「おはようリョウゼン」
「あ、おはようございますリードさん」
ここは村。
どこからどう見ても。
現代的にはありえないほどの村だ。
どれくらい村かと言われるとRPG兵器じゃないぞ? ゲームだ。
ともかく、重税にあえぎ苦しむ農村に、俺は居る。
結論から言おう。
俺は異世界に転移していた。
異世界転移だの転移の際のオリ主チートだの笑わせるぜぇっ! とか考えてたら俺の予想斜め上をいった。あと筋肉とか。
転移オリ主チート[てんい-おり-ぬし-ちーと] 異世界に転移したとたんになんか偶然手に入った力で無双してしまうこと。
背景も威厳もない力を振り回すことに対して、いい顔をする者としない者がいるのはどうしようもないことと言える。
要するに、自分の手腕で功績あげて一億貯めたぜ、というのと宝くじで一億当てたのがどっちがすごいか、という話。
筋肉[きんにく] 鍛え上げられた筋肉に不可能はない、という素敵アイテム。
刃にも鎧にもなる最強の装備。
極めれば、魔法だって使えるさ。
俺は最初、自分がオリ主だと思っていた。
おっと、まずは紹介だな。
俺の名前は昭乃守 了禅、中学二年生、厨二真っ盛りだ。
この世界では、リョウゼン アキノカミな訳だが。
ともあれ、半年前俺は。
朝目覚めたら、俺は知らない土地に転がされていた。
そして、目覚めた俺は、少しあるいて幻想生物を見る。
驚きこれは異世界だ、と気づいたまでは良かった。
だが、だがしかし。
俺には、チート能力の一つもなかった。
おかげで、俺はゴブリン追い回され、さんざん目に会うこととなった。
そんで、その後、疲れて倒れて。
偶然にも、居間の居候先の家主たるリリアに拾ってもらえなければ死んでいただろう。
そして、俺の農民生活が始まったわけだ。
正直、マンセーどころか農業でぜぇぜぇ言ってたわけだが、丁度習った歴史の授業のおかげで、試行錯誤しながら農具を作ったりして。
村の中でもそれなりの信頼を得た。
そして、俺は、今日も畑を耕している。
「おはよう、リョウゼン」
「おはようリリア」
そう言って、リリアに挨拶を返す。
リリアは、村で珍しく一人暮らしをする赤毛の少女だ。
俺を救ってくれた命の恩人である。
「最近は、慣れてきた?」
「そりゃ、半年あればいやでも慣れるさ」
最初なぞ特に、俺は貧弱な坊やだった。
この世界には、魔法なるものがあって、先天的な才能が要求されるらしいが、使えると、騎士や魔術師、宮廷でも優遇されるらしい。
これは俺の時代か?
そう思って試したさ。
試したけどな?
俺に才能は無い。
まさに貧弱な坊や、そのものだった訳だ。
あるのはちょっとした現代知識だけ。
技術畑でもないから、ほとんど役にも立ちやしない。
それでも意外と充実してた。
必死で生きるって、楽しいもんだな。
ちょいと前までは帰りたいパソコンしたいと思っていたが。
最近は諦めかけている。
というか、両親友人、ともに未練たらたら名残惜しいが、だが、ここでじたばた駄々こねたって、帰れやしない。
この体験は、多少なりとも俺の精神年齢を引き上げていた。
というか、一月後の身の振り方より、明日の飯のが大事、そういうことなのだ。
ということで、俺は今日も鍬を振る。
きっと、こんな風にして、俺は一生を終えるのだろう。
そう思っていた。
◆◆◆◆◆◆
ある日、俺はリリアに頼まれて、隣町にまで買い物に出かけていた。
そして、買い物袋を抱えて、街道を歩く。
道すがらに現れるゴブリンを、俺は護身用の剣を振り回して追い払った。
昔はリリアと一緒じゃないと全く駄目だったが、しばらくすれば慣れたもの。
ほどなくして、俺は村に辿り着き。
絶句した。
「……なんだこれ…」
村が、燃えている。
「なんだよこれぇッ!!」
俺は思わず抱えていた物を放り捨て、駆けだした。
「誰か! 誰かっ!!」
俺は情けない顔で、村を走り、人を探した。
「リョウゼン、か……?」
そして、そのなか、リードさんが俺に声をかけた。
「リードさん!! 一体、一体何が!」
思わず駆け寄る俺。
リードさんは、腹に大きな傷を負っていた。
「盗賊だ……。しかも…、魔術師集団のな…。……魔法も使えない愚鈍は、搾取されて当然なんだとよッ――、ぐッ」
リードさんが血を吐く。
拙い、まずい、こういうときって喋らせちゃいけないんじゃないのか!?
まずは医者?! 隣町に走るか!? でも先に応急処置?
「ま、まずは、喋らないでください!! 急いで誰か呼んできますから!!」
そんな俺を、リードさんは弱弱しく止めた。
「もう、無駄だ……。せめて――、お前だけでも生きろ……。頑張れよ、坊や……」
リードさんは――、そう言って、こと切れる。
「リードさぁあああんッ!!」
俺は、見ていられなくなって、逃げだした。
涙も、鼻水もそのままに走る。
そして、出会ってしまう。
後悔した、真っ直ぐ村から出ていればよかったと。
だけど、確認しないわけにはいかなかった。
例え、望みがゼロであっても。
茫然と、俺は呟く。
「りり、あ?」
彼女は、目を見開いて、家の前に落ちていた。
「なあ、りりあ、くびから、したがないぞ?」
俺はきっと。
彼女のことが好きだった。
「なあ、リリア。ウソだろ?」
そんな彼女は。
思いを告げる前に、
「なあ、嘘だって言ってくれよ」
逝ってしまった。
「リリアぁぁぁぁぁあああああああああああああッ!!」
俺は、愛しい人の生首を抱えて、ずっと、泣き叫んでいた。
「うわああああああああああああああぁぁぁぁああああアアアアアアアァァァァァァあぁぁぁぁあああアアアアッ!!」
俺の世界が、燃えていた。
◆◆◆◆◆◆
村が燃やされてから、十五年。
消えた村から、そう遠くない位置に、その村はある。
そこに、大男が現れた。
その短い黒髪は重力に逆らうかのように立っていて。
その顔は、十字傷や、目を縦に割るかのような線が刻まれ、精悍な顔つきにスパイスを加えている。
そして、その体躯をマントで包んだ姿は、見る者に威圧感を与えていた。
男と、一番最初に出会ったのは少女。
「あの……、この村に、何か御用ですか…?」
怯えた少女に、男は。
あっさりと破顔した。
「悪い、さっき道に迷っちまって! 一日でいいから止めてくんねぇかな?」
打って変った人好きのしそうなその表情に、少女は戸惑いを見せたものの、すぐに緊張を解いた。
そして、少女も笑顔を返す。
「あ、じゃあ、私の家なら一人ですし、構いませんよ?」
すると、男が急に遠い目をしたため、少女は怪訝に思って聞く。
「どうしました?」
その視線に気付いた男は、すぐに笑顔に戻ると、言った。
「なんでもない。さて、よろしくおねがいするぜ」
「はい、こっちです」
そのようにして、男は村へと入って行った。
少女の家にて。
「そう言えば、お名前は? 私は、ルイっていいます」
男は、その問いに少し迷ったようだが、笑いながら答えた。
「二つ名で悪いが、ウィザードだ」
「ウィザードさん?」
すると、ウィザードと名乗った男は、ガシガシと後頭部を掻いて落ち着かない様子を見せる。
「悪いが、敬語もさん付けもよしてくれ。こちらが泊まってる身なんだ。感謝の余りに死んでしまうよ」
その言葉に、少女が肯いた。
それを見たウィザードは満足したように豪快に笑って外に出ようとする。
「どこへ?」
敬語が抜けているのか抜けていないのかわからない言葉で聞いたルイに、横眼で視線を届けて、ウィザードは言った。
「なあに、泊めてもらってるお礼に、畑ぐらい耕すさ」
庭に出たウィザードは、一心に鍬を振っていた。
その様が、珍しかったのか、村人の視線がウィザードに集中する。
「あんた、何者だい?」
そんな中、ウィザードに話しかける中年の男がいた。
その腰は引けていたが、ウィザードが豪快な笑みを見せた途端、恐怖は消えたように見受けられる。
「ただの傭兵だよ。ただ――、間抜けなことに道に迷っちまった。かっかっか、つーわけで、今日はここで泊めてもらうことになったわけだ」
そんなウィザードの肩を、優しげに男は叩いた。
「そうだったのか、大変だな、傭兵ってのも。あんた、名前は?」
するとウィザードは、困ったように頭を掻いて、
「ウィザード、本名は秘密だ」
その言葉に、周りの人間が湧いた。
「ウィザードだって!? あの?」
ウィザード、それはただの二つ名ではない。
「ルイは気付かなかったけど、やっぱり噂になってんのかぁ……」
呪文詠唱を一切使わない魔法使い。
そのウィザードは、数多の盗賊を屠ったという。
「りゅ、竜を倒したって噂は?」
「やったやった、懐かしいな」
「本当にドラゴンキラー!?」
竜という生き物は、人が殺せるような生き物ではない。
故にウィザードのことを人々はこう呼ぶのだ。
彼自身が魔法のようだ、と。
「い、いや、ウィザードに畑なんていじらせられねえよ!!」
そう言って鍬を奪おうとする男を、ウィザードは笑って制止した。
「いいんだよ。俺だって昔はただの農民だったしな」
言いながら、一心に鍬を振るウィザードに、村人はただ、茫然としていた。
ウィザードは、一通り畑を耕して、ルイの家へと戻る。
「あ、ウィザードさん」
「ウィザード、だ」
そう言ってウィザードはルイに微笑んだ。
そんなウィザードの名を、ルイは戸惑いながら呼ぶ。
「う、ウィザード、夕飯できてるけど、どうする?」
すると、ウィザードは豪快に自分の腹を叩いて見せた。
「悪いな! すげえ腹ぺこでよ!」
そう言って、ウィザードがテーブルに着く。
「はい、どうぞ」
そんなウィザードに、ルイは苦笑しながら料理を差し出した。
それをウィザードは、豪快に腹の中に入れて行く。
そして、そう時間を置かずに、ウィザードは全ての食事を完食した。
「ふぅ……、ごちそうさん。ところで――、お前さん親御さんはどうした?」
なんとはなしにウィザードは聞いてみたのだが、どうやら地雷だったらしい。
ルイの表情が暗くなる。
「いないよ。十五年前、私は二歳の時ここに連れてこられたから」
「十五年前?」
「うん。貴方は知らないと思うけど、十五年前に、隣の村が盗賊に焼かれたの。それで、お父さんもお母さんも死んでいたのだけど。私だけ、生きてた」
「そんな――、ことが」
ウィザードは、目を丸くし、体全体で驚きを表現する。
「奇跡、とでも言えばいいのかしら、後の消化と救助に来た人が、偶然私がいることを見つけたの」
「そうだったのか……」
なんでもないように語るルイに、ウィザードは哀れむような視線を向けた。
「そう言えば、あなたは噂のウィザード、なのよね」
「そうだが?」
「じゃあ、聞かせて、冒険譚。…宿代ってことで」
「了解、じゃあ、何から語ろうか。そうだな、赤竜に会ったことから――」
ウィザードは、必要以上に明るく、話し始めたのだった。
◆◆◆◆◆◆
次の日、ウィザードは、爆音によって目を覚ました。
「なんだぁ?」
ウィザードは立ち上がると、かかっていたマントを羽織り外に繰り出した。
そこに居たのは、
盗賊だった。
ウィザードは思う。
まるで昔の再現のようだ。
と。
所構わず魔法を乱発し、荒くれどもが、家を、畑を薙ぎ払っていく。
そんな中、盗賊達の手前に、ウィザードはルイの姿を見つけた。
彼女は、盗賊達の前にくずおれるように座り込んでいた。
「どうした?」
「あ……らが……」
「聞こえん」
ウィザードは、震える声に耳をすませた。
あいつらが、わたしのむらをやいた。
あいつらが、私の村を焼いた。
ウィザードの心中に苦い思い出がよみがえる。
好きだった人の生首を抱いて泣き叫んだ、あの日。
ウィザードは、ルイに見えないように拳を握り締める。
「目に……、焼き付いてる…。あいつらの顔」
虚ろに言うルイを、ウィザードは、撫でた。
「大丈夫だ。俺がいる。今回は――、俺がいる」
ウィザードはそう言って、盗賊のもとへ歩きだした。
その途中、先日話した中年が、ウィザードのもとへ向かってきて、縋りついた。
「ウィザードか!? お願いだ! 助けてくれっ、奴ら、このまま俺達から何もかも奪っていく気なんだ!! 俺たちじゃ大した金は払えないけど……っ」
近づいてきた男を、ウィザードは冷たく突き放す。
「悪いが、その仕事はパスだ」
「え?」
ウィザードは、普段の彼とは似ても似つかない目で、敵を睨みつけて、言う。
「奴は……、俺の獲物だ…ッ!」
ウィザードが、盗賊達の前に躍り出て、問うた。
「十五年前、ここからそう遠くない村を、焼いたな?」
その問いに、男達は顔を見合せて、こう言った。
「そう言う事もあったかもしんねぇな、それより、お前はナニもんだよ」
ウィザードは歯をかみしめながら言う。
万感の思いこめて。
封印した名を。
ここに吐きだす。
「俺の名前は昭乃守 了禅……、貴様らに全てを奪われた男だ……!!」
そんな了禅を、盗賊達はせせら笑った。
「あー、お前あの村の生き残りかよ。ならぁ、大したことはできねえよな? なんてったって――、あの村、ほとんど抵抗がなかったんだから、――な?」
男は、茫然としていた。
了禅は手刀を振り上げ、降しただけ。
なのにその瞬間、大気が、割れた。
「な、あ、あ、あ、俺の腕ぇ……」
数十メートルに及ぶ風の刃が男の腕を、吹き飛ばしていた。
「ウィンドスライサー」
「な、い、今のがウィンドスライサー……?」
ウィンドスライサーとは、十秒前後の詠唱をして、数十センチの風の刃を作る魔法。
余りにも激しい風に、盗賊達は唖然とした。
了禅は誰にともなく呟く。
「俺は、村が焼かれてから十五年。ひたすら己を鍛えた。山に籠って只管に、ただ只管に己を鍛えた。血反吐を吐くような、じゃない。血反吐吐いて尚。一日二十四時間修行に明け暮れた」
了禅には魔法の才はない。
「睡眠は週二時間。おかしい、普通なら死んでる。でもやった」
人のなせる業ではない。
だがそれでも、彼がそこに辿り着いたのは、狂気の結果。
「そして、いつの間にか、俺はウィザードと呼ばれるようになっていた」
独白が終わり、了禅が拳を振り上げる。
「次は、ファイアボール」
拳が、振り下ろされた。
もう一度言う。
了禅に魔法の才は全くない。
であるのに、拳から先に、火の玉が生まれ、飛んで行き、爆発する。
「あ、ありえねえ……、無茶苦茶だ…」
これが、彼の修行の末に編み出した魔法。
「拳の摩擦熱で炎を生み出すなんて!!」
魔法とは、間の手順を消して、作用を生み出す力。
であれば、ワンアクションで同じことができるのなら、魔法と変わりない。
そんな俺理論を突き詰めて、了禅は、魔法の位置に立っている。
了禅は、不敵に言い放った。
「人の身の限界を超えた筋肉に、不可能はない!!」
「な、なんだってーッ!!」
その瞬間、了禅が消える。
「ウィンドスライサぁあああッ!!」
一瞬にして盗賊達の後ろに現われた怜禅が、回し蹴りを放つと同時、竜巻のような風圧が、盗賊達を薙ぎ払っていく。
「アースクエイクッ!!」
神足の踏み込みが、地震を起こし。
「アクアスプレッド!!」
腕のスイングから起きる風により冷やされ、水となった水蒸気達が男達に襲いかかった。
茫然と、男の一人が呟く。
「これが……、魔法だって…?」
その横にいるもう一人が、返事を返した。
「馬鹿言うな――。こいつはそんな甘いもんじゃない。こう言うのはな、奇跡っていうんだよっ!!」
そう言った男が、風によって天高く巻き上げられる。
そして、最後に残った男の前に、了禅が現れた。
「これで、終いだ」
人々は、彼を見て、口をそろえてこう言うのだ。
彼自身が、魔法のようだ、と。
◆◆◆◆◆◆
ただ、了禅は立ち尽くしていた。
何も言わず、茫然と。
ルイは、そんな了禅に、声をかけようとして、やめる。
「なあ」
了禅の言葉を、ルイは黙って聞いた。
「俺さ、今度はちゃんと、守れたかな――」
そう、悲しげに言う了禅。
その頬には一筋の涙が流れていた。
ルイは肯いた涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら。
「うん。今回は……、……守ってくれた…、確かに……、守られたよ……」
了禅は、大きく肯く。
「そっか……」
この戦いは前回の焼き直し。
ただ、前回と違ったのは、了禅が以前とは違うこと。
きっと、この風景を乗り越えて、やっと、了禅は進むことができる。
「ああ、いい天気だ。旅にでも出ようか」
了禅は、やっとスタートラインに立った。
彼は。
プロローグを終え、物語を始める。
後書けない。
また暴走した。
多分、車に横からどつかれたせいだと思う。
スピード出てたけど、怪我がない俺が奇跡。
さて、今回の話ですが。
オリ主無双が嫌われたりする原因についてあれこれ考えた結果がこれです。
最近のオリ主に多いのが、偶然拾ったパワーで事態を引っかき回していく奴ですが。
これが好き嫌い分かれるのは、多分、主人公達が遊び半分だからじゃないかと。
偶然拾った力を利用してでも何かを守るのはいいけど、偶然拾った玩具で人をおちょくるのは好き嫌いが分かれやすいという。
自分的にはそれも大好物ですけどね!
という訳で、お約束な背景を追加、あと、作中で十五年経過という禁じ手。
どれもこれも、最後の筋肉に不可能はないという言葉につなげるため。
このお話は筋肉に集約されるわけであります。
さてさて、相も変わらずここを見ておられる方。
感想など、励みになっております。
本当にありがとうございます。
ではこれで。
筋肉的おまけ
「ふん、貴様がいくら強かろうとも! 酸素がなければ生命を維持できまい!!」
その言葉のとおり、あたりの酸素は全くない。
だというのに、了禅は平然としていた。
「なぜだぁ!!」
「筋肉の率を変化させ、酸素の消費を抑えるなど容易い!! さらに、日光を浴び酸素を作り出すことは、十分な筋肉さえあれば難しいことではない!!」
「えー……」
「ふふふ、貴様がいくら筋肉でも。脳筋ごときにこの攻撃の座標を計算することなどできまい!」
だが。
その刃を了禅はあっさりと受け止めた。
「な、な……」
「筋肉による並列演算。その程度の計算なら朝飯前のプロテイン前だッ!!」
おまけの意味?
ようするに筋肉に不可能はない。
筋肉万歳。