更新ペースが少しずつ落ちてきました。
今回はどうでもいい話なので読み飛ばしてください。
もう一度言いますがこのお話はテンプレ通りに原作が進んでいきます。
だからつまらないのは僕のせいです。
時空管理局本局医務室。突然の襲撃によって気絶したなのはは現在ここに収用されていた。
「……負けちゃった」
ベッドの上で目覚めたなのはの脳裏を占めるのは自分が負けたということだった。彼女にとって敗北は初めての経験ではないが、あそこまでの命の危機を感じたのは初めてであった。
いうなればあれは真剣勝負の更に上、初めての殺し合い。
相手は本気で自分を倒しに来ていた。自分に相手を倒す覚悟はあったのだろうか?どうしてあの人たちは私を襲ったんだろうか?そのことを自問自答しながらなのははベッドの上で悩み続けている。
「なのは、目が覚めたんだね…?」
「フェイト、ちゃん……」
なんはが悩んでいると扉が開く音がした。ふと目をそちらに向けるとそこにはフェイトが立っていた。
「…えっと、傷は、平気?」
「。。。うん、フェイト、ちゃんは?」
「こんなの、全然、平気だよ」
「……」
「……」
二人を沈黙が包む。なのはもフェイトも久しぶりに会ったお互いに対してどう接していいか分からないでいた。本当は言いたい事がたくさんあったはずなのに、したい事がたくさんあるのに。
「なんか、言いたい事がたくさんあったけど、うまくいえないや……。だから、ありがとうフェイトちゃん」
「なのは?」
「助けてくれてありがとうフェイトちゃん。本当に、来てくれたんだね」
あの時、なのははフェイトの名を呼んだ。そしてフェイトはその声に応えた。偶然だったかもしれないがそれでもなのははそれを偶然だとは思わなかった。
「なのはが、呼んでくれたからだよ。言ったよね。今度は私が助けるって」
それは約束。彼女達が交わした約束。そしてそれは本当になった。
お互いに顔を見合わせくすりと笑うとなのはとフェイトは再会を喜び合うのだった。
「問題は、奴らがどこにいるかということだ」
クロノは少々焦っていた。父の敵でもありこれまでに災厄のみを撒き散らしてきたロストロギア、闇の書。その操作担当になった自分に否が応でもはやる心を抑えきれない。
「なのはちゃんの世界を中心に周っていることは分かるんだけどね。そこからの絞込みはちょっと……」
エイミィが一連の魔道師襲撃事件の資料を読みながら応える。
そしてもう一つ、気になることがクロノにはあった。
「なのはが助けられたという覆面の男に関してだが……」
なのはが助けられフェイトたちもその姿を目撃したという覆面の男、いや、声が男だからといって本当に男かどうかすらも分からない。何しろ自分はその姿を見ていないのだから。
「そっちのほうは全く手がかりなし。こっちの探査魔法にも引っかかんなかったし、結界が解けたときにはあの4人しかいなかったよ。そもそもどうやって結界を抜けたのかもわかんない。……本当にそんな人いたのかな?」
エイミィも彼女達が嘘をつく少女達ではないと分かっている。しかし、ここまで何の痕跡もなく逃げられるということは別の理由を考えざるを得なかった。
「ゴースト、まさか、ね」
「エイミィ、そんなものを信じるな。士気に関わる。あそこに彼女達以外の第三者がいたことは事実なんだ」
「そんなこといってもさぁ、守護騎士が5人いるなんてことはこれまでもなかったんでしょ、じゃあいつの間にか表れて煙のように消えたその人はゴーストじゃなければなんなのさ~」
微妙にへたれたエイミィを見てクロノは処置なしと判断し、ため息をこぼすのだった。
なのはらを退けた守護騎士たちは八神家に戻ってきていた。
「主は…まだお帰りになられていないか」
ほっと安心し、一息をつく。主に寂しい思いをさせるのは彼女らの本懐ではない。
「…シグナム、怪我の具合はどう?」
フェイトとの一騎打ちをしていたシグナムは少なからぬ怪我を負っていた。
「大したことはない。このくらいで弱音を吐くほどお前達の将は軟弱ではない」
「一応治療はしておくわ。……まさかあなたの甲冑を打ち抜くとはね」
「いい太刀筋だった。良い師に学んだのだろう。デバイスの差がなければ危なかったかも知れんな。それよりも今気になるのは…」
「そうね、ヴィータちゃんが会ったという覆面の男……何者かしらね」
ヴィータが蒐集する寸前にあらわれ彼女の攻撃を軽く止めて見せた男。その正体は誰なのかわからない。
「アタシが見た限りでは管理局の奴らの仲間ってわけじゃなさそうだった。…だからこっちの味方ってわけでもねーだろうけど」
「私の探査にもかからなかったのよね?本当にそんな人がいたの?」
「わかんねー。いきなり消えたと思ったらもうどこにもいなかったんだ。…変な幻影だって言われたほうが納得できるぜ」
「なんにしろそいつはこちらの目的を知っているらしい行動をとって見せた。管理局も本腰を入れてこちらを捜査してくるだろう。これからはもっと慎重に蒐集を進めねばならんな」
「はやてを…助けるんだ…」
その言葉は彼女達の偽らざる本心だった。
「ただいまー」
「今帰ったぞ」
さぁ彼女達の敬愛する主のご帰還だ。あわてて表情を隠し守護騎士たちははやてを出迎えるのだった。
「すずかちゃん、今日はありがとうな」
「ううん、全然いいよ。送っていく?」
「いや、そこまで迷惑をかけるわけにはいかない。俺もいることだし大丈夫だ」
月村邸に呼ばれたはやてと彼はそろそろ彼女の邸宅をお暇するところだった。
「そうだね、八神君がいるなら安心かな」
くすりと笑うすずかに当然だといわんばかりに鼻を鳴らす。
「それと俺を呼ぶときは事前の連絡をくれ。いきなりはやてについてこいといわれて驚いたぞ」
「だってにいちゃん先に言ったらどっか逃げてまうやろ?」
くすくすと笑う二人を見て自分の行動を見透かされている事に気づき少々居心地が悪くなる。
「八神君、うちの子たちに大人気だから是非来て欲しいんだよ」
「チビどもにまとわりつかれるのはうっとうしくてかなわん」
「じゃあまた連れて来るわ」
「なぜそうなる…?」
自分は永遠にこの少女達にかなうことはないのだと悟りげんなりするのだった。
一人と一匹で帰り道を歩く。ふと、はやてがその歩みを止めた。
「なぁにいちゃん」
「なんだはやて」
はやての表情は真剣だった。
「にいちゃんは、みんなが何しとるか知ってるん?」
最近守護騎士たちの帰りが遅く、何かを隠しているのは分かっている。しかしそれを正面から問いただすことははやてにはためらわれた。だから彼に聞いた。一番の居候でありはやてが最も信頼する一匹に聞いた。
「…知っているとも言えるし知らないとも言える。急にどうした?」
「なんかな、みんな最近帰りが遅かったり夜更かししとるやん?何か、危ないことしとるかなと思ったんや」
「その質問に答える代わりにこちらの質問にも答えてくれ」
彼の目が鋭くなる。その視線にはやては一瞬たじろぐがすぐに見つめなおす。
「はやて、最近身体の調子がおかしくないか?」
「なにいうとるん?私は全然元気やで?」
ほらほらと力瘤を作って見せるはやてに彼は問い詰めた。
「じゃあ夜に胸を押さえて蹲ったり時々身体が動かなくなっていることも偶然か?」
「……いつから気づいてたん?」
「確信を得たのは今。薄々気づいたのは2~3ヶ月ほど前といったところだな」
「やっぱりにいちゃんには隠し事はできんなぁ」
そういって儚げに笑うはやてに対して彼は何も言わなかった。
「あいつらは―――」
「?」
「あいつらはきっとお前のために何かをやっている。それがなんなのかは俺は知らない。だが、恐らく危険なことだ。俺から言えるのはこんなところだ」
「危険、なんか?」
彼の言葉にはやてはたじろぐ。自分の家族が危険にさらされていると聞いて、自分のせいで家族を危険にさらしていると聞いて。
「まず間違いなく。下手をしたら命に関わることだな」
「やめさせることは―」
「無理だ。あいつらを止められるのはそれこそ真正面から叩き潰すくらいしか方法がない」
その言葉にはやては悩む。家族を危険にさらしたくない。でもそれを止めることはできない。自分で止めようにもきっとまた隠れてそれを続けるのだろう。
「なぁにいちゃん」
「なんだはやて」
「わたしじゃみんなを止められへん。それにみんながやってることがなんなのかも分からん。だからな、にいちゃんお願いや。みんなを助けてあげて。危なくなったりしたら助けてあげて。お願いや」
こんなときに自分の無力が悲しい。結局自分は人に頼ることしかできないのだ。
「……任せろ」
誰よりも頼りになる一匹の猫はそう返事をした。
現在僕は真剣勝負をしています。例えるならばカバディをしながら鼻で素麺をすする大食い勝負のようなものです。カレーが食べたくなったのでちょっと今から出かけてきます。