キャスター拾いました。
流されたゆたうワカメのごとく 第二話
キャスター落ちてました、雨の中。
当然のごとく吸い尽くされました。優しくじゃなく、激しくええそれはもう激しく。
「この」俺は士郎との仲は良好だったので、一成とも結構仲よしだったおかげで柳洞寺に運び込むのを手伝ってもらうことが出来た。こいつも士郎に負けず劣らずお人好しだ。
そんなことはどうでもいい。なんでこのタイミングで葛木先生いないの?あわよくば仲間に引き込もうと思ってたのに。桜といいこの人といいなんか俺精気提供機になってる?
で、今正気に返って気まずい空気が流れてるわけなんだなこれが。
「・・・えーと。」
「その・・。いきなりこんなことをしてごめんなさい。実は・・・」
「はい、魅了とか洗脳とかその類の魔術を仕掛けつつ嘘の説明するのやめてください。」
「!?気づいていたの?いえ、よくみれば悲しいくらい微弱な魔術回路の名残が感じられるわね。あなた魔術師?」
聞いてて悲しくなりました。
「そう。なら私をここに連れてきたのも何らかの思惑あってということね。何が目的?」
急にきっつい目つきに。恐いから止めて。ワカメ目をそらしちゃう。
「いえ別に何も。「嘘をおっしゃい」いえ本当なんですってば。」
「あなたも聖杯を欲しがる魔術師なんでしょう。願いは・・・その悲しい魔術回路をまともにしたいってところかしら。」
もう泣いてもいいですか?
「一体私に何を望むの?言っておくけどあなたのサーヴァントになるのはお断りよ。第一無理ね。私もついてないわね。マスターから逃げ出したかと思えばまた魔術師の虜なんて。」
「いえ。最初から無理だったのね。私なんて元からこういう運命だったんだわ。いつもいつもこうして男の欲望に慰み物にされながら都合のいい道具にされるのよ。あの時イアソンに騙されたときにそう決まってしまったんだわ。」
うわあ。先に泣かれちゃったよ。しかもこれ絶対面倒くさいパターン入っちゃったよ。
「いえ!本当に何も利用しようとか慰み物にとかそんなんじゃないですから!」
「男はみんな最初はそう言うのよ!大体・・・・」
一時間経過。やっと納得してくれた。
「じゃあ本当に私をどうこうする気はないのね?」
「ええ。わかってくれましたか。」
納得したら、今更のように恥らうキャスター。双方全裸で小一時間わめきあっていました。
「そう・・。ありがとう。」
頬を赤らめる。なんかかわいいぞこの人。堅物葛木先生をもめろめろにしたのはこれかと納得。
「間桐。」
ああ、そういえば一成に服を買ってきてもらってたんだっけ。
「まっ間桐!貴様弱っている婦女子になんということを!」
「いや待て誤解だ一成!」
一時間経過。またこのパターン。
「まあ、出会ったその日に愛が芽生えることもあるだろう。早合点して申し訳ない、メディアさん。」
キャスターさん、他に説明の仕方は無かったのか?
「ふむ、ここは寺だ。行く当ても無き者がしばしの宿坊として使うのも是。まして我が友の思い人ならなおのことだ。メディアさん、しばし此処に逗留されるがいい。間桐、いつでも会いに来るがいい。」
・・・えーと。概ね願いどおりの展開なんですが、なんか違う。
そしてキャスターさん、貴女はなぜ意味ありげな視線を俺にくれっぱなしですか?
この人、ダメ男に引っかかってしまうタイプだ。間違いない。原作で葛木先生に出会ったのは本当に幸運だったんだな。
家に帰ったら桜が鼻をふんふんさせて俺に尋ねました。
「兄さん、今日はどこに行っていたんですか?」
目が恐い目が恐い桜。あと背後から金属が背中に押し当てられる感触。
「さ、桜?ライダー?俺は今日一成のうちに行ってきただけだぞ?」
「へえ・・。お寺に女の人がいるんですか・・・。」
「シンジ。この場での虚偽は死を意味します。」(チクッ)
黒になってる!黒化してる!なぜだ!失敗したのか!こうならないよう細心の注意を払っていたのに!あと当たってる!首筋に鋭利なものが!
「にいさん。」
「は、はい!(ひらがな棒読み?こ、こええ!)」
「蟲が疼くんです。今夜お願いできますか?」
「はいただ今!」
「ライダーも手伝ってね。」「わかりました。」「ちょっと待ておい!」
間桐家の夜は更けていく・・・。
翌日、キャスターさんにくれぐれも人を殺すほど町中から吸い取らないようにと念を押してきました。
当然、その分俺から吸い取りました。
神話の代から伝わる技はすごかったです。
勢いのまま続きを書いてしまった。葛木せんせはまっとうに日の当たる世界で一教師として幸せに生きてゆくことになっております。