クリスマスです。
最初からこの日に投稿することだけ決めてました。
年が経ってるのは気のせいです。
でっていう。
闇の書。それは災厄の書といわれる悪魔の書。
かつてはただの魔法の資料本だったものがいつからかそう呼ばれるようになった。かつての持ち主たちは集めた魔法、魔力を使って様々なことをしようとした。
そしてその中で一番多かったといわれるものが。。。
今代のマスターである八神はやて。闇の書に侵食された哀れな少女。彼女の騎士たちは少女を助けるために魔力を、魔法を収集した。それがどのような結果になるとも知らず。
そして、今、闇の書は完成した。
ここから語られるは彼らに救いのない物語。
完成した闇の書に飲まれた少女とそれを救おうとした者たちの物語だった。
眠い…
ここで…どれくらい寝ているのだろう…
今は…このまどろみの中で…
ゆさゆさ
誰かが私を起こそうとしている…でもいいんや…もう少し…。
「あのー」
ゆさゆさゆさゆさ
「すいませーん。ちょっとおきてもらえますかー」
もう少し、眠らせてほしい…今は何も考えず…
「ちょっともうおきてくださいよ。こっちだって仕事なんですからほら」
「うるさいわ」
はやての寝起きは悪かった。
「なに、なんかようなん?」
若干いらいらしながらはやては目を覚ました。起きたときの感想が「死ねば良いのに」だったのは内緒だ。
はやての目の前には天使?らしき人?がいる。
背中には白っぽい羽が生えているし、わっかも付いている
スキンヘッドで巨漢だが。
「何?なんなんあんた?」
寝起きで少々不機嫌なはやてはそう切り出した。
「闇の書の管制人格です」
「…帰ってくれへんかな」
「そういうわけには…」
申し訳なさそうに語る管制人格。見た目の割にはとても腰が低い。
「そんで、管制人格さんが何の用ですか?」
「守護騎士たちが魔力を集めたのでマスターであるあなたの願いを叶えに来ました」
この発言にははやても少し驚いた。守護騎士たちが隠れて何かしているのは知っていたがまさかそんなことをしていたとは
「願い…あの子らそんなことしてたんか…」
「そういうわけで願い事をどうぞ」
「う~ん」
「さ、どうぞ」
「え、ちょおまってって、あ、ちょっと待つってのは願いやないよ!?」
「判ってますよ、そんな子供だましみたいなことしませんって」
「…あんた、ええ人やな」
よくお話に出てくる発言したこと全てを叶えてしまうような存在とは違うらしい。はやては少し落ち着いた。
「うーん、願いって言われても急には思いつかんなぁ。どんな願いでも叶えてくれるん?」
はやての問いに管制人格は答える。
「いえ、どんな、と言われると語弊がありますね。そこそこ程度で叶えられると思ってください」
「まぁ、そやね。何でも叶ういうほうがおかしいしなぁ」
「そうですね、それなりの願いなら叶えられます」
かなり曖昧な基準だがはやては頷いた。
「じゃあ願いの数を10個に増やすってのは?ちょお難しい?」
「できますよ」
「え、できるん?」
聞いたはやてが驚いた。
「はい、これで願いは10個になりました。さ、後10個の願いをどうぞ」
「なんか滅茶苦茶融通きくんやなぁ…」
「じゃあまず、順当なところでお金とかは出せる?よく漫画なんかやと億万長者になりたいなんてあるやん?」
まず最初の願い。よくある物語での願いだ。
「…額によりますねぇ。お金を勝手に作るわけにはいかないのでどこかから誤魔化して持ってくるのが…」
「え、そんなん魔法で一発ちゃうん?」
管制人格はその問いに言い聞かせるように答える。
「良いですか?この世界のお金とは信用で成り立っています。信用で成り立つから紙幣なんてものが流通するんです。もちろん私は紙幣とほとんど同じものを作れます。けどそれは偽札を作っているのと同義です。それでは犯罪者ですし、億万長者にもなってません。紙幣には全部番号も入っていて勝手に作るわけにはいかないんです。そしたらどこかから誤魔化して持ってくるしかないじゃないですか」
正論である。確かにはやても偽札を作ってほしいわけではない。
「じゃあ、いくらくらいなら誤魔化せるん?」
「うーんこの世界なら5、いや6万円くらいなら何とか…」
「微妙な額やな…」
「そもそも私はとくにお金に困ってるわけちゃうんよ。よくある願いやから聞いてみただけやねん」
「あ、そうなんですか。じゃあ他の願いをどうぞ」
「うーん。今までの人はどんな願い事してきたん?」
今代と言うことはこれまでにも願いをかなえてもらった人がいるはずだ。ならどんな願いか参考までに聞いてみた。
「そうですねぇ。。。健康でいられますように、とかですか」
「へ、そんなん?」
「そうですよ。健康第一。すばらしいですよ。あ、でも寿命では死にますよ。後事故とかにあっても死にます」
「なんか微妙やなそれ…」
「それと風邪とか腹痛とかにはなりますからね。その辺はあきらめてください。
「だんだんあんたがしょっぱく見えてきたで…」
「まさにそのとおり。しょぼくはないですがそこまで大きいものは叶えられないんです。大体魔力を集めただけで何でも願いが叶うなんて考えるほうがおかしいです。世界?たかが魔力で世界が壊せるわけないじゃないですか」
どこまでも正論である。
「まぁそんなもんかもわからんな…」
願いと聞いて少し上がっていたテンションが下がってだんだん冷静になってくる。
「あ、健康と言えばあたし今足が動かんのやけどこれは治せる?結構ええ願いやろ?」
原因不明で動かないはやての足。これが治るなら非常にうれしい。
「それは…難しいな…」
「え、なんでなん?ええやん治してーな」
ちょっとはやても真剣な願いなので必死だ。
「いいですか、あなたの足は動きません。しかしこれを治してしまっても動くかどうかとは別問題なんです」
「?いまいちわからんよ?どういうこと?」
「ですから治すことと動くことは別問題なんです。その足を『治す』と言うのがどの範囲なのか私にはわからないんです。あなたの足は生まれたときから動いてないでしょう?つまりそれがあなたの中ではそれが『正常』となってしまっているんです。『治す』というのは元の状態にすることですから『正常』のものを『異常』にはできないんです」
「じゃあこの足を動くようにしてーな。それならできるやろ?」
「できますけどそれ、意味ないですよ」
足が動くと言う願いに意味がない?なぜそうなるのか意味がわからない
「なんで意味がないん?」
「だってもう動きますから」
「は?」
「だからもう動きますって。足が動かなかったの闇の書のせいですから。開放されたからあとはリハビリすれば動きますよ。当たり前で書そんなこと。だから治していいのか効いてたんです。『正常』に戻すんなら動かなくするんですから」
確かに動かないことが『正常』ならそれに戻るのは真っ平だ。
「そっかぁ…もう動くんや」
感慨深げにつぶやいた。
「てゆーかあんたのせいやったんか」
「あ」
「まぁ過ぎたことはもうええわ。健康のほかにはどんな願いがあったん?」
ついでなので聞いてみる。後10個の願いが丸々残っているのだ。
「そうですね、次元世界が滅びませんようにってのがありましたね」
「え、それ凄いでかい願いやんか」
驚くはやて。確かに次元世界丸々守るなら大きな願いだ。
「いや、そうでもないですよ。次元世界っていっぱいありますし、むしろ滅ぼすほうが難しいですよ。昔あったアルハザードとかいうところだって滅んだとか言いつつ残ってますからね」
「確かに世界滅ぼすなんて普通できんわなぁ…」
正論である。
「よくいるんですよね、無茶な願いをしようとする人って。できないっていってんのに叶えろーとか。できないっていってるのに無理やり叶えようとするから魔力が暴走しちゃうんですよ。たかが魔力を集めただけなのに何期待してるんでしょうね?」
「なんや怖いなぁ…」
「大丈夫です。できないってことはできないって言いますし」
どこまでもできることと正論しか言わない管制人格だった。
「うーん、なんか考えてみたけどそんな願いなんてあらへんなぁ」
考えてみたが浮かばない。急に願いを出せと言うほうが無茶かもしれない。
「ま、どんな願いでもとりあえず言ってみたらどうですか。できるかどうかはこっちで判断しますよ」
「あ、じゃあまずさっき願いを10個にしたけど2つくらいにしてもらえる?」
「良いですよ・・・はい、後願いを二つどうぞ」
「そんならなぁまず、私の足がうまく動くようにってのお願いするわ」
確かに現地はもらったがそこはやはり不安なのだろう。はやてはそれを願った
「はい、大丈夫です。努力しだいで必ず動きます」
叶えたらしい。
「そしたら後一つは………」
12月24日 投稿