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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 嫌な確信が出来たな第20話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:a2fde05f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/13 21:50
嫌な確信が出来たな第20話









ミミックを撃破して歩き出して考えるのは俺に毒が効くのかと言う事。
少なくとも、俺は腕をもがれ様が、手を銃で吹き飛ばそうが、灰になろうが生き返る。
そんな生物に果たして毒は効くのだろうか?
自慢ではないが、今の体になって体調を崩した事は過去に一回。
あのゲスが用意した毒のみ。しかし、あの毒はあのゲスだからこそ用意できたモノだろう。
あんな物がごろごろ転がっているような世界なら俺は恐怖の対象で無くてもいいはずだ。
ならば、もしかして他に仕掛けがあるんじゃないだろうか?
そう思っていた時にキールが口を開いた。

「エヴァンジェリン嬢、何かしらの認識阻害ないし、視線をどこかに誘導する魔法はありませんか?
 あれば私達にかけて頂きたいのですが。」

いきなりコイツは何を言い出すんだ。
こんな場所でそんな事をすれば殺してくれといっている様なものだ。
同じ事を考えたのかディルムッドが反論する。

「キール、いくらなんでもここでそんな事をするのは危なすぎる。さっきのがいい例じゃないか。」

しかし、キールの意見に賛成するものがいる、言わずとも分かるがドクロである。

「カラクリ、もしかしたらキールの言うとおりにした方が安全かもしれないねぇ。」

それを聞いたディルムッドは混乱しているのだろう、眉をひそめて俺の方を向く。
しかし、今の構図は分かりやすいな。反対意見を持つのが、この遺跡に潜るのが始めてのやつで、
賛成と、意見そのモノを出したのがここに潜ったことのあるメンバー。
つまりは、何かしらの理由があると言う事か。

「納得できる理由があるなら。一体何のために必要なんだ?」

魔法薬の煙を吐きながらキールとドクロを見ながら聞くと、
キールは壁を調べながら口を開いた。

「私も迂闊でした。過去の調査記録ではこのトラップはもう機能していないとでていたのですが、
 まさか生きているとは思いませんでしたよ。・・・・・・・、これを見てください。」

そういって指を指すのはコケと蔦を取り払った遺跡の壁。
何かと思い俺とディルムッドは覗き込み、ドクロは俺達の後ろで周囲を警戒している。
キールの指を指している場所を見ると、そこには何かしらの図形・・・・・・、いや違うな。

「あまり詳しくは見ない方がいいかも知れませんよ。
 調査結果では一つでは機能しないとありましたが、それが何処まで信用できるか分からなくなってしまいましたから。」

俺達の横からキールの声が降りかかる。

「これは何なんだキール。よく分からない絵にしか見えないんだが。」

そうディルムッドが口を開きながらキールの方も向いているが、キールも首を横に振りながら、

「詳しくは分かりません。ただ、これに幻想を見せる作用があると言うことぐらいしか。
 しかし、最終調査隊の記録では幻想は見ていない、という報告でしたので、もう機能していない物と思っていました。
 それに、見てください。」

そういって、キールは他の壁のコケや蔦を取り出した。
多分、そのあたりにこれと似たような物があるのだろう。
俺の、それを尻目に影からカバンを取り出し、その中から学生時代にまとめた錬金術のノートを取り出す。
必要なのは、その中に書いてある特殊文字の早見表で、これには、禁書の分も含めての文字が完成せずに載っている。

なぜ文字を完成させずに載せているかと言うと、完成した文字を載せると一体何が起こるか分からないからと言った所か。
そういう風な理由で、錬金術の特殊文字に関する本は全て辞書数冊分の分厚さがある。
調べだして少したった頃にキールがまた新しく図形を発見したのだろう声が上がる。

「チャチャゼロ、キールの見つけた文字を写して来い。」

そう言うと多少驚いたような顔をして俺を見てくる。

「写すのはかまわないが、これは文字なのか?」

「あぁ、たぶん錬金術の特殊文字だ。それも古い古い過去の遺物だろう。」

そう言うと、ディルムッドはカバンから木炭と紙を取ってキールの方に向かった。

「アンタ、これ読めるのかい?」

そう声をかけて来たのはドクロ。
声は多少疑いの色があるが、まぁそうだろう。
過去の調査でもなんだか分からないと言われていた物が、ぽっと出のビギナー発掘者に分かるわけが無いと思われたのだろう。
だが、発掘はビギナーでも、それ以外の方では違う。俺にあるのは未来の知識と、今の時代の知識。
その差がこの文字の出所を教えてくれる。

「読める・・・・、とは言いきれないが、どうこうする事は可能だろう。
 取り敢えずは、これが幻想を見せる手段という事が分かれば前に進める。」

そう言うと、何時の間に来たのか、後からキールの声がする。
ナイフで何かを削る音がするから、またどこかの壁に書かれている文字を探しているのだろう。
そんなキールから声がする。

「一応分かっているのは、この文字が遺跡のいたる所にあり、それを私たちが無意識に見ているという事ぐらいですよ。」

「ついでに言やぁ、下の階層に進むにつれ、コケや蔦が減るからそのせいで余計に見るのかもしれないねぇ。」

最後にドクロが補足して声が途切れる。
しかし、厄介だな。無意識に文字を見て、頭の中でその文字を理解しようと勝手に組み立てて、
そして、必要な文字を見終わると完成し、同時にトラップが発動する。
多分、俺達が一斉に幻覚にかかったのは明かりがキールのナイフしかなく、さらに言えばこの狭い通路の作りのせいだろう。
と、言う事はあのミミックには毒がなかったと言う事か?

「おい、さっきの化け物には毒等は無かったのか?
 一応解毒薬は渡したが。」

「軽い毒程度なら。弱っているなら効きますが、それ以外なら問題ありません。」

なるほど、なら問題ない。
しかし、あのミミックの攻撃の痛みが幻想の内容の決定付けになったのかも知れないな。
流石はここを住処にする魔物、あるものは有効に使い獲物を狩るか。
しかし、トラップの内容が見えだしたなら、それの解除の糸口もどうにかなるかもしれない。

「チャチャゼロ、後どれくらいで終わる?」

「もうすぐだ。」

そうディルムッドから声が上がる。
俺の方もとっとと出来る事をしよう。今、俺がノートで見ている所はゲートに関する場所。
あのゲートにたどり着くまでの岩には、いたる所にこの遺跡の文字と似た文字が使われている。
それはつまり、この遺跡がゲート作成の時代と同じか、或いは前後の近い次代に作られた事になる。

さらに言えば、この遺跡には錬金術の文字が使われている事から、
この遺跡を作ったのが錬金術しないし魔法使い。
しかし、どちらにせよとラップには錬金術を使っているので、天秤は錬金術師に傾くだろう。
まぁ、これで酒場で巻き上げた腕が、この遺跡の出土品であると言う可能性がさらに増した。
そうしていると、写しが終わったのかディルムッドが紙を持って俺の方に来る。

「写しは終わったが、劣化の激しいものは写していないよ」

そう言いながら、俺の前に差し出す。

「かまわん、むしろ、その方がいい。」

そういって、渡された紙を見る。
他の面子は小休憩と言う事で俺の周りに座りあたりを警戒している。
そんな中、ふと気になったが、キールたちが潜った時はどうやってこのトラップを回避したのかと言う事。
今はこのトラップを解く事に全力だが、それでも腹案は欲しい。

「ドクロにキール、前回はどうやってこのトラップを解いた?」

そう聞くと、キールは薄く自身の指の腹を切り、

「痛みによって。後は自身の精神力ですか。
 魔力量の問題で幻覚の内容や掛かり具合も変わるそうですよ。
 今回同じ幻覚を見たのは多分、エヴァンジェリン嬢の魔力障壁のせいでしょう。
 障壁のせいで、エヴァンジェリン嬢の見た幻想を他のメンバーにも投影してしまったのでしょう。」

それを聞いて、ディルムッドやや顔をしがめる。

「それじゃぁまるでエヴァが悪いみたいじゃないか。」

それを聞いて、キールは申し訳ないような顔をして、

「それは失礼。悪く言うつもりは無かったのですが。」

それにさらにドクロが追い討ちをかける。

「キール、アンタ無神経すぎだよ。」

それを聞いたキールが凹むという珍しい絵が見れた。
と、そうじゃないそうじゃない、ディルムッドが写して来た文字を見るが、
そうもこれだけで完成していない。まぁ、数を見て遺跡の奥に入るにつれ発動するトラップなら当然なのだが、
それでも、このバラつきは何とも。そう思い、いくつかの紙を重ねて眺めながら、ノートを使い解読する。

「女狐、後どれくらいかかんだい?」

そうドクロがやる気なさそうに聞いてくる。
後どれくらいか、今の現状であるのが写した特殊文字と、俺のノートに書いてある文字。
そして、ゲートにたどり着けるように使う魔法。一応はこのゲートたどり着く為の魔法を使えば効果を薄める事は出来ると思うが、
完璧とはいえない。術式が違えば、まったく聞かない事も考えられる。
ふぅ、まったく持って現実的で幻想的な遺跡な事。

「一応は目処が立った。しかし、効果が万全じゃない。
 進むならキールからナイフを借りた方がいいな。」

そう言うと、キールが各人にナイフを配る。
俺の方は、魔力障壁を張りその障壁に術式の投影と、
ついでに人形を影から引っ張り出してデコイ代わりに使う。
少なくとも、この人形と、俺を結ぶ糸が切れない限りは幻想と現実との区別がつく。
まぁ、魔物なんかに糸を切られたらそれでお終いの、本当に簡単なデコイだが。

そこまでして、ようやく遺跡の地下に進む事が出来る。
まったく持って厄介だ。今の階層が2階層だから、最深部までは後3階層。
何が出るのやら。そう思いながら、奥に進み、3階層目に降りる。

3階層目はコケと蔦の量が減り、代わりに壁が剥き出しになっている。
つまりは、幻想トラップにかかりやすくなると言う事か。
ついでに言えば、ここに来るまでに朽ちた先輩冒険者の亡骸が多数あった。
まぁ、ミイラ化もしくは屍蝋化していたので、かなり古いものだというのが分かる。
それに、体のあちこちが食われていたり、腕が無かったりしている。

もし、俺達も幻想に捕らわれ続ければ、魔物に美味しく頂かれるか、先輩のようにミイラか或いは屍蝋になるか。
俺はどちらにもならず彷徨い続けるだろうが、そんな結末は間違っても望んではいない。
しかし、幸いな事にモンスターに襲われはしたが、今の所幻想トラップは発動していない。
これが術式のおかげか、それとも最初にキールの言ったトラップが発動しないという事なのかは分からない。
だが、今はそれを確かめる気も無い。今そんな物が発動すれば、どうなるか分かったものじゃない。
先頭を歩く人形が無事だから今の所はモンスターも含め大丈夫なのだろう。

ついでに言えば、宝箱を開ける時は人形を使い、武装解除を避けたり、飛んできた魔法の矢を人形が受け止めたりして、
人形がかなりボロボロになってしまった。
これ一体を作るのに時間も労力もかかるが、しかし、永遠にさ迷う事と人形がボロボロに成る事を天秤にかけるなら、
俺は少なくとも、人形に身代わりになって貰う方を選ぶ。

「キール、後どれくらいで4階層に入る?」

そうキールに聞くと、キールは微かに考え込み、

「記憶が確かなら、もうすぐです。
 ただ、ここまで来るのも一本道ではなく、私が過去に通った道を記憶と目印を辿りながら進んでいますので、
 正確の時間は分かりません。」

そのキールの発言にディルムッドが食いつく。

「その道は間違ってないのか?さっきのトラップのせいもあって割りと不安なんだが。」

そう言うと、それにはドクロが答えた。

「間違っちゃぁいないよ。アタイもここまでは潜ったことがあるから確かさ。
 ついでに言えば、床と壁をみな。小さなナイフ傷があるから。」

そういって、ドクロが壁を指差す。
そこにはナイフで付けられたであろう傷がある。
これに気付かないとは、今度は無意識に壁を見ない様にしていたのかも知れない。
なんだか、遺跡に玩ばれている様な気がするな。そう思いながら進む。

奥に進むにつれ辺りには、また遺体が増えだした。
しかし、こんなに遺体があってよく先輩達は潜ろうとしたな。
そう思いながら、しげしげとあたりの遺体を見ていると、ドクロが茶化してくる。

「エヴァちゃ~ん、あたりをキョロキョロシて怖いでちゅかぁ?
 お化けはいまちぇんよ~ってな。」

そう言いながら豪快に笑っている。
ドクロのこれは病気か、或いはシリアスが出来ないか、もしくはムードメーカーが間違った方に突っ走ればこうなるのだろう。
まぁ、こんな忘れられた墓所と言っても過言ではない場所で、これだけの口が叩けるのだから、生半可な精神力じゃないだろう。
きっとドクロの心臓は鋼鉄で出来ていて、さらに有刺鉄線かなんかでグルグル巻きになっているに違いない。

「怖くは無い。ただ、これだけ死体が転がっていてよく潜ろうと思ったなとな。」

魔法薬を吸いながらそう言うと、横のディルムッドもコクコク頷いている。
しかし、このおかげでなかなかに衝撃的な事が聞けることになる。

「あぁ、違うよこれ。死体じゃなくて何て言ったなねぇ?
 キール、説明しな。」

そう言われたキールはやれやれといった感じで口を開いた。

「全てと言う訳ではありませんが、この中の何体かは錬金術師が作ったオドラデクエンジェルという物の残骸らしいですよ。」

「・・・・・・・、マジか?」

「本当と書いてマジと読むなら、マジですね。」

そう言われて、あたりの死体を再度見る。
しかし、やはり死体は死体で死体しかない。
この死体の中からオドラデクエンジェルを見つけるのは至難な業か、
あるいは全部壊して回れば・・・・・・、確実に呪われるな。
呪いが効くかは分からんけど、要らん恨みを買う必要は無い。
しかし、一体ぐらい欲しいなぁ、オドラデクエンジェル。
そう思っていると、横にいるディルムッドが疲れた顔で話しかけてくる。

「エヴァ、キールの話を聞いた瞬間目の色が変わったぞ。
 頼むから、死体を荒らさないでくれよ、一体何が起こるか分からないんだから。」

そう言われると、余計欲しくなるのだが。
人間止められると、余計その止められた事をしたくなるのは人の性よの。
だが、本当にしたら何が起こるのか分からないのもまた事実。
そう考えると余計調べたくなる。

「む~っ。」

「『む~っ』じゃ無い、物欲しそうに見ない。」

ピシャリとディルムッドが俺に言ってくる。
ん~、ここはディルムッドに身売りならぬ耳売りをすれば、どうにかならないだろうか?
そのやり取りをみていた、キールは苦笑し、ドクロは

「女狐、アタイへの当て付けか?
 カラクリと仲のいい所を見せ付けるという当て付けなんだな。
 彼氏のいないアタイへの当て付けなんだな!?」

そう言いながら棍棒を振り回している。
ついでに言えば、ドクロの横では自身の顔を指差しているキールがいる。
あぁ、可哀相に。その動作をして気付いて貰えないのは痛い。
だが、気付いて貰えないのもまたお約束か。

そんな感じで、ユルク遺跡の奥を目指し、途中でミミックや他の魔獣を殺して影に投げ込んで、
溜め込まれたアイテムやお金を回収しながら奥へ進む。ゲームなんかでモンスターからアイテムや金を得る事が出来るが、
実際の迷宮では、死んだ先輩達の持ち物がそのまま、俺達の得るお金か或いはアイテムになる、非常にシビアな世界だ。
言ってしまえば、死んだ先輩が多いダンジョンほど、いい金儲けが出来るという事になる。
だが、それはそれだけ難易度が高い場所なので迂闊には入れないだろう。
そう思いながら、着いたのは4階層への入り口。

「ここから先は何があるか分かりません。どうか、気を付けてください。」

そうキールに言われて再度気を引き締めなおす。
一応、4階までは調査が入っているとは言え、それが安全に繋がるかと言えば答えはNOだ。
この遺跡は生易しくは無い。その事を考えれば、この奥に一体何があるのやら。
錬金術の秘術か、或いは魔法使いの魔導書か。まぁ、俺の目的は吸血鬼についてなんだが。

そう思いながら階段を下り、いよいよ第4階層。
あたりは完全にコケや蔦は無く、むしろ、風化した後も見受けられない。
その綺麗さがなお不気味さを際立たせる。冥府へと続く道、暗い回廊を見ているとそんな言葉が頭をちらりとよぎる。
いや、実際にここに来るまでの間に死体を見たから、あながち間違っていないのかも知れない。
それに、心なしかキールやドクロの顔つきも引き締まったように思う。

「調査結果の中にこの階層のマップは無かったのか?」

そう聞くと、キールは横に首を振って返した。

「ありませんね。記録は全てアリアドネーに持っていかれています。」

そう言われて辺りを見る。
石造りの壁と、あるのはどこかに通じる多くの扉。
多分、この扉を開かなければ問題が無いという事だろうか?
しかし、開けない事には発掘も調査もあった物じゃないんだが。
そう思いながら、闇の精霊を行う。

「エメト・メト・メメント・モリ 闇精召喚 徘徊する闇。」

そうして呼び出した闇の精霊の数は20体。
この精霊を各扉に向かわせ、中を探らせる。
ちなみに、この精霊たちだが、俺と視覚共有ができる。
そうやって、精霊を散らばせているとキールが驚いたように俺を見てくる。

「良くこの中でそれだけの召喚が行えますね。
 私の魔力量だとせいぜい5体が限界ですよ。それに、それをしてしまえば後は戦えませんしね。」

そう言いながら、精霊たちを見送っている。

「エヴァは特別魔力量が多いから当然だろ。」

そう言いながら、どこか得意げにディルムッドが腕を組、
ドクロが頭の後ろで手を組みながら、

「それでも接近戦が出来ないと、この遺跡はつらいよ。
 何せ、妨害岩だらけだからね。」

「分かっているなら黙れ、気が散る。」

確かにドクロの言うとおり、あたりの岩のせいか精霊の操作も、
視覚共有もどうもまちまちで、精度が落ちる。まぁ、それでもしないよりはマシだ。
そう思いながら、精霊達を操り近くの部屋から暴いていく。
その間、俺達もおくにゆっくりと進む。

部屋の中は、大概は前の調査隊が持ち去ったのか、閑散としている映像が頭に浮かび、
それ以外の所も似たような印象を受ける。そして、どんどん奥の部屋を見ていくと、
1つ入れない部屋が出てきたので、取り敢えずその部屋の扉のある位置まで行ってペタペタと調べる。
いや、部屋といっても扉がないので今は壁か。遺跡の構造や、この階の作りからして、この位置には部屋があるはずだ。
現に、精霊達もこの位置で行き詰っている。

「どうしたんだい女狐、壁なんて触って。」

そう言いながら不思議そうにドクロが見てくる。

「いや、ここに部屋があるはずなんだ。チャチャゼロ、私の耳じゃ壁に当てれん。
 チョット耳を壁に当てて音を聞いてくれ。」

そう言うと、ディルムッドは方膝を尽き、壁に耳を当てる。
そして、扉のあるであろう位置を軽く叩いていく。

こんこん・・・・・、こんこん・・・・・、

「違いは在るか?」

「今の所はない。もう少し位置を変えてみたらどうだ?」

そう言われて位置を変えるために後を向くと、そこには壁に耳を当てたドクロと、
それと見詰め合うように耳を当てているキールがいた。
うん、真面目だという事は分かるんだが、何だろうこの真っ暗な遺跡の中で、
3人の人間が壁に耳を当てているというシュールさは。

そう思いながら、米神を掻く。
しかし、本人達は真面目なのだろう、ドクロが早くしろと目で訴えてくる。
はぁ、まぁ、発掘だし、隠し扉っぽいしこう言うのもありか。
そう思いながら、俺自身も聴覚を研ぎ澄まし壁を叩いていく。

こんこん・・・・、こんこん・・・・、コンコン

今、1ヶ所違った。そう思い、その辺りを叩く。
位置はドクロの後辺り、俺の動作を見た他のメンバーも、各人で壁に耳を当てその辺りを叩き出す。

こんこん・・・・・、コンコン・・・・、コンコン。

「あぁもう!じれったいねぇ!」

そういって、ドクロが切れだした。
まぁ、これだけコンコンやれば当然か。
だが、もう少しで位置が特定できそうだ。
そう思っていると、ディルムッドから声が上がる。

「エヴァ、多分この位置が一番深い。」

そう言われて、ディルムッドが叩いていた辺りの壁の音を聞く。

コンコン・・・・、コンコン・・・・、コンコン

ビンゴ!確かにこの位置だ。ここが一番音の通りがいい。
まぁ、見た目は石造りの壁だが多分ここの奥には部屋がある。

「キール、石の隙間にナイフを挟んで爆破してくれ。」

そう言うとキールは素早く石の隙間にナイフを挟みこんでいく。

「準備できました。多分10本分なら確実でしょう。」

そう言われて、その壁の位置から下がり、俺の後ろに三人を控えさせて、障壁に魔力を回し更に安全のために氷楯を出現させる。
ちなみに、氷楯は魔法を跳ね返す効果もあるので、魔力をつぎ込むとかなり安全性が上がる。
そして、

「破せる焔。」

ドゴォォォォォオォォオオ・・・・・・。

キールが両の指輪を向け、ナイフを爆破する。
さすがに10本まとめて爆破すると中々に派手な事になる。
氷楯から顔を出してナイフのあった位置を見ると焦げてヒビの入った壁が見える。
あの爆破でヒビだけとは中々頑丈に作ってある。と、言うか頑丈すぎだろこれ。
そう思って後を見ると、他のメンバーも困惑している。
ただ一人元気に笑っているのもいるが、
はぁ、こいつにGO サインを出すのはなんだか嫌な予感しかしないんだよな。

「非常に不本意だが、ドクロ、あの壁を全力でぶち壊せ!!」

そう言うと、ドクロは楽しそうに氷楯を飛び越えて壁の方に向かって行き、
思い切り棍棒を振り上げながら。

「ぶち抜け!!エクスカリバーーーーーン!!!撲殺しうるミズ○ノの一撃

気合一線、いた、一撃か。その一撃のもとヒビの入っていた壁は砕け、奥に続く道が現れる。
そして、その道の中に闇の精霊と、人形を操作して送り込み中の偵察をする。
道の行き止まりは直ぐに現れるが、しかし、それは行き止まりではなく扉。
どうも、精霊はこの中に入れないらしい。多分、何らかの結界が張ってあるのだろう。
そう思い、人形に扉を開けさせる。その間、俺達も扉の方に近付く為に奥にはいる。

この場所は、調査の手も魔物も入らなかったのだろう。
辺りは埃は溜まっているが、それ以外に見当たる物は無い。
そして、着いたのは先ほど人形を送り込んだ扉の前。
しかし、扉の中の様子は伺えない。多分魔力封印結界だろう。
あの人形も糸を使って魔力を送っていたが、扉の手前までは糸に魔力が流れても、
それ以降は魔力が流れない。どのレベルの封印魔法かは不明だが、なかなか怖いな。
ついでに言えば、開けたはずの扉も閉まっているし。

「チャチャゼロ、キサマはここで外を警戒しろ。後、キールも外で待機の方がいい。
 どうも中は魔法が使えんようだ。」

そう言うと、ディルムッドは納得するが、キールが納得せずに口を開く。

「魔法が使えないのなら、ドクロだけ連れて中に入るのは危険でしょう。
 せめて、チャチャゼロさんは連れて行ってください。彼の力なら魔力に関係なく戦えるでしょう。」

しかし、それには却下を下すしかない。
下手にディルムッドを連れて中に入ればコイツ自体が人形に戻る可能性もある。
それに、外で待機して貰っていた方がいざと言う時の対処がしやすい。

「すまんが、外を2人で守ってくれ。
 一応精霊を飛ばして周りを見た結果この部屋は正方形だ。
 だから、ここで待っていてもらって、外で何か起きた時と中で何か起きた時の対処を頼む。
 なに、何か起これば悲鳴ぐらい上げるさ。それに、この銃は作りが簡単な分こんな事も出来る。」

そういって取り出したのは、ドア・ノッカー用の実弾。
これに関して言えるのは作りが簡単だったから実現した物という所だろう。
中折れ式で、なおかつ1発ずつ弾を込める形式だから、こうやって実弾との相互性が出せる。
ただ、中の結界がどういう種類か分からないので持って行く実弾の量が多くなるのが問題か。
そう思いながら、ドア・ノッカーに1発。腰の周りに更にベルトをつけて、そのベルトに弾を20発。
伍長のように片腕の手甲に弾を10発。合計31発。

「キール、俺達はここで彼女達の安全を守る盾になる。
 少なくとも、ここに来るまでに魔物の爪痕は無かった。だから安全と言うわけじゃないが、
 だが、危険度で言えばこの道を魔物が通って入ってくる可能性の方が高い。」

そう言いながら、ディルムッドは二本の槍を両手に持つ。

「そうそうキール、アンタも男を見せな。愛する女達の帰る場所を守るって言うね。」

そう言いながらドクロが笑ってみせる。
それを聞いたキールは苦笑しながら、

「チャチャゼロさんはエヴァンジェリン嬢を信頼しているのですね。
 それと、ドクロ今のは死に行く者の言葉ですよ。生きて帰ってきてくださいね私の愛する人。」

それを聞いたドクロが顔を真っ赤に捨てそっぽを向く。
クックック・・・・、発言は別にしてドクロは中々に初心で純情らしい。
さて、ドクロが爆発する前に中に入るか。そう思いドア・ノッカーを手に持ち、
魔法薬を大きく吸い込んで吐き出し、言葉を吐く。

「さて、話も決まった。何が出るかは知らんが、生きてここに戻ってくる。」

そういい、棍棒を構えたドクロと共に部屋の中に入る。


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