【被疑者】拘置所被告殺人・考察&まとめスレ51【不明中】855:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/15(木) 12:05:29.31 ID:JJJJJJJJJ 病院からの脱走がいつ公表されるか注目していたが、ニュースになったのは昼前か。 スレ住民諸君、祭り中失礼する。こちらはサキュバスを召喚した者だ。事情があって、サキュバスは今、私のところにいる。 こうやってサキュバスが前に使ったのと同じトリップで書き込めば、関係者であることの証明になるだろうか。 さて、そのサキュバスから伝言を頼まれたので書き込みに来た。 ちなみに以前彼女が書き込んだ時と同様に、この書き込みは他人の端末を使っている。サキュバスからの伝言は以下の通りだ。 このレスを含めて3レス分、今から投稿する。投稿中は極力他のレスを控えて頂けると有り難い。 ============= 何でわたしが病院から抜け出したのか、あるいは、何故わたしが病院でずっと召喚者の情報を黙秘し続けたのか、答え合わせをしようか。 わたしの身体に大問題が発生して、その解決のために頼れる相手が、召喚者しかいないから、だよ。 世間に知られている通り、わたしは7日の4時に警察に保護された。しばらく意識不明状態が続いて、一旦は意識が回復したのが、9日の夕方。 でも、11日の午前中に、大阪府警の人とトラブルがあって、わたしはまたしばらく意識を無くしてる。 かなりしつこい事情聴取にキレたわたしが、大阪府警の人に魔術を発動させたのが発端。魔術の内容は、単にわたし自身の過去の記憶を見せるものだった。 だけど術を食らったその府警の人は錯乱して、わたしの顔を思い切りぶん殴って、それでわたしの意識が飛んだんだ。 それから意識を回復したのは、13日の午後になる。目覚めてすぐ、自分の身体に異常が生じたことに気が付いたよ。 ある魔術が常時発動しっぱなしになっていて、何をしても、その魔術を止めることが出来なくなっていた。 それは、『他人の直近の性行為を見抜く』魔術。 自分の周りに人が近づいてきたら、その人の、『直近の性行為の情報』が勝手に見えてくる状態なんだ。その時の場所とか日時とか会話とか、他にも諸々。 ここに宣言しておくよ。 13日の昼以降、14日の夜まで、東都警察病院の703号室付近を通った人達は(部屋の中に入っただけじゃなく廊下を通った人を含めて)、わたしに『その情報』を見られてる。858:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/15(木) 12:06:21.08 ID:JJJJJJJJJ 魔術の証明のつもりで、見えた記憶のうち調べやすそうな2件を、ここに書いておくね。 ・きのう14日の朝8時くらいまで、わたしがいた病室の前で見張りに立っていた婦警さん(下の名前のイニシャルがKさん?)は、 実は今月4日の夜中に、米花町にある『ホワイトムーン』っていうホテルを、彼氏2人と使ってたみたい。 そのホテルの個室で、婦警さんも彼氏さん達も、アルコールランプっぽいもので『何か』を仲良くあぶってた。 ・きのうの昼にわたしの部屋の前を通って、その隣の部屋に行き来していた刑事さんと、その同僚の人は、 今月7日の夜に、賢橋にある『ハニーロード』っていうホテルで、仲良くなってた。 前者は警察的に結構な問題な気がする。見る限り、彼氏さん達の顔だけは割とヤクザみたいだったんだよね。『何』を扱ってたのか知らないけど。 後者は、独身同士のカップルっぽいから、警察的には無問題のケースかも。 ちなみに今書いた魔術の件に関しては、きのう、弁護士さん達と、サキュバスが融合した先の女子高生の母親には打ち明けている。あの病室で、筆談で。 魔術で見えた母親と父親の夫婦の営みの情報を具体的に教えたら、母親は魔術のことを信じたよ。 たまたまだけど、日時と場所から考えて、元々その営みを女子高生が見てた・知ってた可能性は全くゼロだったから。「魔術で見た」事、信じるしかなかった訳。 弁護士さん達との筆談は全部ノートでやってたけど、色々書いた部分は弁護士さん達がノートから破いて回収していったよ。 だから、弁護士さん達が去った後で病室に残されたノートは、全くの白紙。(もっとも、夜の脱走前にちょっと書き足して病室に残したけど) 他人の性行為の情報を書いたものを、盗み見されるリスクのある場所(病室)に置きっぱなしには出来ないものね。 お巡りさん達の性行為の情報も弁護士さんとの筆談の時には書いていて、結局その時は、『後日、警察相手に書面で苦情を言いましょう』っていう結論に至った。 ぶっちゃけ薬物事犯が疑われるような情報なんて、口頭で言える話じゃないでしょう? まあ、弁護士さん達との話し合いはそういう風な流れで終わったから、わたしがその日の内に病院から抜け出すなんて、誰も予想してなかったんじゃないかな?867:◆MsSuccubus [sage]:20XX/08/15(木) 12:07:15.33 ID:JJJJJJJJJ さて、ここからは弁護士さん達にも母親にも、誰にも言わなかったことを言うよ。 そして病院から抜け出して召喚者を頼った今こそ、打ち明けなければいけないこと。 今、わたしはすごく困ってる。この止められない魔術のせいで、自分自身の生存が危うくなってるから。 病院で、女子高生にとってはキツい記憶を見せられ続けたのは問題ではあるけれど。 それ以上に問題なのは、『このまま魔術が発動し続けると、じきに今の身体から魔力が枯渇しそうなこと』。 今のわたしは、女子高生とサキュバスというふたつの魂を、魔力という糊でくっつけたようなものだからね。 おまけに融合した魂を受け入れるように、女子高生の身体の方も魔力で少しばかり弄ってる。 このまま魔術が発動しっ放しの状態のまま、魔力が枯渇すると、間違いなく人格も身体も壊れて廃人になって死んでいくしかない。 だから、わたしはきのうの時点で召喚者のところへ向かう事を決めて、(最初から黙秘すると決めていたけれど)余計に召喚者のことを喋らないようになった。 魔力絡みの問題に対応することを考えた時、必要な知識を持つ存在は、わたしと召喚者しかいない。 それにわたしが余計な魔力は消費できない今、どんな術を使うにしても、召喚者の魔力に頼る他ないんだから。 恩人でもあり頼るべき相手でもある存在を警察に売るようなこと、そんなこと、わたしはしない。 これから、召喚者と、わたしの状況を解決するために、どういう方法を選ぶのかをじっくり話し合う事にしてる。 今の環境は他人とはあまり触れ合わないから、魔術の自動発動それ自体を抑えられる環境でもあるし。 どんな術を使うか色々考えているし、他人を巻き込むとか巻き込まないとかまだ分からないけれど、これから一緒に考えて、決断していくしかないんだ。 ============= 彼女の文章は以上。この文章に加えて、召喚者として述べることは特に無い。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~8月15日 午後12時8分 都内 某デパート 5F 女子トイレ個室仮面とローブを身に着けた紅子が、手袋を二重に着用した手で握り締める、携帯電話の画面の中。3レス分しっかり書き込んだのを確認してから更新を掛けたら、猛烈な勢いでスレ住民の書き込みが始まっていた。典型的な祭りというか、炎上の開始である。「……」ひとり言なんてもっての外。流しっ放しにしている人工の流水音以外は何も外に聞こえないように、静寂を保つよう気を付けながら、携帯電話に挿していたSDカードを引き抜く。電話を折り畳み、そして魔力を一気に込めた。意図的に電機製品に反発するよう方向づけられた力は、赤く発光しながら正確に携帯電話の部品を破壊。一瞬で構造がバラけた。そして紅子は掌の上の残骸を洋式便座の中に落とし入れ、……そのまま流す。紅子の物でない端末が、下水に消えていく。正直言ってこの破壊に感慨はあまり無い。――急いで転移で屋敷に戻らなければ、とは思うが。この場所に、長居は出来ない。携帯電話が電波を発している事、捜査機関が調べようと思えばすぐにその位置を突き止められることくらい、一般人でも知っている。このデパートの、トイレのこの個室は、以前密かに赤魔術用の転移符を貼り付けて、転移の拠点として使えるようにしていた場所だ。そんな風に整備した時期は、今年の春。紅子が自力で屈服させたい『あの怪盗』と相対するため、警察に察知されない移動手段とすることを念頭に置いていた。そもそもあの頃は、サキュバスを召喚するとか全く考えていなかった。……全くもって、何が役立つか全く分からないものだ。ちなみに今壊して流した携帯電話も、魔術によって盗んだ物。トイレの利用者が手荷物をできるだけ忘れて帰るよう、隣の個室に向けて暗示の魔術を掛けた、成果だ。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~午後12時20分 警視庁 捜査1課「おい、目暮! ちょっと来てくれ! 『サキュバス』の件の捜査本部から呼び出しだ! あと、監察からもな!」昼休み中。いつものように愛妻弁当を食べていた目暮の斜め後ろから、松本管理官の声が飛んできた。振り返ると、紙を数枚持った管理官が、愉快そうではない顔でこちらへ歩いて来ている。目暮は食事の手を止めて立ち上がった。「……監察ですか? 管理官」監察、……警察官の不祥事件などを調べる部署だ。『サキュバス』の事件に絡み、事件を起こした『本人』がきのう病院から脱走したことは目暮も知っている。その前に『本人』から伝言を頼まれた佐藤が、『サキュバス』事件の捜査本部から呼び出された、……なら分かるが、何故自分が? そもそもなぜ監察までもが呼び出しに来るのだろう……?「ああ、たぶんこの件の確認だろう。さっきネットの掲示板にこんな書き込みがあったそうだが……」苦虫を噛み潰したような顔で、管理官は持っていた紙をこちらに寄越した。掲示板をそのまま印刷したらしい、見覚えのある掲示板のデザインだ。……かつてサキュバスが坂田や沼淵の写真を投稿した掲示板そのものだと、思い出す。召喚者が代理で書き込んだというそれは、とんでもない内容。荒唐無稽だが、こちらの記憶とは辻褄の合う被疑者の自白。1レス目の最後の宣言に目の前が真っ白になり、――みどりとの情報を見られたかもしれない衝撃が思考を覆いつつも、それでもどうにかそれ以降を読み通す。「何だ、これは……!!」読み終えた結果、目暮の口からそんな激情の声が出た。警察にとっては苦々しいことに、『本人』が取った選択肢は実に賢い。捜査本部も観察も、この書き込みを見て、間違いなくその魔術の真偽を検証せざるを得ない。婦警の不祥事をほのめかしているのだから、なおさらだ。仮に、魔術の件が真実であると判断されたならば、捜査本部は捜査員の再編成を余儀なくされるだろう。警察は元々既婚者が多い組織だ。これまでの人生で誰かと交わった経験が全く無い者は、おそらく割合としてはかなり少ないはず。だが今後、そんな少ない人数をかき集めて『サキュバス』用に確保することになるのだろう。捜査員の秘事が自動的に被疑者に筒抜けになる状態は、極めて不味い。「目暮達は、きのうの昼間、警察病院の7階に行っただろう? 一昨日からきのうに掛けて、その階に出入りしてたウチの職員がどれだけ居たのか、……これから全部調べるそうだ」その調査自体は妥当だと、目暮は思う。被疑者に情報が漏れたかも知れないのなら、漏れた内容が、誰のどんな情報だったのかをまず把握せねばならない。だが監察や捜査本部に話すよりも前に、管理官に話さなければならないことがある。この課に属する者達に関して。印刷された掲示板のレスの内、2レス目の途中、『ハニーロード』の件を指し示した。独身同士だから問題無いらしい、薬物事犯ではないらしい方の、情報の記述。「管理官、きのうの昼間、私と高木くんは『本人』の病室の前を通っています。 あと、私はきのう、『本人』の部屋に行くコナン君が行くとき、佐藤くんにそれに付いていくよう命じてしまったんですが…… ……『蘭くん』は、元々、佐藤くんも高木くんも独身だと、知っていたはずです」つまり、『きのうの昼にわたしの部屋の前を通って、その隣の部屋に行き来していた刑事さん』=高木で、『その同僚の人』=佐藤、という図式が、成り立ち得るのだ。元から知り合いのカップルだから、『警察的には無問題のケースかも』とわざわざフォローしたのかも知れず。「……あー、……そうか」何とも微妙そうな顔をした管理官の口からは、そんな言葉しか出なかった。※12月14日 初出 NGワードに引っ掛かったので一部のみの投稿です。 12月15日 前の日に投稿できなかった部分を追加+色々表現がおかしかった部分を書き足しました。 12月21日 誤植等を修正しました。