『中国での名前の付け方』2文字の「名」や「字」の場合、兄弟では1文字を共通とするのは、ごく普通だったようです。一方、親の「名」にある文字を使うことは、大きな不孝とされていました。同じ理由で、皇帝などは、即位前に余り使わない漢字に改名したりしています。(「益徳」というのは、あくまでも、「玄徳」は主君である前に「兄」だったから)そうなると、大失敗をやりました。華琳の祖母、華恋。これについては、真名はあくまでも「字」のような表向きの名ではなく、本来、そうした「礼」の場では秘密の名であるという事で、この「外史」でのつじつまは合わせる事にしました。(冷汗)そういうわけで、孫堅の真名に「蓮」が付いているのも、ありとします。… … … … … オリキャラの『真名』設定孫堅=水蓮長江に近い、水の豊かな地方なら、女の子に「蓮」にちなんだ名前を付けるとき、日本のように、水生の「蓮の花」を連想するでしょう。ちなみに「白蓮」というのは、特に中国北方では、地上の低木の花です。--------------------------------------------------------------------------------††恋姫無双演義††講釈の5『役萬姉妹は大吉を歌い 英雄達は賊の城を前に集う』彼にはデジャヴがある。「前世」で学生だった頃、アイドルの追っかけをやっていた悪友に、誘われたことがある。そのときのデジャヴが、眼前に出現していた。いや、アイドルのコンサートには間違いない。電気を使った文明の利器が無い以外、全て変わらない。ただ、その舞台センターに、輝く「スター」というのが……『数え役萬☆しすたぁず』それが、そのアイドルのユニット名。「みんな大好きーー!」>>><<<<<<<<<<<<<「「「てんほーちゃーーーーん!」」」 「みんなの妹」>>><<<<<<<<<<<<<「「「ちーほーちゃーーーーん!」」」「とっても可愛い」>>><<<<<<<<<<<<<「「「れんほーちゃーーーーん!」」」――― ――― ――― 「仲徳、どうした」「春蘭さん。実は…」ただのアイドルとして、帝都に巡業に来た時の事を思い出していた、とうちあけると「これだから、男と言う動物は」と書いてある顔をされた。「いい加減にしておれよ。そうでなくとも、足手まといの新参者を抱えているのだ」「(それも言い過ぎ。やれやれ)」現在の曹操軍の内部事情。兵の大部分は降参したばかりの青州兵、それを率いる武将や、主将を補佐する文官、軍師は潁川で仕官したばかり。いや、彼女たちが無能な訳ではない。むしろ、この後漢でも優秀な軍師や、雄将が揃っている。ただ、華琳もとい曹操を主将として、1つの軍というシステムとして実戦を経た、その経験が皆無では、チームワークに問題があって当然。沛国以来の、仲徳や夏侯姉妹の様にいくわけもない。だからこそ、実戦経験を求めて、出陣して来たのである。しかし当面、行軍速度に問題が出ているのも、現実である。「仕方ないわね。あなたたちが先行しなさい」「承知」「ただし、あくまで偵察よ。本軍も来ないうちに先走って戦わないで。特に春蘭」春「(絶句)」秋「(微笑)」仲「(やれやれ)」つまりはこういう事だ。どうあれ、一郡の主城に、敵の首領を担いだ本来の黄巾党の、その意味では精鋭が篭っているなら、曹夏侯の私兵程度の軍勢で落とせるものでもない。そもそも、潁川の本軍を挙げて戦うのでなければ、出戦の意味が1つ失われる。その同じ事情で、主将の華琳自身は、本軍の手綱を離せない。だから、仲徳たちが、とにかく先行して、状況を把握する。もう1つ、潜入させてある間者は「孫氏(用間篇)」にいうところの「生間」である。曰く、「生間は反り報ずる(生間は返ってきて、報告する)」「間より親しきものはなし(間者ほど個人的信頼が重要なものはない)」だから、脱出してくる間者を収容して、報告を受ける。その情報を元に、本軍の到着を待って、作戦を行う。… … … … … 「(ぶつぶつ)拙速を聞く、ともなかったか」「それって、準備も無しに戦う言い訳でもないと思うけど」・ ・ ・ ・ ・荊州南陽郡城、その北側の城壁が見えてきた。帝都洛陽には及ばずとも、郡という広域を支配する主城。現時点では曹操軍の拠点、許昌も同格の郡城。流石にそれなりの城である。あの中に敵の首領がいるのか。それは、脱出してきた間者の報告で確定した。城内では『数え役萬☆しすたぁず』のコンサートが開催されている。その会場まで潜入してきたという。影武者、となどということはありえない。それは、1度でもコンサートを経験すれば実感できる。春「そうか、それなら早く本軍が来ないか」秋「(苦笑)」仲「(やれやれ)」… … … … … とりあえず、本軍を待たなければならない以上、兵を伏せなければならない。村人の逃げ去った、郡城郊外の村。このあたりが適当かな、と考えた時、自分たち以外の軍勢の存在に気が付いた。「曲者」「待って。とにかく正体を確かめる方が先よ」官軍にしては、軍装が揃っていない。しかし、少なくとも黄巾は付けていない。「何者か」逆に誰何された。なんか、この小勢には不釣合いかもしれない美丈夫。前に出ようとする春蘭を秋蘭が止め、仲徳が代表で出る。姉の七光りでも、この場合は、主将の代理だ。「我々は、予州潁川郡太守の討伐隊に先行してきている。あなた達は何者。賊とも見えないけど」「我々は、民人のため、大義のため立ち上がった義軍。官命を受け討伐に来た軍の加勢として、 これより賊の篭る城を攻める」「雑軍が手柄を取る気か」といいかねない春蘭の口を秋蘭が塞いでいる。「(やれやれ。姉さんのことだから、この可能性も考えているだろうけど)」「君がこの軍の主将?」「いや、私は主たちの剣に過ぎない」「下っ端が相手になるか、こちらは一応、主君の代理だぞ」「ほう、この関雲長を下っ端とな」「いま何だって?もしかしてあの関羽」春・秋「?」そして、関羽は「おや」という反応。周りの反応に「しまった」と思いつつも、仲徳は、大急ぎで事態を収拾しようとする。「つまり、君が関羽という事は、君たちの主将は劉玄徳なのかな」「ほう、わが義軍の名も予州あたりまで届く様になったか」よし、間違いない。とにかく、劉備なら、華琳姉さんに比べれば「お人好し」だし、まだ孔明もいないはずだから、何とでも出し抜きようもあるだろう。いくら関羽がいても(おそらく張飛もいるだろうけど)孔明の作戦も無しで、この頃の劉備軍の小勢力では、あの城は落ちまい。春蘭さんや秋蘭さんには、たまたま情報を持っていたと後で言っておこう。この頃の劉備たちは無名だから、そんな小勢力の事を良く知っていたな、位は言われるだろうけど。「仲徳」「ああ、秋蘭さん、つまりね…」その時、関羽の後ろから、誰か現れた。仲徳と同じ年頃くらいの少年、微妙にデジャヴのある、この時代では目立つ服装をしている。関羽が道を譲ったという事は、もしかして劉備?女の子じゃないのか?華琳たちがそうだったから、かえって、劉備(?)が女の子じゃないのが意外だったが、とにかく話しをつけておこうとしたのだが。「お初にお目にかかります。劉玄徳殿」「桃香なら向こう側だけど」「え?」「この方は、われが仰ぐ「天の御遣い」様だ」「ええと、劉備じゃないなら、誰です?関羽の主君ですよね」「まあ、一応桃香とはパートナーだけど」「ええと、その桃香と言うのが」「そうか、本人が会ってもいない人に真名で言うべきじゃないね」(初対面の主将代理とかにタメ口というのもな、「天の御遣い」らしく振舞うためとはいえ)「劉備玄徳だよ」「やっぱり、劉備も女の子なんですね。そしてあなたとはパートナーだと。それで、今は別行動?」(それで張飛もここにいないのか)「まあ、その前に君たちは。潁川太守の軍だといったみたいだけど。その太守というのは」春「曹孟徳様だ」(傲然(ごうぜん))「あの曹操?先行してきたということは、君が曹操と言う訳でもないよね。この時期なら夏候惇とか」「夏候元譲は私だ」「俺は、曹孟徳の弟の仲徳です。姉から先行隊を預かってきました」「なあ、愛紗、雛里。どうやら官軍みたいだから、別に秘密にする程でもないんじゃないかな」「あわわ…」「しかたないですな」「西側にいま俺たちが加勢している公孫賛の軍がいて、北と南と西から同時に攻撃する事になっているんだ」春「それでは、東が空いているではないか」愛「それが狙いだ」秋「そうか、そういう事なのよ。賊の首領がいるという情報。そちらもつかんでいるのね」仲「そうか、城を落とす事が狙いじゃない。東門から城外に逃げ出してくれれば、むしろ首領の首を取るチャンスだ。 公孫賛軍なら確か、自慢の白馬隊がいる筈だから、追撃戦は得意だろうし」春「おい、それは少しまず…」(ボソ)「こちらにもチャンスかもしれないわよ。どうせ、華琳様の本軍は待たないと」「たいした策士がついているようですね。(まだ孔明はいない筈なのに)」「あわわ…照れます」「この子は?」そういえば、もう1人「あわわ」などと呻(うめ)いている、内気そうな小柄な少女を従えていた。「鳳士元。うちの軍師の1人だ」「鳳統?あの「伏竜鳳雛」の?それに1人と言う事は他にも」「もう1人の諸葛孔明は南だよ」「張飛も向こうですね。なるほど、カリスマとなる主将格、戦況を操る軍師、実戦を率いる武将、 それぞれ2人ずついるなら、2手に分かれる作戦も出来る訳だ」「(ていうか、なんで「伏竜鳳雛」がこの時期にいるんだよ。こっちだって、桂花や季衣たちがもう揃ってはいるけど。 こうなると、下手な策は裏をかかれるじゃないか)」「仲徳」「仲徳、何を1人でうなずいている」「あ、いや、結局のところ、俺たちにはしっかり報告出来る様にして、華琳姉さんを待つしかないよ」(確かに「兵は拙速を聞く」かも知れないな。この場合も。やれやれ)――― ――― ――― 曹魏軍を多少、気にしつつも、北郷一刀たちは所定の攻撃準備をした。合図を待つ。「(それにしても、曹仲徳とかいったな、曹操の弟については、俺もあまり知識が無いし、 それにやたら劉備軍について詳しいし、もしかして、アイツも?でも、はっきり弟だと言い切ったけど……)」「ご主人様」「え?」「合図です」西門の前に、公孫軍の現在、客将扱いの趙雲が進み出て、大音声に名乗りを上げる。犠牲を出してまで、無理に城門を破るまでも無いのが、本来はこの策なのだが、こちらが本気で破るつもりだと、敵には思ってもらわなければならない。だから、正々堂々と名乗りを上げて、一旦、門外の攻撃軍に注意を引き付ける。それが両側で連携する別働隊への合図にもなる訳だ。それで…「…正々堂々じゃなかったのかよ?華蝶仮面ってのは何だ?」だが、確かに注意は引き付けた。結果として、毒気を抜かれた様な隙を逃さず、南北からの攻撃も仕掛けられる。結果として、戦いの出足でワンテンポ遅れた、そのまま主導権を奪い返せず、そのまま3面のどれかを破れるかもしれない、と見えた時。東門が中から弾(はじ)ける様に開けられ、奔流のごとく、黄巾軍が流れ出した。そう、彼らにとって、ここはあくまでただ占領した城。そんなものより大事な首領を抱えているからこそ、有効な戦術。「やったな」西門からやや離れた本陣で指揮をとっていた公孫賛(白蓮)は自ら「白馬義従」を率いて追撃しようとした。ところが…――― ――― ――― 「ええい、我々も追撃するぞ。張角の首を持っていけば、華琳様も喜ぶ」「姉さん、落ち着いて……あ?」何と、引き返してきた。「何だ、策を見破られたのか?」「いや違うよ、春蘭さん。あの後ろ」引き返してきた、というよりもまるで、逃げ込んで来た黄巾軍の後から、行軍太鼓も堂々、別の官軍がやってくる。――― ――― ――― 「(絶句)」「(絶句)」「(絶句)」流石に「伏竜鳳雛」をしても、こんな展開は予想し切れなかった。「…とりあえず…」本軍に合流して出直すしかない。――― ――― ――― 「一別以来、久しいのう」なんと、あの将軍朱儁の官軍だった。愛想がいい。潁川では、窮地を救われた上に、手柄を譲られてるのだから。それに、前回より増えた援軍がもうすぐ到着すると聞かされれば。「あれからのう」将軍皇甫嵩の軍と合流したり、また南から1軍を呼び寄せたりしながら、黄巾の「主力」と戦ってきた。「ところがのう、皇甫嵩めとは意見を相違するようになった」どうも「ここ」には賊の首領はいないのではないか。そんな折り、南から新たに加わった1軍が面白い情報をつかんだ。その軍は、元来、長江の海賊退治で名を上げたのであり、長江の水運関係からの情報に通じている。「(なる程、この南陽郡にも、長江の支流と水運は通じているからな)」そこに、公孫賛の来訪が伝えられた。――― ――― ――― 「水蓮様は、表に出て、他軍と応対なさらないのですか?」「そんな事は朱儁にさせておけばいい。近い内に、戦いで我らの名は上げられる」「確かに。しかし、出来るなら長江の水と船の上で戦いたかったですな」「祭らしいわね」――― ――― ――― いまだ、無官の「私軍」に過ぎないため、他の官軍との挨拶は、白蓮に任せて、引き上げてきた陣営で待機していた。とりあえず、やっている事と言えば、落ち込む「はわあわ」を桃香が慰(なぐさ)めているとか、憤慨する愛紗を一刀が宥(なだ)めているとか。… … … … … やがて、白蓮が戻ってきて、話を聞くことが出来た。やってきたのは将軍朱儁の官軍だと聞いても、大して変わった話でもない。ただ、朱儁と一緒にやってきたのが、孫呉の軍と聞いて、一刀だけは内心驚いた。そう「天の国」の者だけが、知っている。劉備と曹操と孫呉が出会う意味を。――― ――― ――― 数日後、曹操(華琳)の本軍も到着し、朱儁が他軍の将を招いて、軍議が開かれた。とはいえ、指揮系統が全く異なる軍が、4軍(劉備軍はあくまでも公孫軍の1員として)も集まっているのだから、結論は落ち着くところに落ち着いた。4軍がそれぞれ、東西南北の4門を担当して、同時に一斉攻撃する。ただ、同時攻撃で無ければならないため、明朝、夜明けを合図にと取り決められた。さらに、どの軍がどの門を担当するかも、それぞれ、現在、陣営を置いている近くの門で、というところに落ち着いた。・ ・ ・ ・ ・軍議から白蓮が戻るまで、あてがわれた天幕で、自軍だけの軍議、というより、彼ららしく「円卓」よろしく輪になって、和気藹々とした話し合いを続けていた。そこへ、闖入者があったのである。「私は曹孟徳。いずれこの名が大陸に轟(とどろ)くことになるわ」「(確かにそうなるだろうけど……)」この時、華琳もとい曹操が何をしようとしていたか。「劉備の理想を、自らの正義に基づいて、偽善と決め付けようとした」「関羽の主君に相応しいのは自分だと宣言し、引き抜こうとした」後年の史実からさかのぼって、そうした推測をするものもいるが、実際には、彼女が何かを実行する前に、さらに闖入者があったのである。「ふうん、これが「天の御遣い」君なの」トースト色の肌をした、桃香たち北方出身者とは、また違う魅力を持った美少女。「水運を握っていると、こんな時代でも、結構、情報は早いのよ。管路の占いとか、幽州に出現した光り輝く少年とか、 いろいろ噂は聞いていたけどね」「ええと、君は…」「孫策伯符。今はまだ母上の跡継ぎでしかないけど、すぐにこの名も轟く様になるわ」「え…(曹操の次は孫策かよ)」「それにしても、お互い小勢力からの旗上げだと、ハク付けに苦労しているみたいね」そうなると「天の御遣い」とは良い所に目を付けたと言うべきか。それに…ふふ…どうせ、女なら自分でいずれ跡継ぎは生む事になるけど、子種は選びたいしね。天の落とし子なら、これもハク付けになるわね。「な……?!」一刀を除く、同志5人が一斉に赤くなった。「(おいおい、過剰反応するなよ。孫策の言う事も言う事だけど)」「雪蓮~~」またも闖入者。ここで、雪蓮もとい孫策は母親に引きずられて退場。華琳も白けたか、それ以上は無言で立ち去っていった。劉備玄徳。曹操孟徳。孫策伯符。三国の英雄たちの、何ともこれが1stコンタクトだった。 --------------------------------------------------------------------------------ちなみに、孫権は呉でお留守番です。それでは続きは次回の講釈で。次回は講釈の6『本道を失い黄天はまさに死すべし 義軍は功を誇らず北へ還る』の予定です。