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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] さて、どうしようかな第28話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/08/24 18:15
さて、どうしようかな第28話







「エメト・メト・メメント・モリ 来れ氷精 爆ぜよ風精 氷爆!!」

現在オスティア上空、空を飛んでいた艦隊も見えなくなり、
必要な物は川に先行しているディルムッドに預けて、空に飛び上がり氷爆を連発中。
まぁ、何故この魔法かと言うと、派手で尚且つ自身の位置を文字通り煙に巻く事ができるから。
ついでに言えば、この空に浮かんでいる国に雪でも降らせて見ようかと思ったから。

「ふぅ、これだけやれば十分だろう。」

そう思って、下を見れば逃げ惑う人々で溢れかえっている。
フム、これだけ辺りが混乱していれば、監視していた人間も巻き込まれて人形への注意も薄らぐだろう。
それに、乱発したおかげで、町の上空には白い靄がかかったようになったので、俺の位置を探るのも困難だろう。
そう思い、地上にいるロベルタに念話を送る。

(辺りはどうだ?)

そう送ると、

(路地裏から見ていますが人でごった返しています。
 軍人らしき人々が指示を出していますので、何処かに避難場所があるのでしょう。)

非難場所か、うちの人形達が連れて行かれては困るな。
さて、やる事もやったしとっとと逃げるとするか。

(分かった、1度そちらと合流して逃走に入る。)

そう送り、ロベルタのいる位置に飛来して、預けていたローブを着込み。
一気に路地裏を走り出す。


ーsideサーヤー


「隊長、真祖が出たとの報告が!!」

その報告で、一気に辺りが慌しくなった。
まぁ、今日何かしらのアクションがあると思ってはいたが、ここまで派手だとはな。

「狐たちだろ、位置の特定は?」

そう返すと、報告に来た兵は大きく首を振り、

「違います!狐たちは今逃げている所です、真祖は町の上空で魔法を使っています!!」

「なに!?それは確かなのか?」

そういうと兵は、

「間違いありません、姿形、莫大な魔力量。上はすでに真祖と断定しています。
 現在、うちの部隊が町に展開しているので、その人員で対処してくれとの報告です!」

そう兵に言われて、外に出て空を見る。
空には、白い靄と爆発音がこだまし少し肌寒い気がする。
そして、その爆発の発信源は今も動いているのだろう、町の上空、あちらこちらで音がする。
多分、氷系の魔法、それも広範囲に広がるタイプ。
真祖が俺の仲間をひき肉にしたのも、確か氷系の魔法だった。
属性は同じ、更には上からの報告で真祖と断定されている。

ククッ、こんな時に笑うのは不謹慎だが狐狩りは終いだ。
今の俺の獲物は空に浮かんでいる。
さて、兵達には適当な指示を出して俺も真祖の所に赴くとしよう。

「総員、町の人々の非難を最優先とし事に当たれ!
 事後の補充隊員たちも指示は同じ。尚、急造した女性小隊はフル装備で待機させろ。
 私も装備を整え次第指揮を取る。」

そう、報告してきた兵に指示を出し部屋から追い出す。
さて、俺も装備を整えるか、そう思い、自身の装備品を取り出す。
肌にピッタリとした黒いインナーを着て、その上に魔法で処理をされた鎧を上から下まで装備して、
腰には軍刀サーベルを下げて指には魔法発動媒体の指輪。
最後にフルフェイスの兜を小脇に抱え、狐狩りの詰め所から、真祖対策の第一線防衛ラインの早代わりしたつめ所に向かう。
つめ所の中は上へ下への大騒ぎ。まぁ、真祖と言うビッグネームを聞けば浮き足立つのも仕方は無いか。
だが、今はそんな現状では困る。

「落ち着け!!!!」

そう声を張り上げ、扉の横の壁を勢い良くバンッと叩き兵達を落ち着かせる。
しかし、それもつかの間、

「隊長!」

その、1人の声と共に一気に隊員たちが俺に情報を持ってくる。
それを落ち着かせながら、情報整理をしていくと、
現在真祖は町の上空で魔法を連発している事、町の人々の非難は多少ごたついているが上手く言っている事。
そして、真祖が魔法を乱発したせいで、町の上空の視界が悪くなり真祖の位置特定が困難な事なんかが上がってきている。

「爆発音の方はどうだ?まだ続いているか?」

「はっ、それにつきましては先ほどより止んだとの報告です。
 ただ、兵の1人が空より地上に飛来したものがあったと証言しているので、もしかすれば町に潜んでいるのかもしれません。」

「分かった、捜索を続けてくれ。」

そう言って、兵を下がらせる。
さてはて、どうしたものかな。真祖の目的も位置もまるで分かっては居ない。
ただ、町に潜んでいる可能性があるというか、この状況で空より飛来したものとなると、
真祖以外考えられないが、それが何処に行ったかも不明か。
それに、今の状況でいくら魔力探知を行っても魔法を乱発された後なら追うに追いきれないだろう。
ちっ、狡賢いやつめ。せめて、目的でもつかめれば追う事は出来るんだが・・・・、

いや、まて、何故真祖はわざわざ魔法を使った?
しかも、何の意味も無い空であんなにも目立つ魔法を。
更に、もう1つ言えば、何でこのタイミングなんだ?
今までの真祖の犯罪歴をたどればアレだけ目立つ事をやっておいて、まさか愉快犯だとは考えられない。
それに、町に下りたという事は何かしらの目的が町にあるのか・・・・?
真祖の目的になりそうなもの・・・・・、

「おい、そこの、真祖は人形をつれていたか?」

そう近くの兵に聞くと、兵はすぐさま他の兵たちに聞き情報を集めて帰ってきた。

「いえ、1人だそうです。上層部の確認でも、空に浮かんでいた個体は1つだけだそうです。」

真祖が1人・・・・、
狐の連れの男の持っていた槍は人形の槍とそっくり。
そこまで考えて、1つの仮説が頭に浮かんでくる。
もしかすれば、狐達は真祖の人形から槍を奪い逃げていたのではないかと言う仮設。
そうすると、いくつかの辻褄が合ってくる。
先ず、狐達が真祖から逃げていたのならば、何らかの方法でこの国の艦隊の事を知り、
その艦隊ならば真祖を殺せるのではと思いこの国に逃げ込んだ。

しかし、艦隊の事は分からず、いつくるか何処に潜んでいるか分からない真祖から逃げるために、
平静を装い、装備品を調達しながら逃げ道を探していてのではないか?
それに、検問を気にしなかったのは彼らからしてみれば、検問はありがたく更に言えば、
アレがあるから真祖は入ってこれない、だからほとぼりが冷めるまでこの国で遊んでいようとでも考えて日々遊んでいたのではないか。

「避難場所に狐はいるか?すぐさま調査しろ。後、狐の監視をしていた最後の兵は俺の前へ。」

そう近くの兵指示を出す。
報告が上がるのが先か、兵が来るのが先か。
はたまた真祖が逃げるのが先か。
しかし、狐が見つからないとなれば真祖の足取りはつかめる。
なにせ、狐たちは川から逃げる予定だったのだから、当然川から逃げ出す気だったのだろう。
そして、それを追う真祖もまた然り、今ばかりは狐に感謝しよう。
あの夜奢った一杯が無駄ではなく、俺の所に真祖を運んできてくれて、更には行動の先読みまでさせてくれて狐に。
そう思いながら、着々と上がってくる報告書に目を通していると、一人の兵が書類を小脇に抱え、俺の前でビシッっと敬礼をして、

「自分が最後まで狐を監視していたものであります。後、狐は避難所にはいないとの事です。」

そう口を開き、書類を俺に差し出す。
大方、避難所の人員名簿だろう、しかし、今の俺にはそれは必要ない。
必要な一言、『狐がいない』と言うその一言さえ聞ければ問題なかったのだから。
多分、狐たちは川沿いをつたって町の地下にいのるだろう、真祖が空から降りたのを見計らって川から逃げるために。
それに、俺達が真祖と戦って、俺達が勝てば普通に国から出て、負けたなら負けたで川から逃げれば良しとの魂胆だろうから。

「了解した。後、空にいるシュヴァル技術部長に真祖が出たと通達してくれ。
 あぁ、後、狐はスパイじゃなかったと嫌味たっぷりに付け加えてな。」

そう兵に一言返した後、魔法で今俺の指揮の下にある隊員へ通達を下す。
アレに教えるのは気に食わないが、しかし、教えておかないと後でどんな嫌味を・・・・・、
いや、これから死ぬんだ、今更何がどうなろうと後の事はどうでもいいか。
そう思い、兵に通達しなくていいと指示を出そうかと思ったが、もう兵はいなくなっていた。
まぁ、アレがいてもいなくても変わらんか。

「各員へ通達!真祖は狐を追って地下に入った可能性が高い。
 それゆえ、各隊員は川伝いに地下に潜り索敵を開始せよ。
 なお、交戦は控えるように。真祖が外に出た所を見計らい俺、サーヤ以下女性小隊で攻撃を仕掛け真祖を撃破する。
 今こちらに残っている人員は地下の見取り図を早急に手配し、上がってくる情報を逐次書き込め。
 ここで下手を打つと、真祖に殺されるのは家族か友人か恋人だと思え!」

そう激を飛ばしながら通達を出し、イスにどかりと座り込む。
読みが的中すれば真祖は地下にいるはずだ、そして、俺は真祖と戦える。
死ぬために戦う、生きる為ではなく死ぬために。
非生産的な行為だが、俺が今まで生きてきた原動力はこれ以外に無い。
磨いた技も、練習した魔法も、痛めつける様に訓練に身をやつした体も。
全ては、戦い朽ち果てるために。真祖の敵足りえる為に、真祖の脅威足るために。

「みんな待っていてくれ、少し遅れたが今から俺もそちらに向かう。
 そっちに行ったらまた、馬鹿話でもしながら酒でも飲もう。」

そう、独り言を回りに聞こえないように呟き、町の地下の見取り図を開き、
書き込まれている情報を見に行く。


ーsideシュヴァルー


「シュヴァル技術部長、サーヤ隊長より真祖が出たとの報告です。後、狐はスパイじゃ無かったとの事です。」

「ん、ありがとう。あぁ、狐の所は嫌味たっぷりに言わないとね、そう彼女から指示が出てただろ。」

そういうと、兵はしどろもどろになっている。
フフフ、まぁ、そんな兵なんでどうでもいいんだけどね。
何せ、真祖だよ。読みとかなんとかどうでもいい、真祖が手の届く所にいるんだよ。
あぁ、嬉しいなぁ。しかも、サーヤの艦に乗ってる時だからなお嬉しいなぁ。
そう思いながら、ゲストルームを後にしてクライツ君の所に向かう。
何せ、今のこの艦の指揮者は彼だからね、彼にお願いしないと真祖の所にはいけないもの。
一応、念には念を入れて1つ手立てを打ってはあるけどね。

そう思いながら、歩を進めて着いたのは此の艦のブリッジ、いやぁ、僕もこの艦を作るのに携わったけど、
人が機械と魔法を使っているのか、魔法が人と機械を使っているのかそれとも、
機械が魔法と人を使っているのか分からない光景は楽しい限りだね。
でも、今はそれを楽しむよりも、もっと楽しい事が待ってるから早くしないとね。

「クライツ君、君の所に真祖の情報は上がってきてるかい?」

そういうと、クライツ君はぶすっとした顔で僕を見てくる。
やれやれ、隊長が僕の事を嫌いなら、それに着く副隊長も僕が嫌いと。
まぁ、いいんだけどね、興味ないし。

「言われるまでも無く情報は上がってきてますが、今は護送任務中です。
 元々日にちを今日と指定してきたのは貴方でしょう?技術部長殿。」

さっきの兵より彼の方が報告に着てくれた方がよっぽど嫌味が伝わったかもね。
まぁ、それはいいとして、

「ならば、任務変更を申し出よう。今すぐオスティアに引き返したまえ。」

そういうと、クライツ君はやっぱりぶすっとしたまんま。
いらない事で時間は取りたくないんだけどね、真祖がいなくなっちゃ元も子もないし。

「現在は任務中です。上からの帰還命令もありません。技術部長殿、言っておきますがね、我々は命令で動いているんですよ。
 一個人の発言が簡単に通ると思わないでいただきたい。」

ふむ、厄介だね。口では静かにそういいながらも、握ったこぶしが震えているよ。
あらかた、今オスティアで指揮を執っているのがサーヤだとでも聞いたのかな?
どちらにせよ、僕が言うのもなんだけど長生きできないタイプだよ彼は。
なんたって臨機応変さが足りないからね。

「ならば、技術部長としてこの艦を預かっている副隊長殿に命令しよう。
 国の一大事だ、今すぐ艦をオスティアに引き返したまえ。」

しかし、それでも彼は、

「残念ながら指揮系統が違います。貴方はゲストルームに篭ってゆっくりしていてください。
 自分とて戻れるものならすぐ戻りたいです。ですが、それでも自分達は命令で動いてるんですよ。」

ちっ、人をあまり怒らせないで貰いたいのだがね。
さて、彼がいなくなれば僕がこの艦のトップになるんだけど、
そればかりはどうしようもないね。まぁ、そろそろ打った手が届くと思うんだけど・・・・、

「クライツ副隊長、本国より入電、今すぐ帰還せよとの事です。
 なお、シュヴァル技術部長の指示に最大限に従うようにとの事です。」

そうモニターに向かう兵がクライツ君の方に声を上げる。
ククク、打った手は正常に稼動したようだね。
永遠の命なんて興味ないけど、欲しがるやつは欲しがるみたいだし。
それが生きてるうちに富を築いたやつなんかは時にそういう傾向にあるね。
まぁ、そんな事はどうでもいいか。
隣にいるクライツ君は僕の事を凄く不振そうに見てるけど、関係ないよ。

「まぁ、今報告のあった通りだよ。さて、国に引き返そうかクライツ副隊長殿。
 あぁ、後この艦についてる兵器、いつでも使用できるようにしておいてね。あぁ後、鬼神兵には触らないようにね。」

そういうと、クライツ君はやっぱり不振そうに僕を見てくる。
でも、それ以上に何も無いと思ったのか、

「分かりました技術部長殿。よし、総員持ち場に着け、これより本艦は全速力でオスティアに帰還する。」

そう言うと、辺りの兵達が慌しく動き出し各計器やモニターの前なんかに座る。
多少手間取ったけど、間に合うかなぁ?
そんな事を思っていると、

「礼は言いませんよシュヴァル技術部長。」

そう言ってクライツ君が見てくる。
礼ね、こっちの目的はこっちの目的であるから問題ないんだけどね、
まぁ、それでもここは、

「かまわないよ。早く帰ろう僕達の国にね。」

そう、僕達に国に・・・・・、ね。


ーside俺ー


ディルムッドと合流して地下に潜るまでは順調だったし、人形の回収も上手くいった。
ただ、雲行きが怪しくなったのは大体国の中央を過ぎた辺り。
全てのルートに共通している事だが、俺の選定したルートは全てこの国を横断するように選定してある。
まぁ、多少面倒だが、それでも通路を迷路として使うなら、こうやって奥深くまで潜ってから外に出るようにした方が、
追手も巻きやすいし、出る場所を特定されにくいという利点もある。
ちなみに欠点は道のりが長く、迷いやすい事。まぁ、うちらはロベルタがいるから迷わずにすむ。

で、今の現状はと言うと、コウモリをいくつかのルートに飛ばしながら国の半分まで来た時に、
1つのルートのコウモリから2人の人影の映像が流れてきた。
最初は迷い人とか、浮浪者とか、ここを寝床にしているヤツかとも思ったが、どうも毛色が違うらしい。
と、言うのも、その人影を追うと途中で止まって何かを話していたり、2人で辺りをうかがったりとどうも俺を監視していたやつらのようだ。
何と言うか、ここまでして俺を追うやつの気が知れないが、もしかすれば、この監視員達も軍人なのかもしれない。
となれば、今俺はこの国の軍の総力を上げて追われている訳か・・・。
まぁ、それでもここまで着たら逃げるしかないんだけどね。

ついでに言えば、向こうには頭の切れる指揮官がいるのだろう。
あの状況で、俺が町に潜む所まで考えるのならばまぁ、よくある。
更に、身代わり人形を追うのもまぁ、よくある。
しかし、その2つを繋げて、地下に逃げたというのを導き出すという事になると、
何かしらの外部情報があるか、さもなくば相当捻くれた考え方をしているヤツだろう。

「さてと、現状では私達を追う犬達が地下に放たれた。規模不明、人数不明、
 今の所こちらがコウモリを使って先手を打っているが、人数しだいではこちらが不利になる。
 何かしら意見はあるか?」

そう言って、スーツ姿のロベルタと、人形姿のディルムッドを見る。
そうすると、先ず口を開いたのはディルムッド。

「普通ならバラバラに逃げるのがいいんだろうが、そうしたら最後何処に出るか分からない。
 壁抜けは出来ないのか?後、どのルートから来るかの特定とか。」

そういうと、ロベルタが口を開く。

「無理ですね、地図を見た限りでは下手に壁に穴を開けると何が起こるかわかりません。
 それに、壁に穴を開けた時点で自分達がここにいると知らせているようなものです。
 ルートの方はお嬢様しだいですが、どうです?」

そう言って、ロベルタが俺の方を見てくる。
しかし、いくら俺とて万能ではない。むしろ、未だに修行中の身だ。

「無理だな、いくら先行させられると言っても良くて数百メーターだ
 むしろ、今回これが見つかったのは奇跡に等しい。」

そこまで言って、出る答えは結局同じでルートをたどって逃げる事。
影のゲートを使おうにも、使って移動した時点でロベルタの頭の地図と照合できなくなるので却下だな。

「仕方ない、見つからないように心がけるが、万が一の場合は交戦し、速やかに排除しよう。
 間違っても殺すなよ、どんな仕掛けがしてあるか分からん。」

そう言って、魔法薬を吸おうとするが、臭いでばれると困るので自重した。
ふぅ、早く外に出たいものだ。
そう思いながら、コウモリを先行させ、ロベルタに道案内をさせて外を目指す。


ーsideサーヤー


真祖の目的が不明で何をするか分からず、国の危機と言う事で指揮権限はすでに上層部に移っている。
まぁ、そのおかげで使える人員が増えルートから兵を送り込むという荒業が使える。
そして今俺はその上がってくる情報を整理しながら、女性小隊と共に戦闘待機中。
兵からの異常無しの報告は数分おきで、更に2人一組なので、どちらかが殺されても居場所の特定は出来る。
そうして、報告を聞きながらすでに数時間。包囲の輪は狭まり始めている。
これならば、見つかるのも時間の問題だろう、そう思っていると、

「サーヤ隊長、1つの班からの通信が途絶えたとの報告です。おそらくは・・・・・。」

そう言って、兵が俺の方に話しかけてくる。
さて、時は来た。死神と対面して俺の命を存分に刈り取ってもらおう。

「了解した。出現予定ポイントを割り出した後は私が指揮を取り小隊を展開する。
 情報は逐次こちらに流してくれ、いくら待ち伏せしても、真祖が来ませんじゃ話しにならんからな。」

そういうと、兵は『ハッ』といいながら敬礼し俺の元を後にした。
さて、出現場所が分かったら策を練らんとな。
私を脅威だと思わせ、更には撃破するしかないと思わせるだけの状況を準備しないとなぁ。

「さぁ、真祖。お前の手を俺の血で存分の染めてくれ・・・。」

そう呟き、1人ほくそ笑んだ後に、隊員達の待機場所に向かい、

「小隊隊員は出撃準備!なに、真祖は女は殺さん。一方的に弄ってやれ!」

そうか各員に告げ、士気を高める。
そう、真祖は女は殺さない。
今上がってくる真祖の噂もそう、だが、俺だけは殺してもらうぞ。


ーside俺ー


逃走が順調でなくなったのはつい先ほど、2人一組の兵を殴って気絶させた。
多分、これで俺の居場所が分かってしまっただろう。
後は時間との勝負で、どれだけ早く離脱ポイントにたどり着けるかだ。
さて、静かな逃走劇のはずが、やけに大掛かりで面倒な事になった。
そう思いながら、暗闇のなかをロベルタを先頭に進むが、

「先に2人いる。このまま行けば、俺達は逃げ隠れで着ない、やつらの意識を刈り取るぞ。」

そう言って速度を上げて進み、

「なっ!?」 「おま!?」

そう驚いた二人を、

「とりあえず寝てろ。」

「運の無い方々ですね」

と、ディルムッドが槍の尻で、ロベルタが拳で意識を刈り取る。
そして崩れ落ちる兵を見ながら思うのは、人海戦術の面倒くささ。
何が面倒くさいかといえば、点で攻めるのではなく、面で攻めるという戦法そのもの。
今気絶させた兵で人数は4人、班単位ならば多分2班。
そして、2班目と言うことは、当然点が線になったという事。

点が点のままならば、探しようも無くその周辺を探すしかないが、それが線になった瞬間、
一気に俺達の居場所が特定しやすくなる。
すでに今使えるルートは7つにまで狭まっているが、ここで急遽別のルートを入れるというのは勘弁願いたい。
なにせ、今ルートを新しく入れるぐらいなら、最初からルート選定などする意味が無くなる。
それに、他のルートでは外に出た時に丸見えになる場所が多い。

しかしは、だ。
入り口があれば出口がある。
そして、ここも入り組んで迷路のようだが、それでも、ここは迷路ではなく水路。
まぁ、それを言っても今更か。願わくば、出口の特定ができていない事を願おう。
残りの7つのルート、そのどれでもいいから引っかかってくれる事を願う。


ーsideサーヤー


また新しく連絡の取れない班が出て、これで真祖の逃走ルートが絞りやすくなった。
1つ目の点と2つ目の点を繋ぎ線とする。そして、他の真祖と接触していない班の位置を書き込み、
真祖の進んでいるルートを算出していく。今の時点では絞り込め切れないが、それでも絞り込めるのは時間の問題。
なにせ、必要ないと思われる所の人員は全て地下から離脱して、今度は2つ目の点から先を繋げようと地下を歩き回っている。

「サーヤ隊長、人員各員準備完了異常なし。いつでも出撃し展開できます。」

「了解した、ならば出撃しよう。現在真祖の出ると思われるルートは完全には判明していない。
 だが、それが分かるのも時間の問題だ。我々は先行してルートが絞り込めしだい部隊展開し真祖を撃つ、以上だ。」

さて、ここからは時間との勝負だな。
真祖が逃げ出すのが先か、俺が追いつくのが先か。
そう思いながら兜をかぶり自身の装備品を再点検して小隊の人員を引き連れ出撃する。


ーside俺ー


非常に面倒な事になった。
と言うのも、前だけの追っ手ならばまだ良かったが、どうも後ろからも追っ手が来ているらしい。
しかもご丁寧な事に2人一組で。まぁ、そうは言っても地上は目の前で後はにげるだけ、そう思いコウモリを先行させる。
しかし、どうも今日は厄日らしい。コウモリから通して見える映像には数人の鎧を着た人間が見える。
たぶん、どっかの部隊だか何だかが展開中か、もしくは展開して待ち伏せしているのだろう。
さてどうするか、

「とりあえずはだ、このまま外に出ても先には部隊が展開している。まぁ、規模自体は小さいから問題はない。
 さて、選択肢は2つ、1つはこのままみんなで突っ込むという案。ただ、これだと挟み撃ちに遭うと言う可能性がある。
 2つ、2手に分かれて片一方が外の部隊を撃破してから残りを呼ぶという案。欠点は特になし。
 強いてあげるなら外のやつらを片付けれるだけの火力があるかと言う事だが、それに関しては、私が出るから問題はない。
 さて、私は第2案を押すがキサマ等は?」

そう言うと、ディルムッドが真っ先に、

「エヴァ、またそうやって危ない方を取る。確かに、エヴァの火力が凄いのは認めるが、
 それでもあんまり危ない事はしないでくれ、2手に分かれるなら俺が出るから。」

そして、ロベルタが、

「チャチャゼロさん、心中お察しします。お嬢様、危ないことは私たちにお任せください。」

ふむ、その心遣いは痛み入るのだが、
しかし、物には適材適所と言うものがある。
例えば、面で攻めれるか否かとか。

「心遣いは嬉しいが、広域殲滅のできる私と、単一戦が得意なチャチャゼロ、装備品がナイフや重火器といった物のロベルタ。
 この事実がある限り、大人数を相手取るなら私だろう。」

そう、ここまでくればもう隠しても仕方ないと思い魔法薬を吸う。
ふぅ、久々と言うわけでもないが、あると落ち着くな。
そう思っていると、

「ならば、まとまって突破しよう。」

そう言ったのはディルムッド。
まったく、心配してくれるのは嬉しいんだがな。

「そうしてもいいが、そうすると私が行動不能になった時誰が助けるんだ?
 2手に分かれるのは何も突破だけが目標じゃない、最悪退路だけでも確保しようとするためだ。
 ロベルタ、最悪現在地点から撤退する時には一番離れた集合場所に行ってくれ。」

そう言うと、ロベルタは、

「誠に不本意ですが了解しました。」

そして、ディルムッドの方を見ると、ディルムッドも
釈然としないといった顔で、

「背中は守る。本当は、全面的に守りたいんだがな。まったく、本当に無茶はしないでくれよ。」

そう言いながら俺を見てくる。
さて、話はまとまった。後は俺が外の敵を一掃すれば万事逃走成功。
そう思い、キセルを片手に外に向かい駆け出す。


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