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No.40496の一覧
[0] ヒカルの碁 IF サヨナラ[くろしお](2014/09/20 23:08)
[1] 02[くろしお](2014/09/21 11:01)
[2] 03[くろしお](2014/09/27 21:05)
[3] 04[くろしお](2014/09/28 18:17)
[4] 05[くろしお](2014/10/01 21:55)
[5] 06[くろしお](2014/10/04 08:17)
[6] 07[くろしお](2014/10/05 15:47)
[7] 08[くろしお](2014/10/07 20:25)
[8] 09[くろしお](2014/10/09 20:26)
[9] 10[くろしお](2014/10/11 10:44)
[10] 11[くろしお](2014/10/12 08:46)
[11] 12 北斗杯1,2回戦開始[くろしお](2014/10/12 22:01)
[12] 13 第一部完結[くろしお](2014/10/12 22:02)
[13] 14[くろしお](2014/10/18 16:05)
[14] 15[くろしお](2014/10/25 12:06)
[15] 16[くろしお](2014/11/01 19:37)
[16] 17 外伝 明日美の碁 清春の道[くろしお](2014/11/08 09:41)
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[40496] 16
Name: くろしお◆d914af62 ID:766b0d8e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/11/01 19:37


「引っ越しの手伝い?」

「8月になってからだけどね」

 初めての指導碁の帰りで囲碁サロンに行く途中での会話である。

 和谷の研究会に参加した越智が指摘する「こんな壁が薄い所で遅くまで検討で大声を出したり石を打つ音が響くと苦情が来ないか?」と。
 一戸建てのオレやアキラは気が付かなかったけれど他の皆も始めて気が付いたという顔をして、越智が呆れてね。良いマンションを紹介すると言う話になったんだけど。

「ちょっと待て、お前も手合料を知っているだろ。一人暮らしのオレにはそんなに予算は無いぞ」

「それ位ボクだって知っているさ。おじいさんにとにかく相談してみるよ」

 そういう流れで越智の祖父の知り合いの建設兼不動産業を紹介してもらったと。
 場所はやや不便だが広さと防音がしっかりしていて、当分駐車場代も不要という事も含め、囲碁仲間からの紹介だから月一の指導碁で割安にしてもらったという話だと。

「いやあ、先生も忙しくなって指導碁が出来なくなるぐらい活躍するまで居て欲しいですね」

「は、はぁ。でも棋院で確認しないと勝手に指導碁で家賃を割安というのは色々と不味いので」

「もちろんその点は了承しています。出来れば承諾を貰って欲しいですね。そうすれば、若い時の支援者第一号だったと自慢できますよ。何しろこれから中国留学する位意欲のあるお方ですから期待してます」

「はいっ!」

 中国行きの事を言われて萎縮する訳にはいかなかった和谷である。

「棋院から色々手続きをして指導碁の報酬処理と契約の確認も終わって引っ越しが決定しただ。そう云う訳で和谷が中国から帰ったら引っ越すので荷物運びや部屋掃除なんかを手が空いてる仲間で手伝うんだ。
 オレやアキラは棋戦の予選関係で8月はイベントを遠慮して貰っているから手伝える予定」

「なら私も行こうか?」

「えっ?」

「部屋の拭き掃除や昼の準備なんか女の手も必要でしょう?」

「でも男だけの所あかり一人というのも」

 既に次郎丸を女性枠に入れていないヒカル。

「なら久美子や今日の女子部員も誘うわ」

「うーん、夏休み中だから無理しないで良いよ。来てくれるなら有りがたいけど」

「そうでもしないとヒカルと一緒に居られ無いもの。他の娘にも聞いてみるね」

 で、二人に追及された時に提案してまだ直接見ていない彩矢が興味を持ちゆみはあかりに悟られていた様に本田を気になりだしていたので理由を付けて参加する事になった。
 一人クラスの違う久美子も文化祭からアキラの事が好意とまでいかなくても話題にする様になっていたのでそのまま参加予定となり各自詳しい日程が決まった段階で最終決定となった。


 8月の日曜日

 新居の引越しに研究会仲間の門脇と師匠の息子の森下先生がレンタカーで軽トラを借りて来たが1年も一人暮らしした割には荷物が増えていなかったので楽に済んだのだ。
 この日は門脇、森下の他にヒカル、アキラ、本田に森下顧問の囲碁部メンバーあかりにゆみ、その友人の久美子と彩矢と人数は充分だった。
 彼らは2DKのマンションの掃除と食器、家具などの追加品の受け入れと設置を行っていた。
 軽トラには便乗の伊角と次郎丸も居て数少ない荷物を搬入して午前中には一通り形になった。

「塔矢くんもご苦労様」

 そう言って久美子が新しく買ったグラスに注いだ飲み物を手渡していた。
 アパートからの持込みよりも新規買い入れの家具類の方が大きく重くて残留組の方が重労働だったのだ。
 既にヒカルと本田にはあかりが渡していて最後のアキラには久美子が渡したのだ。
 森下と門脇は先に軽トラを返しに行って不在だったのだ。
 新しく買ったテレビを点けると丁度Nカップが始まり倉田と白川の対局だった。

「最近白川さんも活躍が凄いな。オレも早くNカップに出たいな」

「北斗杯の活躍で進藤も塔矢も選考されるかもな」

 中国留学の成果で和谷もヒカルの発言に落ち着いて受け答えが出来る位に自信が付いていたのだ。
 そして白川の活躍の動機の理由を囲碁教室経由から知っているあかりは微妙な顔をしていたのは秘密だ。

「ただいまーっ!」

 何故かレンタカーを返した筈が聞き慣れない元気な声で入ってきたのは、一人増えて中学生と思しき少女である。
 和谷以外には面識が無いのにニコニコと屈託なく部屋に入ってきた少女は。

「皆済まんな。こいつは妹のしげ子でまだ中一で礼儀がなっていないんだ」

 そう言って頭を下げさせる森下。
 そのまましげ子は文句を言いながらも手際よく昼食の準備をしているあかりの手伝いに行くところは素直なのだろう。
 尤も洗い物の手間や一人暮らしに食器類の負担にならない様にピクニックに行くようなサンドイッチやおにぎりにパックに入った爪楊枝などで取れるおかずなどでほとんど手伝える事が無かったのだが。
 一応はそれでも紙皿を運んだりはしていた。

「中一でも女子力が高いねェ」

「運ぶだけですよぅ」

「いやぁ、それでもオレよりも高いよ」

「次郎丸さんと比較したら誰でも高いですよ」

「そんな事を言うのはこの口か?」

 そう言ってヒカルの口を抓む次郎丸。

「あかりちゃんが居るからと調子に乗りおって生意気だぞ」

「ヒカルとは幼なじみですよ」

 顔を赤らめて次郎丸に否定するあかり。

「何を今更。さっきまでのやり取りはどこぞの夫婦かと突っ込みたくなる息の合い方だったぞ」

 次郎丸の反論にウンウンと頷く一同。
 付き合っている事を知っている久美子も苦笑しか出ない。

「あかり、指導碁に来た時点でのあの態度で隠せると思うのが間違いよ」

 さらにゆみが追い打ちを掛ける。

「今更小学生じゃないんだからそこまで囃し立てないわよ。進藤くんがアイドルに転身するのなら別だけどね」

 そう言ってさぁさぁ白状しなさいとあかりに迫るゆみ。

「誰がアイドルだっ! 雑誌インタビューですら嫌なのに」

 そしてヒカルの叫びが木霊する。

「誰が誰と付き合おうがどうでも良いが、越智の言う通り防音のしっかりした部屋にしたのは正解だったな。早くメシにするべ」

 和谷の言葉で漸く周囲が落ち着き始めた。

「はい、どうぞ」

 あかりの差し出すコップを受け取って改めて周囲を見渡した和谷は伊角さんは奈瀬が居ないから仕方が無いが年上の門脇と師匠の息子の一雄さん位しか単独で座っておらず進藤とあかり、本田に何と塔矢の横にも少女たちが座っていた。
 何これと和谷が思った時。

「やっぱり付き合ってるって憧れるわねぇ。特に進藤さんは格好良いし。あっお父さんには内緒だけど塔矢さんも格好良いね」

 そう言いながらしげ子は和谷の隣に座った。

「それにこの料理もほとんどがあかりさんが作ったと言うし憧れるわ~」

「ホント、進藤には勿体無い位出来た娘だな」

 次郎丸がしげ子の言葉に反応していた。
 そんな二人の視線の先には開き直ったヒカルが仲良く皿を分け合っている様子があった。
 そんなヒカルに照れたあかりだがおにぎりのご飯粒を付けたヒカルから自然に拭ってやる仕草などを見るとお腹一杯と言いたくなる様子だった。

「次郎丸は彼氏が欲しいのか、彼女が欲しいのかどっちだ? あかりはやんないぞ」

 次郎丸の視線を感じあかりを庇うように肩を抱いて威嚇するヒカル。

「お前これでもオレは女だぞ。あかりちゃんの料理には憧れても彼女にしたい訳じゃない」

「料理は無理だろ。良くて男飯しか作れないじゃないか」

「何だと……」

「改めてテレビで見ると白川さんの気迫が凄いな。名人選の再挑戦が決まって上り調子の倉田さんに1目半まで迫ったんだから」

 ヒカルたちを無視してNカップの映像を見てアキラはポツリと呟いていた。

「越智も王座の予選で人が変わった様な白川さんに負けたんだよな。最終戦までオレは当たらないがアキラは負けるなよ」

「おいおい、一応森下関係の進藤が言うセリフか? 最初は白川さんに囲碁を習ったんだろ」

「公式戦では塔矢とほとんど対局できないから遂本音が」

「もう、だからヒカルは礼儀知らずと言われるのよ」

 和谷に続いてあかりにも怒られ落ち込むヒカル。

「次の本因坊リーグを目指すから、リーグに進藤が残っていれば対局できるさ。名人リーグも残るつもりだし進藤も上がれば来年は両リーグで2回あるさ。大手合は確実に無くなるようだから棋戦のみだから他の研究会仲間とも当たりにくくなっているから互いに上に行くしかないさ」

 アキラのフォローとも言えないフォローで皆はまず上に勝ち上がらないとなと棋士たちの顔が代わり一般人はそんな変化を黙って見ていた。

「和谷、悪いが先に帰る」

「おう、プロ試験も今日はそろそろ終わりか。奈瀬によろしく言っといてくれ」

「じゃぁな。それから進藤いつまで彼女を抱いているんだ?」

 伊角の言葉に次郎丸への威嚇で抱いてからそのままだった事に始めて気が付いてヒカルとあかりが顔を真っ赤にしてアタフタとした様子を大人の余裕で笑って伊角は出て行った。
 それから部屋の整頓は和谷に任せると皆が帰る準備の時に片付けをしてごみを捨てて軽くなった荷物をヒカルが片手で持って手をつないで帰るのを黙って見送っていったのだ。

「でも、北斗杯の後で進藤くんから告白してくれて付き合いだしたと聞いて大丈夫かと思ったけれど幸せそうで良かったわ」

「津田さん、あの二人北斗杯の後なんですか。文化祭を見た時てっきり付き合っていると思っていたのに」

 そう言ってアキラは和谷や次郎丸たちに同意を求めた。

「いや、研究会で一度突っ込んだら幼なじみと主張してどう見ても自覚していそうになかったから、むしろ今日の方が驚いた」

「指導碁に高校に行った時に同行したら雰囲気が違っていたが、そうか告白済みだったのか」

 和谷の返答と本田のしみじみとした言葉にあれで自覚無しだったのかと目を丸くするアキラ。

「指導碁の後で追及したけど惚けたけどね。今日やっと認めたのよ」

 ゆみが久美子を見ながらそう言って、 久美子も舌をペロッとだしてゴメンねと誤魔化した。

「まあ、今後の研究会が楽しみだなそれじゃサヨナラ」

 そう言って門脇も帰っていく。

「じゃあ、和谷くんさようなら。お兄ちゃん帰ろう」

 しげ子も兄を伴って帰る。

「津田さんもボクが送って行きます」

 塔矢の意外な行動に驚きながらもゆみにこれから碁会所で一局打ちますかと本田が誘ったりと次郎丸や彩矢が取り残され気分になった日曜日だった。



 あとがき

 原作の和谷のアパートを見るとどうみても他の店子からクレームが来ると思い引っ越しして貰いました。
 一番誠実と原作者に言われた本田と伊角にも春を。
 ヒカルとあかりも学校と仲間内で公認の仲になりました。


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