※話の中の水の国は原作の中のものとは全く関係ありません。オリキャラも多数出る予定です。”コンコン”火影執務室の扉を叩く音がする。それに気付き、広げた書類に向かっていた手を止め、応える。「失礼しますってばよ~!!」元気良く入った来たのは、下忍の<うずまきナルト>。お馴染みの、オレンジ色の衣装に身を包み、忍びらしくもなくズカズカと部屋へ入ってくる。そんなナルトを呆れながら見つつも、火影はとっとと用件を伝える事にした。「お前に依頼じゃ」『 死神 の 涙・特別編~陰謀うず巻く水の国の冒険~ 』木の葉の森を疾走する影が三つ。時折木漏れ日が彼等を反射しながら、樹から樹へと移ってゆく。「・・なぁ、ナルト。オレ達はどこへ向かってんだ?」不意に掛けられたシカマルの台詞には、何処か疲れた感があった。その隣には、黙っているがその珍しい白い眼は確りとナルトに向けられている。其れも其の筈。彼らがそう思うのは仕方がない事だろう。時を遡ること数刻前――――――――「―――はぁッ!?オレに依頼ってば??!」火影執務室に響き渡る大声に、火影は耳を指で塞ぎつつ、その声の主を迷惑そうな顔で見た。当の本人はなんのその、しれっとしている。けれども、その蒼の瞳はマジマジと火影を見ていた。どうやら、表も素も関係なく驚いたらしい。そんな様子を少し可笑しく思いながらも、火影は真面目腐って事実を伝える。「うむ。ここに依頼書が来ておる」キセルで手紙らしき紙切れをスッとナルトの前に差し出した。その紙切れを胡散臭そうに受け取りながらも、段々とナルトの眼が僅かにだが見開かれるのを火影は見た。「・・おい、これって・・」「そうじゃ、水の国のスイ殿からお前宛の密書じゃよ」ナルトは手紙の最後にある印璽を見やる。間違えようもなく、それは水の国の国主のものであった。「”国主の息子として”ってことか」「どうやらそのようじゃの」肩を竦め、戯けるナルトににやにやと、何か含んだ薄ら笑いを浮かべる火影。何処か楽しんでいる節があるのを見咎め、ナルトは軽く睨みやる。「して、どうする?行くのじゃろ」「はぁ・・・しゃーねーだろ。御丁寧に、乗る船まで書いてやがる」断らない事を前提とした内容にウンザリしながら、ナルトは大きく溜め息をついた。―――そして、その翌日・・。何も知らないネジ達を引きつれ、ナルトは木の葉の里を旅立ったのである。ネジとシカマルの二人はというと・・・朝も早くにやって来たナルトに叩き起こされると、慌てて荷を支度し、何も知らされずに泣く泣く木の葉を旅立つ破目になったのだった。文句の一つや二つ言いたくもなるのが人情だが、そこは相手が悪かった。泣く子も黙るナルト相手に、文句など言えよう筈もなく・・せめて、無難に質問する。「ん~~??まぁ、付いて来れば分かるって」どうやら答える気はないらしい。それがありありと分かって、シカマルは思わず溜め息をつく。これ以上は無駄だと悟って聞くのは諦める。しかし、ネジはそれで到底納得出来る筈もなく。「行き先くらい教えろ!オレは下忍の任務があったんだぞ?!大体、何でオレ達まで・・」眉間に皺を寄せて余程溜まっていたのか、ぶちぶちとナルトに詰め寄る。腐るネジに、ナルトは呆気らかんとして「”旅は道ずれ、世は情け”ってゆ~だろっ?」と答えた。「(いや、ちげぇし!)」自分の心情も相俟って、つい心の中で突っ込んでしまうシカマル。しかし、声に出して言わないのはナルトの事を良く分かっているといえよう。「ん?何か言ったかなぁシカマル君v」しかし確りと思っている事がバレていた。だらだらと汗を掻き、爽やかな笑顔のナルトから視線を逸らす。(眼を合わせちゃダメだ!眼を合わせちゃダメだ!)念仏のようにぶつぶつと唱えながら遣り過ごそうとするシカマル。その様はハッキリ言って怪しい。それを見たネジもかなり引いている。二人の下僕の様子を見て、ナルトは一つ溜め息を付き、一度こいつ等が自分の事をどう思っているのか問いただしたくなった。「・・まぁいい。それより急ぐぞ!」―波の国―「・・・・あまり、いい状態じゃないな」「ぁあ」漸く波の国まで着いた一行は、余り活気がいいとは言えない街に戸惑っていた。「おかしいな・・前来た時はこんなんじゃなかった筈だ」少し気になったナルトは、まだ時間に余裕があるのも手伝って、少し聞き込んで見ることにした。目に入った茶屋を集合場所とし、一先ず、三人バラけて情報を得る事にした。再び待ち合わせ場所の茶屋に集まった三人。一番最後に現れたのは珍しくもナルトだった。ネジとシカマルの待つ席へ座ると、茶団子と茶を頼む。「よし、お互いの情報を合わせてみるか。まずはシカマル、お前からだ」「おぅ。あまり大した事は聞けなかったが、オレが聞いたのは”ガトー・カンパニー”っつう海運会社が海上交通や交易を牛耳ってるせいで、物資が自由に流通出来なくなってるらしいってことだな。そのせいで物価が上がるばかりで物も手に入りにくくなってるみたいだ」仕入れた情報を語るシカマルのその表情はあまり芳しくない。街の様子を見ているだけに、それも仕方ない事と言えよう。「ネジはどうだ」「オレの方もシカマルと大して変わらないが、あまり良い噂は聞かないな。ガトーという男が一代で築いた会社だが、裏では金と暴力に物を言わせて中々悪どい事をしているようだ」「ふむ・・・」二人からの情報を聞いて、考え込む。黙ったままのナルトに痺れを切らし、ネジが逆に訊ねる。「・・ナルトの方はどうだったんだ?」「ん?ああ、オレか?オレは、もう少し突っ込んで調べてみた」興味を引かれたのかシカマルは少し身を乗り出す。「で、どうだったんだ?」「・・あぁ。俺も殆どお前らに聞いたことに毛が生えたくらいだったんだが、少し気になったんで物資の動きとかを調べてみた。――――・・で、分かったんだが。どうやらここ最近、ガトーって奴は武器や火薬類を大量に買い占めているらしい。それを船で何処かへ運んでるみたいだな」雲行きの怪しくなってきた内容に、ゴクリと唾を飲むネジとシカマル。静寂がナルトたちの周りを覆う中。ポツリと呟かれた声は、誰に届くことなく・・。「―――――もしかしたらこのガトーって奴、水の国とも関わってるかもしれないな」○後書きのようなもの○陰謀とか題にいれては見ましたが、そんな対した物でないこと請け合いです。色々と(何分頭がないので)無理のある内容になるとは思いますが、何卒よろしくお願いします。突発(と言ってもそれなりに前から)だったので、続くかどうかすっごい怪しいものですが、良かったらお付き合いください。