多分9話目くらいだったと思います。
どうでもいいですが投稿したときの番号はは-1されるため実は一話ぶん少なくなっている気がしてなりません。
前回の続きからです。オリジナル展開が半分くらいあるので我慢してください。
二人のデバイスが交差する。間にはジュエルシード。なのはとフェイト、二人の強大な魔力にさらされたジュエルシードは―
「なんだ!この光は!?」
アルフとの睨み合いを続けていた彼はすぐ近くの光の柱を見て気色ばんだ。
「ジュエルシードの暴走だ!」
唯一その状況を理解したユーノが叫ぶ。二人の魔力によってジュエルシードが反応し、小規模な次元震を引き起こしたのだ。その衝撃でなのはとフェイトは吹き飛ぶ。彼女らのデバイスもその余波を受けてボロボロだ。
「高町!無事か!?」
「な、なんとか……」
光の柱は徐々に収まるが、ジュエルシードは以前魔力を放出し続けている。ここでフェイトが動いた。
力の放出を続けるジュエルシードの封印を素手で行ったのだ。
「フェイト、駄目だ!危ない!」
「デバイスも使わず素手での封印なんて、無茶だ!」
アルフとユーノはその行動を見て叫ぶ。発動したジュエルシードは莫大な魔力の保有タンクである。それを独力で封印することは無謀に近いことだった。フェイトは両腕でジュエルシードを包み込むようにして念じ続ける。
「止まれ、、、止まれ、、、止まれ。。。」
両の掌が焼けるような痛み。それを無理やり押さえつけた。
しかしジュエルシードの発動は止まらない。
「無理だ!魔力の暴走が強すぎる!このままだとこのあたり一体が吹き飛ぶ!」
「フェイト!無茶だ!手を離して!」
それでもフェイトは手を離さない。
「止…まれ、止まれ、、、止ま……って」
フェイトの力が段々弱まる。それに伴いジュエルシードの輝きが段々強くなる。発動に耐え切れずそのまま吹き飛ぶのは時間の問題だった。
「フェイト!!駄目だ!このままじゃ……だれか、フェイトをたすけてぇ!」
アルフの悲痛な叫び。すでにジュエルシードの力は大きくなりすぎてそばに近づくことすら困難になっている。
「任せろ」
その時、不思議な事が起こった。
一匹の猫が駆けていった。それはあらゆる力を退けてジュエルシードのところまで駆けて行った。
「どいつもこいつも無茶をする」
フェイトは気を失う寸前にその言葉を聞いた。
(かあ…さ……ん)
鈴の音が鳴った。
気絶したフェイトを抱え、アルフは一匹の猫に向かって話しかける。
「なんであたし達を助けたんだい?」
「お前が望んだからだ。ついでに言えば後ろでこっちを見ているやつがそいつがいなくなることを望まなかったからだ。あとは、まぁ気まぐれだ」
「そうかい。一応礼はいっておくよ。理由はどうあれフェイトを助けてくれたのに変わりはないからね」
彼女にしてはとても珍しい言葉。それはアルフの本心からの言葉だった。
そしてアルフはフェイトを横抱きにしたまま夜の街を消えていった。
「さて、逃げられたが、まぁいいだろう?高町?」
「フェイトちゃん、大丈夫かなぁ」
状況を見ていたなのはが呟く。彼女にとってはジュエルシードを奪われたことよりもその封印に無茶をしたフェイトのほうが心配であった。
「なに、俺は魔法関係はよく分からないが見たところ大きな怪我はなさそうだったぞ。ジュエルシードを抑えてた掌くらいだろう」
そっか、となのははその言葉に安堵した。
「あいつは無事だったがそれよりも…」
しかし、その言葉はユーノによってさえぎられた。
「あのー」
「?どうしたユーノ。鳩が豆鉄砲食らった顔してるぞ」
「えっと、どうやってあの状況を収めたんですか?」
「企業秘密だ」
次元航行船アースラ。時空管理局所属の船である。その船は一路海鳴市へと航路を取っていた。
「次元震の発動は厄介ね…」
アースラ艦長、リンディ・ハラオウンは一人ごちる。下手をすれば次元断層が起こり、周辺の次元にまで影響が出た可能性もあったのだから当然といえる。
「しかし、小規模の次元震発動後、さらに大規模な次元震発動寸前に嘘のように痕跡が消えました。何があったんでしょうか?」
アースラのオペレーター、エイミィ・リミエッタがその声に反応する。
「なんにせよ、現地の捜索者たちの話を聞いてみないと話は分からないわね。その部分だけモニターできていないし…」
何があったか分からない。そのことにリンディは眉根を寄せた。
「…クロノにはいざとなればすぐに介入してもらわないといけないわね」
彼女の隣に立つ、少し背の低い少年に言う。その表情はとても晴れやかなものとはいえなかった。
「大丈夫ですよ。リンディ艦長。僕は、そのためにいるのですから」
だが、黒衣の執務官、クロノ・ハラオウンは自信ありげに答えた。
その自信は彼自身の自負によるものかはたまたただの強がりか。
翌々日。
その日から高町なのはは学校を休み始めた。教師の話では家庭の事情ということでしばらくの間学校にこれない、ということだった。
この知らせを聞いて驚いたのは彼女の親友達である。
「なのはちゃん、大丈夫だよね?」
唯一事情を知っているはずの男も今回の休みについては詳しい事情を知らないらしく彼女の疑問に答えることはできなかった。
「どうやら俺の役目はここまでだったらしい。おそらく高町は自分の足で歩く道を選んだのだろう。心配するな、とはいえないが、何、そのうちひょっこり帰ってくるさ」
俺に一言も言わずに消えたのはどうかと思うがな、そう続ける彼の姿にすずかは何もいえなかった。
なのはのことを頼んだのは自分であるが、そのなのは本人がどこかに行ってしまったのではどうすることもできない。すずかにとっては仕方がない、と思う一方彼に無理やりでもついていって欲しかった、という思いがあった。もちろんこれは彼女の我侭である。彼にも自分の生活がある。それを放棄してまでなのはの助けをしろ、というのは無茶である。しかし、それでも彼女の胸のうちにはほんの少しだけそんな思いがあった。
未だ彼女は自覚していないが―それは嫉妬という感情だった。
親友の助けになれない自分。助けられる位置にいた級友。自分が彼の立場だったら何を置いても彼女を助けただろう。しかし現実はそうならなかった。
親友はどこか遠いところに行ってしまった。もしかしたらそのまま帰ってこないのではないか。何かに悩んでいる親友は悩んだままどこかに行ってしまうのではないか。
そしてそれを知りえたかもしれない立場にいたのは―自分ではない。
論理立てて思考したわけではないが、すずかはもやもやとした感情を持つのだった。
十日後
高町なのはは一旦帰宅が許された、ということで久しぶりに学校に登校していた。久しぶりに会う親友達、クラスのみんな、そして、
「八神、くん…」
手助けを頼んだ相手。
「久しぶり、というほどでもないな、高町」
いつもどおりの飄々とした答え。
「それで、少しはうまくいきそうか?」
彼はきかなかった。いなくなったことに関しても、この数日何をしていたかも聞かなかった。ただ、うまくいきそうか、ということだけを聞いた。それがなのはにとって意外だった。
「え、うん…自分のやりたいように、やろうと、思う」
「そうか。ならばよし。これで俺も枕を高くして眠れる」
そう言って安心したような笑顔を見せた。
「えっと、ごめんなさい」
「意味のない謝罪は受け取らない主義だ」
「心配、かけちゃっただろうし、私が手伝ってっていったのに急にいなくなったりして…」
なのはにとってはそれだけが気がかりだった。フェイトちゃんとお話をする。どんな事情なのか聞く。それは自分が決めたこと。そのために彼に対して助けを求めたのに自分が勝手にいなくなった。それを身勝手と思っていた。
「そんなことはどうでもいい。手伝いを承認したのは俺だ。ま、知らぬ仲でもないわけだし、な」
「でも…」
「もういい、と言っているんだ、さ、君の親友達が待っているぞ。俺なんかに時間を割くよりも彼女達を安心させてやれ」
それは本心からの答え。首を突っ込んだのは自分。それをしようと決めたのも自分。自分で決めたことに対して謝られる理由はどこにもない。彼はそう考えていた。
そして向こう側でこっちの話が終わるのを今か今かと待ちわびている少女達を指差して、尻尾を振るのだった。
数日後…
「なんや、にいちゃんご機嫌やなぁ」
「ん?そうか?はやて?」
「うん、なにがあったん?」
「一人の寂しがりやが一人だと思い込んでいた子と友達になった、それだけの話さ」
そう言って笑う一匹の猫を見て、はやては首をかしげるのだった。
と言うわけで無印編終了です。テンプレどおり行くならフラグや伏線を張りまくってそれを全部ガン無視したり、叩き折らねばなりません、
さらにみんなやってるテンプレとして途中で更新を断絶しなければなりません。
完結させるのに更新断絶しなければならない。両方やらねばならないのがテンプレのつらいところでした。
本当は一話か二話で打ち切ってもよかったのですが、まぁこの辺だろうと打ち切りです。
と言うわけで次回からはA'S編に入ります。
あれ、あの部分はどうなったの?と言う質問があればどうぞ。答えられれば答えます。
3/14 投稿
3/17 修正