計算が狂う。そんなことはよくあることだ。
例えば本来決済すべきであったというのに代金不足で不要な違約金を支払わされたり、本来用意すべき品物を供せずに、得られる金銭を得られなかったり、まぁ大なり小なり計算違いというものは発生する。
問題は、それが発生した際に損が自分に発生しているとううのをどうやって埋め合わせするかということだ。
どんなに懐に余裕あり、持ち物が多量にあろうとも、埋め合わせは必要である。
でなければ、いずれは尽きるものだからだ。
「どうやらやつも同じ考えか……人間風情にしては胆が据わっている。いや、それは前からだったか今更だ」
「それで、ここまで来て私だけをムオジネルに派遣するとはどういったことでしょうか閣下」
王都を目前にして、着いてきた一人の青年貴族の質問。独り言に対応したものではなく、寸前に話していたことだった。
しかし、青年貴族ーーー、グレアストは然程疑問にも思っていなかった。
此度に起こる戦い。本当の目的とは王権の奪取ではない。いや、あればいいのだが、それでも自分が欲しいのはそういうことではない。
女神に見初められし「花婿」、それがほしいのだ。前回の武芸大会にて、剣を手に入れるにはあまりにも自分は、弱体だ。
しかし、自らを強大化させるには他の「魔」を取り込まなければならない。
つまり先程の独り言に則して言うならば欲しいものがあるというのに、それを手に入れるには自分という財貨はあまりにも不足なのだ。
馬車の中で対面に座るグレアストは、自分の言いたいことを分かっているのだろう。
「閣下の先祖に倣うならば御自身で『秘術』を取得した方がよろしいのでは?」
それはあからさまな皮肉だった。しかし言われた方は特に腹もたてずに、返す。
「私の存在はジスタートの貴族連中などならば詳細には、分からないだろうが、流石にムオジネルの頭目とも言える赤髭クレイシュならば、分かってしまうだろうーーーしかしだ。混乱を起こす計画を持ち込んで、その間に『蛇王』を手に入れるぐらいは容易いだろう」
「ついでにアサシン集団の秘術も掠めとると……」
「呪術に関しては一日の長があると思っていたが、あそこまでのことが出来るとは私も知らなかった」
影に潜るは蛙の仕業だろうが、巨人化の秘術はアサシン固有だ。それを手に入れられるならば、己を強化出来る。
そして、西方にはまだ甦らぬ眷族は多い。中でも最大のものを頂く。
「しかし、つまりませんな。従わぬ貴族連中を脅しつけて我らが下に就かせる役目は私のものだと思っておりましたので」
「お前ならば確かにそれは容易いだろう。例え歓迎の宴などを催されいい気分で帰ってきたりはせぬだろうしな」
そう言う人物ーーーガヌロンは、そんな風な人間をその役目に就けようとしているのだ。もっともそれを理由に殺してしまうこともできる辺りが、この人物の悪辣な所だ。
「そちらには、あやつを向ける。まぁ不足も甚だしいが、味方が多くても面倒なのが戦争というものだ」
それは贅沢な悩みでもあった。元々、ガヌロンの戦力というのは強大なのだ。それなのにこんな時だけ味方をして同じ死肉を食もうという鴉の類は邪魔だ。
しかしかといってテナルディエに組まれても困り者。本当に贅沢な悩みである。
案外、こんな風な覇権争いの際に最終的に勝利を得るのはーーー元々の持ち物少なく、味方が少なかったという武勲詩(ジェスタ)にも出てきそうな英雄なのだ。
しかしーーーそんな英雄のような存在が出てくるだろうか。いや、一人だけいた。もしもあの男が、国内の王都派を纏めて挑みかかれば、自分とテナルディエは追い落とされる。
しかし、そんな英雄、豪傑、将星ありしものすらも纏めあげるーーー「英雄王」の気質持ちしもの現れれば、追い落とされるだけではない。
文字通り「滅ぼされる」だろう。
「まぁそんなものいてもらっても困るのだがな……」
「閣下は度々、現実味の無いことを仰いますな。今までご自身の行状を英雄のようなものが止めてきたことありましたか? 無いのですよ。全てはーーー」
人のなすことによって決められるだけだ。
そういうグレアストは、闇に魅入れられたと言っても過言ではない。
「そうであったな……ならば私の為にもお前にはいっそう働いてもらわなければならない」
「御意、ではまた会うまでーーー」
お互いの命脈尽きないようにーーーと言ってグレアストと数名の配下は、ニースに入らずに、ネメクタム方面を過ぎるように、ムオジネルに入り込もうとする進路を取った。
相手方の様子を知るためでもあったが、二人が激突するまではまだ時間はあるだろう。
まずは国内の地盤固めだ。そうして起こるだろう戦争に間に合うだろうかという考えを持ちながら、グレアストは、馬を走らせた。
◆ ◇ ◆ ◇
公宮の弓の全てを見る。あの時、ルーリックに渡された弓を除けば、どれもいいものだ。
中にはアスヴァールで使われている長弓もある。それを見て、ふと知り合いの貴族、ティグルの父の友人であった人物を思い出す。
恐らく彼を筆頭に皆が自分を助けるために動いてくれているだろう。だというのに、自分はここで太平楽とまではいかなくとも安穏としていていいのかという気分になる。
実際、今日に至るまでティグルは公宮の城壁とライトメリッツ全体の壁を検討していた。
脱走出来るかどうか、そのことを考えて緩むように見せて考えていた。そうして壁に目をやると間が悪くルーリックがやってくる。
「ティグルヴルムド卿は、やはり弓には拘りますか?」
「そりゃ悪い弓よりは良い弓だろう。俺にとって戦場で身を守る術はこれだからな」
「では素材にも拘りがあるので?」
「適度な張力と弾性を持っている素材、竹なんかがいいらしいが、あれはヤーファでしか採れない、第一ここまで来るわけでも無いらしい」
一度、アルサスを通る行商に注文したのだが、そこまでの商人ではないらしいし、何より大商人でもそうそう取引出来るものでもない。
この西方で有名なヤーファ人を思い出してルーリックに聞く。この男は一応、あの英雄と面識があるそうだから。
「ヤーファ……ルーリック、何でエレンはあそこまでサカガミ卿を嫌うんだ? 何て言うか世間で言われていることとエレンの評が釣り合わないんだが……」
確かに戦姫の色子と呼ばれているのは自分も知っている。しかしあれほど卓越した武芸と超常の武器を扱う戦姫の側にいることが出来る存在なのだ。
何よりマスハスの前で猫を被り、エレンの前では違うのか……本当に分からぬ人物だ。
脱走を警戒してきたルーリックを緩ませるためにも話題の転換を図る。
「私見でよろしければ……」
そうしてルーリックは語る。語られた内容は、結局の所、エレンにとってそれは嫉妬のそれだった。
「先日までこちらに滞在してくださった戦姫アレクサンドラ様、彼女の下での戦いがその原因なのですよ」
曰く、リョウ・サカガミがジスタートにきた際に初めて訪れたのが、アレクサンドラの領地レグニーツァらしく、そこで諸々の誘いを受けて彼女の海賊討伐に一傭兵として参加することにしたらしい。
しかし、アスヴァールにおける武功は彼をただの傭兵としてではなく戦姫の側近として重用させることとなった。
「アレクサンドラ様は本来、身体が丈夫ではなかった方なのですが、これまたサカガミ卿のお陰で元気になりまして……もっとも回復したとしても戦場に出るべきではなかったというのがエレオノーラ様の意見なのですよ」
それでもリョウ・サカガミは彼女を戦場に送り込んだ。ただティグルは聡明に思えたあのアレクサンドラが、例え英雄の言葉とはいえ従うだろうかと疑問に思えた。
「まぁこればかりは私の人生経験ですが恋は盲目というものでして、アレクサンドラ様もそうしたのでしょう」
「成る程、エレンにとっては確かに女を騙す詐欺師だな。それが自分の慕う人物ならば、感情的にもなるか」
「間の悪い事に、そんな一大事だというのにアレクサンドラ様は、エレオノーラ様に何も知らせずに戦場に立ったので、何よりこれでサカガミ卿が剣上手ではなく、貴方のように弓上手であれば当たりも強くなかったでしょうね」
総評すれば、どちらかが大人になるしかないのだろう。エレンからすれば「姉を奪った悪い男」、サカガミ卿からすれば「口うるさい小姑」といったところか。
「さらに言えば自由騎士を個人的に慕う人間は多いのですよ。それがエレオノーラ様的には面白くないのです。まぁこんな所ですかね」
「ルーリックはどんな人物だと思った?」
その言葉に一度考えてから、言葉を選んで話し出す。
「個人的には大きすぎる人物だと思いますな……その考えは国とか領地とかいうものが小さいと感じられる。何か大きなものの為に剣を振るっている感じがしますな」
その一方で小さなものを見捨てられない心情も持ち合わせている。そういう人間だろう。
「俺も……考えたことあるよ。アルサスだけに関わらずブリューヌ全体が良い方向に向かえば、全ての国家が善導出来ていれば……昼寝しほうだいなのにってな」
「あなたらしい。しかし歴史に名を刻んだ英雄ももしかしたらば、そんな理由で立ち上がったのかもしれないですな」
「持ち上げても何も出ないぞ」
「アラムとの賭けで大勝ちしたのは聞いておりますよ」
にっこり笑いながら奢りにあやかろうとしているのかと気づく。まぁ賭けの資本はルーリックからもらっているので、吝かではないのだが……、そこに一人の騎士がやってきて用件を伝える。
「どうやら私への葡萄酒よりも先に、御婦人方の用事を済ませた方がよろしいでしょうな」
「悪いな。とはいえ、今さら何だろうな?」
騎士が伝えた用件とは、エレンとリムアリーシャが呼んでいるから来るようにとのことだった。
まさか身代金が支払われて、自分が自由の身へとなるのだろうか、淡い期待を寄せて執務室へと向かう。
「ティグル、少し鍛練に付き合え」
入って開口一番に、そう言われて少しだけ肩を落とした。
「お前は剣も槍も苦手だといった。だがそれが事実かどうか分からない。もしかしたらば隠していた実力を発揮して私の首を獲りに来るかもしれないーーーと、リムが五月蝿いのでな。お前の弓以外の実力を見せてほしい」
隣のリムアリーシャが苦い顔をしているのは、恐らく違うからだろう。
つまりは部下にならないのならば、さっさと奴隷としてムオジネルに送る準備、もしも身代金が支払われるならば、捕虜に相応しい待遇にすべきだといったところか。
「分かった。だが練習相手になれなかったからといって、怒らないでくれよ」
「大丈夫だ。確認するだけなのだから、失望もしない。ただもしも嘘だったらば……あの男を殺す可能性が高まる……」
言葉の後半はもう悪党も同然のものであり、悪い顔をしているぞ。と言ってやりたかった。
それにしても……。
「部下になったらば最初の仕事が英雄殺しとは大役だな」
「おおっ、やっとその気になったか!」
「仮の話だ。第一まだ決まったわけじゃないだろ」
「期日は迫る一方、されど届かぬ金銭、お前に残されるは私に骨の髄まで捧げることだけだ」
女の子の使う言葉と表情じゃないと言ってやりたい。同じ感想は隣のリムアリーシャも同様らしい。
しかしこれは前奏に過ぎず、彼女にとっては次のセリフこそが本番だったようだ。
「の、望むならばお前も私を骨の髄まで、と、蕩けさせてもいいいいいのだが、ど、どうだ!?」
いや、どうだと言われても……机を動かすほどにこちらに身を乗り出しながら聞かれることであろうが、真っ赤なエレンを見て、顔を凍りつかせながら剣を引き抜こうとしているリムアリーシャ。
その前に自分の骨身が無事にすみそうにはない。
そうして、鍛練に付き合い自分の実力を知られるのだが、問題はその際に起こった事故で、やはり自分の骨身が無事で済みそうにならなくなってしまったことだ。
† † †
「分かっていたこととはいえ、随分と早いわね」
「分かっていたことだからです。第一これだけならばエレオノーラはブリューヌの陰謀、謀略の片棒を担がされたようなものですよ」
憤慨することであろうか? だが視点を変えれば、戦姫の力をダガーに変えられたようなものだ。
国同士の戦いがただの謀略戦になってしまったのだ。何よりこの先、ブリューヌの覇権争いで自分達にも様々な影響が出るだろう。
「帰ってこない我が夫を待ち、枕を涙で濡らす私ってば何て健気な悲劇のヒロイン」
「嬉しそうに言われても説得力無いわ。そんな自分に酔っている大根役者さん」
黒い長髪の戦姫のおどけた言葉に金の長髪の戦姫は返す。
バチッ、という音でもせんばかりに火花が散ったように感じる視線と視線の交錯は終わり、お互いに紅茶を一口してから、再び話し込む。
のどかな庭園のもとにいる乙女たちの剣呑な話し合い。即ち、ディナント平原での戦いの結果として起こり得ることを全て書き起こしたものだ。
それだけのもの。王宮にあげられたものだが、その写しの資料。目の前にあるものは、損得全てに関わるものばかり。
「これだけならば、まだいいでしょう。所詮他国の御家騒動。問題はこれに戦姫が関わった場合です」
話の転換を感じてソフィーヤは何事かと思い、質問する。
「? あなた何か知っているの?」
金髪の戦姫ーーーソフィーヤの言葉に、黒髪の戦姫ーーーヴァレンティナは一つの不確定情報を話す。
つい最近の話だ。情報戦というものの重要性をリョウに言われて態勢を見直しつつ、少し多くの情報を精査した結果、浮かび上がった事実。
ブリューヌのある貴族とジスタートの従属民族ーーー騎馬の民が、大きな取引をしたという事実が浮かび上がった。
それだけならば、何も普通のこと。ただの商売上の関係だけで済む話だが、どうにも相手方の資産状況を鑑みるに不透明な取引であった。
事実と推測だけをまとめていけば、いわゆる賂(まいない)の類にも感じる。
「つまりこの領地の領主は騎馬の民と繋がりを持っている。けれどこの取引の前にそんな風な事実は無いです」
「……読めてきたわ。にしてもまさかブリューヌに足を伸ばしていたなんて」
十を語らずともこれだけで事足りた。ソフィーヤも理解したのだ。しかし、アレクサンドラの報告書には斧の戦姫の事に関しては語られていない。
「一応、そこは義理立てしたのね。まぁ本音は分からないけれど……」
付き合いをする前に去っていった人間なので、その人物像は不明だが、そう好意的に解釈することにした。
アルサス領領主ティグルヴルムド・ヴォルン伯爵の所に公国ブレストの戦姫オルガ・タムはいる
そして、そんなアルサス領主を今回の戦争で人質として奪ったのはライトメリッツの戦姫エレオノーラ・ヴィルターリアなのだ。
かかわり合いになりたくなくても関わってしまう場合がある。その事だけは念頭に入れておかなければならない。
根回しが必要だ。として二人の調整型の戦姫は、王宮における御意見番に様々な話をしていくことで合意した。
非戦、参戦どちらに傾いたとしても対処できるようにーーー。
◆ ◇ ◆ ◇
ここ数日、公宮と町並みのそれを眺めながら、どうしたら脱走できるかを考えてきた。
その間に起こったことは、一つはカーミエ以外の幼竜と出会えたこと。ルーニエという飛竜の幼子は、自分に突進をしてきた。しかし突進をして抱きつきこちらを見た後には興味を無くして去っていった。
『この間、朱い鱗の同族と出会ったから勘違いしたんだろ』
エレンの説明で、竜の視界とはどのように広がっているものなのか考えつつ、素肌を晒しているエレンから目を逸らすことを必要とされた。
今、自分の目の前に広がる光景はかなり幸せなものではあろうが、見ればあれこれと喧騒を巻き起こしかねない。
そんな自分の気遣い空しく、副官でありティグルに厳しいリムアリーシャの見事な肢体を存分に見てしまい―――。
『俺の事は気にしないでくれ』
聞きようによっては変態でしかない。というか変態である発言を聞かされたリムから打擲のそれを受けることとなった。
(まぁ興味が無いわけではなかったが……)
エレンの二割増しかと言わんばかりのその肢体の美しさは目の毒である。
第二には、やはり公宮において監視役を務めるルーリックの警戒そのものは落ちなかった点だ。
今のように四六時中一緒というわけではないのだが、それでもルーリックの監視は聡く抜け目がない。
そして、どんなに尊敬されても彼にはライトメリッツの騎士であるという意識が強い。
『もしもティグルヴルムド卿が戦姫様の家臣になれば私はその下に就いて第一の家臣にもなりたいものです』
自分には老いた従僕と、幼い女の客将しかいないので、嬉しい限りではあるが、それは困難な道だ。
―――やはり自分は故郷に帰らなければならない。
「となるととりあえず街に出て情報収集しなければならないな」
ガヌロンとテナルディエの動向も気になる。あれだけ覇権を奪い合っていた二大だ。王子殿下が死んだとすれば、ろくでもないことを行うために早速動くだろう。
その際にアルサスがどうなるかを考えた結果、やはり狙われる可能性は高かったのだから。
エレン及び公宮の兵士達に見つからないように慎重に公宮の外に出るルートを辿る。高い屋根を伝い、その上で安全に降りられるルートを探る。
公宮から出るのは大丈夫だ。しかしそこから先のルート、つまりライトメリッツの城門となると、飛び越えることは難しい。
(エレンのあの風を使った跳躍―――竜具によるものなんだろうけれども、それと同じことが出来ればな)
そうして街に至ろうとした瞬間に、一人の娘の姿を見る。市井の町娘な衣服を着こんだ―――銀髪の少女がこそこそと、自分も知らない所から出ようとしていた。
公宮の外に出ようとするのに、まさかその人物が真正面からではなく隠し通路を通って出るとは思っていなかったから、気になり声を掛けることにした。
「何をやっているんだ?」
「ど、どうしてここに……!?……まさかお前、だっそ―――」
「いや町娘姿の暗殺者か『草』かと思ってな。一応世話になってる身だから警戒したんだよ」
話の転換というにはあまりにも不自然だったらしく、怪訝な目をしてくるエレン。
しかし彼女としても色々と準備してきたと見えるだけにやむを得ず同行しろと言ってくる。
「何でこそこそ出ていくんだ?」
「色々と訳はある。言うなれば―――身分を隠して、市井の噂を集めてどういったことなのかを知る」
「やっぱり草と変わらない」
「動乱の芽は早めに潰さなければならないからな」
だが少なくとも何回か出て行った限りでは城下町の様子は悪いものとは言い難かった。寧ろ活気があふれて商売盛んないい街に思えていたのだが……。
つまりは建前だ。ただ単に遊びたいだけなのだろう。
そうしてエレンの導きに応じてライトメリッツの公宮。今までは城門までの距離を測るそれだったのだが、遂に城下の殆どを見て回るということになる。
落ち着いてみると様々に珍しいもの、食べ物がありティグルだけでなくエレンも目移りしているようだ。
適当に買い食いをしていると、ふと一人の少女のことを思い出す。王都でのこと。自分は王宮の私生児だと思っている一人の女の子のことを思い出す。
王子殿下が死んだとすればあの子はファーロンの直系だ。彼女がその身分さえ明らかであったならば、自分は少しだけアルサスに関して気を病まずに済み、他力本願ではあるが、彼女の助力で自分は助かったかもしれない。
けれども不確定な事実ばかりであり、今はどうしようもなかった。
「なぁ、戦姫になる前は何をしていたんだ?」
「? お前、誰から聞いた?」
腸詰めはさみのパンを食い終わったエレンに質問に質問で返される。そうして失言に気付く。自分はオルガから戦姫の選定条件や、様々なことを聞かされていたのでエレンもこのライトメリッツ由来の人間ではないということには気づいていた。
その正体も真正の令嬢ではないということに関しても―――。
「アレクサンドラさんから聞いた。彼女も前は諸国を放浪する旅人だったって聞いたから」
何とか繕って、そんな事を話すと一応、彼女は納得したようだ。
「ふむ、まぁいいだろう。私は傭兵だった―――とりあえずジスタート国内全てで転戦する傭兵だった。私の親は当時の傭兵団の団長だった。団長の言葉だけならば私はジスタート人かどうかすら分からない―――赤子の時に拾われたからな」
失言に対して彼女は、そんな風に自分の来歴を明かしてきた。「白銀の疾風(シルヴヴァイン)」という傭兵団で生きるしかなかった彼女の―――壮絶な人生だった。
語り終えると同時に空に向けて己の眼を向けた。
「だからかな。サーシャがどうこうという以前に、あの男が気に入らないのは―――、あいつは帰るべき土地がありながらも自由騎士などと名乗って、様々な武功を立てている。おまけに本当はヤーファの官職に復帰しようと思えばいくらでも出来るんだ―――。正直、羨ましかった」
そうしてエレンは雑貨商の品物の中にある美しくも売れ行き良いオニガシマ陶を遠くを見る目で見ていた。
「同じ剣士、戦士でありながら―――ここまで、差が出るものなのか? けれど実際会って気付けた。リュドミラ…ああ、私と同輩のじゃがいものような戦姫のことだが、そいつが惹かれるのも分かるほどだった」
彼もまた誇りと意地の為に戦っているのだと―――。それがエレンと比べるとリョウ・サカガミは大きいのだ。国や領地ではなく―――世界全体の為に動く。例えそれが大勢に影響を及ぼす戦いでなくとも全力を以て戦うことが多くの人を動かす。
そんな英雄なのだと、だからこそリョウ・サカガミには多くの武功と成功が付いて回る。
「そんな風な人間にも通じるお前にも、そういう道を歩んでほしいんだ」
「俺に……自由騎士のような?」
「そうだ。お前は自分の弓がブリューヌで通用しないと評価されないと分かっていながら、認めてもらえる相手を探さなかった。いや、ブリューヌで努力することもまた道ではあるが、それでも―――お前が身に覚えた武、その力を誇りとして何かを成してほしい」
エレンの言葉が染み渡る。
アルサスを守る。それは今でも胸にある。
けれども自分の誇りを大事にして尊大にならず、されど多くのものが「自分はティグルヴルムドの領民だ」と誇られるような領主であることも大事だったのではないかと思っている。
「リョウ・サカガミは大きなものに拘っていたが……俺は小さなものに拘り過ぎていたのかもしれないな……」
「そんな大層なものがあるものか、あの男はただ単に女ったらしなだけだ」
「お前、さっきと言ってることが真逆だぞ」
「改めて考えるとやっぱり違うと思えた。あいつはただ単に虎視眈々とジスタート及び西方全体を侵略して統一王になろうという野望を隠し持っている!! 今の奴は羊の皮を被った狼だ!! いや犬のふりをした狼だ!!」
その際に出来上がるだろう後宮(ハーレム)にサーシャが入れられるという考えを披露して、怒り心頭なエレン。どうやらこちらが一人考え事に浸っている間に、考えの変遷があったようだ。
もしくは……こちらが脱走の考えを持っていたことを思い出して、話をはぐらかしたか。
「ティグル、あの射的屋、あれで品物全て取ってくれ!」
そうして話をはぐらされた思いでいながらも、次なる露店に赴き、弓の腕前を見せてくれと言われて仕方なくそれに付き合うことにする。
今だけはこの楽しさに浸るのも悪くないと思えたから―――。
† † †
窓の外には活気が満ち溢れている。だがその活気は正しいものとは今は思えない。父が戦費調達の為に若い娘を狩り出して娼婦、奴隷にするなどという計画が出た時に、それを慌てて理屈で以て止めたが……恐らく、自分はフェリックスの後継者にふさわしくないと思われただろう。
「若様、どうかなさいましたか?」
「ちょっとな……ディナントでの戦が終わってまた戦の為に、戦費を調達する……こんなことをしていて人心が治まるのか? どう考えても俺も父も縛り首になる。領内の騎士達にだって守るべき領民がいるのに……」
ディナントでの戦いは大敗だった。ザイアンとて正面からの敵と切り結びつつ、軍団を展開出来れば、固まっている二万五千を広くすること出来れば、五千の兵などものの数ではないと思い、戦っていた。
しかし、その命令は発せられず闇に光るかがり火を頼りに戦いつつも、望んでいた命令は無く変わりに聞こえてきたのは王子の死という声だけ―――。
自分の監督役を務めてくれたスティード卿の進言なければ自分は死んでいたかもしれない。
「ですが、大旦那様は既に戦うことを決意なさっております。ガヌロン公と戦うことでどちらが王権を握るかを」
「滅多なことを言うな。ファーロン国王とて存命なのだよ……」
無表情でともすれば不遜な態度で言う侍女に、やはり全ての人間がそういうものだと理解している。
戦争が終わってまだそれほど日数が立っていないというのにすぐに次の欲を満たそうとする。
この平原の王国はいつから「獣の王国」になったのだ! という怒りを覚えると―――胸が苦しくなる。
まるで心臓を掴まれているかのように早鐘を打ち、全身に痛みが発した。
「!? 若様!」
崩れ落ちた自分を心配したサラに大丈夫だと告げて、立ち上がる。
最近こんなことばかりだ。病気の一種だろうが、心配をさせまいとして、今は平静を保っておく、ドレカヴァクに言われて薬草を採りに行った後から、こんなことになっているので何かしらの毒草を口に含んだのかもしれない。
後でドレカヴァクに薬を――――――。
「ザイアン様、お父上がお呼びです」
「陰陽師殿……!」
そうして考えていた矢先に、その当人から父の下に行くようにと伝えられる。自分の私室に音も無く入ってきたドレカヴァク、それに怪訝さを覚える間もなく、父フェリックスの下に行くと驚くべきことを伝えられた。
巨大な竜の彫像、頭のみの下に玉座のごとく拵えた椅子に座る父。その姿と示す態度を鑑みるに、この男は元々そういう野望を持っていたのだと察せられる。
まるで地下牢にでもいるかのような灯りの下で命令されれば気の弱いものであれば誰しも応じてしまいそうな雰囲気すらある。
そういう部屋の主にして、この領地の主。自分の父親に対して口を開く。
「お言葉ですが父上……まだディナントからそれほど日は経っていません。兵士に騎士達と休息を必要としているものも」
こちらの言葉を遮る形で目の前の覇王は言ってくる。
「その戦果及び何も得るものが無かったディナントの補填として―――お前にはアルサスを奪い、焼き払ってもらう。兵士、騎士達には思う存分略奪させよ。よいなザイアン」
遠方まで赴き略奪する。そこに至るまでの燃料及び兵站を考えるに、他の思惑があると思えた。
風の噂でヴォルンが捕虜となったことは知っている。
いっそ死んでしまえば後腐れはなかったかもしれないが、現実に領主が存命だが不在という微妙な空白地帯が生まれてしまっている。
そこは先日までの戦相手ジスタートとの国境に存在しているのだ。
「取るに足らぬ領地とはいえ、放っておけばガヌロンが奪うやもしれぬ。かといってジスタートが来たらば面倒だ」
「……」
ザイアンは黙って聞いていながらも父の思惑とはそこにあるのだと察せられた。しかし、領主不在の地を奪うというのは信仰にはあまりよろしくはないのではないかとも思う。
「お言葉ですが、そのような事をすれば神官達のネメクタムへの畏敬は無くなります。トリグラフの作法にも反しますし、戦の神を侮辱すれば――――」
「問題は無い。いつも以上に寄進をして、坊主どもは黙らせておけばよい。ただし神殿に対しての攻撃は禁ずる」
その辺りを気にする辺りはまだまだフェリックスも胆が足りない。と後ろで聞いていたドレカヴァクは思っていたが、とりあえず黙っておいた。
しかし黙っていないのはザイアンであった。
「父上、ここはご再考を、例えブリューヌに覇を示すためといえど、力による現状変更のみを与えればいずれにせよ人心纏まらず、例え権力の頂点に上り詰めたとしても、その地位は盤石ならず、己の命を危ぶむ危険にたえず晒されます! なにとぞご再考を!!」
「ならぬ!!!」
弱腰ではなくザイアンは、自分が村で一度殺されそうになったことを踏まえて話した。しかしそれでも彼らを助けねばならないとしてこれまで――――。
「ザイアン、貴様がそう考えるのは理解しよう……だが、貴様とてその力による保護あってこそ生きているのだ!! お前が勝手に離散した村の若者を近衛騎士として雇うも、見舞金支度金を渡すも!! それは全て、私が目こぼしをしているから出来ていることにすぎん!!! 貴様に何が出来ているのだ! 答えろザイアン!! 貴様が意見を唱えたければ己で何かを成してから言え!!」
一切の反論を許さぬ大声、しかし軟弱なバカ息子の道楽と言われて少しばかりすっきりした想いすらある。ザイアンとて許せぬこともあるのだ。
「ならば、あなたが私の大切な者を凶手に仕立てているのはどうなのだ!? サラは私の侍女だ! あなたの野望の為の道具ではない!! 例え金の出所があなたにあれども、私が選んだ侍女だ。それを暗殺者にして血に塗れた手にして息子の世話を焼かせる。こちらに渡してあなたは何も感じないのか!?」
もはや理解している。この男が皇太子を害したということも、そしてその主犯が誰であるかも。
意見のすり合わせなどあり得ぬほどに、もはやザイアンとフェリックスは違えた。しかしながら貴族の責務として、ザイアンはそれでも最終的には命令を受け取った。
「ですが、もしもこれを成功させたならば―――父上、あなたには退位していただきたい」
「お前が……このネメクタムを治めるというのか」
「たかが寸土一つの功績でと仰いたいのでしょうが、私にも意地と誇りがある。王権に刃向う片棒を担がされるのだから、それ相応の何かをいただく。そういうことです」
先程とは違い嘲笑うでもなく、憤怒するでもなく淡々と問う父上。それに捨て台詞のように吐きながら部屋を出て言われたことを実行する。
内心、フェリックスは―――それを喜んでいた。自分の息子の成長を、もしかしたらば来るかもしれぬ新たな時代を―――。
しかしこれに面白くないものがいた。後ろに控えていた老人。ドレカヴァクである。
もしもフェリックスが退位したとしても、戦争は起こる。しかし……だ。こちらの思惑としては不味い。
狂い落ちるほどに全ての人間が暗黒の時代を感じさせるための役者として、フェリックスには絶対に先頭に立ってもらわなければならない。
そして、桃の「化神」を使いーーー己が野望を果たす。人の世を覆す。それだけだ。
(殺すしかなかろうな……)
アルサスを焼き払おうがどうだろうが、ザイアンには死んで貰う。
しかし只で死んで貰うわけではない。漸く回りきった「障気」がザイアンを魔体へと変貌させるだろう。
そしてザイアン・テナルディエという人間を魔に落とす。
その為には―――、
「閣下、ザイアン様は些か気が弱くなっております。ここは一つ竜を与えてはいかがでは?」
「貴重な竜をアルサスごとき寸土攻略に使うというのか」
この男も所詮は器ではない。自分の息子が少しばかり成長したことに喜び、侮るドレカヴァクに気分を悪くする。
「ご懸念通り、ジスタートの介入あればどうなるか分かりませぬ。そして何より……閣下の武威を示すためにも必要かと」
「…………ならば地竜三、飛竜一、火竜一を与えよ」
「大盤振る舞いですな」
「戦姫の介入を考えたのだ。何より息子の成長を喜ばぬ親がいようか……」
だから貴様は甘いのだよフェリックス。せっかく出来上がった「蟲毒」がこの調子では戦争に勝つことは出来まいとして、内心で嘲りつつも馬鹿息子の為にーーー竜を与えることにした。
それこそが最後の毒であり最大の魔体の完成の鍵だとも知らずに―――。
† † †
もはや待ったなしの状況が出来上がりつつあった。
身代金は用意出来ずに、ティグルが虜囚のままに好きにされてしまうという現状。そしてこの領主不在という状況を狙ってか、二大貴族がここを狙ってきているということだ。
行軍して己が威を示さんとしてやってきているそれを前にしてどの貴族も恐れおののいているそうだ。
「……マスハス様……わしらはどうしたらば……」
「まさか領主不在の地を代理として心穏やかに治める……などという心は無いじゃろう」
だとすれば軍団を率いてやってくるわけがない。完全武装して全ての補給物資も自分たち持ちである以上……。
「これは完全な侵略行為じゃ……とはいえ、どうすれば……」
王宮は完全な機能不全状態だ。ガヌロンが王の名代というわけではないが、塞ぎこんだファーロンに代り、幾つかの案件を仕切ろうとしているという話もある。
既知である猫顔の宰相を思い出して、マスハスは歯ぎしりしつつも、この状況。即ちアルサスの民を落ち着かせて適切な判断と戦うための大義として―――領主の帰還。
ティグルがここにいなければならないのだ。
思案するもそれしかないと思う。不安そうな顔をしているティッタとバートラン、そんな中、一人だけ決意をしていた少女がこの場にいた。
この館の主人が召し抱えた客将。しかし来歴不明な幼い少女のそれは―――自分の考えを代弁した。
「マスハス卿、わたしがティグルを連れてくる。この事態は……わたしが招いたようなものだから……」
「いやオルガ嬢ちゃんがいても変わらな―――」
「バートランさん。ティグルを連れて行ったのは戦姫って言っていた。だから……これはわたしの責任なんだ。戦姫に対抗出来るのは―――戦姫のみなんだ」
バートランの言葉を否定して、そして己の戦斧を見せながらオルガは自分の来歴を話した。
その言葉はまるで懺悔をするようでありながら、自分がしてしまった悪事を話す子供のようであった。
全てを話し終えて、誰かからの罵声を覚悟していた。
一番には自分によくしてくれた侍女長ともいえるティッタであったが、それは無く―――彼女から頭を撫でられた。
「ありがとうオルガちゃん。私……本当はね。知っていたんだ……オルガちゃんがジスタートのお姫様だってこと」
「え」
見上げると、撫でてきた姉貴分のティッタの顔は優しく微笑んでいた。そしてティッタも語ってきた。時折、自分とティグルが内緒の話をしていることを知り、その内容を隠れて聞いていたことを……。
「最初は本当に…オルガちゃんは間諜の類かと思って、警戒していたの。けれども……出征の数日前にティグル様を本気で心配している声と言葉を聞いて、ううん。その前からそんな心配は無いってわかっていた」
「だったら……ティッタさんも…わたしに味方してティグルを守るように……」
言ってくれれば、自分ひとりでは駄目でも、彼女の言葉もあれば、ティグルは自分を連れて行ったかもしれない。
「それでも……ティグル様の言う通り私もオルガちゃんに無用な責を負わせたくなかった。私にとっても、もう『妹』なんだよオルガちゃんは、私たちのために真剣にやった結果として、誰かに怒られたり、怒鳴られたりなんて見たくないよ」
涙がふいに溢れる。こんなに良くしてくれていた人を自分は裏切っていたのだ。
自分達の身と主が危ない状況だというのに、自分に気遣いしてくれたアルサスの人々。そして自分の『姉』の想いがとてつもなく自分を熱くさせる。
「それでも……こればかりはわたしが行く……戦姫エレオノーラ・ヴィルターリアを破り、ティグルをアルサスに帰す。例えどんなに困難であってもわたしが全身全霊を以て、ティグルを―――「家」に連れ戻す!」
あふれ出た涙を乱暴に拭いながら、オルガは決意する。今度こそ、誓いと義務を果たす時だと思った。それこそが自分がここにいた真の目的なのだから
「決まったようじゃの……バートラン、お主は万が一に備えて避難を、奴らとて山狩りまでして非道を行うまい。その上で余裕あれば戦闘準備を―――儂も何とかガヌロンとテナルディエをぶつけるように仕組んでみようと思う」
現在、やってきている二大勢力の内、ガヌロンの遠征軍はマスハスのオードを通る形で進軍しつつある。そこで歓待して、うまいこと乗せることでテナルディエにぶつけること出来れば労せずして領土保全を狙える。
そして仮にティグルが帰ってこれなくてもマスハスは無き友、ウルスの愛したこの地を両名の好きなようにはさせたくなかった。
「戦姫オルガ・タム―――どうか私の『息子』をよろしくお願いいたします」
一通りの指示を終えてから、マスハスは向き直り頼むべき相手に頼む。
「頭を上げてくださいマスハス卿。わたしにとってもティグルヴルムド卿は大切な人、かならず―――ここに帰します」
決意の目でこの屋敷からも見える山脈を見る。
その向こうにいるだろう赤髪の青年。それを連れ戻す―――あの時は無茶な密入国でここに来た。
そして今回も同じく、しかし出し惜しみする気はない。
今、義理立てするべきはライトメリッツではなく、アルサスなのだから―――。
―――そうして羅轟の月姫は再び旅立った。
無くしたもの、失われるべきではないもの全てを取り戻すために―――。
己を導いてくれた光を取り戻すために、戦姫は戦姫を倒すことを決めたのだった。
そうして、主不在、将星ありしもの達無くなりし、その領土に一人の戦士が近づきつつあった。
朱い鱗持つ幼竜を供にして、東方の剣を携えし―――鬼の侍が。
運命と邂逅すべく――――――。アルサスへと足を進めていたのだった。
あとがき
機巧少女が延期だと……遂に始まるマグナス戦だと思っていたのに、ちょっと残念。そしてミラが表紙の魔弾11のあらすじ見る限りでは、今度の敵はザクスタン。
きっとあれだ。戦姫(ヴァナディース)に対抗して戦乙女(ヴァルキリー)とか出てくるに違いない。
「七人」の戦姫に対応する形で「三人」のヴァルキリーとかありえそう。
しかしこれまでザクスタン側との関わりは殆ど無かったから、詳細判明がしそうで嬉しい。
つーかヴァルキリーと言えば万太先生の『ヴァルキリーワークス』はどうしたのだろうか?新刊希望!! フェル子さんカンバッーーク!!!
では感想返信を
>>>孤高のレミングさん
久しぶりの感想ありがとうございます。
東西陣営の力は増してきますが、出てくるだろう桃生の力ならばいくらでも「魔」は生み出せるんですよね。どこのセフィロスだと言わんばかりに様々な魔を送り込んでくるので正直、現在の予定では苦戦ばかりになります。そして遂に出てきたサクヤ女王、彼女はここぞというタイミングでいいところ奪っていきます。だからヴァレンティナはある意味「勝てるのでしょうか…」などと彼女らしからぬ弱気を見せたりします。けれどヴァレンティナは本当に本編とは真逆なキャラですから苦労させるのは私も辛いです。(苦)
幼竜達は放浪人さんも書いている通り、本当にこの作品のマスコットキャラです。ティッタがいれば皆して擦り寄り、ソフィーに血の涙を流させます。(笑)
最後に、サーシャとの一夜の描写を希望ですか……官能小説の第一人者『団鬼六』先生の御霊の力を借りるしかなさそうだ。(爆)んなイタコみたいな真似出来ないとしつつも、まぁ一度は私も書いてみたいジャンルでもありますし、期待せずに待っていてください。
追伸―――。理想郷に魔弾の同志がいなくて辛い。孤高のレミングさん、あなたの書く三次、もしくは二次創作の投稿はまだですかな? というか俺が見つけられていないだけでしょうか?(真剣な目)
>>>almanosさん
いつもながら長い感想ありがとうございます。本編のファーロンはやることなすこと裏目に出た運の悪い国王ですから、ちったぁティグルにも利益あることやらせたいと私は思いましたよ。言うなれば人造人間編のピッコロと融合する神様みたいなもの(爆)
『今のブリューヌに必要なのは力なき王ではない…民を想う強者なのだ…』
それをミスター・ポポならぬボードワンは聞きながら、王の決意を守り、忠誠を尽くします。
そして、ティグルがフライングでサーシャと会ったりしていますが、実際、本編で彼女が生きていればティグルに好意を示していたでしょうから、だが今作においてはリョウの方に針が向きっぱなしです。だから弟みたいな感覚でしょうね。
リーザとミラは変な所で意気投合しました。新刊が出る前だというのに、本当に勝手なことまくりで原作者に申し訳ない。(苦笑)ただ曹操を倒すために起こった「蜀呉」の同盟程度なので、
「私とリーザ、ソフィー、ティナとで『戦姫大きい同盟』を組ませてもらう!!」
「ならば私とレギン殿下、オルガ、ティッタを含めて『将来有望同盟』を組ませてもらうわ!!」
(僕だけあぶれちゃったな…まぁこんな同盟あっさり崩壊しては変なものがまた出来上がるんだけど)
などと後には遠征軍陣内なんかで、こんなことばっかりやっていたりしますよ。(笑)
カオス・レギオンとはまた何とも……とりあえずこっちに関しては私リアル世代ですよ。ドラゴンマガジンで龍王杯の覇者の「EME」「まぶらほ」「伝勇伝」がリウイとスレイヤーズに混じって連載されていた頃に同じく読んでいましたからね。ただいまひとつ分かっていなかったので『モンスターコレクションの一シリーズ』などと思っていて当時の先輩に怒られてしまいました。
その軍勢を呼び出す(?)ことが出来る相手は今回の敵になっています。ヤガ―なんて目じゃないぐらいに……。
そして遂に待ち望んでいたオルガのターン。これ以上ティグルとフラグを立てるなーー!と遂にやってきます。次回に御期待いただければ幸いです。
さてさてこんなところで今回はまず切り上げようかと思っております。こんなあとがき最後まで読んでくれて感謝感謝です。お相手はトロイアレイでした。