トレインはなのはに連れられ現在バスに乗っている。なんでもなのはの友人のうちに行くにはバスを乗っていく必要があるらしい。ちなみに運賃はなのはもちである。小学生にバス代を出してもらっているトレインは特に気にするでもなくバスから見える風景を見ていた。するとしばらく黙っていたなのはが話しかけてきた。「ごめんねトレイン君。」「なんだよ急に?」「なんか無理やり連れ出すようなことになっちゃって。」なのは笑ってはいるが少し負い目があるようだ。なのはは多少人に気を遣いすぎるところがある。と短い付き合いの中でトレインは感じていた。自身はあまり人に気を使うようなことはしないのでこれくらいのことで気にされてもトレインとしたら心外であった。「な~に、別に気にする必要ねえよ。こっちは何から何まで世話になってんだ。これくらいお安いご用さ。」「あ、ありがとう。」「んで、その友達のうちはまだなのか?」「もうそろそろだよ。あっ!?次の停留所で下りるよ。」「OK。」停留所を下り、なのはに連れてこられたのは普通の家とは思えない屋敷であった。「ほえ~、なんだ。なのはの友達ってのはどっかのお嬢様かなんかか?」「う~ん、そういうわけではないとなのはは思うのですが。とりあえず中に入ろう?」「そだな。」そしてなのはがインターホンを押すとピンポ~ンとインターホンが鳴ると同時にドアが開き、中からこの屋敷のメイドと思われる女性が現れた。「いらっしゃいませ、お待ちしておりましたなのはお嬢様。トレイン様。」「こんにちは、ノエルさん。トレイン君、この人はこのおうちのメイド長をやっているノエルさん。」そうなのはから紹介されるとノエルはふかぶかとお辞儀し「ノエルと申します。ぜひお見知りおきを。」「ああ、俺はトレイン・ハートネットだ。よろしくな。」トレインはノエルからある違和感を感じていた。(なんだこいつ?人なのか?)一つ一つの動作を見ても違和感もなく、感情もあるように見えるが何か引っかかるものがあったが、トレインはここでなにか言うのも無粋だろうと思いあえてその違和感を無視することにした。そしてノエルに屋敷の中を案内してもらいついて行くと庭がよく見えるテラスにテーブルがあり、そこにはおとなしそうな少女と、勝気な感じがする少女が向かい合ってティータイムを楽しんでいた。そのわきにはメイドの一人であると思われる少女!?が立っていた。「こんにちは、すずかちゃん、アリサちゃん。」すると三人の少女はなのはのほうに目を向け「あ、なのはちゃん。いらっしゃい。」「いらっしゃいなのはちゃん。」「なのは少し遅いわよ。あ、そいつが話に出てきた男ね。」アリサと呼ばれた少女は値踏みをするような目でトレインを見てきた。そしてなのはがそれぞれの紹介を始めた。「えーと、左にいるのがこのうちの子のすずかちゃん。右にいるのがアリサちゃん。であそこに立ってるのがメイドのファリンさん。」「あー俺は「知ってるわ、トレインでしょ?」アリサはトレインの自己紹介を遮るように答えた。「あ、アリサちゃん。トレイン君がしゃべってたのに」「あー、気にすんな。なら自己紹介はいらねえか。」「まあ、話はおいおい聞かせてもらうわ。なのはもそんなところに立ってないで座りなさいよ。」「う、うん。」そう言われて二人はそれぞれあてがわれた席に着いた。ファリンは二人の分の紅茶のように向かっていった。トレインはユーノがどこにいったのか気になって探すと、なのはの鞄が震えていた。おそらくだがこの中に入っているのだろうが何かに脅えているようだ。二人が席に着くと同時にアリサがすぐさま口を開いた。「単刀直入に聞くわ。あんたとなのはの関係を聞かせなさい。」「は!?」「「あ、アリサちゃん!?」」目の前の少女は何をいっているのだろうとトレインは思った。聞きたいことはなんとなくわかるが、自身の体は小さくなったとはいえ自分は25歳。あって間もない、ましてや小学生を相手にするほど落ちぶれてはいない。そうであったとしたら自身はロリ〇ン以外の何物でもないだろう。「関係って、ただ空腹で倒れてたところを拾ってもらっただけだが。」一応真実を告げたトレインだがアリサの視線が変わることなくトレインを捉えていた。「ふ~ん。わかったわそういうことにしえおいてあげる。」「あげるも何も「ただし!!!」なんだよ?」アリサは声を大きくしてトレインに言った。「なのはを悲しませるような真似したら許さないから。」「アリサちゃん……。」(なーるほど。)トレインは思った。この少女はかなりのお人よしだと。強気な態度で相手に接しているが本質的にやさしい人間だと。そんな少女の態度がほほえましく思ったのかトレインは少し微笑し「な、なにがおかしいのよ?」「いや、別に。あと俺はなのはを悲しませるつもりは微塵もないぜ。それだけは約束してやるよ。」きっぱりと言い切ったトレインにアリサは試すように睨みつけた。トレインの表情に戸惑いや迷いはなく、そこに写っていたのは当然と言わんばかりの絶対の自信だった。アリサはひとまず一息つき。「わかったわ、とりあえずは信用してあげるわ。」「ありがとよ。」そして良いタイミングでお茶を持ってきたファリンがやってきた。「は~い、お待たせしました。紅茶とクッキーをお持ちしました。」「お、ちょうど小腹がすいていたところだったからな。」そういうとトレインはテーブルに置かれたクッキーに手を伸ばしクッキーを指で大きくはじきそのまま口に入れた。「にゃはは、トレイン君。少し行儀が悪いよ。」「まったく、男ってこんな奴ばっかなのよね。」「ふふふ。」四人の中にはさっきの緊張感はなくなっていた。それから四人は自身の詳しい紹介をしながら雑談をしていた。そのなかですずかがトレインに話しかけた。「トレイン君ってなにか特技とかあるの?」「ん?俺か、う~ん。どこででも寝れることかな。」それを聞いてアリサは「なによそれ。特技でも何でもないじゃない、なにか他にはないの?」「そうだな……。あるといえば射撃か。」「「射撃?」」突拍子もない、二人が予想もしなかった答えに驚いていた。ただ一人、なのはは多少驚いたものの不思議ではないと思っていた。最初のトレインとの出会い。公園でからだとは不釣り合いの大きな拳銃を携え立っていたトレイン。ジュエルシードがトレインの手にあったこと、その場の状況を考えれば彼が銃使いであることは幼いなのはでも容易に予想できた。なのはが最初の出会いを思い出しているとユーノが念話でなのはに話しかけてきた。(なのは。)(なにユーノ君?)(トレインの腕前を見せてもらっておいたほうがいいかもしれない。)(どうして?)(僕にはどうしても彼がジュエルシードを魔法なしで解放したとは思えないんだ。最悪の場合も考えておいてもそれがいいと思う。)(最悪の場合って…。)(僕も考えたくはないけど……彼がもしかしたら敵という可能性だよ。)(!?)いきなりのユーノからの言葉にとまどいを隠せないなのは。そんななのはを尻目にアリサは証拠を見せろとトレインに詰め寄っていた。「射撃~?どうせモデルガンかゲームのなかでの話か何かでしょ?」「おいおい、そうじゃねえって。わかったよ、実演してやるよ。」トレインはすずかに頼み大きな壁があるところに案内してもらった。「ここなら誰もいないし、なにかあっても大丈夫だと思うの。」「そうだな、あんがとなすずか。」「ううん、私も少し興味があったから。」トレインはそれを聞くと「期待はずれの真似はしねーからみてなって。」そう言うとトレインは近くに転がっている丸太に空き缶を置き20メートルほど離れた所に立った。「俺より前には絶対に立つな。まずねーと思うけど銃が暴発したらあぶねーからな。」「何いってんの?それはモデルガンでしょ?暴発なんて……。」アリサはハーディスを指さしながらいった。「これか?こいつは間違いなくホンモノだぜ。」トレインはそう言ったがなのは以外の三人は疑ったままだった。すずかは見守るように、アリサは少々小馬鹿にするように見ていた。それを見てトレインは溜息をつきながらハーディスについたワイヤーを自身の手に結びつけ構えた。「よーく見ておけよ。」そして ガンッ!!!!銃声とともに空き缶に銃弾が当たり空中に跳ね上がりガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!続けざまに5発の銃弾を放ち、その5発の銃弾も甲高い金属音とともに命中していた。その光景に圧倒されたのか、それとも銃の発砲音に驚いたのかわからないが三人と一匹はボー然とみていた。それに気づかないトレインは「ん~、ぼちぼちか。かすっただけだな。」結果に満足しなかったのもあるが(前ほどじゃねえけどけっこー腕に来るな。長期戦はきついな。)トレインは空き缶を拾い上げ命中した箇所を見た。そこには一つの穴を中心に重なるように穴が広がっていた。「一発目のとこにそのまま通すつもりだったんだけどな。」少々不満げにつぶやくトレインに「あ、あんたそれってマジで本物なの?」「あ?だからそうだって…「すずか!!!今の音はなんなの?」するとトレインたちに近づいてきた、すずかににた女性が現れた。「お、お姉ちゃん。えーとその。」「すごい音がしたから何か起きたと思ったんだけど。って君それは?」「わりーわりー、こいつの発砲音だわ。であんたは誰?」「えーと、私はすずかの姉の忍よ。ってそうじゃなくてなんであなたみたいな子供がそんなものを持ってるの?」ものすごい剣幕でトレインに迫る忍。さすがのトレインも説明のしようがないので戸惑っていた。「え、えーとそのだな…。」(い、いかん。チビたち相手ならなんとかなるが事情も知らん大人じゃ無理だ。)そんなトレインを忍は怪しむように見ていきなり手をとり「君、ちょっとこっちまで来て。」「お、お~いちょっと待っててーーーー!!!」そのまま走りだしトレインを連れて行った。その場に残されたなのはたち「い、行っちゃったわね。」「そ、そうだね。お姉ちゃんどうするんだろう?」「トレイン君……。」二人が連れて行かれるトレインに気をとられているのに対してなのはトレインの銃技に驚いていた。(ユーノ君、今のどう思った?)(すごいとしか言いようがないよ。しかも彼は魔力を使った形跡がないから生身であれだけ)ユーノはトレインの銃技を見て彼が魔法の世界とは関係がないということを感じ取っていた。当初はあの体に不釣り合いの銃がデバイスのようなもので巧妙に魔力を隠しているのではないかと疑っていた。しかし、彼が使っているの魔法世界では違法とされる質量兵器。例外として小銃程度のものであれば申請をすればデバイス扱いとして認可されるがその数は管理局においてはごく少数に限られている。ましてや彼は管理局の人間には思えない。(彼はいったい何者なんだ?)そんな疑問を抱いているユーノだったがトレインはすでに見えないところまで連れて行かれた。バタンッ!!!忍はトレインを部屋の中に連れてくると扉を閉め、トレインに向き合った。「あなたは何が目的でここに来たの?」「なにって、なのはに連れられてだけど?」先ほどなのはたちがいた時とは違った雰囲気の忍にトレインは違和感を感じていた。「そう、じゃあ聞き方を変えるわね。あなたのような血の匂いが濃い人間がすずかに近づいたの?」「!?」「図星みたいね。大方私たちを始末しに来たってところかしら?」忍は容赦のない殺気をトレインにぶつけてきた。多少驚きはしたものだがトレインはその殺気をなんでもないように受け止めていた。(こいつも大した殺気を放ちやがるな。並みの奴ならすくんで動けなくなるな)「確かにあんた言うように俺は片手じゃ数えきれない程の連中を始末してきたが別にあんたたちに危害を加えるつもりはねーよ。」「口ではなんとでも言えるわ。じゃあ、その手に持っている銃はなにかしら?」忍はトレインの手にあるハーディスを指差した。その間も警戒を緩めることなくトレインを見た。「俺は掃除屋だ。」「掃除屋?」(こいつも知らないってのか?裏世界に関係してる人間なら誰でも知ってるはずだろ。)士郎同様疑問形で返してくる相手に疑問が浮かぶが「犯罪者を捕まえて賞金を稼いで生活する。要は賞金稼ぎだ。」「あら?じゃあ私たちにも賞金がかかったのかしら?」あくまで忍は挑発的に、トレインへの警戒を緩めない。だがそれは彼女の境遇を考えるとある意味仕方のないことなのかもしれない。トレインはその様子にやれやれといった形のジェスチャーを取り入った。「あんたが何を勘違いしてるか知らないが、あんたは恭也と付き合ってんだろ?」「!?どうしてそれを?」「俺は高町家に居候してるんだよ。恭也も士郎も俺の事情も知っているそれにな…。」一息いれ忍に言った。「掃除屋の仕事は殺しじゃねえ。殺さず相手を制するのが掃除屋だ。」「…………。」(だよな?姫っち)忍はふーっと息を吐き警戒を解き「…わかったわ。一応だけど信用してあげる。」「そうしてくれるとありがてぇわ。」「恭也や士郎さんがが認めた相手を信用しないわけにもいかないわ。それに私たちのことを狙ってきたわけではなさそうだしね。」「それなんだがあんたらが狙われる理由がわかんねーんだが?」一見してみれば忍にせよ、すずかにせよ狙われるような要素はない。しかし、これだけの屋敷を持っているのだから何かしら後ろめたいことがあるだろうと予想していたがこれまでのやり取りを思い返してみるとこの家の人間が狙われるようなことはないとトレインは思った。「それは……。」トレインが疑問をぶつけると忍は話しにくそうに口をつぐんでしまった。「あー、話したくねぇなら無理に話さなくてもいいぜ?」「…ごめんなさい。」「いいってことよ。それより…。」トレインは忍の部屋を見回すと機械があちらこちらに転がっていた。「あー、私は機械が好きでね。そうそう、あなたの銃少し見せてもらえないかしら?」「あ?別にいいけど壊すなよ?」トレインは忍にハーディスを渡した。すると忍は興味深げにハーディスを見つめていた。「う~ん、わからないわね。トレイン君、この銃はどんな材質でできているのかしら?」「俺も詳しいことは分からねえけどなんか未知の金属オリハルコンとかいう金属でできてるらしいぜ。」「オリハルコン?聞いたことないわね。」「それよりもういいだろう?返してくれねぇか?」「あ、ごめんね。はいどうぞ。」ハーディスを受け取るとトレインは用はすんだだろうと言わんばかりにそのまま部屋を出て行った。「いったいあの子は何者なんだろ?ね、ノエル?」そう言うとタンスの中からノエルが出てきた。「私にもわかりかねますが御信頼に値する方だと思いますが?」「そうだね…でも…。」忍にはトレインにこびりついていた濃い血の匂いが気になって仕方なかった。三人の元に戻ったトレインは忍には説教をくらったと説明した。普通に考えれば至極当然のことなので三人とも素直に納得してくれた。そして時間もだいぶたっており今日のところはお開きになった。が、また今度ここに来るように約束をさせられた。バスから降りトレインは大きくあくびをした。「ふぁぁぁぁぁーーーー。」「トレイン君だいぶ疲れたみたいだね?」「おもにアリサの相手がきつかったな。あの手の相手は疲れるわ。」「にゃははは、でもアリサちゃんもすずかちゃんもトレイン君のこと気に入っていたよ。」「ふ~ん、まあとりあえず家に戻ろうぜ?」「うん!!ん?」トレインが帰宅を促すとユーノがなのはに念話でなのはに話しかけた。(どうしたのユーノ君?)(近くでジュエルシードの気配がする。)(え、本当?)(うん、しかもこの前戦った娘の魔力も近くにある。)(あの子が?とにかく急がないと)二人が念話での会話をしているとトレインはおいてけぼりをくらっているようで不満げに話しかけた。「おーい、二人で何話してるんだよ?」「え?なんでもないよ?」(声がうわずってるな。)「えーと、私ちょっとコンビニに用があるからトレイン君は先に戻ってて。」明らかにごまかしているなのはの発言をトレインは全く信用していなかった。しかし、ここは話を合わせることにした。「OK、んじゃ先に戻ってるわ。」そういい手をふりつつトレインは高町家に向かった。そしてトレインが見えなくなると二人は急いでジュエルシードの反応がする方向へ走りだした。(追跡は掃除屋の得意分野の一つだぜなのは。)その後ろからトレインがしっかりついてきているのも知らずに。現場ではすでにジュエルシードの封印が終わっているところだった。封印をし終えた少女はそのまま立ち去ろうとしていたがそこになのはが現れた。「待って!!」「!?」少女は少し驚くようなそぶりを見せたがすぐさま臨戦態勢になった。「私は戦いに来たんじゃないの。あなたはなんでジュエルシードを集めているの?」なのは少女に問いただすとユーノも少女に言った。「それは危険なものなんだ、君にだってそれぐらいわかるだろう?」しかし少女は「でも私にはこれが必要なの。理由は言ったところで分からない。」「でも?」なにか言おうとしたなのはだったが少女の質問によってそれは遮られた。「それより、あなたの後ろにいる子はあなたの仲間?」「「へ?」」少女に指摘され後ろを見てみると目を大きく見開き立っているトレインがいた。「「トレイン(君)」」二人は何の気配もさせずついてきたトレインに驚いていたがそのトレインが何かに驚いていた。「ひ」「「ひ?」」「ひ、姫っちか?」「????」これがトレインともう一人の魔法少女との出会いだった。