前蹴りを出す。
流石に避け切れねぇと悟ったか、腕1本ダメにしてそれを防ぎやがる。
チッ、砕けた・・・感があるのに、表情1つ変えねぇばぁさんの怖いこと。
だがまぁ、ばぁさんの息は上がり続けてやがるし、娘の方は何を思ったかコチラに走り出してやがる。
そんな中で、後ろの長身が叫ぶように、

「もうすぐシーナさんが来るぞ!」

そう言いやがる、タイムリミットは限界ってヤツか?
胃袋に収まる気はないし、分はこちらにある。

「おい、死にたくねぇならとっととやるぞ。」

そう言うと、長身は剣を構える音で反応する。
クソッ、面倒くせぇー日に面倒くせぇー事に巻き込まれた。
まったく持って面倒くせぇ!!

「そろそろ死んどけ。」


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