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No.38861の一覧
[0] 鬼剣の王と戦姫(ヴァナディース)(魔弾の王と戦姫×川口士作品)連載に関して報告あり[トロイアレイ](2017/03/27 00:21)
[1] 「煌炎の朧姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:23)
[2] 「虚影の幻姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/06/17 18:39)
[3] 「雷渦の閃姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/06/17 18:42)
[4] 「煌炎の朧姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:35)
[5] 「虚影の幻姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/06/14 23:37)
[6] 「虚影の幻姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2014/08/10 20:55)
[7] 「煌炎の朧姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:00)
[8] 「雷渦の閃姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:02)
[9] 「鬼剣の王 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:26)
[10] 「銀閃の風姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/04/09 01:59)
[11] 「凍漣の雪姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/05/03 12:28)
[12] 「光華の耀姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:23)
[13] 「凍漣の雪姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/08/10 21:06)
[14] 「光華の耀姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/10/10 20:24)
[15] 「羅轟の月姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2014/11/16 20:47)
[16] 「鬼剣の王 Ⅱ」[トロイアレイ](2014/12/14 19:55)
[17] 「光華の耀姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/02/01 14:52)
[18] 「銀閃の風姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/02/18 00:03)
[19] 「羅轟の月姫 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/03/01 18:52)
[20] 「魔弾の王 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/03/08 16:00)
[21] 「羅轟の月姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/04/05 01:15)
[22] 「虚影の幻姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/05/14 23:29)
[23] 「鬼剣の王 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/08/23 20:21)
[24] 「魔弾の王 Ⅱ」[トロイアレイ](2015/04/07 21:14)
[25] 「銀閃の風姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/07/04 13:19)
[26] 「鬼剣の王 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/04/28 16:46)
[27] 「雷渦の閃姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/05/11 00:37)
[28] 「羅轟の月姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/05/25 01:12)
[29] 「魔弾の王 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/06/04 02:16)
[30] 「凍漣の雪姫 Ⅲ」[トロイアレイ](2015/06/16 22:58)
[31] 「凍漣の雪姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/07/03 16:35)
[32] 「鬼剣の王 Ⅴ」[トロイアレイ](2015/07/14 00:16)
[33] 「乱刃の隼姫 Ⅰ」[トロイアレイ](2015/08/07 02:40)
[34] 「鬼剣の王 Ⅵ」[トロイアレイ](2015/08/13 22:30)
[35] 「魔弾の王 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/09/03 12:41)
[36] 「魔弾の王 Ⅴ」[トロイアレイ](2015/09/23 17:49)
[37] 「銀閃の風姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2015/11/14 16:06)
[38] 「鬼剣の王 Ⅶ」[トロイアレイ](2015/11/29 23:57)
[39] 「魔弾の王 Ⅵ」[トロイアレイ](2016/02/06 22:12)
[40] 「光華の耀姫 Ⅳ」[トロイアレイ](2016/04/17 23:32)
[41] 「光華の耀姫 Ⅴ」[トロイアレイ](2016/07/03 16:03)
[42] 「鬼剣の王 Ⅷ」[トロイアレイ](2016/09/11 21:17)
[43] ご報告及び移転の告知 追記 感想返信[トロイアレイ](2017/03/29 19:12)
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[38861] 「銀閃の風姫 Ⅲ」
Name: トロイアレイ◆d28bba85 ID:6f3f3038 前を表示する / 次を表示する
Date: 2015/07/04 13:19


朝の光―――それを受けて、『剣』は主を起こすことにした。柔らかな風が顔をくすぐる。

「んっ――――」


ライトメリッツの寝台とは柔らかさが違うが、それなりに寝られたのは長い傭兵時代のたまものだろう。

起き上がり、硬くなっていた肢体を解すように伸びをしてから、立てかけられている『剣』に話しかける。


「おはようアリファール、良い朝だな」


その言葉にアリファールは己に風を纏わせて応答としたようだ。それを見てから、着替えをする。いつもの軍装に身を包みながら外の景色を見る。

昨日の宴の効果は抜群であった。ジスタート軍という外国の軍が常駐するという状況がアルサス住民に受け入れてもらうためにも、多くの酒と美味な食事―――そして、流麗な音楽は、アルサス住民とライトメリッツ騎士達の不信感を洗い流して、今後の礎となっただろう。

久々に三弦琴を弾いてみたが、我ながら実に良い音色が出たものだと思う。その音に合わせるように二胡を弾き鳴らす東方剣士に負けじと様々な曲を奏でた。


『びっくりした。すごかった。聞き惚れた』

とこちらを見ながら言うこの館の家主である赤毛の青年のことを思い出す。顔を上気させて何とも直線な感想を述べてきたティグル。

思い出すと同時に、エレンも少しだけ顔を赤くする。剣の腕よりも楽器の腕を褒められて嬉しくなるなど戦姫失格かもしれないが……。


「ティグルは朝が弱かったはず。仕方ないな。リムは外で寝ているだろうから、私が起こしにいってやろう。うん、それが上策だ」

ちっとも仕方なさそうな口調ではない持ち主にアリファールはため息突くように、風を吐き出してから持ち主の腰に収まる。

館の主人であるティグルがどこで寝ているかは理解している。どうやら侍女であるティッタは、階下で朝食の準備をしているようだ。

軽快な包丁さばきが聞こえている。それを聞きながら―――何となく忍び足でティグルの寝室に入り込む。


寝台にて正常な寝息を立てる男性。その姿に少しだけ心臓を高鳴らせながらも、どうしたらば起きるだろうかとエレンは考える。

捕虜である彼をサーシャが起こした手筈は覚えている「揺すり方にコツがあるんだよ。どうしてもだめならば耳元で甘い言葉でも吐く」。そんな事を現在、ヴァレンティナと同室の男にしていたのかと思うと、エレンは複雑な心境になる。

サーシャが婿を欲するというのならば、いくらでも見合いの相手はいただろう。けれど彼女の場合、血の病もありそういった話は断ってきた。

その事を憐れむのは仕方ない。それを承知でどこかにサーシャの病を知った上でも彼女と共に生きて行こうという男性はいないものかと―――――。

そんなエレンの努力を無にしたのは東方の剣士。異国の仁術、製薬などを用いて彼女に再び世界を歩かせることに成功したのだ。

それだけならばただの恩人程度で済むのだが、年頃の男性剣士、完全な二枚目ともいいきれないがそれでも二枚目半ぐらいの剣士はサーシャの心をつかみ取り、そのまま女性としての恋慕へと変化させてしまった。

何より、単騎にて戦乱ありし国を駆け抜けた英雄である。その意志の強さは巷の女性達を熱狂させるだろう。


(……認めたくないが、サーシャにとって必要なのはリョウなのだな)


悔しいが、そういう事だ。最初の諍いからどうにも感情的になりすぎていたが、サーシャの幸せがあの二枚目半の腕の中だというのならば、仕方ない。

ため息ついてから、リョウとは別の男を起こすことにする。それはエレンにとっては―――英雄の姿であり、求めていた男性の姿かもしれない。


「ティグル、おき―――――あれ?」


ベッドの脇に近づき、ティグルを揺すって起こそうとした時に、その掛け布団がティグルを真ん中にして両側が少し盛り上がっているような感じがする。


「……ん―――、あれだな。プラーミャとカーミエが入っているんだな。まったくいたずらっ子な幼竜どもめ」

しかしその膨らみは人間大なものを包んでいるようにしか見えない。予想している現実から少し逃避しつつもエレンは掛け布団をめくろうと――――。


「ティグルさまぁ……」「ティグル……」


くぐもった艶っぽい声が聞こえた時に、思わずエレンは固まらざるを得なかった。

そして意を決して、掛け布団をめくるとそこには―――――――。

シャツが半分はだけている青年。その両隣にはこのアルサスの侍女二人の姿―――日に透けて下着が見える寝間着姿が眩しい。


「なっ……ナニやっているんだーーー!!! 起きろティグル!!」

思いっきり力を込めて掛け布団をひっぺがすエレン。その様に流石のティグルも覚醒したようだ。


「!? なっ……! お、おはようエレン……。豪快な起こし方ありがとう。と言えばいいのかな?」

「ゆうべはずいぶんとお楽しみだったようだな」

「いや宴は楽しか――――あれ? 何でオルガとティッタが、俺のベッドに……!」


起き上がると同時に初めて見た顔が自分であったことを喜べばいいのか、それとも状況に対して怒ればいいのか分からないが、エレンは―――とりあえず皮肉を口にする。


「どうやらお前は楽器の三弦琴は演奏できないが「女」の三弦琴を震わせるのは得意なようだな……」

「いや、これは誤解だ。そして、とんでもない嫌味だぞエレン」

「分かっている。だがそれでも……何で『三人組手』をするというのに私を除け者にする……酷いじゃないか」


戦の後で男の状態がどうなるかぐらいはエレンも長い傭兵団暮らしで知っており、その都度雇われ先の「ヤリーロの娼館」などに行くのだ。

義父であるヴィッサリオンにも『そういうものだ』とだけ言われて納得しておいた。初潮を迎えて女性として「性行」を出来る歳になってからは、同じ戦場にいた男に誘われることもあった。

その度に誘った相手を硬軟の手段使い断ってきたが……。そういった風な経験がティグルの寝屋に入れなかった原因だとすると非常に悔しくなる。


「本当に俺も分からないんだよ! そして残念そうに言わないでくれ!」


そしてティグルとしては本当に身に覚えがなくて、誤解を解くのに必死にならざるを得なかった。


そんな二階の喧騒とは別に食堂にて朝食の準備をしていたリョウとヴァレンティナ、そして竈に火と石を入れていたプラーミャとカーミエの幼竜二匹は、騒がしいなぁという感想を漏らすしかなく。


「私は戦の後の殿方の鎮め方を教えただけなのですが、まさか即座に実践するとは思いませんでしたわ」

「お前が原因かよ」


やれやれと言わんばかりにコンソメスープの灰汁取りに卵白を入れたティナにツッコミを入れながら、リョウは卵黄とチーズを入れたオムレット…郷里で言えば「玉子焼き」に近いものを作ることにした。


◆ ◇ ◆ ◇



その日、一つの王政革命が為されようとしていた。

奇しくも、ティグルヴルムド・ヴォルンがモルザイムにてザイアン・テナルディエとに決戦を挑んだ時間から始まった戦。――――それは今、この瞬間に全て決した。

そういう意味では、その戦いの勝者はティグルヴルムドに「劣っていた」とみられるかもしれない。

しかし勝者―――『男』は、王政の打破を行ったのであり、かの青年貴族とは戦の大小で比較すれば、無論だが「男」にこそ軍配が上がった。

男―――タラード・グラムは、バルベルデの王城にて捕えられた男を睥睨する。


「無様なものですな。ジャーメイン殿下。まさかこんなにまでも早く陥落するとは思っていなかったですか? それとも私に負けるわけがないとでも思っていましたか?」

「農村部の支持と都市部の支持、それだけで貴様がこのアスヴァ―ルを収めていけるものか! お前に従わない貴族・騎士も多いのだぞ。平民上りがのぼせるな!!」

「それも―――本来あるべき「支配者」に返すだけであれば、何も問題はないでしょう?」


睥睨されて、膝立ちに服されている男。アスヴァ―ルの「正統」な「王」であるはずのジャーメインは屈辱に耐えつつも、何故ここまで簡単に自分が捕えられたのかが分からなかった。

太った体で、この体勢は辛いが、それでもジャーメインは、平民の男を睨みつける。


「ギネヴィアか、あのような姫ごときに何が出来る。貴様を王配として迎えたとしても無能の女王の烙印を押されるだけだ。ならば―――」

「そう。だからといってあなたを生かしておく理由にはならない。民を顧みない王族など百害あって一利なしだ。連れて行け」


兵士達に引っ立てられていくジャーメインとそれに従う重臣達。彼らの末路はとりあえず良いものではない。

とりあえずジャーメインは死刑だ。絞首台の用意は出来ており、ギネヴィア姫殿下もそれを了承している。


「貴様は―――ただ単に王になりたいだけだ! 私と何が違う!!―――貴様が例え噂通りにカディス王国の―――――――」


連れ去られながら、未だに喚き、訴えるジャーメインだが、謁見の間からいなくなると遂に静寂が部屋に満ちた。

これが自分が望んだ結末だろうか。問いに答えてくれる『男』はいない。


「ジスタートでは随分と大活躍だったようだな。羨まし過ぎる。勇ましくも可憐な姫君連れて英雄道を歩くかよ。お前は……」


それに応える人間はいない。いるならば『そこまで大層なことはしていない』『俺は俺に出来ることをやっただけだ』などと言ってくるだろう。

空の玉座。そこを目指して歩いてきた。今までも、そしてこれからも……だが、いざ事の半分を成し遂げてしまうと空虚感を感じる。

何故ならば―――自分が、ここに至るまでにいるべきはずだった騎士がいないからだ。

東方よりやってきた昇竜。あの男は、自分からすれば半端なままに此処を抜け出した。けれども―――そんな恨み言よりも、何故自分を選んでくれなかったのかが悔しく思える。

たかが傭兵一人という損失、そう捉えるものは、自分の周りにはいない。愛想を尽かされたといえばそれまでだが……。


「嫉妬とは醜いですな」

「―――ルドラー、状況はどうなっている?」

「……まぁいいでしょう。現在バルベルデにおける抵抗は収まりつつあります。ギネヴィア様が正面切って凱旋したきたのが利いたようです」


赤い髪をした部下の一人に誤魔化しながら問いかけると無駄だと悟ったのか状況を教えてきた。

詳細を聞いていくとルクス城砦にいたレスターが寝返ったという話も聞く。クーデターの誤算というわけではないが、全国を支配していないと、こういったことは確実に起こる。


「サイモンじゃ流石にレスターを押さえられなかったか」

「多く見積もっても五千の兵士が籠っていますからね。無論、兵糧攻めをせよというのならば、そうしますが」

「エリオットが支援の動きを見せれば一瞬で蹴散らせてくる程度では無理だろう」

「休戦条約がありますからね。そこまで大々的に動くことは出来ないでしょう。ただコルチェスターに逃げるぐらいは出来るかと」

「亡命か」


大陸と島との間で休戦条約が結ばれたのは、そんな昔のことではない。そんな状況を作り上げた男は現在ジスタートにて「色子」をやっているという話だ。

そしてこの分断状況。統一政府が無いという状況での革命はベストであった。あちらも軍を立て直す時間が欲しく、何より雇った海賊団を食わせていくのは容易ではなかったからだ。

休戦条約と同時に一部の『雇い止め』をした海賊団が、ジスタート付近に出回り、これらを倒したのもまた「リョウ・サカガミ」だとのこと。


「イルダー公王ならば、コルチェスターからの不審船を拿捕出来るだろうか」

「さて、レスターなど寝返った連中が、どうやってコルチェスターまで行くかにもよりますが」


頼むだけ頼んでおいてくれ。と言ってルドラーを下がらせる。謁見の間から出ようとしたルドラーだが、立ち止まり呟く。


「閣下は、王として『見捨てなければならない犠牲』を容認する方。無論、それを悔やんでいるかどうかにもよりましょうが、それがリョウをあなたから離れさせた一因でもあるんでしょうね」

「俺はあいつじゃない……何としてでも全ての犠牲を減らす方法をひねり出せる人間じゃない」


村一つを見捨てるという判断を下した夜。その際に喧嘩別れしたのを思い出す。

『ならば俺一人でもここを守るだけだ。俺は依頼を受けたんだ。あの麦畑を守ってくれとな』

それに対して、補償もするし何よりお前にもそれ以上の財貨を渡すと言った。だが、それでも彼は聞かなかった。

『お前は、ここにあるものが無くてどう食っていくつもりだ。俺たちが食っているパンはどんなものから出来ているんだ。ここで撤退すればあいつらは明日も明後日も襲ってくるぞ』

金の問題ではない。矜持と意志の問題だと言う―――リョウに、止むを得ず自分たちは一度引き下がった。


だが、それでも彼一人失えば折角盛り返した勢力図がまたもや変化すると思い、『援軍』を出すとだけいっておき、避難民の移送に準じた。

そして―――ようやく援軍を組織して向かうことになった時には、もう死んでいるのではないかと思っていた。

だが違った。彼は村の有志と共に二日に渡って守り抜いたのだ。その時の事は語り草になっている。


「万軍殺しにして邪竜殺し―――リョウの伝説ですな」

「……俺は玉座が欲しかった。だというのに今ではあいつに認められない方が悔しいぞ」


明後日の方向を見ながら言うタラードに、ルドラーは原因が分かっていた。

リョウは恐らく「王」なのだろう。どんなに善政を心掛けても出てしまう犠牲を許せず己の力を出し惜しむことなく使うあり得ざる「王」の姿。

現実は無情にもそういう小さな犠牲をどこでも生んでしまう。しかしリョウは、その小さな犠牲を許せずに動いて理想を実現する王なのだ。

そんな姿に保身と立身出世を目指すだけになっていた戦士達は焦がれてしまうのだ。少年の頃に憧れたジェスタの英雄のようなそれに―――。

副官のルドラーとしては、『それ』で良かったではないかと思ってしまう。最悪の場合、このアスヴァ―ルにおいて王位に就いていたのはリョウになったかもしれないのだ。

求心力において彼はタラードを上回っていた。暗殺するとまではいかなくても、遠ざけるぐらいは進言すべきだったが、上官であるタラードが、この調子なのだ。

(下手をすれば私の方が遠ざけられていたかもしれない)


だが結局の所、彼自身のタラードへの評価が辛かったのと、一応の戦争終結を見せた時点で、彼はアスヴァ―ルを出て行くことにした。

――――アスヴァ―ルにてもらった禄の九割九分九厘を復興予算や、村々に送ったりしてからだ。

『あんな金貨『樽』何個も持っていけるかよ。重すぎる。だからくれてやっただけだ』

ならば何の為に傭兵をやっているんだ。とルドラーは真剣に尋ねた。それに対して彼は一言だけ答えた。


「王様探し……か……」

廊下を歩きながら出した呟きに、ルドラーは嘆息する。

それは皮肉であるからだ。彼は武人としての務めを全う出来ればいいとだけ思っているのだろうが、それでも彼の頭上には王冠が煌めくのだから。

ともあれ、今考えるべきことではない。ルドラーは国を想って己の務めを全うする。


一先ずは、戴冠式の準備。ギネヴィア王女―――、いや女王へと就いてもらい、各国からゲストを招く。

その上でこちらにこそ正統アスヴァ―ルがあるのだと訴える。ジスタートはジャーメインを支援していたが、革命勢力である自分達では打ち切ることもありえる。

それを繋ぎとめるためにも、ジスタートには様々な便宜を図らねばなるまい。

ザクスタン、ブリューヌ……この二国も重要だ。しかし……ブリューヌは来ることはないだろう。


「先王ザカリアスが生きていれば、これ幸いと出兵していただろうが……運がいいのか悪いのか」

ディナントから既に一月あまり経っている。状況の程は他国にも知れ渡っており、抜け目ない連中は着々と軍備を整えている。

仮に自分たちが、この内乱に乗じて侵攻したとしても、これ幸いとエリオットは後ろから攻めてくるだろう。

(今は……様子見に徹するしかないか……)

その様子見の中には自由騎士の動向も含まれている。彼がもしもブリューヌにおいても「王様探し」をしているようならば、彼が従う軍にこそいるのだから。


「しかし更なる問題としては……」

『ルドラー、リョウはどこにいるんですか? あの失礼千万なヤーファ人には、王位に就いたらば言ってやりたいことがあるんですよ! 何としても探し出しなさい!! そして戴冠式に―――』

引っ立てろ! と言わんばかりに猛っていた我らが「ブレトワルダ」の言葉を思い出してルドラーは嘆息をした。


結局の所、タラードとギネヴィアが結婚したとしても、とんだ仮面夫婦になるのではないかと思って先が思いやられた。


◇ ◆ ◇ ◆


「ったく朝は酷い目にあった……」

チーズ多めのオムレットを食べてから、ティグルは一言を発した。口に残る美味な感覚とは逆に顔は苦々しすぎた。


「しかめっ面で朝食をとるな。幸運が逃げるぞ」

「寧ろディナントと前回の戦いで使い切った可能性もあるのでは?」


リョウとヴァレンティナからそう言われると顔は苦々しいままでしかない。というか二人してひどい言いようである。

食堂のテーブルには現在、リョウ、ヴァレンティナ、エレン、オルガ、ティッタ、そしてティグルの六名が就き、足元ではオニガシマ陶の丈夫な皿に盛られたご飯をカーミエとプラーミャが勢いよく食べている。


カーミエは、生に近い肉と雑穀の粥だが、プラーミャは良く焼かれた鳥肉とこれまた良く焼かれたライ麦パンを食べている。

我が家の幼竜は二度目の同族との邂逅で、目の前で違うご飯を食べている同族に首を傾げるように見ている。

訳すれば『おいしいのー?』といったところだろう。プラーミャ……火竜の幼竜は『ぼくにとってはごちそう』とでも言うように一度首を縦に振ってから、横に振った。

幼竜達が人間同士の微妙な朝食風景を気にしていない辺りに色々とあれではあるが、とりあえずリョウが作ってくれた朝食を取る。

流石にティッタ程ではないが、中々に味わい深い料理で舌と共に心も弾む。

そうして腹も満たされた辺りで、ティグルは話を切り出した。


「ありがとうな。ティッタの代わりに食事作ってくれて」


侍女が疲れていることを察して、彼らが、代わってくれたのだとは分かっていた。


「気にするな。息子の朝食のついでだ」


そう言うと、ご飯を食べ終えた火竜の幼竜はヴァレンティナの膝の上で丸まっていた。そんな幼竜に対して『食べてすぐ寝るとソフィーヤみたいな牛になりますよー』などと言いつつも止めさせるつもりはないのか、鱗を触り慈しむようにしている。

その姿を見て、ティグルも少しだけ疑問も浮かぶ。ライトメリッツの公宮にいたアレクサンドラの恋焦がれたのが、テーブルの対面に座る男であるならば、彼女は失恋したみたいなものではないかと……。


「詳しい話は省くが、プラーミャの親を殺したのは俺とティナなんだ。だからこの子が「成竜」になるまでは親代わりなんだ」

「帰る家が多すぎるパパでも、ママはちゃんとプラーミャを立派に育ててあげますよ」

「真実の斜め上の一端を突いたこと言うのやめてくれない。まるでダメ親父みたいに感じてしまうから」


そんな夫婦(?)のやりとりを見てティグルも納得する。つまり自分とカーミエとの関係と同じなのだろう。そして恋の鞘当ても行われている。

片や、我が家の幼竜はオルガではなく、ティッタの膝の上で微睡んでいる。


「何でティッタさんの方にばかり懐くんだろう? 私は母親として見られていないのか?」

「そんな恨めし気な視線向けないでよオルガちゃん。多分だけど暫く会っていなかったから、私に甘えたいんだよ」


半眼でカーミエを見るオルガ、その視線を笑って受け流しつつカーミエの肌を優しく撫でていくティッタ。

我が家の幼竜も他家の幼竜と変わらないのだと思いつつ……今度は変わることに関してティグルは、エレンに問いかける。


「エレン、君は今後どうするんだ? 一応アルサスは平和になった。君にとっての対岸の火事は収まったわけだが……」

「お前、今更そんな事を言うのか。随分と薄情だな。何の為に一昨日まで飲めや歌えやの宴会をやっていたのか分からなくなるぞ」


嘆息したエレンだが、ティグルとてそこまで鈍いわけではない。

つまりエレンは、今後も自分の戦いに付き従うということだ。テナルディエ公爵との私戦に付いてくる彼女の考え。

心強いと共に申しわけなさも出てくる。しかしエレンは構わないようだ。


「とりあえずお前の借金の担保として、このアルサス及びティグル、お前は私のものだ。その保全を行うというのならば安い投資ではあるまい」


不敵に笑うエレン。そんな彼女の言に口を曲げるオルガとティッタ。

彼女の深謀がどこにあるかは分からないが、とにかく今は彼女の言う通りだ。

しかし同時に……勝ち目のある勝負なのかということも考えてしまう。

アリが「竜」に踏みつぶされるような戦い。そこにエレンのライトメリッツ軍が居てくれれば、「猪」ぐらいにはなるだろう。


だが、それでも公爵家はモルザイムでの戦力の十倍は出せる名門だ。勝ち目の無い戦いに恩人を巻き込んでいいのかという気分になる。


「とりあえずリムを代官として置いていく。詳細はあいつに聞いてくれ。そして私は国王陛下に謁見しなければならない……お前の『愛妾』に対する判断も含めてな」


言葉の後半で、面白がるかのように言うエレン。その言葉でオルガは急に固くなった。

固くなるのは当然。彼女はこれから「里帰り」をして、その上でどんな事になるか分からないのだ。


「あの……オルガちゃんをあんまり怒らないでください。色々と事情があったんですから、そこを考慮してください」

「私も出来るだけ弁護はする。そこの自由騎士と同僚にも弁護させるが……どう判断するかは、国王次第だ。分かっているな。戦姫オルガ=タム」


ティッタの遠慮がちな言葉を受けてエレンも別段遠ざけたいわけではないと言う。言葉の後半、呼びかけられたオルガは意志を込めた瞳でエレンを見る。


「分かっている。これは私の「戦い」だ。悪言、苦言、辣言を言われても何としても「勝つ」。けれど……ティグルに客将として雇われた以上、その務めは最後まで全うしたい。この戦いが終われば、きっと私はブレストに戻っても……戦姫としてやっていける気がする」


オルガもまたテナルディエ公爵との戦いに付き合うと言ってくれる。その為にも目の前の問題を解決しなければならない。

つまりは、正式な参戦許可を得るためにも―――彼女は里帰りをして、己の意志を示さなければならない。

だが、予定通りそうなるかは分からない。寧ろ、彼女の今後を考えるならば、正式にブレストに封じた方がいいかもしれない。


「何か色々と気にやんでいるようだが、どの道お前の選択肢は多くない。そして私やオルガのことはあまり気にするな。私達がお前の力になりたいから、そうしているんだ」


当然、オルガもそうだと言うエレン。

ならばもう一方は―――。

視線をこのテーブルにいるもう一人の男に向ける。視線を受けた人間は、微笑をこぼすのみだ。

反対にリョウの隣に座る戦姫、リョウのジスタートでの「雇用主」は口を開いた。


「私の方は難しいかもしれませんね。ただ私の夫を貸すぐらいはしてあげますよ。無論、武具兵糧も幾らかは融通してあげます」

無事に返してくださいな。と微かに笑うヴァレンティナ。彼女も支援はしてくれるようだ。

多くの味方がいて、ありがたいが……自分には返せるものが無い。


「次にまた会う時までに考えておけ。そして―――私達に答を聞かせろ」

エレンの発言から、五つの視線が自分に向けられる。


決意は……着いている。心も決めている。あとは―――勝算があるかどうかだけだ。


それを話すのは、今はまだ時期尚早に思えたし、何より勝算ある戦いでもないのに、せっかく出来た―――『友人』達を巻き込みたくもなかった。




† † † †



朝食を終えて、二階に戻りながらもティグルは、自室に戻らなかった。

家宝である黒弓を安置している部屋にそれはあった。弓も弓弦も黒一色である。赤い天鵞絨に包まれた台座。

そこに置かれたものを見つつ、いつもの礼をしながらも、その心中に敬意だけでなく怖れもあった。

あの時のような声も聞こえず、さらに言えば鼓動もしていない。飛竜を落とした時に「女神」は、初回だけだと言わんばかりに、力の大半を制御してくれていたような気がする。

事実、本来ならばろくな狙いもつけられないほどに力が溢れてザイアンとの戦いのときのようになっていただろう。


「―――魔弾の王か……」


リムの言葉だけならば、ただ単に不思議な武器だとだけ思っていただろう。

だが、続いて響いたヴァレンティナの言葉の不穏さに自分は緊張をせざるを得なかった。

女神代行者―――魔弾の王。

それを求めてきたのはヤーファよりやってきた剣士。自分が憧れていた人物でありながら、彼は自分にこそ憧れていたと言う。


「それがお前を選んだのか、それとも逆なのか……分からないがな」

「家宝の部屋に勝手に入らないでくれよ……今更だけど」

気配を隠してやってきたのは、自分が考えていたヤーファの剣士だ。そして彼は自分の考えを読んでいたようだ。用件は何なのかを聞く。


「そろそろ俺も発つからな。暇乞いというやつだ」

「そこまでかしこまらなくてもいいよ」

「経緯はどうあれ、私情あれども俺とお前は君臣の間柄だ。その辺を弁えとかなければならない」

「けれどもそれだと俺は自由騎士を束縛していると世間から見られる。もしかしたらば……胡乱な想像をされるかもしれない」

「ごめん。その辺は考えてなかった」


お互いに心底嫌そうな顔をすることで言いたいことを疎通する。

昔から歴史に残る偉人、英雄、豪傑というのは、『変な想像』をされることもままあるのだから。

具体的にはアスヴァ―ルの覇王が結婚しなかったところから実は『同性愛者』だったのではなどと言われたり。


「オルガの参戦だが、確実に降りるだろう。ティナともう一人の戦姫は、ここにいると予想して様々な口利きをしていたみたいだからな」

リョウの情報はエレンよりも一歩先んじている。情報源は彼自身ではないのだが、多くの者から助力を得られるのも自由騎士の特権かと思う。


「彼女にこのままブレストに治めさせたらば人心は落ち着かないだろう。それならば、まずはブリューヌにて武功を積ませて、諸国で見てきたものを活かせるようにした方が建設的だ」

彼女のブリューヌ来訪は出奔ではなく、諸国見聞であり、それはブレストを治める上での必要な処置だったのだということになるはず。

そう言うリョウの言葉は自然と信じられた。彼もそういう人間だからだろう。


「大海を知らずに全てを背負わせるわけにはいかないか……俺は海を見たことないんだが、そういうことにしたのか、策士だな」

「本当の策士は俺じゃない。ティナだよ」


自分はそれに乗っかるだけだ。と嘆くように言うリョウ。二人のやり取りがどことなくヴァレンティナ有利に進む理由が分かった瞬間だった。


「あと言うべきことあるか? エレンの代官はいるけれどリョウの代官はいないから今のうちに言って欲しいこと、やるべきことを言って欲しい」

「そうだな……ティグル、こいつを弾いてみてくれないか?」

「―――弓、ヤーファ製か!?」

「嬉しそうで結構だ。持ってきた甲斐があったよ」

笑い呆れるように言われて、どうにもはしゃぎすぎたと自戒する。咳払いしてから、その朱塗りの弓を手に取る。

アスヴァールにあるという長弓に比肩しうるほどの長さだ。三日月状に張らせるだけでも、かなりの力を要するはず。

だが、弓使いとしてのティグルはそれの要訣を一瞬で分かったのでさしたる苦も無くそのヤーファの弓を弾くことに成功した。


「アメノノリゴト―――、別名として『生弓矢』という名称もあるんだ」

こちらのやったことに満足そうな笑みを浮かべながら、どういう銘の武器であるかをリョウは知らせてきた。


「イクユミヤ―――、これはどういう弓なんだ?」

「弓にもなるし『無限の矢』を与える矢筒にもなる」

少し興奮しながらも、聞くべきことを聞く。得られた答えから察するに、これもまた神器の類なのだと気付く。


「一番の特徴は……まぁ後々分かるだろうさ。ただ俺には扱えない神器なんだ。道具は道具。それを使うものの心情によって殺戮のものになるか生与のものとなるかが決まる。それだけだ」

言葉から察するに、どうやら自分の悩みは完全にばれていたようだ。自分にとっての策士は、どちらかといえばこの男かもしれない。だが、それが嫌なわけではない。

やってやろうという気分になる。持ち上げてくれることが悪い気分ではない。


「ありがとう。何だか心配してくれたみたいで」

「覚えがあることだからな。いらんお節介にならなくて良かったよ」


破顔一笑しているリョウ。そして階下からヴァレンティナの声が響く。どうやらそろそろ帰宅するようだ。

朱色の矢筒の形にしたアメノノリゴト。その中に一本の「短剣」が入っていた。気になり取り出してみると、鞘こそ簡素なものだが、鍔にかなりの細工がなされており、何だか竜具のような武器にも見える。


「弓に関しては俺の使命に関わるものだ。元々お前のために献上するものだった。短剣の方は俺からの―――「個人的」な餞別だよ」

「ティッタに渡した短剣もだけど、いいのか?」


何だかリョウからは色んなものを貰いすぎて申し訳なくなる。それが「人ならざるもの」との戦いに対する対価だとしても大盤振る舞いしすぎではないかと思う。

しかしリョウは構わずに短剣の説明を行ってきた。


「そっちの短剣は預かりものだ。『気に入ったヤツ』に渡してやれ。と知り合いの『おっさん』から言われている」

「何者だよ。その『おっさん』って、気前良すぎないか?」


苦笑しているリョウだが、正直こちらとしては笑えない。鍔の作りからして相当な業物だろうに、剣の心得が不足している自分には過ぎたものだ。


「鉈よりはマシだろ。果物剥いたり、適当に使え。道具なんて先程いった通り、持ち主次第なんだからさ。ではティグルまたな」

そうして自由騎士は、こちらに軽快な手振りをしてから階下に下がっていった。

見送りをすれば、何となく未練がましくなってしまいそうなので、ティグルは降りなかった。

入れ替わるようにティッタが上がってきた。


「ウラさんと何を話していたんですか?」

「悩みを聞いてもらっていた」


具体的に語ってもティッタを怖がらせるだけだと思っていたので、事細かに語りはしない。


「ガスパール様が聞いたらば嫉妬しそうですね」

「義兄さんが……そうかな? 何か想像がつかない」


ガスパールというのはマスハスの息子の一人で、自分も親しくしていた人間だ。兄弟同然の関係。確かに彼に一度自分の貴族…いやブリューヌの男子としての在り方で少し救われたこともある人間だ。

もしも親しいガスパールからも「恥知らず」などと言われていたらば、自分は酷く屈折した人間になっていたのではないかとさえ思う。

当時のティグルにとって「弓」が得意ということが、ここまで嘲笑されるとは思っていなかったからだ。


「それでティッタ、何か用があったんじゃないか?」

「あっ、そうでした。実はティグル様が帰ってくる前に……屋敷に王都の愛人様が来まして」

「ちょっと待て。愛人って何だ。そんなもの作った覚えは無いぞ」


言葉の後半で暗い空気を出しつつ言うティッタ。変な話だが同時に黒弓からも寒気を覚えた。

抗議したティグルに構わずティッタは話を続ける。


「いえ、愛人でないならばいいのですが、レギンさんが来たんですよ」

「レギンが? どうしてまた」


意外な来客というわけではないが詳細を聞くと……何とも間の悪いという感想が出てきた。

しかしレグナス王子が亡くなられたのだから、彼女が、そういった風なことを考えるのも分からなくもない。


「その後、彼女は……アルテシウムに行ったと……ガヌロン公爵の本拠地か…」

会いにいくのも困難だな。という感想をティグルは心中で漏らしつつ、ティッタの言葉は続く。


「はい。ブリューヌ王家の力を借りたければ、私に会いに来てくれとレギンさんから言伝を受けています」

その時、リョウから渡された「短剣」が日に当たり輝きを増した。丁度よく日光が当たった形であったのだが、ティグルもティッタも気付かなかった。

知り合いが、努力していくということを聞いただけであり、その剣の「意味」を知るものと「レギン」の来歴の詳細を知る「自由騎士」がいなかったことが、不幸な擦れ違いを生んだ。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇




執務室に腰掛けながら、目の前にいる蒼白な男の報告を受けている。目の前の男スティードは、もともとどちらかと言えば無表情を蝋で固めたような男だが、今の彼はそれ以上に蒼白な顔をしている。

三十三歳にして自分―――フェリックス・アーロン・テナルディエの副官を務めている男だ。その男の報告は事実を述べているとは到底思えないほどに荒唐無稽なものだった。

しかし、そんなことを言わぬ男であるというのは自分も分かっている。何よりそんな風なことをいう男を自分は用いない。


「……アルサスには自由騎士と戦姫がいたのだな?」

「はっ、彼らさえいなければ我々が敗走することも無かったでしょう」


自由騎士リョウ・サカガミがどれほどの実力者なのかはテナルディエも理解はしていた。あのロランと互角かそれ以上の剣士がいたなど俄かに信じがたいが、事実はそうなのだから覆せまい。


「―――下がってよい。領地で英気を養え」

「……懲罰はよろしいのですか?」


無表情で聞いてきたスティードだが、それに対して答えない。ここまで何とか逃げてきた兵士騎士達。それらに「懲罰」を与えるなというのが息子の「遺言」だったのだ。

それを守らないなど出来なかった。例え怒りで腸が煮えくり返っていたとしてもだ。

スティードが退室すると同時に闇に潜んでいた「女」に問いかける。


「聞いての通りだ。ザイアンが死んだ以上、お前は自由だ。好きに生きろ」

「―――大旦那様は、復讐を為さらないので?」

テナルディエですら、一瞬怯むぐらいの声音だった。闇にいた女は怒り狂っている。


「お前の言う通りならばザイアンは負けるべくして負けたのだ。勝敗はいつでも紙一重。兵家の常であり一戦で死ぬことあれば一戦で命からがらということだ」

そして自分の息子には運が無かったということなのだろう。そしてヴォルンには天運があった。そんな戦士としての理屈は「暗殺者」であり「女」であるサラには通用しないものだった。


「ザイアン様は、「人間」として殺されたのではありません。「怪物」として殺された―――。やったのが誰かぐらいは想像付いているのでは?」

「……問い詰めた所で証拠はあるまい。そして何より私の野望にあの「魔性」は必要不可欠だ。だが……最終的に殺したのは、アルサス及びジスタート軍だ」

低い声音で問いかける侍女姿の「暗殺者」。この女とザイアンの関係は知っていたが、ここまで執着されるとは、あの息子にも見所はあったのだと悲しくもなる。


「私は―――自由騎士とヴォルン伯爵を『暗殺』します。これは私にとっては最後の主家に対する御奉公です。それをしてから私は自由の身となりましょう」

「―――『七鎖』と『八蜂』を連れて行け。どちらもお前が「仕込んだ」暗殺者集団。如何様にも使うがいい。これが私からお前に対する最後の支援だ……それを成したならば……ザイアンのことなど忘れて新たな幸せを掴め」


答えは無く、そのままに闇に消えていく侍女。

彼女が失敗しようが、成功しようが構わない。命令を聞けないものなどテナルディエにはいらないのだから。

そうして侍女がいなくなると同時に、入ってきたのはドレカヴァクであった。


「浮かない顔をしておりますな」

「―――ドレカヴァク、次の竜の用意までどれだけかかる?」


怒りで我を忘れそうな頭と手を必死で押さえながらテナルディエは、必要最低限の用件だけを問う。それに返答した後にドレカヴァクは続けて言い放つ


「閣下に朗報を一つ。私は今、竜以外の戦力も用意してあるので、それは恐らく戦姫と自由騎士への最大の抑えになるかと」

「何だと……?」


竜を殺したのが自由騎士と戦姫であることは報告で知っている。そしてザイアンを殺したのも連中だろう。

聞く限りでは、ロラン並の戦士ばかりであるとして、幾つかの策を練っていたが、そこにドレカヴァクの「提案」が入った。


「戦姫が持つ竜具、これは地上に無い物質で出来た武器。自由騎士の持つ『神器』もまた天地の理から外れた武器であります」

「それが竜を殺した原因か。ならば、それを押さえるものとは何だ?」

「魔人―――と言って通じるか分かりませぬが、そういったものを用意しましょう。それは閣下に必ずや勝利をもたらす無限の「軍」を組織出来るものです」


笑みを浮かべながら話す老人。俄かに信じがたい話だが、この老人がそれを用意すると言った以上は、用意出来るのだ。

自分の軍は決して弱卒だけで組織されているわけではない。しかしディナントでの惨状を鑑みて、更に自分に比肩しうる人材がスティードしかいないというのが痛い所だ。

アルマン、ソーニエールなどは、それなりではあるが、及第点をつけられない。

ジスタートとブリューヌでの泣き所は、前者が『職業軍人』を大半として組織しているのに対して、こちらは『市民軍人』を使わなければならないところだ。

無論、『騎士団』などの王宮直属軍は完全な『職業軍人』だが、それはテナルディエが使えるものではない。

要請という形での派遣程度ならば使えるだろうが、自分の指揮下に組み込めぬものを数に入れるわけにはいかない。


「つまりは数で圧倒するしかないわけだ。その数を何とか出来るのか魔人は」

「かつてその魔人は『不死の鬼』を殺しつくし、多くの『獣』を従えて一国を支配しつくそうとした男です―――聡明な閣下ならばその意味、分かるはずですが」


その獣の中に、果たして『竜』が含まれるのかが疑問ではあったが、それでも……自分の敵は寧ろ、同じ権勢を誇るガヌロンだ。

ガヌロンを圧倒するためにも、今は多くの「力」が必要なのだ。ヴォルンなど片手間程度で倒せれば、それでいいぐらいだ。


「分かった。仔細は任せる。必要なものあれば、即座に言え。成果が出なければ―――」


お前は殺す。


視線でそれを告げるもドレカヴァクは不敵な笑みを浮かべたままに退室した。


一人になった部屋。豪奢な椅子に深く座り込みながらフェリックスは、今更ながらの喪失感に気付かされる。

あんな親子喧嘩をするべきでなかった。例え、どんなに自分の信条と反するからといって、それに対して怒りつけるなどするべきでなかった。

怒りが持続しないのは、後悔ばかりが先んじるからだ。だからと言ってアルサスの小僧を許せるわけもなく、自由騎士に対する復讐心無くなるわけでもない。

そうしてフェリックスは―――取り出した銀杯二つに秘蔵の「葡萄酒(ヴィノー)」を注いで打ち鳴らす。


「お前と対等に酒を飲めなかったな」


酔いつぶれるまで飲もうとは思わない。いずれ大なり小なりザイアンが功を上げた時に開けようと思っていた酒だ。


銀杯で一口ごとに口中で温めながら胃に下していく。


酔うよりも、その味わいを長く残すようにフェリックスは一瓶、亡き息子を弔うかのように―――時間を掛けて飲み干していった。




◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


公宮は大忙しである。如何に優秀な文官多く居たとしても、それが全ての案件を処理できるわけではない。

多くの武官・文官の頂点に立つ公宮の主。朱い衣装、何でもヤーファで言うところの「ヒトエ」という装束を身に纏った女性は、挙げられてきた案件一つ一つを精査していく。

そして謁見者に対しても同じく執務室にて多くのことを聞く。それは王宮からの訪問だろうが、他国からの人間だろうと同じであった。



夏に行われた一つの大戦。今では「プロビデンスの海戦」などと題されている戦いにおいて海賊共を撃滅したことが影響している。

多くの戦利品。得られた土地。新たな戦術―――海洋都市を多く有するレグニーツァにおいて多くの変化を余儀なくされた。

かつての病身の身であれば、少しは気を利かせて文官達は重要案件だけを持ってきていたが、今の彼女―――アレクサンドラ・アルシャーヴィンは何かに没頭していたかった。


今、自分が着ている衣装は、多くの者には「かぶれている」などと誹りを受けそうであるが、それでも見せたい相手がいたのだ。

その見せたい相手は―――、考えるほどに苛立ちが募る。


「アレクサンドラ様、急な謁見希望者がいるのですが、よろしいでしょうか?」

「―――明日にしてくれないか。流石に疲れたし、何より手続き無視はどうかと思う」


黒髪を乱雑に掻きながら、入ってきた老従僕に言う。謁見予定者は、先程で最後だったはずだというのに間の悪い。

疲労もそうだが、何より自分にとってのやる気を上げる「薬」が欲しいというのに、それが無いのだ。自然と言葉も厳しくなってしまった。

それに構わず老従僕は言葉を重ねる。


「本当に追い返してもよろしいので?」

「例え、王宮・大貴族・大商人・大神官だろうと、規則破りは『やってきたのはリョウ・サカガミなのですが』―――」


言葉の前半で苛立たしげにしつつも、後半では完全にしてやられた形だ。

無言を貫きながら半眼で老従僕を見るが、それに対して笑みを浮かべるのみであり、暖簾に腕押しである。そんな

老従僕の後ろに現れたリョウの顔を見ただけで何か癒しの奇跡でも掛けられたかのような気分だ。


「疲れてるようだったならば、あし『いや、我が公宮の恩人を追い返すわけにはいかない。何より「外国の大使」は別だ』……言い訳が苦しいぞサーシャ」


そう言われて、バツの悪い顔をするしかなくなる。今、言ったことはただの方便だ。そして老従僕は形式を守っただけだ。

これに関しては自分が全面的に悪いだろう。ただもう少し言い方があったのではないかと思う。


「内密の話もあるでしょうから、私はこれにて」


頭を下げて、辞していく老従僕。どちらかといえば「お若い二人にお任せしておきますので、どうぞごゆっくり」とでも言われた気分だ。

それはリョウも同様だったらしく、見合いの席かと思わんばかりだ。

間の良いのか悪いのか、サーシャの着物姿がどうにも似合いすぎて、リョウとしても居た堪れない。


「まぁ……何というか久しぶり」

「――――久しぶり」


言葉と同時に、抱きつかれてしまう。執務机を飛び越えて抱きついてきたサーシャの重さ。

受け止めた彼女は以前より重くなっていると感じて健康であることを確認した。


「女性に対して重いとか言うのどうかと思う」

「読心術の心得でもあるのかよ?」

「好きな男性の心の変化を読み取るぐらいは、加えてリョウは分かりやすすぎるからね」


抱きつかれたままに抱き返しつつ頭を撫でる。お互いの感触や熱を移すように忘れぬように長く抱きしめあう。

百を数えるぐらいの時間が過ぎてから、どちらからともなく離れる。


「飲み物を用意するよ。話したい事もあるんだろ?」

「個人的に寄っただけだ。などと言えばただの女ったらしだからな。まぁ用事が無くても寄る予定ではあった」

「アルサス―――ティグルヴルムド・ヴォルンに関してだね」


首肯して、サーシャの招きに応じてテラスに移動する。それと同時に茶請けと言うには少しばかり、毛色が違うも、アルサスの名産品を取り出す。

清潔な布に包まれた円形の白いものが、何であるかをサーシャは察する。


「チーズ……。良い匂いだね―――もしかして山羊の乳で出来たものか?」

「御名答。シェーブルチーズってやつだ。ある戦姫の入れ知恵もあって作られた第一号らしい」

「オルガか、彼女の功績の一つだね。それを他国でやっている辺りが、彼女のずれた所だよ」


アルサスにて、ティグルとオルガが行ってきた事業の一つ。その成果を示しつつも、サーシャの評価は辛い。

山羊チーズは普通のチーズでは身体にもたれる人間にとっての救いだ。切り分けて、小さい三角形にカットしてからテーブルに乗せる。

陶器はオニガシマ製の瑠璃物。透き通った器の中に様々な色味が加えられており、目で楽しませてくれる。

一切れを口の中に放り込んで咀嚼するサーシャ。その表情が硬いものから段々と軟らかくなっていく。


「まさか……こんなに美味しいとは……いやビックリした」

「一応つけあわせとしてクラッカーやらもある。アルサスの侍女の一人が焼いてくれたものだ」

「野菜とか魚卵も欲しいね。いま持ってきてもらうよ」


呼び鈴を鳴らしてやってきた侍女に用意するものを言ってもってこさせる。

六十秒ほどで全てのものをもってきた侍女にお礼としてリョウは、残りのシェーブルチーズを持たせる。


「こちらは皆さんでどうぞ。わたしからの土産ですので」

「あら、自由騎士様からの贈り物だなんて、アレクサンドラ様に申し訳ありませんわ」


と言いつつもシェーブルチーズ三個を持って下がっていく侍女。多くの人間に「知ってもらう」ことが販路開拓に繋がることは知っている。

これから一緒に戦う相手の懐を温めてやらないと、家臣として失格だ。そうして再びサーシャの方を向く。


「これがまさかただのお土産というわけではないよね?」

「そうだな。サーシャにやってほしいことの一つだよ。意味は分かるよな」

「予想された事態ではあるしね。その辺りはソフィーと協調しあっているよ。問題はエリザヴェータとリュドミラだね」


クラッカー二枚にシェーブルを挟んで食べたサーシャ、実を言うと今度の王都シレジアでの召喚命令、それにおける最大の懸念事項は、二人の戦姫にこそある。

誇り高き戦姫。リーザは己が戦姫であることを誇りと思い、その務めを放棄して諸国を回っていたオルガに対して当たりは厳しい。

ミラもまたそういった人間に対しては厳しいだろう。折角の参戦許可も彼女ら次第では覆りかねない。


無論、ティナやソフィーの言に対抗できるほど二人は口が達者ではないのだから、杞憂かもしれない。

クラッカー二枚にシェーブル。その間に『キャビア』と『トマト』を挟んで食べる。

口当たりに変化が表れて、これまた美味なものである。

そうして口が渇いてきたので果汁水(クヴァース)を、含んでから話を続ける。


「やれやれ。愛しい男性からのお願いが「他の女」を助けてくれだなんて、随分と酷くないかい?」

「戦姫オルガ・タムは、どうやらティグルに個人的な好意を寄せているようだ。第一、俺はあんな年下に興味は無いよ。俺としてはティグルを助けてほしいからこその要請なんだけれど」


苦笑しつつのサーシャの言葉に、同じく苦笑しながら答える。彼女も青年貴族とは面識あったらしく、その言葉にすぐに了承の意を出してきた。


「了解したよ。久々に七人の戦姫が集まるんだ。色々と話し合わなければならないだろうね……アスヴァ―ルも情勢に変化あったようだし」


道すがら、聞こえてきた言葉。どうやらタラードは上手くやったようである。

これを以て休戦条約を破棄する―――とまでいかないだろうが、新政権になったバルベルデ側に、エリオットがどう出るのかが、気がかりだ。


「そんな所だな。俺としては頼みたい事と言うのは」

「ならば―――僕としてはお礼が欲しいな……女の子に頼みごとするんだ。男ならば何が……代価になるかぐらい分かるだろ?」

手を組み合わせて上目遣いで言ってくるサーシャ。頬は上気して、何とも艶っぽい空気を出してくる。

要求されていることは理解している。ティナもそうだったが、要求の言い方が婉曲的ながらも仕草などで直接的に分かってしまう。


「俺としては願ったり叶ったりというのも変だけれど、身体は―――大丈夫なのか?」

「体調に変化は無いよ。寧ろ、君と会えなくてイライラしていたぐらいだ。欲求不満ってやつだね」


一番に気を使うのは女の子の身体の方だ。男性の場合は特に日を選ばないが、女性の場合は違う。

そこを気遣ってあげるのは男の役目だと教わってきただけにリョウは、サーシャが、あっけらかんと笑顔で語る以上は、安心することにした。

とはいえ、まだ夜になってはいない。彼女の自然なしなだれ方に熱くなりながらも、抑えなければならない。



月明かりの下でこそ、『煌焔の朧姫』アレクサンドラ・アルシャーヴィンという姫君の肌の白さ。闇に溶け込まぬ黒髪の艶やかさは映えるのだから―――。









あとがき

MF文庫の『瑠璃色』でデビューした伊達先生の新刊。中々に面白そうである。

『結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの?』は、俺がやりたかったプロットの一つであった。

アオイホノオ的に言えば「やられたーー!! 先にやられちまったーーー!! お、俺はもうだめだー!! やめてくれーー!! OTL」と言ったところか。

まぁどこにでもありそうなプロットと言えばそこまでか。いわゆるインフィニット・ストラトス系、魔法科、SAO系というのも源流を辿っていけばどこに辿り着くか分からないし。



では感想返信を


>>雷天狗さん

感想ありがとうございます。そして綺麗なザイアンが死亡したことで今作は原作以上の苦境に立たされますが、それを乗り越えてこそ英雄への道は開かれる。
これからも今作を見ていただければ嬉しいです。
今期は本当に見るものが多すぎる。特にソーマをアニメ化するとは……平成のガンダムである「SEED」に準えて平成の「ミスター味っ子」といったところだな。

>>huntfieldさん

初感想ありがとうございます。イタチ兄さんの名台詞で来るとは恐れ入ります。ティグルェ……(笑)
原作では、なんやかんやでも周りからは「リムかティッタが好きなんだろ?」と言われてるティグルですが、今作では若干みんなから『その気』があるのではと心配されてしまいます。
ですが、今作では真面目にナルトとサスケ、ゴンとキルア、アリババとアラジンの如く気安い男友達どうしとして書いていこうとは思っています。

>>yuoさん

久しぶりの感想ありがとうございます。
ザイアンはサガ・フロ2のエーデルリッターサルゴンのような最後となりました。己が己である内に縁ある人間に殺されよう。
無論、それは熱く猛るような戦いの中でのものでなければならないとばかりに。

>>almanosさん

感想ありがとうございます。
ザイアンが魔体になったのは、いわゆるスレイヤーズ『ソラリアの謀略』のように『めんどくさいから死んだことにして、実際は実験台としてしまおう』的な外道な計画です。
ただドレカヴァクの誤算は一番賢い「スティード」が生き残って半分ほど目論見がばれてしまった点ですね。どうにもヤガー、トルバランなどは普段は隠れ潜んでいる癖に追いつめられると、大雑把な行動しかしませんからね。
オーフェンのドッペル・イクスの如く、微妙な潜み方である。
ガヌロンのように人間として行動して、狡猾に策を巡らしていくタイプとはまだ違う気がします。

術者ですが、まだ出てきてないだけでロランが斬り殺したという『呪術師』が、どんなものかなんですよ。
これが映画「300」に出てくるような「炮烙玉」みたいな爆発物を投げつけてくるような存在―――ではないでしょうね。

ソフィーが幻惑でエレンとティグルを逃がしたシーン(三巻)で語られた呪術の詳細次第ですね。こればかりは川口先生たのみです。
ただ私の独自設定において「ヤーファ」は特殊な国家として存在させています。上のあとがきで書いた伊達先生の新刊のごとく。
具体的には『ウエイトレスの最低条件がプラズマドラゴンを包丁で殺せる』とか言う感じに(恐)

リョウは単純な五行思想は知っていても「呪術、妖術めんどくさい」として授業からエスケープしたアホですから、そこまで具体的なアドバイスは無理でしょうね(笑)
ただお母さんの影響で、御稜威の行使は出来る。ただ弓が使えないので、清め祓いの最後は、ティグルに任せるしかなかったということです。


>>放浪人さん

感想ありがとうございます。

ザイアンが死んだ影響はそこかしこに出てきています。静かに殺意を燃やしつつも怒りを向ける先が二つに分かれてしまった。
片方は利用しなければならない。片方は容易に倒せない。そして王権に対する執着も―――衰えない。
ただ後継者がいなくなったせいで、テナルディエは少し自暴自棄になってきています。

そしてサラ―――こいつを動かすためだけにザイアンは『綺麗』になったといってもいい。
彼女の復讐の刃が―――二巻相当部分から襲いかかります。
とんだ『アサッシン・オブ・アサッシンズ』、迷惑千万すぎる『ズーマ』である。

エレ坊の苦難は続く(笑)今話において「組手」に混ざれず、姉貴の方は『お情け下さい』と言っているし。もうやめたげてよぉ! とか言いたくなる(苦笑)

ただティグルも別にエレンを意識していないわけではないんですね。間の悪いことばかりなので、エレンが思い立った時には既に勝負はついていたとかいう感じなんです。
疾風の如き速さでティグルの胸と背中に飛び込む日はいずれ来る。それまで耐えろ! エレ坊!!(笑)


>>孤高のレミングさん

久しぶりの感想ありがとうございます。
pv80000突破。なんやかんやでここまで来ましたねぇ。まだ原作二巻相当の場面なのですが、意欲が続く限りは、とりあえず続けていこうかと思っています。

歴史の偉人は、そんな風に色んな御無体な想像を貴腐人からされてしまいますからねぇ(笑)有名な所では孫権と周瑜、武田信玄と高坂弾正といった具合にティグルとリョウもいずれはそうなるでしょうね(爆)

加えて原作では「ダーマード」「タラード」「ガスパール」と妙に男前ばかりに絡まれて前者二人に関しては「俺と共に来い!」と誘われる。
年齢だけでなく性別の垣根すら超えるとは、ストライクゾーンが広すぎる「魔弾の王」である(笑)

感想はザイアン関連多すぎる。全くみんなして良平さん(?)のこと好きすぎですよ。俺も好きだけど(え
彼の存在とブリューヌ武芸大会における蛙の襲撃。次話に入るかどうか分かりませんが、早めの「戦姫円卓会議」の議題に上がるはずです。

ただ対処療法ばかりで「見つけたら殺す」「無茶をするな」とか程度に終始しそうなんですよね。

そして色子としては……うん、まぁリョウの関係に関しては明示せず暗示する程度ですね。後は皆さんの想像力をフルに駆使して「片桐先生」「よし☆ヲ先生」のイラストで妄想してください!(笑)

「モルザイムの後のリョウは熱く激しかったです♪ もう二つの身体の境界がとけ(以下自主規制)」by強欲
「リョウの『剣』の熱さはバルグレンに匹敵するものがあって、僕に何度も熱いほと(以下自主規制)」by怠惰

……うん、これ以上はXXX板だな(苦笑)ちなみにここで語ることではないかもしれないですが、原作では二十三歳と設定されているヴァレンティナ(多分サーシャと同い年)ですが、今作では二十ということにしておきます。

大体初出時点では二十前後と語られていたのに、今ではヴァレンティナが最年長ですよ。設定の変化に対応しきれないので、今作ではそうしておきます。

そしてプラーミャの「突撃! 隣の竜ごはん!」とか言わんばかりにカーミエと一緒にアルサスでご飯を食べていました(笑)
カーミエはレアのお肉が好き。プラーミャはウェルダンなお肉が好き。特にティナが焼いてくれた肉の焼き加減が好きなんですね。

創作に関しては、気張らずにどうぞ。いつまでもお待ちしていますので。





ではでは今回はここまで、お相手はトロイアレイでした。次回までお楽しみに。


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