士郎のようにとりあえず学校へ行くっていうのはどうかと思ったが、実際のところ、学校へ行くという選択肢は悪くない気もする。
俺たちのような学生マスターの存在が既にランサーとダメットさんコンビ、神父、ジジイ、バーサーカー陣営にまでばれているからだ。よって学校を襲撃してくることだってありうる。
ならば前もっての備えとしてこちらが罠を仕掛けておくことだって出来る。相手が学校に俺たち用の罠を張るならそれを逆手に取ることもできるかもしれん。
けど、まあこれは一般人の被害を考えない場合の話である。繰り返すがそれは士郎の趣味じゃない。あいつのそれを甘さと断じるのは簡単だが、強さでもあることを俺は知ってるからな。
そういうわけなんで、トラップを張るのはやめだが、向こうに張られて無差別テロされないように注意はするためにやはり学校へも行ったほうがいいだろう。正義感あふれる身内への点数稼ぎのためにもね。
さらにもう一つ、なるべく学校で守らねばならない、身内に抱えた爆弾の存在を思い出した。
その名はタイガー。キャスターさんが原作において人質作戦を敢行したのを思い出したのである。ジジイならやりかねん。あのジジイがいつまでも俺たちの思惑に気づかないなどありえん。
あーもうあの虎ほんとに世話が焼ける!!
てなわけでなるべく学校に行こうということになったら士郎が嬉しそうです。令呪は軽々しく使うなよ?
なんだかんだでこの笑顔のため頑張ってしまう俺は甘い。
「ハァハァ。」
どうしたライダー?
流されたゆたうワカメのごとく 第六話 前編
凛も来てました。まあ予想の範疇でした。
とりあえず説得を開始してみる。
おおおガンドガンドまたガンド!
「ちょ、問答無用かよ!」
「うっさいわね!さっきもどっかの馬鹿が能天気に説得に来てたのよ!サーヴァントも連れずに一人でのほほんと!」
うわぁ最悪のタイミング。そりゃ怒るわ。
一旦退却。変に人目を避けたのが不味かった。ていうか士郎くん空気読んで。
仕切りなおし。
今度は教室で。やばい単語は出せんので、とりあえず後ほど話し合う場を設けることだけでも取り付けられれば。
「遠坂さんちょっといい?」
「あら間桐くん、なにかしら?」(オーラから察する意訳:話しかけんな)
「後でちょっと話があるんだけど。」
「ごめん今日はちょっとこれから忙しいの。」(てめーとは敵だっつってんだろが)
「いつなら暇があるかな?」
「ごめんちょっとまだはっきりわからないの。暇になったらこちらから連絡するわね。」(いつだと?おとといじゃヴォケ!)
泣きそうになりました。
「ははっ。手ひどく振られたみたいだな、慎二?」
「美綴。ああほんとにな。」
ここでは、俺は普通に副部長してるのでこいつとも仲がいい。果てしなく陰湿なあのジジイの家で生活していると、こいつのこういうカラッとした性格にはほんとに癒される。
「あんたも桜も最近弓道部のほうを休みがちだけど、どうかしたのか?」
「ちょっと家の中でゴタゴタしててな。まだしばらく行けそうにないみたいだ。」
「そっか。大変だな。桜がこのごろ様子が変わったような気がしたけど、そういうことだったんだな。」
「様子が?」
「ああ、思い出したように変なノートにたまに何か書いてるんだ。」
「………ああ、心配をかけちまったようだね。兄貴として礼を言っとくよ。」
「は、なんのなんの。なにか相談に乗れることがあったらいつでも来なって言っといて。」
「ああ、そうしとくよ。」
はあ。和む。思えば最近殺伐とした世界に生きすぎていたかもしれない。
んお?あててる?背中とほっぺたに天国と地獄ををダブルであててきてる?
(慎二様、目移りしては嫌ですわ。)
(わ、わかったからその二つを押し付けるのやめて。)
そうなのである。場合によっては凛との対決もあったので、キャスターさんに憑いてもらっているのだ。
「どうした慎二?」
「い、いやなんでも、ちょ、あ、そこは、」
「慎二……あんたの家のそれ、なんかよっぽどひどいゴタゴタのようだね。桜だけじゃなくて、あんたもいつでも相談しに来なよ?あたしでよければ力になるからさ?」
「う、うん、そうする。」
「そういや会長の一成もなんかこのごろおかしかったな。」
「一成が?どういうことだ?」
「いや、なんか深夜に徘徊していたとかいううわさがあってさ、目撃者は何人もいるんだけど、それを指摘すると否定するんだってさ。生徒会長がそれだと示しがつかないだろ?けど本人は知らぬの一点張りだし、結構職員室でやりあってたみたいだよ?」
「ちょ、マジか?」
詰め寄る。
「お、おい、どうしたんだよ。」
「ああ、ごめん。そのうわさ本当?」
「あ、いや、べつにいいんだ。うーん、あたしは本人に確かめたわけじゃないからなんとも言えないけど、あんた親友だろ?本人に聞いたらいいんじゃないの?あんたにゃほんとのこと話してくれるだろ。あいつの性格からいって。」
「それもそうか。」
(念のため聞くけど、)
(わたしではありませんわ)
(じゃあ調べて見る価値あり、か)
(慎二様。直接面と向かって訊くのは)
(わかってる。どんな条件付けの暗示がされているかわかったもんじゃない)
訊いた瞬間グッサリでタイガー道場行きがあったもんな。
(個人的には気が進まないのですが)
(でも危険を冒さなければならないときも)
(いえ、そうでなく、あの小姑を助けることが、です)
(?)
キャスター昼ドラ劇場「嫁姑骨肉の争い」
「メディアさん、少しこの味噌汁、出汁が採れていないようではないですか?」
「メディアさん、板葺きの本堂はそういう雑巾がけをすると傷むのです。」
「メディアさん、このふすまはなんですのっ!埃が残っているじゃないっ!」
「朝起きたら一番に朝刊を取りに行くのが仕事でしょう!」
「あんたの飯なんか不味くて食えたもんじゃないわ!もう出前取りました!」
「ああもう、使えないヒトねっ!そんなんじゃとても慎二の嫁とは認められないわ!」
「ああ、お義母さま、そんな、どうか、どうか、」
(…うそでしょ?)
いや、そんなイベントがたしかホロウであったような気もするけど、この世界に来て普段の一成を見てるとまさかねぇ。
(ああっ!アナタまでそんなことおっしゃるのね!私の味方なんて誰もいないんだわ!)
(ああ、そうじゃない、そうじゃないんです、キャスターさん)
(だってアナタったら未だに私のことを名前ですら呼んでくださらない)
(いや、それとこれとは)
(きっともうアナタの愛なんて冷めてしまったんだわ。いいえ、最初からなかったのよそんなもの)
またこのパターンか。…しゃーねえ、ここは、
(そんなはずないだろう?俺は君を愛しているよメディア)
(えっ?)
(愛していると言ったんだよメディア)
(ああ…うれしいですわアナタ、もう一度おっしゃって)
「……さっきから一人でわたわたとなにやってんだ、慎二?」
「はっ?あ、いや、その、だな。」
「本当にあんたの家、大丈夫なのかい?やっぱここはあたしが一肌脱いで。」
「いや大丈夫だ!お前が出るほどのこっちゃないよ!」
(とりあえず一成を探ってみよう、いいですね、キャスターさん?)
(…………)
(んんっ、いいですね、メディアさん?)
(はい♪わかりましたわ慎二様♪)
とりあえず凛との同盟は置いておくか。まずは一成を操るやつを探るとしよう。
「…やっぱ心配だな。よし、ここは一つ、」
「美綴、なんか言ったか?」
「いや、なんにも。」
今回もあんまり場面が進んでいませんが、どうでもいいところに時間をかけることがこの駄文のレゾンデートルですのでご了承ください。
感想の欄に最強化SSの希望があったのですが、その予定はありません。
ワカメは最弱であるからこそワカメなのであり、それこそがワカメをワカメたらしめているのですから。
すなわち飛べないワカメはただのワカメで、ワカメよ、ワカメだ!ワカメだ!お前はワカメになるのだ!とワカメの穴で鍛え抜かれたワカメがワカメマスクなのであり、尾張名古屋はワカメでもつわけで何のことやらわけわかめということなのです。
あ、なんか綾子登場の希望がわりとあったんで、出しました。
いまのところ綾子を壊すつもりはありません。
もっとやれとか言うなよ?いいな絶対言うなよ?わかってるな?空気読めよ?