オリキャラの『真名』設定馬良=胡蝶=こちょう「白眉」から、どうしても眉にちなんだ名前を考えてしまいました。中国では、女性の眉をほめる場合「峨眉(がび)」と言います。だけど女の子には「峨」は気の毒なので。法正=狭霧=さぎり本文中に出て来る通り「蜀」出身者の代表なので、雲とか霧とかにちなんだ名前にしようと思いました。「蜀の犬はたまに太陽を見ると吼(ほ)える」と他国で悪口を言うとか、言われますが、しかし、水が豊かで水田での稲作には有利です。「天府の国」の所以(ゆえん)です。--------------------------------------------------------------------------------††恋姫無双演義††講釈の15『益州侵掠(その1)』~豪天砲VS八陣図~後漢13州の1つ益州の、人口・産業etc.からも主要部である四川盆地を潤(うる)おした長江は、東隣(とうりん)の荊州へ流れ出る。今度は、荊州の領域を南北に分けながら、さらに東の揚州へ。その揚州との境を手前に、北西から漢水が合流する。その漢水を挟(はさ)む「双子都市」の片方、襄陽が荊州の主城であり、もう片方の樊城の郊外に、現在、劉備軍は駐屯していた。――― ――― ――― 益州、特にその主要部の四川盆地に、後漢の他の地方から入るルートは、2つしかないといっていい。北の漢中盆地、そこでは現在「五斗米道」とやらが邪魔である。あと1つは、東の荊州から「三峡」と呼ばれる。長江の峡谷をさかのぼる。前任の益州州牧、劉焉は、現在「三峡」の谷口の手前、公安と名付けられた土地にいた。――― ――― ――― その劉焉にあわてて追い付くよりも、いましばらく、ここで待機するよう「白眉」馬良は、劉備軍に勧(すす)めていた。「いま、足踏みしている劉焉の状況が、急に好転するわけでもありません」いや「白眉」だけではない。荊州「名士グループ」からの客人が、入れ替わり訪問してきていて「友達の輪」状態になっていた。北郷一刀が知る「正史」で「蜀」に仕えた、軍師・文官の内、荊州出身者の面子は、ほぼ揃ったと見ていい。無名の兵たちも集まっている。元々、官命で兵を集めるのでも、彼女たち「名士」の地域社会への影響力は必要なぐらいだから。逆に、地元「名士」からの仕官は兵士も連れてくる。その兵士たちの調練だけでも、かえって待機する必要があるくらいだった。「それにしても」水鏡女学院そのものの人脈とか、そこでの伏竜鳳雛の評判とかの影響力もすごいけど、やってくる「名士」を仕官するつもりにさせてしまう、桃香の魅力もさすが劉備。「白眉」なんか、もうすでに「真名」を許している。「うん。胡蝶ちゃんが勧めるなら。朱里ちゃんや雛里ちゃんも賛成みたいだし」いま1つ、名士同士の“ネットワーク”を通じて、荊州と益州の「名士グループ」が連絡を取り合っている。その結果次第で、益州に入る意味自体が変わるかもしれない。… … … … … やがて、待ち人が現れた。法正孝直益州四川「名士グループ」において、劉備を迎え入れた「グループ」を代表する人物。「正史」では、蜀侵攻の途中で急死した鳳統(無論、一刀はこのイベントを回避するつもり)と交替して、孔明と軍師コンビとなる。その法正が現れた。だけではなく、狭霧という「真名」を桃香に許した。つまり、益州の側に、劉備を主として迎え入れる勢力ができたという事。「四川には、雲や霧にちなんだ「真名」は珍しくありません」 “蜀の犬は太陽に吼える”などと、悪口も言われますが、それだけ水が豊かで、農耕には有利なのです。益州は「天府」です。その狭霧からあかされた益州の現状。劉焉のさらに前任の益州刺史が戦死した後、その補佐官だった賈龍(かりょう)が有志を集めて、治安を維持している。だが、その賈龍の元に集まった者たちの中には、劉焉の本心を疑うものがいて、「三峡」の出口からすぐ上流の巴郡に頑張っていて、劉焉を通さない。「これを帝都に報告しては流石に州牧は交替でしょう」しかし、劉備軍に関しては、狭霧もとい法正次第、といって送り出した「グループ」も出来ている。ただし一方では、劉焉も劉備も侵略者には違いないという意見もある。特に巴郡がそうで、ここでの1戦はありうる。いま1つ、劉焉を足踏みさせていたのは、荊州水軍の動きだった。「三峡」をさかのぼるにも、ある程度以上の兵力を運ぶためには、水運に頼るしかない。荊州軍閥の長江水軍の協力が不可欠なのだ。劉備軍のように荊州「名士グループ」での協力者がいなくては、荊州州牧、劉表の協力が受けられなかったのだ。しかし、劉備軍のためには、水鏡先生だけではなく、荊州「名士グループ」から多くの口添えがあった。それこそ、劉表が変に疑いを持てば、益州ではなく荊州を乗っ取られるかと思う程。それぐらいなら、この程度の協力はした方がいいだろう、と言う気にはなった。この程度とは、つまり、荊州水軍の「基地」がある長江本流沿いの江陵で乗船し、益州側の法正(狭霧)たちが最低限、上陸中の安全は保障している地点まで運んで、船団は引き返す。その程度なら。この2つの条件が揃い、待機は終わった。・ ・ ・ ・ ・その出立は、前回よりもさらに多くの、さらに名残惜しげな見送りを受けた。前回は双子都市の樊城から北東へ向かったが、今回は、襄陽からさらに南の江陵へ。いつのまにか「1個旅団」程度の規模になった軍列が南下していった。途中、さらに調練を繰り返しつつ、南へ道をとる。… … … … … その進軍の中で、北郷一刀は1人、複雑な気持ちだった。この道、襄陽から江陵への道は「正史」では、劉備軍、最大の危機を迎えた道。その危機ゆえに、趙雲や張飛には一代の「見せ場」になった道。「ご主人様、どうされたのですか」流石に変に思われたか。「なあ、桃香。自分の子供は可愛いよな」「?!」何を考えたか、真っ赤になっていた。・ ・ ・ ・ ・しかし、曹操軍に追撃される事もなく、劉備軍は無事に江陵へ到着し、乗船した。船団は、岸沿いの公安にいる劉焉を“スルー”して「三峡」をさかのぼって行く。何事も無く、雄大な峡谷をくぐり抜け、やがて出迎えのため戻っていた、狭霧と同志たちの待っている地点まで来た。・ ・ ・ ・ ・「残念です。巴城の頑固(がんこ)者たちは説得できませんでした」いきなり、城攻めか。それも郡城クラスの。敵にも味方にも犠牲は出るだろうし、後に恨みを残すだろうな。もっとも、軍師たちに策がない事もない。「あうぅ…まずは何とか野戦に持ち込みます。そして…」「はうぅ…「八陣図」を使わせて下さい」あの陣形は本来、完全に包囲して殲滅(せんめつ)するための陣形です。いままでは、兵力不足でできませんでしたが、完全な「八陣図」を実現するだけの兵力が今はあります。「だめよ。殲滅なんて。私たちは「国づくり」のために来たのよ」「そうです。だから、包囲が完成した時点で、桃香様が説得して降伏勧告をして下さい」そこで、次は野戦に引っ張り出す手段になった。後に恨みを残さないための包囲戦法なのだから、あんまり、えげつない挑発もできない。「正攻法で行きましょう」… … … … … 巴郡郡城、その前面に劉備一党が進み出た。「天の御遣い」北郷一刀、劉備もとい桃香、愛紗もとい関羽、鈴々もとい張飛、朱里もとい孔明、雛里もとい鳳統。ズラリと揃ったが、楼門上からの反応は「何だ。小娘を揃えて」年齢不詳の美熟女。なる程、この面子では「小娘」揃いにしか見えないだろう。さらに、一刀と桃香が同志たちより前に出て、説得を始めた。……自分たちは「侵掠」に見えるかもしれない。しかし、益州の人々と協力してこの「蜀」にいい国をつくりたい……この説得に応じて開城してくれれば、最善。しかし、巴郡の将、厳顔は「無礼にも侵略してきたのはそちらだ」と言い切り、「天の国」なら“パイルバンカー”とかにしか見えない、巨大きわまる弩(ど)(ボ―ガン)を持ち出した。「ここまでです。鈴々ちゃんを前に出して、後退して下さい」一番「小娘」の鈴々が前に出て、自慢の「豪天砲」が至近に着弾しても、なお闘志満々なのを見て、厳顔(真名桔梗)は「ほう」とみた。元々、益州の武将中でも第1の「老練」であり、男女を問わず「若い」武将たちの「先輩」との自覚が常にある。だからこそ、劉備軍一党を「小娘」と見たのだし、特に鈴々を見ればどうしても、その感がある。そもそも「酒に酔い、戦に酔う」などと公言する性格でもある。それでも「老練」の経験値が「これは挑発」だと警告している。むしろ、微笑して見守っていたが、身の丈にあわぬ(?)蛇矛をふりまわす張飛をみているうちに、ムズムズしてきた。いや、桔梗より城内の部下たちが先に体温が上がってしまった。ついに出陣した、桔梗率いる巴城勢に対し、劉備軍は円陣らしい「老練」な桔梗にも見慣れない陣形をしいた。その前面と左右にそれぞれ、3将が直属の隊を率いて遊撃の位置につく。前曲の星には、相手を「八陣図」に誘導する役目だと言ってはあった。ところが、桔梗の「豪天砲」が何発も着弾し続けると、星自身はともかく、兵士たちがたまりかねる。まんざら演技でもなく「八陣図」の中へ逃げ込んだ。それと同時に、愛紗と鈴々のそれぞれの騎兵が左右から迂回し、後方から包囲にかかる。と歴戦の桔梗は見た。ならば、あえてその「包囲」に逆(さか)らわず、円陣をしく敵の本軍に一気に突入する。体温が上がっている部下たちの状態からいっても、ここで敵の本陣を1点突破すれば、勝負はそれで決まる。そこまで行かなくても、勝って城に帰れる。そう決断しただけでも、流石に「老練」だった。だが、その「円陣」の正体が、前代未聞だったのである。敵の本陣があり、主将がいるはずの円陣の中央。しかし、まるで誘い込まれたようにポッカリと空いた空間に飛び出したかと思うと、周囲の敵が一斉に押し寄せてきた。歴戦の桔梗ですら経験に無かった、完全な包囲。こうなってしまっては、一番外側の味方以外、周囲から押し込まれてくる味方が邪魔で戦う事も、陣形を組みなおす事もできない。桔梗本人にしても「豪天砲」のような射程の長い武器は、どうしても放つ動きが大きくなる。周りに押し込まれてくる部下の中でそんな大きな動きができない。一方、包囲している側は、相手の周囲に沿って味方が展開している分、効率よく戦える。内側に追い込みつつ、外側から順に殺していく事ができる。だが、「もうやめてください!」私たちは、人々が笑顔で暮らせる国をつくるために来ました。この「蜀」の国を、力の無い人たちが安心して暮らせる国にするために、あなたたちの力を貸してください。お願いですから、もう降参して下さい!!--------------------------------------------------------------------------------中途半端のようですが、今回はあくまでも(その1)です。それでは続きは次回の講釈で。次回は講釈の16『益州侵掠(その2)』~蛮王は貪(むさぼ)り食(く)らう~の予定です。