お話の続きです。
テンプレどおりにお話を進めていきます。
多分勘のいい人は最初の数行を読んだだけで展開が読めてしまうと思います。
だから読まなくても大丈夫です。
俺は猫である。
名前はにい。
どこで生まれたのかトンと見当がつかぬ。
ただ寒い道路の上で助けを求めていたことだけは覚えている。
俺はここで初めて人間というものを見た。
そして今、その少女と共に暮らしている。
今回はそんな俺の一日である。
八神家
朝
朝は特に言うべきことはない
昼
特に言うことはない
夕
人助けを少々
夜
寝た
アリサ・バニングスは自分の迂闊さを呪っていた。確かに自分は尊敬する父が経営する財閥の一人娘である。冷静に考えれば一般人に比べると誘拐される可能性は格段に高いといえるだろう。
しかしまさかそれが自分に本当に降りかかってくるとは思っても見なかった。
いつもと同じように友達と一緒に帰り、いつもと同じ帰り道を通る。親友と別れ、一人になった帰り道。でもそれはいつものことだった。
違ったのはそれを狙っている輩がいたということ。それだけである。
一瞬の間。それを狙っていたかのように目隠しに猿轡をかませられ、あれよあれよという間に車に乗せられた。気がつけばどことも知れぬ廃屋に自分がいる。
―恐らくここは海鳴郊外の再開発地区、その廃ビルのどこかね。まずい。ビルばっかりで救援は望み薄か。
この思考も多少落ち着いた今だからできる思考であって、誘拐された直後はこんなこと考えることすらもできなかった。
(何で自分がこんな目に)
いまさらながら自分の迂闊さに腹が立ち情けなくなる。もう少し迎えが早く着ていれば、もう少しゆっくり歩いていれば、いかに考えても時すでに遅し、すでに自分はさらわれている。
「ちょっとあんた達、いったい何が目的なのよ!」
猿轡を外され最初に出た一言がこれである。彼女は自分の迂闊さを呪ったがそれだけで絶望するほど軟弱な精神ではなかった。
「こんなことしてただで済むと思ってんじゃないでしょうね!」
周囲にいるのは6~7人の男達。こちらをニヤニヤと見ている。
その中で一人リーダーらしき男が近づいてくる。
中肉中背周り全員が哂っている中で一人無表情である。
「目的・・・なんだろう・・・ひまつぶし?」
どっと周りにいる男達から笑い声が上がる。
呆れた。それと同時に怒りがこみ上げてくる。まさか自分がさらわれた理由が暇つぶし?お金とかじゃなくて暇つぶし?
「ちょっとふざけんじゃないわよ!暇つぶしでさらわれちゃたまったもんじゃないわよ!さっさと家に帰しなさい!」
「はぁ。ごめんなさい。でもそれはできないんですよ。なんかこの人たちがあなたに用があるらしいので」
なんだ。この男は。何考えてるのかさっぱり読めない。悠々と出てきたからリーダーかと思ったが単なる下っ端ではないのか?
「正確に言うとあなたのお父さんに用事があるらしいです。でもなかなか会えないからあなたをどうこうするとか云々」
するとその後ろにいたいかにもチンピラらしき男が出てきた。
「リ~ダ~もういいぜ~下に行って外から他の奴が来ないか見張っててくれよ~」
「はぁ。じゃあまぁ僕は下に行ってますね」
そういってリーダー(本当にリーダーなのか?)は下に降りていった。
残ったのはこちらをニヤニヤと見つめる男達だけである。
「さてお嬢ちゃん。事情は分かったかい?まぁ簡単に言うとね、君のお父さんにちょっと用事があるわけ。そんでちょっと君に協力してもらおうかなぁとね」
「大丈夫。ここにいる奴らは・・・まぁスナッフ趣味の奴はいないから」
奥を見るとカメラの準備をしている奴やら何か道具を用意している奴らがいる。
嫌だ。
アリサは自分がこれから何をされるか本能的に悟った。
怖い。恐い。怖い。自分がこれからされることになまじ想像がついてしまう自分の頭脳が恨めしい。このまま私はこの男達の慰み者になるのだ。
「イヤァッ!!」
いくら気丈な少女でも本能的な恐怖にかなうはずもなかった。
(助けて助けて助けて助けて誰か助けて)
「ちっやっぱうるせーな。もっかい目隠しと猿轡かませとけ」
そう言われ再び目隠しと猿轡をかまされる。
「ま、多分明日の朝までには終わるから安心してね」
その言葉が合図となって。
男達がアリサに群がっていった。
(誰か。。。助けてぇ!!!)
リィン・・・
小さな鈴の音が彼女の耳に響いた。
北ーーーーーーーーーーー!
カッコイイオリ主フラグktkr!!
一期2期と端役で3期に至ってはほとんど出番のなかったあたしの活躍フラグktkr!!
これでメインヒロインも夢じゃないわ!!
ふふふどんな奴が来たかしら。予想としてはクラスに転校生はいなかったからさっきのリーダーとか呼ばれてたやつかしら?おにいちゃんとか呼ぶフラグね。いや、待ちなさい。ここらに住み着いている同年代の転生オリ主もあるうるわ。もしくはカッコイイ人造人間とか?どんな奴が来ても外れなし、ここはとらはじゃない。リリカなんとかの世界だということを見越した私の出番フラグ!これで完璧!!あとはあたしの押しの強さでそいつとフラグ立てれば出番うなぎのぼり!人気沸騰!!これで『アリサの出番はまだですか』とか言われちゃうんだわイヤーンどうしましょ。ウフフさぁ早くきなさい。私の出番請負人。どんな奴がこようと大丈夫よ。大体オリ主はそれなりにかっこいい奴って相場が決まってるし、まぁ外見がよければそれでいいわよね中身は後でこっちの好みに変えられるし、少なくともみんなあたしの尻にしかれるような奴ばかりでしょうしね。不不不さぁアタシのオリ主カモーン!!
「ぐあっ」
「なんだ?どうした?」
男達が騒いでる。馬鹿ね。あんたらみたいなチンピラはやられ役って相場が決まってんのよ。大体ここはXXXじゃないんだから濡れ場があるわけないじゃない。世界の意識によって修正されるわよ。
「くそっ捕まえろ!」
「なんだ!てめぇは!!」
そうこうしているうちに二人が倒れたらしい。ふふふ馬鹿ね世界に守られたオリ主に勝てるわけないじゃない。
「くそ!!誰だてめぇは!!」
「貴様らに名乗る名などない。去ね」
声は男ね、良かった。これで一番の懸念材料だったTSオリ主の可能性は消えたわ。これで心置きなくいけるわ。
「ぐおっ」
「ぐぁぁぁぁ」
「ぎゃぁぁぁぁ」
残りは一人か。まぁそんなモンよね。さっさとやられなさいな。
「畜生・・・後一歩だったのに・・・」
最後の一人が倒れる音がする。
「急所は外しておいた。しばらくは動けまいが死にはすまい」
「無事か?」
そう言ってあたしの目隠しと猿轡を外してくれる。
ここで夜も寝ずに考えた印象ばっちりのセリフを言ってやらないと
「べ、べつにたすけてくれなんていってないんだからね!!」
・・・
あれ?
どこ?
「そうか、それは失礼をした」
声がするのに姿が見えない。おかしい。
「えっとどこにいらっしゃいますか」
わかった。恥ずかしがって出てこれないのね。
「どこを見ている。俺はここだ」
自分の真下から声がする。アタシよりも小さい子供・・・?はっこれは逆光源氏!成る程このパターンは予想してなかったわ!でもアタシ的にはバッチコーイ、むしろカモーンよ!
「で、でも一応お礼は言っておくわ・・・ありがと・・・?」
下を見る。
猫がいる。
。。。人がいない。
「礼には及ばんよ。同居人が君と同じくらいでね。義を見てせざるは勇無き也という奴だ」
・・・いやだ。受け入れたくない。
「・・・チェンジ」
「・・・君が何を言っているかは知らないが無事なようで何よりだ。俺はもう行くが一人で帰れるな?」
「え?ええ。まぁね」
当然GPSも完璧だ。後十分もしないうちに家のものが来るだろう。
「それではさらばだ。今度からはもう少し気をつけることだな。今回はたまたま俺がいたが次はこうは行かんぞ」
そういって一匹の猫はビルの窓から飛び出していった。
「・・・ちくしょう」
「にいちゃん今日は帰ってくるのちょい遅かったけど何してきたん?」
「なに、人助けを少々ね」
後日 月村邸
「すずか・・・あたし、猫をこれほど憎いと思ったことないわ」
「だからって猫鍋にして食べようとするのは黄色い救急車ものだよ?」
あとがき
テンプレどおりです。オリ主といえばアリサさんと本編前につなぎを持つものです。ちゃんとできました。とてもうれしいです。
なんでアリサがXXXとか知ってたか?不思議な力です。なんでアリサがとらはとかリリカ何とかっていってたか?不思議な力です。なんでアリサがオリ主とか知ってるんですか?不思議な力です。アリサさんに出番はあるんですか?不思議な力が働けばあります。