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No.10094の一覧
[0] 萌え?・・・いや、むりっしょ?《ネギまエウ゛ァ憑依》[フィノ](2010/04/03 23:13)
[1] プロローグ[フィノ](2009/11/11 08:53)
[2] プロローグ 2[フィノ](2009/11/11 08:53)
[3] え・・・マジ?な第1話[フィノ](2009/08/01 22:15)
[4] 緊急指令死亡フラグを撃破せよ・・・な第2話[フィノ](2010/02/26 12:17)
[5] 現状の思考と考察・・・な第3話[フィノ](2010/02/26 12:20)
[6] チャチャゼロ・・・・ゼロ?な第4話[フィノ](2010/02/26 12:26)
[7] 良い日旅立ち・・・炎上な第5話[フィノ](2009/08/01 22:19)
[8] 学校とはとにも奇妙なところだな第06話[フィノ](2010/04/13 21:43)
[9] 人間交差点・・・・な第7話[フィノ](2009/08/28 15:17)
[10] 頭痛がおさまらないな第08話[フィノ](2009/08/01 22:21)
[11] 真実は小説よりも奇なり・・・俺のせいだがな第09話[フィノ](2010/04/13 21:44)
[12] モンスターハンター・・・待て、何故そうなるかな第10話[フィノ](2010/02/26 12:29)
[13] 復讐は我にありな第11話[フィノ](2010/02/26 12:31)
[14] 新たな一歩なのかな第12話[フィノ](2010/04/13 21:46)
[15] 肉体とは魂の牢獄なんだろうな第13話[フィノ](2010/02/26 12:36)
[16] 絶賛逃亡中?な第14話[フィノ](2010/02/26 12:37)
[17] 幕間その1 残された者、追うことを誓った者[フィノ](2010/04/13 21:48)
[18] ラオプラナな第15話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[19] 思い交差点な第16話[フィノ](2009/08/01 22:28)
[20] 色々とな第17話[フィノ](2009/08/01 22:29)
[21] おいでませな第18話[フィノ](2009/08/01 22:30)
[22] 幕間その2 騎士と主と在り方と[フィノ](2009/08/01 22:30)
[23] 発掘も楽じゃないよな第19話[フィノ](2009/08/01 22:31)
[24] 嫌な確信が出来たな第20話[フィノ](2010/04/13 21:50)
[25] 予想しておくべきだったな第21話[フィノ](2010/04/13 21:59)
[26] あいつらも大変だったようだな第22話[フィノ](2010/04/13 22:14)
[27] 目玉だな第23話[フィノ](2010/04/13 22:35)
[28] 全て世は事も無しな第24話[フィノ](2010/04/13 22:37)
[29] 知らぬが仏、つまりは知らないと死ぬ事だな第25話[フィノ](2009/08/09 13:34)
[30] タヌキとキツネとだな第26話[フィノ](2010/04/13 22:38)
[31] 失態だな第27話[フィノ](2010/04/13 22:39)
[32] さて、どうしようかな第28話[フィノ](2009/08/24 18:15)
[33] 中々にヒドイ事をするな29話[フィノ](2009/08/28 14:04)
[34] 1と0の差かな第30話[フィノ](2009/09/07 12:08)
[35] 時間は勝手に進むものだな第31話[フィノ](2009/09/21 17:04)
[36] 英雄の横顔かな第32話[フィノ](2009/09/28 22:28)
[37] ボロボロだな第33話[フィノ](2009/10/07 00:20)
[38] 夜ももう終わりだな第34話[フィノ](2009/10/16 01:21)
[39] 事故だと思いたいな第35話[フィノ](2009/10/21 19:47)
[40] 幕間その3 曰く、チョーカッコいい男[フィノ](2009/10/29 02:12)
[41] 戦闘or日常さてどっちが疲れるかな第36話[フィノ](2009/11/04 14:11)
[42] 取り合えず叫ぼうかな第37話[フィノ](2009/11/11 13:22)
[43] 気のせいだと思っておきたかったな第38話[フィノ](2009/11/15 20:58)
[44] それぞれの思惑だな第39話[フィノ](2009/11/25 09:56)
[45] 美味しそうだな第40話[フィノ](2009/12/01 16:19)
[46] 互いの牙の間合いだな第41話[フィノ](2009/12/08 01:32)
[47] 幕間その4 仲良くなろう[フィノ](2009/12/08 20:14)
[48] 出発は明朝かな第42話[フィノ](2009/12/18 17:37)
[49] 強い訳だよな第43話[フィノ](2009/12/26 14:10)
[50] 商人・・・、なのかな第44話[フィノ](2010/01/22 01:29)
[51] ケダモノの群れだな第45話[フィノ](2010/01/08 19:08)
[52] 見たかったな第46話[フィノ](2010/01/19 00:19)
[53] 疑うな第47話[フィノ](2010/01/20 01:44)
[54] 無形の有形だな第48話[フィノ](2010/02/03 06:37)
[55] そして歩き出すだな第49話[フィノ](2010/02/03 15:55)
[56] 旅の途中だな第50話[フィノ](2010/02/17 19:39)
[57] 地味に変わってるな第51話[フィノ](2010/02/24 00:17)
[58] 到着、出会いと別れだな第52話[フィノ](2010/02/26 12:10)
[59] 幕間その5 爪痕[フィノ](2010/03/04 23:18)
[60] 難しいな第53話[フィノ](2010/03/06 23:40)
[61] 日常だな第54話[フィノ](2010/03/13 12:39)
[62] その後の半年だな第55話[フィノ](2010/03/22 14:24)
[63] 研究の日々だな第56話[フィノ](2010/04/04 18:01)
[64] すれ違う人々だな第57話[フィノ](2010/04/13 22:55)
[65] 花畑の出会いだな第58話[フィノ](2010/04/25 22:56)
[66] 幕間その6 メイド達の憂鬱[フィノ](2010/05/02 06:47)
[67] 幕間その6 メイド達の憂鬱 中篇[フィノ](2010/05/05 06:13)
[68] 幕間その6 メイド達の憂鬱 後篇[フィノ](2010/05/23 22:37)
[69] ありふれた悲劇だな第59話[フィノ](2010/06/24 21:58)
[70] それぞれの思いだな第60話[フィノ](2010/11/12 06:04)
[71] 強く・・・、なりたいな第61話[フィノ](2010/10/25 22:54)
[72] ブリーフィングだな第62話[フィノ](2010/11/12 14:41)
[73] 彼女達の戦場だな第63話[フィノ](2010/12/01 23:14)
[74] 彼の戦場だな第64話[フィノ](2011/01/26 13:43)
[75] 自身の戦いだな第65話[フィノ](2011/04/18 03:53)
[76] 狗の本分だな第66話[フィノ](2011/04/23 03:32)
[77] 対峙だな第67話[フィノ](2011/05/02 03:37)
[78] 懐かしいな第68話[フィノ](2011/07/07 22:33)
[79] 風の行方だな第69話[フィノ](2011/09/23 23:39)
[80] 彼に会いに行こうかな第70話[フィノ](2011/10/01 03:42)
[81] そんな彼との別れだな第71話[フィノ](2011/10/15 07:37)
[82] 小ネタ集 パート1[フィノ](2009/08/11 22:17)
[83] 小ネタ集 パート2[フィノ](2009/09/21 17:03)
[84] 小ネタ集 パート3[フィノ](2010/02/03 15:53)
[85] 小ネタ集 パート4[フィノ](2010/02/04 03:28)
[86] 作者のぼやき。[フィノ](2010/01/08 00:21)
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[10094] 絶賛逃亡中?な第14話
Name: フィノ◆a5d9856f ID:8813959a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/26 12:37
絶賛逃亡中?な第14話







アリアドネーを旅立って早数ヶ月。しかし、いまだにヘカテスには着いていない。
町を出た後、流石にヘカテスまでの道を飛んで行くのは無理があると判断して、
徒歩と飛行魔法とを使い分けながら進んでいるのだが、なかなか距離が稼げない。
ついでに言えば、ディルムッドは町を出てすぐにチャチャゼロボディに戻して、人の姿を隠蔽した。
理由としては、色々あるが、一番の理由は、隠密行動のためだ。お互いがお互いを隠さないといけない関係上、
こういった保険は必要になる。それに、いまだにヘカテスに着かない理由が、賞金稼ぎ、真祖化の秘密を探ろうする奴等、
後は、正義の名の下にな連中。そいつ等が俺を襲撃するもんだから、なかなか前に進めないでいる。

まぁ、幸い、魔力を隠す必要性がなくなったので、今の魔力を前提とした攻撃や、魔法が使えるのはありがたい。
闇の魔法は、依然取っ掛かりから進めてはいないが、それでも、ゼロよりはましといった所か。
まぁ、そんな中でも持ってきた道具で、ディルムッドの壊れた足を直したり、
色々と薬を作ったりしているわけなんだがなんとも。
そんな旅を続けて、今はようやく、ヘカテスまで後少しと言う所。

「ふ~、なかなかに刺激的な旅だったな。ついでに言えば、実践訓練もつめる。」

「あれで刺激的といえるエヴァは、なかなかに肝が据わってるよ。」

今は、休憩中。キセルで薬を吸いながら、そんな事を話す。
最初の頃の襲撃は楽でよかった。相手も俺の事をまだ舐めていたのだろう。そのおかげで、楽に追い返した。
しかし、かいが重なるごとに相手も一筋縄ではいかなくなっていく。その過程で、何人か殺したが、俺の方も、
戦闘のたびに無傷とは言わず、どちらかというよく体を吹っ飛ばされるし、血を流すなどよくある事。
互いを襲うのだから互い様だ。相手も俺を殺す気で来ているのだから、そいつ等が自身が殺される事を覚悟していない訳が無い。

ただ、正義を語る奴等だけは駄目だ。あいつ等は、自身が正義である事を疑わず、そして、その正義が負ける事を考えない。
だからこそ、俺に追い詰められた時に、自身たちの脆さを露呈し、同時に俺に呪詛を吐く。簡単な話し、こいつ等には明確な欲が無い。
賞金稼ぎは金を。秘密を探るものは知識欲を。しかし、正義を歌うこいつ等には求めるべき物が無い。
だからこそ、自身の拠り所が無く、それゆえに他者である悪に依存する。言ってしまえば、
悪が負けるという前提の出来レースのようなものだ。だからこそ、自身が負ければ呪詛を吐く。
見ていて気分のいいものではないが、少なくとも、こいつ等の命を奪うのは俺なのだから、見取るぐらいはしている。

まぁ、それでも殺した人の数はあまり多くなく、どちらかと言うと、引き際を踏まえた奴等が多いと思う。
それに、俺は俺で引く奴等を追って殺す気も無い。だからこそ、襲撃者の方の生還率は割と高い。
ついでに言えば、女性は殺す気が無いし、子供といっても曖昧だが、少なくとも私より若いような奴は殺す気が無い。

「そういえば、エヴァ、どうやって町に入る?このまま行けば、俺たちは間違いなく襲われるが。」

そういって、ディルムッドが話しかけて来る。
今日は、朝から襲撃も無く、時間は昼時という事で、隠れて軽い昼食をとり、コーヒーと魔法薬で一服と言う所。
服に関しては、ディルムッドはメイド服で、俺の方コウモリを使った服とマントを使っている。

「その事には考えがあるが、正直、何処まで通用するか分からん小手先の技だ。」

簡単な話し、今の現状で俺が吸血鬼だと分かるのは魔力の所存だと思う。
これに関しては、ディルムッドに送ればどうにかなると思うがなんとも。
封印用の指輪はすでに、あの戦闘でな無くなり、仮にあったとしても今度は自身の手で砕いていただろう。
次に、自身の体。真祖もしくは吸血鬼の伝説は学校で調べたおかげで、特徴や弱点は分かった。
だが、ただ、それが分かっただけで後は分からず、総じて書いているのが、悪いもの。という、どこかしっくりこない言葉だけだった。
まぁ、今はそれでもいい。重要なのはその項目で、吸血鬼は成長しないと言う所だ。
つまり、外見を幻術なり、年齢詐称薬なりでごまかせばいい。

幸いなのは、現状で俺を襲ってくる奴等が、俺の事を見つける一番の特徴として莫大な魔力を探す事。
ほかは、子供で人形をつれている事などを踏まえて探している。今挙げた例を考え今からやる事をすれば、
少なくとも、外見は変わるし、魔力もディルムッドを人に戻せばもって行かれる。
一応、これなら大丈夫だと思うが、さらに念を入れて一つ作りたい。
それは、

「チャチャゼロ、頼んでおいた物はあるか?」

「苦労したが、まぁどうにかといった所か。
 しかし、血が欲しいなら、吸えば良いじゃないか直接。」

そう言って、俺に献血キッドと、その他もろもろをを渡してくる。

「違う、これは飲むためじゃなく、作るために必要なものだ。」

「作るって、何を?」

不思議そうに俺を見つめるディルムッドを尻目に、俺の方は鞄から色々と取り出すものがある。
フラスコにビーカーに、後はその他の薬品と、書物に空き瓶。

「作るのは獣人化の薬だ。年齢詐称薬はまだ前に作った分があるが、
 一応、念には念を入れてだな。」

そう言って、調合に取り掛かる。
ディルムッドの方は、手持ち無沙汰からか、槍を振るっている。

「そういえば、どれくらい気はモノに出来た?」

調合を進めながら、ディルムッドに聞いてやると、槍を振るいながら返してくる。

「一応は、形になってると思う。飛ばす事はまだ駄目だが、それ以外ならどうにか。
 一番の問題だった気を練る速度も、だいぶ上がった。まぁ、それでも多少は時間がかかるが、最初とは雲泥の差。
 それに、体に纏わせるのも今はだいぶいい。最初の頃のシックリこないのがだいぶ薄れたよ。」

そういいながら、槍に気を纏わせている。
さて、どうするか。咸卦法の事を教えた場合練習し出すのは構わないんだが、今の状態で教えていいものか。
それに、原理としては知っているが、それを習得できるかはまったくの別問題。
俺が精神世界で闇の魔法う練習し始めた時は、自身の体が内側から爆発してグロ意事になった。

咸卦法は、体内に取り込む事はないが、代わりに気と魔力を融合させる。その事を考えると、爆発してもおかしくはないし、
下手に体に纏わせると、反発力によりディルムッドの体が、チャチャゼロ人形が持たない事も考えられる。
果てさてどうしたものか。言葉をお教えれば意味を知りたくなる。意味を知ればそれを欲する。
そして、欲した先がどうなるか。自滅か或いは成功か。
神のみぞ知るなんて言葉はごめんだ。少なくとも、コイツは俺のモノなのだから。
だからこそ、無茶をしないよう釘をさして教えるとするか。

「チャチャゼロ、キサマ『咸卦法』という言葉を知っているか?」

薬を吸い、調合を進めながらディルムッドに聞く。
そうすると、ディルムッドは振るっていた槍を止め俺の方を向き答える。

「『咸卦法』か、一応知ってる。
 前に図書館で写本している時にそれに関する書籍があって、それを流し読みした。」

「それを使いたいと思うか?」

そう聞くと、ディルムッドは俺の目を見ながら、
とても複雑な表情を作る。

「使いたいが、今の俺には難しい。いまだに気をまともに使えない俺では、この技法を習得するには、
 まだまだ練習が必要だ。だから、まだ咸卦法を練習しようとは思わない。」

フム、自身の意思での選択か。
なら、それでかまいはしない。代わりに下地を作るとしよう。

「なら、それでかまわん。
 ただ、暇を見つけたならこれからは自身を無にする瞑想をするんだな。」

そういうと、ディルムッドの方も考え込み
そして、一つ頷き口を開く。

「分かった、それが下地を作る方法だろ?」

「ほぅ、気付いたな。」

そういうと、首をすくめて見せる。

「今の話の流れでいけばな。いずれは手にする技法だ。
 今の、気に戸惑っている俺が、素早くそれをモノにするなら、フライングするしかないだろ?」

そう言って、ニヤリと笑いかけて来る。
なかなかにいい向上心だ。それがあるなら、コイツはいずれ咸卦法をモノにするだろう。
後は、これから人になるなら、それだけ気を練るのが難しくなる。その状態で早く練る事が出来るようにの訓練か。
ディルムッドは、ニヤリと笑った後、また槍を振るいだした。そこでふと思い出したのが、襲撃者から奪った物の整理がまだだった事。

「おい、暇なら奪った物の整理を頼む。いくら、色々入るからといって、
 いざという時に見つからないじゃ話にならん。」

そういうと、槍を振るうのを止め、鞄の方に行きゴソゴソし出した。

「なぁ、この中で要らない物ってあるのか?」

「いや、とりあえずかっぱらったから何かは見ていない。
 名前を言ってくれ。分かるものでいい。」

そう言って、ディルムッドが最初に取り出したのは、

「え~っと、性別詐称薬。(口調も変わるヨ)EX。」

読み上げられた名前に、まず俺がこけた。
ディルムッドの方を見ると、物珍しそうに見ている。

「まぁ、なんかの機会に使うだろう。入れといてくれ。」

そして、次に取り出したのが、

「あぁ、これは武器だな、ムチ。」

「まて、今までの襲撃者にベルモンド一族なんていたか!?」

その突っ込みに、ディルムッドはキョトンとしている。
待て俺、COOLになれ。しかし、何だろうこの歴戦をくぐりましたと言うようなムチは。
いかん、何かヤバイ気がする。

「他は?」

あまり精神衛生上聞きたくないが、聞かないと進まない。
そんな俺を尻目に、ディルムッドが鞄をゴソゴソして次々に取り出していく。

「次わっと、これか。」

そう言って取り出したのが、木の棒に四角く黒い鉄の塊がついたスレッジハンマー。
何かいやな予感がすると思っていると、ディルムッドがハンマーを振り下ろす。
そして、出たのが木の杭。これって、もしかすると?

「エヴァ、偉く実践的な武器だな。これなら、叩けば致命傷になる。
 それに、これは山査子の杭か。」

そういいながら、ハンマーを振り回している。
しかし、俺は心穏やかでなわ無い。だって、これって

(モーラハンマー。)

そう思うと、なんだか冷や汗が出てきた。
この世界にはヴェドゴニアがいるのか?そうなのか?
いや、早計だ。俺は撃退した中で、そんな奴見た事無い。
そして、次に見たのが、細長い何か。

「刀、なんか刃の部分に溝があるな?」

(あれ、小夜?翼手?)

いや、化け物はいるけど、あんなグロイのは見た事無い。
と、言うかいくらなんでも、これだけのハンターに襲われた記憶は無い。
多分、きっとこれは何かの間違いだろう。うん、そうだきっとそうだ、そうに違いない。
ちなみに、俺はorz寸前。だが、薬を作っている手前それも出来ん。
そんな事を考える中、ディルムッドが最後の品を取り出した。

「これで最後か、お歳暮。って、これエヴァの字じゃないか。」

そう言って、ディルムッドが俺の方を見てくる。
はて、お歳暮なんて誰に贈ろうと思ったのか・・・・・・?
そう思って、考えていると、あの人の事を思い出した。

「あぁ、しまったな渡しそびれた。」

「誰に渡す予定だったんだ?」

そういいながら、お歳暮に手を伸ばすと、ディルムッドが俺に渡してくれる。
年代的には、会える可能性があったんだが、いまさら会いに行くと、アラブ人あたりに酷い事をされそうなんで、もう行かなくて良いだろう。

「ヴラド・ツェペシュ、またの名をワラキア公。一応、私たちの名前を世に知らしめてくれる人だ。」

そういうと、ディルムッドは腕組みして考えながら、

「吸血鬼なのか?」

と、聞いてきた。
まぁ、今の話ならそう思われても仕方ないか。

「いや、一応人間の英雄だ。ルーマニアで戦い、そして散った。今だと、ちょうど散るか散らないかの瀬戸際だろう。
 まぁ、別名は串刺し公といって、オスマン帝国の使者を串刺しにした。」

そう、言いながらお歳暮の中身を散りだす。
ちなみに、中身は血です。まぁ、わたす相手がいないからいいかと思い、チューチュー吸い出す。

「いくらなんでも、お歳暮に血液は無いだろう。」

「なら、何ならいいと思う?」

そういうと、ディルムッドがやや考え込んだ後、ぽんと手を打ってまるで名案でも思いついたような顔になり、

「十字架なんてどうだろう?敵か味方か分からないんだったら、先制攻撃という事で。」

ディルムッドそれを言った瞬間、俺は思わず血を噴出しそうになった。
いや、なんと言うか・・・・、色々と染まったなコイツも。
そう思いながらディルムッドを見ると、ウンウンと頷いている。
そんなこんなで、精神的に疲れながらも薬は完成。
ディルムッドを周囲の偵察に出させて、安全を確認した後、人払いの魔法を使い、今の場所を隠す。

「さてと、薬も完成したし、後はこれを飲んでキサマを人にして年齢詐称すれば、大丈夫か。」

「これで漸くという所か。」

そう言ったディルムッドに魔力を流し、人の姿に変える。
ディルムッドの方も、数ヶ月ぶりという事で、首の骨をコキコキ鳴らしている。
さてと、俺の方もとっとと飲むとするか・・・・、その前に着替えなならんな。
少なくとも、今の服はコウモリで作っている。その事が下手にばれると、一発アウトの可能性がある。

「チャチャゼロ、服を取ってくれ。取るのは、ローレグの下着とブラ、後は丈の長い服を頼む。」

そう言いながら、俺はコウモリを自身に仕舞っているのだが、一向に服が来ない。
何かと思ってディルムッドの方を見ると、ローレグの下着を持って固まっていた。

「キサマ一体何をやっている?」

そう聞くと、一瞬顔を赤らめて、俺に下着と、服を渡してきた。
まぁ、ローレグ、もしくはストライクパンツとでも言えばいいんだろうか?
これに機能性を求めようとする方が間違っているが、ノーパンは避けたい。
それに、獣人化すれば尻尾が生える。そのことを考えれば、このチョイスしかない。
そう思い、パンツを履き、年齢詐称薬と獣人化薬をあおる。
そして、体は大体前と同じ19歳ぐらい。生えた耳と尻尾は、

「なんだろうこの生物は・・・・・。」

そう思いながら、自身に生えた耳を触ってみる。
自分で言うのもなんだが、フニフニしていて気持ちいい。
と、そうではない。そう思い自身の尻尾を見る。そこには、白い毛に覆われたふっくらとしたやや大きめの尻尾がある。
これは、多分狐だろう。そうなると巫女服が欲しかったな、お稲荷さま的な意味で。
そう考えながら、服を着込む。


ーsideディルムッドー


何だろう、目の前にやたら愛らしい生物がいる・・・・。
いや、何を隠そう我が主エヴァンジェリンなのだが、なんと言うか、俺の主は無防備だ。
まぁ、それは今に始まった事ではない。しいて言うなら一緒に暮らしだしてずっとと言った所か。
戦闘や、勉強、知識に戦術。その辺りのイロハは申し分ないし、俺もその辺りは助けられる事が多い。
しかし、私生活となると結構な割合で無防備だ。俺に風呂の中に下着を持ってこさせたり、
普通にバスタオルで体を拭きながら、出てきたりする事はざらで、部屋で下着姿でうろついたりもするし、
洗濯の時は、俺のも自分のもまとめて洗う始末。別にそれが悪い訳でもないし、洗濯に関しては効率的だろう。
それに、彼女の外見は10歳だ。その事を考えれば、あまり気にはしないのだが、今は成長した姿でいる。
ついでに言えば、頭には2つの耳を生やし、それがピコピコ動いているし、後ろ姿なので、
触り心地のよさそうな尻尾がフリフリ動いているのも見える。

「はっ!」

危なかった、本当に危なかった。一瞬気を抜いた瞬間、彼女の2つの耳を後ろから触りそうになっていた。
慌てて気がついて、自身の伸ばした手をもう一方の手で掴む始末。いかん、俺は大丈夫なのだろうか?
いや、大丈夫だ。むしろ、これを触らない方がおかしいんだ。きっとそうに違いない。うん、きっと。
目の前では白い耳がピコピコ、白い尻尾がフリフリ・・・・・。


ーside俺ー


とりあえず、自身の胸が大きくなった事に多少挫けながら、ブラをつけた後、他の服を着込む。
俺はスレンダーな方が好きです。超個人的だがな・・・・、まぁ、今はよしとしよう。
着た服は黒のハイネックに、同じく黒のズボン。首には鞄から取り出した逆十字のシルバーネックレス。
たまには、こう言うのを着けるのもいいかも知れない。ちなみに、髪は黒い大きなリボンで纏めている。

そこまでして、後ろを振り向くと、ディルムッドが変な事になっている。
何と言うか、自身の手で自身のもう一方の手首を掴み、しかしその掴まれた方の手は更に前に出ようとしている。
うん、誰か状況説明頼む。そう思っていると、ディルムッドと目が合い、姿勢を正してやや血走った目で口を開いた。

「エヴァ、その・・・・、触らせてくれないか?」

そういって、ヤツの視線を追うと、俺の頭の上の2つの耳に行っている。
別に触るのはいいんだが、何と言うかその前にコイツを野放しにしておいていいのだろか?

「まぁ、触るのはいいが、優しく触れ。人間と一緒でデリケートだからな。」

そういって、ディルムッドの目の前に頭を差し出す。
ちなみに、成長しても俺とコイツとの身長差は大体15~20cmなので、顔を見上げる形になる。
そんな事を考えていると、ディルムッドが手を伸ばし、やけに慎重に耳を触る。
慎重に触れといったが、何もそこまでというぐらいに。

フニフニ・・・・・フニフニ・・・・・フニフニ・・・・・・・・。

「えぇい!いつまで触っている!」

「はっ!」

なんというか、こいつに変な属性でも付いたか?
そんな事を考えながら、キセルで魔法薬を吸い、ディルムッドの方を睨む。
何故か、ヤツはお預けを食らった犬みたいな目で俺を見てくる。
あぁもう、うっとうしい。

「何か言いたい事があるか?」

「・・・、先生・・・!!耳が触りたいです・・・。」

どうせその台詞を言うなら、どっかでボールでもついてろと、声を大にして言いたい。
はぁ、こんな事で、俺たちはヘカテスにたどり着けるんだろうか・・・・?
そんな事を、目の前のディルムッドを無視して考える。
そして、煙を吸い、いい案が思いついた。

「キサマ、私の耳が触りたいんだな?」

そういうと、顔を輝かせながら、矢継ぎ早にまくし立てる。

「あぁ、そうだ。エヴァの耳が触りたい。さっき触った時の感触は中々忘れられるものではない。」

そう言って、俺を見てくる。
きっと、俺が折れて触る許可をくれると思っているのだろうが、そうは問屋が卸さない。
これだけ欲望むき出しなら、それのベクトルを操ればいい方に転ぶだろう。

「そんなに触りたいなら、今の人の姿で気を瞬時に練れるまで練習しろ。
 私が見て、OKを出せるレベルになったら、好きなだけ触らせてやる。」

それを聞いたディルムッドは、考え込み、そして納得したように口を開く。

「それは、エヴァが重んじる『契約』と受け取っていいのか?」

ふむ、この契約を取り付ければ、少なくとも咸卦法への近道にはなるし、戦力は上がる。
それに、あくまでOKを出すのは俺基準。うまく乗せれば、この契約の利益率はかなり高い。
だが、なんとなくこれで契約すると、後々面倒な事になりそうなんだが・・・・。
まぁ、今の所戦力第一か。

「いいだろう、これは『契約』だ。内容は話したとおり。それでいいか?」

「あぁ、契約しよう。いかなる困難にも打ち勝って見せるさ。」

うん、なんか駄目な方に突っ走ってる気がするが、いいのか?
これで本当に良いのか?自身の耳を両手でペタンと頭に押さえつけながら、
ウンウン唸る。何だろう、この釈然としない感じは。
とりあえず、現代になったらこいつをアキバから遠ざけよう。
まぁ、俺は行くけどね、パチモンとか色々有りそうだし。

そんな事を考えながら、その夜、夕闇にまぎれてヘカテス入りを果たす。




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