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No.38861の一覧
[0] 鬼剣の王と戦姫(ヴァナディース)(魔弾の王と戦姫×川口士作品)連載に関して報告あり[トロイアレイ](2017/03/27 00:21)
[1] 「煌炎の朧姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:23)
[2] 「虚影の幻姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/06/17 18:39)
[3] 「雷渦の閃姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/06/17 18:42)
[4] 「煌炎の朧姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:35)
[5] 「虚影の幻姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:37)
[6] 「虚影の幻姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2014/08/10 20:55)
[7] 「煌炎の朧姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:00)
[8] 「雷渦の閃姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:02)
[9] 「鬼剣の王 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:26)
[10] 「銀閃の風姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/04/09 01:59)
[11] 「凍漣の雪姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/05/03 12:28)
[12] 「光華の耀姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:23)
[13] 「凍漣の雪姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:06)
[14] 「光華の耀姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:24)
[15] 「羅轟の月姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/11/16 20:47)
[16] 「鬼剣の王 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/12/14 19:55)
[17] 「光華の耀姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/02/01 14:52)
[18] 「銀閃の風姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/02/18 00:03)
[19] 「羅轟の月姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/03/01 18:52)
[20] 「魔弾の王 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/03/08 16:00)
[21] 「羅轟の月姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/04/05 01:15)
[22] 「虚影の幻姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/05/14 23:29)
[23] 「鬼剣の王 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/08/23 20:21)
[24] 「魔弾の王 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/04/07 21:14)
[25] 「銀閃の風姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/07/04 13:19)
[26] 「鬼剣の王 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/04/28 16:46)
[27] 「雷渦の閃姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/05/11 00:37)
[28] 「羅轟の月姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/05/25 01:12)
[29] 「魔弾の王 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/06/04 02:16)
[30] 「凍漣の雪姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/06/16 22:58)
[31] 「凍漣の雪姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/07/03 16:35)
[32] 「鬼剣の王 Ⅴ」[トロイアレイ](2015/07/14 00:16)
[33] 「乱刃の隼姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/08/07 02:40)
[34] 「鬼剣の王 Ⅵ」[トロイアレイ](2015/08/13 22:30)
[35] 「魔弾の王 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/09/03 12:41)
[36] 「魔弾の王 Ⅴ」[トロイアレイ](2015/09/23 17:49)
[37] 「銀閃の風姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/11/14 16:06)
[38] 「鬼剣の王 Ⅶ」[トロイアレイ](2015/11/29 23:57)
[39] 「魔弾の王 Ⅵ」[トロイアレイ](2016/02/06 22:12)
[40] 「光華の耀姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2016/04/17 23:32)
[41] 「光華の耀姫 Ⅴ」[トロイアレイ](2016/07/03 16:03)
[42] 「鬼剣の王 Ⅷ」[トロイアレイ](2016/09/11 21:17)
[43] ご報告及び移転の告知 追記 感想返信[トロイアレイ](2017/03/29 19:12)
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[38861] 「乱刃の隼姫 Ⅰ」
Name: トロイアレイ◆d28bba85 ID:db24ec31 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/08/07 02:40
最近、どうにもこのアルサスにて良くない噂が上がっている。留守を預かる身としては、こういった事態に対してちゃんと対処しておかなければならない。

とはいえ、良くない噂と言えるほどに殺伐不穏なものではないのだが、それでも怪談話に変じそうなものでもあった。

この間、オードから帰還したルーリック、ジェラールからも同じような報告が上がっていた。(二人してタッチ半分ぐらいの差で同時に報告)


「どこからともなく夜になると聞こえる楽器の音色ですか……気取ったミネストレーリでもいるんでしょうか?」

「やはり調べた方がいいんじゃないか? もしも敵の間者でアルサス領民から何かを聞き出していたら不味い」

「私も聞きましたけど、良い音色でしたよ。ただどこからだろうと窓を開けると、終わっちゃうんですよね」


リムアリーシャの疑問に対して、机の対面で勉強していたオルガ、そして二人にお茶を持ってきたティッタが答えた。

言われてどうしたものかと思いつつも、やはり流しの歌詠いであるならば、堂々と音色を奏でて欲しいもののだ。

別に商売の邪魔をしようというわけではないのだから……。何も後ろ暗いことが無いならば出てくればいい。


「今夜辺り、その音色の正体を掴みますか。オルガ様の言葉も一理ありますから、場合によっては兵を使うことも考えます」


リムはそう決意して悟られないようにセレスタの街の住人にも協力を願って、気取った音楽家の正体を知ることにした。

ティグルの館の庭に潜んで件の音楽家の登場を待つ。どうにもその音楽家と言うのは、ティグルの館の周辺まで歩を進めていくことまでは分かっていたからだ。

月明かりだけが輝き、街唯一の酒場すらも閉まり、後は闇夜の帳に落ちて静謐の中に沈んだセレスタの街のみだ。

そうして―――二刻経つか経たないかという時に、それは現れたのだ。

張り詰めた弦が震えて、音を吐き出す作業のそれが静謐の中に心地よく響く。まるで静謐を深くさせようとするそれの前に―――眠りこけそうになるも、それをこらえる。


(き、来ましたよリムアリーシャさん)

(ええ……見える限りでは……男性ですか―――)

(またもやルーリックさんやジェラールさんみたいなティグルの小姓希望者だろうか……ティグルが色んな意味で『危ない』)

((失礼なこと言わないで頂きたい!))


言葉の裏に隠れた心こそ逆だろうが、オルガの言葉に隠れていた二人の男騎士達は小声で怒るという器用な真似をした。

そうしつつも、今回の音楽家は少し違っていた。今までは楽器の演奏だけで済ませていたというのに、今回に限っては、口を開いたのだ。

要するに詩を吟じ始めた。それはアスヴァール語での詩だ。

あまり知らない言語であるが、それでも―――アルトリウスと円卓の騎士の伝説を歌い上げているのだろうということは理解できた。

歌い上げる吟遊詩人は―――おそらく三節程度を歌い上げた後に、何かを呟く。


「うーーーむ。どうやらいないかいるのか微妙な所であるが、僕としてはこのまま帰るというのは情けないことこの上ない……ギネヴィア様とか絶対に怒るだろうしねぇ」


独り言を呟く吟遊詩人。軽い調子でいながらも、その身体はゆるぎない所作だ。


「それで今夜こそは聞きたいことがあるんだがいいかな? そのように闇の中で見つめられては、私も少々冷や汗を掻いてしまう」

「気付いていましたか」


リムが先んじて立ち上がると一斉に全員が潜んでいた所から立ち上がった。その様子に少し驚いている吟遊詩人であったが、落ち着いたのか、こちらに寄ってきて自己紹介をし始めた。

何か妖しい動きをすればティッタを除いて誰もが切り捨てることが出来る体勢でいたのだが、構わず吟遊詩人は口を開く。


「私の名前はウィリアム……アスヴァールにて伝説の英雄達のサーガを歌いながら、新たな「英雄」のサーガを作ることを目指すものです」

「何故ここに来られた? 何となく用向きは察せられますが……」

「流石は胸の大きな美人は言うことが違う。その度量に完敗してしまいますよ」


若干、怒りを起こしながらもとりあえず本人の口から用向きを聞きだす。それによれば目の前の吟遊詩人は元々アスヴァールにおいてタラード将軍に重用される人間だったそうだ。

タラードなる人物を直接見たことなく、知っているだろう人間からも聞いたこと無いから本当かどうかは分からないが、まぁ自己申告によれば、そういうことらしい。

しかし、かの陣営において赤竜の騎士アルトリウスの再来なのではないかと思うほどの卓越した剣士を目にした時から、彼の心……吟遊詩人としての『火』が点いた。


「つまり、リョウお兄さんの『伝説』を完結させたくて、ここまでやってきた、と……」

「その通りです桃色のお方。タラード将軍及び胸の慎ましやかなブレトワルダの革命が成るまでは、私は義理立てしてジャーメインを打倒するために戦ってきましたが、先においてそれらが成り、私は晴れて自由の身となり、自由騎士の伝説を紡ぐためにブリューヌにやってきたのです!」


芝居がかった言い方と大仰な身振り手振りをする吟遊詩人である。どちらかと言えば「道化師(クローウン)」か「劇作家」にも思えるのだが、本人はそういっているので、まぁそうなのだろう。


「……あなたが本当にサカガミ卿の既知の人間であるのならば、それなりの信用もありますが、今ここにはあなたの身分証明をする人間もいない。何よりある意味このアルサスは戦争真っ只中なのです。妖しげな、ともすれば間諜の変装でもある職業の方を滞在させるわけにはいきません」


リムの言葉に対して全員が頷く。かき鳴らしたハープの音色が物悲しく響く。だが、そう言っておきながらリムはある提案をしてきた。


「ですが、タラード革命軍にいたということは、それなりに武芸にも通じているのでしょう。我が軍は大変な人手不足です。伯爵の近衛兵を常に募集しております」

「まぁ剣も槍も弓も―――一流には届きませんが、それなりです……そして私の一番の武器は……こちらになります」


持っていた荷物、その中から―――金属製の陶器とでも言えば良いのか、何とも言いがたいものが出てきた。

壷と言えば壷だし、瓶といえば瓶にも見える。取っ手のようなものがついていたり、見れば見るほどに分からなく、リムもそれなりの洞察力を発揮するには時間がかかった。


「それは?」

「我が盟友ラフォールとの共同開発によって作られた手持ち「投射兵器」―――私はこれを、古式に則り「フェイルノート」と称しました」

「思うに、それはもしや小型の「火砲」……のようなものなのか?」

「不毛の方。なかなかの洞察ありがとうございます。動力機関や機構は少し違うのですが、それに類するものでして……まぁ日が出ている時にでも威力の程をお見せしましょう」


ルーリックにそんな風に言いながら、続けて今夜見せるには遅すぎるし、何より結果はそんなに見れないはずだとするウィリアム。

とりあえずセレスタの町の宿に一拍させることで、明日の昼にでも、その「投射兵器」とやらの威力を見せてもらうことにした。


そしてその日の昼に「タラード革命軍」の「『銃』士ウィリアム」は、連合軍の初の雇われ兵となることとなった。

彼曰く、その「複合投射『銃』」というもののアイデアはリョウ・サカガミの故郷で使われているある兵器が元であるらしい、更に言えば「自分の武器は、詩です! 詩で皆様の戦意を彩ってあげましょう!」と言うウィリアムに、どういえばいいのやらであった。


後にその男―――雅号「ウィリアム・シェイクスピア」と名乗り多くの伝説をジェスタ、サーガとして読み上げて多くの人間に「二人の勇者」の実像を見せていくこととなるのは、正しく運命としか言えなかった。



† † † † †


執務室は色々な空気であった。いざ鎌倉ならぬ、いざ「アルサス」などと考えていただけに、出鼻を挫かれた形である。

リョウ・サカガミはそう考えてから、エレオノーラの執務机から資料を読み上げた。


「―――三千の軍団か、さてどうする?」

「動かなければいけないだろうが……この場合の決断を下すは私でもお前でもない」


渡された資料を半ばエレンからひったくり読み上げていたリョウの視線が、エレンと同時にティグルに向けられた。

その視線の意味は分かる。つまりは、戦うかそれともさせるがままにしておくかは、自分に委ねられたのだということ。


「俺にこんな重要な決断をしろってのか?」

「重要な決断だからこそだ。私はお前に協力することを決めた時から、一種の契約を結んでいるんだ。お前が、我がライトメリッツの兵を雇ってくれている以上は、お前の判断に私の兵を任せるとな」

「それは元傭兵だからこその言葉か?」

「契約の神ラジガストにそむくわけにもいくまい。そして戦う相手はそのラジガストの契約を反故にして中立を破った女だ」


水掛け論だな。と感じつつ、とりあえず此度の外征理由を聞くために使者をオルミュッツ軍に送ることをティグルは提案した。

そうしておきながら、幾らの兵ならば動けるのかを聞く。遠征前に消耗させたくないのはお互い同じだ。


「とりあえず残していく兵…予備兵力の二千ならば、確実に動かせる」


エレンの言葉に対して、一瞬だけ考えてから、戦を避ける手段も考える。リュドミラの「変節」の原因を知るには、「間者」の報告が必要だ。


「分かった二千の兵に戦支度をさせてくれ。それと、ここに来るまでにオルミュッツに立ち寄ったものがいて、今回の遠征に何か「裏」「オルミュッツの現状」を知っているものがいれば、何でもいいから教えるように立て札を立ててくれ」

「文言はどう書く?」


ティグルの矢継ぎ早の指示に毛筆と紙を取り出したリョウが清書する姿勢を取っていた。

それに対して頭の中で言葉を組み合わせていく、修飾語句などは任せつつ、分かりやすい文言で……頭の中で出てきた言葉を脚色しつつ、見事なジスタート文字で書かれたそれをリョウはこちらに渡してくる。

事前報酬の額が安すぎやしないかと思うが、それにリョウは付け足してきた。


「場合によっては『ガセ』ばかりが集まる可能性もある。質問は俺がぶつけるから、お前は裏づけ出来た場合の報酬を書け」

「お前ほど達筆じゃないから―――金二枚と書いてくれ」

「大盤振る舞いだな」

「金二枚で、もしかしたら二千の兵に死傷無くせるかもしれないんだ」


安いものだろう。と同意を求める。金二枚と清書した男は首肯をした。

しかし、あちらの理由次第ではどちらにせよ「ぶつかり合う」道しか残っていないのかもしれない。

そう考えて、この公国の責任者に視線を向けると、エレオノーラ・ヴィルターリアは真面目な顔で首肯一つをして、それらを承認した。



† † † †


「最新刊にて遂に私の竜技が発動。名前も判明。もう「デモン・スレイヤーズ」とか名乗っても良いんじゃないかと言うぐらいの活躍でした」

「どちらかといえば、「後姿がゴ○○リ似」な神官の活躍に思えるんだけど―――というかポリーシャまで何しに来たの? さっきからプラーミャちゃんをあやしていて……用件を早く言ってくれないかしら?」

「―――羨ましい?」

「張り倒したいわ。その笑顔」


いつぞやの状況とは少し逆になった二人。あれは確かサーシャの所にリョウが現れて、そのリョウを捕まえた目の前の鎌女の領地に赴いた際のことだったか。

あれから半年経つかどうかだというのに、まるでもう一年以上も経ったかのような気分だ。充実していた日々と言えばその通りなのだろう。

それぐらい大きなものをリョウ・サカガミはこのジスタートに与えた。そしてこれからも恐らくその姿勢は変わらないはず。


「橋の修復作業に回されて泣いているかもしれないあなたに王宮からの勅命です。いつぞやの内部調整の結果が出ましたので」


そうしてヴァレンティナは書状一枚を取り出して、自分の執務机に置いた。内容は考えていたことだが、随分と性急だなと感じた。

現在の「ブリューヌ王宮」の政治状態を見極めて来いという指示。それによれば最近のブリューヌ王宮の反応の鈍さから、もしかしたらば、二大公爵の専横だけでなく、何かしらの意図があるのではないかという陛下の見解があり、それを確かめるために自分を遣わすというものだ。

あの時のヴィクトール王の反応から察するに、いずれはリョウに対して支援を行うと思っていたのだが、何か気がかりが出来たか。


「それを確かめに行くんですよ。ただムオジネル軍も武具兵糧などを溜め込んでいるそうですから―――いざ南部から攻め込まれた時に、ブリューヌがどう動くかを掴みたいんでしょう」

「……そういえば紅茶や香辛料などの値段が上がっていたわね」


商人達は冬に備えて商売が活発になった需給の不和の結果だと言っていたが、それにしても確かに高かった。

このポリーシャに来るムオジネル商人に身分を隠して聞いてみたが、どうやら自分の美貌だけでは全てを聞くことは出来なかったようだ。

もしくはあちらも自分を知っている。要は間者の類でもあるのだろう。

とはいえ、そういった事情があるのならば……ことは、ブリューヌ一国だけの問題ではない。

そうしていると、ふともう一国のブリューヌへの侵攻軍のことが気がかりになる。


「ザクスタンはどう動くの? 妨害工作は?」

「イルダー様曰く、タラード将軍は「後ろを突く」ぐらいは約束してくれたそうです。条件付きですけどね」


条件。恐らくコルチェスター奪還作戦、もしくは治安強化に協力してくれなどといったところだろう。

現在の所、正統アスヴァールにおいて一番援軍の戦力として役に立ちそうなのは、公王閣下の海軍だ。


「リョウの邪魔をするようならば軍を動かす。そういうことらしいですね」


しかしザクスタンは恐らく動く。動いて奪いに来るはずだが……聞きしに勝り、とんでもない剣技と体躯でザクスタンを威圧するロランが、国境要塞にいる以上は、陸路からの侵攻は無い。

恐らく海路から仕掛けてくるはずだ。


「あまり気にしなくてもいいかと、南部を襲うとなると港を襲いましょう。リョウとティグルヴルムド卿の敵にとっては二正面作戦を展開するだけで、負担を強いること出来ましょう」

「それをひっくり返す事態が起きたら? 未だに王宮はアルサス・ライトメリッツ連合に対して態度を決めてないのよ」


そう言われるとヴァレンティナも何も言えなかった。事実、二大公爵の専横を許しつつある王宮ではあるのだが、それでも全てをこの二人に任せているわけではない。

ピエール・ボードワンは今でも政務に辣腕を振るっているし、塞ぎこんでいるとはいえ国王とてまだ存命なのだ。

二大公爵に任されていることなど、そこまで多くは無いはず。


「というわけですので、ちゃんとお渡ししましたよ。独り言ですが……最近、『メイス』を振り下ろす音が五月蝿くて夜中に起きる時があるんですよ。お気をつけてソフィーヤ」


自分の執務室を出て行く前にこちらを向いて、悪い笑み。とでも言えばいいものを零しながら、ヴァレンティナは言ってくる。

その隠喩の意味が分からないほど、自分も間抜けではない。そして己の近隣にて関わりある人間のことを知らぬほど世間ずれもしていない。

しかし……戦姫の判断を無視してまで、そんな行為に出るとは、どんな意図があるのやら、如何にヴァレンティナがリョウに骨抜きにされていても、その根っこは変わりない。

『メイス』の狙いは―――公王閣下の領地ビドゴーシュだろう。


そんなソフィーヤの予測は少しだけ外れて、既にヴァレンティナは『メイス』……『カザコフ』の狙いを看破していた。

ジスタート北部を代表する二大貴族であるイルダーとカザコフ。前者が今は違う『飛び地』経営に直接関わっている現状で狙っていると思われているが、それにしてもお粗末である。

現在、名代としてビドゴーシュに度々「ユージェン」が代官として就いて「義弟」として代理経営を行っている。

無論、これは正式なものであるのだが、そのユージェンにあらぬ咎を着せて―――ビドゴーシュを奪い去る。恐らくは……『ブリューヌ『反乱軍』に私的な援助を行いながら、『盟友』イルダーの領地を不当に扱う王弟ユージェンに戦いを挑む』とかそんな辺りだろう。


(恐らく九割、連合軍は官軍、征軍とは認められない……)


ブリューヌ王宮は、「貴族」関連の裁決を二大に任せて「民事」「国事」に関わることを自分達で取り仕切る。

問題は、どこでカザコフがその情報の裏を取ったのかだ……恐らく、二大の内のどちらかに焚きつけられて「そうなる」などというのを信じたのだろう。

胡散臭さ抜群すぎる提案に対して、一回だけで頷いたわけではないだろうが、王宮の事情などを探るに、連合軍への投資が一番不味いと思い、そのような考えに至ったはず。


(けど……一割で何かがあると思うんですよね……)


一割は全ての不確定要素。どんな陣営にいても「エース」として重用され、敗色濃厚の時には「ジョーカー(切り札)」として場に存在する一匹の竜。

いざという時には無かった勝ちの目を無理やり持ってくるそれこそが、他人が仕掛けた謀略などちゃちな子供だましだとして斬り捨てる。


(楽しみですわ。あの英雄が、混沌の王国にて見出した『聖剣』『魔剣』をどう打ち立てるのか……)


恐らく多くの国が動乱に巻き込まれる。それは自分にとって望んでいたものではあるが……傍観者として見ているのもいいものだ。

英雄達の栄光と破滅の連続とはそれだけで、世界を彩る。その中で―――出来上がるだろう「王」の妃として「国母」になるのは自分なのだ。



という考えをしていたヴァレンティナの胡散臭さ最大値の微笑を見たソフィーは―――


(またロクでもないこと考えているわね……)


―――として、こっそり美貌半減な半眼での溜め息を明後日の方向に突くのであった。



† † † †


新雪というには、まだ速すぎるものの気候の関係上、降雪が早いジスタートの一公国「オルミュッツ」を抜けてきた女は、そこが少しだけ暖かいことに気付く。

まだこの公国は「秋」の季節なんだなと考えて、深い息を吐いた。

白く日光の影響で銀色にも見えた己の息に―――痛み混じりの郷愁が混じる。

白銀という色が嫌いな訳ではない。寧ろ見るもの全てを躍らせる。それは冬が長く厳しいジスタートにとっても同じことだ。

ヒトの感性というものは、生まれた国で違うとはいえ、その色が忌避されるのは少ない。

女個人の問題である。


(そろそろ新しい外套でも新調するかな……)


郷愁を打ち払いながら、そんなことを心の中で呟いた時、ふと前方に己が歩いている街道の脇。そこに何かを刺している男の姿が見えた。

男は女と同じ黒髪。衣装もどちらかといえば自分と似たような黒系統のものだ。

何か―――立札を刺しているのだと気付きながら、その所作のぶれの無さに、目を惹かれた。

それが契機であったかのように、男―――女からすれば少年とも青年とも言える若造の目がこちらに向いた。

自分の服のけったいさと腰に差しているもの、片目を隠したその風貌は初対面の人間に、幾ばくかの不審感を与える。

しかし、そんな奴は見慣れているのか、それとも食指の一つも動かなかったのか、直ぐに作業の方に戻り、近く遠くと距離を置いて、その立札が注目されるかを確認していた。

そんな男の後ろを通る形で街道を抜けようと思い、ついでに男の努力に報いてやるかと思ってその立札を見ると……なかなかに興味深いことが書かれていた。


「ねぇ―――この金二枚って本当? 金貨二枚の間違いじゃなくて?」

「……ああ。もっともガセが集まる可能性もあるから、報酬は、裏を取って、こちらで判断してからだがな」


話しかけられることは想定していなかったような声音だが、直ぐに平静を装ってくる男。


「だとしても気前いいもんだね。ガセかもしれない情報でも、この金子なんてさ」

「人の命が失われるのに比べれば安いもんだ―――俺の雇い主の考えだが、俺も同意見なんだよ―――それで本題だが……話しかけるからには、何か知っているのか?」


空気が変わったのを感じた女は、苦笑をしつつとりあえず一つの探り針を吐いた。


「宿屋の従業員の家族、そして宿屋の主人達―――総数十人以上が人攫いにあったって話だよ」


こちらの吐いた言葉に男は眉を少し動かした。詳しく話してもらえるか? と尋ねてきた男だが、それだけで動くとは余程の事情なのだろう。

しかし、口封じの為に殺されるのも嫌だし、何より向かった先で駄賃がもらえるとも限らないとして、この場で金子を寄越せと言う。


「金二枚を棒に振るのか?」

「殺されるよりはマシだよ」


猜疑心の塊と見られかねないが、生まれてこの方、そこまで人間を信頼して生きてきたわけではない。本当の意味で信頼出来たのは―――ただ一人の夢見がちなバカだけだ。

そんな自分の言葉は、黒髪の男をむかつかせるだけのものがあったらしい。


「……今のは少しむかついたぞ。俺のことを疑うのはいい。しかしここに書いてあるライトメリッツ戦姫は、一応……もしかしたら……あるいは、友人の人間なんだ」

「随分と自信無さそうだね」


言葉の後半には、段々と自信なさげにトーンが下がってくる。意外とこの男はライトメリッツ戦姫のいい「友人」なのかもしれない。


「あいつは信義は曲げない。たまに暴走するが、そりゃあいつがまだまだ経験浅いだけだ……。冷静なだけ、計算だけの為政者なんかよりはまだ信頼できる」


知っているよ。と言葉に出さずに同意しておく。

しかし……会って穏やかでいられるのだろうか。傭兵同士であった頃の事を持ち出されれば、何と言うか金二枚では済みそうにない。


「……一手仕合ってもらえる?」

「何のために?」


エレオノーラに会う前に、この男がエレオノーラを止められるというのならば、まぁ謁見するぐらいはいいだろう。


「あんたが私の護衛として使えるかどうか」

「何か因縁あるのかエレオノーラと?」


言外の意図を読み取った男に苦笑しつつ街道の脇、人目に着かない所まで歩いていく。

立会いをするのに上等な場所まで着いた。周囲には休憩所か何かの『まじない』として置かれたであろう地面に突き立つ巨岩数個。

広くも無く狭くも無い程度の場所、枯れて茶色になった足元の草を踏み鳴らしつつ、男と対峙する。

見るものが見れば美形と言えるし、普通とも言える。だが、人の見え方などそいつの能力次第でどうとも言える。

無能であれば、美形でも不細工に見えるし、有能であれば、不細工が美形に見える。


結局―――顔の良し悪しで人間の美醜は決まらないのだろう。


「そういや名前聞いていなかったね。教えてくれる?」

「ウラ・アズサ」

「ヤーファ人?」


質問に首肯で答える男。嘘は突いていないのだろうが、どうにも偽名臭い。

いや所詮、自分が知っているヤーファ人の名前などそんなに無いのだから、何とも言えないのだが。


「そちらは?」


分かっていたとはいえ聞かれるか、それに対して挑戦的な笑みを浮かべて―――何年も前に新調して以来、そんなに使っていなかったヤーファの『小剣』二振りを引き抜く。

手入れは怠っていなかったとはいえ、それでも何かしらの不調があると思っていたが、濡れ光る剣の輝きはあの日以来だ。


「アタシに勝ったら教えてやるよ」


瞬間、女―――『フィグネリア』は、『金二枚』のヤーファ人に向かっていった。


その女の手並みが通常ではないことは所作から分かっていた。リョウは、引き抜いた「銘刀」に瞠目する暇も無く、突きこんできた『小太刀』の切っ先を、鞘で受け止める。

受け止められた鞘を軸に横なぎの一撃。相手を空かすために後ろに二歩下がる。体勢を崩された女だが、構わず振り切った。


―――(ここだ)―――刀―――鬼哭を構えなおして、抜刀の体勢を取る。

女の追撃、振り切った勢いを利用しての返す刀が踏み込みと同時に振舞われる。その一点を狙っての抜刀術―――。


振るわれる『小太刀』を狙った武器破壊。しかし―――予測は外れる。抜刀の勢いが殺されたわけではない。

鈍い金属音。一刀だけで振るわれていた返し太刀に加われるは、もう一つの小太刀。


「くっ……」


流石に膂力、交点での力押しで勝るか、それならば膠着を抜け出すために。足払いを掛ける。

斬り合いを終えて、大きく退く女。しかし―――足払いを掛けた足に少しの痛みが走る。


(あの一瞬で浅いながらも踏み抜いたか)


靴の尖ったヒール。それを退くと同時に振るったのだろう。評価を改める必要がある。

などと、こちらの勝手な値踏みに構わず―――遮蔽物―――岩に隠れる女、狙いは容易に知れる。

全てのものに始点と終点がある以上、何でも斬れることは剣士の究極の理想だ。

何の呪鍛も施していない剣で―――岩を斬ることは―――今の自分ならば出来るか。


(試す価値はあるか)


だが、そんな夢想を無にするように、女は岩を登って上から飛び掛ってきた。

その鳥―――猛禽のような襲撃に反対に岩に回り込むことで避ける。

右か左かという逡巡を打ち切ったその攻撃の思いっきりの良さに、もはや間違うことなく一流の使い手だと断じる。


(悪いが―――夢想に付き合ってもらうぞ)


岩を背に―――岩の鼓動を知る。岩にこそあるべき始点。それはかならずあるはず。そこから終点に至るまでの死への道筋がある。

心臓の音をリズミカルに刻みつつ、呼吸を整えて丹田に力を込める。気合が刀に乗り―――振り向きざま、自分と共に羅刹と戦ってくれた侍。

大剣で、大羅刹を真っ向から断ち割った男の気持ちで―――鬼哭を一刀両断で岩に放った。

左右二つに割れる巨岩。右から回り込もうとした女はそれを躱すために大きく躱すしかない。


「!!」

「遅い!」


瞠目した一瞬、崩れ落ちた岩の平らな面を踏み台に、先程の意趣返し、上方からの襲撃。

両腕を撓めての突きの姿勢。これをどうやって―――返す。

膂力では勝てず。かといって完全な奇襲。それを相手には―――。


(受け太刀は無理だね)


判断したフィグネリアは大きくステップして、リョウの剣戟を躱す。虚空を貫く閃光。

そうとしか表現できないものがフィグネリアのいなくなった空間を貫き、光の軌跡を残す。

しかしリョウの横に躍り出て襲撃を、と思った瞬間に突きの姿勢でいた剣が、身体ごと風車のように回り、フィグネリアのわき腹を撃とうと狙う。

早業の限りを見ながらも、フィグネリアの身体は反応する。小太刀の一刀で受けようとしたが―――、それはなくすり抜けるかのように変化した刀の軌跡。

防いだはずの一撃が、自分のわき腹を止まらずに叩いた。


(未熟……!)


内心の声は、リョウの方であった。プロテクターを叩いた衝撃であえぐフィグネリア。そうしながらも、苦虫を噛み潰すのは自分だ。

先程の攻撃、読んでいたとはいえ、あまりにも行動が早すぎて返し技がただの「棒振り芸」になってしまった。

もちろんそれなりの「力」と「理」はあったが、交差必殺の一点での透かしが、あまりにもお粗末であり、そこから再びの力込め。

親父が見たならば、「未熟」と言ってきたぐらいに神流の剣客としては、お粗末な技だった。

とはいえ……その一撃で女は戦闘不能になってしまっていた。峰で叩いた脇腹を抑えて蹲っていた女に手を差し出す。


「俺は合格かい?」

「―――ああ、そしてよくも私を騙したな。リョウ・サカガミ」


ばれてしまったか。と舌を出しつつも、こちらの手を取ってくれる女、よく見ると背も高い―――リムぐらいあるだろうか。ヒールの関係かもしれないが、少し野暮ったい外套さえ無くせば、民族衣装を着たエキゾチックな美女と言ってもいいかもしれない。

肌もジスタート人の割には日に焼けており、少し黒い。ムオジネル人の血も混じっているのかもしれない。

そういった美女に少し見惚れるのは仕方ない。しかしそれも一瞬であった。


「別に騙してはいない。どちらも俺にとっては俺を指す名前ではあるんだから」


詭弁ではあるが、あまり初対面の人間に、己の表名は警戒感を出させるから出さないようにはしている。

面が割れている場合などは、どうしようもないが。


「それで―――来てくれるか?」

「……仕方ないか。ただし一つ条件がある」

「条件?」

「あんたが偽名を名乗ったんだから、私にも変装と偽名でエレオノーラの前に出させて、その資金はあんたが持つ。これでいいならば行くよ」

「分かった。呑もう」


まさか呑まれるとは思っていなかったのか、驚いた顔をする女。

せめて俺にだけは本名を教えてくれと言うとそれに関しては嘆息しながら、答えてきた。


「フィグネリア」

素っ気無い返答だが名前を知れたのは僥倖である。


「分かった。ならばライトメリッツの服の仕立て屋に着くまでに偽名を考えといてくれ」


そんなことを言いながらフィグネリアと共に元の場所に戻る。

馬はどうやら奪われていないようで元気に草を食っていた。

美味そうに食っている所、申し訳ないが―――といった感じで、気付けをする。


「馬乗れそうか?」

「少しわき腹痛いけれどね……まぁ問題ないかな」


苦笑するフィグネリア、痛みが引くまで時間はかかるかと思い、御稜威を仕掛ける。

聞こえぬように呪言を吐き出してから、フィグネリアが鞍に乗れるように身体を支える。


「下心ありすぎるのも嫌だが、下心なさすぎるのも嫌な気分だ」


めんどくさい女だな。と内心でのみ言いながら、苦笑をしておく。


「特にあんたは女と見れば見境なく手を出す色情英雄だって話だし」

「んー、かなり語弊と誤解を招く発言だ。ただ…もう否定はしない。世の中に俺にとっての最高の女が多すぎるんだよ」


ヤーファでもそうだが、西方でもそうだ。別に女性に責任を求めるなどというわけではない。

しかし、ティッタやオルガ、ついでに言えばエレオノーラがティグルに対して一線を思いとどまる所を、何故か俺の周りの女性は自重してくれない。


「それじゃしっかり頼むよ。こんななりでも女なんだからさ」

「当たり前だ。それ以外の何だってんだ」


そんなことを言いながらも、こんな時に限って外套の前を開けて、薄い上着に包まれた胸を自分の背中に押し付けるのは勘弁願いたい。


「あんまりナマいうんじゃないよ。坊や」

「……行くぞ」


わざとだな。と耳元で艶やかに言ってきたフィグネリアに結論付けてから馬を走らせる。

ただその柔らかさはまぁ心地よかったのは、間違いないのだが、ライトメリッツに着いてからも、このフィグネリアなる女性の諧謔に付き合わされることになる。

変装というには多すぎる「お着替え」に付き合わされて、少しからかわれるのは、自分にある女難の相ゆえだろうか。

真面目に考えつつも、その艶やかな姿と衣装の連続は、まぁ自分の眼を楽しませたのは間違いなかった。



† † † † †



その日、老婆は恐怖した。最初は、あの鞭の娘がやってきたかと思っていただけに、それは急な来訪であった。

だが似たような匂いを感じて、神殿から出た時に―――そこにいた黒髪の―――女に声を掛けた。それこそが失敗であったことを後に思い知る。


「何か用かえ…破邪と魔性の両極の乙女よ……」

「いや用は無いな。ただ観光ついでにこの地の信仰なるものに関して検分を広めていただけだ」


神殿に蟠る闇から出てきた自分に驚きもせずに、邪神像―――自分を模した祖霊信仰の像を顎に手を当て唸るように見ている黒髪の乙女。

少しだけの落胆をしつつも話を続けるが、やはり無視の連続である。


「うーーむ。やはり世界は広いな。我が国に劣らず優れずとも―――そういった原始信仰はあったんだな……世界は広い! やっぱり国に帰ったらば大船団開拓事業を行おう!!」

「以前は、この地にいる者たちも、わしを信仰してくれたものじゃ。今では十神信仰に変わられたがの、わしに信仰を捧げ、願いを乞うものを救ってきたというのに」


薄情極まりないな。と続けた自分に構わず次は煤だらけの調度品に目を向ける乙女。コイツが一番薄情だなと感じる。

老人の言葉を無視して家を漁るなど盗人も同然だ。少し箒で叩いてやろうかと思った時に―――。


「そうして無様な願いを乞うた人間の全てを―――破滅させてきたんだろう? それじゃ信仰が廃れるのも当然じゃないか」

「………」


氷のような真実を射抜いた言葉で老婆―――バーバ・ヤガーは行動を止めた。

同時に、闇から這い出た自分を今度こそ視界に納めた女。長い黒髪が―――闇の奔流にも見えながらも、その中に無限の光を感じるものだ。

全身から出る「気」は、自分達と同質にして正逆のもの。


「神、仏、霊とはその本質においては、何もしない。『ただあるがまま』……というのはウチの『竜剣』の言だが、まぁ概ね正しいよ。神様なんてでっかい『存在』が、何かを与えるのに何かを奪うなんてのは、本質はずれだからね」

「代償なくして、褒美だけを与えよというのか……?」

「それが―――『神』というものだからな。まぁ清らかな乙女だけを喰らう神もいたそうだけど、それは悪神、祟り神の類だし―――それじゃ、精々黴臭い所で、長生きしなよバアサン」


そんな風に気楽な調子で出て行こうとする乙女だが、ここまで言われて妖魔として黙っているわけにはいかない。

箒を取り出し、石臼を呼び出して戦闘の姿勢を取る。最初は奴を惑わす。奴の平静を崩すことで操ってやろうと考える。

ローブの切れ端を使い、廃神殿ごと乙女を闇の帳に閉ざす。


「失礼極まりない娘じゃ―――お主にとっての最大の悪夢を見せてやろうかの……ほう、お主……実の弟を殺しおったのか、他にも坊主を殺し、義妹と実妹すらも―――」

「黙れ」


幻覚にして幻惑の術が力ずくで破られる。バーバ・ヤガーの撒いた術が、まるでガラスが砕けるような音と共に砕かれた。

廃神殿の中にて、ばらばらと地に落ちる黒い固形化した『術』の残骸。

何をされたわけではない。力ずくで「掴まれ」「引き裂かれた」のだ。


「なっ!?」

「よくもまぁぺらぺらと、私の頭を覗いてくれたなババァ―――身の塵一つ、魂の一欠けに至るまで、砕いてやるぞ」


輝く蒼い眼が、バーバ・ヤガーに向けられると同時の宣言。一刹那あるかないかで、固形化した術の残骸を踏み砕きながら剣を振るう女。

バーバ・ヤガーに知覚できぬ神速の斬撃。しかしヤガーに知覚出来ぬとも己の持ち物であり、乗り物である石臼はそれよりも先に剣から逃れる。


「おのれ!」


箒を回して、火球を放つ。あの剣では自分を斬る事は出来ない。『斬』の範囲内から逃れることが出来る廃神殿の屋上近くに陣取りながらの攻撃。

これが鞭や、杖ならばともかく、あの剣では―――と思っていた時に、黒光りしつつも金色の輝きも見える―――何かが、『二つ』こちらに向けられていた。火球を躱しながらの見事な動きの末に―――。

盛大な音と共に、何かから『何か』が発射された。高速で飛んできたそれは妖魔である自分の体を深々と貫いた。

焼けるような熱さが内部から伝わってくる―――それで、正体が何であるのかが分かる。


「『霊』薬兵器……!?」

「正解。発射機構はバネ仕掛け、本来ならば炸薬及び弾丸に『火薬』を用いること出来れば、もうちっと良かったんだけど……妖魔相手ならばそれで十分だ」


『瑠璃弾』の『摩擦』で上がる『銃口』からの煙を吹きながら―――『カズサ』は、天井に浮かび上がるババァを殺す算段を着ける。

(『スプリングガン』は連発式じゃないもの持ってきちゃったし、びっくり兵器としては御の字だ)


飛んでいる敵を殺せないわけではないが、他国であまり騒ぎを大きくするのもどうかとおもっ――――。


「生まれよ。土精人形!!」


などというこちらの怒り交じりの計算を無駄にするように、土塊で出来た人形がごろごろと出てきたときには……正直、こいつ隠す気ないなと感じた。

五十体も出来た造形美なしの出来損ないの土の巨人。2間―――こちらの単位で300チェート過ぎた巨人の群れに溜め息を吐く。


「例え、貴様がどれだけ術を無効化し、わしを痛めつける武器を持とうと、それだけならば壁で圧しつくすのみ、斬撃が効かぬ再生する土塊で疲労させて―――」


長い口上が途切れる。五十体の土の巨人の群れの中に入り込んだ闖入者。それの正体は――――連続して土の巨人に走る光の軌跡で知れた。


『斬魔の斬撃』を喰らい、ぼろぼろと崩れて、元の土と砂に還る巨人たち。その本来いた巨人の中心に一人、否、一匹の猫が抜き身の刀を持って佇んでいたのだから。


「ふむ。帰りが遅いと思えば、とんだ寄り道だな。ろくでもない婆さんに付き合う必要はないと思うぞ。面倒だしさっさと黄泉に送り返してやれ『魔王』」

「……まぁ、それもそうか……」


窘められて、我に帰る。何もここで感情を爆発させんでもいいはず。こんな『小物』相手に大人気なさすぎたと考え直す。


弟の死も、義妹、実妹。それらに降りかかった悲劇も、全て飲み下してここにいるのだ。今更、誰に知られたとて構わないことだとして、天下を、狂った世の中を正してきたのだ。


その自負を―――他国でも持っておかなければならなかったのだ。


「すまんな婆さん。――――遊びは終わりだ」

「娘―――貴様!!」


言葉と同時に発現した『魔王』の力。己の『神器』を呼びかねないが、それは要らない。ただ力を―――適切な形で『放出』するのみ、だ。

銃弾が無い空の『銃』の『口』を上空にて動けず固定されていた老婆に向ける。銃の内部で溜まっていく『力』が、老婆を吹き飛ばすだけ溜まったその時に、カズサは放つ。


「第六焦熱『破戒』砲―――発射」


銃口から放たれるそれは熱と光の奔流。廃神殿の天井全てを吹き飛ばすほどの恐るべき破壊の波は止まらず天まで届いた。

中心にて破壊の頂点を味わっていたバーバ・ヤガー。

カズサは、放った光の結果を見ること出来なかったが……感覚で、どうやら仕留めそこなったことを感じた。

『霊銃』を腰に戻し、吹き抜けとなってしまった廃神殿。その青空を仰ぎ見る。


「しぶといな」

「というより仲間がいたのだろうよ。連れ去ったみたいだが、追うか?」


正直言えば、始末しといた方がいいだろうが、小物で手負いとはいえ二匹の魔を相手取るのはちと面倒だ。

あまり面が割れるのも避けたい。いずれはどこそこの国との交渉になるとはいえ、今はまだ、可憐な『美少女銃剣士』カズサでいたい。


「いや、いいでしょう。正直面倒ですし……私の落ち度でこんなことになったんですからさっさとリョウの所に行った方が面倒が無い」

「ふむ、気になることもあるが、所詮我らは外様……とりあえずはどら息子の手伝いが先決と言うのは同意する」


真正の猫の如く己の体を舐める親父殿に苦笑しつつ、やってきた「ひよの」と「かぐや」からあれこれを聞く。


「ふむ、つまりリョウは、現在、件のブリューヌ王国なる所にいると、そういう認識で構わないのだな?」

「とはいえ詳しいことは分からず。どの辺にいるかも少し判別できないそうです」


風聞こそそういった事が聞こえつつも、詳しいことは不明との事。

しかしまとめると、現在の状況と目的に合致するものが無いわけではない。


「政情不安の王国か―――面白いな」

「カズサ様、今、ものすっっっごい悪い顔してますよ。そりゃもう「いっそ奪ってやる」ぐらいの顔でアタシには怖すぎます」

「だが、聞けば元々その王国は内に憂いありすぎるらしいじゃないか―――衣食住に困らない国でありながら、王に忠誠を誓わぬ輩ほど、「度し難いもの」はいないぞ「ひよ」」


心底嫌そうな顔をするヒヨノに返しつつ、これでもカズサは「帝」の力を認めていないわけではない。近年、武家にやられ放題だった所を、何の因果か、発現した先祖帰り。

宮中の力を盛り返し、かつ宮に仕えた武家の一つ「坂上」を使って武家とのパイプも繋げたのだから、サクヤとそのお父君は、優秀だ。


「私はサクヤ以外の公家の連中なんて、つっかえ棒にも使えんと思っているが、その政治力はまだまだ衰えぬ。そんな中、私が国一つ奪ったとなれば、あいつらは目の色変えるぞ」

「やれやれ、どうやらお館様の諧謔にも困りますね……まぁやれないとも言い切れませんが、その場合かなりの時間がかかりましょうよ。最大の敵は恐らく……」

「ああ、だが……一度ぐらい何かを賭けて我が「愛人」と一戦やらかすのもいいかもしれない」

「ミツヒデ殿の愚を今度はお館様が繰り返しますか、それはいけないことだと思いますよ」


カグヤの言葉に今度こそ詰まる結果になる。確かに、奴とは戦いたい。だがしかしそれは……あいつにとっての心の痛みを誘発するだけだ。

頬を掻きつつ軽率だったかと自戒しておく。


「とはいえ、現在のブリューヌに陛下のおっしゃる妖魔がいることも事実、ここは一つ静観しつつ「官軍」「賊軍」の別を見極めるが吉かと存じます」

「つまり……『上洛』を遅らせろと?」

「そういうことです。何故かはわかりますか、ひよの様?」


カズサに言いつつ、ひよに問題として出すかぐや。度々この軍師はこういったことを主君であるひよのに言うことがある。いわゆる主君試しというやつだろう。


「ふふーん。かぐやってばいじめっこー! 流石にアタシだって分かるよ。要するに『影響力』強すぎるからでしょ。一応、アタシもカズサ様もヒノモトでは一国一城の城主だもんね」


正解です。と従容に言うかぐや。

事実、詭弁も同然であろうが、リョウが官職を辞してここに来たのは、その影響力が強すぎることを懸念してのものである。

国外は、地続きでない国の人物のことなど気にも留めないだろうが、国内の権力者達は、どう見るか分からない。

そういった疑念を払拭する形での派遣であったので、まぁ国内からはあまり生臭いことは言われていない。

情に深いことは皆して言っているのでそれで、相子といったところだろうか。


「では竹中殿、どういった順路でいくかな?」

「剣聖殿、ご子息の安否が分からずともご了承願えれば、お教えします」

「構わぬ。わしはこの面子では一介の浪人みたいなものだからな。お主らの指示に従おう」


そう言われて、かぐやも説明をする。現在いる「ルヴーシュ」を北上しつつ東部に足を向けて、最終的にはブリューヌ南部に行く形になるだろう。


「つまりこの『アニエス』なる所からブリューヌに入ると」

「ええ、かかる日数を数えましたが、その間にあれこれが決まると思います……その間に、所在も判明するはずですから」


別段入ってから合流するのは簡単だが、その間に「賊」崩れの貴族軍にいいように使われるのも嫌だ。

「ポリーシャ」「ブレスト」「オルミュッツ」からの「アニエス」……といったルートを通ることが最適のはず。


「いいんじゃない。隊長のことは気がかりだけど、あたしも西方観光したい!」


快活に言ってのけるひよのに誰もが同意し、出て行こうとした時に不意に何かが出てきた。

老婆が這い出た闇から、同じく這い出た―――大型犬ほどの大きさの蜥蜴に似た生物。

『龍』ではない『竜』、その幼生。しかしその様態は少し変わっていた。その竜は一つの身体を二つの頭で共有する存在であり、どうにも苦しげだ。


「何か苦しそうだね。どうしたのー?」


返事などあるわけがないが、問い掛けつつ『双頭』の頭を撫でるひよの。

赤灰の鱗の頭、蒼金の鱗の頭は項垂れつつも少しだけ和らいだ様子だ。ひよのの持つ「神力」が、双子を和らげたのだろうと思いつつ、何であるかを考える。


「鵺―――のようなものかな。どうやらこの竜、望んでこの身体になっているわけではないようだ」


あの老婆の「使い魔」のようなものなのだろうかと考えつつ、どうしたものかと―――カズサが思う間もなく、ひよのは神器『日輪瓢箪』を振るい、その瓢箪から溢れた「森然五穀」を、餌のように幼竜に与える。

特に訝しげもせずに、それを食う幼生。

喰らっていくと、その都度段々と光り輝く双竜―――咀嚼して数秒もすると光の塊となりて、その光の塊が二つに分かれて廃神殿の床に下りる。

光の塊が輪郭を取り戻して、形作り彩色を取り戻すと、そこには―――赤灰の竜と、蒼金の羽根持つ竜が現れた。


どちらも幼生ながら、将来は「竜王」と呼ばれるであろう片鱗を見せる存在が、バーバ・ヤガーの神殿に現れる。

己の体を「取り戻した」幼生達は、喜んでいるのか走り回り、飛び回り、己の感覚を確かめている様子。


「もうあんな腐れたババァに捕まるんじゃないぞ」


何となく程度の事情を察して幼生達にカズサは語る。それに首を頷いてからヒヨノにも一礼した幼生達は野に帰っていった。

手を振り居なくなった幼生達が完全に見えなくなると、誰からとも無く足を向ける。


目指す先は―――東。そこに至った後に隣国の南に至る。


予定通りにいかなくとも、それはそれで面白いものだとして、一行はルヴーシュを離れることになっていく……。


余談であり、且つ核心とも言えることだが、そんなルヴーシュでの一幕を起こした日、その日の公国の戦姫の寝つきはいつになく良いものであり、後一ヶ月ほどはその状態が続くこととなる。

どういうことなのかは、分からないが、数日たって聞こえてきた報告。

十神信仰ではない原始信仰の廃神殿の一つが完全に崩れ落ちていた……という報告が少しだけ、ルヴーシュ戦姫「エリザヴェータ・フォミナ」の耳と目を吊り上げたが、その報告は後の報告によって忘れ去ることとなってしまった。


「で、戦姫様……こちらの幼竜どうしましょうか?」

「愚問ですわナウム。我がルヴーシュ公宮で養います」


武官頭であるナウムに脇を持ち上げられても平然としている幼竜。

姿は蒼金の鱗にして、それらの色を持つ双色目の飛竜。

示し合わせたかのように来たその幼竜の姿に、目を輝かせる。別にソフィーヤ程、竜に対して憧れがあるわけではない。

しかしながら、どんな因果なのかやってきたそれを育てることに迷いは無い。


「しかしこんな鱗の竜がいようとは、いやはや驚きです……」

「世界は広いですわね。来なさいスヴェート」


既に名前を付けたのか。というナウムの内心の言葉。ルヴーシュ国民全員投票『幼竜の名前付けよう!』など提案せずに良かったと思う。

そんなナウムの内心など知らず、呼びかけに応えたスヴェートという飛竜は、差し出されたエリザヴェータの「右腕」に乗りながらテラスへと出て行く。


「ここが、これからあなたの『家』です。あなたを苛めるものあれば、私は容赦しませんし、あなたもここに暮らすものとして、同胞であるルヴーシュの民をいじめるものあれば、一緒にやっつけるのですよ。私たちは―――家族なのですから」


エリザヴェータはそれに対して返事は求めていないものの、それでも首肯した竜を見て「賢い子」と思っておく。

そうしてテラスにて眼下に見えるルヴーシュの公都。それを守護する決意のように幼竜は、叫びと共に―――――雷撃を吐き出した。

空気を帯電させる吐息がルヴーシュの空を一瞬だけ輝かせた。

びっくりしつつも、こんな幼竜もいるんだなと少しだけ感慨を深くしておく。

自分のような「人間」もいる一方で、こんな竜もいる。世界は広く、どこにどんな人がいるかなど、些末事としてきた人物を思い出す。


『そんな人間もいる。それだけだ』


何のことは無い。自分の異彩虹瞳(ラズイーリス)と同じだ。ただ単にそういう人間が珍しいだけならば、それだけだ。


(良いことが続きすぎて……少しだけ怖いですよ。ウラ……)


蒼い空の下にいるだろう一人の青年の姿を思い浮かべる。


多幸を感じる一方で、ツケを払うんじゃないかと言う不安を覚える。彼女を完全に救うための日は、――――刻一刻と近づいていた。










あとがき


12巻を流し読んで、最後のほうというか最終ページに至っては「……え……?」としか思えなかった。

言うなれば、……キートンさんのナレーションで「後半に続く」とか言われた気分である。そして後半は当分見れないというお預けフラグ。

そして川口先生の「物語も佳境」という言葉が不吉すぎる。

ま、まだ続くよな。ファンタジーラノベの最終巻というのは大体は二十巻程度なんだから、もう少し続くはず! だってまだ回収しきれていないものあるのに(ザクスタンの運命は決まったが……)

……けれど川口先生の方で終端が見えてきているならば、仕方あるまいな。


詳しいネタバレを避けつつ、感想返信に移りたいと思います。


>>放浪人さん


感想ありがとうございます。最新刊では色々と「ちょっとエレンいじめすぎたかな」と読んでいて思いましたが、残念ながらスタンスは変わりません(笑)

メインヒロインはいじられるという伝統に従い、当分このSSではそのポジションでいるがいい!(エレンファンにm(-_-)m)

そんなメインヒロイン(笑)の策略は、狂ってしまいました。雪山ウルスイベントの代わりみたいなもんですね。

ジョジョネタは取り扱いを間違えればただの寒いギャグになりかねいものですが、まぁ楽しめたみたいで何よりです。エレンのギャグキャラ化は「ルーリック・ジョースター(嘘)」によって助長されてしまった。


三河は当たっていますが、もう一方は、戦国を代表する狂戦士。「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!」……まではいかずとも、有名な信長の小姓の兄貴です。

一概には言えないが芸術や文化にも教養深い男はリョウの親友です。武芸だけでなく芸術にも教養あるナガヨシをリョウは少し羨望しています。後々この二人のあれこれだのは書いていきたいとは思います。

そして武田と上杉は逆です。残念!(失礼) ただ普通に考えたらばアスカが武田、レイが上杉イメージだよなぁ。


出落ちのオリキャラにも、感想ありがとうございます。まぁ今後を考えた時に「南部に理解ある人間」いなきゃまずいよなぁということから発生しました。

原作では南部の海港全て「テナルディエに山吹色のお菓子」をくれていた連中ばかりらしいので、まぁ構想の戦後と戦中から発生させました。今後をご期待。


サラとの対峙は一応、今回のオルミュッツ編で終わりはします。メリザンドの如く「死ねレギン!」などの末の悲惨な結末にはなりません。


次なるバルグレンの戦姫……後と横姿はセクシーエキゾチックな印象。正面から見ると野暮ったい格好の女。外套の見え方によるんでしょうね。

原作は見たほうが私の作品も深く理解できるし、川口先生のやる気にも直結するかもしれないので読んであげて!(必死)


>>almanosさん

感想ありがとうございます。

最新刊で、あんまり望みの情報が手に入らず少しがっくりしましたが、その反面エレンの過去が少し明らかになったので、これを少し混ぜていこうかと思います。

そしてお待ちかねのヤーファ勢。こいつらをあまりにもチートスペックにすると原作キャラいらなくなってしまうので扱いには困ることも、ただ「ひよの」と「かずさ」、その他のヤーファの連中も、エレン、サーシャと同じく「竜具」など便利なアイテムだけに頼らないことは、肝に銘じております。

特にひよのは設定的に今後のブリューヌ及びジスタートと関わることになるので、色々と考えてはいます。(ザクスタン、ムオジネル、???との戦いで)

今回、少し能力が出てきましたが、そんなに「便利」に使えるものでもないことは後々説明していきますので、ご了承ください。

まぁ戦国武将を創作に使うと成ると色々と頭が膨らんでしまうのはしょうがないことですな。私の作る武将キャラの今後を期待してくれていればありがたいです。


>>刀さん

お久しぶりです。そして感想ありがとうございます。

まぁよっぽど会いたかったんですよ。「リョウの熱が恋しい」と、レグニーツァに帰るなり、即座にエレンに合流(え

ザウルさんやパーヴェルさんは、マトヴェイが連れてきた「客人」の来訪であれこれだったんですが、なんやかんやしている内に「ルヴーシュ」に客人が移動してしまい、遭遇には至りませんでした。

もしも出会っていたらば―――。

『一手仕合ってもらえるかなアルシャーヴィン殿?』『いいよ。僕もリョウの同輩とやらの力見定めたいからね』

などととりあえず穏やかな決闘を魔王とやっていたところです。まぁその機会は一旦流れました。

これらの場面転換が「ややこしい」「読み辛い」という人もいるかもしれないので、その辺は一考の余地ありですね。一応好意的評価が多数なので、このスタイルは持続していきますが。


リョウは、本当にロードスの自由騎士並に顔が広い(アレクラストの王子にして魔法戦士とも知り合い)のですが、人間の好き嫌いが辛らつな時もあるのに、嫌われた人間にすら「俺たち親友だろ?」などと言われてしまう損な役割です。(苦笑)

最新刊でのタラードとリョウの会話に変化があるとすれば―――

『あんたの首を獲れば、選択肢の一つとしてあいつは俺に西方の安定者として期待する。リョウを手に入れるチャンスだな』

『そんなことをすれば烈火のごとくリョウは怒って、お前を殺すと思うけれど、可能性は考慮していないのかタラード?』

……などと『腐女子』『貴腐人』歓喜な会話をするかもしれません。(え

次話辺りで色々と事情含みなミラと一戦するでしょうね。次話をご期待ください。



さてさて、まぁ色々ありましたが、とりあえずまだまだ書いていく所存ですし、意欲もありますので、とりあえず頑張っていこうとは思います。

ただ私事で遅くなったりするかもしれないので、その辺はご了承ください。

ではでは本日はここまでお相手はトロイアレイでした。


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