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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 中々にヒドイ事をするな29話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/08/28 14:04
中々にヒドイ事をするな29話






「エメト・メト・メメント・モリ 魔法の射手連弾・闇の29矢!!」

そう氷楯を展開して走りながら詠唱し、上に矢を放つ。
水路に降りていた兵たちは俺が外に出てから全て空に舞い上がり、
上空から爆撃機よろしく人の頭に魔法を放ってくる。
更には、水路のへりを楯にした兵が同じく俺に魔法を放つ。
選定したルートの中で、最終的に俺が選んだルートは高低差が一番ある場所に出るものだった。
しかし、今はそれが裏目に出ている。
何せ、向こうが高くこちらが低い位置にいるのだ。

昔何かの映画でテロリストと軍人が戦うものがあって、
下水から出てきた軍人達を高い場所から囲み一斉射撃で皆殺しにするというシーンがあった。
今の状況はまさにそれだろう。
ただ、何が違うと言えば、撃っているのが魔法であり、撃たれている俺もまた魔法を返し更には俺が死なない事だ。
そして、一番分が悪いのは兵が皆女性である事。
これでは迂闊に大きい魔法を放てない。

「チッ、何処の誰だか知らんが良く研究しているよまったくもってなぁ!」

そう悪態をつきながら魔法を頭上とへりめがけてはなっていく。
しかし、こちらが1つ魔法を放てば向こうは10と言った様に明らかに劣勢に追い込まれる。
放たれる魔法もバリエーション豊かで火、水、氷、風、闇、光その他、今現存する属性の魔法全てが俺に飛んできている。
それを氷楯で防ぎはしているものの、もうそろそろ砕けそうだし中る物は体に中っている。

「えぇい面倒な!エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精 爆ぜよ風精 氷爆!!」

そう魔法を放ち、一気に辺りを凍気と爆風で包み視界を遮りながら上空の面倒な敵を追い払う。
そして、空に飛び上がり、

「エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精 爆ぜよ風精 氷爆!!」

もう一度同じ魔法を使って、完全に上空をクリアにする。
と、言ってもこれでは時間稼ぎにしかならない。下手に時間を取られればまた上を押さえられる。
上空にいる敵たちが水路に下りてくれば、
その時点でこおるせかいを使って氷柱封印すれば事足りるが、早々上にいると言う優位性は捨てないだろう。
そう思いながら地上すれすれを飛び、着いたのは水が地上に零れ落ちる場所。
個人的には、このまま何事も無くディルムッド達を呼んで地上にダイブしたいのだが、
どうもそうも行かないらしい。
俺の目の前にはフルフェイスの兜をかぶり、鎧を着込んだ敵が1人。
そして、そいつが腰から剣を抜きながら、

「会いたかったぞ真祖。」

「私はキサマ。と、言うかキサマらに会いたくは無かったがな。
 私は何もしない。だからそこを通せ。」

そう言うと敵は、抜き放った剣をピッっと水平にした後、
自身の顔の前に祈るように剣を持ってきて、

「通すのは吝かじゃない。ただ、俺の屍を越えて行け!!」

そう言って、俺に剣で突きかかって来る。
それをバックステップで交わしながら、

「エメト・メト・メメント・モリ 氷結 武装解除!!」

魔法での武装解除を試みる。
キセルは当の昔に直したので、今は手で魔法を出しているが、まぁ、ダメ元と言うのが正直な所だ。
何かしら着込むタイプのアイテムがあればこれでダメにできるだろう。
そう思い放つが、敵も最初の突きが届かない事を悟り後ろに下がりながら、

「流水 武装解除!」

と、同じく武装解除魔法を放ってくる。
しかし、これの結果は空中で相殺ではなく水系魔法の凍結で終わる。
だが、それならそれでいい。

「自身の水で気絶しろ!」

そう言いながら、出来た氷を相手に向かい蹴っ飛ばすが、
それを一刀の元に切り伏せ、

「レイ・ラ・ロロロ・グリス 目醒め現れよ、浪立つる水妖 水床に敵を沈めん 流水の縛り手!」

すでに詠唱していたのだろう魔法を放ってくる。
しかも、捕縛で酸素を遮断すれば窒息死させれるというもの。
それが5つ人の手のように捕まえようと伸びてくる。
更に言えば、魔法を放った本人も俺に突きかかって来る。

「どうした真祖!貴様はそんなものか!」

誰かは知らないが、勝手な事をいう。
この場でこいつを殺してそのまま突破するか・・・?
一瞬そう考えながら、

「エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精 爆ぜよ風精 氷爆!!」

と、ほぼゼロ距離で氷爆を放ち相手の視界を遮り水の手を凍結させながら、
相手がいたであろう位置に向かい無詠唱で魔法の射手を7本放つ。
ここで氷爆を使えば辺りに自身のいる位置を知らせているようなものだが、そうなれば、また追い払えばいい。
そう思い、先に誰もいないか確認するために進もうとすれば、

「屍を越えて行けと言ったが?」

その声と共に上空から俺の頭めがけて剣を突き立てて来る。
さらに、左右に、

「水精大瀑布!」

と、大量の水を上空から降らせてくる。
チッ、どうあっても前に進めさせないつもりか・・・・。
1度切れた間合いでお互いに睨み合いながら口を開く。
もっとも、相手は俺の顔が見えているが俺からは兜の所為で顔は見えない。
それに、無傷では突破で来そうに無い。
面倒なのは魔法もそうだが、剣技だろう。

「いいだろう、戦ってやる。死にたくなくばそこを退け!」

そう言うと、敵も剣を握りなおし、

「殺してもらおう。貴様の手を紅に俺の血で染めさせてもらおう。
 俺は貴様の敵だ。貴様に殺してもらうために存在する敵だ!さぁ、俺の存在意義を果たさせてくれ!」

そう吠える様に言い放ってくる。
目の前のこれはなんだ?
俺に殺してもらうために存在する?
殺される事が存在意義?

「ふざけるなよ!生きるためならいざ知らず、死ぬために戦うというならば、勝手にどこかでのたれ死ね!!」

そう言いながら、間合いを詰める様に走り出すと、
目の前の敵も合わせるように口を開きながら走り出す。

「それは出来ない。俺はお前に殺してもらって初めて俺として終われる!!」

そして、突いて来る剣を自身の右の手のひらを差し出し受け止め、
一気に根元まで差込、斬撃を封じ込めながら空いた左手で相手の顔めがけて魔法の射手を放つ。
しかし、相手はそれを首を振って避けるが、1発が兜に中りその衝撃で兜が飛ぶ。
それと同時に、暴れるように剣を振り、俺の右手の中で剣を180度ゴリュっと動かして薬指と小指の骨を切断して剣を引き抜く。
はっきり言って、かなり痛い。

最初の刺されるのも覚悟は要ったが、今の骨を削られ、更には切断されるというと言うのは、
洒落にならないほど痛い。こういう痛みと言うものは、はっきり言って慣れるものではないし、
慣れたら慣れたでいけない物だと思う。自身の体を好きかって使っているが、それでも、やはり痛みに慣れてはいけない。
そう、多少涙目になりながら手を回復させ、敵の顔を見ると、そこには数週間前の酒場で出合った、

「サーヤ・・・、だったか。」

そう言うと、サーヤは剣に着いた血を払いながら、

「あぁ、俺だ。」

そう短く俺の目を見ながら言葉を返してくる。

「退け!」

そう言葉を返せば、

「屍を越えて行けと言った。俺の血でお前の手を紅に染めると言った!そして、俺は俺の存在意義を果たさせてくれと言った!!」

最初は静かだったが、だんだんと声のトーンが上がり、最後には絶叫といって差し支えない程の声量で叫ぶ。
いったいサーヤをここまで駆り立てる物がなんなのか俺は知らない。
殺したやつの顔は少なくとも、できるだけ覚えるようにしてはいるが、それでも忘れていくものだ。
何かしたやつは忘れるが、された方は覚えているというやつなのだろうかこれは。
だが、それにしてはおかしい。復讐ならば身に覚えはある。
それこそ、こっちに来て色々やっている。悪い事もすれば良い事もする。
人を殺したり助けたり、蜂の巣にしたりされたり。

だが、それでも憎まれる事は覚悟していた。
人を殺してなお生きている俺は、確実にそいつの周りのヤツから憎まれているだろう。
殺した事に対して言い訳するつもりは無い。
ただ言える事は、俺も死にたくは無かったと言う事だけ。
いくら死なないと言っても、高位存在の消滅魔法何かを受ければ流石に無事ではすまないと思う。
それに、俺は今死ねば少なくともエヴァに顔向けできない。

俺にこの体を譲った彼女に消して顔向けできいし、今死ねば後悔しか残らない。
俺の身勝手だが、この体で楽しい事を沢山して俺に吸われた彼女に少しでも届けばいいと思う。
殺す事でしか救う事を見出せなかった、死を願うしか出来なくなってしまった、死ぬ以外に選択肢がなくなってしまった、
そんな彼女への俺が贈れる少しでもの手向けだ。

だが、目の前の女はなんだ。
復讐でもなく、憎しみでもなく、生きるためでもなく、まして、自身の選択しなど無限に広げる事ができるのに、
ただ、死ぬために俺の前に立つと言うこの女はなんだ!?
戦闘中と言う事も忘れ、自身の額を押さえ頭を振る。
そんな俺に、サーヤが口を開く。

「どうした真祖 エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル!!
 俺ではお前の敵足り得ないか!?俺ではお前に殺してもらえるだけの価値も無いか!」

そういいながら、俺に斬りかかって来る。
どうすればいい?殺すのは簡単だ。
たんに心臓でも首でも頭でも潰すなり砕くなりすればいい。
もっと簡単に割り箸でも出して、鼻から差し込んで脳をシェイクしてやればそれで殺すには事足りる。
だが、この相手をどう殺さずに捌く?

「クソッ!エメト・メト・メメント・モリ 大気よ水よ 白霧となれ 彼の者等に 一時の安息を 眠りの霧!」

「そんな子供だましが通用すると思っているのか!?」

そう言いながら、出した霧の中剣をドスを構えるように腰にすえ突きを放ってくる。
そう、サーヤの剣全てに言える事だが、突きを主体として剣を振るってくる。
それが面倒で仕方が無い。斬るなら、横から叩き折ってしまえば使い物にならなくなるが、
突かれると避けるため、どうしても1動作遅れる。

さっきみたいにまた手を差し出せばと思うが、早々同じ手は食わないだろう。
サーヤの斬撃を避けるが、それでも中る物は中るし、斬れる物は斬れる。
斬り飛ばされた腕をコウモリに変えて体にくっつけ、避け損なって刺されて腹に魔力を流して再生させながら、
どう攻めるか、攻めあぐねていると、サーヤがピタリと動きを止め口を開く。

「あぁ、そうか。俺の魔力障壁が邪魔なのか。ならばそんな物切ってやる。
 鎧が邪魔なら脱いでやる。だから、俺と戦って殺してくれ。」

そう、懇願するように言葉を紡ぐ。
どうする?そう思いながら、口を開こうとした所で、

ドゴォォォォ・・・・・・・・。

一瞬頭上が光ったかと思えば後方から激しい爆発音。
今まで俺とサーヤの戦いに横槍を入れる者はいなかった。
多分、それは接近戦をしている関係上、下手に魔法を撃てば同士討ちになる事を恐れていたのだと思う。
だが、今の攻撃は味方なんで物お構い無しの、確実に中れば殺せる一撃だ。
何処からの攻撃かと思い、頭上を見上げればそこには航空艦隊。
これが最新かどうかはしらないし、見たいからここまで来たが、
誰も戦いたいとか、その威力を自身を標的にして確かめたいと言った覚えは無い。

一瞬これはサーヤの指示かと思い顔を見ると、
サーヤ自身も苦虫を噛み潰したような顔をしながら艦隊を見ながらボソリと、

「あの腐れ外道が。」

と、言っている。
その腐れ外道が誰かは知らないが、どうやらお開きらしい。

「サーヤ、悪いが私はここで捕まる気も、キサマを殺す気も無い。
 さっさと逃げろ、そのための中てない威嚇射撃だろ?」

そう言っている間にも、空に浮かぶ航空艦の下部の砲門がいくつか光る。
そしてそれと同時に、あたりに破壊の嵐を巻き起こす。
位置関係的に、俺に直撃させるならサーヤを打ち抜かないといけない。
しかし、サーヤは、

「問題ない。威嚇射撃を打つ時間があるなら、その分の時間でお前に殺してもらう。」

そう言いながら、俺に剣を振るう。
刹那、

ドゴォォォ・・・・・。


ーsideシュヴァルー

多少時は遡る。

フン、フンフン、フン。
ついつい鼻歌が出てしまうぐらい嬉しいね。
なんなら、ここで小躍りでも披露しそうだよ。
任務を中止して国に引き返し際に、真祖の出現ポイントが割れた時は、
正直間に合わないかと思ったけど、そうじゃなかったね。
艦のモニターから真祖の出現位置をモニタリングすれば、そこには真祖と思しき少女と、鎧を着込んだ人物。
そして、その鎧の兜がとんで現れた顔はサーヤ。
いやぁ、いい拾い物だよまったくね。

「死んだ目をしていた割には、中々どうして真祖に喰らいつくじゃないか。」

優勢劣勢で勝敗を見れば、サーヤの勝率はゼロ。
いくら剣を振るおうが、魔法で手や足を潰そうが、それを物ともしない真祖には有効打にはならないよ。
そう思っていると、横にいるクライツ君が、

「艦を前進させろ、真祖の上空に陣取り兵を降下させる!
 戦闘員は第一級戦闘配備!繰り返す、これは訓練ではない戦闘員は戦闘の支度をしろ!」

ふむ、無駄な策だね。
あそこにいくら兵を送っても、意味が無いよ。
あそこは、上からの魔法攻撃できる兵士と、下で戦ってるサーヤが居るからなり立つバランスであって、
人が増えれば、辺りが狭くなり、いたずらに兵が死ぬか、さもなくばその兵を囮に逃げるだろうね。

「クライツ君、君の案は却下だよ。この艦隊はあの水路に砲撃可能な位置に陣取る。」

そう言うと、クライツ君は僕の方をギョッと見ながら口を開く。

「シュヴァル技術部長、言っている意味がお分かりですか!?
 あそこで戦っているのは自分達の上官です。その上官を救援するために兵を送るんですよ。
 それを、魔力砲撃可能な位置に陣取っては兵達が送れない!」

ふぅ、どうしてこう頭に血の上りやすい人は怒鳴るのかねぇ。
そんなに僕に向かって叫ばなくとも聞こえてるよ。

「兵を送った所で逆に利用されるよ。真祖は広域殲滅魔法なんていうのも使えるからね。
 今のあの2人のバランスはとても危ういものなんだよ。
 何で真祖がそれを使わないかは知らないけど、少なくとも真祖はサーヤと戦ってる。
 だから、僕達はそのサーヤが踏ん張ってる間に、最大限今使えるものを有効活用するんだよ。」

そう言うと、クライツ君は僕を睨みつけながら、

「それが、この艦隊の火力と言う事ですか。」

分かりきった事を聞くなぁクライツ君も。
それは今更な回答じゃないか。

「人の火力で倒せないなら、それ以上の火力を用意する。それでも相手がどうにかしようとするなら、行動不能にする。
 クライツ君、君は戦術や戦略、戦闘理論と言うものを勉強したまえ。
 じゃないと、君の下につく部下はいたずらに命をすり減らすよ。」

そういった後、彼の耳元に口を近づけて小声で話す。

「それに、今の君の指揮じゃぁサーヤが浮かばれないよ。
 君はいったい今まで彼女の下で何を学び、何を考えて行動してきたんだい?
 君が活躍できるように、わざわざ、今日と言う日に無理に艦隊を動かさせているのも、
 君の有能性を上層部に見せるためだし、更には、ここで上手く真祖を捕まえれればサーヤ君の事を凄く誉めるだろうねぇ。」

そう言うと、クライツ君は僕の顔をマジマジと見てくる。
横目でチラリと辺りを見れば、ブリッジの職員が僕達に注目してるけど、そんな事はどうでもいいね。
今は目の前に移る真祖をどうするかが問題だしね。
さて、クライツ君は出世欲が旺盛か、それとも、恋に恋焦がれるピュアボーイか。
どっちでもいいけど、どちらかには食いついて欲しいね。
じゃないと、ジリ貧のサーヤじゃ長く持たないもの。
そう思っていると、一度目を瞑ったクライツ君が口を開く。

「艦隊は魔力砲撃可能な位置に陣取る。砲手は魔力砲撃準備をして待機。」

そう指示を出した後、前のモニターを見ながらボソリと、

「これはあくまで、貴方の案が有用だと思ったからです。
 そこを勘違いしないでいただきたい。」

「あぁ、結構結構。案を出したのが僕でも、それを指示して艦を指揮するのは君だからね。」

そう、指示を出すのも、指揮をするのも君。
今の案だって、切り捨てる事はできる。
多分、サーヤ君がここにいたならば、間違いなく切り捨てただろうねぇ。
だって、艦隊が魔力砲撃可能な位置に行って、後する事と言えば魔力砲撃しかないんだもん。
それなのに、クライツ君は駒を進めてしまった。
魔力砲撃するしかないと言う袋小路にね。

サーヤはもう用済みだから要らないし、真祖は多分この魔力砲撃じゃ死なない。
フフフ、サーヤも真祖と死ねるなら本望だろうね。
まぁ、その真祖は生き返るとしてもだけど、
あんなに死にたがっているんだから、殺してあげるのが優しさでしょ。
彼女の欲しがっていた舞台は彼女にあげた。
ただ、その舞台で彼女が彼女の思うように自身を演じきれるかは彼女しだい。

そう思っているうちに、艦隊の移動は完了して魔力砲撃可能な位置に。
眼下にはいまだに頑張ってるサーヤと真祖、そしてぐるりと囲むように空に浮いている兵士達。
空に浮いている兵達は攻撃したくてもできないといった所かな。

「クライツ君、空にいる兵達に下がるように指示をしたまえ。
 あそこに兵達がいてはどうしようもないよ。この艦隊は間違っても見掛け倒しじゃないんだからね。」

「その案は却下します。あそこから兵達を引かせれば貴方は魔力砲撃する気でしょう。
 それは出来ません、自分達にも意地と言うものがあります。」

また、邪魔な物を持ち出したね。
こういう人間ははっきり言って嫌いなんだよね。
意地じゃぁ越えられない壁はあるし、願いだけでは叶えられない思いもある。
むしろ、そちらの方が多いくらいだよ。
ふぅ、そろそろクライツ君と話すのも疲れてきたよ。

「悪いがクライツ副隊長、君の案こそ却下だよ。
 今現在、真祖は目の前にいて、更に喜ばしい事に捕縛可能かもしれない。
 今あそこに砲撃を開始すれば、それだけでその後真祖に襲われる人たちが減る。
 君も国の犬なら学びたまえ。たった1つや2つの命よりも、その後に控える無数の命の方をとると言う考えを。」

そう言うと、クライツ君は目を瞑ったまま口を開いた。

「悪いですがね、そうやって見捨て続ければいつかは自身が見捨てられますよ。
 自分は救えるものは救いたい、仕方ないものは仕方ない。そういう考えしか出来ません。
 そして、今はまだサーヤ隊長を救えます。このまま艦を前進させれば兵も送れます。」

会議、裁判に地位剥奪。
が、まぁ、そうはならないんだよね。
とりあえずは、彼が目を瞑っているうちに、

バキッ!!

グフッ!!

「ふむ、人の顔を殴ったのは初めてだけど、中々骨と骨が中って痛いね。」

そう言いながら、襟首をつかんでも一発。
痛いのは痛いんだよ。主に僕の手が。クライツ君は鍛えてるだろうから無傷みたいだし。

「シュヴァル!キサマッ・・・。」

先を言わせる気はないよ。
手っ取り早く心を折らせてもらおうかな。
そう思いながら、襟首を掴み額と額をくっつけ口を開く。

「夢を語るなら艦から降りたまえ。現実を見ないなら今の仕事を辞めたまえ。
 感情が抑えられず、身勝手な行動を取るようなら独房に行きたまえ。
 今がどういう時か理解していない君ではあるまい。今眼前には真祖がいて、そして戦う君の上司がいる。
 そう、今の状況まで持ちこたえたのはサーヤだからだよ。でも、彼女の魔力は無限ではないし、彼女も人なら疲れる。
 つまり、ここでこうやって言い合ってる1分1秒が彼女の死期を紡いでいるんだよ。君は選択しなければならない。
 彼女を真祖と共に撃ち、彼女を国の英雄にするか、それとも、ここでむざむざ殺させて犬死させるかをね。
 無論、ここで真祖を逃がせば次にここに真祖が現れるのは、いつになるか分からない。」

そうまくし立てると、クライツ君は両の拳を握り締めブルブル震えている。
こちらとしては彼から「放て」でも、「撃て」でも、どちらでもいいから聞きたいんだけどね。
その一声さえあれば、どうとでもなるんだけどね。

「・・・・。」

クライツ君はモニターを眺めている。
モニターでは戦う真祖とサーヤの姿。サーヤが圧倒している様に見えるけど、
真実はどうなんだろうね?動きはサーヤの方がよく動いている。
魔法も同じようにサーヤの方が使って、真祖は逃げてばかり。
さてはて、これ真祖の作戦かそれとも何かしら別の要因か。
そう思いながら、同じようにモニターを見ていると、とうとうクライツ君が口を開いた。
それは小さくて、でも苦渋に満ち溢れた声で搾り出すように紡がれた。

「撃て。」

「え?」

そう言ったのはどの兵か。
小さな声だったのに、その一言はえらく空間に響いたよ。
そして、クライツ君が爆発した。

「威嚇射撃だ、全ての空にいる兵たちに射線軸に入るから退避せよと伝達!
 兵の退避が完了し次第サーヤ隊長に威嚇射撃を警告!!それが終わり次第下方の砲門より連続射撃!!!」

フフフ・・・・・。
フフフフ・・・・・。
フッ、フッ、フッ・・・・。
とうとう言ったね、言ってしまったねクライツ君。
威嚇射撃?甘い甘い、あそこに砲撃を放った時点でそれは威嚇でもなく警告でもなく殺害予告だよ。
そう思っていると、第1射が放たれた。着弾地点は真祖の後ろ。
多分、サーヤに中るのを避けたんだね。
でも、サーヤはあそこから逃げないよ、何せ、彼女はアレと対峙して殺されるのが願いなんだから、逃げる訳が無いよ。
モニターにはこっちを眺めて、苦虫を噛み潰したようなサーヤの口が何か動いたけどもう遅いよ。
全ては今日真祖が出るか出無いかだったけど、出たからには君にもう用はないよ。

「さよならサーヤ、ありがとうサーヤ、そして、哀れな哀れなサーヤ。死ぬのなら、最後まで役立ってくれよ。
 ・・・・・、真祖を捕まえる人柱としてね。」

そう、口の中で周りに聞こえないように呟く。
そして、サーヤが真祖に斬りかかる時に近くに着弾。
あぁ、これは死んんだかな。
さて、後は回収するだけ。楽しみだね、まったく。


ーside俺ー


「えぇいクソ!」

口から出るのは悪態。
小脇に抱えるのは何の因果かサーヤ。
そして、今いる場所は今まで来たがっていた雨降る地上。
最後の斬りかかって来たサーヤの刃は届く事無く、代わりに近くに着弾した艦隊からの砲撃の所為で、
サーヤの頭に瓦礫がヒット。チッ、本当に魔力障壁を切っているとは思わなかった。
まぁ、体は鎧が砕けて守ったようだが、それでもそのまま川に落ちると思わなかった。
助けたのはもはや勢いと言う以外何も言えない。
一応、川に潜りながら、ディルムッドたちには外に出るな、逃走しろまた戻ってくると指示を出したから大丈夫だと思うが、
はてさてどうしたものかな。


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