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No.8232の一覧
[0] 【完結】††恋姫無双演義††(部分修正のみUP 三国志演義+真・恋姫キャラ オリキャラ(転生)付)[きらら](2009/07/17 21:46)
[1] 前ふり『聖フランチェスカ学園』[きらら](2009/05/12 21:17)
[2] 講釈の1『桃園起義』~「天の御遣い」は光り輝いて落ちて来る~[きらら](2009/05/09 16:09)
[3] 講釈の2『三顧之礼』~「伏竜鳳雛」を求めて魚は水を得る~[きらら](2009/05/09 16:18)
[4] 講釈の3『黄巾の乱賊蒼天を殺し 同志おのおの決意を新たに出陣す』[きらら](2009/05/09 16:22)
[5] 講釈の4『治世の能臣官命を受け 乱世の姦雄野望に焼ける』[きらら](2009/05/09 16:31)
[6] 講釈の5『役萬姉妹は大吉を歌い 英雄達は賊の城を前に集う』[きらら](2009/05/09 16:33)
[7] 講釈の6『本道を失い黄天はまさに死すべし 義軍は功を誇らず北へ還る』[きらら](2009/05/09 16:34)
[8] 講釈の7『黄巾は滅ぶも蒼天すでに死す 皇宮は迷走して帝都は乱れる』[きらら](2009/05/09 16:36)
[9] 講釈の8『帝都蹂躙』~優しき魔王~[きらら](2009/05/09 16:37)
[10] 講釈の9『天下に諸侯もはや乱立し 連合に合同するも混戦す』[きらら](2009/05/09 16:42)
[11] 講釈の10『汗血を駆るは人中の雄将 今こそ義軍は関を破って名を示す』[きらら](2009/05/09 16:45)
[12] こぼれ話(その1)『オリキャラ(転生系)の独白』(クロス有)[きらら](2009/05/27 23:03)
[13] こぼれ話(その2)『花嫁泥棒』[きらら](2009/05/21 21:53)
[14] 講釈の11『帝都落月』~洛陽は燃えているか~(前編)[きらら](2009/05/09 16:50)
[15] 講釈の12『帝都落月』~洛陽は燃えているか~(後編)[きらら](2009/05/09 16:53)
[16] 講釈の13『魔王は消えて思惑が交叉し はるか蜀の天地に希望を抱く』[きらら](2009/05/09 23:40)
[17] こぼれ話(その3)『凶馬転じて縁結び』[きらら](2009/05/21 21:52)
[18] 講釈の14『西南には希望を求めて出立し 東北には故郷に知己を送る』[きらら](2009/05/10 12:50)
[19] 講釈の15『益州侵掠(その1)』~豪天砲VS八陣図~[きらら](2009/05/12 21:51)
[20] 講釈の16『益州侵掠(その2)』~蛮王は貪り食らう~[きらら](2009/05/12 22:10)
[21] 講釈の17『益州侵掠(その3)』~七たびとらえて七たびはなつ~[きらら](2009/05/13 21:06)
[22] 講釈の18『益州侵掠(その4)』~百戦百勝は善の善ならず~[きらら](2009/05/14 21:47)
[23] 講釈の19『益州侵掠(その5)』~いざ成都~[きらら](2009/05/15 21:26)
[24] 講釈の20『曹魏は名分を得て躍進し 孫呉は断金の交わりにて再興す』[きらら](2009/05/16 18:40)
[25] 講釈の21『江東に飛翔するは小覇王 都の花は許昌に流れつきて咲く』[きらら](2009/05/17 14:01)
[26] 講釈の22『天の医は仁術で勇士を救い 許昌では名分もって策をめぐらす』[きらら](2009/05/17 23:18)
[27] 講釈の23『荊州侵掠』~天下三分の野望~[きらら](2009/05/18 23:59)
[28] 講釈の24『子を思う弓は偃月刀に挑み 呉を思うゆえに蜀の侵掠をおそる』[きらら](2009/05/19 21:15)
[29] 講釈の25『はるか涼州の草原に燃ゆる心 錦の驃騎は謀に破れて亡命す』[きらら](2009/05/20 21:16)
[30] 講釈の26『蜀には五虎と竜鳳が集結し 比翼連理の王に誠をささぐ』[きらら](2009/05/21 21:37)
[31] 講釈の27『虚々実々』~人を致して人に致されず~[きらら](2009/05/22 21:07)
[32] 講釈の28『僭帝憤慨』~ただ1杯の蜜水を求む~[きらら](2009/05/23 13:02)
[33] 講釈の29『人物交差』~人とは出会うもの~[きらら](2009/05/23 20:07)
[34] 講釈の30『兵詭道也』~戦争とは騙し合い~[きらら](2009/05/24 10:13)
[35] 講釈の31『雄将無情』~正義なき力は正しいか~[きらら](2009/05/24 16:53)
[36] 講釈の32『白馬有情』~英雄を論じて肴にする~[きらら](2009/07/17 22:37)
[37] 講釈の33『汗血流転』~駆け抜ける千里の道~[きらら](2009/05/24 23:52)
[38] 講釈の34『江東急転』~壮士の仇討ちと道士の呪い~[きらら](2009/05/25 22:32)
[39] 講釈の35『許昌震撼』~陰謀は軽挙するべからず~[きらら](2009/05/26 22:41)
[40] 講釈の36『官渡逆襲』~燃える烏巣の夜~[きらら](2009/05/26 22:42)
[41] 講釈の37『倭使渡来』~姦雄と名家の決着~[きらら](2009/05/27 23:10)
[42] 講釈の38『成都爛漫』~阿斗ちゃんは天の落とし子~[きらら](2009/05/27 23:18)
[43] 講釈の39『天下三分』~新たなる動乱へのいざない~[きらら](2009/05/28 23:51)
[44] 講釈の40『覇王襲来』~赤壁へと続く道(その1)~[きらら](2009/05/28 23:58)
[45] 講釈の41『長坂虎豹』~赤壁へと続く道(その2)~[きらら](2009/05/29 23:46)
[46] 講釈の42『争論斬卓』~赤壁へと続く道(その3)~[きらら](2009/05/30 00:03)
[47] 講釈の43『苦肉之策』~赤壁へのCountDown~[きらら](2009/05/30 12:58)
[48] 講釈の44『天命選択』~決断す「外史」の分かれ道~[きらら](2009/05/30 23:34)
[49] 講釈の45『赤壁水火(前編)』~百勝して不覚あり~[きらら](2009/05/31 11:30)
[50] 講釈の46『赤壁水火(後編)』~華容道に夢見果てたり~[きらら](2009/05/31 23:51)
[51] 閑話『翡翠めぐり会い』[きらら](2009/05/31 23:51)
[52] 講釈の47『華林酔夢』~後宮の小ばなし(その1)~[きらら](2009/06/01 23:30)
[53] 講釈の48『倭人之条』~名家は出戻りする~[きらら](2009/06/01 23:43)
[54] 講釈の49『美周錯乱』~断金の誓いは未だ果たせず~[きらら](2009/06/02 23:35)
[55] 講釈の50『孫呉爆発』~「正史」は引き戻そうとする[きらら](2009/06/02 23:40)
[56] 講釈の51『長江悠久』~江東に夢目覚めたり~[きらら](2009/06/03 23:20)
[57] 講釈の52『帝都好好』~後宮の小ばなし(その2)~[きらら](2009/06/03 23:24)
[58] 講釈の53『皇帝決断』~天道に太陽2つ無し~[きらら](2009/06/04 23:31)
[59] 講釈の54『白鬼暗躍』~正しい歴史とは正義なのか~[きらら](2009/06/04 23:36)
[60] 講釈の55『真相暴露』~真実とは常に?1つだけ?~[きらら](2009/06/05 23:30)
[61] 講釈の56『無双のつわもの十字の旗に会し 泰山の決戦に天命を賭ける』[きらら](2009/06/05 23:33)
[62] 講釈の57『恋姫無双』~乙女たちのLastBattle~[きらら](2009/06/06 23:20)
[63] 講釈の終『英雄は後宮の恋姫となり 天下は太平にして大団円』[きらら](2009/06/06 23:23)
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[8232] 講釈の5『役萬姉妹は大吉を歌い 英雄達は賊の城を前に集う』
Name: きらら◆729e20ad ID:c5df10ff 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/05/09 16:33
『中国での名前の付け方』
2文字の「名」や「字」の場合、兄弟では1文字を共通とするのは、ごく普通だったようです。
一方、親の「名」にある文字を使うことは、大きな不孝とされていました。
同じ理由で、皇帝などは、即位前に余り使わない漢字に改名したりしています。
(「益徳」というのは、あくまでも、「玄徳」は主君である前に「兄」だったから)
そうなると、大失敗をやりました。
華琳の祖母、華恋。
これについては、真名はあくまでも「字」のような表向きの名ではなく、
本来、そうした「礼」の場では秘密の名であるという事で、
この「外史」でのつじつまは合わせる事にしました。(冷汗)
そういうわけで、孫堅の真名に「蓮」が付いているのも、ありとします。

…  …  …  …  …  

オリキャラの『真名』設定

孫堅=水蓮
長江に近い、水の豊かな地方なら、女の子に「蓮」にちなんだ名前を付けるとき、
日本のように、水生の「蓮の花」を連想するでしょう。
ちなみに「白蓮」というのは、特に中国北方では、地上の低木の花です。

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††恋姫無双演義††講釈の5『役萬姉妹は大吉を歌い 英雄達は賊の城を前に集う』


彼にはデジャヴがある。「前世」で学生だった頃、アイドルの追っかけをやっていた悪友に、誘われたことがある。
そのときのデジャヴが、眼前に出現していた。
いや、アイドルのコンサートには間違いない。電気を使った文明の利器が無い以外、全て変わらない。
ただ、その舞台センターに、輝く「スター」というのが……

『数え役萬☆しすたぁず』それが、そのアイドルのユニット名。

「みんな大好きーー!」>>>
<<<<<<<<<<<<<「「「てんほーちゃーーーーん!」」」
「みんなの妹」>>>
<<<<<<<<<<<<<「「「ちーほーちゃーーーーん!」」」
「とっても可愛い」>>>
<<<<<<<<<<<<<「「「れんほーちゃーーーーん!」」」

――― ――― ――― 

「仲徳、どうした」
「春蘭さん。実は…」
ただのアイドルとして、帝都に巡業に来た時の事を思い出していた、とうちあけると
「これだから、男と言う動物は」と書いてある顔をされた。
「いい加減にしておれよ。そうでなくとも、足手まといの新参者を抱えているのだ」
「(それも言い過ぎ。やれやれ)」

現在の曹操軍の内部事情。
兵の大部分は降参したばかりの青州兵、
それを率いる武将や、主将を補佐する文官、軍師は潁川で仕官したばかり。いや、彼女たちが無能な訳ではない。
むしろ、この後漢でも優秀な軍師や、雄将が揃っている。
ただ、華琳もとい曹操を主将として、1つの軍というシステムとして実戦を経た、
その経験が皆無では、チームワークに問題があって当然。沛国以来の、仲徳や夏侯姉妹の様にいくわけもない。
だからこそ、実戦経験を求めて、出陣して来たのである。

しかし当面、行軍速度に問題が出ているのも、現実である。
「仕方ないわね。あなたたちが先行しなさい」
「承知」
「ただし、あくまで偵察よ。本軍も来ないうちに先走って戦わないで。特に春蘭」
春「(絶句)」秋「(微笑)」仲「(やれやれ)」

つまりはこういう事だ。
どうあれ、一郡の主城に、敵の首領を担いだ本来の黄巾党の、その意味では精鋭が篭っているなら、
曹夏侯の私兵程度の軍勢で落とせるものでもない。
そもそも、潁川の本軍を挙げて戦うのでなければ、出戦の意味が1つ失われる。
その同じ事情で、主将の華琳自身は、本軍の手綱を離せない。
だから、仲徳たちが、とにかく先行して、状況を把握する。

もう1つ、潜入させてある間者は「孫氏(用間篇)」にいうところの「生間」である。曰く、
「生間は反り報ずる(生間は返ってきて、報告する)」
「間より親しきものはなし(間者ほど個人的信頼が重要なものはない)」
だから、脱出してくる間者を収容して、報告を受ける。
その情報を元に、本軍の到着を待って、作戦を行う。

…  …  …  …  …  

「(ぶつぶつ)拙速を聞く、ともなかったか」「それって、準備も無しに戦う言い訳でもないと思うけど」

・  ・  ・  ・  ・

荊州南陽郡城、その北側の城壁が見えてきた。

帝都洛陽には及ばずとも、郡という広域を支配する主城。現時点では曹操軍の拠点、許昌も同格の郡城。
流石にそれなりの城である。
あの中に敵の首領がいるのか。それは、脱出してきた間者の報告で確定した。
城内では『数え役萬☆しすたぁず』のコンサートが開催されている。その会場まで潜入してきたという。
影武者、となどということはありえない。それは、1度でもコンサートを経験すれば実感できる。
春「そうか、それなら早く本軍が来ないか」秋「(苦笑)」仲「(やれやれ)」

…  …  …  …  …  

とりあえず、本軍を待たなければならない以上、兵を伏せなければならない。
村人の逃げ去った、郡城郊外の村。このあたりが適当かな、と考えた時、自分たち以外の軍勢の存在に気が付いた。
「曲者」「待って。とにかく正体を確かめる方が先よ」
官軍にしては、軍装が揃っていない。しかし、少なくとも黄巾は付けていない。

「何者か」逆に誰何された。なんか、この小勢には不釣合いかもしれない美丈夫。
前に出ようとする春蘭を秋蘭が止め、仲徳が代表で出る。姉の七光りでも、この場合は、主将の代理だ。
「我々は、予州潁川郡太守の討伐隊に先行してきている。あなた達は何者。賊とも見えないけど」
「我々は、民人のため、大義のため立ち上がった義軍。官命を受け討伐に来た軍の加勢として、
 これより賊の篭る城を攻める」
「雑軍が手柄を取る気か」といいかねない春蘭の口を秋蘭が塞いでいる。
「(やれやれ。姉さんのことだから、この可能性も考えているだろうけど)」

「君がこの軍の主将?」
「いや、私は主たちの剣に過ぎない」
「下っ端が相手になるか、こちらは一応、主君の代理だぞ」
「ほう、この関雲長を下っ端とな」

「いま何だって?もしかしてあの関羽」
春・秋「?」そして、関羽は「おや」という反応。
周りの反応に「しまった」と思いつつも、仲徳は、大急ぎで事態を収拾しようとする。
「つまり、君が関羽という事は、君たちの主将は劉玄徳なのかな」
「ほう、わが義軍の名も予州あたりまで届く様になったか」

よし、間違いない。
とにかく、劉備なら、華琳姉さんに比べれば「お人好し」だし、まだ孔明もいないはずだから、
何とでも出し抜きようもあるだろう。
いくら関羽がいても(おそらく張飛もいるだろうけど)孔明の作戦も無しで、
この頃の劉備軍の小勢力では、あの城は落ちまい。
春蘭さんや秋蘭さんには、たまたま情報を持っていたと後で言っておこう。
この頃の劉備たちは無名だから、そんな小勢力の事を良く知っていたな、位は言われるだろうけど。

「仲徳」「ああ、秋蘭さん、つまりね…」
その時、関羽の後ろから、誰か現れた。仲徳と同じ年頃くらいの少年、
微妙にデジャヴのある、この時代では目立つ服装をしている。
関羽が道を譲ったという事は、もしかして劉備?女の子じゃないのか?
華琳たちがそうだったから、かえって、劉備(?)が女の子じゃないのが意外だったが、
とにかく話しをつけておこうとしたのだが。

「お初にお目にかかります。劉玄徳殿」
「桃香なら向こう側だけど」
「え?」
「この方は、われが仰ぐ「天の御遣い」様だ」
「ええと、劉備じゃないなら、誰です?関羽の主君ですよね」
「まあ、一応桃香とはパートナーだけど」
「ええと、その桃香と言うのが」
「そうか、本人が会ってもいない人に真名で言うべきじゃないね」
(初対面の主将代理とかにタメ口というのもな、「天の御遣い」らしく振舞うためとはいえ)「劉備玄徳だよ」
「やっぱり、劉備も女の子なんですね。そしてあなたとはパートナーだと。それで、今は別行動?」
(それで張飛もここにいないのか)
「まあ、その前に君たちは。潁川太守の軍だといったみたいだけど。その太守というのは」
春「曹孟徳様だ」(傲然(ごうぜん))
「あの曹操?先行してきたということは、君が曹操と言う訳でもないよね。この時期なら夏候惇とか」
「夏候元譲は私だ」
「俺は、曹孟徳の弟の仲徳です。姉から先行隊を預かってきました」
「なあ、愛紗、雛里。どうやら官軍みたいだから、別に秘密にする程でもないんじゃないかな」
「あわわ…」「しかたないですな」

「西側にいま俺たちが加勢している公孫賛の軍がいて、北と南と西から同時に攻撃する事になっているんだ」
春「それでは、東が空いているではないか」
愛「それが狙いだ」
秋「そうか、そういう事なのよ。賊の首領がいるという情報。そちらもつかんでいるのね」
仲「そうか、城を落とす事が狙いじゃない。東門から城外に逃げ出してくれれば、むしろ首領の首を取るチャンスだ。
  公孫賛軍なら確か、自慢の白馬隊がいる筈だから、追撃戦は得意だろうし」
春「おい、それは少しまず…」(ボソ)「こちらにもチャンスかもしれないわよ。どうせ、華琳様の本軍は待たないと」

「たいした策士がついているようですね。(まだ孔明はいない筈なのに)」
「あわわ…照れます」
「この子は?」
そういえば、もう1人「あわわ」などと呻(うめ)いている、内気そうな小柄な少女を従えていた。
「鳳士元。うちの軍師の1人だ」
「鳳統?あの「伏竜鳳雛」の?それに1人と言う事は他にも」
「もう1人の諸葛孔明は南だよ」
「張飛も向こうですね。なるほど、カリスマとなる主将格、戦況を操る軍師、実戦を率いる武将、
 それぞれ2人ずついるなら、2手に分かれる作戦も出来る訳だ」
「(ていうか、なんで「伏竜鳳雛」がこの時期にいるんだよ。こっちだって、桂花や季衣たちがもう揃ってはいるけど。
 こうなると、下手な策は裏をかかれるじゃないか)」
「仲徳」「仲徳、何を1人でうなずいている」
「あ、いや、結局のところ、俺たちにはしっかり報告出来る様にして、華琳姉さんを待つしかないよ」
(確かに「兵は拙速を聞く」かも知れないな。この場合も。やれやれ)

――― ――― ――― 

曹魏軍を多少、気にしつつも、北郷一刀たちは所定の攻撃準備をした。合図を待つ。
「(それにしても、曹仲徳とかいったな、曹操の弟については、俺もあまり知識が無いし、
 それにやたら劉備軍について詳しいし、もしかして、アイツも?でも、はっきり弟だと言い切ったけど……)」
「ご主人様」
「え?」
「合図です」

西門の前に、公孫軍の現在、客将扱いの趙雲が進み出て、大音声に名乗りを上げる。
犠牲を出してまで、無理に城門を破るまでも無いのが、本来はこの策なのだが、
こちらが本気で破るつもりだと、敵には思ってもらわなければならない。
だから、正々堂々と名乗りを上げて、一旦、門外の攻撃軍に注意を引き付ける。
それが両側で連携する別働隊への合図にもなる訳だ。それで…

「…正々堂々じゃなかったのかよ?華蝶仮面ってのは何だ?」
だが、確かに注意は引き付けた。結果として、毒気を抜かれた様な隙を逃さず、南北からの攻撃も仕掛けられる。
結果として、戦いの出足でワンテンポ遅れた、そのまま主導権を奪い返せず、
そのまま3面のどれかを破れるかもしれない、と見えた時。

東門が中から弾(はじ)ける様に開けられ、奔流のごとく、黄巾軍が流れ出した。
そう、彼らにとって、ここはあくまでただ占領した城。
そんなものより大事な首領を抱えているからこそ、有効な戦術。
「やったな」
西門からやや離れた本陣で指揮をとっていた公孫賛(白蓮)は自ら「白馬義従」を率いて追撃しようとした。ところが…

――― ――― ――― 

「ええい、我々も追撃するぞ。張角の首を持っていけば、華琳様も喜ぶ」
「姉さん、落ち着いて……あ?」
何と、引き返してきた。
「何だ、策を見破られたのか?」
「いや違うよ、春蘭さん。あの後ろ」
引き返してきた、というよりもまるで、逃げ込んで来た黄巾軍の後から、行軍太鼓も堂々、別の官軍がやってくる。

――― ――― ――― 

「(絶句)」「(絶句)」「(絶句)」
流石に「伏竜鳳雛」をしても、こんな展開は予想し切れなかった。
「…とりあえず…」
本軍に合流して出直すしかない。

――― ――― ――― 

「一別以来、久しいのう」
なんと、あの将軍朱儁の官軍だった。
愛想がいい。潁川では、窮地を救われた上に、手柄を譲られてるのだから。
それに、前回より増えた援軍がもうすぐ到着すると聞かされれば。

「あれからのう」
将軍皇甫嵩の軍と合流したり、また南から1軍を呼び寄せたりしながら、黄巾の「主力」と戦ってきた。
「ところがのう、皇甫嵩めとは意見を相違するようになった」
どうも「ここ」には賊の首領はいないのではないか。
そんな折り、南から新たに加わった1軍が面白い情報をつかんだ。
その軍は、元来、長江の海賊退治で名を上げたのであり、長江の水運関係からの情報に通じている。
「(なる程、この南陽郡にも、長江の支流と水運は通じているからな)」
そこに、公孫賛の来訪が伝えられた。

――― ――― ――― 

「水蓮様は、表に出て、他軍と応対なさらないのですか?」
「そんな事は朱儁にさせておけばいい。近い内に、戦いで我らの名は上げられる」
「確かに。しかし、出来るなら長江の水と船の上で戦いたかったですな」
「祭らしいわね」

――― ――― ――― 

いまだ、無官の「私軍」に過ぎないため、他の官軍との挨拶は、白蓮に任せて、引き上げてきた陣営で待機していた。
とりあえず、やっている事と言えば、
落ち込む「はわあわ」を桃香が慰(なぐさ)めているとか、憤慨する愛紗を一刀が宥(なだ)めているとか。

…  …  …  …  …  

やがて、白蓮が戻ってきて、話を聞くことが出来た。
やってきたのは将軍朱儁の官軍だと聞いても、大して変わった話でもない。
ただ、朱儁と一緒にやってきたのが、孫呉の軍と聞いて、一刀だけは内心驚いた。
そう「天の国」の者だけが、知っている。劉備と曹操と孫呉が出会う意味を。

――― ――― ――― 

数日後、曹操(華琳)の本軍も到着し、朱儁が他軍の将を招いて、軍議が開かれた。
とはいえ、指揮系統が全く異なる軍が、4軍(劉備軍はあくまでも公孫軍の1員として)も集まっているのだから、
結論は落ち着くところに落ち着いた。
4軍がそれぞれ、東西南北の4門を担当して、同時に一斉攻撃する。
ただ、同時攻撃で無ければならないため、明朝、夜明けを合図にと取り決められた。
さらに、どの軍がどの門を担当するかも、それぞれ、現在、陣営を置いている近くの門で、というところに落ち着いた。

・  ・  ・  ・  ・

軍議から白蓮が戻るまで、あてがわれた天幕で、自軍だけの軍議、というより、
彼ららしく「円卓」よろしく輪になって、和気藹々とした話し合いを続けていた。
そこへ、闖入者があったのである。
「私は曹孟徳。いずれこの名が大陸に轟(とどろ)くことになるわ」
「(確かにそうなるだろうけど……)」

この時、華琳もとい曹操が何をしようとしていたか。
「劉備の理想を、自らの正義に基づいて、偽善と決め付けようとした」
「関羽の主君に相応しいのは自分だと宣言し、引き抜こうとした」
後年の史実からさかのぼって、そうした推測をするものもいるが、
実際には、彼女が何かを実行する前に、さらに闖入者があったのである。

「ふうん、これが「天の御遣い」君なの」
トースト色の肌をした、桃香たち北方出身者とは、また違う魅力を持った美少女。
「水運を握っていると、こんな時代でも、結構、情報は早いのよ。管路の占いとか、幽州に出現した光り輝く少年とか、
 いろいろ噂は聞いていたけどね」
「ええと、君は…」
「孫策伯符。今はまだ母上の跡継ぎでしかないけど、すぐにこの名も轟く様になるわ」
「え…(曹操の次は孫策かよ)」

「それにしても、お互い小勢力からの旗上げだと、ハク付けに苦労しているみたいね」
そうなると「天の御遣い」とは良い所に目を付けたと言うべきか。それに…ふふ…
どうせ、女なら自分でいずれ跡継ぎは生む事になるけど、子種は選びたいしね。
天の落とし子なら、これもハク付けになるわね。

「な……?!」
一刀を除く、同志5人が一斉に赤くなった。
「(おいおい、過剰反応するなよ。孫策の言う事も言う事だけど)」

「雪蓮~~」
またも闖入者。ここで、雪蓮もとい孫策は母親に引きずられて退場。
華琳も白けたか、それ以上は無言で立ち去っていった。

劉備玄徳。曹操孟徳。孫策伯符。三国の英雄たちの、何ともこれが1stコンタクトだった。

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ちなみに、孫権は呉でお留守番です。

それでは続きは次回の講釈で。
次回は講釈の6『本道を失い黄天はまさに死すべし 義軍は功を誇らず北へ還る』
の予定です。


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