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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 目玉だな第23話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 22:35
目玉だな第23話








オドラデクエンジェルは目を覚ました後、喋る事も無く沈黙している。
時折目の中に文字のような物が浮かんでは消えている。
多分、パソコンに例えるなら起動開始の準備でもしているのだろう。
何せ、こいつはパンが石になるほどの年月、この地で一人ずっと座していたのだから。
まぁ、更に驚く事と言えば、これがその年月を経てもきっちりと人間に見え、
更にはちゃんと起動するという事の方が驚きだ。

そう思いながら、オドラデクエンジェルを見ている間も、
ディルムッドが影に書物を入れてくれたので、全て詰め込む事が出来た。
そして、それが終わっても、動かない目の前のオドラデクエンジェルを指をさして口を開く。

「エヴァ、これはちゃんと動くのか?沈黙したままだが。」

隣にいるディルムッドが俺に聞いて来る。
まぁ、目を開いてから沈黙したままだから仕方ないか。

「問題は無いと思う。確証はないが、今は起動に必要な処理を行っているんだろう。
 まぁ、その処理がどれくらいかかるかは分からないが。」

そういって、俺とディルムッドが見ていると、
処理が終わったのかオドラデクエンジェルが口を開いた。

「現行における情報収集を終了。・・・・・、おはようございます。」

そういいながら、俺とディルムッドをみてくる。
ファーストコンタクトは成功と言う所か、これで下手に認証やらなんやらが要ったら大変だった。
そう思いながら口を開く。

「あぁ、おはよう。先ずは、名前は何と言う?私の名前はエヴァンジェリン。こいつはチャチャゼロだ。」

そう言うと、横にいたディルムッドが一礼して、

「エヴァの騎士をやってるチャチャゼロだ。よろしく。」

そう言うと、オドラデクエンジェルの方も首だけで礼を帰して口を開いた。

「私は多目的情報集積型指揮統制用個体。ミークと申します。」

オドラデクエンジェルの名前はミークと言うらしい。
多分、各文字の頭文字でも取っているのだろう。
っと、そうではない。
こんな所で話すよりは、ここから連れ出して外で色々と話を聞いた方が安全で建設的だろう。
と、言う訳で。

「ミーク、早速出悪いがここを出る。必要なものをまとめてくれ。」

しかし、ミークは首を横に振る。
もしかして、どこか壊れて動けないのかと思った矢先にミークが口を開く。

「私はここを離れる訳には行きません。現状で私の指揮していた個体からの反応は、微弱なもの一つ以外全てありませんが、
 私はここの指揮官です。それに、私がこのイスを離れれば、この場所の機能が停止し、私も停止します。」

そう、とても穏やかな顔でミークは答えた。
この場所で幾星霜、パンは石になり、スープも干上がり具が石になる。
そんな長い年月をここで一人で過ごし、更に未だにここで自身の使命を全うする。
それは立派な事なのだろう。だがしかし、俺の口をついて出た言葉は賛美でも労いでもなく、

「悲しい・・・・、な。」

そんな言葉だった。
いかん、今、俺は目の前のミークと自身を重ねてしまった。
彼女が朽ち果てないように、俺もまた朽ち果てる事が無い。
その事を考えれば、何百年、何千年あるいは何億年先には俺も彼女と同じように遺跡で眠っているのかもしれない。
そんな事が俺の頭をよぎり彼女と自身を重ね合わせてしまった。

しかし、これは感傷でしかない。俺は彼女ではないから、彼女が何を思い何を選択してここにいるのかは知らない。
もしかすれば、製作者がそう命令したのを忠実に守っているがゆえに、この地を離れないだけなのかもしれない。
他者の持つ痛みはそいつだけの物で、他人がいくら言葉で言い繕っても、けして同じ痛みは得られない。
だから、感傷をするぐらいなら、前を向き、他にできる事を探す。
そう思っていたが、

「エヴァ?・・・・・、泣いているのか?」

「え?」

ディルムッドに言われて、自身の頬を触ると、そこには、涙の後があった。
はぁ、らしくない。泣いてしまうなんて全く持ってらしくない。
しかも、それに気付かないなんて。
そう思っていると、ディルムッドが心配そうに俺を見てくる。
そうだな、俺はこいつの主なのだから確りしないとな。

「気にするな。」

「いや、しかしだな。」

「いいから気にするな。
 しかしミーク、キサマがここから出られないとなると、キサマが持っている情報はどうやって外に持ち出す?」

これは割りと疑問だった。
調べた限りでは、オドラデクエンジェルを作るのに必要なもの、
すなわち、賢者の石、オリハルコン、エリクサー、ホムンクルス。
これらが必要な事は分かっているのだが、しかし、
起動しているものが無いため、それらの本当の機能と言うのはイマイチいまいちよく分かっていない。
まぁ、賢者の石は大体全ての情報が記されたモノとして扱われているから、それと一緒なんだろうか?

「それなら問題ありません、他に賢者の石があれば、情報を並列化し私達の持つ情報と同じ情報を持つオドラデクエンジェルが作成できます。
 なので、私が動く必要はありません。私達は私達が得た情報を集積し並列化し続ける事で最善の策を算出し続けます。」

そう言ってミークは黙る。
横にいるディルムッドは何が無いやらと言う感じで、
目を白黒させているが、俺としては大体意味が分かった。
用は、オドラデクエンジェルはタチコマ、若しくは草薙素子なのだろう。
違うとすれば、脳があるのではなく、あるのがホムンクルスと言う擬似的な魂と、
数多くのオドラデクエンジェルと言う仲間達との並列化された情報。

個にして群で、群にして個。
多分そんな感じなのだろう、そして、賢者の石が延々情報を蓄積し続けると言うのなら、
それはまさしく、俺達の知らない過去の情報を知っているそして、そこから未来を導き出す。
あくまで統計学的なものだが、それでも情報量が情報量なので間違いはほとんど無いと思う。
まさに、聞けば答えてくれる賢者の石といった所か。

結局の所、魔法と科学は根っこが同じなのだろう。
多くの人に同じだけの恩恵を与える科学と、個人の資質のみで、個人に恩恵を与える魔法。
この場所では、ただ科学が錬金術と言う言葉に代わっただけ。
それに、錬金術は発展すれば科学になるから問題はない。

っと、考察はここまでにして、
現状での問題は賢者の石がないと、このままここで朽ち果てる石が最後の一つになる訳か。
しかし、新しい問題といえば俺が賢者の石を持っていない事なんだが。
そう思っていると、ディルムッドが俺の服の袖を引っ張りながら話しかけてくる。

「エヴァ、今の話分かったか?
 俺は全くさっぱりなんだが、これでエヴァが分からないと無駄足になるな。」

そういいながら、残念そうな表情をする。
フム、こいつは、自身が分からないのが残念のか、俺が分からないと思っているのか。
まぁ、どちらでもいいか。

「あいにくと、私には全て理解できたよ。
 まぁ、ミークの方も少し掻い摘んでいった感はあるが、問題は無い。」

そう言ってディルムッドにニヤリと返すと、
尊敬の眼差しが飛んできた。よせよ、照れるじゃないか。

「しかし、今の話だと賢者の石が必要になる訳だが、現状私達はそれを持っていない。
 余りかなんかがどこかにあるか?」

そう言うと、ミークはおかしな事を言うとばかりに俺を見ながら口を開いた。

「エヴァンジェリンが持っているではないですか、貴女の影から反応が反ってきますが?」

はて、俺はそんな・・・・・、いや、もしかすると?
そう思い自身の影の中に手を突っ込む。
心当たりがあるとすれば一つ、俺が撃ったあの骸骨のコア。
しかし、

「これの事か?」

影から出して見せたコアには俺が打ち込んだ弾丸がめり込んでいる。
うん、これで使えなかったら、俺の所存で無駄骨になるかも・・・。
そう思い冷や汗を掻きながら、ミークに渡した。
そうすると、ミークは俺の渡したコアをためつすがめつしながら、口を開いた。

「外部からの攻撃により一部破損していますが、現状ここで生きているのはこれだけです。
 一応は、データの転送が出来ますが、万全ではない為、一部失われる可能性もあります。
 応急処置をしてから送りますので、後は修理してください。」

そう言いながらいじっている。
しかし、これが賢者の石だとすると、もう一つ心当たりがある。
それは、俺とドクロが撃破したヤツの物。
あれが使えれば問題ないんじゃないだろうか?

「ここにくるまでに、横穴で自身を咎人と言うヤツに会ったが、そいつには賢者の石は積んでいないのか?」

そう言うと、ディルムッドが呆れたように俺を見てくる。

「君達の帰りを心配して外で待っていれば、中で一戦やらかしていたのか。
 全く、俺にこれ以上心配させないでくれ。」

そういって、やれやれと言った感じで首を振る。
まぁ、その仕草をしながらも、どこか楽しそうだからいいのだが、
問題はそれを聞いたミークの方。目を丸くして、心なしか顔色が青いような気がする。

「あ、あれに出会ったのですか?」

声が震えているが、何か問題があったのだろうか?
しかし、そんな状況でも作業の手を止めないのだから、たいした者だ。
最初は球体だった

「寝られるといって寝たが問題があるのか?」

それを聞いたミークがまくし立てる様に喋る。
まぁ、喋るだけで立ちはしないのだが。

「あれは戦闘用特化個体で、ここの守護隊の隊長でした。
 しかし、ある時自身を本当の人間だと言い出し、私の命令を無視しだしたのです。
 そして、決定的な罪として、人を殺しました。その咎により彼は許しの時までの償いを命じられたのです。
 すでに、彼の賢者の石とはリンクが切れていて、持ってきた所で意味を成しません。」

フム、これだけ生き生きとして、継ぎ目も何も無い完璧に人間に似たものなら、
いつかはそれを言い出しそうだ。そもそも、最終目標が『完全なる人』だから、問題は無いんじゃないだろうか?
それとも、賢者と言う意味での『完全なる英知を持つ人』と言う意味なんだろうか?
と、結局問題事項が見当たらん。

「何をしたかはいいとして、問題はなんなんだ?」

そうディルムッドが聞くと、コホンと咳払いを一つして問題を言い出した。

「はい、彼は最終的に逃げられないように処置をされ、特別資料室の一部に警備員として配置されました。
 そして、彼が撃破されるか、寝るような事があれば予備電力が復旧して、ここの最終警備システムが稼動するのです。」

ありがちな罠と言えば、ありがちな罠。
古典的といえば、古典的。しかし、これは逆に言えばそれだけ効果があり、
なおかつそれに引っかかる確立が高いからこそ、ここまで広がった罠。

「つまりは罠が発動すると?
 しかし、安全装置なり、緊急停止なりできるんだろ?」

そういうと、ミークは非常に微妙な表情をして口を開く。

「ここのオドラデクエンジェルの指揮系統最上位は私です。
 しかし、トラップや、警備システムとなると話は別です。すでに、収集した情報によると、
 ここもだいぶボロボロなので、どこまで指揮命令系統が容認されるかが問題です。
 現状、警備システムが・・・・、作動しましたね。」

そこまで言った時に、明るかった部屋の電気が落ちる。
うん、嫌な予感しかしない。むしろ、この場合危ないのはドクロとキール。
同じ事を感じ取ったのか、ディルムッドも俺の方を見ているようだが、
目が眩んだか、微妙に違う所を見ている。

「緊急事態だ!全て解除しろ!」

そう言うと、ミークは自身が座していたイスから立ち上がった。

「私がここから離れれば、魔法式の機能が停止します。
 それと、これをどうぞ、私達が持っていた情報が入っています。後、電気系統を復旧します。」

そう言って、あたりが明るくなったのと同時に、先ほどの賢者の石を渡される。
しかし、

「早く座れ!キサマは立ったら機能が停止するんだろ!?」

そう言うと、ミークは首を横に振り、

「私も、そろそろ疲れました。指揮官は指揮する者がいないと、その存在意義を失います。
 それに、これは部下の最後の不始末です。責任は私以外に取る物もいません。
 幸い、私の実働停止までは残り900秒ほどあります。」

そう穏やかに言って、なにやら取り出している。
どいつもこいつも、ここのやつはかってだ。
何もわからない状態で、勝手に時が過ぎて、勝手に思いを紡ぐ。
だが、それでも、ここで止まっている訳にはいかんな。

「分かった、キサマは準備がいるようだから、準備して来い。
 チャチャゼロ、私達は先行するぞ!」

そういって、今貰った賢者の石を影に入れ、
ドア・ノッカーに魔力弾を詰めてディルムッドをつれ部屋を出る


ーsideキール&ドクロー


多少時は遡る。

「いやー、こいつは本当に凄いねぇ、キール目に焼付けとくんだよこの光景。」

「ドクロ、そんな事より早く詰めましょう。」

全く、こいつはせっかちでロマンが無いねぇ。
でもまぁ、口だけで働かないやつよりはマシかねぇ。
今もセコセコとカバンに財宝詰めてるし、しかし、チャチャゼロも女狐もどこに行ったのかねぇ、
辺りを調べてくるなんて言って、帰ってこないし。

「ドクロ、手が止まっていますよ。量があるんですから、手っ取り早く詰めましょう。」

「わーってるよ、それにしても凄い量だねぇ。」

そう言いながら、ドクロが金に頬擦りをしている。
ふぅ、これは全て詰めるのにどれくらいかかるのやら。
そう思っていると後ろのドクロが、

「なー、キール。アンタさぁ、アタイのどこが良くてあんな事言ったんだい?」

突然ですね、全く。
こういうのは心の準備が要るものなのですよ、まぁ、それをドクロに求めても無駄そうですがね。
何といっても、デリカシーと言う言葉から一番遠い方でしょうから。

「さて、人を好きになるのに時間が要りますか?
 まぁ、私と貴女はなんだかんだで、いつも顔を合わせていますがね。」

そう言うと、ドクロももくもくと手を動かしながら口を開く。
ここにあのお二人がいなくて良かった。
背中越しとはいえ、顔から火が出そうですよ。
私の属性上、それがシャレにならない可能性もあるのですが、

「そうかい、ならあんたもまた戻るかい?発掘者に。
 それなら、パ、パートナーとして一緒にいられるだろ?」

「え・・・・?」

今なんでしょう、目の前の宝物よりも嬉しいものが送られたような。
マジなんでしょうか?本気と書いてマジなんでしょうか?
振り向いてみると、相変わらず、見えるのはドクロの背中。
でも、良く見ると細い首筋が少し赤くなっているようにも思えます。

「よろしいのですか?」

「ば、ばぁか、冗談に決まってるだろ、アンタがララスからいなくなったら、
 誰があの店の店主やってアタイに酒を出すんだよ。」

あぁ、もう!
らしくないねぇ、なんというか、アタイの性格だと、今までにアタイから言い寄るヤツはいたけど、
逆に言い寄ってくるヤツはいなかったからねぇ。
・・・・、どうしたらいいんだろ。
ぶっちゃげた話、キールの事は嫌いじゃない。

これは確かなんだけどねぇ、でも、もうこいつの前で可愛らしい女を演じるのは無理。
近すぎるから、アタイを今更さらけ出すのも恥ずかしいから無理。
それに、発掘をやめたら何をしたらいいかも分からないしねぇ。
はぁ、考えるのは後回し、今はこれをとっとと詰めようかねぇ。

「そう言やぁ、キール。アタイいい事思いついたんだけどいいかい?」

「私との挙式ですか?そうですね、うちの店でなんてどうでしょう?」

こいつは真面目に言ってる。うん、こいつは真面目に言ってる。
って、事は天然ってやつかい?
前に女狐がカラクリの事をそう呼んでた事があったけど、これがそうなのかねぇ?
ついでに言えば、アタイも女だから、こういう事を言われたら嬉しくなくは無いんだけどねぇ。

「違うよ、その女狐のカバンだけど、もって走り回ったら勝手に吸い込んでくれるんじゃないかねぇ?」

そういうと、キールの方もポンと拳で手の平を打って、

「名案ですね、試してみましょう。では、私から。」

そういうと、キールはカバンを持って走り出す。
すると、カバンを近付けたものがどんどん吸込まれていく。

「ドクロ、このカバンは、持った人が近付けて中に入れたいと思うと吸込んでくれるみたいですね。
 かなりの至近距離になりますが。」

「そうかい、そいつぁあ便利でいいね。」

そうして、お宝がほとんどカバンに詰め終わった頃。

「エヴァンジェリン嬢とチャチャゼロさんが遅いようですね。」

「あぁ、それなら、さっき女狐の撃った銃弾と別の所で扉を見つけたからそこじゃないかねぇ。」

そういいながら、ドクロが壁の方を指差す。
と、言っても壁が遠くてよくは見えないのですけどね。
これなら、千里眼も習得しておくべきでしたか。
そうやって、キールが壁の方を見ていると、ドクロが口を開く。

「ねぇ、キール。あの天井のやつなんだと思う?」

そう言って、指を指された先には天井に釣られている何か。
はてさて、なんでしょうね。
考えられるとすれば・・・・、思いつきませんね。

「私の範疇外です。ドクロはなんだと思います?」

そう聞くと、ドクロが腕組みをして、『フッフッフッ』と笑っています。
エヴァンジェリン嬢ではないですが、全く持っていい予感がしませんね。
今更ですが、あの方の苦労が分かった気がします。
まぁ、それでも彼女が楽しいならかまいはしないのですが。

「聞いて驚けキール、アタイが思うに、あれにお宝が入って運ばれてきたと思うんだよ。」

そう言って、得意そうに胸をそらす。
ここはエヴァンジェリン嬢の言葉を借りましょう。

「非常に不本意ですが、どうしたいのです?」

そう聞くと、予想通りの言葉が返ってきました。
ここで聞き返さないという選択肢は無いとは言え、別の答えが欲しかったですね。

「当然、お宝回収のためにあれに穴を開ける。と、言う訳でキール開けておくれよ。」

魔力は、今の所多少戻っていますが、あれをあけるとなるとどの道ほとんど使わないといけませんね。
けど、これも惚れた弱みと言うやつですか、ドクロの笑顔は見たいですし。

「いいですけど、あまり魔力が回復してないですから、
 これをやったら後は戦いの旋律ぐらいしか使えませんからね。」

使うナイフは1本。
すでに、ひとつ前の壁で失敗していますからね、
こう言うのは一本にしぼって魔力を集中してからやった方がいいでしょう。
それに、いつもは無詠唱ですが、ちゃんと詠唱した方が威力も上がりますしね。

「ドクロ、集中しますので。アグニ・アルト・カグ・ランス 火の精よ 破壊と蹂躙の使者よ 我が捧げる魔力を糧に
 破壊の一矢を示せ 破せる焔。」

そういって、投げた一本のナイフは風を切り天井に釣られた物めがけて飛んで行き、

ドゴオォォォォォーーーーーー!!!

と爆発が起こりそして、

「やったーー!、キールやったじゃないかい、あれなら貫けてるはずだよ。」

っと、ドクロが喜んでいると、フッっと辺りの明かりが消えた。
はぁ、嫌な予感と言うのは存外当たるものですね。
自身で手を下しましたが、それでも、ここまで如実に帰ってくると返す言葉も無いですね。

「ドクロ、無事ですか?」

そういいながら、ナイフに火よ灯れで火を起こしてあたりを見る。

「大丈夫だよ、全くなんだって言うのかねぇ。」

そう思っていると、辺りに光が復旧し、

「おーい、ドクロー、キールゥー無事かー?」

どうやら、この事態のおかげで彼女達も出てきたようですね。


ーside俺ー


良かった、ドクロとキールは無事なようだ。
ただ問題とすれば、

「エヴァ、あれが警備システムか?」

見上げた先には、釣り下がっていた者に穴が開いている。
もしかすれば、これが引き金でシステムが稼動したのかもしれない。
ついでに言えば、

ギョロリ

穴の開いた所から見えるのは目玉。
多分、大きさから見るに目玉だけなのだろう。
そして、天井から触手が伸びてきている。

「多分、あれだ!二人ともこっちに来い!」

そう言うと、二人ともこっちに走しってくる。
しかし、その間にも触手が人の髪の様な量で伸びてくるので、

「チャチャゼロ、行くぞ。いったん二人と合流する。」

「了解、俺も解放してあれを斬って来る。」

そう言って、ディルムッドは飛び出していく。
俺の方も、銃を腰に下げ、箒を取り出し、呪文詠唱に入る。

「エメト・メト・メメント・モリ 魔法の射手・氷の126矢!」

そういって、一気に魔法の矢をばら撒く。
ディルムッドの方も、

「斬槍閃!!」

と叫びながら斬撃を飛ばして応戦している。
しかし、多勢に無勢だな。そう思っているうちにドクロたちと合流。

「キサマら怪我は無いか!?」

そう聞くと、

「私とドクロは問題ありません。しかし、多勢に無勢ですね。
 私の方は戦いの旋律分ぐらいの魔力しかありませんし、ドクロの方もあれには打撃は効き辛いらいでしょう。」

確かに、目の前の触手は細い。
キールはナイフだから、自身を守るのに問題は無いが、ドクロの方は得物が悪い。
と、なると、

「キール、キサマは戦いの旋律で自分を守れ、ドクロはこれを使え!」

そういって、渡すのはドア・ノッカーと魔力弾、後はランタン。
一応、ランタンに色々と補助効果があるから大丈夫だろう。

「分かりました、エヴァンジェリン嬢、カバンは影に沈めてください。」

そういって、キールはカバンを俺の影の上において、戦いの旋律を使い応戦。
残った問題はドクロか、

「女狐、これどう使うんだい?」

そう言いながら、ガンベルトと、ランタンを装備して、銃を見ている。

「魔法銃だ、引き金を引けば弾がでる。弾の交換は十発。忘れるなよ、十発だからな!」

そう言うと、ドクロの方は

「あいよ!十発だね。」

そう言って、片手にドア・ノッカー。
もう一方にエクスカリバーンを持って飛び出していく。
さて、俺は俺のできる事をしよう。
今の構図は前衛3に後衛1。ならば、徹底的に砲台になる!

「エメト・メト・メメント・モリ 魔法の射手・氷の矢267!」

「エメト・メト・メメント・モリ 魔法の射手・闇の矢347!」

ばら撒く魔法の矢は500を越え、触手と本体を攻撃していく。
他の仲間も、同じように触手を攻撃する。
多分、天井の目玉が本体なんだろうが、中々攻撃が通じない。
ここで必要なのは、面ではなく点それならばうってつけのヤツがいる。

「チャチャゼローー!本体を穿て!」

そう言うと、ディルムッド自身の投擲しやすい位置に移動していく。
さて、俺の方も前に出るか。ディルムッドが投擲を成功できる用に前に出ないといかんな。

「エメト・メト・メメント・モリ エクスキューショナー・ソード!」

そう思い、剣を展開して辺りの触手を消し飛ばしながらディルムッドの横に行く。

「準備時間は?」

「数秒でいける!」

すでに、何がとは言わない。
お互いにやる事がわかっているから。
ディルムッドはゲイ・ボウを槍投げの選手の様に構えている。
そして、前進のバネを活かし、

必滅の黄薔薇ゲイ・ボウ!!!!

全力で黄色の槍を投擲し目玉を穿たんとする。


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