この短編は『ゼロの使い魔』とのクロスオーバー作品ですが、あくまで短編読み切りです。
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西暦1642年。イングランド内戦勃発。オリバー・クロムウェル指導の革命軍とステュアート朝王国軍との国内戦争である。
西暦1644年。中華帝国「明」王朝滅亡。そして「清」王朝が、中華の皇帝となった。
西暦1649年。内戦は、国王処刑をもって革命軍の勝利に終わり、王国からクロムウェル独裁のイングランド共和国となった。
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「ロバ・アル・カリイエか……」
ハルケギニアから見て、『聖地』よりも更に東方にある地域。
エルフに道をさえぎられて、往来は不可能とされている地域。
そして、何故か1部には、平賀才人の故郷と誤解されている地域。
才人自身も、東方の地には、元の世界に帰るための手がかりがある可能性を捨て切れていなかった。
そんな、ある時の事。
親しい何人かで夕食にしていた時、ふと、その話題が出た。
「この緑茶とか、東方からの輸入だよな」
才人の「国」でも緑茶は生産している。
それだけに、往来の絶えている筈の「東方」から、どうやって輸入されたかが、ふと気になった。
「ロバ・アル・カリイエよりも、更に東方に“シルク”と呼ばれる国があり、緑茶はシルクから輸入されたとされる」
「本当かい?タバサ」
「私たちには判らない。ただ、数年前までは、ロバ・アル・カリイエからの商人がハルケギニアを訪れた事があった」
「エルフとの戦争の前だよな」
「彼らはシルクで緑茶を入手した、と伝えたらしい」
「今でも東方との交易は、完全にはエルフにさえぎられている訳でも無い。だが、シルクの国は、数年前に内乱が起きたらしい」
「アルビオンみたいに?」
「どっちかというと、そっちの影響が大きいのよ」ここで、キュルケが話を引き取った。
「ゲルマニアには、東方との交易で成り上がった貴族もいるけど、内乱で1番魅力のある交易品を生産している筈のシルクが大混乱しているみたい」
「じゃあ、エルフが怖いだけじゃなくって」
「エルフの危険を冒してまで入手しに行く商品が手に入らないから、行ってもしょうがなくなったの」
………。
……。
…この時は、この程度の雑談だった。ところが、間も無く王宮から呼び出しがあったのである。
「実はシルクの新しい皇帝の使者を名乗る者たちが現れたのです」
「そんな東の果てから?」
「彼らは、何故かエルフに通過を許されたロバ・アル・カリイエのものらしいのですが」成程、それなら判るが、
「シルクの皇帝から、世界各国への親書を預かっていると主張しています」
「それで、姫様。私たちを呼ばれた理由は何でしょう?」ルイズが女王直属だとしても、直ぐに役に立つ話でもなさそうだ。
「シルクの言葉で書かれた文章を読む事ができる者がいないのです」
「俺は、東方の出身と誤解されていますけど、読めるとも限りませんよ」
「とにかく、1度、目を通していただくだけでも良ろしいのです」
「しょうがないなあ…。…これって?まさか…漢文?」
「サイト。読めるの」
「いい、いや。これは俺の国ではなくて、隣の国の文章なんだ。スラスラ読めるわけじゃない」
「それでも、何とか意味は読み取れませんか?」
日本の高校に通っていた時の、平賀才人の漢文や世界史の成績がどの程度のLVだったか?
それでも、何とか、かんとか漢文(らしきもの)を読み取って見ると、使者自体は本物らしかった。
滅亡した前王朝に代わって、新しい王朝によって秩序が回復されたから、国交を(あくまで中華的な意味で)再開したいらしい。
そこで、前王朝までは国交が無かった西方世界にまで、親書を送ってみたらしかった。
………。
……。
…女王と宰相から感謝と栄誉を受けて、さて、学院に戻って来ると、タバサとコルベールが、何やら興奮しながら1冊の本を付きつけて来た。
「これは、以前にミス・タバサが図書館で発見したが、シルクの本らしいという事が判るだけで、誰も読めなかったんだ」
正直、ウンザリしながら手に取って最初のページを開いてみると、漢字(?)で「サブタイトル」らしきものが印刷されていた。
『桃園起義』
(…あれ?もしかして三国志…)
もう1度見直すと、各ページの上の部分に挿絵が描かれていて、
1ページ目の挿絵では、確かに花も満開の果樹園の中に3人の人物が描かれている。
あらかじめ、知っている話なら何とか意味が取れるかも、と思って読み始めたが、
「何だよ、これ。三国志みたいなトンデモ本じゃないか。まあ、ハルケギニアもヨーロッパじゃなかったけどな」
劉備とか曹操とか関羽とか、才人でも「三国無双なんとか」といったゲームやマンガで知っていたキャラが、何故か女の子ばかりになっていて、
しかも「天の御遣い」などと名乗る、怪しさ大爆発なヒーローが登場していた。
いよいよ、ここが異世界である事を実感する才人だった。
………。
……。
…四苦八苦の末、何とかその本に書いてあった事の、さわりだけ読み取った才人だったが、
「それでは、この本は1300年ほど前の、シルクの歴史書なんだね」
コルベールの言う事は、真っ赤な間ちがいでも無い。だが、
いよいよ、自分が異世界に居る事を痛感する才人だった。
『恋姫無双』と背表紙と表紙に記された「歴史書」の第2ページの挿絵には、桃園の樹々の間から現れる、光り輝く「天の御遣い」が描かれていた。
「しかし、シルクの“コウキュウ”と言う制度は、驚くものだな。3つに分裂した国家を統一するために、3人の女王と1人の皇帝を結婚させるとは」
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「恋姫」シリーズには“月が双つ”などという設定などない事は承知で、それでも妄想のままに書いてしまいました。
(蛇足)
これは完全に蛇足ですが††恋姫無双演義††でのオリキャラ『華佗』のインスパイア元となった作品が、実写化決定しました。
演じるのは、大沢たかお氏だそうです。
したがいまして、もしも今後『華佗』の登場する派生作品を投稿するとしたら、大沢氏のイメージで書くかも知れません。