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No.40496の一覧
[0] ヒカルの碁 IF サヨナラ[くろしお](2014/09/20 23:08)
[1] 02[くろしお](2014/09/21 11:01)
[2] 03[くろしお](2014/09/27 21:05)
[3] 04[くろしお](2014/09/28 18:17)
[4] 05[くろしお](2014/10/01 21:55)
[5] 06[くろしお](2014/10/04 08:17)
[6] 07[くろしお](2014/10/05 15:47)
[7] 08[くろしお](2014/10/07 20:25)
[8] 09[くろしお](2014/10/09 20:26)
[9] 10[くろしお](2014/10/11 10:44)
[10] 11[くろしお](2014/10/12 08:46)
[11] 12 北斗杯1,2回戦開始[くろしお](2014/10/12 22:01)
[12] 13 第一部完結[くろしお](2014/10/12 22:02)
[13] 14[くろしお](2014/10/18 16:05)
[14] 15[くろしお](2014/10/25 12:06)
[15] 16[くろしお](2014/11/01 19:37)
[16] 17 外伝 明日美の碁 清春の道[くろしお](2014/11/08 09:41)
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[40496] 13 第一部完結
Name: くろしお◆d914af62 ID:766b0d8e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/10/12 22:02


 2002年5月5日 京都

「昨日のコンサートは良かったね、あかり」

「う、うん。ロックは初めてで良く判らないけど、迫力と熱気だけは理解できたわ」

「囲碁ばかりだと感性も老化するわよ」

「ゆみは酷~い」

 プンプンと本気ではないが怒った振りをする。
 ツインテールではないが両サイドに髪を括った美少女が藤崎あかり。
 ショートボブで長身のスレンダー美少女が松沢ゆみ。
 囲碁部入部条件に今回のコンサート参加を依頼したのだ。
 親が遠くまでの泊りがけの旅行に良い顔をせず3人の参加が最低条件の為に引っ張ったのだ。
 背中の半ばまで伸ばした髪を纏めて150センチくらいの小柄な美少女の加賀美彩矢。
 テニス部所属の彼女は早くも学校で話題になっていたのだ。
 美少女振りか過激な性格かは不明だが。
 ゆみと彩矢は同じ中学での友人であかりとは高校で同じクラスになって仲良くなっての初の旅行だった。
 残念ながらテニス部に入部したあかりの親友の津田久美子は今回先約で家族旅行があって不参加だったのだ。
 でもこの様な美少女3人では却って目立って危険だったかもしれない。

「それで今日はどうしよう?」

「昨日はゆみの希望でコンサートだったけど、今更寺巡りもねぇ」

 あかりを見ながらそう発言する彩矢にどうしようかと悩むが結局古い町並みをのんびり散策と無難なものに全員意見が一致した。
 だが1時間もしないうちに日祭日の為のナンパ攻勢にうんざりしたのだ。

「あそこに入らない?」

 しばらくしてあかりが指差した先にはネットカフェがあった。

「そうね、鬱陶しい男からも逃げれるし」

「あたしも賛成」

 ゆみ、彩矢の賛成の言葉に入りあかりが立ち上げ最初にに覗いたサイトは北斗杯のネットテレビのサイトだった。

「やっぱりあかりは囲碁関係だったわね」

 声に驚いて振り返ると二人とも自分のパソコンではなくあかりのパソコンを見ていたのだ。

「何々? 日韓戦で各選手のプロフィール? あっ! この選手あたしの好み。あかりやゆみは?」

 彩矢が示したのは韓国の高永夏だった。

「わたしはどうだろう?」

 ゆみはそう言いながら視線を外さなかったのは塔矢アキラ。
 それに気づいたあかりはあえて黙って話題を変えた。

「今の大将戦や副将戦がどっちが有利かゆみにはわかる? 私はヘボでプロの対局の形勢判断は全然だから」

「今はまだまだ序盤ではっきりしないけど。何? 大将が進藤ヒカルで副将が塔矢アキラ? 反対じゃないの。えっ、昨日の中国戦では両方共勝っているって信じられな~い」

 ゆみの興奮に二人は驚いていた。

「失礼。でも日本は頭一つ分中韓に劣っているのが定説なのよ。それなのに三人中二人で上位の大将と副将というのがどれだけすごい事か解って?」

 うんうんと二人は黙ってうなずく。

「解説の渡辺八段は大将戦の解説がメインで残りはほとんどしないのか」

 画面からコメント欄を開くと続々と出てくる。

 昨日ダメと言ってその後進藤二段の逆転だったから解説必死W

 これでアッサリ負けたら笑う~

 三将の社vs洪無視~ カワイソスグル~。

 進藤また黒。運が有るのは確か。

 ゆみは黙ってコメント欄を閉じて対局を見る。

「でも中国の三将に韓国の大将。日本の三人とイケメン揃いであたしも囲碁をやろうかしら」

 別のパソコンを立ち上げ同じ画面を見ての彩矢の台詞に思わず苦笑をするあかり。

「ひっど~い。せっかくの部員確保のチャンスなのに笑うなんて」

「でも同じことを言って中学の後輩が入部してすぐ辞めたの」

「現実は厳しいのよ」

「ゆみまで」

 ぶー垂れていたがでもやっぱりカッコイイと画面を切り替えてバストアップの映像ばかり見ていたのだ。

(でもゆみも囲碁を始める様になって良かったわ)

 小学校からの友人である彩矢は知っていた。中一の初めまで院生でありプロ予選不合格で伸び悩んで辞めたのだと。
 その後囲碁を封印し同じテニス部で活動していたがどこか退屈にしていた事に気が付いていた。
 高校で偶然あかりの持っている詰碁の棋譜に答えてしまって囲碁が出来る事を知られ一緒に同好会作りに動いた時の表情で良かったと密かに思っていた。

(進藤二段の経歴はふざけているの? 囲碁を始めて一年で院生は良いわ。私が辞めた後に直ぐ入って院生一年で入段! プロの師匠もいなくて院生から森下九段の研究会に参加のみで多くの2次予選を勝ち続けている。そしてこの北斗杯で大将。天才っているのね)

 才能、実力の差にゆみはむしろサバサバとしてアマで活躍する事に割り切る事が出来た。
 北斗杯を知らせたあかりには感謝をして見ると横顔には涙が浮かんでいた。
 画面を見ると韓国相手に勝利は副将の塔矢の1勝のみ。
 塔矢の中押しに社の3目半の負け。最後の進藤は半目で敗北。
 韓国の勝利で韓国2戦全勝で優勝。日本が1勝1敗で2位。中国がまさかの全敗で最下位と予想外の結果に終わったのだ。

 表彰式の中継までは見ずにレストランで食事をしてから東京に帰る事にした三人娘。




「バカヤロー! 悔しいのは負けた本人だ」

 大盤解説室で思わず負けて残念だと言った客に掴みかかる河合。
 その迫力に伊角たちの後ろの座席で大将が塔矢アキラならなどと同じように日本チームを腐した他の客も気まずい顔をして黙ってしまった。
 その文句を言った隣の席の男性が何でもない様に立ち上がり河合の肩を軽く叩く。

「河合さん、そこまで」

「進藤さん、間に合ったんですか」

「急患が少なかったから夜勤明けで直接ね。ヒカルは頑張ったという過程ではなく、単純な勝敗の結果で評価されるプロの世界に入ったのです。結果による批難は黙って受け止め次に挽回すべきです」

「進藤さんは息子にも厳しいですね」

「とにかく息子のことで不愉快にさせてすみません」

「オレも言い過ぎた。済まない」

 父親が謝るのなら仕方が無いと河合も頭を下げた。

「救急病棟の勤務医の私の様に他人様の人生を預かったり、河合さんの様に時には1分1秒を争うお客様を運ぶのでは無くて、己の人生を己で切り開くだけだ。若い内は幾らでも挫折すれば良い。
 河合さんも見守ってください」

「そうだな、アイツを信じれば直ぐに評価は上がる筈。進藤さん迷惑を掛けた」

「ヒカルは幸せですよ。これだけ気にして貰えるのですから」

 そのままガハハと頭を掻きながら笑ってごまかす河合。
 どうやらそれ以上の騒ぎにならず終息したようだ。


 北斗杯 検討室

 この日塔矢行洋も中国から戻って検討室で日韓の対局を見ていたのだ。
 そこで高永夏のあえて怒らすかのような秀策への言葉と進藤の反発を知った。

(自らの命を賭して教えを受けた最後の弟子としてどの様な意図であれ許せるものではないな)

「saiは何の為に現れたのだろう?」

 終局で皆が対局室に向かう中で楊海と行洋だけが残りsaiは正しく現代に蘇った秀策だという話からもし本当に秀策の幽霊ならその目的はという楊海の疑問が口について出たのだ。

「そんなのは決まっている。私と打つためだ(正確にはそれを進藤くんに見せる為だが)」

「流石は塔矢先生お見事」

 そう一言言ってから対局室へ向かった。

「強くなったな。佐為殿との続きを打てるのも近そうだ」

 一人残った行洋もようやく席を立ち息子に会わずに一人噂の台湾の素質ある子供に会いに行くのだった。
 妻にはすぐ戻るので息子の面倒を見させるつもりだった。

 終局後ヒカルの力を認めざるを得ない対局だったのにそれでも憎まれ口を叩く永夏に洪だけでなく団長の安や随行記者も流石に注意をするしかなかった。
 実際冷汗を掻き咽喉も乾くというタイトル争いの様な経験であり塔矢以外にも自分に匹敵する棋士が日本に居ると実感したのに口では格下だと言ってしまう永夏。


「遠い過去と遠い未来をつなぐためオレがいる……」

(なぜ碁を打つのかその理由はオレの中にハッキリとある。ただ負けた事が悔しい)

 永夏に秀策に異常にこだわるのか? お前の碁を打つ理由は何かとそれでも最後に聞いた答えがこれであり悔し涙が止まらなかった。

「馬鹿馬鹿しい、そんな事棋士であれば同じだ」

 そう言って表彰式の準備の為に席を立って行った。
 それを聞いた楊海はどっちも子供ケンカと評し、過去と未来をつなぐのは棋士だけでなく生きる者全てだとも言ったのだ。

 表彰式の最後に北斗通信システム社長より北斗杯の永続化とそのための財団の立ち上げが発表されて、各国へニュースとして流れたのだ。




 ― あぁこれは夢だ。最近は夢か現実か時々わかるようになったんだ

 ― 聞こえるのですか? 私の声が聞こえるのですか?

 そしてそこにははたして一年ぶりの佐為が居た。

「佐為、居たのか。昨日一昨日の北斗杯見てくれたか?
 一勝一敗だったけれど強くなったぜ。
 韓国の高永夏はお前の事を莫迦にしたが洪の言う事では通訳のミスだったのを面白いからそのままにしろだと言ってわざとそのまま誤解させたって酷いヤツだろ。
 なぁ何とか言えよ佐為」

 ヒカルの望みにただ佐為は微笑むだけだった。

「今日は洪。洪秀英憶えているだろ。アイツとも初めて打った碁会所で対局して勝ったよ。
 北斗杯も毎年行われる大会になったって発表もされたよ。
 まだまだ言う事が一杯だ。
 なぁ、オレと一緒で本当に幸せだった? 満足に碁を打てなかったのに。
 今は成仏して虎次郎や碁の神様と打ってるのか?」

 そのまま右手を伸ばす佐為の手の下にヒカルも手の平をかざすと白と黒二つの碁石を渡した。

「これは?」

 黒石に扇子を当てそのままヒカルを指す。次に白石に当てて。

『本当に大切なものを間違わない様に』

 始めて佐為の言葉が聞こえた気がした。
 そのまま意味深に微笑みながら消えて行った。
 残されたのは涙と共に目覚めたヒカルだった。

「佐為。オレは打つよ、これから何百回も何千回も生きている限り」


 あとがき

 流石に日本優勝に出来ませんでした。
 今回は基本原作と同じ流れをあかりちゃん視点で見てもらいました。
 実際原作でも筒井よりもあかりちゃんを出すべきなのに(仮)が付くヒロインになってしまった彼女の救済でもありました。
 正夫さんもあれだけ影が薄いのは全国に顧客が居る営業か開業ではなく勤務医で忙しいのかと思い救急医設定にしました。
 オリキャラ、オリ設定がまたもや追加です。
 そしてこの作品はあくまでもサヨナラでありタダイマ=佐為復活ではありません。

 原作23巻までの第一部完です。
 今後オリジナル展開で更新が遅れます。


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