夜中、一人物思いに耽っていた頃に音もなくメイド姿の女性がザイアンの私室に現れた。
「出征なされるのですか……若様」
「ああ、気が乗らないが……このままでは、俺がやってきたことを、無にされかねない」
問いかけの不安げな言葉に明朗には答えられない。情けない男だ。こんな男が、これから他国を侵略しようというのだ。馬鹿げた話だ。
だが万事を順調にこなせれば、このネメクタム及びランスの全てを善導出来る。そして王軍の一員として忠節の道を貫く。
しかしアルサスの民は、ヴォルンのものだ。それを奪うというのはなんとも気が乗らない。
「……しかし、やらなければ父上は納得しないだろう……」
アルサスの民よりも自分にとってはネメクタムの民の方が重要なのだ。博愛主義ばかりではやってられないのだ。
「お供いた―――」「いや、お前はここにいてくれ。もう……人殺しをせずに、俺の側に……ダメか?」
侍女の言葉を遮りながら、ザイアンは覚悟を決めた。
サラが来れば確実な勝利はあるだろう。仮に近隣諸侯が妨害に来たとしても勝てるだけの謀殺が出来るだろう。
だがそれはザイアンにとって、助けではない。男として―――もはやこの女性には血にまみれてほしくない。
「俺が……テナルディエの領主となった時に改めて話がある。サラ、君と生きていく本当の道を…」
語りたい。その時に、渡すべきものを今のうちに渡しておく。そうしてから抱き締める。この歳上の姉貴分に相応しい男ではないのに、
「ザイアン様……それは―――」
「頼む。俺に全てを背負う覚悟をくれ」
身分違い。もしかしたらば、サラ自身はザイアンを男と認識してなかったかもしれない。
けれど勇気が欲しかった。父と対決をしてでも戦い抜けるだけの覚悟が―――。
そうして翌日の早朝、ザイアンは多くの騎士兵士……そして巨竜五頭を引き連れて、ネメクタムを出発した。
多くの人間がその戦いを楽な戦いであり、ただの略奪程度と考えていながらも、ザイアンは出来うるならば、人民だけでもなるたけ死なせたくはなかった。
(ヴォルン、貴様の弱さがこの事態を招いたんだ……!)
民が弱いのは罪ではない。しかし領主が弱いのは罪だ。武でも文でも牙を研ぎ澄まし、いざという時に突き立てられなければ、このようなことになる。
怒りは戦場から帰れなかった同輩の貴族に向けられる。
「ザイアン殿、これからの日程は?」
「他領を威圧するように行軍する。そうしていればアルサスには妨害なく着けるでしょう……スティード卿」
馬を横に着けてきた父の腹心に返しつつ、アルサスに着けばスティードが「取りもの」の指揮を取るのだろう。
それはいい。しかし総指揮官としての鼎も気にしてほしいものだ。
「竜を前に出せ―――」
そういうことだろう。と思いザイアンは伝令を出しつつ、ドレカヴァク……あの胡散臭い占い師より渡された薬を飲んだ。
身体が楽になるという触れ込みだが、確かにそうだ。まだまだ死ねない身。そう考えつつもザイアン破滅は近づいていた。
それは―――、二つの方向からだった。
† † † †
遂に期限まで二日と迫っていた。アルサスよりの使者も来ない。王宮からも連絡なし。というよりもここ数日エレンは、自分に公務に関わることに近づけないようにしていた。
嫌な予感がする。ティグルは不安掻き立てる胸騒ぎを覚えていた。何かをしなければならないというのに、何も出来ない焦燥感も相まって、夜の庭に己を投げ出していた。
公宮の監視はここ数日強くなっていた。だからこそ窓から身を投げた。万が一見つかっても夜中の散歩だということは可能だ。
着地して少し歩く。公宮をぐるりと囲む塀は高く、そして今は出ていく手段がない。
たった数枚の壁なのだ。それを打ち破ることができれば……。
ぼこっ、ぼこっ、何か音がする。ティグルの武人としての感覚は本人の気性の割に鋭い。
この夜中、誰もが寝静まり、その一方で酒盛りの叫び聞こえる中でもそれは響いていた。
どこから……。下、地中からだ。まるで地下水が吹き上がる前兆のように……、土が盛り上がった。
「なっ……!?」
盛り上がった土を押し退けて現れたのは、黄銅色の蜥蜴に似た生命。地竜の幼子。
もぐらのように土から這い出てから、地竜はこちらを見て直ぐに寄ってきた。そして―――その這い出た穴からもう一人が出てきた。
汚れた旅着、土まみれになったそれを纏いつつも、別れたころのままの姿だ。
こちらを見たそれは涙を溢れさせながらも、這い出て幼竜と同じく抱きついてきた。
「ティグル!!!」
「オルガ!?」
腰に抱きつかれて思わず身を縮める。彼女が何故ここにという疑問もさることながら、とんでもない潜入方法である。
しかし、それを無しにしても、彼女は泣きながら自分を抱き締めている。その想いが嬉しい。ティグルの家で過ごしてきた家族との再会が自分の涙腺を緩ませる。
その頭を撫でながら、ここにいる理由を訪ねる。涙を乱暴に拭いつつもオルガは説明してくれた。それは予想通り、いや予想以上の危急の事態を告げてきた。
「テナルディエ公爵の軍団がアルサスに向かっている!?」
「三千以上もの大軍で、こっちにやってきている。他領を通過するようにして真っ直ぐアルサスに侵攻しているんだ……」
そして詳細をしたためた手紙を渡される。そこにはマスハスの字で多くのことが書かれていた。
身代金を用意出来なかった謝罪、そしてティッタが神殿にて祈りを捧げて自分の安全を願っていたこと、バートランが避難を指示しつつ、勝てぬだろう戦いに挑むことを…。
(何をやっていたんだ俺は…………俺は、本物の愚か者か!)
歯ぎしりをして、拳を血が出るまで握りしめる。
先程までの甘い考えを捨て去る。皆が自分の帰りを待ってくれている。それなのに……。
「ティグル、アルサスに戻ろう! 今度ばかりは私も戦う!!」
言葉と同時に気配が生まれた。いや違う。その時気付いた。ルーリックやアラム達が痛ましそうな顔で、自分達の後ろにいたことを……。
威嚇するように声を上げるカーミエ、そこに厩舎から出てきたのかルーニエがカーミエの前にやってきた。
「ティグルさん、気持ちは分かるが、あんたは戦姫様の捕虜なんだ。部屋に戻ってくれ……」
海狸なる生物に似ているとからかわれている公宮の兵士の一人であるアラムが不安げに言う。
賭け事をよくやる関係でティグルとは勝ったり負けたりの関係だ。その日々を思い出しているだろうアラムだが、構わずティグルは進んだ。
出るというのならば……正面から出る。その決意でティグルは足を止めない。そのティグルを守るように、オルガは隣に座した。
「ティグルの邪魔をするならば私が相手をする。エレオノーラ・ヴィルターリアに伝えろ……ブレストの戦姫、『羅轟の月姫』が、やってきたと」
竜具である戦斧を月明かりに翳しながら、威圧するようにルーリック達にオルガは言った。
「アラム、戦姫様を呼んでこい……!」
「分かった……」
事情を察したルーリックがアラムに言うと身を翻して、公宮内に入っていった。
そして、ティグルは正門まで進む。自分の行いを突き通す為には……出ていく時には正門から出る。
そこにどんな困難があって、これ以上の困難があると分かっていてもティグルは進む。
公的には脱走だというのに堂々とした歩みに思わずルーリック達は道を譲り、その背中を追うように同じ道を歩く。
だが脱走を咎められない。まるで見えぬ……霊力、運命力とでもいえばいいものが、ティグルを止めることを阻ませた。
そして正門に就くと―――予想通りの人物がいた。人物……エレンは戦衣装でなく、普段着、町娘姿でもなく執務を行う際の衣装だ。
顔が上気している辺り、急いでここまでやってきたと思われる。篝火の向こう側にいるエレンの姿は、どこか泣きそうにも見える。
「……色々と言いたいことはあるが……ここは通さん……!!」
「ティグルは連れて帰る…例えあなたでもティグルの歩みは止めさせない!!」
宣言と同時に超常の武具を抜き払い構える戦姫。お互いに相手を睨み付ける羅轟の月姫と銀閃の風姫。
瞬間、斧と長剣が神速の移動と共にぶつかりあった。火花を散らして何合も打ち合う。戦姫どうし。
しかし最大技は振るえない。竜技を使えばティグルを巻き込みかねない。
そんな考えはエレンだけであり―――、オルガは地面を叩き、土砂を巻き上げて飛び道具として放ってくる。
(位置関係が悪すぎる……! あちらは脱走したい。こっちは脱走を止めつつ出来るだけ傷つけたくない…)
門を背中にしている限りやられっぱなしだ。土砂を風で押さえつけながら、エレンは己に風を纏わせた。
「風影(ヴェルニー)」
高速で移動してオルガの後ろに回り込もうとするも、あちらもそれを理解してか、体で捌きながら戦斧を伸ばして、移動を制限する。
「角貫の弐(ドウヴァローク)」
そのまま石畳を叩き礫として放つ戦姫。身体をしこたま叩く礫に風を防御に回さなければならない。
とんでもない幼女だ。こうなれば言葉で動揺を誘うしかない。
情けない話だが先程までは己の武威で、この若輩の戦姫を討とうと思っていたが予定変更である。
飛んできた石畳を切り刻んでから、再び鍔競り合う。
「大体、お前今まで出奔していながら、こんな時にだけ来るというのか?」
「私はティグルの客将であり愛妾だ。何よりアルサスの禄で今まで食べてきた。義理を果たすは今だ」
「せ、戦姫が客将で……あ、あ、愛妾だと!? ティグル!! お前の趣味はこんな幼女なのか!?」
前半を問題視するのではなく、後半を問題視する辺り、エレオノーラの作戦はもはや失敗しつつある。言葉で押されつつ、武芸で押されている現状がそれを物語る。
「そもそもそれだけ大きいのに、それを己の器の大きさとせずに、アルサスに七万もの大金を要求する時点であなたの器が知れる。そんな人に大敗ありしディナントで天命により生き延びた我が主ティグルヴルムド=ヴォルンを置いていくわけにはいかない」
続く言葉で自分を馬鹿にしつつ、ティグルを立てるオルガに何でこいつが先に―――ティグルを知っているんだ。という感情が溢れた。
「お前の下でならば満足だというのか……そもそもジスタートの戦姫が雇われ傭兵のような真似をするなど…………」
もしもティグルが立ち上がり、己の領地と誇りを守るために立ち上がるならば―――、エレンは戦姫としてではなく―――。
それなのに、その前にティグルの力となっていた女がいた。しかもそれは自分と同じ竜の姫。戦姫だった。
嫉妬心が膨れて、剣の精細が乱れる。
「私はある占い師の予言でブリューヌにて己の光を見つけられると言われた。その予言に従って私はティグルの部下になったんだ」
誰だ。そんな余計なことを言った占い師は、エレンの中でその占い師に対する罵詈雑言が溢れだそうとして―――。
「思い出した……! あれは、あの占い師はヤーファの人で「自由騎士リョウ・サカガミ」だった!!」
「あの好色サムライぃいいいいい!!!!!!」
その時、閃いたというよりも、思い出したようにオルガは言った。
本人としてはエレオノーラを止めるためでもあったのだろうが、逆効果であり、火に油を注ぐ結果となった。
先程までの乱れた剣より苛烈に下ろされるアリファール、それを受け止めるムマだが、既に勝敗は喫したようなものだ。
城門は、戦姫二人の激突によって砕けて病葉も同然になっている。
逃げに徹すれば、どうやってもティグル達が優位だ。
しかし……。
「待ってくれ二人とも」
いくらアルサスに帰るためとはいえ、これ以上はティグルとしては不義理が過ぎると思えた。脱走しようとしている時点で不義理千万ではあるのだが……。
「ティグル!!! お前は私を謀っていたんだな!! この貧乳ロリ娘がやってくるって分かっていたから……! ううっ……!」
「それは違うんだ。落ち着いて聞いてくれないかエレン?」
もはや泣きながら、お前ら二人して私をいじめてくるなどと言わんばかりに、見て言うエレンだが、自分としても言わなければならない。
「確かにオルガを雇ったのは俺だ。けれど考えてみてくれ―――」
そうしてティグルは今回こうなったのは偶然でしかないという説明を懇切丁寧に行った。
ディナントに連れてこなかったのは、オルガを思ってのこと。そして、こういう行動を取らせたのは別に示し合わせたわけではないと。
「つまり偶然が重なった結果ということか……?」
「俺だってまさか名高き戦姫の捕虜になるとは思っていなかった。せいぜい貴族位の人が俺を捕虜にすると思っていたんだ。…何より……テナルディエ公爵が、ここまでの王権を踏みにじった行為をするなんて」
それこそが最大の盲点だった。だからこそ自分は帰らなければならない。
「……ならばティグル。お前はどうするんだ。相手は三千を越える大軍なんだぞ。死ぬと分かっていて―――」
「ティグルは私が守る。竜技を使ってでも三千を打ちのめす」
「ええい。お前は黙っていろちびっ子! と、とにかく確かにやりようかもしれないが、お前は勝つ見込みの無い戦いに無策で挑む気か?」
そう詰るように言うエレン。しかし自分を心配しているような声音だ。
その問いに対する答えはある。それは目の前の銀閃の姫が教えてくれたことだ。
「俺は……今までどこかで自分なんてという捨て鉢な感情を抱いていた。多くの人の憧憬を集められる人間でありたいという男としての有り様すらも無にして…けれど今は違う」
「どう違うのだ…?」
「君に誇れる男でいたいんだエレン」
『!?』
戦姫二人の驚愕の表情。意味合いはどちらも違うが、そんな言葉の後にティグルは語る。
「君は言ったな。意地と誇りを賭けて戦うと、例えどんな状況に陥っても、俺にとっての誇りは、アルサスを大事にするという意思を讃えてくれたオルガ、ティッタ、レギン―――その三人、そして俺の弓を讃えて自由騎士にも通じるものと言ってくれたエレン。君なんだ」
「な、なんで……今更……」
戸惑うエレンに構わずティグルは己の覚悟を話す。
「だからこそ俺は自由騎士リョウ・サカガミに通じることをすることで、己の誇りを全うしたい。それが今、アルサスに向かう理由だ」
目の前の銀髪の戦姫。彼女が教えてくれた戦うための最大の理由。それを行うためにも自分は、アルサスに帰らなければならない。
地上に生きるもの全てに遅かれ早かれ死は訪れる。
ならば先祖の遺灰、神々の『神殿』のため『巨人』に立ち向かう以上の死があるだろうか。
かつて自分をあやしてくれた母のため、赤子に乳をやる妻のため、永遠の炎を灯す清き乙女らのため、恥ずべき悪漢から皆を守る以上の死にざまがあるだろうか。
―――かつてこの西方の一国家で行われた英雄譚の一節を用いてエレンに語る。一千の敵を三人で防いだ。
『隻眼の英雄』。
彼の如く戦い、そしてリョウ・サカガミのように戦うことで自分は誇りを全うしたい。そうエレンに伝える。
一呼吸置いて彼女は―――短い言葉を発した。
「―――――そうか」
穏やかな微笑。それを浮かべたエレン。もはや決した。眼を瞑り、剣を収めるエレン。
感謝の念が湧きあがる。
道は開けた。この道を行くまでだ。その先にこそ己の通るべき道はあるのだ。
「行こう! ティグル!」
「―――ああ」
オルガの言葉で駆けだすように、砕けた扉の向こうへと向かう。
自分の矜持を守るためにも、今は向かわなければならな―――。
「って、ちょっと待てぇ!!!!」
がしぃっ!!!とでも擬音が出そうなぐらいの力で肩を掴まれた。
「ど、どうしたんだエレン!?」
「見事な演説に思わず道をゆずってしまったが、何でそうなる!? ティグル! お前、何か私に言わなければならないことが無いか!?」
エレンに言わなければならないこと、それは……。
「いま実施している事業でいずれ身代金は支払う。春まで待ってくれ」
「違うっ! それよりも何よりもまだあるだろ!? 何の為に私がここにいたと思ってるんだ!?」
何をエレンは怒っているのだろう。早くアルサスへと向かいたいのだが、エレンは離してくれない。
というか周りの連中はもう一声!。的にティグルに視線を向けている。その言葉から察するに―――。
「見送り」「引き留め」
オルガと同時に言った答えで更に頭を抱えるエレン。何が不満なのだろうか?
「何でちびっ子の方が正確な答え出てるんだ。ティグルお前少しこの場面で行動がおかしいぞ! もういい。ティグル! 私はお前に貸しを作りたいんだ! というか作らせろ!!」
「貸しって…身代金を待ってもらっているのにそれ以上の借りは、申し訳ないな……」
「謙虚になるタイミングがずれてる!! だからつまりだ。ティグル、お前に軍を貸してやる。私が指揮するライトメリッツ軍を、アルサスの援軍として出動させるんだ!」
その言葉に、何でそこまでしてくれるんだ。という驚きの思いだけだ。
これ以上、彼女に迷惑をかけることはしたくなくて脱走という手段を取ろうとしたのに…。
しかし脱走という時点で既に迷惑千万だったな。とティグルも考え直す。
「一応言っておくがあの色魔が村一つを守ったという逸話、百人殺しの万人殺しだって、援軍が到着するまで獅子奮迅したのが鬼の如くだったからそう伝わっているだけだ……お前は、何のあてもなく戦って果てるなんてことをして、誰かが喜ぶと思っているのか……私だってその一人だ」
だが、この戦いはエレンには関係ない。言うなれば内戦なのだ。そこに彼女が軍を率いてやってきては余計な嫌疑を招きかねない。
そう言うとエレンは、短く息を吐いてから呆れるように伝える。
「もうブレストのおちびが、お前の客将として戦うなんて言っているんだ。今更戦姫の一人、色魔の一匹増えたところでどうとも思わん。お前は私のモノだ……無駄死にはしてほしくない―――リム、いいな?」
言葉の前半でオルガをむっ、とさせてから副官に了承を取り付けるエレン。
「今更でしょう。それにテナルディエ公爵が軍をアルサスに向けたという情報を知った時点でエレオノーラ様は戦支度を進めておくように言っていましたし、集めた燃料、兵站、荷車それらの準備が無駄にならずに済んで私はほっとしています」
淡々と裏事情を話すリム、その言葉に最初から、エレンはそうするつもりだったのだと気付かされる。
もしも自分が、最初から兵を貸してくれとか言えばエレンはそうしてくれたのかもしれない。
「もしくはティグルヴルムド卿が『部下になるから、アルサスを守ってくれ』と言うのをエレオノーラ様は期待しておりました。その目論見はオルガ様の登場でかなり下方修正されることになりましたが……」
「ティグルはいずれは王様にもなれる器だ。そんな人間が簡単に人の下に降ることはない。王道歩むものは例え一度は膝を折ったとしても心の中ではそんなことにならないんだ」
「お前にとってのティグルとはそういう人間に見えるか……長い付き合いをしている同じ戦姫がそう言っているんだ。ますますお前が欲しくなったぞ」
リムの言葉はエレンのたくらみ全てを暴露するものだ。それに対してオルガは買いかぶり過ぎなことを言って、それに興味を持って怪しげな眼でこちらを見るエレン。
三者三様な見目麗しき女戦士たちに見られてティグルも眼をそらさざるを得なくなる。
「というわけでだルーリック、この辞表は既に無効だ。我らは忌々しくもあの自由騎士と同じく苦難に陥る民の為に戦いの園へと向かう。お前はティグルの護衛として動け。それが望みだったんだろ?」
辞表という言葉と同時に、十枚ぐらいの紙を破り捨てて剣で風化させて塵として風に攫わせるエレン。
ルーリックは、エレンの言葉に膝を折り再びの忠節を誓う。
自分如き虜囚のためにそんなことをしようとしていたルーリックに申し訳なくなる。と同時に自分などに着いてきてもろくに給金は出せそうにないのだ。
(それでもいいなんて言わないでほしいけれどな……)
ルーリックは、この公宮でもかなり高い地位の武官だ。そんな人物に辞められてはエレンもリムアリーシャも困るだろう。
「さてとまずは戦支度だ。戦姫オルガ・タム、お前はまず私と共に湯浴みだ。そんな恰好でまさか戦姫として戦場に立たせるわけにはいかないからな」
首根っこを掴むようにして、捕まえられたオルガだが、不満げな顔を見せつつもそれに一応従う。
戦姫同士、ジスタート人として言っておかなければならないこともあるのだろう。として、自分も一応の支度をしようとした所、リムアリーシャがやってきて、一枚の紙を渡す。
「では、こちらが我々ライトメリッツ軍を使った場合の戦費です。オプションで対要塞攻略戦、火砲装備戦などによっては二倍ぐらいに膨れますが、まぁ貴方に対する好意的勘定で、この値段です」
クマ賄賂―――という項目を見つけて、あのグラナート(ザクロ色の憂い奴)を射的屋から獲った甲斐があったものだとしていたが、その紙に走り書きのように、城門修復代というものが付け加えられていた。
「これも俺の費用に含まれるのか……?」
「納得いかないかもしれませんが、あなたが戦姫オルガ様を焚き付けることをしなければ、こんなことにはならなかったのです。穴の埋め直しまで含めていないのですから、受け入れてください」
ため息突きつつも、仕方ないと思い廃材の如く砕けた城門、何枚も巻き上げられた石畳と土砂の残骸を見る。戦姫どうしの戦いで出来上がる被害とはとんでもないものがある。
彼女ら神話に出てくる英雄のような存在。それが戦うのは、人間どうしの戦争ではないのではないかとも思う。
無論、竜などもあるが、もしかしたら……英雄達の敵であった邪神や魔王などのような悪鬼羅刹こそが戦姫の振るう武器の斬るものなのではないかとティグルは感じる。
「ティグルさん、こっちに弓と矢筒のいいやつ用意しているから選んでくれ」
「お前、ティグルヴルムド卿だとあれだけ言っているのに」
アラムの威勢のいい声。その際の呼び名を諌めるルーリック。それを止めるためにもティグルは思考を止めて、武器を選ぶために親しくなったライトメリッツ騎士達の輪の中に入る。
† † † †
そんな、ティグル達が出立をする前日に―――。アルサスに一人と一匹の客人がやってきた。
「ここを超えればライトメリッツだな。もう少しでルーニエに会えるぞプラーミャ」
こちらの言葉が分かったのか、頭の上からこちらを覗き込む幼竜、そしてアルサスなる領地の中心には入るも、随分と慌ただしい。
ディナントからニース、そしてまたニースから直でアルサスに向かったので各諸侯の動向を把握していなかった。馬を預けつつ、宿を取ろうとする前に……ここの領主に挨拶をしておいた方がいいと思えた。
「多忙な所すまないが、ここの領主の館はあそこでいいのかな?」
適当な町人の一人に尋ねると怪訝な顔をされながらも、そうだと伝えられる。
そして詳しい事情を知らされた。
「あんたティグル様に用事かい? 悪いけれどもティグル様は今ここにいないんだ……そして何より早くセレスタから出た方がいいよ」
「何でだ?」
「……テナルディエ公爵の軍がここに迫ってきている…バートラン…アルサスの兵士長さん曰くそういうことらしいから皆で、避難と一応の戦準備をしているんだよ……」
暗い顔で言われて目を見開く。まさかそんな事をしてくるとは、それに対して―――、ここの領主は何をやっているんだ。と少しだけ苛立ちながら質問する。
領民にこのような顔をさせて己は何もしていないのか、という思いを一度だけ感情のままに吐き出したのだが……。
「ティグル様の悪口を言わないでください!!」
その時、自分の後ろに栗色の髪を二つに結っているメイド服の女の子がいた。先程の言葉は彼女だろう。
「ティグル様は、ジスタートに捕虜として捕まってしまっているんです! けれど法外な身代金を払えなくて王宮もそんな事してくれなくて……本当はここにいるべき人なんです。だからそんな風に言わないでください!!」
「ティッタやめなさい。……申し訳ない旅の人。ですが、この子が言った想いはここにいる者全員の意見でもあります。知らぬ方にあれこれ言われるのは正直、いいものではありません」
いい領主なんだろう。そう感じられた。民を想い善事を尽くしてきた人間。
しかし運の悪いことに彼は捕虜となって此処にはいない。恐らくディナントで捕虜になってしまったのだろう。
(俺が言った所で、あの女が解放するとは思えないな。第一、この様子から察するにテナルディエがやってくるまで日にちはないだろう)
「すまない。何も分かっていなくて……しかし、それでも民を想うならば領主はやってくると思うな。あなた方の気持ちから察するにここの領主は、良い男なんだろう」
例え不自由の身であっても男は立つべき時に立ち上がる。悪逆を行う武家一門を滅ぼすために、供のもの数名で金色の都にて金剛の武士とも言われた八艘跳びの男の如く。
帝に政権を取り戻すために立ち上がった五芒星のもの達の如く。
「男が牙を向けるべきは己の大切なものが脅かされた時だからな……帰ってくるんだろうな。そのティグルヴルムドなる領主は」
「……こちらこそ申し訳ありません。あの旅の方、ひゃうっ!」
「こらプラーミャ、やめろ。ってなんでそこまでこの娘に引っ付くんだ!?」
何かを言い掛けたティッタなる侍女にいきなり擦り寄る火竜。頬を寄せて甘える仕草を取るプラーミャだが驚くほど懐いている。引き剥がそうとしても離れようとしない。
「こいつは驚いた。オルガちゃんのカーミエといいティッタは竜に好かれるんだな」
「それと同じぐらいティグル様もティッタに好意を持って擦り寄ってくればいいのにな」
「か、からかわないでくださいよ! ……旅の方、お名前は?」
一度だけ咳払いをしたティッタは、こちらに名前を聞いてきた。それに対して何と答えるべきか。
「ウラ・アズサ―――ウラと呼んでくれれば構わない」
まさか正直にリョウ・サカガミと名乗るわけにもいかない。ここで武威を明かす名前では、余計な心配だけを与えることにもなりかねないのだから。
「ではウラさん。ご覧の通りの状況で宿も営業は出来ない状況ですので……ティグル様の館で一拍してください。お客様に何もせずに帰してはアルサスの品位にも関わりますので」
何よりプラーミャは、当分彼女から離れそうにない。となると彼女の側にいた方がいいだろう。
「すまないな。こんなどたばたしている時に……」
「いえ、それに……もしかしたらばもう今頃、ティグル様は向かってきているかもしれません。私の妹と一緒に」
彼女は自分の希望的観測とは別に何かあるらしい。領主ティグルヴルムドがここに帰還するだけの何かが―――。
そうしてティッタの案内で、館の方に足を向けたその時、館から何か……邪気ではないが、とんでもない霊力が吹き上がる。
(……!?)
それなりに大きな館の一角から吹き上がったそれは、常人の目には見えないだろうがリョウには確実に見えていた。
(まさか……ここにいるのか?)
ヤーファより持ってきておいた「王」への「献上品」が輝きを発している。まるで霊気と共鳴するかのように―――。
館の主であるティグルヴルムドなる貴族はどのような男かを館に入りながら聞くことにする。
「いつも暇さえあれば寝てばかりいるような人です。けれどやるべきことはきちんとやって領民みんなが慕っています。ブリューヌの武士としては『弓』ぐらいしか取り柄が無い人で中央にいけば、馬鹿にされるけれども私たちは立派な領主様だと―――ウラさん?」
「……ああ、すまない。ちょっとだけ呆けていた…そうか、ここの領主は弓が得意か、もしかして俺と同じぐらいの」
ティッタの言葉で、まだそれだけでは確信が持てないのだ。弓が得意だというだけならば、タラードだってそうだった。しかし……リョウの中では既にここだと思えた。
「ええ、まだ若輩ですが、マスハス様などの助けを得て立派に務めを果たしていますよ」
ティグルヴルムドなる領主に本当に心酔しているのだと分かり、マスハスの言う友人の息子、ボードワンの言うレギンの心乱す男。
全てのピースがぴたりとはまるかのように一致する。少し詳しく聞けばすぐに会えたかもしれないのだ。だが、ここに至るまで自分は「魔弾の王」と会えずにいた。
しかし今こそ間違いなく使命を果たす時―――。
「お部屋ご案内しますね。こちらです」
「―――ありがとう」
ティッタに返しながら、自分の胸に小さな炎が揺らめくのを感じる。まだティグルヴルムドなる男の技量を見ていないというのに確信が持てる。
部屋に入るとティッタは、ごゆっくりとだけ言ってから、扉を閉めた。
プラーミャも一度だけ、名残惜しそうにしつつもティッタから離れて、部屋の中に入る。
「其は、祖にして素にして礎 はじまりにしておおもとにしていしずえとなる。高天原に神留まり坐す其の神より生まれ出ずる幾十もの神々、其は戦神、素戔嗚之神」
虚空に手を翳して出すべきものを出す。アメノムラクモではない。同じ戦神が握りし武器。それは自分が握っては真価を発揮出来ない武器だ。
「間違いない……『アマノノリゴト』が発動している……」
宙に浮かぶそれは、ここにいるだろう主の元へと飛んでいこうとするかのごとく光っているのだ。
確認だけをしてから、戻す。
「しかし、持ち主はエレオノーラの虜囚か……せめてもう少しだけ早く着いていれば違っただろうに……」
もっと言ってしまえば、あの時マスハスの話を良く聞いておけばよかった。
儘ならない運命。この場にティナがいればライトメリッツまで空間転移で向かえたのだが、彼女は王宮でディナントの雑事全体に首を突っ込んでいる。
迎えに行くか、それともこの場で待つか―――。
待つとしてもただ待つだけではない。テナルディエ公爵の軍団と敵対する。まずファーロン国王から言われていた候補からあの小覇王は除外された。
(王聖持つものであるならば、この危難の時に来ないわけがない。そして、俺は……ここを見捨てられない)
ペレス村での戦い。あの時、自分はエリオットの所業を許せなかった。だからこそ撤退の命令に背いて、それを行ったのだ。
そしてヤーファにおける七人の侍で、村を守った際のことを思う。まだ若輩の若造でしかなかった自分を立派な侍だと言ってくれた六人の師匠。
『刀を執れリョウ。我らは米を食いそして羅刹どもを斬らねばならない。農民が弱いのは罪ではない。しかし我ら武人が弱いのは大きな罪だ。―――人斬り、斬魔が出来ぬ神流の剣客など、生きる価値はない。だからこそ今は食い、そして多くを斬れ』
初めて人を斬った自分に掛けられた父の厳しき言葉。覚悟が足りなかった自分に掛かる言葉。そしてそんな父に負けず劣らずな剣客達の言葉が甦る。
(簡単な話だ。百だろうが千だろうが万だろうが―――斬り捨てるのみだ)
決意を込めて、再び小さなもののために剣を振るうのみだ。
だからこそ今は寝るのみだ。そして明日になればここの義勇兵として動こう。ただ不安なことは一つ……。
(ここの領主が弓上手だからといって弓が使えないやつは仲間外れにしてこないように願うのみ……)
頼むから戦わせてくれることを願う。それが叶わぬ時には自分の名を語ろう。嘘だと思われても、自分は戦う。
ベッドに眠りこみながら、明日の予定を立てる。己の意地と誇りを通すための戦いが、この地の王の礎となるというのならば、リョウはどこまでも戦えそうだった。
† † †
浴室には湯気が立ち込めていた。外から入るものには、詳細分からないだろう状況。中にいるものにとっては、誰がどこにいるかを簡単に分かる。
湯船に沈みながら戦姫オルガ・タムは、目の前にいる銀髪の戦姫を睨んでいた。先程まで―――、銀髪の戦姫と刃を向けあっていた時には自分の方が優位だった。
「どうした? そんなに見つめられるとアイツに裸を見られた時のことを思い出す」
「アイツとは……?」「推測してみろ。言わずもがなだろう」
両腕を組んで胸の下に潜り込ませたエレオノーラにオルガは、浮力で浮き上がる島に恨めしげな目を向けつつ、少しの仕返しもする。
「別に……ティグルが大きな胸が好きとは限らない。第一今からそんなに膨れていたらば、数年すると「垂れてくる」から見るに耐えぬものになっている。若い身空でご苦労察する」
険悪な視線二つが光線とかすようにぶつかり合う。しかし折れたのはエレオノーラの方からだ。
「ちゃ、ちゃんと腕立て伏せをやっていれば、そうはならな―――」
「風を使えば重いものも軽く持てるはず。寧ろ己の重量すらも誤魔化して生活していれば余計に早まる」
覚えがあるのか、表情が固まるエレン。確かにアリファールを使って空中で寝るというのはいいものだが、それ以外にも確かに色々と重みを感じずに過ごしてきた。
言われればその通りだ。エレオノーラを現実的な恐怖が襲い、身を凍らせた。
(勝った)
声に出さずに、オルガは勝利宣言をした。しかし、それは前哨戦であり、エレオノーラは話の転換を図ることで、第二ラウンドに移行させた。
「……話を変えるが、オルガは何故ティグルを信じたんだ? リョウが東洋で言うゴギョウハッケに通じる神職に連なることを出来たとしても、それだけでティグルを運命だと何故信じられた?」
「……情けない話だが、私は怖かったんだ。国というものが……」
そうして、オルガは語る。ティグルのアルサスに至るまでの道程と何故ティグルが自分の「光」と信じられたのかを。
「……そうか、しかしお前がディナントに来てくれなくて良かったよ。あそこにはサーシャもいたからな……何を言われたか分からないぞ。お前は何だかんだ言っても私やサーシャと違って権力者の嫡流なんだからな。そんな奴がやらなければならないことをやっていないなんて、いずれにせよ怒られることは覚悟しておけ」
「そんなこと分かっていなければあなたの館で騒ぎを起こさない」
言われてみればそれもそうか、と思う。オルガにとってティグルは己を導いてくれた存在だ。ある意味、オルガにとっての「王」はティグルなのだ。
羨ましいと思う気持ちが出てくる。自分が白銀の疾風の傭兵として彼の土地に行くことあったならば、自分も「愛妾兼客将」として置いてくれとか言っていたかもしれない。
エレオノーラはある意味、そういう自由に主君を選べることを羨ましく思えた。
しかし、現実に自分は自由な剣であることを辞めて、依るべき土地で主でいることを選んだ。
傭兵であった頃とは比較にならない生活。責任も多いが、それでも充実した生活だった。その一方で不満もあったが、それを甘んじて受け入れてきた。
「その不満がお前にはないんだもんな……」
「私はティグルの為に戦う。あなたはこの戦い何のために戦うんだ?」
「私を信じてくれたティグルの誇りに応えてアルサスを守る。それだけだ」
先のことはどうなるか分からない。恐らく勝っても負けても王宮から何かを言われることは間違いない。
しかし、今は彼の心に応えて戦うのみだ。
「では後の事は、戦場に着いてからだオルガ・タム。お前の放浪生活中に身に付けた戦姫としての実力、存分に見せてもらうぞ」
湯船から立ち上がり、オルガを見つつ挑発する。それに対してオルガも立ち上がりエレオノーラを見ながら答える。
「エレオノーラ・ヴィルターリア。あなたは私にとって為政者としての憧れだった。けれど今だけはティグルの執着を得るためにあなたよりも手柄をあげて見せる」
自然な言い合い。お互いに戦う理由の一致を見た。戦姫二人が暴れる戦場がどういうものかをブリューヌの奸賊どもは思い知ることになるのだ。
着替えてエレンとオルガが戦陣作った中に進むと、真ん中にティグルとリムアリーシャがいた。
「諸々のことは道中にでも、今は神速でアルサスに向かった方がよろしいでしょう」
「だな。見る限りでは問題なさそうだ」
副官であるリムが全てを準備していた。後は号令を発するだけだ。一千の兵で足りるかという視線―――一度周りを見回してからティグルに問う。
「勝てる。奴らはアルサスなどの辺境には殆ど来たことが無い。俺には自領の地図はあるし、牧場事業の際に正確な測量もした。道中お前にも伝えるよ―――何より俺が信頼している竜の姫が二人もいるんだ。負けるわけがない」
「そ、そうか、わ、わたしも姫と呼ばれるぐらいか、改めて言われると恥ずかしいな」
「ティグル、今度は絶対に守る。そして勝つよ」
恥ずかしがるエレン、勢い込むオルガ、二人の反応を見てから―――ティグルも覚悟を決める。
己の武威で以て誇りを守るために戦うのだ。
この二人の姫が誇れるような戦士になろうと。
「黒竜旗を掲げよ! 進軍地ブリューヌ王国アルサス!!」
エレンの声と同時に黒竜の旗が翻る。
夜明けのライトメリッツより、黒竜の軍団が出発した。その先に待ち受ける戦いの苛烈さを予想しつつも誰もがこの戦いに赴けることをどこかで待ち望んでいた。
かつての剣奴王と戦姫のような英雄譚の戦士の如き戦いに赴けることに―――。
全ての戦士達を祝福するかのように日は上がり、戦士達の胸に火は灯りつづけていた。
あとがき
感想返信を先に、私事はこの後に―――、変な主張というかまぁ寂しがりの鬱症状的にとらえてくれても構いません。
>>刀さん
なんて直球なHN。濡れてしまいそう(笑)
初感想ありがとうございます。ティナは本当に改変しすぎてこれでとんでもないド外道だったらどうしようかと思っていた時期(八巻時点)もありましたよ。(苦笑)実際の所はそうでもなかった。(あれ?)
まぁ王位を目指す理由というのが、壮大なものではない辺りがまだ彼女の人間らしさですね。彼女が原作・今作共にどうなっていくのかお楽しみに!(前者は川口先生頼み)
サーシャはこんなに良いキャラだってのに……まぁ川口先生的には色々考えた末でのそれだったんでしょうね。彼女があそこで都合よく助かるとしても、物語的には盛り上がらないですからね。
fate/zeroにおけるケイネス先生みたいに救いは本来ありえないキャラだったんでしょう。
その代わり今作では生きていても「年増」「最年長」「御局」などと言われ続けて強欲のヴァレンティナといがみあっています。そんなサーシャの活躍(?)にもご期待を!
>>almanosさん
とりあえず感想後半を見て一言「魔弾二次書いてみませんか?」
つーか本当にハーメルンにしか魔弾二次が無くて寂しい。理想郷における同志が欲しい。何のための布教活動だったのだろうと思う今日この頃です。
では感想返信を
グレアスト自体は、今の所ガヌロンの本性を知っている腹心ですが、エレンに執着したり、テナルディエの有力者を扇動したりと見るだけならばまだ腹に二心ある幹部みたいなものに見えますけれども名前が不吉だからなぁ…原作をチェックです。
ソフィーとティナはとりあえず今の所裏方です。外向きはソフィー、内向きはティナといった感じに調整作業を行います。ソフィーはともかくティナは性格上オルガに多大な「礼」を要求します。
ザイアンは改変しましたがきっちり死なせます。魔法科高校のハンゾーくんの如く退場します。
いやー声優さん的には惜しかったんだけどなぁ。それでも彼に死んでもらわなければティグルはテナルディエ公爵と戦えませんからね。そういう意味では必要な犠牲です。
さてそんな所ですかね。最後に一言、本当に孤高のレミングさん、almanosさん、もしくはここまで読まれている魔弾の読者の方で「こんなアイデアある」っていうのを作品として書いてほしいです。
書かなければ世界はひろがらない。ある意味、あんまり設定とか気にしない(気にしなさすぎも不味いですが)で書きたい。この作品とクロスさせたい。転生、無双、チート、それで書けるものがあれば書いて投稿してほしい。
上から的なこと言ってしまうのは嫌だけれども……同人が欲しい。無論、ここで書いて感想付いてPV数見る限りでは、同じ趣味を持つ人間はいるみたいだけれども、このサイト内で魔弾の二次が俺だけというのは寂しい。
無論、ここ以外でも投稿はありますけれども、やっぱりもっと増えてほしかった。
そんな所ですかね。わたしからは以上です。別に引退とか筆を折るとかではないのでご安心を。
ではではこんな所で馬鹿な主張まで読んでくれた皆さんに感謝しつつ、今回はここまで。お相手はトロイアレイでした。