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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/29 02:12
幕間その3 曰く、チョーカッコいい男






アリアドネーからオスティアへ彼が研究員として派遣された後、
この研究室は静かになった。

「ハニー、無視しないで下さい。」

今も何か聞こえているが、きっとこれは幻聴だろう。

「マイハニー、愛おしい私は目の前にいますよ?」

幻聴がして、目の前を手のようなものがヒラヒラする幻覚も見れるが、
彼がここにいるはずが無い。
なにせ、彼の派遣期間はまだ3ヵ月ほど残っている。
そんな状況で彼がここに居る訳も無ければ、
何だか大変な事になっているオスティアから出れる訳が無い。

「所長、私、今からハニーと結婚するんで立会人お願いします。」

幻聴がそう言っても、所長が答えるはず・・・・、

「あぁ、おめでとうクーネ君。子供が出来たらあわせておくれ。」

「するかボケェ!!なんでお前がここにいる!派遣期間も残っていて、
 おまけにオスティアは国が焼けて大変な事になっているんだろう!!」

答えるはず無い。
と、思っていた所長はとても穏やかな顔で後輩のクーネの寝言を承諾し、
幻聴だと思いその場にいないように扱っていたクーネがここにいる。
ヘカテスから帰ってここに直行したのか、着ているのは白衣ではなく、
ローブと杖、それにカバンを横に置いている。
そして、何時ものように、綺麗な顔に綺麗に微笑を浮かべて口を開く。

「いいじゃないですかマイハニー、私と貴女はいずれ運命に導かれ1つになるのですから。」

そう言うと、彼女は疲れたように『はぁ・・・』と思いため息をつき口を開いた。

「とりあえず、私はハニーなんていう甘ったるい名前ではない。」

そう言うと、クーネは首をすくめ手の平を上にして、
やれやれといった感じに、

「いいじゃないですか、シュガー甘ったるい・イマさん。元からそんなに甘そうな名前なんですから。」

そう私が言うと、彼女は机に突っ伏して顔を私から背け、

「なら、イマさんと他人行儀にヨソヨソしく、更に筆談でコミュニケーションをとってくれないか?」

「ふむ、と、言う事はイマさんは私から随時ラブレターを送って欲しいんですね?」

そう言うと、がばっと起き上がって机を両手でバンと叩きながら、

「なんで筆談からラブコールに発展する!!」

ふむ、私はラブコールと言った覚えは無いのですが、まぁ、しいて言うなら、

「マイハニーへの溢れ出る気持ちを書けば、それはたちまち全てラブレターになりますよ。」

そう、キザったらしく髪を書き上げた後、所長と話し出した。
はぁ、私、シュガー・イマとクーネ・フィリウスがであったのは数年前。
私がこの研究室に勤めだして4年が経ち、そろそろ部下を雇ってはどうかと言われた時に、所長の勧めでクーネと出会う。
ただ、断言できるのは出会った当初のクーネはこんな変な性格ではなく、
どちらかと言うと物静かで、当初はこことは別の部署に居たが、そこでは浮いた存在だった。

そこに興味を覚え、所長に聞いたところ、このクーネと言う男は真祖と同じ学び舎で学び、
更にはそこで、真祖の追っかけをやっていたと言う事で、出会った当初はその部署で浮いた存在となっていた。
ただ、それでも彼は初めて話した時も今のような微笑を顔に浮べ穏やかに話していた。
そして、私はその人格と、今まで彼がやっていた研究、そして一番の決めてはもう薄れているだろうが真祖との繋がりが在った事。
これらを鑑みて彼を部下として私の元に引き抜いた。

私達がやっている研究と言うのは御伽噺の調査。
いわば、もしかすれば何処かにあるかも知れない別の世界のへと繋がる扉。
それについて研究しているのだが、どうも今のところ成果は芳しくないし、
事実、在るのか無いのか、それすらもはっきりしない事を研究しているこの部署の研究資金も芳しくは無い。
だが、それでも遺跡調査をすれば別の世界との繋がりを暗示するような物が出てくるので、この部署はなくならない。
なので、最終的にこの部署の位置づけは、各国への派遣員への同行を行っての技術調査と、
その合間での遺跡や歴史物の調査となっている。

そして、そんな中で真祖と言うモノの位置づけは非常に微妙な立場にある。
はっきり言ってしまえば、生きた化石だと言っても遜色は無い。
なにせ、真祖自体、どうやって生まれ何処に消えていったのか、
何のために存在し、誰がその生を願ったのか。
そういったモノは全て霧の中だ。
事実、今の真祖が表れるまで真祖も御伽噺の産物だと思われていた。

だが、その御伽噺は皮肉にも真祖自身の手で、その存在が御伽噺で無い事を証明される。
出現当初は研究員の誰しもがその存在を疑い、盛り上がっていたのは賞金稼ぎ達だった。
だが、それも賞金稼ぎ達の報告で疑いも晴れる。
そして、今のクーネの価値と言うのは研究所では一般研究員とは雲泥の差がある。
事実、本物の真祖と共に学校に通っていた、生きた証言と言うのは各研究で役に立つ、
だが、彼は今も私の部下でいる。

「とりあえず、今の所の口答報告はこれぐらいですね所長。
 あ、後オスティアの姫からの感謝状です。」

そう言いながら、所長と話していた話を切った。
まぁ、そのほとんどがオスティアでの魔法技術の事と、鬼神兵と呼ばれる新兵器の事。
兵器に興味はないので、私はあんまり関心の無い事だ。
そんな事を思って書類整理をしていると、クーネが私の顔を覗き込みながら、

「あぁ、ごめんなさいウサギさん。私が目を話した隙に、こんなに弱ってしまって。
 これからは私の愛の炎で貴女を凍えさせる事はありません。さぁ、私の胸に!」

そう言いながら、私の方に大きく腕を広げて優しい笑顔に熱い眼差しで私を見てくる。
言動がまともなら、彼はとても優秀な研究員だ。
そう、言動がまともなら。

「うるさい、黙れ。あっち行け、どっか行け。」

そう言うと、クーネは少し残念そうな顔をしながら、

「フル拒絶ですね・・・・。個人的にはそんな視線も好きなのですが、
 ではこれは私と所長だけで楽しむとしましょう。」

そう言いながら何かを取り出しクーネが所長の方を見ると、

「あぁ、そうだね。真祖の動画なんて早々見れるものじゃないからね、2人で楽しもうか。」

そう、所長は口の前で手を組み目だけで笑っている。
が、そうじゃない、そうじゃぁない!

「所長、今真祖と聞こえましたが・・・?」

そう言うと、顔はそのままに、

「クーネ君の報告と公式発表では違いがあるそうだよ。
 まぁ、あの国も古いからゴタゴタがいくあっても驚きはしないけが、今回はその典型的なものだろう。
 国が焼け、戦艦が壊れ、それを引き起こしたのが自身の国の兵器で、それを壊したのがクーネ君の報告では真祖。
 オスティアの公式報告はよく出来ているが、現地でその現場を見た人間との証言では現地で見た人間の証言の方が生きている。」

所長がそういい、クーネは目の前で苦笑している。

「クーネ、報告書を今すぐ。
 いや、今すぐ口答で事細かにそして、何処に行ったかを詳細に。」

そう言って、私が身を乗り出していると所長が、

「今日はクーネ君も疲れているから、明日口答で真祖の部分は語ってもらうよ。
 下手に詮索して情報漏えいが起こった場合、一番に口封じされるのはクーネ君だろう。
 なので、一旦ブレイクして明日口答のみで報告をしてもらう。」

そう言われても、知的好奇心が止まらない。
そう思っていると、クーネはいそいそと荷物をまとめ出している。

「クーネ、好き好き大好き愛してる。だから、今夜家に行っても?」

そう言うと、クーネはスッと一筋涙を流しながら、

「あぁ、ようやく、ようやく思いが通じた。
 例えそれが、氷河期のような瞳で抑揚も無く囁かれた言葉だとしても、それの愛の囁きに変わりはない。
 その顔が真顔でも、いつかは太陽のように温かみのある表情に変えて見せます。だから今夜貴女を帰えさない。」

そう言いって、クーネは大急ぎで荷物をまとめて研究室を出て行った。

「くっ、早まったか?」

そういえば、所長がクーネの残した資料に目を通しながら、

「フフフ、いいじゃないかシュガー君。
 若いうちだけだよ、あんなにも人の事を思えるのは。
 実際の所、クーネ君とはどうなんだい?私の私見では顔は申し分なく、身長も高い。
 頭の回転も速ければ、戦闘もそれなりにできる。
 まぁ、あの学校の出身者なら嫌でも戦闘ができるようになるだろうが、優良物件だと思うよ彼は。」

そう、資料を少しずらして片目で私を見てくる。
実際、私はクーネの事が嫌いではない・・・・と、思う。
さっき所長が言ったようにクーネは優良物件だ。
顔もよければ背も高い、頭もよければ行動力もある、ただ少し性格が残念な事に目を瞑れば間違いなく優良だ。
が、そこで思うのは、彼の本心がそうなのかと言うところ。

彼はいつも微笑を顔に貼り付け、その本心は表情からは読み取れない。
あるのは彼の口かる紡がれる愛の囁きと行動のみ。
それに、クーネは個人的に真祖化と言う側面で真祖を今も追っているし、
学生時代に学校で立ち上がった、真祖をどうこうする会の会員でもある。
その事を考えると、どうも彼の行動は私を踏み台ないし、共同研究員として見ているのではないかと思う。
そう考えると、どうも彼を信じきることが出来ない。

まぁ、嫌いではないんだけどな。
そう思っていると、所長がニヤニヤしながら私を見ている。
うっ、地味に居心地が悪い。今下手に口を開くと変な事になりそうなので、話題を変えるのが得策か。

「はぁ、優良物権は認めます。ただ、私には彼の本心を読み取る眼力はありません。
 ・・・・・、そういえば、リヴァイヴァ遺跡の再調査の申請どうなりました?」

そう、苦し紛れに話題を変えれば、所長が別の資料を見ながら、

「あぁ、あそこね。却下されたよ、あんな危ない所を発掘調査する資金は出せないとね。」

その言葉に違和感を覚える。
確か、あそこは概観はボロボロでも、内部はまだ倒壊の気配は無と報告してあったはずだけど?

「発掘ですか?内部調査のはずですけど?」

そう、おずおずと所長に進言すると、
何でもないかのように所長は、

「それが、あの遺跡は完全倒壊してね。だから、内部調査ではなく発掘になるわけだよ。
 どの道、あそこは魔物の巣だから、腕の立つ魔法使いがいるし、あそこへの案内人もいる。
 だが、過去の調査でほとんどが終わってるから、今更発掘する資金は出せないんだと。」

「ちょ!ちょっと待ってくださいよ!!あそこの内部構造まだはっきりしてないじゃないですか!?」

そう言うと、所長も眉をひそめながら、

「あぁ、調査はしたいが金がない。それが実情で、倒壊した所為で地下遺跡の発掘は困難。
 今はあそこから持ち出された当時の資料を洗うしかないね。」

そう言って、所長はまた資料を見出した。
うぅ、あそこは私の研究において重要そうな遺跡だったのに。
はぁ、今日はクーネの所で飲ませてもらおう、と、言うか飲まないとやってられない。
そう思い、まだ近くにいるであろうクーネに念話を送る。

(クーネ、酒の用意。とことん飲むよ。)

(えぇ、良いお酒を用意しましょう。)

これでよしと。
いや~、イマさんが家に来て飲んで行ってくれるとは、今夜こそ本当に本当なんでしょうか?
まぁ、とりあえずは行きつけの酒場で酒の調達から始めるとしましょう。

「マスター、ミルクをクラッシュ・ド・アイスで一杯。
 それと、ワインを5本ほど下さいな。」

そう言うと、マスターはミルクを私の前に置いて、私の顔をニヤニヤしながら見て、

「久しぶりじゃねーかクーネ、今日は誰と飲むんだ?
 またヤロウばかり集まって酒盛りか?」

そう言いながら、ワインを見繕ってくれます。

「フフフ、違いますよ、今日は女性とです。予定では未来の妻ですよ。」

そう言うと、マスターは意地悪そうに、

「予定は未定だもんな、まぁ、頑張れや若造。1本いいのを半額でサービスしといてやる。」

ミルクを飲みながらそんな事を話しいて、ふとカウンターの奥を見ると、
きっちりした服装の髪を後ろでまとめたヤツが辛気臭そうに酒を飲んでいた。
どっかで見た顔だな~っと見ていると、その男が両手でグラスを包んで一言、

「はぁ、どうすりゃいいんだ?」

その声でピンと来たので、そいつの横にグラスを持って移動して声をかける。

「やぁ、アノマ。こんな所で奇遇だな。」

そう言うと、少し赤い顔のアノマは少し顔を上げて、

「あぁ、クーネか。」

そういった後、また酒を飲み始めた。
はぁ、今夜はイマさんと酒盛りだって言うのに、こんなの見たらテンションが上がらない。

「どうした?仕事の悩みか?」

そう聞くと、アノマは静かに口を開いて喋りだした。

「仕事・・・か。いや、仕事は順調とは言わないけどボチボチ。」

ふむ、そういえば卒業してこの方、こいつには会っていなかったが今はなにをしているのだろう?
実際の所、学校卒業者で音信不通のヤツは割りといる。
そして、死んでしまったやつも割といる。
発掘業についてトラップで死んだやつ、賞金稼ぎになって賞金首に殺されたやつ。
その他にも魔法の事故に警備隊で魔獣に食われたやつ。
まぁ、この世界なら良くある事だ。森に入れば魔獣がいて、犯罪者も魔法を使う。
マギステル・マギ。この言葉はあくまで思想であり、いわば公共への呼びかけで、
つまりは、力あるヤツは魔法でも使って人を護らないとすぐ死ぬぞと言う戒め。

まぁ、そんな中でこいつに会えてのも何かの縁だろう。
まぁ、会員の中ではこいつをどうあしらうかで議題に上がったこともあったが、
最終的にはその場の勢いとノリでってなってたし。

「そういえば、君は今なにをやっているんだい?」

そう言うと、アノマはグラスを見つめながら、

「教師だ。」

そう一言話して黙り込んだ。

「ほぅ、君が教師ね、よくなれたもんだ。
 まぁ、それはいいとして、悩みはなんだい?」

そう言うと、アノマは暫く黙った後、物々しく口を開き、

「クーネ、好きな人がいて、その人が他の人を好きになれって言った場合どうしたらいいと思う?」

そう聞いてきて。
が、そんなもの決まっている。

「好きな人がいるなら、他の人なんて好きになれないだろ?
 それなら、その好きな人に振り向いてもらうために色々するが?」

そう言うと、アノマはため息をついて、

「そう出来ればな。が、もしそれが出来ない場合は?
 例えば・・・、そう好きな人が死ぬ間際に他の人を好きになってくれとか言ったら?」

あぁ、それなら簡単だ。

「それなら他の人を好きになる。」

そう言うと、アノマ私の顔を睨みながら、

「何だその不誠実さは。お前のいっている事に愛はあるのか?」

その一言は私でもカチンとくるな。
愛があるのか、そんなもの愛があるからこそ、

「愛があるからこそ、その答えを私は選ぶよ。
 死者は微笑まない、死者は喋らない、死者は共に語らう事もできない。
 そして、その死者が最後に願った願いを・・・・、その死者が私に託した思いを、
 私は少なくとも無駄には出来ない。」

そう睨み返すと、アノマは苦虫を噛み潰したような顔で、

「例えが悪かった。ならば、仮に生きているのに会えないで、何処に居るのか分からず、
 更にはその子が他の人を好きになってくれと言ったら?」

そう、真剣な目で私の事を見てくる。
そこで、1つピンと来たものがある。
確か、アノマは最後の最後にエヴァンジェリンにあった人物。
そして、そのエヴァンジェリンに恋をしていた。
で、割と人を拒絶している雰囲気があったエヴァンジェリンの周りにいた人物。
そして、たぶんアノマはその彼女の事を言っているのだろう。

「人が人を好きになるのに理由は要らない。
 だが、人が自分以外の人を好きになってくれと言うのには理由がある。
 私はそう思うよ。そして、その理由は大抵そいつに幸せになって欲しいからだろ?
 死ぬ間際のやつは生残ったやつの幸せを願い、離れて会えないやつは残された者の幸せを願い。
 そういったものだと私は考えているよ。」

そう言うと、アノマは私から顔をそらしながら、

「綺麗事だな、それにくさい台詞だ。」

そう言って、私の顔を見ない。

「くさい台詞ね・・・、知らないのかいアノマ、くさい台詞って言うのは最高にカッコいいヤツにしか許されない台詞なんだよ。
 何せ、そのくさい台詞を言うのは大抵そいつの本心を言っている時だからね。
 君だって心当たりに1つや2つあるだろう?
 むしろ、私はそのくさい台詞をいえないヤツの方がかっこ悪いし、生きていないと思うよ。
 人は他人にはなりえない、だから、言葉で話し思いを伝える。
 いくら頭で考えていようと、それを言葉にして世界に羽ばたかせないと相手には通じない。
 それに、私はカッコいいからね、くさい台詞をいくら言おうが咎められるいわれは無いよ。」

そう、首をすくめて見せれば、
アノマはグラスに残った酒を一気に飲み席を立ち上がり、

「お前がカッコいいかは別として、言っている意味は分かる。
 ただ・・・、本当にどうすればいいのかは分からない。
 今のまま人を好きになれば相手に不誠実だし、相手もいい気はしない。
 だから・・・・、たぶん俺にはもう少し時間がいるんだろうな。」

そう言ってアノマはテーブルに小銭を置き店を出て行った。
さてはて、死人の恋煩いならぬ生者の恋煩いとは、
一体どう転ぶかは分からないが、またそれも人生か。

「オイ、クーネ。時間だいぶ経ったがいいのか?」

そう言うのは、袋につめた酒を持つマスター。
時間・・・、ヤバイ!
イマさんは額に角が1本生えてるけど、怒るとそれで頭突きしてくるんだよな。

「あぁ、ありがとうマスター、じゃあ行くよ。」

そう言って店を出る。
辺りはまだ夜の灯りは降りていないようで、人通りも多いし、カップルも多い。
さて、家へ急ぎましょうか、掃除もしないといけませんし。


離れた時も側に居る そう言ったのは君だった

今は見えないその顔を思い浮かべるのは罪なのか?

君が居なくなって空いた席には変わりの人が座る

それは空いた隙間を別のモノで埋めるという事なのか?

鳥籠の鳥は空を飛べない 空を羽ばたく鳥は鳥かごには入れない

壁は薄く顔も見える でも それは本当に君を見ているのか?

言葉をいくら投げようが 隣に居ない君には届かない

居なくなった君は今はなにを見てるの?

君の目にも世界は同じように見えてるの?

傷と絆と言葉と羽と 君に残せるモノ 君が残したモノ

それが君の残したものなら 私はそれを全て心にしまおう


流れていたのは流行の曲。
さてはて、心にしまうより吐き出した方が人に伝わるのにね。




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