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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] あいつらも大変だったようだな第22話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:3cc7fbc3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 22:14
あいつらも大変だったようだな第22話












闇に甲冑の軋むような音が響く。
そして、ナイフの光により削られた闇の中から姿を現したのは、やはり甲冑の騎士だった。
片手には装飾も無く、ただ無骨な細身の剣が握られ、全身を覆う甲冑は闇に溶け込むかの如く漆黒。
ただ、光って見えるのはその騎士の片方の瞳、頭全体を覆う兜の中で顔は見えないが、
まるでこれを目印にしろと言わんばかりに淡く輝いている。
対峙する距離は大きく踏み込んで一撃が入る距離。
しかし、敵で届かない距離。
多分、それを理解して止まったのだろう。

声は発さない、ただ、闇の中より現れ、今俺たちの目の前に姿を現し左手に無骨な剣をだらりと持っている。
しかし、俺の戦士としての感が訴える。こいつは危険だと。こいつは一筋縄ではいかないと。
そう思い敵を観察すると、動いてもいないのに一瞬鎧の下が蠢いた様な気がする。
それを見て、エヴァから貰った木の槍を握る手にも力がこもる。
場所は最悪。槍をふり回すには幅が狭すぎる。縦に叩き付けようとすれば、今度は天井が邪魔になる。
こんな時、俺の愛用の双剣があればどれほど楽か。

いや、無いものねだりはよそう。
今ある最善を尽くし、なおかつ、彼女のオーダーである俺の後ろにいるキールを守りながら戦おう。
無論、援護は貰う。何せ、彼女は勝たないと、生き残らないと誉めてはくれないだろうからな。

「チャチャゼロさん、あの騎士をどう見ます?むしろ、モンスターで無い事に驚きましたが。」

そう思っていると、俺の後ろのキールが話しかけてくる。
手には指に挟んだ3本のナイフ。それが両手で6本。キールの戦い方を考えるなら、ナイフ投げか、一撃離脱の二択。
しかし、この場所は、一撃離脱もしづらい。まったく無理と言う訳ではないが、それでも厳しいように思う。

「技量は高い、地形は不利、しかし、リーチならば俺たちの勝ち。ならば、何であろうと負ける道理は無いさ。」

そう、この俺は英霊にまで上り詰め、さらにそこから先を修練した身。
エヴァと共に生きた道のりは、けして生易しくなく、むしろ、その1戦1戦が常に不利の中で行われた。
しかし、その状況が俺をさらに強くする。この世界の魔法を知らなかった俺なら、当の昔に朽ちていたかも知れない。
だが、俺の主はそれさえも見越して俺を鍛えようとした。ならば、その期待に答えよう。
考えてみれば、エヴァと完全に離れた状態の戦闘と言うのも、こっちの世界では初めてだ。
ならば尚更無様はさらせない。

「キール、俺が隙を作るし狩れる時には狩る。キールは確実に狩れる時に狩るってくれ。」

そういうと、キールはコクリと頷き、

「ならばお任せしましょう。しかし、私もおんぶに抱っこでは示しがつきません。
 火力が必要な時、手数が必要と判断した時は手出ししますよ。」

そう言いながら、 隙無くナイフを構える。
まったく、この男も不思議な男だ。
冷静かと思えば遊び心があり、さらに言えば、内に秘めた焔は灼熱。
だから炎系の魔法使いなのだろうか?

っと、あちらもどうやら待ちきれないらしい。
最悪、今の木製の槍は折られるだろう。
しかし、それが足かせにはなりはしない。
何せ、俺の本来の獲物はこの槍ではないのだから。
そう思っていると、キールが口を開く。

「行きますよ!!」

そう言いながら、ナイフを二本、左右から襲い掛かるように騎士に投げつける。
それに合わせる様に気で身体強化した右の槍で神速の突きを放つ。
しかし、敵はそれを後ろに流れるように体を引きながらしゃがみやり過ごす。
放った一撃は手加減抜きの一撃。さらには左右から迫るナイフにより、
相手の取れる選択肢は後ろに下がると言う選択肢しかない。
つまりは、

「見え見えだ!!」

そう言いながら、左の突きを顔めがけて、右の突きを更に心臓が来るであろう位置にと神速の突きを放つが、

「・・・・・」

一撃目の左をしゃがんだ姿から更に上体を後ろに反らしてかわし、
一瞬目が光った後、二発めの右をその状態から剣を振るい、俺の気で強化した木製の槍の切っ先をきり飛ばす。
はっきり言って、今の動きは体が柔らかいとか言う事で片付けられる動きではない。
自身で言うのもなんだが、俺の突きは早い。
その早い突きを気で強化しているので、荒さは残るが、それでも更に速さは増している。
更に言えば、気で強化された獲物は少なくとも木とはいえ、鋼並みの強度は出せる。

そんな突きを避け、更に言えばその槍に切っ先を切飛ばすと言う事を目の前の騎士はやってのけた。
更に言えば、その状態から!

「ちっ!?」

剣で突きを放ってくる!
まったく持って手に負えない!
俺もその突きに合わせるように後ろに跳び、相手の剣先に無傷な左の槍を絡め、突きの軌道を下にそらす。
そうなれば、獲物が一つしかなく、更に顔ががら空きになっている獲物を見逃さない奴がいる。

「そこまでです、俗に言うチェックメイトと言う奴ですか。」

そう言いながら、ナイフを騎士の顔の両脇に投げ、

「破せる焔!」

そう言いながら、投げたナイフを爆破させる。
流石に騎士もこれには反応できなかったのか、爆発をもろに受け後ろに吹っ飛ぶ。

「やりましたか?」

そう言いながら、キールは爆発で起こった煙の向こうを見ようと目を凝らしている。
俺としても、これで終わって欲しい。終わって欲しいが、

「まだだ・・・、まだくたばってはくれないらしい。」

煙が晴れて行くと、次第にあたりの様子が分かるようになってくる。
ついでに言えば、見たくない奴のシルエットもだ。
しかし、その煙の晴れた場所に立っていたのは、異形としか言いようがない騎士。

キールの攻撃で、兜は吹き飛んだ、がその下から出てきたのは赤い液体に包まれた黒いドクロ。
そして、そのドクロの瞳の部分にはまった石のような物が、淡く光っている物の正体だった。
そして、ソイツは今の爆発も何事もなかったかのように悠々と剣を構えるが、
鎧のひび割れた所から血のように赤い液体が零れ落ち、姿勢が崩れる。
そんな骸骨の騎士を見てキールが言葉を漏らす。

「そんな顔なら、騎士の格好よりも死神を模した方がお似合いでしょうに。」

「確かに、これなら剣よりも大鎌の方が似合う。」

そんな軽口を叩きながらも、そのドクロの騎士を睨みつける。
多分、あいつを覆っている液体のおかげであんな無理な動きが出来るのだろう。
ついでに言えば、あいつの体が液体なら、俺の攻撃はほとんど無効化される可能性がある。
となると、

「キール、あれを焼き滅ぼせるだけの火力を出せるか?」

そう聞くと、キールは両手にナイフをもてるだけ持ち、

「魔法使いとは、詰まる所砲台です。私は魔法剣士をやっていますが、それでも元を正せば大して変わりません。
 ゆえに、答えはYESです。」

となれば、俺は俺の出来る事をしよう。
エヴァに聞いた話では、大きな魔法を使うなら、それなりに時間もかかるし、集中力もいるはずだ。
ならば、その時間を稼ごうじゃないか。

「キール、時間は稼ぐ、その代わり、確実にしとめろ。」

そう言うと、キールはニヤリと笑い、

「オーダー畏まりましたお客様。」

そういって、キールは詠唱に入る。
騎士の方も、魔力の流れに気がついたのか、キールを斬り殺そうと剣を振り上げるが、

「まぁ、まて。」

そう言いながら、木の槍を投げる。
いくら、目の前の骸骨が物理攻撃が効かないとはいえ、
今の骨にしがみ付いていないと動けないような状態なら、その骨自体を封じてしまえばいい。
しかし、相手も相手で、俺の投げた槍をスッパリと縦真っ二つにする。
だが、これは布石、俺の勝利条件はキールの魔法の完成。
相手の勝利条件は俺を倒し、更にキールを殺す事。

ならば、ここからが踏ん張り所だ。
そう思い、自信の本来の得物、赤き魔槍 ゲイ・ジャルク
黄色の魔槍 ゲイ・ボウを両手に取り出す。
相手の剣の切れ味はすでに確認済み。 
しかし、それでもこの二つの、俺と共に英霊に至る道を駆け抜けた、
この双槍は俺が望まない限りけして折れる事は無い。

「こい、一曲踊ろうじゃないか!!」

そう声を上げると、あちらの方もそれに答えるように俺に襲い掛かってくる。
振るわれる剣は、一閃一閃が常に必殺。俺の命を刈り取ろうと急所めがけて剣を振るって来る。
これが、ただの冒険者なら、数回打ち合っただけで瞬く間に命を刈り取られていただろう。
しかし、俺は違う。騎士の剣閃を両の槍でいなし、かわし、隙を見ては突きを入れ牽制する。

「アグニ・アルト・カグ・ランス 全てを灰燼と帰す 灼熱の龍 宿りし 焔は 破壊の息吹 
 蹂躙せよ!」

後ろで詠唱するキールの魔法も完成まじか。

「悪いな、迷わずお仲間の所に逝ってくれ!」

そういい、槍に気を集中させる。
まだ、突きで気を飛ばす事は出来ない。
しかし、飛ばなくても槍の先を伸ばす事は今の俺にも可能。
本来なら、斬撃でちゃんと気を飛ばした方がいいのだが、今の地形ではそれは不可能。
ならば、出来る選択肢をとるとしよう。

相手の騎士も相当今の状況が気に食わないのか、手当たり次第に攻撃をしてくる。
しかし、それは俺にとって好都合。焦れば焦るほど、苛立てば苛立つほど、その乱れた精神に隙が出来る。
ゆえに、現在手数で勝る俺に大振りなんて愚を犯す!

槍墜穿!そうついせん!

敵は大振りを振りながらも、それを囮に懐に飛び込もうとしたのだろう、
しかし、今はなった俺の技がその進行を止める。

技の内容は簡単な上未完成。自身の持つ槍の長さ分の長さの気の刃を出せると言うもの。
あくまで飛ばす事は出来ない。しかし、今の状況なら、ただでさえリーチの長い槍のリーチが更に伸びたのだ、
相手も対応できずに、着込んでいる鎧に二つの穴を開け、後ろの吹っ飛ぶ。

「チャチャゼロさん、伏せてくださ、熱風が来ますよ!」

そういった後、俺の前に駆け出し、手に持ったナイフを全て投げつけ、
キールは最後の詠唱を完成させる。

「火龍の牙!」

放たれたナイフは全て炎を纏、ドクロの騎士を咀嚼せんと襲い掛かる。
騎士の方も、その炎をどうにかしようと足掻くが、明らかに分が悪く、俺の開けた鎧の穴や、
それ以外の部分から、内部の液体を焼かれていく。
俺は、とっさに自身の着ているコートを翻して伏せたが、吹き荒れる熱風はすさまじく、肌がヒリヒリする。
そうして、炎が収まった後どくろの騎士が居た位置を見ると、焼け焦げてボロボロになった骨だけが残っている。

「凄い火力だな。」

そういって、キールを見るとキールは焼け焦げた骨に背を向け、苦い顔をしながら、

「しかし、代償は大きいですね、投げたナイフは全て消し炭。更に言えば、私の魔力はもう殆ど残っていませんよ。
 出来て後「破せる焔」が2~3発という所ですか。」

そういって、首をすくめて見せる。
そうしていると、パシュンと言う音の後、エヴァたちが入った扉が開き、
そちらの方を向くと、銃を構えたエヴァがいて、

「動くなよ?」

そういった後、躊躇なくキールの方に向け銃弾を発射した!
一瞬の事であっけに取られていると、エヴァが口を開く。

「危なかったな、危うく首を飛ばされていたぞキール?
 ついでに、勝って兜の緒を締めろという奴だ。」

そういわれてキールの方を見ると、キールの後ろには首の無い骨が立っていて、
それも時間差でくずれ落ちた。
そんな中、エヴァは何事も無いかのように俺達の間をすり抜け、
壁に当たりバウンドして吹っ飛んで行った頭部を回収して俺達に見せる。

「これがコアだ。」

そういって、見せられた頭部には、淡く光っていた目の部分に鉛弾がめり込んでいた。

「コア?いったい何の事だ?」

そう不思議に思って聴いて見ると、

「これがいったいどう言う物かは知らんが、少なくとも、この骨の中で一番魔力が集中していた。
 多分これを核に動いていたんだろう。」


ーside俺ー


いや、ヤバかった。
あと少しでも外に出るのが遅かったらキールは死んでいたかも知れない。
まぁ、それでも何とかなったのだから御の字としよう。
ついでに、キールはそうでもないが、ディルムッドの方は結構ボロボロだ。
大方、俺の言いつけを守って、キールを前に出さないようにしていたのだろう。
そう思い、今もっているドクロと、残りの体の部分を影に沈める。

「チャチャゼロ、よくやった。さてと、キール、動けるか?」

そういって、キールを見ると、銃弾の通り過ぎた方の耳を掻きながら、

「一応聴覚等に問題はありません。しかし、今度からこんな事はよして欲しいですね。」

と、悪態をついている。
まぁ、それだけの口が叩けるなら問題は無いだろう。

「お前たちも中に入って手伝え、中の書物を全て詰め込む。」

そういって、カバンを出しキールに渡すと、それを扉の近くに置き、
中のドクロに声をかけて、本を詰め込んでいく。

「エヴァの方も大変だったみたいだな。」

そう、ディルムッドが俺の服を見ながら声をかけてくる。
俺の服は中での戦闘の所為で腹の辺りがパックリと横に破けている。
フム、邪魔だな。
そう思って、キールから借りているナイフでチョッキごとグルリと切り取り、へそだしルックの出来上がり。
気分としては、Rioだな。ギャンブルやら無いけど。
そう思っていると、ディルムッドが俺にコートを差し出しながら、

「その、目のやり場に困る、これを着ておいてくれ。」

そう言われると、受け取るしかないのだが、コート自体が長いため、
ギリギリ床につかない長さと言う事になった。

「ありがたく使わせてもらおう。ついでに、槍を抜いたんだな?」

そう言うと、ディルムッドは事も無げに、

「必要だと判断したんでね。」

と返してくる。

「そうか、なら問題ない。」

そういって、ディルムッドを門番に立たせまた中に入り、
中の相当な量の書物を片っ端から運び出し詰め込こむ。
個人的には今すぐにでも読みたいが、それは出来ない。
何せ、これから前人未到の最終層が待っているのだから。
そう思い書物と後は、樽に微量に残っていた液体を採取して、
いったん休憩をとった後、今の横穴から本来の通路に戻る。

本来の横穴は、相変わらず暗いが最初にきた時は光っていなかった奥の方が光っている。
たぶん、俺達が倒した骸骨のおかげだろう、あれのおかげで、電力が回復したと言う事か?
そう思いながら、奥に進む。
そして、ついたのが最終層へ続くであろう階段の前。
光はその階段の下の方から漏れだしている。

「準備はいいか?」

そういって三人を見回すと、

「今更だねぇ、これ以上用意するものも無いよ。」

そういって、ドクロはげらげら笑い。

「早く降りましょう。ここに長居は無用です。」

そういって、キールは階段の下の方を見ている。

「俺も特に無いかな。」

そういって、彼自身の得物である双槍を肩に担いでいる。
さて、準備万端後は行くだけ。
旅の終点で、折り返し地点も近い。

「最後だ、気を引き締めていくぞ!」

そういって、階段を下り出す。
階段を下るにつれ、光は強くなり、次第にあたりの装いも、コケなどが完全に消え綺麗になっていく。
さて、これはいったいどこに続くのか。
そう思いながら、歩を進めていくと、階段が終わり、短い廊下に出た。
あたりは特に何も無い。

「あの奥に扉がありますね、行ってみましょう。」

そう言われて、短い廊下を渡り奥に続く扉を開ける。
そして、そこには、

「すげぇ、アタイこんなの始めてみた。」

そう声を漏らすのはドクロ。
扉を開けて開けた場所に出たが、そこには金銀宝石といった即物的なお宝が広い部屋に所狭しと転がっている。
確かに、この光景には圧巻だな、ついでに言えば、光が乱反射して目が痛い。
後、天井に何か釣り下がっているようだが、中は見えない。

「確かに、これは凄いですね・・・・・。」

俺としては、ここまで来てこのオチと言うのも何だかいただけないが、
しかし、まぁ、あるものはあるのだから仕方ない。
そう思い、影にしまいこんだカバンを取り出し、

「とりあえず、ドクロとキールは片っ端から詰め込んでくれ。
 私とチャチャゼロは辺りを調べてくる。」

そう言って、ディルムッドを連れて歩き出す。
目指すのは、とりあえず部屋の壁。
今の部屋の広さが財宝のため正確に分からないので、とりあえずの目標としてこれを選んだ。

「しかし、凄いなエヴァ、こんなに多くの財宝どこから集めたんだろうな?」

ディルムッドが歩きながら、口を開く。
はて、確かに言われてみればそうだ。
こんなにもの財宝をいったいどこから集めたか・・・・、
いや、もしかしたらこれは目くらましではないのだろうか?
ここまで必死に来て、手に入る財宝の量にしても、今見ている財宝は十分に見合うだけのものがある。
更に言えば、俺達が見つけた横穴の存在を知らなければ、疑うのは難しいし、
錬金術を知らなければ、ここまでたどり着けるかも怪しい。

「気をつけろよ、何が潜んでいるか分からん。」

そういって、辺りを見回しながら壁を目指し、程なく歩いた後に壁にたどり付き、
その地点にドア・ノッカーで銃弾を落ち込んで目印にして、そこから時計回りに壁にて触れながら歩き出す。
歩いてどれくらい立ったか、少なくとも、4分の1は回ったと思うが、あたりは依然として何も見えない。
ただ、構造としては円筒形をしているのだろ。壁が緩やかにカーブし続けている。

「チャチャゼロ、何か見つかったか?」

辺りをキョロキョロしているディルムッドに聞いてみるが首を竦めるだけで、特には発見も無いようだ。
そうして、入ってきた入り口の位置まで来て半分。更にそこから先に進みだす。
そして、本当にここまで来てこれで終わりか?と思っていた頃にようやく奥に続くであろう扉が出現した。

「今更言うのもなんだが、初めから逆回りして居ればよかったな、エヴァ。」

「本当に今更だな、まぁいい、行くぞ。」

そういってその扉を開けると、中にあるのは馬鹿に長い机と、その奥に座る一人の人物。
辺りの様子はとても豪華で、エヴァの家で見た貴族の住む場所としてのイメージが強い。
ただ、それでも一部荒れている所があり、その所為でこの部屋が余計不気味なものとして映る。
他は数多くの本。とりあえず、近くの本を手にとって見ると、内容は横穴と同じで今の段階では読めない。
仕方ないので、先に座っている人物に近づこう。

「エヴァ、不用意に近づくのは、この遺跡の経験だと危ないと思うが?」

確かに、ディルムッドの言う事も確かなのだが、

「それでも行ってみらんと始まらん。」

そういって、近付いて見ると、座っているのはまるで生きているかのような少女で、
他は机の上にスープ用の皿と、別の皿にパンが乗っている。
少女に動く気配は無い。ついでに、パンをとって調べてみていると、
ディルムッドが少女の顔を見ながら口を開く。

「死んでいるのか?」

「いや違う、ついでにこれを触ってみろ。」

そういって、さっきまで触っていたパンを投げてディルムッドに渡す。
ディルムッドの方もそれを難なく受け取り手で触っている。
俺の方はそれを見ながら、目の前の少女を触って確かめながら口を開く。

「それを触ってどう思う?」

そういって、ディルムッドをちらりと見ると、難しそうな顔をしながら、

「石で出来たパンか、何でこんなものを机の上においてあるんだ?」

そういう答えにやはり行き着くか。
しかし、今渡したパンは石で作ったにしては本物過ぎる。
ついでに言えば、スープ皿の中身には、コーンだろうか?それの石化したものがあった。
最初は石化魔法かとも思ったが、それなら食事だけ石にする必要性が見当たらない。
つまりは、

「パンが石になるほどの年月ここに放置されたものだろう、そう考えればしっくり来る。
 ついでに言えば、この娘は完成されたオドラデクエンジェルだ。屍蝋になるには、この部屋には水分が少なすぎる。」

しかし、ここまで精巧で人と変わらないものが、実は人ではないとは、確かに一度人に紛れ込めば見分けが付かなくなる。
そう思いながら、少女の顔や体を調べる。
いたって壊れている所は見当たらない。
しいてあげるなら、首の後ろに小さな鍵穴のようなものがあるだけ。
今の所、ここにくるまでに鍵は見ていない。ならば、この部屋のどこかにあるのだろうか?

「チャチャゼロ、本を私の影に詰めながら鍵を探せ、どこかにあるはずだ。」

そういいながら、手分けして部屋を探しながら本を詰め込む。
手に取る本は、劣化も無く上々、後はこれが読めるようになれば問題は無いか。
そう思いながら、机の下や壁、本棚、ほかの机などを調べる。
そうして、半時ほど立ったが鍵の見つかる気配は無い。

「みつかったか?」

「いや、しかも、一部天井が壊れている所があった。
 それを考えるとそこからモンスターが入ったのかもしれない。」

ディルムッドがそう答える。
そうなると最悪だ、モンスターに取られたとなると、永久に見当たらない当可能性がある。
ついでに言えば、現状で動いているオドラデクエンジェルがいない以上、これを修理するというのも困難になる。
となると、この中に入っている情報が取り出せない。
クソッ、このままでは本当に無駄骨になるな。
そう思っていると、オドラデクエンジェルの鍵穴を覗き込んでいるディルムッドがとんでもない事を言い出した。

「なぁ、エヴァ。鍵ってエヴァが持ってなかったか?」

「・・・・、なに!?待て、私はここに来るまでに鍵なんて拾ってないぞ?」

そういうと、ディルムッドは首をすくめながら、

「ここに来るまでに拾ってはいないが、貰った物はあるだろ?」

そういって自身の頭の中をひっくりかえす。
そして、出てきたのは、ドクロがムクロに送りそれを俺が貰った鍵。
その鍵がこれの鍵と言う確証は無い。だが、少なくとも俺は偶然は信じないが必然、
つまりは、望み続ける限り諦めない限りはいずれそれのか、それに順ずる結果は得られるモノだと考えている。
まぁ、それは無限の時間が得られた今なら間違い無い事だと思う。
それから行けば、鍵はあるべくして俺に廻って来たのだろう。
そう思い、影から鍵を取り出し鍵穴に差し込む。
ビンゴ!寸分たがわずカチリと鍵がはまる。

「良くやったチャチャゼロ。」

そういって、鍵を捻ると、カチンと言う小さな音と共に目の前の少女の目がパチリと開く。


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