大体7話目くらいな気がします。
僕の作品は誤字が多いのですが気のせいです。
前回がフェイトさんとの初邂逅だったので今回はその次のお話です。
前半の山場、温泉編です。登場人物が少々多いので大変です。
「つーん」
「なぁはやて・・・・・」
「つーん」
「ちょっとは話を・・・・・」
「ふーんだ、兄ちゃんなんか知らんもん」
駄目だ。処置なしだ。
最近俺がはやてに内緒でジュエルシードを探索に行っているのが気に食わないらしい。しかし真実を告げるわけにもいかないしなぁ・・・。
「ああ、にいちゃんはあたしを捨ててどっかいってしまうんや。そうして捨てられるあたし・・・なんてかわいそう」
「そんなことはしないといっているだろう、最近は少々物騒だから見回りをしているだけだ」
嘘は言ってないぞ。すべて言っているわけではないが。
「ふんだ。にいちゃんはあたしと一緒にいるのが嫌になったんや。もっと他にいい場所がないか、もっといい女はいないか探してるんや」
はやては車椅子に座って向こうを向いたままこっちを見ない。
傍から見れば子供がすねるのは微笑ましいのかもしれないが当事者としてはたまったものではない。何とかして機嫌を直してもらわねば。
・・・正攻法の説得は諦めよう。ここは一つ搦め手で行くか。
「ふむ、確かに最近ははやてをないがしろにしすぎたかもしれんな」
「謝ってもゆるさへんよ」
ぬ、これは少々怒りが深いか?仕方ない。ここはあの話を切り出すか。
「いや、そうじゃない。実は最近温泉に来ないかと誘われていてね」
はやれの肩がピクッと動く。脈ありか!はやては外出が少ないから旅行の経験は少ないはずだ。
「ふ、ふん。どうせにいちゃん一人で行ってまうんやろ」
心外な。俺はそんな外道じゃないぞ。
「いや、俺も車椅子の家族がいるから、と断ろうとしたのだが、先方はそんなことは気にするな、是非一緒に来てくれ、ということでな」
「そ、そんなんいうてもごまかされんからね」
「最近の罪滅ぼし、というわけでもないが一緒に行かないか?」
ぬ、よく見るとはやての肩が震えているのが分かる。もう一押しか。
「向こうからも是非、といわれているんだ。頼むここは俺の顔を立てると思って一緒に温泉に行ってくれないか?」
そういうとはやてはこっちをようやく振り向いた。
「そ、そこまで言うんなら一緒に行ってあげんでもないよ?あ、勘違いせんでねあくまでし・か・た・な・くやからね!」
口調こそ仕方ないから行ってやるといった感じだが久しぶり、ともするとはじめての温泉旅行に口が笑っている。
「あぁ。分かっているよ。俺のために一緒についてきてくれてありがとう」
やれやれ、機嫌も直って帰りが遅いこともごまかせて結果オーライ、という奴か?
「あ、でも帰りが遅いことに関してはまだ怒っとるんやからね」
・・・・・・まだこれからか。
こうして俺達ははやてと一緒に全国的な連休、その少し前に温泉旅行に行くことになったのであった。
「ふわー大きい旅館やねー」
車から車椅子ごと降りたはやては目の前の旅館を見てそう嘆息した。
「ここらでは一番有名な温泉らしいぞ。料理もうまいらしい」
「にいちゃんよくこんなところ知っとったなぁ」
車椅子を押してもらいながら玄関に入る。
「いらっしゃいませ」
「予約した八神だ」
「!!し、失礼いたしました!!」
その瞬間目の前にいる仲居が血相を変えて飛んでいく。
・・・数分後には目の前にずらりと仲居や番頭、女将から板長まで揃い踏みだ。
その中で恭しく女将の女性が頭を下げる。
「その節は大変お世話になりました。何もないところではございますが本日はごゆるりとお寛ぎくださいませ」
従業員一同が一斉に頭を下げる。猫相手に。
「・・・にいちゃん、なにしたん?」
「なに、人助けを少々ね」
車椅子ということで介助をしてもらいながらはやては温泉に入る。隣では女将がはやてのためにいつも控えている。
「お湯加減はいかがでしょうか?」
「あ、ちょうどええと思います」
はやてはそんな会話をしながら疑問に思ったことを聞いてみる。
「あの、うちのにいちゃん、一体何をしたんでしょうか、にいちゃんは人助けいうて教えてくれんのです」
すると女将は微笑んで
「あの方のおかげでこの旅館は今も建っているのです。そしてそれに従業員一同は感謝しております。申し訳ありませんがそれ以外申し上げることはできません」
そういうのだった。
「は、はあ。なんや分からんけど悪いことではないんですね」
「もちろんです。今回の旅行も私たちが御礼をするために無理に、と申しあげて来ていただいたのです」
なんかうちの猫は色々と規格外だなぁ・・・いまさらながらはやてはそう思うのだった。
温泉から部屋に戻るとはやての前には海鳴では見たこともないような海の幸、山の幸が所狭しと並んでいた。
「お。もどってきたか。温泉はどうだった?」
「う、うん気持ちよかったわ。にいちゃんは入らへんの?」
「後ではいるさ」
どうやって。はやてはその言葉を飲み込んだ。
「今は食事にしよう。板長が腕によりをかけて作ってくれた料理だぞ」
確かに目の前には料理番組でしか出てこないような料理が並んでいる。はやては段々不安になってきた。まさかこれは夢やないんか?
「にいちゃん。ここの料金とかってどないしたん?」
「タダだ」
「タダって・・・無料!?」
「向こうが是非にというものでな。料金の事を聞いたらそんなものはいらない、とさ」
その時襖がすっと開いて板長と女将が入ってくる。
「八神様からお足を頂くわけには参りません。これはわたしたちの感謝の気持ちなのですから」
「ボンズには俺達も世話になった。あの時ボンがいなかったらと思うと・・・」
「よしてくれ板長、女将。俺はただちょっとお節介をしただけさ」
「いえ、そんなことはございません。今ここに無事に旅館を経営できているのは八神様のおかげでございます」
「そうそう、今日のは飛びっきりの料理だ。冷めねぇうちに食ってくれ。ほらお嬢ちゃんもな」
考えるだけ無駄だ。はやては思考を放棄した。もういいや。目の前にはおいしい料理がある。あ、この料理のレシピ後で教えてもらお。
欠食児童もかくやという勢いで食べ始めたはやてを見て
「うむ、元気が出たようでよかった」
そう呟いた。
「なぁにいちゃん・・・」
「なんだはやて」
「展開おかしない?」
「知るか」
とうわけで温泉編です。テンプレ通りに行くなら温泉旅行に行かないといけません。オリ主はみんな行っています。これまでよりも少々登場人物が多かったので大変でした。はやてがいるので彼女と一緒に行くとなるとどうするか。それがこのお話の難しいところでした。
次は次元震の話かな?そこまでいけるといいけど。