随分長いことここにいる気がします。
気づいたら投稿を始めてから3ヶ月経っていました。
未だにAsの4話目くらいです。
馬鹿にしてるのか。
私立聖祥大学付属小学校。ここに一つの変化が訪れようとしていた。
教壇にたった先生はニコニコと笑いながらそれを告げた。
「今日は皆さんに新しいお友達を紹介します。フェイトさん入ってください」
すでにそれを知っているなのはやすずかはどこか楽しげな気配を漂わせている。
「フェイト・テスタロッサです。よろしくお願いします」
緊張半分嬉しさ半分の表情をしたままフェイトはそう挨拶をした。
「すごい人気だな……」
休み時間。フェイトの周りには黒山の人だかりができていた。海外からの留学生となれば無理もない。フェイトは周りの勢いに少々流され気味だ。
「あれは、ちょっとかわいそうかも……」
その様子を見たなのはが心配そうに言う。
「やれやれ、仕方ない。何とかしてやるか」
そう告げると黒山へと一匹は突貫して行った。
「静かにしろ。質問をするな、とは言わんがもう少し状況を考えて言え」
「あ、もしかして…にいさん?」
「久しぶりだな。テスタロッサ。何があったかは知らんがいい顔をするようになった。まぁ質問攻めにされるのは転校生の宿命だ。諦めろ」
見知った顔が突然現れて一瞬驚いたフェイトだったが、すぐに笑顔になると落ち着きを少々取り戻したらしい周りからの質問に答え始めるのだった。
「さて、と」
何かを考え付いたらしい猫は楽しそうに笑うのだった。
「高町、テスタロッサ。話がある。ちょっと付き合え」
放課後。彼はなのはとフェイトを呼び出した。目的は、この町で起こっていることの調査、はっきり言えばなのは達の状態を探ることである。
「さて、要件はわかっているな?」
「えっと、なんのことだがさっぱり……」
「とぼけるな。最近の不穏な町の空気。得体の知れない力の動き方。とどめにテスタロッサの転入だ。これで何もないと言い張るほうがおかしいぞ。どうせまたなにかろくでもない事が起こっているのだろう?」
本当は知っているのだがその辺を空とぼけて聞く。
「なのは、どうする?」
「うん…あまり言いたくはないんだけど……」
「詳しく話せ。まずは何がどうなっているか。なにが始まっているか、な」
しかし彼は追撃の手を緩めない。ここで相手の情報できれば戦力や状態を知っておきたい。
「……わかった。あんまり詳しいことは私も良く知らないから話せないんだけど…」
ここでなのはは事情を説明することを選んだ。これにはいくつかの理由がある。まず彼が実力者であるということ、そしてなのはに彼に対する負い目があったことである。
前者の理由はもはや言うまでもない。彼が自分でも適わない程の実力者なのはすでに知っている。そして頼りになることも。なのはにはもしかしたら彼が自分達を手伝ってくれるかもしれないと考えた。もちろんそこまで論理だてて考えたわけではないだろうが――そんな考えがないとはいえなかった・
そしてもう一つの理由。これはなのはが春先の事件で何も言わず彼の前から姿を消したときのことである。自分で手伝いを求めておきながらそれを勝手に自分から放置する形になってしまった。しかしそのことを彼は責めるでもなく許してくれた。そのことに対する負い目が彼女に残っていた。つまり、彼の頼みはなんとなくなのはにとって断りづらいのである。
「なのは、いいの?」
「うん。クロノ君やリンディさんには私から言っておくよ」
「……そのクロノとリンディとやらの話も聞かせてもらおうか」
聞きなれぬ名前を耳にし、敵に回るかもしれない相手に彼の瞳がきらめいた。
「ふむ、時空管理局に魔道師、か」
なのはたちから得た情報。聞いた限りではかなり大規模な組織らしい。そして守護騎士の目的。
「リンカーコアの蒐集、それによる闇の書の完成か」
はやてが蒐集を命じたとは思えない。はやては誰かを犠牲にしてでも足を治すことを優先するとは思えない。先日の言動からしてもあいつらが勝手に動いているのは明白だ。ならば導き出される答えは一つ。
「あいつらが勝手にはやてを治そうとしている、といったところか」
あるいははやてを本物のマスターにしようとしているか。おそらくはやての体の麻痺が広がっていることに奴らは気づいている。このままでははやてが長くはないということも。それを治すために主の意思に背いてまでも蒐集を行っているのだろう。
「いや、まだだ。情報が足りんな……管理局とやらが言うには闇の書は破壊の力しか生まないらしい。あいつらがそれを知らないとは思えない……何か裏があるな……」
はやての足は治りました。代わりに世界が滅びました、では話にならない。何かこの話には裏があるように見える。どこか、大事なピースが抜け落ちている。
「しばらくは、様子見だな…」
隣にある覆面に目をやると一つため息をついた。
数日後
「はやて、少し出かけてくる」
「にいちゃん?どこいくん?もうすぐ夕飯やで?」
「なに、少々約束を守れない馬鹿がでそうなのでね。今のうちに馬鹿どもを引きずってくるよ」
八神家家訓。夕食はなるべくみんなでとること。(一部例外あり)
八神家にはいくつかの掟がありこれを破ることは最大のタブーとされている。(決めたのは彼なのだが)
「あー、みんな今日もまだ帰ってきとらんもんなぁ。お手柔らかに、やで?」
「さぁな」
「レイジングハート!カートリッジロード!」
「バルディッシュ。カートリッジロード」
『『load cartridge』』
2つのデバイスがカートリッジをロードする。それは彼女達が得た新しい力。
そして彼女達は空を翔ける。
「アクセルシューター!」
なのはの周りから桃色の魔力球が生成され周囲を飛び回る。その数は放射状に十二。これまでのなのはならまず制御はできない。
「こんなの制御できるわけがねぇ!」
ヴィータはそれを見て魔道師のキャパシティを超えていると判断した。
しかしその言葉とは違いなのははそれを制御した。しきって見せた。
「シュート!!」
桜色の魔力球がヴィータに襲い掛かる。その威力は以前の比ではない。
「障壁!」
『Panzer Hindernis』
ダイヤモンド形の障壁をはりそれらを防ぐがカートリッジにより威力を増幅された魔力はヴィータの障壁を徐々に削っていくのだった。
(くそっこのままじゃ……)
ヴィータは相手の成長に舌を巻くがそうも言っていられない。このままでは敗北してしまうのだから。
しかし事態は更にヴィータにとって悪化していった。
「行くよ…!これが私の…!」
(まずい!あのレベルで打たれたら…!)
恐るべきはなのはの魔力制御と収束能力である。アクセルシューターを操りながらさらに別の魔法の準備までしている。
「ディバイィィィィン!バスターーーー!!」
桜色の魔力流が来る。ヴィータは覚悟してさらに自身の障壁に力を込めた。
しかし予想された衝撃は来なかった。
「馬鹿が。こんなところで暴れるな」
「てめぇは…!」
いつの間にかあらわれたのは黒い、覆面を被った猫。その口にはなのはをくわえている。
以前とは全く逆の状況にヴィータは色めき立った。
「お前もだ阿呆が」
このときヴィータは油断はしていなかった。しかし突然目の前に敵か見方かも分からない怪しい奴が現れて一瞬、ほんの一瞬冷静さを欠いてしまったのは事実だった。
「がっ!!」
首に強い衝撃を感じその言葉と共にヴィータは意識を失った。
黄色い閃光と紫色の閃光がぶつかり合う。
なのはたちと違いこちらは近接戦闘を主体としていた。
「レヴァンティン!」
『Schlange Form』
「バルディッシュ!」
『haken form』
二人のデバイスがぶつかり合い小規模な爆発が起こる。二人の高まりすぎた魔力が爆発を引き起こしたのだ。
「強いな…テスタロッサ。それにバルディッシュか」
『thank you』
「あなたも…シグナム」
『Danke』
にらみ合う二人。フェイトのデバイス強化によって二人の差はほとんどないものといえた。
お互い決め手を欠いている。それがこの膠着を表していた。
動いたのはどちらが先か。あるいは同時だったかもしれない。
ぶつかり合うデバイス。甲高い音が響き渡る。
しかし今度は爆発はおろかなにも起こらなかった。
代わりに二人のデバイスの中心には
「頭を冷やせ。猪どもが」
そこで二人は気を失った。
(ヴィータちゃん?シグナム?)
二人に念話が突如通じなくなったことにシャマルは焦っていた。まさか二人はもうやられてしまった?いや、そんなはずはない。ほんの先ほどまで少なくとも互角に戦っていた。
(状況は…まずいわね……でもこの結界はちょっと抜けられないわ……)
あくまで冷静に状況を判断する。シグナムとヴィータがいない以上最も打撃力のある魔法―この結界を貫けるまでの―を使うことはできない。ならばどうするか?
(!ザフィーラ?)
そうこうしているうちに今度はザフィーラからの念話も途絶える。これは本格的にまずいかもしれない。
「動くな。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。捜索指定ロストロギアの所持、使用の容疑で貴方を逮捕します。同意するなら武装の解除を」
後ろにデバイスを突きつけられる。シャマルは自分の迂闊さを呪った。
「よし!クロノ君!一人目だよ!」
(一人目…?)
シャマルは他の仲間がまだ捕まっていないことに安堵すると共に何か不測の事態が発生していることを理解した。それは管理局にとっても予想外であるということも。
「今すぐにもう一人を止めて武装の解除を。貴方達には弁護の機会があります」
この言葉がシャマルの考えを裏付けていた。自分達に5人目はいない。
だからシャマルは次の展開が予想できた。
「ぐぁっ!」
「今結界に穴を開ける。その瞬間を狙って全員を転移させろ」
執務官の吹き飛ぶ声と同時に男の声が聞こえる。しかしそれすらも予想済みだ。
「何者だ!」
後ろにいたはずの執務官はすでに距離をとって辺りをうかがっている。
「さぁな」
クロノの目には小さな影が写るのみだった。
速い。いや、速すぎる。
目にも止まらぬ速さというがこれは目が追いつかない速さだ。
「準備できました!お願いします!」
その声と共に影は結界に突っ込む。
「まさか、そんなはずは…」
そう呟いたのは誰か。
それは破るというよりも無理矢理貫いたといったほうが正しかった。そして一点に穴が開くとそこから守護騎士達は転移し抜けていくのだった。
「エイミィ!追跡は!!」
「やってるよ!でも……なにこれ!ジャミング?違う、サーチャーとレーダーが物理的に破壊されている!!?」
「相手が一枚上手だったか……!」
悔しそうに呟くクロノは自分の判断の甘さを後悔するのだった。
彼が到着してから僅か10分の間のことである。
「ただいま」
「あぁにいちゃんおかえりーみんなは?」
「もうすぐもどってくる…と」
「ただいまー…」
「なんやみんな疲れた顔しとるなぁ。今日はあったかお鍋やで。デザートもあるからな。みんな元気だしてーな」
「ありがとうございます。主…」
「今日は疲れました…早くご飯食べて寝ましょう…」
「約束を破ろうとするからそうなるんだ。何をしていたかは知らんがもう少しはやてのことを考えて行動しろ」
「まぁまぁにいちゃん。今日もみんな揃ったんやから硬いことはいいっこなしやで。さ、ご飯にしよ」
一日が30時間になる方法を思いつきました。
一時間を48分にすればいいのです。
これでノーベル賞はもらったな。