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No.6264の一覧
[0] 真・恋姫無双伝説異伝 天の覇者【真・恋姫無双×北斗の拳】(打ち切り)[海野狸白](2009/09/16 17:01)
[1] 第1話:出会い[海野狸白](2009/02/05 09:07)
[2] 第2話:桃園の誓い[海野狸白](2009/02/09 14:37)
[3] 第3話:出陣 Apart[海野狸白](2009/02/05 09:14)
[4] 第4話:出陣 Bpart[海野狸白](2009/02/10 14:40)
[5] 第5話:幕間1[海野狸白](2009/02/08 13:44)
[6] 第6話:名軍師加入![海野狸白](2009/02/10 14:41)
[7] 第7話:獣死すべし…軍師の実力考査[海野狸白](2009/02/10 08:36)
[8] 第8話:曹操との邂逅[海野狸白](2009/02/12 08:33)
[9] 第9話:囮…だと…?[海野狸白](2009/02/13 13:52)
[10] 第10話:幕間2 黒龍現る Apart[海野狸白](2009/02/15 13:07)
[11] 第11話:幕間2 黒龍現る Bpart[海野狸白](2009/02/17 09:09)
[12] 第12話:反董卓連合結成!総大将はやはり奴が…[海野狸白](2009/02/17 09:08)
[13] 第13話:卵こそが正義(?)[海野狸白](2009/02/19 08:35)
[14] 第14話:華雄敗北[海野狸白](2009/02/19 08:48)
[15] 第15話:宿命の影[海野狸白](2009/02/20 08:13)
[16] 第16話:邂逅・宿命の兄弟[海野狸白](2009/02/24 08:23)
[17] 第17話:剛と柔[海野狸白](2009/02/24 08:29)
[18] 第18話:董卓保護[海野狸白](2009/02/26 08:50)
[19] 第19話:幕間3・休息[海野狸白](2009/03/02 09:51)
[20] 第20話:蜀領救出作戦[海野狸白](2009/03/04 08:28)
[21] 第21話:母子再会[海野狸白](2009/03/06 09:08)
[22] 第22話:新たな仲間![海野狸白](2009/03/07 16:15)
[23] 第23話:豚の陰[海野狸白](2009/03/11 08:14)
[24] おまけ[海野狸白](2009/03/11 08:15)
[25] 第24話:豚は地獄へ行け[海野狸白](2009/03/12 09:10)
[26] 第25話:猪突猛進作戦[海野狸白](2009/03/12 09:11)
[27] 第26話:汚物は消毒せねばなるまい[海野狸白](2009/03/13 10:04)
[28] 第27話:幕間4・親子交流[海野狸白](2009/03/16 08:34)
[29] 第28話:五胡の陰と南蛮平定[海野狸白](2009/03/17 09:56)
[30] 第29話:南斗の乱、魏呉墜つ[海野狸白](2009/03/28 12:07)
[31] 第30話:北斗長兄と次兄、共同戦線[海野狸白](2009/03/27 14:40)
[32] 第31話:救出作戦、首謀者の陰[海野狸白](2009/03/28 12:14)
[33] エイプリルフールネタ最終回:北斗万愚節[海野狸白](2009/04/24 08:02)
[34] 第32話:紅剛作戦[海野狸白](2009/04/24 08:04)
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[6264] 第7話:獣死すべし…軍師の実力考査
Name: 海野狸白◆f1c5a480 ID:69a68675 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/02/10 08:36
 果てしない荒野を進軍しながら、各方面に細作を放ち、黄巾党の動向を探る。
 雛里、朱里がその作業を実行している。
 ラオウはただ、報告を待つのみ…その不動の姿勢は…兵達に頼もしさを伝えていた。
 すると…
 
  「申し上げます!」
 
 前方から一人の兵士が走りよってきて、ラオウの前で報告を開始する。
 
  「ここより前方、五里のところに黄巾党と思しき集団が陣を立てております
   その数、二万!」
  
  「二万か…多いな」
  
 ラオウの軍の兵士は九千…苦戦は必至だろう。
 かといえ、引いてしまえば黄巾党討伐の名目で集まった
 義勇兵が見限っていくだろう…無論、ラオウは敗北は無いと見通している。
 だが、悪戯に兵を消耗するのはやぶさかではない…
 葛藤していると…
  
  「あ、あの…」
 
 朱里の背中に隠れるようにしていた雛里が、躊躇いがちに
 ラオウの鎧から出てる布を引く…
  
  「どうした、雛里」
 
 ラオウの声にビクリと体を震わせる雛里だが…しっかりと言葉を紡ぐ。
  
  「大丈夫です、絶対勝てますから」
  
  「それは俺も分かっておる…問題は兵の損傷をどう少なくしていくかだ」
  
  「だけど…え、えと私達がいますから」
  
  「ん?どういう意味だ?」
 
  「あう…」
 
 愛紗の声にビクリと体を震わせた雛里がヨロヨロとラオウの背に隠れる。
 
  「愛紗、ダメだろう…怖がらせてしまっては」
 
 その様子に溜息をつきつつ、瑞佳が言葉を吐く。
  
  「えぇ!?私は怖がらせてなどいないぞ!?普通に聞いただけではないか!?」
 
  「へぅ…」
  
  「よしよし、大丈夫だ…怒っているわけではないからな」
 
 瑞佳がラオウの背に隠れた雛里を頭を撫でながら慰めていると…
  
  「むぅ…私は口調がそれほどまでにキツイのだろうか…
   ラオウ様より怖くは無いはずなのに…」
  
  「ラオウ様は見た目があるから覚悟できるけど、愛紗ちゃんは
   覚悟できるような見た目じゃないし、でもでも
   愛紗ちゃんの場合真面目すぎるだけだから」
 
 桃香がフォローを入れる…要約すると、覚悟できないものから
 怖い口調が来ると我慢できないと言う事だろう。
  
  「桃香様…支離滅裂な上にそれは助け舟になっておられません」
  
 愛紗ががっくりと肩を落として落ち込んだ。
 
  「と、とにかくですね、こういう時にこそ私と雛里ちゃんが
   役に立つと思うんです…本来ならば敵よりも多く兵を用意するというのが
   用兵の正道ですけど、それが無理な以上…策あるのみです。
   だからこそ、私達が勉強してきた事が役に立つかと」
 
  「勉強してきたって…朱里達は何を勉強してきたのだ?」
  
  「えと、孫子、呉子、六韜、三略、司馬法…それに
   九章算術、呂氏春秋、山海経…あとはいくつかの
   経済書と民政書を勉強しました」
  
  「何!?まさかそれを全て学んだと言うのか!?」
 
 朱里達の言に愛紗達も驚いたが、一番驚いていたのは瑞佳だった。
  
  「それほどまでに凄いのですか?孫子の兵法書は読んだ
   記憶がありますが、その他の書物の知識が無いのだが…」
  
  「孫子、呉子、六韜、三略、司馬法は兵法書、残りは
   算術農政地理書経済学民治学の書物だ」
 
  「ほへぇー、朱里たちは完璧超人なのだ」
  
  「えへへ…編芭先生には敵いませんけどね…医学にも精通していましたし」
  
  「結局何者なんだ、編芭は」
 
 ラオウはこの地点で編芭の正体に見当をつけていたが、特に気にする事無く
 朱里に策を聞く。
  
  「では、この数をひっくり返す策とやらを聞こう」
  
  「はい、斥候さんが言うには敵は五里先にいるとの事でその場所は
   兵法で言う衢地となっています」
  
  「くちってなんなのだ?」
  
  「衢地とは各方面に伸びた道が収束する場所の事を言うんです」
  
  「つまるところ、交通の要衝といったところか」
  
 その方面に兵や物資を配置していれば各方面にいる部隊に素早く
 補給物資を送ることが出来る。
 しかし、そのような重要な場所に二万は少しばかり少ない気もするが…
  
  「二万は少ないですから、それだけで敵は雑兵だと分かります。
   それにこちらには、愛紗さん、鈴々ちゃん、瑞佳さんの一騎当千の将。
   そして、一騎当軍のラオウ様がおられる上に士気の高さは上々…
   これだけあれば策があるだけで被害を少なくして勝つことが出来ます」
 
  「そして、敵の守っている地はこの辺り一体の要ともいえる場所です
   これを打ち崩す事が出来れば、私たちの名は高まります。
   千載一遇の好機かと」
  
  「敵はこちらよりも多いから油断も生じる…か、なるほど付け目だな」
  
  「瑞佳さんの言うとおりです」
 
 その意見にどうやら、全員が策に乗る気となったようだ。
 ラオウは改めて、小さな軍師に策を聞く。
  
  「して、策とは」
  
  「そうですね…まずは敵を陣地から引っ張り出す事が先決です」
  
  「その後に野戦に持ち込む事…ただし、平野で戦ってはいけません」
  
  「数で負けているなら、負けない状況を作ればいいんです」
  
 数で負けている場合には、平地で戦うのは不利…確かに包囲されてしまえば
 圧倒的不利になってしまうからだ。
 兵の士気が落ちてしまい、敵の士気は上がってしまう結果となる。
  
  「道が狭くなっている場所…北東より二里先の谷か?」
 
 道が狭い場所での戦闘について思いついたのだろう…瑞佳が記憶にある地図を頼りに
 その候補地を導き出す。
  
  「はわわ!先に言われてしまいました、川が干上がって出来た谷なんですが…
   瑞佳さんも地図を見た事があるのですか?」
  
  「ん?まぁ、それなりにな…それより、朱里達も知っていると言う事か」
  
  「はい、そういう事です」
  
  「で、でも地図にはそんな場所なんて無いよ?」
 
 そうして、桃香が地図を広げる。
 確かに地図にはそのような地が無いが…
  
  「その地図は市販のものですよね…?」
  
  「う、うんお店に売ってたものだけど?」
  
  「なら、正確な地図ではないですね」
  
  「そうなのかー?」
  
  「…なら、この地図って…偽物?」
  
  「そういうわけではないと言うことだろう…市販のものは商人達がよく使う
   道や山を記してあって、よく通る道を書いておけば地図としての役割は果たす」
 
 瑞佳が桃香の言に答える…確かに、使う道だけを記していれば、地図としては売れるだろう。
 ならば、偽者では無いといえる…戦略上役に立たないが。
 
  「正確な地図は漢王朝や官軍しかもっていないはずです。力をつけてきた諸侯も
   独自に作っているのですが……公孫賛さんはそこまで気が回っていなかったのかも…」
 
  「うーん…白蓮ちゃんは時々そういうオオポカをやらかしちゃうからねー…」
  
  「桃香が言うな」
 
 桃香の呟きに対してラオウが突っ込む、真面目な顔で突っ込まれてしまっては
 びびるだけだろう…案の定、桃香はうぐ、と言葉を詰まらせる。
  
  「幸いですね、私たちは編芭先生のツテで正確な地図を見ることが出来ました。
   だから、おおよその地理は覚えていますが…瑞佳さんは何処で知ったんですか?」
  
  「王朝の関係者の我が師が偶々持っていたのを見ただけだ」
 
 もと官軍サイドにいた為見ただけである。
 そうですかと、朱里は納得していた。
  
  「覚えてるって…もしかして大陸全部の地図を丸暗記してるって
   事なのか?」
  
  「(コクリ)」
 
 そのことに対して愛紗達が驚きの声を上げる…瑞佳も驚いていた。
 一方で、ラオウは感心していた。
 簡単に言ってしまえば、朱里たちは歩く地図である。
 感心期間もつかの間、ラオウはすぐさま問いかける。
  
  「ならば、その狭間に敵をおびき出すとして…どのように誘い出すつもりだ?」
  
  「簡単です。一度敵に姿を見せて後は逃げるだけです」
 
 何処かの聖帝が聞いたら帝王に逃走は無いのだ!といいながらその作戦を
 拒否しそうである。
 ラオウも本来なら後退は無いのだが…それは一対一の戦いの時だけと自分に言い聞かせた。
 今は、九千もの命を預かる身…無謀な策はするべきではない。
  
  「敵に追尾させるという事か…」
  
  「そういうことです…私たちの軍は正規軍には見えませんし、有効かと」
 
 数で劣り、弱そうな身なりできた相手を見れば…敵は舐めきって向かってくるだろう。
 となれば、あまり強そうな印象を与えすぎてもいけないということだろう。
  
  「元々、明確な意思があるのは一部の者達だけで、あとは
   食い詰めた農民達が欲望のままに動いている…これが黄巾党の正体ですから」
  
  「殺しつくし、奪いつくし、焼き尽くす…か、獣さえそこまでせぬだろう…」
 
 世紀末では日常茶飯事の出来事だったが、ラオウは語らない。

  「だからこそ!だよ、私達がコテンパンにやっつけないといけないの!」
 
 強い光を宿した桃香は、拳を握り締め強く言い切る。
 その瞳が、その声が…仲間たちの火を強く燃え上がらせる。
  
  「作戦は決まったな…あとは実行あるのみ!」
  
  『御意!』
  
  「愛紗・鈴々は前衛を率い、状況に応じ反転!狭間を目指す。
   瑞佳は後衛、反転し移動する部隊を守れ!」
   
  「お任せください」
  
  「了解なのだ!」
  
  「ふ、任せろ」
 
 指示を受けた三人がそれぞれ返事をする…鈴々はどこか嬉しそうだ。
 これが別の人物が大将であった場合は後ろに回されるところだろう。
 
  「朱里は瑞佳の補佐を命じる!」
  
  「はい!」
  
  「ラオウ様ー、私はー?」
 
 気の抜けたような声で桃香が尋ねる…せっかくのラオウの指示が台無しになるような
 声だった…先ほどまでの火をつけた人物と同じとは同じとは思えない。
  
  「桃香は当然本陣だ、雛里と共に状況に即時対応できるようにしておけ」
  
  「ラオウ様は先陣?」
  
  「いや、今回は本陣に居させてもらおう…俺がいては敵は出て来ないだろうからな」
 
 全員が納得したように頷く…幾ら敵が馬鹿でも化け物じみた強さの
 男がいれば先陣すら出てこなくなり篭る事になるだろう。
  
  「愛紗、鈴々、任せるぞ…見事敵を全て引き出してくるがいい」
  
  「お任せを…」
  
  「任せるのだ!」
 
 そうして、全員が気を引き締めたところで…
 
  「それじゃ、みんな敵さん目指して微速前進♪」
 
 気の抜けた声で部隊のあちこちで笑いが巻き起こった。
 ラオウは溜息をつくが、兵がリラックスでき全力を出せるだろうと
 前向きに考え、自身の緊張を高めていく事にした。
 
 
 
 
 
 荒野を吹き抜ける風をなびかせ、威風堂々とした足取りで
 敵陣目指して進軍していく。
 そのとき、斥候が勢いよく駆け寄ってきた。
 
  「前方、黄巾党に動きあり!」
  
  「うむ…愛紗!鈴々!瑞佳!」
  
  「御意!みなの者、戦闘態勢を取れ!作戦は先ほど通達したとおりだ!」
  
  「初撃をいなしてから、隙を見て転進!この場から後退するのだ!」
  
  「ここより二里先に狭間がある!そこに到達するまでは極力戦闘を避けて移動する!
   各々我らの指示を聞き逃すな!」
  
  『応!』
   
  「敵陣開門!来ます!」
  
  「北斗の兵士達よ!ゆくぞ!!」
 
  「勇敢なる戦士達よ!我に続け―――!!!」
 
 そう言って、愛紗と鈴々率いる部隊が敵に向かって進撃して行った。
 その動きに呼応するかのように土煙が天高く舞う…
 そして…両軍が激突した。
  
  
  「死にやがれ!」
  「コッチの台詞だこの野郎!」
  「俺のこの鉾捌きは誰にも負けた事無いんだよ―!」
  「俺が最初の男になってやろうか―!」
  「うほ…いい男」
  「やらないか」
  「テメーらの血は何色だ―――!!!」
  「ひゃっはー!」
 
 あちこちで上がる罵りあいと鋭い剣戟の音。
 悲鳴、怒号、叫びが絡まりあい…肉体や金属のぶつかり合う音が
 あいまって、戦場の雰囲気は巨大な音となり…
 本陣にまで届く。
 断末魔の叫びが起こるたびに、何処かで誰かの血が地へと撒き散らされる。
 目の前で繰り広げられる殺し合い…
 盗賊討伐の時とは違い、ラオウが先陣に立っていないため…
 自身の勢力のいくつかが命を落としていく。
 ラオウはひたすら…部隊の反転時期を見極めようと目を逸らさず
 目の前の光景を焼き付ける。
 前線はまだ粘っている…愛紗、鈴々の連携がそれなりに持っているためだろう…
 だが…
  
  「このままではジリ貧だな、まだ敵の全てを出し切れていない…か」
  
  「雛里ちゃん…まだなの!!?」
  
  「まだです…ラオウ様の言うとおり、敵の全てを引き出せていません…
   あと少し我慢してください…」
  
  「でも、このままじゃ前線が崩壊しちゃうよ…」
 
 確かに桃香の言うとおり、前線が崩れてきている…だが。
 
  「まだ大丈夫だ、愛紗や鈴々が持ちこたえてくれておる」
 
 ラオウの言葉に桃香が愛紗達の姿を探す。
 見つけた先には、奮戦している愛紗・鈴々の姿があった。
 
  「く…雑兵とはいえ、数が多いときついか…」
  
  「愛紗!このままじゃ、前線が崩れちゃうのだ」
  
  「分かっている…しかし、敵の後陣が様子見を決め込んでいるのだ…
   それを引き出さなくては、作戦の意味が無い」
 
 そう言いながらも、近づいてくる黄巾党の下っ端を次々と切り崩していく。
 その様子に味方は士気が上がり、更に持ち直し始めた…。
  
  「さすが、関羽様と張飛様だ…この方達がいれば俺たちは負けない!」
  
  「当然なのだ!」
  
  「我らは天の御遣いの天兵なり!餓鬼道に堕ちた獣風情に
   負けるはずが無い!だからこそ、あと少し踏ん張ってくれ!」
   
  『応!』
 
 その様子に、桃香はほっと胸をなでおろす。
 しかし、ラオウと雛里は油断をしない。
 
  「しかし、このままでは押し込まれるのも時間の問題か…
   桃香!雛里!本体の半数を前線に送り込め!」
  
  「はい!」
  
  「任せて!」
 
 大きく頷いた桃香が…
  
  「みんな、愛紗ちゃん達の部隊を助けにいくよ!私についてきて!」
 
 一端の将の顔立ちとなって、部隊を率いていく。
 
  「関羽様!張飛様!後方より本隊の一部が前進してきます!」
  
  「桃香様か!ありがたい…」
  
  「これでもう少し、時間を稼げるのだ!」
 
 そして、その様子に痺れを切らしたのか…遂に待ちわびた時がきた!
  
  「関羽様!敵の後方の部隊が援軍として突出してまいりました!」
  
  「遂に来たか!よし、桃香様の部隊と共に押し返し!
   反転させ、徐々に引いていくぞ!!」
  
  『応!』
 
 そして、本陣では…
  
  「ラオウ様!」
  
  「あぁ…遂にこの時が来たか…伝令!!」
  
  「は!」
 
 ラオウが掛け声を上げると、兵の一人が素早く駆け寄ってくる。
 
  「瑞佳の部隊に伝えよ!愛紗達の部隊の後退を援護しつつ、
   打ち合わせ通りに動けと!」
  
  「了解しました!」
 
 そして、瑞佳の下へと走り去っていく。
  
  「雛里、準備をするぞ」
  
  「ははい!」
 
 少し噛み掛けていたが、ラオウは気にしなかった。
 
  「本隊より伝令!劉備様達の部隊が後退して来るので援護しつつ
   打ち合わせ通りにせよとのことです!」
  
  「分かった…朱里…俺は部隊の維持に専念する、後退指揮は任せたぞ」
  
  「分かりました。瑞佳さんも頑張ってくださいね」
 
 そして、兵に伝達して行き、作戦態勢につく瑞佳隊。
 本陣は前線に合流し…
 
  「桃香、愛紗、鈴々」
  
  「ラオウ様。ただいま戻りました♪」
  
  「お待たせして申し訳ありません」
  
  「お待たせなのだ!」
  
  「それは良い…無事で何よりだ…すぐに反転するぞ。
   雛里!」

 無事な様子に安堵し、雛里に指示を出す。
 雛里はすぐに部隊の先導と指揮をする態勢に入った。

  「桃香は俺と共に本陣の指揮を!愛紗と鈴々は後退する瑞佳の補佐を!」
  
  『御意!』
 
 そして、後退戦闘へと突入した…その様子を別の軍が見ていた
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
  「華琳様、西方より砂塵を確認しました…
   おそらく、黄巾党と何処かの軍が戦闘をしているようです」
  
  「そう…この辺りに目をつけたとなると官軍では無さそうね」
  
  「だろうな―…今の官軍が主戦場を無視して重要拠点を狙うようなことしないもんな…」
  
  「む」
 
 一人の青年が行った事に対して頭巾を被った少女が睨みつける…
 どうやら、自分の言いたい事をほとんど言われて腹立てているようだった。
  
  「落ち着け、桂花…諸侯の中にも、なかなか見所のある人物がいるということでしょうな」
  
  「ふむ、一度顔を見ておきたいわね」
  
  「向かうのか?」
 
 華琳と呼ばれた少女に対して青年が語りかける。
 
  「そうね。でも今は目の前の事を終わらせるべきよ一刀。
   …春蘭、秋蘭」
  
  「「は!」」
  
  「躾のなっていない獣に恐怖というものを教えてあげなさい」
  
  「「御意!」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  「後方の状況はどうだ」
  
  「大丈夫!追い払わず、諦めさせずって感じで愛紗ちゃん達が頑張ってくれてる!」
  
  「ならばよし…雛里よ…後どれほどの距離だ」
  
  「もう、目の前です…あと少し…!」
  
  「伝令!」
 
 その言葉を聞いた地点で、ラオウが伝令を呼ぶ。
  
  「は!お傍に!」
  
  「先行する部隊に反転準備をさせ狭間の地点で二手に分かれて待機!
   その間を殿が通り過ぎたところで反撃に移ると伝えよ!」
  
  「は!」
  
  「桃香!雛里!我らも反撃の準備に移るぞ!!」
  
  「りょうかーい♪」
  
  「はい!」
 
 桃香はマイペース気味に…雛里は帽子がずり落ちそうなぐらい頷いたのを確認し…
 ラオウが号令を送る。
  
  「狭間を過ぎたところで右転し、殿と交代する!」
  
  『『応!』』
  
  「その後、勢いづいた敵の初撃を弾き返して谷の狭さを利用して各個撃破するから
   皆で一緒に頑張ろう!」
  
  『『おおおおおぉぉぉぉ――!!!!』』
 
 最期の号令は桃香…ラオウには劣るが中々の覇気がある。
 駆け足で進みつつ、兵士達は雄たけびを上げた。
 部隊の中に流れる一体とした空気…皆が皆、戦いへの高揚感に身を震わせる…
 そして、いよいよ戦場に君臨する…天の御遣いという名の覇者。
 道の両脇にそびえ立つ壁が、視界の隅から正面へ…やがて視界の端へと広がり始めて行き…
  
  「雛里…」
  
  「はい!ここなら大丈夫です!」
  
  「じゃあ、みんな回れ右―――!」
  
 桃香の掛け声と共に、兵士達が一斉に足を止め、その場で方向転換する。
  
  「皆さん深呼吸してください!」
 
 雛里の合図と共に兵士達が胸いっぱいに息を吸う音が聞こえてくる。
 その音が止んだ途端…まるで嵐の前の静けさのように…辺りがシーンとなった…。
 そして…
  
  「ラオウ様!愛紗ちゃん達が来たよ!」
  
  「…全軍に告げる!皆のもの間隔を空けて待機し愛紗らがすり抜けたと同時に再構築し
   敵の初撃を押し返すぞ!」
 
 そして、愛紗達の部隊が通り抜け…部隊を再構築する。
 愛紗達が戦列に加わったのを確認して…ラオウが吼えた。
  
  「敵を粉砕せよ!!!!!」
 
 一挙に殲滅されたのは言うまでも無い…直線上に放った剛掌波は敵を呑み込んでいき…
 手近に接近してきた敵も愛紗らが粉砕して行く…先ほどまでの偽りの苦戦が嘘かのように…
 
  「おい…なんだあの化け物は…」
  
  「たった一発何か撃ってきたと思ったら仲間が一気に…!?」
  
  「じょじょじょ冗談じゃねー!!!」
 
 敵の士気は下がり始めた…ここまできてしまえばもはや敵は烏合の衆。
 黄巾党はただただ逃げ始めたが…数の多さと後ろから来る味方の
 衝突により混乱するだけとなっていた。
  
  「北斗輯連打!」
 
 ラオウ流の北斗百烈拳…今回は秘孔を突く事ではなく、多くの敵を葬る事に特化していた。
 その疾い拳捌きに敵は対応しきれず、ただただ、拳に打ち砕かれるのみとなった。
 一方…朱里と雛里は策要らないんじゃなかったのかと唖然としていた…。
 ラオウには意図があった…それは、雛里達の軍師としての実力を測る事。
 結果としては、ラオウの予想を超える働きを見せた。
 ラオウは満足げに軽く笑い…顔を引き締めると…残る敵を一人を除き、殲滅させた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 おまけ1:黄巾党側前日の会話
  
  「おい、みんな見てみろよ」
  
  「なんだなんだ?」
  
  「北斗七星の横に星が光って見えるぜ?」
  
  「お、本当だ!」
 
  「俺たちの活躍を祝福してるんじゃねーの?今まで見えなかったし」
 
 そう言って…近くの村から強奪した酒を飲み干す…
  
  「どんな奴が来たって負ける気がしないな」
  
  「俺は、次の軍との戦闘に勝ったら張角ちゃんに告白するんだ」
  
  「じゃあ、俺は張宝ちゃんな」
  
  「おい、ずりーぞ」「俺が告白するんだよ」「ばーか止めとけ振られるだけだって」
  「なんか死にそうな気がしてきたのは気のせいか?」「何だ?弱気だなお前」
  「じゃあ、おれ張梁ちゃんな」(…俺星見えねー)
 
 翌日彼らがどうなったのかは言うまでも無い。
 
      :見えない人一人…彼は最後まで打って出る事を反対していた。
       そして、最期まで生き延び、とある村で真面目に働いていると言う…。
 
   
   
 
  おまけ2:戦闘の時のパラメーター…ラオウ
  
  ラオウ(バランス?なにそれおいしいの?)
  
  騎:8 槍:8 弓:8
   軍師時:長蛇陣・鋒矢陣・衡軛陣
 
  奥義Lv.1 必要ゲージ数:5
   北斗剛掌波 :敵兵-
    世紀末覇者拳王の放つ気の塊。
    その一撃は鋼をも打ち砕く。
  
  奥義Lv.2 必要ゲージ数:10 
   世紀末覇者 :自兵+ 自攻+
    世紀末を支配した風格。
    その風格はどの覇者に劣ることは
    決して無い。
  
  奥義Lv.3 必要ゲージ数:15 
   無想転生 :数ターン無敵
    敵の攻撃を一方的に受け流し攻撃を加える。
    …ラオウだけだろ?
    なぁにぃ?聞こえんなぁ~!
 
 
 
 
 
  瑞佳
  
  騎:3 槍:4 弓:1
   軍師時:鋒矢陣
  
  奥義Lv.1 必要ゲージ数:5
   北斗七死騎兵斬 :迎撃
    騎兵を倒すことに特化した拳。
    馬上の不利を知れ!!!
  
  奥義Lv.2 必要ゲージ数:10
   北斗龍撃虎 :突撃
    捨て身の特攻攻撃。
    同士討ちなんて無いですよ?
    
  奥義Lv.3 必要ゲージ数:15
   北斗琉拳の鼓動 :自兵- 自攻+ 敵攻-
    魔界へと入り込む禁断の拳。
    この時より魔拳として覚醒し始める。


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