ジジイによるともう五騎のサーヴァントが揃ったらしい。実はキャスターさん経由で知っていたが。
昨日キャスターさんに小次郎さんを紹介してもらった。すげー美形だった。設定上慎二もそこそこ美形なのだがニセモノとはいえ英雄の美形っぷりはやはりチートだ。
ちょっと落ち込んでるとキャスターさんが「大丈夫。男は顔じゃないんですから」と後ろから抱きしめてきた。あててんのか?あててんのかぁ?おおおおお。桜やライダーほどじゃないが
ペチペチ。スーッ。
嬉しくないものもあててきました。
「今誰のことを考えていました?」
「いえ別に全く何も」
ルールブレイカーだよ、ルールブレイカー。そういやこれでいつでも桜を自由に出来る算段がたったわけか。だがしかし彼女らを引き合わせるのは危険な気がする。主に俺の身の安全的な意味で。
流されたゆたうワカメのごとく 第三話
昨日はそんなことがあったわけだが、とうとう聖杯戦争開始まで秒読みに入ったか。
アレ?そういや凛ってこの後間違ってアーチャー呼んじゃうんだよな?
ちゃんとセイバー呼んだら楽勝でいけるんじゃね?
思い立ったが吉日、つーか時間が無い、今日の夜にでも凛に連絡を取ってなんとか凛がサーヴァントを呼び出すところに立ち合わせてもらおう!
今の俺は一応友人だし、桜の兄だし、これで俺が「間桐の魔術師」だったら魔術師として絶対に遠坂の魔術を見せてはくれないだろうが、実質一般ピープルと変わらない俺ならば土下座でもかませば立ち合わせてくれるかも・・・
「ふざけないで」はい、即答。ですよねー。
ドライでビジネスライクに見えるが実は情に厚い、けどやっぱ基本はドライな人ですよね、凛という子は。
「やっぱり、間桐家も気になるのね。魔術師不在だから今回は参加しないとしても。でもお断りさせてもらうわ。私はこの聖杯戦争に賭けているの。
でも以外ね、慎二。アンタも根っこの部分じゃ魔術師してたんだ。まあ、私が聖杯を手にするのを見てなさい。アベレージ・ワンの所以を見せてあげるから。」
じゃあね、と立ち去っていく。ヤバイヤバイこれは。俺と桜とライダーとキャスターさんの安全が遠のく。あと士郎とか一成とかタイガーとか。
こうなったら。
「で、そこに侵入したい訳なんですね。」
いかにもそうですキャスターさん。
「慎二様の頼みなら否やはないけれど、私の存在が敵に回るかもしれない相手に知れるのは考えものですわ。」
実は耳寄りなお話が・・・。
上手いこと遠坂邸の結界の条件の変更と他者から俺への認識阻害をかけてもらうのに成功した。恨むなよセイバー。これでより強い魔術師のサーヴァントになれるんだ。
だから、一晩着せ替え人形になるくらいは、な?頼むよ?
「よし、後は人知れず凛のフォローをするだけだ「兄さん」」
うわひゃ?さ、桜サン?
「姉さんの家に何の用なんですか?」
「あ、いや、これはだな「こんな夜更けに」」
「いや聞いてく「姿を見えなくして」」
「だから「いやらしいことをしに行くためなんですね?」」
「いや待て待てそもそもなんでお前は俺を認識できるんだ?」
「兄さんに眠っている間に蟲を埋め込みました。」
俺に人権およびプライベートは無いようです。
「兄さんが私に注いでくれた精が魔力になって、滋養になり育まれた蟲です。いわば私た
ちの愛の結晶といっても「いやいや待て」なんですか。」
だからその目はやめて。
~説明中~
説明終了。
「つまり兄さんはそのガングロ男じゃなくてパツキンナイチチ美少女が欲しいから姉さんのところへ行くんですね」
伝わってなかった。首筋チクチクされてる。当然だがそこにライダー来てるのね。
「そうじゃない。これも全て強い味方を引き入れるためなんだ。お前(たち)を守るためなんだよ。」
「兄さん・・。(ウルウル)」
なんとかごまかされてくれた。全てを語ってはいないが嘘はついていないはずだ。
「じゃあ私は帰りますね。」
「おう。気をつけてな。」
あとで蟲はルールブレイカってもらおう。
なんだかんだで遠坂邸侵入成功。さすがキャスターさん。
凛はっと、おお、召喚する時間間違ってやがる!さりげなく、あくまでもさりげなく時計の針を・・・。
「バレるに決まってるでしょ!」
おお、これがガンド!ちょ、あぶね、うわ、勘弁してくれ、うあああっと!
「避けるなっ!当たりなさいよ!」
無茶言うな、逃げるに決まってんだろ!くそ、認識阻害が解けかかって、どこか隠れるとこは、それか武器は、お、何だこの宝箱?
「あ、馬鹿、それに触るな!」
え?おい!押すな!
「うああああ」
「きゃっ!」
てなわけで、やってきました例の宝箱の中。
___箱の中には、一組の男女がしょんぼりと座ってゐた___
ガッ!!
いてえ殴んなよ!
「なんか失礼かつ能天気なことを横で考えられた気がしたのよ。
って、アンタ慎二じゃない。」
「殴ってから今気づいたのかよ。」
「なんでここに居んのよ。」
「お前ともつれ合ってこの箱に__」
「そうじゃなくて、ウチに侵入した理由となんで時計なんか進めたのか、よ。」
「お前が間違った時間に召喚しようとしたから。」
「それはわかったわ。あの時反射的に時計を見比べて正しい時間を知ったわよ。」
「自分に味方するような行動をとったのがわかったならもう少し友好的なアプローチをするような考えはなかったのかよ。」
「より正確な情報を聞き出すためには相手より圧倒的に優位な立場を作っておく必要があると思わない?」
うわあすげえいい笑顔でとんでもないことのたまってくれやがりましたよこの人。おれの周りこういう微笑をする女ばかりだな。
「いや、ぶっちゃけ俺も聖杯戦争に参加を強制されててだな、んでも聖杯に興味ないんでお前に勝ち残ってもらってお目こぼしに預かろうかと」
「卑屈ね。」
ぐっ。わかってることとはいえストレートに言われるとけっこうくる。
「でもアンタの間抜けな行動でばれたけど、実際その認識阻害、たいしたものだったわよ?あんたの魔術?それともサーヴァントの実力?どっちにしろそこそこいけたんじゃないの?」
「賭けに出る気はないよ。確実にお前や桜たちと生き残りたいんだ。」
「へえ。そのためならこのくらいのことはするってわけね。ま、嘘はなさそうね。」
「信じてくれるのか?」
「騙す気ならもう少し気の効いたこと言うでしょうし。」
「容赦ないな。ほんと美綴達以外のやつらにもお前の本性を見せてやりたい。」
「あら。そう簡単にはがれる化けの皮じゃないわよ。」
顔を見合わせ笑いあう。少し空気が和んできた。よかった。今夜のせいで本格的に敵対関係になったらどうしようかと__あれ?これは・・・
「ちょっちょっと!それに触っちゃダメ!」
ああ、例のステッキか。って押すな、おい、
「「あ」」
俺を押し倒した凛が床の上のソレを掴んでしまった。
カレイドルビー爆誕!!
脱出成功!
「「「「あ」」」」←(正気に返った凛と俺と桜と、心配で来てたキャスターさんの視線が交錯した瞬間)
その後は。
「兄さん!やはり一抹の不信感が拭えず確かめに来たら案の定!しかもなんて上級者向けのプレイを!」「慎二様?そういう衣装と小道具を使ったプレイは必ず私も交えてと仰ったばかりではないですか!」「いえあの違うのよこれは決してそういうのじゃ」「やはり一度絞めておくべきでは?サクラ?」「やっぱ居たのライダーうわやめて刺さる刺さる刺さる!」「何をしていたのです?シンジ」「ていうかその人達誰よ?慎二のサーヴァント?」「私もそのローブのヒト気になってました。主に兄さんとの関係について。いえ。これは姉さんについてもはっきりさせておくべきですね。何なんですか恥ずかしくないんですか姉さんは。そんな格好を。あれ?そのステッキ見たことがあるような?」「キャー!見ないで桜!」「あはは。お久しぶりですねえ桜ちゃん?」「喋った?知性を持ったアーティファクトまで使っての擬似3P?なぜそんな高度なプレイに私を呼んでくれなかったんですか!」「お前はしゃべるなこの摩訶不思議アイテム!」「あなたこそ質問の答えのみ喋りなさいシンジ。」「すいませんすいません」
混沌とした状況は最初のドタバタで何故か呼ばれてしまっていたエミヤアーチャーを加えさらに加速し、件のステッキによる記憶消去で決着がついた。
俺と凛の記憶は消されなかった。理由を聞くと、
「あはは。そのほうが面白くなりそうだからですよー。」
そして未だ茫然自失の凛に、
「しばらくキャスターさんのところへお邪魔してきますねー。」
「っな!!一体どういうつもりよ!」
「しばらく退屈しなさそうなんでー。」
翌日。
「・・・あれからどうした?」
「・・・アーチャー叩き起こして掃除。そっちは?」
「・・・眠ってた桜ベッドに運んだら起きて、夜這いと思われてそのまま絞りとられた。」
「・・・アンタ妹に、いえ、私がとやかく言うことじゃないわ。間桐の魔術の一貫なのね。アンタのほうが被害者っぽいし。」
「・・理解が早くて助かる。アーチャーそこに居るの?」
「ええ。アンタは見えないんだっけ。・・あのキャスターは?」
「一成に無理やり用事作って今朝寺に行ったけど、寝てる間にアレ(口に出すのもはばかられる)が柳洞寺まで運んでくれたらしい。」
「アレどうしてる?」
「今のところおとなしい。キャスターとアサシンが居るあそこで存在を気づかれてないらしいぜ?」
「今のところ、ね。」
「「ハア・・・」」
凛とかなり仲良くなれました。望んでいたのとはかなり違う形で。
忘れてたけどセイバーどうしよ?
ランサー前哨戦どうしよ?
今はただ溜息しか出てこない。
スラップスティックって好きですか?
凛と恒例のおかず交換しながら。場所は屋上ですが、作者のイメージでは高架下の赤提灯屋台です。アーチャーは寡黙な屋台の親父。
今後もワカメくんに安息の日々をおくらせるつもりはありません。
気が向いたら続きも書く、かも。