<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[10094] 研究の日々だな第56話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:9e0e11ed 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/04 18:01
研究の日々だな第56話





錬金術の基礎とは『硫黄』『水銀』『塩』であり、
これらの物は、言葉のままの物をさすものではなく、物質の変化形態及び性質を現す。
そもそも、錬金術と言う言葉は古くから知られ、ヨーロッパでブームになったのがちょうど今頃から、
大体16世紀ぐらいまでで、錬金術からは今の化学で用いられる、塩酸や硝酸なども発見されるなど、
いわば、現代科学の根幹をなしているものといってもいいだろう。

そもそも、錬金術師達の到達点というのも多岐にわたり、ある者は賢者の石を求め、
ある者は卑金属を金の変える方法を模索し、またある者は完全なる生命体としてホムンクルス作成にいそしんでいる。
そもそも、錬金術で言う金とは正常な金属と言う意味で、金と銀以外の金属は不純物が混じり、
病気にかかっている状態だと定義され、その病気の状態を治すものが賢者の石とされるが、
錬金術自体の定義が千差万別のため、これだけには括られないだろう。

ついでに言えば、探求者である錬金術師は魔法使いと同一視され、火刑に処せられた者もいるが、
それもごく一部で、ルネッサンス時期になると、国王や貴族などの保護を得て、潤滑な資金で実験にいそしんでいる。
まぁ、そうでもして金を得ないと、王国の資金がもたないと言う時代背景もあるが、
そもそも、卑金属を貴金属に変化させる方法は元素を書き換えて、別の物質に変えようとする行為と同じで、
今時期の実験装置では先ず成功の見込みは少ない。

だが、この世界の魔法が関わると、少々毛色が変わってくる。
今俺が使える魔法を科学的な検知で見ると、物体の相転移つまりは、
問答無用で、触れた瞬間に相手を気体にまで出来、物体を消失させるエクスキューショナーソード。

超低温空間で相手を粉砕、もしくは冷凍封印出来るおわるせかい、こおるせかい。
重力と言う、物理法則をまるっきり無視しようと思えば、好きなだけ無視する事のできる重力魔法。
これだけの術が揃い、その術を科学的検知で考察できる世界があり、それを扱える人間が豊富にいる世界。
つまる所、この世界は魔法が有って錬金術が出来、そして魔法化学へと昇華して行くのだろう。

「エヴァさんお茶をどうぞ。
 最近は冷えますね、明日には雪かもしれません。」

そう言って、タイプライターを打つ俺の横にロベルタがお茶を出してくれる。

「あぁ、ありがとう。
 エマは大丈夫か、この冷え込みは老体には堪える、
 暖炉の火を絶やさぬよう、できるだけ室内を暖かくしてあげてくれ。」

そう、礼を言ってお茶を1啜り。
エマの下に身を寄せて長くなるが、半年を過ぎた辺りからロベルタはよくエマと2人で話している。
何を話しているかは知らないが、上手い具合に2人の気が合ったのだろう、夜更けまで話しこんでいる姿をたまに見かける。
そんな姿を見る俺だが、相変わらず自責の念はぬぐえず、エマを避けているわけではないが、
それでも、まるっきり2人きりでいる時間と言うのも少ない。

それでも、俺のけじめとして、俺は彼女の側にいないといけない。
きっと、今旅立てば後悔しか残らず、それが残らなかったとしても、
俺は多分、この先笑うたびに自身がはっきり笑えているという、自覚すらもてなくなるだろうから。
だから、今の状態にもどうにか、打開策を見つけたいのだが、どうにも糸口が見つからない。
やはり、正面から口を開いて、今の俺を見てもらうしかないのだろうか?

「エヴァさんも、一緒にお茶をされてはどうですか?
 ノーラさんも席について、今から寝る前のお茶をしますが。」

そう、ロベルタが柔らかな表情で、俺の横に立ち話してくるが、

「すまない、今のうちにタイプしておきたいモノがある。
 次の機会には、必ず席に着くと伝えておいてくれ。」

そう言うと、ロベルタはスッと一礼し去り際に、

「エヴァさん、時は経つものです。
 陳腐な言葉ですが、同じ時はなく、同じ言葉が口から出ることもありません。
 私は人を学んでいる途中ですが、それでも、潰える時のある者が散るのは一瞬です。
 現に、私はこの世界に来て明確な意思で人を手にかけて、あの遺跡に居た咎人と同じ道を歩んでいます。
 ですが、私は今更ですがアレの苦悩が判るような気がします。」

そのロベルタの言葉に耳を傾け、ロベルタの背を見ていると、
片手をスッと握り、

「人でない私が人になった時、きっと私は失う事を最も恐れるでしょう。
 感情と思考を得るということは、失う恐怖を得るのと同義です。
 それはまるで・・・、選択の自由の代価が責任と義務であるかのように。」

そういって、ロベルタは部屋から出て行った。
そして、静かになった部屋でイスの背もたれに背を預け、
『ギシッ』と言う音が家鳴りのように響くが、それさえ気にせず空を見る。

「責任と義務か・・・。」

言葉を吐きながら自身の手を掲げると、目に飛び込むのは無骨な手ではなく白く細い手。
既に薄れ始めている俺の記憶、新しく入り込む私の記憶。
すべては自身の経験で、今を生きて体験しているから得られるモノ。

得たモノは多い・・・。
魔法に旅の仲間に見知らぬ世界で、曖昧な時を生きるという権利。
失ったモノも多い・・・。
自身が終わる時まで付き合ってくれた名に、それまでの生活。
いや、失ったモノは元々、俺が飽き飽きしていたモノだ。

そして今の俺がある。
当然だ、すべてを承知し腹を括り、彼女を喰らって俺は今ここに居る。
それが俺の選択した自由なら、エマに会い言葉を交わし、彼女のために少しでもいい思い出を作るのが、
きっと今の俺の責任であり、確実にこなすべき義務だろう。

「契約には代価を、自由には責任を。
 救い上げられた命の価値は、誰にも決める事はできないが、
 それの使い道なら、救い上げられた私が決める事ができる。
 普通を嫌い、異常を趣向し、下手をすればろくでなしとでも言われるような私だが、それでも、誇りも信念もある。
 だから、私はこの体で生きて逝き、逝きそびれてもなお、前に進む者だ。」

そう、思うも今日の所は、行かないと言ってしまった手前、部屋で書き物をするのが得策だろう。
実際、今書いている物は自身の知識を紙に書き写し、再確認する作業に等しいのだから。
そう思い、タイプライターに新しい紙を送りタイプを再開する。

『ホムンクルス、オリハルコン、賢者の石、エリクサーについての考察 Vol92』

現在の研究で解明できそうな物は、第1にオリハルコンである。
これはかつて地面に書いていた物を考察及び、可能性としてついた結果である。
物体の耐衝撃性を最も緩和できるのは球体であるが、それを集結した場合球と球の間に隙間が空き、
結果としてその隙間に水分等が浸食する事により、物の腐敗や劣化が起こる。

なら、他の形態を模索した場合、3角形4角形等となるが、
いずれの形も耐衝撃性としては立体にした場合面の面積が広くまた、それらの形を結合した場合、
表面的な形が歪になり、結果として耐衝撃性は低くなる。
そこで、どの形ならば耐衝撃性図形及び、結合時に無理が現れないかと言うと、
中身を人体同様にするという、制約があるため正6面体となる。

これらの考察を元に、正6面体の元素もしくは、結晶物の集結結合及び、
魔力コーティング及び、無機物へのエンチャントを行い各素材で試す。
目標としては、耐衝撃性、耐熱性、耐冷性、耐腐食性、耐侵食性。
以後、複数点を併せ持つ構造になるため、いくつもの物質を何層にも重ねて作る事を考え、
更に、その物質をすべて正6面体でそろえる事を構想する。

現状で考え付く素材を上げるなら、炭素で硬度を出し、チタンで耐衝撃性、セラミックで耐熱性、
フッ素で耐腐食性、ステンレスで耐侵食性の役割を持たせる。
ただし、これらよりなおよい素材がある場合は、そちらを採用するため、
材料は現段階では模索中、むしろ、表面加工やエリクサーの事を考えると、
各素材に薄い溝を空ける可能性も考慮する。

また、エンチャント技術の技術向上により、現段階ではミスリルモドキが高純度で精製可能であるが、
錬金術の基礎にのっとり、金でこれと同様の結果が得られないかも検討中。
実際試してみた所、結果としては少々微妙な結果である。
金の属性は陽に値し、銀の属性は陰となるが、これは太陽と月をあらわし、
魔法的にもシンボルとはしやすい、ただ、対極に位置するため、
同様の方法では上手く作用しないのだろう。

次に解明できそうな物質は、エリクサーである。
現状、遺跡の地下で咎人の樽より採取した液体及び、チャチャゼロ及び、
キールが戦闘した個体に付着した液体より研究を進めるも、顕微鏡等がないため細かく見ることが出来ない。
なので、現状できる五感による方法で分析すると、匂いは皆無、見た目は透明、触っても特に問題はなく、
まして耳で音を聞こうにも音がなるわけもない。

なので、最終手段として最も取りたくない方法だが、味覚による調査を実施。
しかし、この調査により解った事がある。
無臭無音透明な、この液体は少なくとも、味覚に当てるとしょっぱいのである。
その事から察するに、この液体に少なくとも塩分が入っていると考察できるが、
蒸発実験を実際に行い、塩が実際に検出されれば成分の1つが断定できるのだが、
元の液体の量が少ないので、それを行うまで実験をこなせていない。

これについては、新世界に戻る際に実験施設等に持ち込んで、
正式なデータを検出できれば、それがもっとも良好だろう。
少なくとも、現在所有する学校払い下げの実験器具では、心ともないのが本音なので、
この際、新世界で一式実験に必要そうな機器を購入する事も視野に入れよう。

現在の所有財産は、十二分に余りあるので、施設襲撃ではなくとも多分いけるはずだ、よっぽど運が悪くなければだが。
後の2つについては、この2つより先に研究しだすも、
よい研究結果が出ていないため、前回の走り書きメモと併用し考察する。


『闇の魔法の研究考察 Vol295』


現状において魔法球内での修行で『獄炎煉我』及び、
重力系、氷系共に発動を可能とし、氷系発動時は触れたモノの凍結となっている。
また、闇の魔法の最大活用法の敵弾魔力及び、気の吸収に関しては、
魔法銃より放たれる魔力弾を吸収しようと試みるも、自身単体では効率が悪く、
獄炎煉我を兵装中に、そのまま敵を殴りに行った方が効率的に敵魔力を吸収できる。

これは、多分闇系魔法の特性が、吸収面の特化しているためと考察し、
地面に魔法陣を書き、吸収する方法を模索するも、チャチャゼロ及びロベルタと模擬戦時に実践を試みるも、
接近戦闘中にその準備をする時間の捻出及び、地面に書くという関係上その人を侵されてしまえば容易に潰される。
また、自身の体に魔方陣を刺青として施すというプランも思想したが、それはすぐさま却下した。
理由としては、彫った側から体が再生され消え去るためであり、他の案としては、自身より流れ出る血を使い、
手の平等に魔方陣を施すという案も検討したが、結果的に言えばこれは可能である。

流れ出た血を操作して書いてもいいが、しかし、魔法陣を書いている間、
自身の両手もしくは意識を裂くため、戦闘に集中できず多少なりとも無防備になる点、
高速戦闘中に避けの一辺倒では、書き終わるまでの時間に仕留められると、チャチャゼロ本人より言葉をもらった。
この点を考えるなら、魔力吸収自体は不可能ではないが、前準備を確実に行い、かつ、不意打ちと言う要素を必要とする。
また、空中に魔法陣を書くなら、自身の歩いた軌跡を用いる事も検討しているが、戦闘中に思ったように敵を誘導及び、
間違いなく魔方陣を書くという関係上、中々に難しいという結果もある。

これは、ロベルタよりの指摘で、同じような軌道で動き、術を発動使用としているので、
その動きに、敵側である私が合わせる必要性も無く、見え見えの動きではすぐに読まれるといわれた。
この事より考察するに、敵弾吸収の効果を得るには代価として、
一時的な戦闘不能状態及び、下準備の必要性と言う作業代価が上げられる。

ただ、1度発動した場合、魔方陣があらゆる面で破壊されない限りは、敵弾吸収が発動するので、
魔法メインもしくは、気メインの攻撃をしてくる相手では発動中の私を倒しきる事ができず、
相手が屈するまで、立っているだけでも勝つことができる。
もっとも、これは相手が魔法と気を使うことが前提となるわけだが。

また、敵弾吸収以外の模索案として、固定状態で掌握せずに、延滞呪文の要領で大型魔法を放つという案もある。
これに関する弊害は今の所なく、圧縮呪文の要領で発動ワードを叫ぶだけで、すぐさま放てる状態である。
闇の魔法とは、あくまで兵装であって攻撃魔法ではない。
言ってしまえば、矛ではなく楯に位置し、攻勢防御と言う面で特化するのが、闇の魔法ないし咸卦法である。
その事から考察するに、もっと他の矛を検討するのも1つの案である。


と、ここまでタイプライターのキーを叩いて一息。
実際、研究時間と実践時間が併走している為、大きな躍進は望めない。
ただ、ディルムッドやロベルタと戦闘しているため、それなりには強くなっていると思う。
だがまぁ、中々勝たせてもらえないのもまた、一般人と英霊との差なんだろう。
もっとも、たまには勝っているのだが。

そう思いながら、ロベルタが入れてくれたお茶を飲むも、
放置時間が長かったせいだろう、冷めてキンキンに冷えていて、
どちらかと言うと、朝一の目覚めの一杯の方が相応しい。
そんな事を思いながら、もう少し飲み物が欲しいと、夜更け過ぎの静かな家の中を歩く。

石造りで、がっしりとしたこの家は、キィキィと言う家鳴りもせず、
ただ、静寂のみを住む者に伝え、一人で住むには多少広くも感じるが、
仕事場と兼任するなら、やはりこれぐらいの広さがいるのだろう。
そんな事をぼーっと考えながら廊下を進み、もうすぐ水瓶のある所。

時間はもう夜更け過ぎ、多分3時ぐらいだろうか?
時計がないせいで、時間の感覚が曖昧だが、多分それぐらいだろう。
そんな時間なのに、その部屋の扉の隙間からは光が漏れ出している。

・・・、賊かもしれない。
最近、羊の加護かエマの店はよく繁盛し、元々の固定客から口コミで広まったらしい。
ついでに言えば、看板娘であるノーラも町では人気者で、リュビンハイゲンとは雲泥の差。
まぁ後は、ディルムッドは元々イギリス方面の英霊なので、町娘からは声をかけられ、
ロベルタは、なぜか色んな人から一目置かれている。

ちなみに俺は、たまに宝石なんかのプレゼントをもらうぐらい。
まぁ、こんな性格では魅力的ではないだろうから、仕方がないといえば、仕方がないのだろう。
男にモテた所で嬉しくもなんともないが、逆に女性にモテてもなんとも。
ただ、宝石をくれる男と言うのも、中々に裏がありそうで怖いわけだが。
と、そうではない。

ソロリソロリと、音を消す魔法をかけたのにそう歩くのは、ある意味人間だった頃の性か、
抜き足差し足で歩き、扉の隙間よりこっそりと中をのぞく。
そこに居たのは、コックリコックリと頭で舟をこぐエマ。
彼女は几帳面で、だらしのない事はしない人だが、珍しい事もあるものだ。
そう思い、部屋に音を立てないようにして入る。
一応、暖炉もあるので大丈夫だと思うが、それでも一枚肩に毛布をかけるぐらいはいいだろう。

そう思い、部屋にいったん戻り毛布を取ってきて、後ろからエマの肩にかける。
多分、彼女は遅くまでここで縫い物をしていたのだろう、
質のいい白い布を膝の上に置いたままの姿勢で、舟を漕いでいたのだから。
そんな小さな彼女の背に、背後から毛布をかける自身に自嘲の念がわく。

「こんなことしても、自身の慰めでしかない・・・。
 面と向かって話すのが怖いから、寝ている時でさえ背から近付き、居たと言う痕跡だけを残す。
 エマ・・・、すまない。臆病な私を許してくれとは言わない。
 ただ・・・。」

毛布をかけて、彼女の肩に置いたままの手には、彼女の体温がわずかに伝わる。
ほのかな温もりは、彼女がここにいる事を示し、その肉が落ちて細い肩は彼女が年齢を重ねた事を伝える。
来るべき日はきっと遠くない、この1年とは言わないが、それでも、20年、30年と言うのは欲張りだろう。
それが時の移ろいで、人の生きる道と言うもの。

止まらず、休まず、朽ちず、逝かず。
吸血鬼とは闘争の徒で、恐ろしい化け物で、人に仇名す者。
しかし、それは人の視点で、本当は吸血鬼は凄い寂しがり屋なのではないだろうか?
時の流れに乗る魂の舟をせき止められ、後にも前にも進めず仕方無しに、死なない者を作り自身を慰める。
それが児戯か否かは知らないが、少なくとも、俺はこれからも人に関わり続けるだろう。
嫌われようと、殺されようと、多分これは変わらない。
なにせ、1人でいるのはつまらないから。

哀しみは一人で背負えばいい。
他者に共感されるのは、ありがたいが、知ったかぶりで同情されているようで居心地が悪い。
それに、その哀しみは自身のもので、他者にそれを与えるものではない。
例え、それで他者が哀しもうとも、その哀しみは他者のものでしかない。
弱さを知り、負けを知り、傷を追う事を恐れずに、その傷を光にかざせる者。
そういう者こそ、真の強者であり、前と言う名の明日を見続ける者だろう。
そう考えていると、自身の手にふわりと、細く細かいしわの刻まれた手が重ねられ、

「・・・、今はそういう風に話されるのですね。」

そう、静かにエマが言葉を紡ぐ。
手は重ねられたままで、無碍に振りほどくのははばかられ、
引っ込めるにはタイミングが悪すぎる。
むしろ、俺は多分この機会を逃せば、エマと正面から話すことは出来ない。
臆病な俺は、こうして手を握ってもらい、捕まえて貰わないと彼女の前には留まれない。

「あぁ・・・、今の私はこういう風に話す。」

そう、エマの背に向かって言葉を投げかければ、
エマは振り返る事無く、うつむく様に頭を下げたまま、

「ふふ、なんだかそういう風に話されると、旦那様を思い出しますね。
 何もかもが懐かしい事です・・・、あのお屋敷での暮らしも、そのお屋敷で彩られた記憶も、
 あの晩見た・・・、世界が焼け落ちるかのような業火も・・・。」

そう、彼女は手を重ねたまま、静かに過去を懐かしんで話す。
言葉を聴くたびに思い浮かぶ光景は、きっと今なお俺の中で息づく彼女のモノだろう。
そして、その浮かび上がる記憶には決まって、彼女の姿がある。

「貴女は・・・、こんなにも私の近くにいる。
 そして、私もこんなにも貴女の近くにいる。」

そう言葉を吐くと、エマは優しい語調で、俺の手の甲を指で撫でながら、

「はい、確かに私達は近くにいます。
 そして、こうして触れ合っています。
 顔を見ては言えない事も、背中越しなら話せることもあります。
 私の知っているお嬢様、私の知らないお嬢様。
 私の知っているお嬢様の手は、こんなにも大きくありませんでしたが、
 今の手は私と同じぐらいですね・・・、懐かしい限りです、お嬢様のお手を引いていた頃が。」

そう紡がれる言葉は、暖炉での光で仄暗く明るい空間に飲み込まれ、俺の耳に届いてくる。
心地よい声だ・・・、慈愛と慈しみのこもった緩やかな声。
背中越でよかったのかも知れない、今頬伝うモノを見られたくないから。

この涙は誰が誰のために・・・。
その答えは、多分簡単には出ない。
だが、出ないからこそ、それを思い悩みエマと接する機会が増えるかもしれない。
そう思うと、いっそう頬を伝うものが増える。
声を上げないために、噛み締めた奥歯は、砕けんばかりに力が加わり、
それでも手には、力を入れないように心がける。

「懐かしい・・・、ライラックの花畑が今も瞼の裏に浮ぶ。
 また、いつか一緒に行って見たいな。」

下した決断が正しいのかは解らない。
だが、真実が時として残酷であるように、嘘が時として優しい事もある。
つけた仮面を・・・、俺は外さない。

「はい・・・、5月頃に見に行きましょう。
 1人ではこの家は広いと思っていましたが、お嬢様達がこられ、ノーラさんが弟子になり、
 広く閑散としていたこの家が、まるで花が咲いたようににぎやかになりました・・・。
 ですが、夫のチャチャゼロさんには悪いですが、たまには2人で行きたいものです。」

そう、手を口元に当てクスリと笑う。
お互い顔は見ていない・・・。
触れ合っているのは肩と手の体温のみ。

「あぁ、そうしよう。
 ここに来るまでに変わってしまった私は、正直エマの前に出るのが怖かった・・・。
 未だに私をお嬢様と呼び、年を取るだけで、外見以外変わらない貴女と話すのが。」


そう、お嬢様が言葉を紡ぎ、背中に新しい体温が伝わってきます。
その心地よい重さは、きっとお嬢様の頭。
お嬢様・・・、未だに私が呼び続ける呼び名。
昔は・・・、こうではなかったのですが、一体何時からでしょう。
紅い花の咲く夜をいくつも越え、自身の手もまた、紅く染まり・・・。
漆黒のメイド服を脱げば、その仮面もまた外せる物と思っていましたが、
だめ・・・、ですね。

この町で初めてお会いした時は、あんなのも素直にお名前を呼べたのに、
こうして共に暮らし、お嬢様が・・・、わが子のように接していた彼女がいるのに、
未だに、私は彼女の事を名前で呼べないのですから。
きっと、何もかもが遅すぎたのでしょう。
再開も・・・、仮面を外すのも・・・。

「大丈夫です・・・。
 お嬢様はお嬢様です。そして・・・、私はお嬢様のメイドです。
 例え、地位や名誉や、お屋敷がなくとも、お嬢様はお嬢様で、私はメイドです。
 ただ、私が逝った後は、この店の切り盛りを手伝ってあげてください・・・。」

そう言うと、お嬢様は私の背中に頭をグリグリこすりつけながら、

「そう、悲しい事は言わないでくれ・・・。
 いずれ別れは来る・・・、だが、その来る時までは笑っていよう。
 エマの頼みなら、いくらでもこの店を盛り立てる。」

その言葉に頬伝うモノが1つ。
おかしいですね、仮面をつけていれば、悲しみも苦しみも・・・、
喜びさえも、この胸に溜め込めると思っていましたのに、
枯れたはずの涙とは、こんなにも暖かかったのですね・・・。

「はい・・・、お嬢様。
 幸多き日々にしましょう。
 ノーラさんは腕はいいです、ですが商人相手には少々人がよすぎます。
 チャチャゼロさんも商人なら、商人の相手はお手の物、それに、お嬢様と言う看板がつけば、
 この店は、この国1にだってなれます。」

そう言葉を紡ぐと、背中にあった重さが減り、
肩にある手の暖かさのみが、私にお嬢様の存在を伝えてきます。
今思えば、こうして肩に手をのせてもらうのも、幼少の頃以来でしたね・・・。

私も、歳を取るはずです。
日々の暮らしで、何気なく持った食器の重さに気付き、
辺りの寒さに敏感になり、気がつけば、今日はここで居眠り。
フフ・・・、ですが、こうして歳を取るのもいいものですね。
今日、この時この場でなければ、こうして話す事が出来なかったのですから。

「雪か・・・。」

そのお嬢様の言葉に釣られて外を見れば、闇の中にヒラリヒラリと舞う白いモノ。
いくつもの冬を越え、いくつもの夜を駆け、いくつもの太陽に背を向ける。

「もう降り出しましたか・・・。」

捨てた温もりは、凍えるほど冷たい心の中に閉ざし、
暖かな光景を、影の中よりひっそりと見守る。
ただ、今は肩にある小さな温かみに縋るように、安らぎを求め、

「寒くはないか?」

共にある喜びを分かつために、声を出そう。
語られる言葉は、ありきたりでも、それに心が乗れば意味が出る。

「大丈夫です、お嬢様は大丈夫ですか?」

互いの顔を見ぬまま、紡がれる言葉は闇に消えて胸に届く。

「私は・・・、大丈夫だ。
 エマが側にいるから暖かい。」

止まらぬ涙はなく、いずれ濡れた頬も乾く。
腫れぼったい目は、きっと笑顔への近道。

「そう・・・、ですか。」

過ぎ去る時は夜の闇に消え、その闇を切り裂くように、暖炉の光が暖かく輝く。
静かな時は能動的で、共にあるときを賛美すれば、

「あぁ。」

言葉は短くとも、きっとお互いに分かり合える。
例え、それが顔が見えない肩と手の温もりだけでも。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.081690788269043