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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] ボロボロだな第33話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/07 00:20
ボロボロだな第33話






「チッ!エメト・メト・メメント・モリ 氷槍弾雨!!」

鬼神兵の拳を天高く舞い上がり出の早い魔法をぶつける。
本来ならば、氷王の剣遊の方が効率はいいのだろうが、それを詠唱する時間をくれる気はないらしい。
ついでに言えば、今出した氷槍弾雨ももっと大きな氷を作るべきだっただろう。
鬼神兵にヒットしているが、それがダメージになっているかと聞かれればNOである。

ついでに言えば、鬼神兵はずんぐりしている体の割りに、動きは以外に早く、振るわれる拳は鋭い。
しかも、鬼神兵も町を壊しながら動いているので的が大きいから中るものの、外れたものもある。
更に分の悪い事と言えば、今俺の居る位置も悪い。
ある程度間合いが開いていれば、鬼神兵の動きを見る事もできるだろうが、
額を殴りつけた後そのまま攻撃に転じたため、鬼神兵全体の動きを見る事ができない。

一旦間合いを切りたいが、下手に切れば魔力砲の餌食になる事は必死だ。
艦隊からの射撃は止んでいるが、魔力の高鳴りからして、一点突破でもしようと考えているのだろう。
いい感じに板ばさみで上に上がるしか動きようがない。
が、その用意があるならそれを使わせてもらおう。

(ロベルタ、今からアレの動きを止める。そこを狙って討つように指示をしてくれ。)

そうロベルタに念話で指示を出す。
後ろに後方に控える艦隊の魔力なら、物理現象をともわなくとも、もしかしたら鬼神兵を撃ち抜けるかも知れない。
それなら、アレの足を止めたほうがはるかにいい。
それならば、一旦攻撃を中止して、大きいヤツを詠唱した方がマシか!

「早く頼むぞロベルタ・・・。
 エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精大気に満ちよ!
 白夜の国の 凍土と氷河をこおる大地!!串刺しになれ!!!!」

お嬢様が飛び出し、鬼神兵に一撃を加えた後は艦隊とお嬢様と鬼神兵と言う三つ巴のさまを呈しています。
私も早くお嬢様のお力になれる様、後退した艦隊に念話を飛ばしたいのですがその前に、

「チャチャゼロさん、ご無事ですか?」

「あぁ、何て事は無い。今からエヴァの援護に向かう所だ。」

そう言って二本の槍を構えて意気込んでいます。
ですが、先の鬼神兵の一撃をその体と槍一本で受け止めた所存で、
チャチャゼロさんの片腕は無残にもヒビが入り、いつ壊れてもおかしくない様子。

「チャチャゼロさん、本当に大丈夫なのですね?
 いくらボディの方にダメージが無いとは言え、その腕で戦えば腕が・・・・、
 いえ、下手をすれば貴方自身が砕ける事は必死ですよ?」

そう聞けばチャチャゼロさんは私に背を向け、戦っているお嬢様の方を見ながら、

「ロベルタ、俺は彼女の騎士だ。
 俺の居る場所は今の地べたではなく、彼女の前であり横であり背だ。
 俺は俺が俺である為に俺の居場所に向かう。それは俺にとってとても喜ばしい事であり、
 彼女のために散るなら本望だ。が、彼女は俺に生還こそ誉だと説いた。
 ならば俺は彼女と共に戦い彼女と共に生還する。
 俺の死で我が主が涙を流す事があってはならない。
 故に、今から俺は生き残るために彼女の元に向かう。
 君は君の任務を果たせ。」

そう言って、紅い槍と黄いの槍をピッっと翼のように構え、
空を蹴りながらお嬢様の元にチャチャゼロさんは行ってしまいました。
チャチャゼロさんの背中を見て思うのは、彼の愚直なまでの忠義。
そうですね、私もお嬢様の従者です。それならば私も私の任務を果たしましょう。
ギクシャクした動きで地面に魔法人を書き、それに魔力を流し、
後方に後退し、砲撃を中止しているこの隙に艦隊に届け私の声よ!


ーside艦隊ー


「主砲各艦チャージ完了!隊長、いつでも撃てます!!」

「鬼神兵と交戦中の真祖はダメージは与えている物の未だ有効打を出せない模様です!」

上がってくる報告を聞きながら、眼前のモニターからは目を離さない。
各艦が各艦の斜線軸に被らない様に艦を配置している間に、
一体どう言う訳かは知らないが、真祖が鬼神兵と交戦しだした。
さてどうするか。モニターで真祖と鬼神兵の戦いを見た限りでは、鬼神兵は物理的攻撃には弱いようだ。
その事を考えると今チャージした魔力で障壁を突破できるかは疑問が残る。
ついでに言えば、鬼神兵が動いている分一点集中した魔力砲撃が本体ではなく、
腕などだけに当たる可能性もある。

「攻撃発射後、一体何艦がシールド及び攻撃を仕掛ける事が出来る?」

そう、下でデータ処理を行っている兵に問えば、

「現在までに補給を受けた艦は皆無、
 一点突破が失敗した場合は特攻ぐらいしか攻撃は残されていません。」

クッ、せめて補給があれば砲撃後も戦闘可能なのだろうが、それが無い今ではこの一点突破と特攻、
後は鬼神兵と戦っている真祖が頼みの綱か。
しかし、今更泣き言を言っても始まらん。
ふと自身の拳を見れば小刻みに震えている。それをギュッと握り締め震えを止める。
今更だ、今更ら臆した所で事態は好転しない。
そう思っていると、下の通信兵から声が上がる。

「隊長、各艦に念話でアクセスするものあり!どうされますか?」

「本部からではないのか?」

「違います、念話の術式が本部とは別です。」

このタイミングで念話を送ってくる相手、それを考えると該当する人間は酷く少ない。
しかも、本部では無いとすると後は真祖側からのアプローチと言う考えしか頭に浮かばない。
さて、仮に真祖側の念話だとして俺達に何の用か、それが問題か。

「回線開け!」

そう指示を出すと、スピーカーからどこかで聞いたような感情を消した声が聞こえてくる。

「皆さん始めまして、事態は急を要しますので名乗りはしません。
 これよりお嬢様が鬼神兵の動きを止めます。その隙に砲撃をお願いします。」

その要求に艦の兵たちがざわつく。
が、これは好機だ。この戦闘始まって以来の最上級の好機だ。
各艦の各個艦砲射撃では有効打が叩き出せず、今の一点突破も下手をすれば外れる可能性がある。
そんな中で始めてコチラに訪れた好機だ。

「いいだろう名も名乗らぬ者よ。その好機見逃す事なく受け入れよう。」

そう言いながら、立ち上がりモニターを凝視する。
画面内では巨大な鬼神兵の周りを蚊の様に飛び回りながら攻撃する真祖が見える。
しかし、その攻撃されている鬼神兵も棒立ちではなく、腕を振るい、
或いはその短い足で破壊した町を更に粉にしていく。

「よく聞け!どうやらツキはコチラに向き出したらしい!
 化け物を真祖が足止めしてくれるという、この戦始まって以来の!
 そしてこれを逃せば後は特攻しか残されていないと言う、そんな状況での最上級のチャンスだ!
 各員その双眸で真祖の動きを見逃すな!」

そう、兵に声をかけモニターを凝視する。
画面内では相変わらず真祖が次々と攻撃魔法を使いながら鬼神兵を攻撃するも、
鬼神兵はその巨体と腕を武器に攻撃をいなしていく。
そんな中、真祖の攻撃が止み鬼神兵の攻撃を回避しだした。
それはつまり、詠唱の長い魔法を使おうとしている事。
それはつまり、大規模な魔法を使おうとしているという事。
そして、それはつまり!

「もうじき出番だ!各員!何があっても攻撃を中てろ!
 絶対に外す事無く中てろ!この一撃が明暗を分けると思え!!」

そしてその時は来た。
地上より生える氷の刃が鬼神兵の体に突き刺さり、それにより鬼神兵の動きが止まる。
これだ、この好機。気には食わないが、この時ばかりは真祖に感謝してもいい!

「各艦!!砲撃放てーーーーーー!!!!!!」

指示を下した瞬間、各艦のフルチャージの魔力砲が一点集中で鬼神兵に降り注ぐ。
土埃で様子は見えないが・・・・、

「やったのか・・・・?」


ーside俺達ー


鬼神兵の動きを止め、離脱もするかしないかと言う所での艦隊からの一撃。
障壁のおかげでダメージはないが、今まで使った魔法の所為で疲労はたまる一方。
が、さっきの一撃なら鬼神兵の障壁も突破できただろう。
未だに砲撃の所為で土埃が舞い上がり視界は悪いが・・・・、
そんな中後ろからディルムッドの声がしたので振り向く

「大丈夫かエヴァ?」

「ハァ・・・、まぁ、な。いい加減魔力の使いすぎで疲れてはいるが、
 流石にあれならばどうにかなっ・・・。」

た。その言葉を話す前にディルムッドが紅の槍を構え俺の前に飛び出す。
その様子が妙に遅く見えたと思うと、頭の中にディルムッドの声がしてくる。

(まだだ、まだ決着はついていない!!)

そして、すり抜けたディルムッドの方を振り返ると、そこのは昼かと思うほど明るい。
そんな中聞こえてくるのはディルムッドの勇ましい叫び。

破魔の紅薔薇ゲイ・ジャルグ!!!!」

その声を聴いた瞬間から一気にディルムッドに魔力を流す!
油断した!油断しすぎた!!艦隊から放たれた魔力の大きさで倒された物と、
破壊しつくした物と判断して、その確認すらも取らずに倒したと気を抜いた!!!
クソ!解っていた筈だ!合気道の試合でも気を抜いた瞬間が一番危ないという事を!
自衛隊でも確認を取らずに判断する事が、どれほど危険かを教え込まされていた筈なのに!!
この時この場で俺は俺の持つ経験を活かしきれなかった!!!!

「クソ!!!!!死ぬなよ!!!絶対に壊れるなよ!!!
 絶対に私を1人にするなよ!!!!!!!」

そう叫びながら、ディルムッドにひたすらに魔力を流す。
殺させてなるものか!こいつをこんな所で終わらせてなるものか!!!
しかし、そんな中、目の前に居るディルムッドからペキリ・・・、またペキリと嫌な音がしだす。
クソ!!早く終われ、早く!!!
その願いが通じたのか段々と魔力砲が終息しだす。
が、ディルムッドの方も限界が近い!!

「ディルムッド!お前の忠義しかと受け取った!
 が、今お前を朽ち果てさせる事はできない!!!」

「な!?エヴァ!」

そう言って、終息に向かう魔力砲の中からエヴァが俺の体を持ち一気に外に投げつける。
投げられて顔だけエヴァの方を向ければ、一瞬砲撃をエヴァの障壁が受け止めるも、
パキンと言う音と共に一気に砕け散った。
そんな中でも、エヴァは離脱したように見えるが、

「大丈夫か、我が騎士よ。」

そう声をかけたエヴァの体は、両足の太ももから下が吹き飛んでいる。

「大丈夫かじゃない!!なんでこんな無茶を!!!」

そう声を荒げれば、スッと俺の体を指差し、

「腕が消し飛んでいては護る物も護れんだろう?
 私の体の心配は無用だ。まだ・・・・、いける。」

そう言って、自身の腕のある位置を見れば肩から先が消し飛んでいる。
エヴァの方は体を再生しだしているが、何時もよりその再生速度は遅く感じる。

「エヴァ・・・、もしかして魔力が?」

「なに、まだいける。まだやれる。ハン!この程度でくたばるほど私はヤワではない!
 それより、まだアレが動くなら・・・、来るぞ!!」

息が乱れる・・・、体もきつい・・・、流石に消し飛ばされたのでは、
肉体が残っていないので魔力で再生するにしても普段の倍以上の魔力がかかる。
そんな中、さっきの砲撃で煙が晴れてたと頃を見れば、胴体の一部が吹き飛んでいるもののいまだ健在な鬼神兵。
何処の馬鹿が作ったかは知らんが頑丈すぎだ。
ついでに言えば、壊された箇所を再生した所為か鬼神兵自体が少し小さくなったような気もする。
が、まだだ、諦めが悪かろうが、なんと言われようがアレを倒す!

「エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精 祖の切っ先は 全てを切り捨て凍て付かせる
 我が前に現れるは 優美なる剣群 降り注ぐは 凍結の調べ 氷王の剣遊!行くぞ!我が騎士よ!!」

「あぁ!行こうか主よ!!」

魔法を詠唱し、再びディルムッドと共に鬼神兵に攻撃を仕掛ける。
上下左右、ありとあらゆる方向からオールレンジ攻撃を仕掛け、
放つ魔法の数もすでに20を越えたあたりから数えてはいない。
辺りを飛んでいる氷剣も最初に作った数より鬼神兵に砕かれ、或いは鬼神兵を穿ち消えていく。
残りの剣は5本、ディルムッドも咸卦法を発動し鬼神兵に攻撃を仕掛けていく。
せめて、あの魔力砲さえなければまだやりようはある!

「ディルムッド!!そいつの注意をそらせ!!!」

「任された!!!」

そう言って鬼神兵の目のあたりを攻撃しだす。
その隙に、氷剣3本で巨大な杭を作り、残り2本をその後方に置き、一気に射出する!!

「喰らえデカ物が!!!」

そう言って、射出された杭を鬼神兵はまた口を開き魔力砲で迎撃しようとする。
しかし、

「やらせるか!!!」

そう言って、ディルムッドが鬼神兵の顎の下から一気に槍を上に投げ、顎を叩き上げて口をふさぐ。
体は大きく開き、この状況なら杭が体に刺さると思った瞬間、鬼神兵は大きな拳を振るい、その拳で杭を受け止める。
杭の刺さった拳は凍結し崩壊しだすが、鬼神兵はそのまま拳を振りぬく!
だが、俺はまだやれる、まだ戦える、そう思っていたが、
どうやら体は俺の想像していた以上に体は消耗していたらしい。

回避しようとすれば、動きは遅く、鬼神兵の迫る拳が妙に遅く感じる。
それでも諦めずに逃げようと飛ぶが、どうしても速度が伴わない。
当たると確信して両手を突き出して障壁を張ったが、障壁は簡単に砕け、
突き出した両手の骨がポキリ、またポキリと砕け、
やがてそれが肩まで伝わり、その頃には体全体でその拳を受け止めていた。
体全体に拳が当たった瞬間、体を突き抜けるような衝撃が走り、肋骨がひしゃげ、息が出来ない。
そんな中でも鬼神兵の拳の速度は緩まない。

無理だ・・・、流石に・・・・、

これ以上・・・・、意識が・・・・・・、

たもて・・・・・、な・・・・・、い・・・・。


ーside艦隊ー


魔力砲を撃った後、俺も含めて隊員は全員勝利を信じていた。
しかし、モウモウと立ち上がる土埃を光りが貫いた。
そしてそこから現れるは、多少小さくなったものの、いまだ健在な鬼神兵。
そして、兵が呟く。

「鬼神兵いまだ健在・・・・・。」

その言葉に、一気に兵の指揮が下がる。
当然だろう、今ある艦隊で出せる正真正銘最高の一撃。
しかし、その一撃は鬼神兵には通じなかった・・・・。
そう思って、モニターを見続ければ、そこには魔法を放ち、鬼神兵に喰らいつこうとする真祖。
誰も、何も発さずその光景をモニター越しに見る。
真祖が何故戦っているのかは知らない。
真祖がなにをしたいのかは知らない。
だが、アレは間違いなく、

生きるために足掻いている!!!!

「く・・・・、クハハハハハハハハハハ・・・・・・。」

その俺の笑い声に兵がギョッとして俺を見る。
が、そんな事を気にせず腹を抱えて笑った。
たぶん、兵は俺が恐怖でおかしくなったと思うだろうが、そうじゃない!

「オイ、広域念話まだいけるか?」

「は、はい!」

一瞬はなしかけた兵がビクッっとしながら答えたが、今はそんな事を気にしている暇はない。

「全員よく聞け!どうやら俺達は全員一丸で勝利への扉をノックしたが、扉はまだ開かないらしい。
 ならどうする?おびえて逃げ帰るか?このままここで棒立ちして的になるか?
 馬鹿を言うな!!!俺はこの国の騎士だ!!お前達もこの国の騎士だ!!!
 それが寄って集って部外者真祖の観戦とはどういう了見だ!!!
 ノックがして扉が開かないなら叩き壊せ!!!この国は俺達の国だ!!!!この国を護るのは俺達の仕事だ!!!!
 あんなヤツに任せるな!!!恐怖におびえる者!絶望する者!そんなヤツは今すぐ退艦しろ!!
 今から艦隊は散開し鬼神兵に特攻をかける!!!魔力の残量の多い上位2艦は王宮前に陣取り最後まで粘れ!!
 他の艦は真祖が戦っている間に全方位に散らばり特攻及び脱出準備しろ!!」

そう言うと、一気に辺りから声が上がる。

「さてと、脱出の杖もあるし、操舵室、エンジンどうよ?」

「オイ、ほかを探してもこんな高い鉄の棺桶ねーよな?」

「バカ、棺桶っつーより鉄槌だろ?神へのよ。」

「神殺し、いいあだ名じゃねーか!」

「お前飛ぶの苦手じゃなかったっけ?」

「まさか、空中戦艦乗りが飛べねーわけねーだろ。むしろ、飛べねーと空中戦艦乗れねえよ。」

口々に兵が軽る口をたたき出す。
この時ばかりは、今の兵たちに感謝しよう。
さっきのアレで、心が折れても仕方ないような状況でなお、軽る口を叩けるこいつ等に。
そう思っている間に各員は脱出用の準備を整える。
俺はそれを見ながらイスにどっかりと座り込む。
実は、艦隊を預かる隊長には脱出用の杖などは用意されない。
理由は、艦を最後まで守り抜き、居座るため。
そのため最後の最後まで粘る覚悟をさせる為に、各人で杖や杖無しの飛行術を身に着けないといけない。
そして、俺は元々死ぬ気で居たから、そんなものマスターした覚えも無ければ、杖を積んだ覚えも無い。
まぁ、こうやって散るのも悪く・・・・、

コトン・・・・。

無い。そう思う前に背後で音がしたので視て見れば、そこには箒が1つ。
はぁ、真祖はお節介だと思う。それも超ド級の。
何せ、俺をここまで運んだのは真祖の箒だ。
戦いのさなかで箒の事を忘れたのも俺だ。
そして、最後の散る覚悟を決める前に真祖の箒は音を立てて自身の有る場所を示した。
その箒を拾いながら、

「お前に使命を果たせといった覚えは無いが、それでもお前の主の心をくむか。」

そう言っている間にも艦隊は特攻するために散開していく。
ただ、気がかりなのは先ほど殴り飛ばされて真祖が王宮に飛んで行った事か。


ーside王宮ー


「姫、大丈夫ですか?」

「わらわの事はよい!!それより事態はどうなったのじゃ!!」

バルコニーから歯痒くも戦況を見守っていれば、
昼かと思うほどの明るさを放つ魔力砲が艦隊より放たれ鬼神兵を衝いた。
その瞬間、ここにいる兵全員が、いや、おそらく艦に乗っている兵たちも含めて勝利を確信したはずじゃ。
じゃが、それは一体どんなペテンか、土埃の奥より放たれた一筋の光は全ての埃を払い、
いまだ健在な鬼神兵の姿をあらわにする。

「アレでも・・・・、あれほどの魔力でも鬼神兵には・・・、神には通じぬというのか?」

鬼神兵の健在な姿にその場にペタンと尻餅をつく。
アレでダメなら、たぶんこの国にある兵器全てがあれに通用する見込みがなくなる。
何せ、今空に浮かんでいる艦隊が最新鋭の物なのじゃから。
そんな中、兵に連れられて1人の白衣を着た男が現れる。

「姫、お気を確かにドーティア姫!」

「・・・・、おぬしは誰じゃ?」

目の前の綺麗な顔をした男は、わらわに手を差し伸べて微笑みかけながら、

「アリアドネーより技術部に派遣されているクーネ・フィリウスです。
 たった今アレの操縦室らしき場所が発見されましたのでその御報告に。」

そういいながら、クーネはわらわの差し出した手を力強く掴みながら立たせてくれた。
しかし、そんな事よりじゃ!

「アレの操縦室と申したか!?
 何処じゃ、アレを止めるにはどうすればいいのじゃ!?」

「お、落ち着いてください!そんな襟首を掴んで揺すらないで下さい。」

そう言うとドーティアが手を放す。

「ふぅ、少し気持ちよかったですが・・・・、今は急を要しますか続きは後ほど、
 先ほどの報告は本当ですよ、シュヴァル氏の研究室を文字通りひっくり返して、
 最近までに申請のあった実験設備等を調べた結果判明した事です。
 たぶん、この国の兵たちがもうそちらに向かって確保している頃でしょう。」

そう言って、クーネと言う男はわらわに数枚の書類を手渡してくれる。
そしてその書類に目を通せば、シュバルと言う男が申請してきた実験の申請書。
それと、そこで行われていた実験の数々の報告。

「クーネよ、アレを倒す方法が載っておらんように見えるのだが・・・・。」

「はい。事実上、アレの操縦室を確保しても鬼神兵は残ります。
 あそこに見える鬼神兵は、実際の所暴走状態か微妙なラインなのですよ。
 何せ、アレの操縦方法が精神リンクによる制御ですからね。
 現状では、操縦室を確保できても、そこでリンクを切るとどうなるかは不明なんです。」

そう言って、クーネはわらわの前で首をすくめて見せる。

「それでは打開策が見当たらん出はないか!!!!!」

そ叫ぶ頃にはクーネは両手の人差し指を耳に差込、外の音を遮断している。
この男、わらわのことをおちょくっておるな!?

「こら!わらわの話を聞け!一体どうするというの・・・。」

わらわが最後の言葉を言い終わる前に、クーネはわらわに覆いかぶさるように抱きかかえ、
魔力障壁を展開した直後にバルコニーに破壊の嵐を巻き起こしながら何かが飛び込んでくる。
一体なんじゃ!?とうとうここにも砲撃が飛んできたか!?
そう思っていると、わらわを護っていたクーネがすっくと立ち上がり、白衣に付いた埃を払いながら、

「あ~、そこの君たち、どちらでもいいから剣を貸していただけないかな?」

クーネは一体なにが飛んできたか知っておるのじゃろうか?

「クーネよ、一体剣でなにをする?
 それになにが起こったかいってみよ。」

そう言うと、クーネは兵より剣を受け取りながら、

「いや~、うちの学校もう閉校して潰れちゃいましてね、
 集まって飲もうにも中々人も集まらないんですよ。ごく一部、私の所属する会をのぞいてですけど。
 だから、こんな所で彼女に出会えたのは私にとって奇跡なんです。何せ、私達のマドンナですから。」

そういって、ウインクしながら剣を小脇に挟み、
飛んできたモノが埋まっているであろう場所を掘り起こしておる。
それで何となく誰が飛んで来たか理解した。
アリアドネー、から派遣されたというこの男の知る人物で、なおかつ今このバルコニーに飛んできそうなもの。
そんな人物はこの場所において1人しかおらん・・・・、闇の福音とも、不死の魔法使いとも呼ばれる・・・、
真祖、エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル。

その人物しかおらん。そう思い、クーネに近寄ると、クーネの退かしていた瓦礫の下から出てきたのは、
白い髪に黒い服に覆われた華奢な体、血と埃に塗れていて尚、気品を失わぬ顔。
一体どういう化け物かと思えば・・・・、真祖とはこれほどに小さく儚げな者だったのか・・・・。
体のあちこちが変な方向に曲がっているも、それが今は勝手に直ろうとしている。
しかし、意識が無いためじゃろうか、上手く行っていない様に見える。
そんな事をわらわが思っていると、クーネが何気ない会話を楽しむかのように声を発する。

「さてさて、彼女に目覚めの一杯をご馳走できるとは、他のメンバーに大いに自慢で来る。
 この様に美しい華は早々見当たらない。」

そういいながら、自身の指に先ほど小脇に挟んでいた剣を手に取り、空いた方の手の指に押し付けようとしておる。

「待てクーネよ、いったいなにをするつもりじゃ?」

そう聞くと、クーネはフッっと微笑みながら、

「久々に会えたので、目覚めの一杯でもと。
 それに、彼女が吸血鬼なら血を飲めば魔力も幾分かは回復するでしょう?」

そういいながら、手を切ろうとしているクーネの手から剣を奪う。

「ど、どうされたのです姫!?あ、もしかしてここで真祖を捕まえるとか言うつもりですか?」

スッと表情をなくして喋るクーネを尻目に、
わらわはわらわの手の平の上に剣を起き、

「今は国の一大事じゃ、今真祖を捕まえても何の得もないのは百も承知じゃ。
 じゃが、ここで血を与えても逃げられては事よ。
 ならば、わらわは、わらわのやり方で真祖を鬼神兵に向かわせる!」

近衛兵達が何か言っておるが今は無視じゃ!
真祖の2つ名の中に『血と契約の姫君』と言うものがあったはず。
ならば、わらわの血を代価に契約を結ぼうではないか。
そう思い、手の平に剣を這わせる。
とたん、手の平が熱くなり、深紅の球が手の平に浮かびだす。

その手をギュッと握り、方膝を付き真祖の小さな体を抱き起こすように抱え、その口に血を流し込む。
最初は狙いが定まらず唇をぬらし、唇に紅を引いたようになったが、それも最初だけ。
今はちゃんと口に血が入っておる。そして、無意識なのかは知らぬが、
小さく開いた口の中では赤い舌が血の味を楽しむかのように蠢き、コクリコクリと喉が動くのも見える。

「ん・・・・、あ・・・・。」

口の中にいろんな味が広がる。
恐怖に慄く苦味。希望に縋る酸味。好奇心向ける辛味。そして最後に血本来の持つ甘味。
トータルすると、たぶんこの血は美味い。
しかし、俺は何故血なんてものを味わっている・・・・?
でも、これは中々・・・・・、まて!!!!
そう思い目をパッと見開く。すると目に飛び込んできたのは女性の顔と、白衣を着たどこかで見たような男の顔。
一体どういう状況かと思っていれば、その女性が口を開いた。

「おぉ!!目を覚ましたか!ならばお前に話がある。」

女性が無いか言っているが、今はそんな場合では無い!
一体どれくらい気絶していた!ヤバイ、ヤバイぞこれは!

「悪いが時間が無い。行かせてもらう。」

「こ、これ待つのじゃ!血と契約の姫君よ!わらわは代価を払ったのじゃぞ!」

そう言われたので、女性の方を見れば、血に塗れた手の平を向けてくる。
なるほど、先ほど味わった血は彼女の物か。
そう思っていると、彼女が捲くし立てる様に話してくる。

「わらわは血を代価に払った、契約内容は鬼神兵の破壊じゃ!問題あるか?」

そう、手の平をかざし、俺に意思の強そうな眼差しを向けてくる。
損は無し、得は今の俺の魔力の回復。
ならば、手を向ける女性の手をとり、血塗れの手の平を舐める。
口に広がり、体内に流れ込んだ血からは魔力が生まれる。

「確かに、代価は受け取った。鬼神兵の破壊、契約しよう。」

「おぉ!!たのむぞ!」

そう言ってはしゃぐ女性を尻目に魔力をたどり鬼神兵の方を見る。
ディルムッドはまだ落ちていない、証拠に片腕を無くした鬼神兵が艦隊に構わず自身の周りを手で払っている。
それに、まだディルムッドに魔力が流れているのを感じる!
それなら、一体どうやってアレを倒すか考えろ!
やり様はあるはずだ。なにか・・・・、ある。
そうだ、彼女自身がやったことじゃないか神殺しは!!
たぶん、今の俺では力が足りない魔力も残り少ない。でも、それでもやり様は有る!!
スーッっと空気を肺にと取り込み、その空気を声にして吐き出す!

「エメト・メト・メメント・モリ!」

彼女が右手を横に突き出して詠唱したとたん空間がざわめいた。
しかし、それも気にせず真祖は詠唱を続ける。

「来れ 深淵の闇 燃え盛る大剣!!闇と影と憎悪と破壊 復讐の大焔!!」

それは闇系統の魔法。

「我を焼け 彼を焼け そはただ焼き尽くす者!!」

それは黒き焔により辺りを焼き尽くす殲滅魔法。

「いったいなんじゃ!なんなのじゃ!!クーネ、アレはなんじゃ!」

「落ち着いてください姫。」

そう言って姫の前に出るも集う魔力量からして私ではこれは止めきれない。
彼女は一体を?

「奈落の業火!!」

詠唱は完成したのに、その魔法は彼女の手の平の上で小さく凝縮されていく。
こんな魔法今まで見たことがない。

「術式固定!!」

そう発言した後、一気にその魔力を体内に取り込む。
馬鹿な!!そんな事をすれば体がはじけ飛ぶかもしれないのに!
しかし、体は弾け飛ぶ事なく、彼女の力を上げていく!

「術式兵僧・獄炎煉我・・・。」

彼女を覆う魔力は闇より暗く、その中で彼女の白髪が白い月の様に浮かぶ。

「ミス・マクダウェル、一体なにを・・・・?」

後ろから声がしたので振り返って見れば、そこにはどこかで見たような顔・・・。
誰だったか・・・・・?

「誰だか知らんが、私には時間がない。
 行かせてもらう。お前を含めて全員障壁をしっかり張っておけ・・・・、制御は不慣れだ!!」

そう言うと彼女はふわりと宙に浮かぶ。
その言葉に従い障壁を張る。でも、その前に彼女に言っておかないと!

「クーネですよー、ミス・マクダウェル。会員のクーネです!!」

その言葉が届いたかどうかはしらない。
何せ、彼女が浮いて空を蹴った瞬間、障壁が壊れるかと思うほどの衝撃がこの部屋を襲ったのだから。


ーside鬼神兵周辺ー


「隊長、各艦配置完了。何時でもいけます!

飛んで行った真祖は、今だ姿を現さない。
だが、それは関係ない!俺達が倒すのは鬼神兵だ!
俺達が今やるべく事は鬼神兵を倒すことだ!
それ以外にわき目を振り絞っている暇は無い!!

「各艦必要最小限の人員を残し兵を離脱させろ。
 そして、最小限で残った人員に告ぐ・・・・、死ぬな!!!
 以上だ!」

そう言うと、各艦から念話が飛んでくる。

「隊長、貴女の部下で幸せです。また空を飛び国を護りましょう。」

「先に失礼します。必ず生きて離脱を!」

そう、各艦から声がする中、ひとつ聞き覚えの無い声がする。

「特攻を待ってください、お嬢様が来ます。」

それは確か、名も名乗らなかった真祖の従者。
しかし、お嬢様が来ますだと?
殴り飛ばされてこの方戦っていたのは槍を持つ人形だけだ。
しかしそれが今になって真祖が戻ってきただと?
そう思っていると、宮殿の前の艦より念話が入る。

「隊長!真祖が猛スピードで鬼神兵に接近中!」

「もういい、もう見えている!」

高速で飛んできた真祖はそのまま鬼神兵を殴りつけ、
鬼神兵も今度は耐える事ができず、大きな音を立てながら地面に背中から倒れこむ。
そして、空中に残ったのは人形と真祖のみ。

エヴァが殴り飛ばされて、残ったのは俺1人。
鬼神兵と言う神を使った兵器と対峙して、自身の持つ新しい技も新しい力も全て使う
しかし、それでも、なお目の前の鬼神兵と呼ばれる兵器は強い!
それにエヴァの事も心配でならない。なので、ロベルタに念話での安否確認を取ったが、

(ロベルタ!エヴァと念話はつながったか?)

(まだです、お嬢様が死ぬわけはありませんが、それでも応答が取れないんです!)

(落ち着け!)

エヴァと連絡が取れないと焦るロベルタ。
そして、その焦りは俺の心にも伝染する。
彼女は灰になっても死なない。彼女はただの攻撃ではしにはしない。
そう思い、自身の心を彼女を信じて硬くし、鬼神兵に槍で気を飛ばし攻撃する。
くっ、中ってるのにダメージが見て取れない。
そう思って1度鬼神兵と距離を取ると、白と黒の混じった弾丸のようなものが鬼神兵の額に当たり、
中った鬼神兵はその衝撃に耐え切ることなく、地面に背をつける。
そして、彼女は振り返りながら、

「我が騎士よ、背中が寒くなかったか?」

そう、黒い闇を纏った彼女はニィッと片方の頬を吊り上げながら俺に聞いてくる。

「なに、艦隊のからの視線が熱くてね。」

互いに顔を合わせてニィッと笑う。
ここにロベルタがいれば、たぶん彼女も笑っているだろう。
そう思っていると、彼女は地面に倒れた鬼神兵を眼下に置きながら、

「我が騎士よ、私は今からお前に酷い事を言う。」

「あぁ。」

「今から殲滅魔法を展開する。詠唱から発動まで約2分、
 その間、私はそれで体一杯になる。」

そう言って、彼女は俺の目を見ながら、

「だから、護りぬけ!ありとあらゆる方法で、ありとあらゆる力で、幸運も悪運も全て使って護り抜け!
 そして、最後はキサマがしとめろ。キサマの新しい力を使ってキサマが止めをさせ!」

「あぁ!!」


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