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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 失態だな第27話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 22:39
失態だな第27話





買い物しながら遊びまわって早1週間。
自身で言うのもなんだが、久々に後手に回った気がする。
あの夜の時点で出した結論としては、間違いなく選択肢の多い選択だったと思った。
現に俺達が今も遊んでいるのがその証拠と言ってもいいだろう。
ついでに言えば、最初の頃は監視と言うのもお粗末な監視だったので、
検問がなくなるまで潔白を見せ付ける予定だったのだが、3日以降急に監視が巧妙になった。
なぜかと思い自身の行動を振り返ると、俺がこの町に来てすぐに航空艦隊の事を調べた事。
多分これだろう。

まぁ、航空艦隊は軍の持ち物である。
しかも、それが結成されて間もないものとなれば、少なくとも機密レベルは高い。
その事を失念したというか、今更目新しくないモノと思い聞いて回ったのがそもそもの間違いだったのだろう。
あのサーヤとか言うのに会ってから、始まった監視は最初の数日は問題なかったが、
それ以降は日を追う毎に巧妙になっている。

後、更に悪い事といえば、航空艇の船着場が抑えられた事。
どう抑えられたかと言うと、検問を敷かれた。
しかも、ご丁寧な事に軍服を着た軍人さん達がガッチリ空港を抑えている。
はっきり言って規模が大きく、更には行動が早すぎる。
それに、軍人が出張ると言う事は、サーヤも軍の関係者だったのだろう、
賞金稼ぎかと思い警戒不足だった。

持久戦を覚悟していたが、今の現状では、俺達の首が真綿で絞められているようだ。
押さえられている空港の検問には原作ネギが放り込まれて、
魔法を使えなかった牢獄を改造したかのようなゲートまで設置してある。
現状でそのゲートを通るリスクはかなり大きい。
下手を打てばディルムッドは一発で人形に戻るかもしれないし。

その事を考えて、更に町を遊びながら回った。
少なくとも、監視の付いた現状では、無害を見せ付ける他にできる事もないし。
そして一応、活路は見出せたが、良作とはいえない。
まぁ、何処で見出せたかと言うと、

「エヴァ、これ以外方法はなさそうだな。」

そう言って、地図を広げるディルムッド、

「この方法なら、逃走ルートは広がりますね。」

そう、地図に書き込みながら口を開くロベルタ。
今現在、書き込んでいるのは町に流れる川の場所。
活路とはつまり川である、何でそうなったかと言うとオスティアの地形の為。
オスティアとは空に浮いた島である、それも雲よりも高所に。
そうなれば、当然風は酷いし、空気は薄いし、寒さも酷い。
それらを解決しているのは島をぐるりと囲むように設置された結界のおかげ。

当然、この結界対魔法対物理防御つきで、下手をすると、索敵なんかも織り込まれているかもしれない。
その結界の裂け目が実は川なのである、何故裂け目になっているかと言うと、水を外に排出しないといけないから。
これが先ず1つ。2つ目は、この結果いの発生源は町を囲むようにあるポールの様な物を基点にして繋いで作っているから。
いわば、川の方が低く結界の基点が地面と言う高い位置に置いてある為、川の底までは結界が作用していない。
まぁ、これは町を回って川に色々投げ込んで確かめたから間違いないだろう。

そう言う訳で、逃げ道は川に潜って結界を抜けると言う事にしたのだが、
ここでの問題は、下手に川に入れば簡単に見つかるという事。
一応は、町の下に網目のように張り巡らされた下水用の通路から飛び込めば、
見つかる可能性は低いのだが、そこに入る方法が無いのが実情。
まぁ、それでも別の所から入って別の所から出るようにはしたのだがなんとも。
そう思いながら、キセルで魔法薬を吸う。

ちなみに、他の案では広域殲滅魔法をぶっ放して結界を壊し、その混乱に乗じて逃げるという方法もあったが、
被害の大きさと、広域殲滅魔法の危険性から却下した。
相手が人でなく、魔物の大群とかなら、氷系、闇系、重力系の魔法を使って問答無用で殺せば問題ない。
と、言うか殲滅系の特に重力魔法は間違っても簡単に人に使うようなものじゃない。

強化とか、付加効果とかに使うならばまぁ、まだいいだろう。
だが、重力魔法で殲滅をしようとした場合、ブラックホールを作ったり、縮大砲を撃ったり、
空間を削り取ったり潰したり、実に洒落にならない攻撃力を出してくれる。
練習した俺が言うのもなんだが、これはいくらなんでも人には使えない。
使っていいのはアルが使っていたようなものだけだろう。
まぁ、あれでも重力系では初歩に位置する魔法ではあるのだが。

と、そんな事を考えている場合じゃないな。
少なくとも、監視は付いたがこちらは決定打を出してはいない。
だから、このこう着状態はもう少し持つだろう。
その間に、できる事はしておかないといけない。
戦う気はなし、こちらの目的は逃走と、できれば今の姿は真祖とは関係無いと言う事にしたい。
この先も、色々と動かないといけないから、この保険だけは欲しい。
と、なると先ずは、

「私はとりあえず、人形作りに取り掛かる。
 お前達は、色々と情報を探ってくれ。」

俺が人形を作る理由は俺達の今の姿をした人形を作り、その人形達をどこかに国のスパイに仕立て上げるため。
当然、俺達は元の姿に戻り、人形達は今の姿で別行動させるので、フェイクとしては十分うだろう。
何せ、ちんけなスパイと真祖ではネームバリューが違いすぎる。
まぁ、関係性をなくすために元の姿に戻ったら被害の無い所で真祖がきた事を知らしめるように派手な魔法を使うかな。
ふぅ、時間はまだある、出来る限りの手を尽くし、策を張ろうじゃないか。
一応、アノマがよぼよぼになるまではこっちに居るつもりだったが、
旧世界への逃亡を視野に入れておこう。


ーsideサーヤー


狐と話して3日。休暇は当然切り上げてある。
しかし、現状としては相手の尻尾がつかめない。
狐に会った次に日には空港に検問をしき、狐がのこのこ検問に引っかかってくれるなら良かったのだが、
狐は検問なぞ気にするそぶりも見せずに精力的に遊んで回っている。
このまま狐が遊び続ければこちらとしては、検問の解除と監視員達の撤退を余儀なくされる。
そう思い、監視員達からの報告書を読み漁る。

上がって来る情報は、狐が高台で町を眺めて居たや、川の周りを歩いて回ったり、
買い物をしたりと、さながら田舎から出てきた観光客を思わせるような行動を取っている。
はぁ、持久戦ならば、こちらが不利なのは明白だ。
わざわざ不穏分子を国に留めるよりは、とっとと国から出てもらった方が効率がいい。
現状では、狐たちは怪しいが、それを裏付ける証拠が出ていないのだから。

そんな事を隊の自室で考え、凝り固まった頭を解そうと後の事をクライツに任せて、
宿舎の自室にもどり、久々に温泉にでも入りに行こうかと考えながら、部屋の扉を開く。

カチャ

「やぁサーヤ、なかなか・・・・。」

バタン。

疲れているのだろうか、狐の事ばかり考えすぎて。
会いたくない男ナンバーワンが俺の部屋に居た様な気がする。
そう思い、自室の前で目に手を当てて首を振っていると、部屋の扉が開き、

「酷いなぁ、折角僕が会いに着たのに。」

そう言って顔を出した白衣で眼鏡の男、
シュヴァルは実に嫌味ったらしく俺の顔を見てニタニタしている。

「お前を部屋に招待した覚えも、入出を許可した覚えも無い。とっとと消えろ。」

そう言うと、シュヴァルはニタニタ笑いのまま首をすくめて、

「ククッ、まぁそう邪険にするものでもないよ。
 今日はサーヤ、君のためにいい事を教えてあげようかと思ってきたんだからさぁ。」

そういいながら、目を細めて笑う。
チッ、気持ちの悪い。

「結構だ。今の俺は忙しい。」

そう、声に不機嫌だという感情を込めて話すも、
シュヴァルはいに返さず勝手に口を開く。

「まぁまぁ、少しは僕の話を聞いてよサーヤ。
 狐狩りがはかどってないんだろ?」

「何故それをお前が知っている。これは俺の管轄の問題であって技術部長が出る幕は無い。」

そう言うと、シュヴァルは腕を組んで指を左右に振りながら、

「チッチッチッ、今の決定打のない君じゃぁいつ検問の打ち切りを上から言われるか分からない。
 だから、その決定打を持ってきたのに、そんな態度じゃなぁ。」

そういいながら、顔に微笑を浮かべる。
そもそも、このシュヴァルと言う男とは昔から遭わない。
一応は、俺が軍に志願した時の面接官だったが、その時の事もよくは覚えていない。
が、シュヴァルの方は俺を良く覚えていて、事ある毎にこうやって会いに来る。
はっきり言って、邪魔の一言。
こいつの狙いは分からないが、少なくとも、腹を割って話し合いたい相手ではない。
だが、今のこいつの話が本当なら、少なくとも何かしらの打開策は見つかるかもしれない。
さてどうするか。

「・・・・。」

「フフッ、そんなに見つめても何もでないよ。
 いや、君の欲しそうな情報ならあるけどね。」

この男に借りなんてものを作るのは真っ平ごめんだ。
だが、それでも今は少しでも情報が欲しい。

「何が望みか言ってみろシュヴァル。」

そう言うと、シュヴァルは満足そうに頷きながら、

「君の艦に僕と荷物を乗せてくれ、それが望みだよ。」

そう言って、俺を見てくる。
シュヴァルを乗せるのは、まぁ、百歩譲っていいとして、

「荷物はなんだ。うちの艦は運送屋じゃない。」

「フム、君に鬼神兵って言って分かるかな?」

そういいながら、眼鏡をクイッと中指で押し上げる。
鬼神兵・・・、クライツがなんか言っていたが、よくは覚えていない。
確か目の前のシュヴァルが研究していたとは言っていたはずだが、
まぁ、それを運ぶ見返りが打開策なら悪くは無いだろう。

「危険な物でないなら構わない。」

そう返すと、

「交渉成立だね、サーヤ。
 じゃぁ、情報だよ、あの狐ねどうも君の艦隊を調べてたらしいんだ。
 つまりは、スパイの疑惑があるって事なんだよね。
 何せ、君の艦隊は新しく出来たばかりで、その装備品も運用方法も早々知らない。
 なのに、あの狐はそれを探っている。まぁ、探るにしては酒場なんかで聞いて回るなんて言うお粗末さだけど、
 それでも、その事実があれば多少強引にでも捕まえられるよ。
 さて、さっきの取引で話せるのはここまで。後の情報はまた何かしら支払ってもらってからだね。」

そうして、交渉は進む。
この男の嫌いな所は、このハイエナじみた交渉の仕方だ。
最終的には骨までしゃぶって喰らい尽くそうとする。
これは今、現にしゃぶられている俺だから言える事だ。
そんなワンサイドな交渉を終え、シュヴァルを部屋から追い出し手に入った情報を整理しだす。
手に入った情報は、1、狐が俺の艦隊を探っていた事。

2、これは俺も整理すれば気付けただろうが、狐の遊んで回っているルートをトレースすると、1つの事実が浮かび上がる。
それは、狐が常に河川を気にしている事と、高台から町を眺めて居る事。
多分、これはこの町からの脱出経路を模索しているのだろう。
巧妙なのは、それを感付かれない様に遊びの合間にしている事だろう。

そして、最後の情報が、シュヴァル独自のルートで手に入れたらしい、真祖と人形の画像集。
別段それ自体は珍しくないのだが、シュヴァルが出してきた画像の中に1つだけ目を引くものがあった。
それは、人形が紅と黄の槍を構えてる画像。
今まで出回っている画像で多いのは、人形は木の槍を構えてるものがほとんどだ。

と、言うのも情報もとのアリアドネー自体が情報封鎖を行い、最低限で出された画像が、今出回っている画像だからである。
当然と言っていいかは分からないが、真祖を狙う賞金稼ぎ達が真祖の写真をとったりはしない。
その事を考えると、この画像がどれだけ貴重な物かがうかがい知れる。
そして、その画像の槍と、先日の男の槍が似ているのも見て取れる。
だいぶ画像はぶれているが、刃の下にある模様なんかが夢で見るのとそっくりだ。
この情報は、シュヴァルには話さず、俺の胸にしまっておこう。

何せ、このれらの情報と引き換えに差し出したのが、
うちの艦隊での鬼神兵の運送任務と、その後の実験に付き合う事。
更には、狐狩りをする時にシュヴァルに通達する事なんかがあるのだから。
まぁ、それでも一応は情報と見合うものだと思っておこう。

そして4日目からは正式な任務として狐たちを監視している。
狐は相変わらず遊んでいるが、それでも何か思う所があるのだろう。
遊ぶ頻度が減り、最近は良く三人で部屋に篭っていると監視員達から情報が上がってくるが、
それでも正式な任務としてこなしているので、使える人員も増えた。
トータルして1週間でここまで身の回りを激変させれば、狐も焦るだろうと思っていたが、肝が太いのかまだ尻尾は出さない。
上の方も、そろそろ狐をスパイ疑惑で捕らえようかと考えているようだが、そうなればそうなったでこちらの優位性には変わりない。


ーsideシュヴァルー


部屋を出てから1人ほくそ笑む。いや、笑いを堪えられないな。
フフッ、いや、全くいい拾い物をしたよ。
なんだかんだで、サーヤと出会って数年立つけど、久々に彼女の目に光が戻った。
彼女の面接官をやった時は、まるで死んだ魚のような目をしていて、数年立つけど今も普段は変わらない。
でも、それでも彼女の目に光が灯る時がある、それは、真祖の話になった時。
今でも思い出すのが、彼女の面接官をして、最後に質問は無いか聞いた時に、

「軍律も何も興味は無い。ここにいれば、真祖と戦う事は出来るか?
 それが出来ないのなら、俺を落としてくれ。」

いやぁ、あの台詞にはしびれたね。
何せ、それを言っている時の彼女の顔は目がらんらんと輝いてまるで野獣のようだったのだから。
そして、彼女と真祖の因縁を知るために面接中にこっそり眠りの霧を使って眠らせて、彼女の夢を思う存分覗いた。
彼女の夢が決め手で、彼女を採用したといっても過言じゃないかもね。
きっと、彼女なら真祖を見つけてくれる駒になると思って。
その駒が今ようやく動き出しているんだから、これ以上嬉しい事はないよ。
あぁ、彼女についていけば、きっと真祖に出会える。
そしたら先ず何をしよう?

真祖と対談しようか?それとも、真祖を解体しようか?
それともそれとも、いったいどうやって真祖になったのか、真祖になって何がしたいのかを聞いてみようか?
ククッ、あぁ、楽しいなぁ。それに、真祖についてくる特典の人形も凄く興味がある。
だって、黄昏の一族でもないのに槍1つで魔法を霧散できるらしいんだもん。
欲しいなぁ真祖、真祖欲しいよぉ。早くアクションを起こしてくれないかなぁ。
サーヤに真祖に関する秘蔵の画像を見せた時の目の色からして、今サーヤが追ってる狐が真祖である可能性は高いんだろうけど、
どうしてもそれが本当に真祖かどうかは分からないんだよな。

まぁ、相手がいくら真祖でも、僕の鬼神兵にはかなわないだろうけどね。
現段階じゃぁまだ完成じゃないけど、それでも最新兵器の鬼神兵にはかなわないだろうなぁ。
あぁ、そう言えば真祖が見つかったらサーヤは用済みになるな。
でも、サーヤが今追っているのが真祖じゃないかもしれないしな~。
まぁ、それはそのとき考えようかな。


ーside俺ー


最近は部屋から出ていない。
と、言うのも持久戦2週間目、ダイオラマ魔法球に篭って身代わり人形をロベルタと共に3体作り、
それの動作確認なんかを行って、最近ではその作った人形が俺たちの変わりに外で動いている。
まぁ、そうは言ってもこの人形達は命令された動作のみを行うので、簡単なお使いなんかが主だが、
それでも目の部分にコウモリと血をを仕込んでいるので、それを媒体に指示を出せば思いのほか良く動く。

現状では、監視員と思しき面子も人形が出ればそちらを監視して、今泊っている宿の監視が薄らぐので身代わりとしては成功だろう。
一応、他の準備としては、ロベルタにと言うか、正確にはロベルタの核の賢者の石にだが血を塗りつけ、
いざと言う時に俺の魔力をたどって見つけられるようにと処置もした。
さて、後は逃げ出すなら下界が雨の時を狙って、雲に紛れて追跡を困難にしたいのだが、最近雨が降ってくれない。
一応、予報ではもうじき雨が降るらしいので逃げ出すならその時だろう。

ちなみに、逃げ出すときロベルタはお下げを解いて、眼鏡を外しメイド服からスーツに着替えて逃げてもらう事にした。
当然、スーツは錬金術で作り、魔法の矢なら5発ぐらいまでなら同時に中ってもダメージにならない。
ただ、武装に関しては魔法銃とナイフなんかが主になるので、火力だけで見るならばこの3人の中で1番低い事になる。
そうは言っても、逃げる事が前提なので、そこまで気に病む必要は無いし、ロベルタの手にも物を取り寄せる術式を彫り込んだので、
好きなだけ魔法銃用の弾薬が取り出せる。

と、まぁ、そうは言っても一応逃げる時は保険のために本体である俺達の方は1度目立たないといけない。
そう思いながら、今日は久々に外に出て町を見て回っている。
必要な物は買いそろえたし、特に表立ってする事は無い。

いわば、これは最後の逃げ道の確認。
選定したルートは全部で15、更に逃げられなかった場合の集合場所を5つ。
逃げるときは3人纏まって逃げる予定だが、最悪誰かが逃げられなかった場合を想定して集合場所を決めた。
ちなみに、俺とディルムッドとの離れて念話で話せる距離は大体10キロ程度。
ロベルタに関しては、糸で繋がっているので糸の届く限り。
まぁ、人形を操る技術が未熟なのであまり離れる事はできないし、糸を切られるとロベルタの行動が止まる。
最初はロベルタを影ないしダイオラマ魔法球に入れるという案もあったのだが、
逃げるルートが町の下に一旦潜ってから逃げると言うルートを選定していて迷う可能性があるので外に出しておく事にした。
さて、これで上手く逃げ切れれば問題もないのだがな。


ーsideサーヤー


今日も狐は町を見て回っている。
正式に任務の指揮権を得たので今は詰め所で監視員達から上がってくる情報を整理している。
本当はおれ自身が監視に付きたいのだが、すでに顔が割れているので、間違っても狐に見つかりたくは無い。
ついでに、狐が真祖である可能性が高いので、うちの隊の女性だけを集めた小隊を急造したが、何処まで使い物になるかは分からないな。

コンコン

「隊長、少々宜しいですか?シュヴァル技術部長から書類を預かっているのですが。」

そう言って、クライツが俺の前に書類を差し出す。
どうせ、これは鬼神兵のに関しての物だろう。
そう思い、書類に目を通す。そして、内容は案の定鬼神兵の護送任務の物。
ただ、気になるのが日付、

「クライツ、あいつは馬鹿なのか?いくらなんでも3日後は急すぎるだろ。」

そういうと、クライツの方も困ったような顔をしながら、

「自分もそう思いますが、すでに上の許可は取ってあり、積み込み作業も艦に積み込むだけとの事です。」

はぁ、あの男はどこまでも人の邪魔をする。
さて、どうするべきか。
演習なら、隊長がいないと話にならないが、今回は兵器を運ぶだけの任務。
それならば、

「クライツ、お前に今回の護送任務の指揮権をゆずる。
 護送だけなら問題ないだろう、なぁ副隊長。」

そう言って、クライツを見るとスッっと敬礼をしながら、、

「了解です隊長殿。荷物を運ぶだけならば、自分でも大丈夫でしょう。」

「そうか、なら後でそれに関する書類を渡す。」

そういうと、クライツは部屋を退出した。
しかし、本当に急な申し出だな・・・・・。
いや、このタイミングで依頼すると言う事は何かしらの考えがあるのか?
そう思い、手持ちの情報を漁ると、1つこれだろうと思うものが出てきた。
それは天候に関するもの。この国は空にあるので、事、天候に関しては色々と気を配る。
下手に雨の日に艦隊を動かせば、雷雲の中を潜る事になったり、視界が悪いせいで、
いくら上等の装備や魔法技術を使っていても他の航空艦と衝突する可能性もある。

そして、3日後の天候は予定では雨。
つまりは、狐が真祖で逃げるつもりなら、この日を選ぶ可能性は高いだろう。
となると、その日に何処から逃げるかと言う事になるが、多分川だろう。
どの川かと絞り込む事は出来ないが、出来ないならできないで人海戦術をしくまで。
さてさて、ようやく舞台は動き出した。

これで俺はまた真祖と戦う事が出来る。
真祖と殺し合い、そして、紅い華となって散る事が出来る。
たとえ、真祖が女子供を殺さないと言っても、それならば殺すしか無い様な状況に追い込めば言いだけの事。
つまりは、真祖に俺が脅威である事を示し、無視できない障害だと認識させればいい。
そうすれば、真祖も俺を殺すだろう。そのために、今日に至るまで剣に魔法にと磨き続けたのだから。
俺を殺してくれるまで、俺は真祖を殺し続ける。

「さぁ、真祖俺を殺しにいらっしゃい。」

さて、先ずは書類整理を済ませて、俺も準備をしないとな。


ーside俺ー


さて、一応準備は整った。さっき、窓から航空艦隊が空に浮かんでいるのが見えたが、特に問題にはならないだろう。
人形も上手く動き、ここは晴れているが島の下には雲海が広がっているから雨だろう。
と、いっても見ているのはコウモリを通して頭に浮かんでくる映像だ。
まかり間違っても、自身で町の外まで行って雲を確かめるなんていう馬鹿な事はしない。
そんな事をすれば、監視員達に今から逃げますと言っているようなものだろう。
まぁ、事実として逃げ出すのでなんともいえないが。

「お前達、準備は出来たか?」

「俺の方は問題ない、ロベルタは?」

「私の方も問題はありません。」

そう言って3人で顔を見合わせる。
俺の服装はコウモリで作り、ディルムッドはまだ人だが、人形に戻れば黒いメイド服。
ロベルタは、黒スーツとネクタイをしていて、姿だけなら、リップバーンぽいな。
そう思いながら、キセルで魔法薬を吸う、見つからなければまた後でゆっくり吸えるが、見つかったらどうなる事やら。
少なくとも、俺達を監視しているのが軍の関係者なら、面倒な事にはなる。
まぁ、すでに人形達は町に繰り出しているので、監視員達がいないから何ともいえないが、
例え、いたとしても宿の方に注目がいっていれば問題はない。
何せ、影のゲートを使って宿から離れた所に出る予定だし、
出た後は出た後で、人形と俺達を別物と思わせるために少しばかり暴れないといけない。
まぁ、暴れるといっても空に浮いて適当な魔法を放つだけだが、それだけでも俺達の方に目がいくだろう。

その後は、川沿いに町の下に潜って15のルートのうちのどれか1つを使って外に出られればいい。
行動としては、多少矛盾をはらんでいるが、保険と逃走を同時に取るなら、これ以外の策を思いつかなかったのが現状だ。
まぁ、地下にもぐれればほぼ逃走は成功したといっていいだろ。
なにせ、町を流れる川は多いし、今日逃走するという事実もどこにももらしていない。
逃走するなら、時間との勝負になるが地下に入れば後は、水路が迷路のようになっているので問題は無いだろう。
ついでに、人形達は人形達で俺達が影のゲートで出発したら宿に帰る様に指示を出してある。
そして、宿に付いたら、後は俺の手元に取り寄せて証拠隠滅。
流石にここまですれば、いくらなんでも俺達と人形との関係性が消えるだろう。
そう思い、影のゲートを使って町の外れの方に移動する。

「さて、今から一旦暴れるわけだが、最優先事項は逃走だ。
 これだけは忘れるな、誰も捕まらず逃げ切る事。」

魔法薬を吸いながら話、ディルムッドとロベルタの顔を見ると2人とも頷いて返してきた。

「よし、じゃあ今から元の姿に戻る、私が先に戻りチャチャゼロが人形になったら。
 逃走劇を始めるとしよう。」

そう言って、俺は本来の姿にディルムッドは人形にと姿を変える。


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