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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 英雄の横顔かな第32話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/28 22:28
英雄の横顔かな第32話






艦に帰還を果たしブリッジまで走り抜けて、そこで見たのはオロオロする兵たち。
まったく、今のこの艦隊の指揮者は誰だ!?
こんな状態で隊を運用しても目の前の化け物の餌食になるだけだろう!
苛立ちを抑え、浮き足立っている兵たちに、

「落ち着けバカども!!そんな浮き足立った状態でアレを撃破できると思っているのか!?
 現指揮官は現在を持って解任、この艦隊の指揮は俺が取る!」

そう一喝し、次々と兵達に指示を出していく。

「現在ポイントより最終防衛ラインを後方40k!
 情報処理班!今上がっている情報を全てまとめて、アレを撃破するのに必要な魔力量を算出!
 なお、現在に至るまでの被害損失状況の報告!
 通信班!広域念話をフルオープンで配信すると全艦に通達!なお、事後の指揮は俺が取ると通達!
 各艦の武装整備班!これは演習ではない現実だ!全武装を再点検し報告をまわせ!
 いざと言う時に使えません何てほざいてみろ、俺がキサマらを処断する!
 さぁキリキリ動け!下手を打てば死ぬのは同胞ではなく家族か恋人だと思え!!
 俺達の後ろには城があり避難所があり、そこに集まっている者たちがいる!」

そう各人に発破をかけ兵達を動かし、俺はブリッジの隊長席へとつく。
今俺が生きている事、している事が正解なのかは分からない。
だが、それでもその正解も不正解も生きていなければ解らない。
そして、今俺がいる場所が、そう、ここが俺の居場所か・・・・、この席が今の俺のいる場所か・・・・。
なるほど、なら、文字通り刺し違えてでも生きるために目の前の怪物をぶち殺すとしよう。
そう思っていると、ブリッジの兵たちから次々と情報が上がってくる。

「現在の大破艦6機、中破艦4機、小破艦10機なお、中破艦小破艦に関しては戦闘続行可能!」

「広域念話スタンバイ完了!いつでも隊長の指示が通達できます!」

「各整備班より通電!武装に問題のある艦なし!全てオールグリーンとの事!」

各報告を聞きながら数キロ先に対峙する化け物に最適な陣形を考える。
しかし、現時点では艦を散開させるのは危険だ、下手にバラければ端から一機ずつ落とされる可能性がある。
かといって、密集していれば一撃で何隻持っていかれるか分からない。
チッ、後ろの城は動かせず、目の前の化け物は好き放題砲撃し、こちらは守りの一辺倒。
分が悪いどころの話ではない。

「情報処理班!報告はまだか!
 それと、新造戦艦隊の魔力シールドでアレの砲撃に何発耐えられる?」

そう聞けば、

「最大展開で2発、ただ、2発目の砲撃を受けた場合、新造戦艦が落ちる可能性があると本部より通達!
 なお、撃破に必要な魔力算出は不明!!」

2発か・・・・、いや、実質1発といっている様なものか。
しかも、敵を撃破するのに必要な魔力量まで不明と来た。
クッ、笑い話にしても、ジョークにしても性質が悪すぎる。
ただ、救いがあるとすれば、俺が外からあの化け物を見れた事だろう、
そのおかげで、あの怪物が攻撃を行う際必ず口を開くという動作をとらないという事が分かっている。
更に言えば、それ以外は武装らしい武装はなく、あるとすれば、それはアレについている手足ぐらいだろう。
そういう情報のもと導き出す陣形は、

「山型の陣形を展開!前方には中破、小破艦を置き艦を捨石とする。
 各艦に乗っているものは大至急脱出の準備をすると共に最後まで粘れ!
 なお、後方の艦は砲撃準備!集中砲火にてアレを叩き潰す!」

指示を下し陣形を整えるしかし、その間にも、

「先頭艦被弾!高度及び制御不能!!」

まったく、神と言うよりは悪食鬼だな、
陣を整えるまでの時間さえくれないのか・・・・、

「被弾した艦のクルーは退艦!!なお、化け物にぶつけれるなら特攻させろ!!
 なお、他の艦はシールドに全魔力をまわせ!!攻撃する前に落とされては犬死もいい所だ!!」

そう指示を下しながらも、刻々と時間は過ぎ、指示のとおり陣を組み上げて行く。
そして、

「各艦配置完了!なお、配置までの間に3艦隊大破、うち特攻に成功した艦は0!
 全て魔力砲で撃墜されました!」

チッ、考え無しに撃っている訳ではないという事か。
特攻していく艦は後一歩の所で鬼神兵の魔力砲に阻まれ決定打にならない。
だが、それでも俺は引く事は出来ない。
いや、今この艦にいるやつら、いや!今この隊にいるやつら皆が皆、強い眼差しで化け物を睨んでいる。
友をなくし、居場所を無くし、死と言う希望を握り潰された俺には、もう、今いるこの場所しか残っていない。
何時もの様な平穏、それが今はたまらなく愛おしい。

「チッ、神の如き化け物か、神が化け物か、或いは化け物が神か・・・・。
 みんなよく聞け!ここは天国でも地獄でもなく俺達の町だ!好きかって暴れまわるヤツには俺達が鉄槌を下す!
 引く事なかれ、恐るる事なかれ、見誤る事なかれ、しかして我等は一筋の光とならん!
 ここが正念場だ、機械に気合を入れろといっても仕方はないが、それでもあえて言おう!
 この国を守るために作られたのなら使命を果たせ以上だ!一斉射撃開始!!」

その指示の元、各艦より幾重もの魔力砲の光の筋が化け物を襲う。
しかし、

「障壁の突破なりません!」

そうクルーが泣き言を漏らす。
眼前に見える化け物に攻撃は中っているが有効打にはならない。
障壁を突破する方法は1つは直接触れて攻撃する事、1つは突破術式を込めてそれに見合う魔力を使って突破する事、
そして最後は、問答無用の力技、すなわち突破式に魔力を割かず、攻撃に全てを集約する事。

「泣き言はいい!今ある武装で最大出力の攻撃を出せ!!
 一点集中砲火で障壁を突き破る!!各艦は主砲の魔力を再チャージ!
 攻撃集約地点は追って通達する!!」

そう指示を出し、どっかりとイスに座り込む。
生きているなら足掻いて見せろ・・・、か。
ハッ!いいだろうさ、少なくとも、今この時この場は足掻きぬいて見せるさ!
例え俺の命を使い潰そうともなぁ!

「・・・・、俺は真祖に死ではなく生を持っていかれていたか。」

そう思いながら、眼前の化け物を睨みすえる。


ーside王宮ー


一体なんじゃ、何が起こっておるのじゃ!

「兵よ、一体何が起こっておる!自体の究明は!?」

昨日からの真祖騒ぎが終わり、ようやく安寧が訪れたかと思えばなんじゃ!
町からはコゲすえたような臭いがし、外は夜のはずなのに昼かと思うほど明るい。
一体何が起こったというのじゃ!
そう思い、自室のテラスまでを一気に駆け抜ける。
そして、そこから見えるのは・・・・、

「わらわの国が・・・、オスティアが燃えておる・・・・・。
 兵よ!!一体何が起こっておる!戦か!?何処かがわらわ達の国を攻めたか!?」

「姫、落ち着いてください。今詳細を確かめている所存です。」

そうわらわに返してくるのは鎧を着て武装した近衛兵。
しかし、

「遅い!!自体は今目の前で刻々と過ぎておる!
 それを何故今まで報告もせず見過ごした!?わらわはオスティアの女王ぞ!
 わらわの仕事はこの国を守り、民の笑顔を守る事ぞ!それが何だこの有様は!
 笑顔どころか、恐怖に慄く顔しか浮かべる事しかできぬではないか!」

そう怒鳴りつけているうちに一人の兵が部屋になだれ込んで来る。

「姫、報告します!
 現在起こっている事態は、技術開発部よりかねてより報告のあった鬼神兵の所存と思われます!」

鬼神兵・・・、確か小耳に挟んだ程度ではあったが・・・・、

「何故それが国内で暴れておる?」

そう問えばみな、口を閉ざす。
えぇい、今この場で目の前の兵たちに暇を出そうか?
いや、一時の感情で物事を決めては器が知れる。
かねてより父は、緊急時には冷静さをとおっしゃっておった。

「技術開発部に連絡を入れ、自体の全容を確かめよ。
 アレがいかな風にして動かされているかがつかめれば対処の糸口も見つかるであろう。
 可及的速やかに対処の糸口を見つけ対処せよ!
 眼前に浮かぶ艦隊はこの城を、この国の民達を守ろうと楯となり善戦しておる。
 わらわたちの仕事はけして、それを見ながら玉座でふんぞり返る事ではない!
 現状況に的確に対処し背を守る事ぞ!分かったならばさっさと動けこのアホども!!」

そう言えば、クモの子を散らすように人が引いて行く。
何たる不覚、

「国がこの様になった後に気がつくとは、何たる不覚じゃ。」

そう思い、燃え落ちる艦と民を守ろうと楯になる艦を見て唇を噛み締める。
そして、約半時後鬼神兵を操っている操縦室らしき場所があることが判明する。


ーsideクライツー


「グガガガガガ・・・・・・!!はぁはぁ・・・・・、ぎぃるるるる・・・・・・!!」

体が痛い、神経が燃える、思考が解ける、自身が侵食される・・・・。
一体どれくらいの時が過ぎた・・・・・?
バイザーをかぶった瞬間から、すでに神経は休まる事なく痛みを供給し続けて、
気がつけば両の手の爪は全て割れ、それでもなお強く掴んだ所為か指に爪がめり込んでいると思う。
口の中はジャリジャリとした感覚と鉄の味が広がる、たぶん歯を食いしばったせいで何処かの歯が砕けたのだろう。
体中からはバツンバツンと何かが切れる音がする・・・・、たぶん、腱や筋肉が千切れているのだろう。
一体俺は何でこんな苦痛を味わっている・・・・?
口から言葉が漏れるたびに、リンクしている鬼神兵は口から魔力光を垂れ流し戦艦を沈めていく。

「がはっ・・・・!ぐぎっ・・・・・!!がっ・・・・!!!」

たぶん、痛みがなければ俺はこの鬼神兵に・・・、神と言うわけの分からない物に飲み込まれ、磨り潰され、
すでに俺として機能していない。否、この悲鳴を上げるだけの惨めな存在は俺として機能しているのだろうか?
俺の目的はなんだった・・・・?
いや、目的があったのか・・・・?

「ガッ、ガッ、ガッ・・・・!」

痛みで頭が下がる、開いた口から何かが垂れる感覚がする。
目に見えるこの光景はたぶん、鬼神兵から見えているオスティアの光景だろう。
赤々と燃え盛る炎は地表を焼き、さながら地獄の業火のようだ。
ハハ、地獄か・・・、それはさぞかし俺にお似合いの場所だろう。
血反吐を吐き、痛みで自身を保つという滑稽さで心が砕けそうになる。
一体なんで俺はここに座って艦を落としているんだ?
いや、俺は艦を落としたかったのか・・・・?

「チガウ、確か・・・・。」

頭が垂れ下がった拍子に地上を見れば、黒衣を纏った白髪の子供、それと共にあるのは紅と黄の槍を持った人形。
他にも一人見えるが・・・・、それは関係ない。
そこで頭にこびり付くモノがある。
白髪の子供、紅と黄の槍、探していた人、俺が撃った人・・・・。
あぁ、そうだった、そうだったなぁ。

「俺は真祖を・・・・、俺を・・・・、このくだらない終焉に終止符を打つためにここにいるんだ・・・。」

滑稽で哀れで醜悪で・・・・、神に救いを求めようにも、今俺が血反吐を吐きながら操作しようとしているものが神らしい。
なら、その神は一体何に救いを求めればいいのだろうか・・・?
そして、救いを求めれば全てが元通りになるのだろうか・・・・。

「ハハ、ハハハハハハ・・・・、今更だ・・・・もう今更なんだ・・・・・。
 真祖、八つ当たりは分かっている、だが、彼女のへの手向けだ一緒に死んでくれよ!!」


ーside俺達ー


頭上には艦隊群、眼前には鬼神兵、そして俺たちがいるのはその中間。
元々この場所はオスティアから逃げる為にディルムッド達と集合ポイントを探して、
導き出したこの場所だが、今はそれが悪手以外の何ものでもない。
と、言うよりこのタイミングで鬼神兵なんて物が登場するとは流石に予測できない。
更に運が悪い事と言えば、頭上の艦隊は鬼神兵におされ気味で、ジリジリと後退している事だろう。
本当なら、何も考えずこの場をおさらばしたいのだが、さてどうすべきか・・・・。

「エヴァ、どうする?流石にこのままここにいても炎に巻かれるだけだ。」

「お嬢様、この場は撤退しましょう。アレと私達には何の縁もありません。」

さて、本当にどうするのが正解か。
普通ならにげるのが正解だろうし、ロベルタの言うように俺たちとアレには何の接点もない。
ついでに言えば、今燃えている町から肉の焼ける臭いがしない。
たぶん、ここは俺が砲撃を食らった地点の近くで、住民は避難していたと考えるのが妥当か。
逃げるにしても、この混乱を利用すれば楽に逃げ切れるだろう。
城の方に飛び、そして城を素通りして、そのまま対岸から地上へダイブと言う風に。

が、ふと頭上を眺めればそこに陣取って鬼神兵に攻撃を加える艦隊がいる。
そして、それの指揮を取っているのがサーヤだろう。
自身で足掻けと言っておきながら、言った張本人がこの場から逃走する。
少なくともこれは心残りだ。が、俺も俺とて守りたい仲間がいる。
目の前のディルムッドに、新しく仲間になったロベルタ。
俺1人ならばどんな無茶をしても構わないが、少なくとも今の状況なら2人を確実に巻き込む。
ふぅ、この国に来てからケチの付きっぱなしだなまったく。

「そうだな・・・、アレが明確な敵意を私達に向けない以上、私たちがあれに構う義理はない。
 ・・・・、逃走するぞ。」

そう言うと、人形姿のディルムッドがスッっと表情をなくし一言、

「エヴァ、それでいいのか?」

そう聞いてくる。
はぁ、そういうだろうなお前なら、だがな、

「買い被ってくれるなチャチャゼロ、私の手で守れるものは酷く少ない。
 こっちの世界に来て10年、その間に色々あった。そして、これからも色々ある。
 今この時この場で切り捨てる物と拾うものを選べというなら、私はお前達を拾いこの国を切る。
 さっきも言ったように、アレが明確な敵意を私達に示さない以上構う義理はない。
 それに、戦闘となれば必ず誰かが負傷する。それが私なら別に構わない。少なくとも私は早々死なないからな。
 だが、お前達は別なんだよ・・・・。私はお前達を失いたくはない。そのためなら、今この時この場で撤退する事を恥だとも思わない。



そう言いながらエヴァは苦悶の表情を浮かべる。
今俺が言った事がエヴァの決断を鈍らせる枷になる事は百も承知だ。
だが、それでも今の決断はエヴァ自身納得できていないのだろう。
納得できた決断なら少なくとも、あんな苦悩に満ちた表情は浮かべない。
だから、もう一度我が主に問おう、

「本当にそれでいいんだなエヴァ?」

「・・・・。」

そう言うと、エヴァは頭を抑えて黙り込む。

「チャチャゼロさん!お嬢様を迷わせないで下さい!
 今この時この場での選択で逃走するというのはもっともポピュラーなものです。
 眼前に見えるアレに立ち向かう方が蛮勇と称されるでしょう。
 チャチャゼロさん、貴方は死にたがりですか?それとも、自身の強さを誇示したいのですか?」

そうロベルタが俺に罵声を浴びせてくる。
そして、俺はそれを受け入れる事しかできない。
少なくとも、今ロベルタが言った事は全て真実なのだから。
そう思い、ロベルタの罵声を甘受していると、

「ロベルタ・・・、もういい。その罵声は私も浴びなければならないものだ。」

エヴァがそう言うと、今度はロベルタがオロオロし出す。
それを見ながらエヴァが口を開いた。

「少なくとも・・・・、そう少なくとも、傷を追うと言う覚悟をもってアレと対峙すれば倒しきれない事はないと思う。
 確証のない勝負で、まさに蛮勇と言う言葉が相応しい。
 しかし、その蛮勇を行えばこの国に住む顔も知らない大勢の人間は助かる。
 言わば、自身とその仲間を捨石にするか、それとも、顔の見えない大勢を捨石にするか。
 極端に切り詰めるとそうなるんだよ。そして、我が騎士は私に問うた。それでいいのかと。
 はぁ・・・、い・い・わ・け・あるかボケェ!!」

そう言ってエヴァが爆発した。
しかし、その表情はさっきとは打って変わって、何時ものように目の前の巨大な障害を精一杯背伸びしてみながら、
鼻で笑っているようだ。

「あぁもう!この国に着てからケチのつきっぱなしだ!
 新造戦艦を見ようかと思えば追い掛け回され、それが一段落すれば横合いから殴りかかるようにオスティアはこの有様。
 おまけに、足掻けといった人間は上で指揮を取って鬼神兵と対峙して必死こいてる。
 そんな、そんな面白い事態に背を向けておめおめと逃げれるか!」

それを聞いてロベルタはポカンとし、俺はその横で苦笑する。
はぁ、エヴァに無茶をさせたくはない・・・。
だが、それよりも苦悩に満ちた顔をさせる方が今の俺にとっては酷だ。
何せ、彼女はありのままの自由奔放な彼女の方が美しく、そして間違いなく強い。
彼女の強さが何処にあるかといえば、たぶん彼女あり方である、普通でない事に楽しみと快楽を感じると言うあり方。
つまりは、逆境に投げ込まれれば投げ込まれるほど、窮地に追い込まれれば追い込まれるほど、
異常な事態を目にし、直面すればするほど、彼女は彼女として動き出す
ふぅ、しかしまぁ、そう考えるようになった俺も彼女の影響か歪みだしているのかもしれない。
そう思いながら、横にいるロベルタにそっと話す。

「良く見ているといい、アレが俺達が使える主だ。」

そう言うと、ロベルタはジト目で俺の方を見ながら、

「今回はどう考えてもチャチャゼロさんがお嬢様に発破をかけたではありませんか。
 それについて弁解はあるのですか?」

「あぁ、少なくとも俺は彼女の苦悶に歪む顔よりも、今のように不敵に笑っている顔の方が好きだ。」

そう言うと、ロベルタは呆れたように、

「はぁ、そして、お互いがお互いのストッパーですか。
 無駄にバランスが取れて、しかもお互いが信頼している。
 片方が悩めば片方が引っ張る。これから先の苦労を考えると頭痛がしますね。」

そう言って頭を振っている。
なら、そこは1つアドバイスするとしよう。

「ロベルタ、頭痛がするじゃなくて楽しくてワクワクすると言ってみろ。
 少なくとも、気が楽になる。」

「それは空元気と言うものですよまったく。」

そういいながら、ロベルタは呆れたように笑っている。
そして、エヴァが俺達に向け口を開く。

「私にここまで言わせたからには覚悟はあるんだろうな?
 特に我が騎士よ、今回はこのまま穏便に行こうかと思ったが、少なくともこれで私とお前は戦場に立つ事になった。
 ロベルタはまぁ、影に・・・・。」

そう言うと、ロベルタが言葉を遮り、

「入る事なくお供しますお嬢様。
 従者が主を置いてオメオメと隠れていられる訳がありません。」

そう言うと、お嬢様は私の顔を見ながら、

「そうか、ならば覚悟をしろ。」

そう、鬼神兵を背に私を見ながら獰猛に笑いながら口を開きます。
分かっていますともお嬢様、この戦い、戦場に立って1つ間違えばあるのは死のみ。
そんな場所に行くのですから当然、

「分かっています、私は身みが朽ち果て死・・・。」

「ぬ覚悟なんていらんぞ。私が欲しいのはなぁ、全力で生き抜く覚悟だよ。
 この戦いで、いや、私の目の前で死ぬ事は私の従者には許されない。死ぬ覚悟なんてモノは簡単に出来る。
 その後の事を考えず、その時その場さえ良ければいいんだからな。
 が、生きる覚悟は簡単には付かんぞ、何せ、そこで出した結果が常に自身について回る。
 それに、死んでしまえばもう、この世界を楽しめないんだからな。
 みっともなくとも、生き恥をさらすと思おうとも、足掻いて泥の中をはいずろうとも、それでも生きろ!」

そう言ってお嬢様は私にニヤリと笑いかけてきます。
はぁ、生きる覚悟ですか。死ぬ覚悟と言う言葉はよく聞きますが、生きる覚悟と言うのは中々聞かないものですね。
しかも、その覚悟は死ぬ覚悟よりも重たいとは、これおちおち死んでいられませんね。

「簡単に出来る覚悟ではないですが、少なくとも私も死にたくはありません。
 生きてこの火の海を駆け抜けましょう。」

そう言いながら微笑みかけてくる。
はぁ、まったくどうやら俺も含めて俺の周りには、お祭り騒ぎが好きな連中が多いらしい。
しかも、それをやってどうなるというわけでもなく、ただ、それをしたいからすると言う連中が。
なら、少なくとも出来る事をやろうか。
とりあえずは、あの鬼神兵を倒せばカタがつくのだろうしな
そう思っていると、ロベルタが、

「お嬢様!!」

そう叫ぶロベルタは俺を見ていない。
ロベルタの視線を追うと、俺の後ろの鬼神兵に突き当たる。
そして、振り返ってみれば、鬼神兵が俺の方を見ながら口に魔力をため今まさに発射寸前と言うところ。
何だか解らんが、あちらも俺達の事を攻撃したいらしい。
今も魔力砲の砲撃を浴びているのに、それに見向きもせずに俺達の方を見ているのだから。
本来ならここは避けるのが定石だろうが、あの砲撃の着弾範囲を見た限り今更逃げても逃げ切れない。

「チッ!チャチャゼロ!!」

そう叫べば、ディルムッドが俺の横をすり抜けながら、

(エヴァ。)

(出し惜しみはせん。)

そう言って、魔力をディルムッドに流す。
そして、

破魔の紅薔薇ゲイ・ジャルグ!!!!


そう自らの相棒を突き出しながら叫び、魔力砲を切り裂いていく。
しかし、

「グッ!」

突き出している槍はなんともないものの、それを持っている手に腕にとヒビが入っていく。
このままこいつをここで朽ち果てさせる事なぞ許さない。
そんな事をしてしまえば、俺が俺を許せない!

「先に行く、ロベルタ!キサマは上の艦に念話を送れ。
 後ろから撃たれては面倒だ!それと、これを銜えておけいつも通りとは言わんが動けるはずだ!」

そう叫びながら、俺の血がたっぷりついた魔法銃の弾丸を渡し、夜想曲を展開しながら空に舞い上がる。
鬼神兵との距離は約10kぐらいか、上を見れば艦隊は城の方に後退している。
10k軽く言う数字だが、その距離は遠い。
だが、

「無茶だろうが無謀だろうが、詰めればいいんだろう、この距離を。」

自身の前に魔力障壁を張り、魔法で自重を半分にして、足の裏に魔力を溜めそれを一気に爆発させ距離を詰める。
飛び出した瞬間から、辺りの風景は人の目では捉えられない。
だが、人でない者の眼ならそれを視る事がかなう。

「人の相棒達に手を出すな、この駄犬ならぬ駄神がぁ!!!」

そう叫びながら鬼神兵の額だろう場所を殴りつける。
当然、殴る瞬間の自身の重さは出来うる限り重くする。
もしかすれば、今地面に立てば勝手にめり込んで行くかも知れない。
そんな重い拳を鬼神兵に見舞えば当然、後ろに大きく仰け反る事になる。
が、それでも相手は後ろに大きく一歩足を出し踏みとどまりながらその大きな腕を振るう。

「チッ、そのままひっくり返ればいいものを!」

そう言葉を吐く。
まぁ、吐いた所で鬼神兵は今まで言葉や雄叫びを発した事はないし答える事はない。
そう思いながら、上に飛んで腕の攻撃範囲より後ろに下がりながら、片手を天に掲げ、

「エメト・メト・メメント・モリ 氷神の戦鎚!!」

出来上がる氷球は100mを越え、その氷球を更に重くして投げつける。
しかし、鬼神兵はその氷球を胸で抱きとめ、そのままベアハグの要領で抱き潰す。
大した馬鹿力だ。が、少なくともその腕には氷の破片が刺さっている。
つまりは、魔力砲のように無色の魔力をぶつけるでなく、物理現象を伴う攻撃なら攻撃は通じるという事か。
まぁ、見た感じ刺さっていた氷が抜ければ、そこま元通りに戻っているようだが。
それでも、それならやりようはある。
そう思っていると、鬼神兵が口から煙を吐きながら殴りかかってくる。


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