ラオウは今、歴史と向き合っていた。
北斗の歴史の中で三つに分かれたという養父の話を思い出し…
今後の拡大されるであろう勢力について考えていた。
「曹操…孫権…あとは劉備、劉備は味方についているから良いとして…
この二人か。白蓮の話では曹操は太守…孫権は囚われの身で今は姉が客将として
袁術に従っている…か」
「ラオウ様」
強力な強敵手になるであろう勢力を吟味しているところに瑞佳が駆け寄ってくる。
ラオウは纏めた資料を仕舞い、瑞佳に向き直る。
「何の用だ、瑞佳…桃香は一緒ではないのか?」
「今は愛紗殿が護衛について町へ出ている、俺はただラオウ様が
どうしているのか見に来ただけだ」
「そうか…なら、我らも出るか?桃香に聞きたい事があるのでな」
「構わん…ラオウ様に護衛は必要なさそうだがな、一応着いてゆこう」
そうして、町を出歩く…子供たちは驚いた表情で見、老人には崇められ、
屈強な若者たちからは大きな挨拶をされた。
「凄い人気だな、天の御遣いの効果は伊達では無いということか」
「人気という意味合いでは無さそうだがな…」
街は穏やかな雰囲気で包まれている。
子供たちは元気に走り回り、若者たちや熟年の者たちは
仕事に精を出している。
「ん?ラオウ様、あれは?」
「人だかりか…ほとんど子供となると…」
そう言いながらその群れの中へと向かうラオウ…瑞佳も慌ててラオウの後を追う。
その中には…
「やはりか…」
「はうー、押さないでー」
「ラオウ様…それと瑞佳も」
子供たちにもみくちゃにされている桃香とそれを見守る愛紗の姿があった。
愛紗はラオウに気が付いたようで軽く会釈をする。
ラオウは目配せでそれに答える。
因みに…
「こら!誰だこの俺の尻を触った愚か者は!?」
瑞佳は即効で子供たちに揉みくちゃにされた。
どこか楽しいのは、子供が嫌いでは無いという証拠だろう。
「お姉ちゃん、劉備お姉ちゃんみたいな胸がないよー?何でー?」
「人には違いがあるんだ」
子供の言う事は残酷である…が、気にしていないようだった。
「桃香様が町へ出るといつもこの調子です。子供に見つかればもう諦めるほか無く…
この町に住み人々は老若男女、ねずみの一匹に至るまで桃香様を嫌うものはおりません」
「であろうな、桃香の雰囲気では好かれない訳が無かろう」
「桃香様は暇さえあれば、このような治安維持に努められております
時たま、瑞佳も巻き添えを食らっていますが」
「愛紗ちゃーん」
「こら!抱きつくな!?って手を離すな落ちるだろうお前が!」
どうみても、子供に振り回されて泣いているようにしか見えない。
瑞佳は子供が落ちないように支えている…一人を抱いて浮かせていたら
他の子供達も私も僕もと群がって抱きついてきた為、焦っている。
それでも子供とはいえ十五人を落とさず支えるとは、中々のバランス感覚だ。
「ラオウ様はどのぐらいお持ちになられるのですか」
愛紗が瑞佳の力に驚きつつも、ラオウに尋ねる。
「ふ、競う方が可笑しかろう…瑞佳より多く持てるとでも言っておこう」
「はぐらかしますか」
などと、談笑していると…
「こ、これ以上は無理だ…いいから来るな…」
十八人を抱えたところで限界に達したらしい。
腕はがくがくと振るえ、膝はわらっている。
「瑞佳ちゃんすごーい!よくそんなに持てるね―」
「い・い・か・ら・どけ・て・くれ」
倒れそうになっていたので、ラオウが支えて一人一人丁寧に引き剥がす。
子供たちはBooBooと言っていたが、瑞佳の表情を見て
全員が謝りだした。
『ごめんなさい、瑞佳お姉ちゃん』
「笑ながら謝るな!?反省しておらんな!おのれ―――!!!」
その表情を見ていたようで、子供を追い回す。
子供たちはきゃっきゃと笑いながら走り回っている。
「ふ、強引に追い回しに移行か…」
「抑えて走ってるよね…子供は嫌いだって言ってたのに」
桃香は解放されたようで、ラオウ達に歩み寄ってくる。
その目は瑞佳を優しく見ていた。
「平和だな…」
ラオウはしっかりと町の光景を眼に焼き付けていた。
かつて、自身が居た世紀末の風景とは違う、緑豊か(ラオウ価値観)で
町が活気に覆われている風景を…その時…
「泥棒―――!!!」
少し離れた場所で女性の悲痛な声が聞こえる。
治安が良くてもこういう輩は現れる…いや、治安が良いからこそ
人々の油断を突いてこのような輩が出るのだろう。
「…うつけ者が出たか」
「そのようだ、まったく…人がせっかく楽しませていたところに出てきおって」
「やっぱり瑞佳ちゃん子供たちと遊んでたんだね」
「…今はそれどころでは無いだろう桃香様」
「はいはい♪」
後で絶対にからかうつもりだ、ラオウと愛紗はこの時
見事に心の中で意見が一致した。
そんな時、泥棒が瑞佳に激突する。
「ってぇ、テメー邪魔だ!どきやがれ!!!」
「コイツが泥棒か…いかにもって顔だな」
「テメー、俺より顔が良いからって舐めた口聞いてんじゃねーぞコラ」
泥棒が挑発するような口調で瑞佳に詰め寄る。
「貴様と俺とでは顔が違うのは当たり前だろう」
「この野郎…女顔男の癖に、生意気だぞコラ」
「何を勘違いしているのかは知らんが俺は女だ」
町の女性が一気に瑞佳の胸に哀れみの視線を浴びせた。
泥棒の男はそれでも信じられないと…瑞佳のことを挑発し続ける
「は!その胸で女ー?まだ俺の方が胸囲があるじゃねーか」
典型的な死亡フラグの台詞です…どうもありがとう御座いました。
それはさておき、瑞佳は特に怒る事もせず…
「そんな脂肪の塊が何になる、戦闘の邪魔なだけだろう」
因みに本気で言っています。
「呆れを通り越して溜息も出ぬ」
「ラオウ様…本当に助けないで大丈夫なのですか?」
「平気だ…力量で言えば愛紗に匹敵する実力がある」
そうしている間に、泥棒男は秘孔を突かれるまでも無く
顔面に対する平手打ちでダウンした。
憲兵はしっかりと連行して行った…。
「瑞佳ちゃん」
「何だ、桃香様」
因みに桃香は瑞佳に敬語を遣うなといってある。
…ただ様付けだけは愛紗に言われて継続しているが
「あそこは怒らなくちゃダメだよ!」
「いや、意味が分からんのだが」
「どうやら、女の子としての自覚が足りないみたいね…
帰ったらしっかりと教えてあげるから♪」
そう言って笑う桃香の後ろには悪魔の化身が立っていた。
今の桃香ならきっと羅漢仁王拳を使えるだろう。
愛紗は半笑いになりながら、そのやり取りを見ていた。
その後、再び子供たちが集まってきてラオウ達を含めた全員で鬼ごっこをする事になった。
最初の鬼は勿論ラオウである。
ラオウがしっかりと十数える間…子供たちは広場の限られた範囲を走り回っていった。
桃香も一緒になって走り回っている。
瑞佳と愛紗も渋々一緒になっているが…その表情は楽しそうだ。
「あははは、楽しいねぇ♪愛紗ちゃん、瑞佳ちゃん」
「そうですね…偶にもこういうのも悪くはありません」
「そうだな、正直ラオウ様が参加するとは思わなかったが」
「そうだね、私も思わなかったよ、でも楽しければ良いんじゃない?」
「そうだな、偶には悪くは無い、次は桃香が鬼だ」
愛紗達と走りあいながら話していた桃香の後ろから猛スピードでラオウが出現し、
桃香の肩に触れた。
「ひゃい!?もう交代!!!?」
「さて、敵からの逃走は趣味では無いが逃げさせてもらう」
そう言って…超足で走り去った。
それにしてもラオウ乗り気である…どんな勝負事にも手は抜かぬらしい。
桃香は暫く唖然としていたが、ようやく気を取り直し…
鬼として追い回した。
が、結局疲れて夕方になるまで誰一人として交代することは無かった。
「みんな酷い―――!!!?」
NGその1
後で絶対にからかうつもりだ、ラオウと愛紗はこの時
見事に心の中で意見が一致した。
そんな時、泥棒が瑞佳に激突する。
「ってぇ、テメー邪魔だ!どきやがれ!!!」
「コイツが泥棒か…いかにもって顔だな」
「テメー、俺より顔が良いからって舐めた口聞いてんじゃねーぞコラ」
泥棒が挑発するような口調で瑞佳に詰め寄る。
「貴様と俺とでは顔が違うのは当たり前だろう」
「この野郎…女顔男の癖に、生意気だぞコラ」
空気が一瞬凍った…ラオウは助太刀するまでも無いと桃香達を抑えている。
愛紗は最初は助太刀しようと進言していたが…凍った空気を悟って
大人しくなった。
「おい、貴様俺の性別を言ってみろ!」
「あぁ?男だろ?その胸はよう、女装男」
男の秘孔を、寸分違わなく打ち込む。
今の速さならラオウに圧敗はしないだろう…それでも負けるが…
「なんだ…体が動かねえ…」
「もう一度だけ機会をやろう…俺の性別は何だ?」
心臓の弱いものが見たら、一瞬にして命を奪うような形相で男を睨む瑞佳。
…愛紗達と出会って以来、自身に女としての自覚をしたばかりで安定して無いため
馬鹿にされるのが分かると一気に沸点に到達するのだ。
「お…女です、あなたは女で御座います…だから助けて……」
「俺は嘘が嫌いなんだ…あたたたたたたたたたたたたたたたたったたたたたたた!!!!!」
そう言って、男をタコ殴りにする。
普通ラオウは止めるだろうが…秘孔を突いてない事が分かっているため
止めなかった。
ラオウ以外の見物人は泥棒の冥福を祈った…
:普通こうなるよなー
NGその2
その後、再び子供たちが集まってきてラオウ達を含めた全員で鬼ごっこをする事になった。
最初の鬼は勿論ラオウである。
ラオウがしっかりと十数える間…子供たちは広場の限られた範囲を走り回っていった。
桃香も一緒になって走り回っている。
瑞佳と愛紗も渋々一緒になっているが…その表情は楽しそうだ。
「あははは、楽しいねぇ♪愛紗ちゃん、瑞佳ちゃん」
「そうですね…偶にもこういうのも悪くはありません」
「そうだな、正直ラオウ様が参加するとは思わなかったが」
「そうだね、私も思わなかったよ、でも楽しければ良いんじゃない?」
「そうだな、偶には悪くは無い、次は桃香が鬼だ」
愛紗達と走りあいながら話していた桃香の後ろから猛スピードでラオウが出現し、
桃香の肩に触れた。
「ひゃい!?もう交代!!!?」
「俺は逃げもせぬ!見事このラオウに当てて見せよ」
そう言いながら、桃香が手を触れようとした時に無想転生で回避し続け…
大人気ない事をしていた。
その後…その行為を見ていた瑞佳が北斗宗家に対し無想転生の事を伝え
大人気ない究極奥義として伝わっていった。
理由が悲しいとして後に伝わり曲解されて無想転生は深い哀しみを背負った時に
習得できるとされた。
:こんな無想転生だったら
未来のケンシロウとラオウが知ったら泣くだろうなー…
つか、鬼ごっこに究極奥義使うな