機動戦士ガンダム00 統合戦争緒戦記
第41話 オキナワ級強襲揚陸艦
人類最大の軍隊と言われる地球連邦平和維持軍にはいくつもの組織から成り立っている
政府直轄の正規軍、かつての大混乱の折に各構成国が再軍備した名残である地方軍、最後に海兵隊。
3つ目の海兵隊は正規軍の切り込み役として各国から再編統合されるも、独立治安維持部隊アロウズの暴走と人類存亡を賭けたELS戦争においてさしたる活躍の場を得られず不運続きだった。
それが統合戦争の拡大で状況が大きく変わる。相次ぐ反乱に対応すべく、海兵隊はその存在意義を取り戻し脚光を浴びる事になったのだ。
「ベガ・ハッシュマン参謀中佐です!本日付でタダミチ・クリバヤシにて、作戦司令部の命令により前線視察に当たります!」
赴任先の新天地にて、新たな役職を得た彼は初めに凛々しく名乗りを上げた。
統合戦争が始まって12年目の西暦2326年、α任務部隊のオキナワ級強襲揚陸艦2番艦タダミチ・クリバヤシに足を踏み入れて。
・・・凛々しいのは士官として配下に不安を与えさせない断固たる態度を取るという義務からである。その心の内は決して穏やかなものではなかった。
第20独立試験部隊ソウルズの副官として上官のアーミア・リーと部下、更には上層部との間を取り持つ事3年。
やっと転属命令にベガは内心喜び、願いに願っていた最前線復帰を期待した。
それがよりにもよって後方勤務、しかも参謀は参謀でも末席参謀という望んでいない役職だったのだ。
取り下げを具申するベガに中央派遣の参謀は言う。
「貴官は最前線で多大な戦果を挙げ、指揮官としても有能なのだ。佐官ならば一度幕僚として指揮官の経験を生かすべきだ。何しろ軍備増強で士官不足なのだからな」
「あの金属の女を手綱に締めるだけに留まらず試験部隊の運営に尽したんだ。上層部としては士官として有望だぞ」
悔しいが上層部の意向は正しい。
新たな上官にして推薦人のα任務部隊指揮官カティ・マネキン中将は、
「貴官は上層部から高い評価を受けている。MSパイロットとして、指揮官として、士官としても。
不本意だろうが地球連邦軍士官として、より一層の向上に邁進してもらいたい。」
「職務を果たせば特務部隊指揮官や精鋭部隊の道が開かれるだろう」と最後に付け加えて参謀勤務を勧めてきた。それならば受け入れよう。
たった一人を除いて・・・・・・。
「これまであなたは小さな世界だけに満足してきた。状況に流される事にも。でもそれはもう許されなくなった。」
最大の推薦人で、元上官にして元部下でもあるアーミア・リー現中佐には最後まで納得できなかったのだ。
「あなたは実は多くの人達から必要とされている事実を見ていない。世界の現実を見てきているのに、踏み込んできているのにあくまでも目を背けている。
革新を前にして自分に何が出来るのか、あなたはこの目で見て考えるべきだわ。ベガなら出来るはず」
一軍人がどんなたわ言を抜かすのか。流石穏健派・・・もとい革新派をバックに繋がっているだけある。
こっちには出会ってきた数え切れない仲間達がいるのだ。最前線で戦う仲間達をよそに自分は安全な後方で椅子を暖めているなど、とても受け入れられる話ではない。
アーミアの意味深い言葉が頭から離れないまま、ベガは参謀としてタダミチ・クリバヤシのクルーや海兵隊と共に動く事になった。
α任務部隊が動き出したのはほぼ一週間後だった。
世界中で暴動や反乱、テロの火の手が上ったのだ。
始まりは西欧フランスにおいてイノベイター系市民を乗せた送迎バス隊を完全武装の暴徒達が襲撃するという事件が起きた。護衛部隊は尻尾を巻いて逃げ、見捨てられたイノベイター1000人は全員虐殺されたという。
敵前逃亡という重大な失態を犯したはずの憲兵隊は全員休職処分で済まされた事が、イノベイター系市民の怒りを爆発させ各居住区で暴動を起こす。
その中の一つ、パリ居住区が反乱を起こし「イノベイター絶対生存圏建設」をスローガンに掲げ、連邦政府に対して独立を宣言したのだった。
初めてとなる彼らの反乱が連邦内に点在するイノベイター居住区にも波及する危険を重く見た連邦政府は鎮圧を決定。
直接鎮圧には地方軍、そして連邦軍が合同で当たる傍ら、海兵隊は反連邦勢力の牽制を担う事になった。
オキナワ級強襲揚陸艦はカレドニア級大型空母に次いで巨大な軍艦である。
惑星間長期航海できるべく乗組員の居住施設と戦力維持に不可欠なトレーニングルームと訓練施設は空母と同じレベルに充実している。
そして海兵隊集合エリアは、たった今本部中隊が上陸態勢を崩さずにして航空部隊と上陸部隊第一波とやり取りを交わす、地味ながら重要な戦闘が繰り広げられていた。
ベガは視察の一環としてこのエリアで第3海兵遠征隊指揮官ガーランド・トムソン大佐と傍に立ち、最前線の状況把握と情報交換を交わしていた。
「間近での海兵隊の出撃は初めてではないかね、ハッシュマン少佐?」
「は。・・・現在の所各自が訓練通りの手順でトラブルもなく順調に動いております」
数あるモニターの一つは青い地球と暗い宇宙が広がり、周囲は大小のピケット艦が守りを固める。
4隻のレヌス主力戦艦の艦砲射撃が続く。GN-XVの収束ビーム以上の威力を誇る粒子ビーム主砲が中央アフリカに熱線を撃ち込む。
(連邦軍の主力戦艦・・・・・・。大和のように超弩級ではないが数を揃えやすく使い勝手が良いというが、その通りだな。)
海兵隊の航空可変MSユニオンが小隊を組んで大気圏に飛び込んでは敵地に突入し、中央アフリカの各地に爆撃を加えては補給に戻ってくる。
今頃旧人類軍と分離勢力は少なからぬ打撃を受けているだろう。
森林や岩山などにカムフラージュされた物資集積地も、トーチカに守られた地下工場も、地下基地もこちらに筒抜けにある。
それらが粒子ビームに焼き払われ、爆弾が軍事施設を吹き飛ばし貫通爆弾でトーチカを突き破っている最中だろう。
「この3年間、そちら海兵隊が送り込んできた降下部隊の戦果が見えてきておりますね。これで旧人類軍は当面攻勢に出られないでしょう」
「ふっ・・・。我々の戦果はこれだけではないさ」
海兵遠征隊長の顔に浮かんだ自嘲をベガは見逃さなかった。
「それにしても同胞はえらいふざけた真似をしてくれたものだな。よりにもよってイノベイターを怒らせるとは・・・」
「イノベイターと人類の軋轢はかねてより深刻な状態であり、それが爆発するのは時間の問題です。むしろ予測通りに起こるべき事が起きたというのが軍の見解ですよ、大佐」
彼が市民を見殺しにしたあの部隊の醜態を憤慨する気持ちはわかる。だが厭戦感情が周りに伝わっては士気に関わるのも事実。
「おかげで余計な仕事が・・・いや、定期爆撃が少々繰り上げされた、という訳だ」
「おっしゃる通りです」
ベガはトムソン大佐に客観的事実を述べる事で遠回しに宥めた。
「・・・連邦軍はイノベイターに対しても断固たる姿勢で貫いて、軍事力の差を見せつけなければ、旧人類軍は我々の無能に付け込むのは疑いありません。
でなければこの件で反イノベイター派が彼らの排除を勢い付かせ、分離勢力もこの混乱に生じて次々立ち上がる。そんな最悪の展開に進んで統一政権を瓦解させるとあっては、人類は前世紀に逆戻りです」
「主戦場はここではないし、ここの担当である我々はただの補佐なんだがな。攻撃範囲はこっちの方が広くて規模も大きいというのに」
トムソン大佐が苦笑いする。その横顔はベガと同じ30半ばの青年以上壮年未満ながら、既に歴戦の勇士らしい冷静さが見られる。
少し間を置いてから話をまた続けた。
「知っての通りだがハッシュマン中佐、我が艦と第3、4海兵遠征隊は特務部隊の敵中降下を直接支援を主任務にアフリカ戦線を潜り抜けてきた。
時には敵中降下しての後方撹乱に大規模威力偵察・・・・・・。希望的観測だが今回もこれからも彼らは任務を成功してみせてくれるはずだろう」
これまで解隊寸前だった海兵隊は軍制改革によって復活し正規軍の中で最も増強された軍組織である。
第3、4海兵遠征隊を例に挙げれば3年前の編成まもない頃、旧人類軍が各地の分離勢力を統合しアフリカタワーを奪おうと攻勢をかけたのに対し彼らは防衛を正規軍に任せ逆侵攻に打って出た。
防衛線より奥深く、特殊部隊であらかじめ特定した旧人類軍の補給拠点と補給路を敵中降下した海兵隊が次々と攻撃をかけて寸断。
後方をズタズタにされた旧人類軍を中心とする敵は攻勢を中止し撤退に切り替え、連邦軍の反撃によってあえなく敗走していったという。
こうして海兵隊の緊急展開能力と機動力の高さを世界中に知らしめたのだった。
「第3、第4遠征隊の経歴を鑑みても、現時点の装備も戦闘力も・・・。」
「問題点を無視すれば、もしくは正面戦闘に限れば、だろう?」
トムソン大佐はベガ中佐の含みある評価に顔をしかめず、落ち着いていながらもあくまで真剣な目で訊く。
「マネキン閣下は敵地での犯罪行為に対する対応を厳に求めておられます。これは閣下の赴任当初より何度も繰り返されておりますが、文書伝達対策が定まった以上徹底する必要があります」
「政府は遂にヴェーダの管制下に組み込むのに成功したのだな。これで高度の柔軟性と臨機応変な対処が難しくなったが時代の変化かもしれんな」
「高度の柔軟性と臨機応変な対処・・・ですか・・・。軍備増強が進んでいる以上、各自過大な負担を負う必要がなくなったというのですが」
ヴェーダに察知されぬよう編み出された文書伝達は反連邦活動を活発化させ、連邦軍も彼らの対処に緊急命令として用いられてきた、際立って自由裁量権が大きい情報伝達手段である。
これが強硬派とも呼ばれる保守派の盛り返しと軍備増強が始まってからは連邦軍の非常手段にマイナス面が浮き彫りになった。
連邦軍や保安局は反政府分子のみならずデモ隊にまで見境いのない弾圧を行いアロウズスキャンダルの怨念晴らしを働くなど、現場レベルとはいえ暴走が始まったのだ。
加えて軍隊特有の悪―――余りある敵意や虐待虐殺の正当化からトカゲの尻尾切りによる責任転嫁、情報隠蔽までも。
いかに罪のない無抵抗の人々が、しかも敵だけでなく自国の民ですら殺したとしても。
非を認めるより付随的損害など適当な理由で罪を軽く抑え身内を庇う事を選ぶ事などざらにあるものだ。
「第一戦闘攻撃飛行隊を確認!機動管制室が着艦を許可!あと120で着艦完了と予測されます!」
過去12年間の戦いを二人振り返る中、第一波のユニオンが艦に帰投してきた。
出撃時には4機だったのが3機に減っている。地上の対空砲火に遭ったのに間違いない。
「まあ、そうだな。・・・現に我が部隊でも地上で無差別虐殺や暴行など働く兵が出ている以上は。戦場では市民の巻き添えすら付随的損害で片付け正当化されるだろうが、この戦争が内乱である以上抑えねばならん」
「兵士達の心構えなどの問題ではなくこれは訓練内容の問題です。しかしその問題は軍隊の存在意義の根幹に関わるものなので、残念にして失礼ながら上層部への具申は無意味でございます。
マネキン閣下の厳命を現場に伝え、民間人の巻き添えの回避を徹底するよう働きかける。今はそれを尽力しかございません」
海兵隊伝統の厳しい訓練は、善良の若者を見敵必殺の戦闘機械にする。
さすがに指揮官レベルになるとその負の部分を目の当たりせざる得ないがそれだけである。
「わかっている。だが向こうの民間人が宇宙から何度も降りては帰ってくる海兵隊を喜んで迎える訳がない。利口に逃げてくれるかわからん。むしろゲリラとして我々を脅かしてくる可能性の方が高い」
「軍隊は補充と訓練と配備の繰り返しで常に能力を発揮できるよう努力するものです。まだ不十分なのですか?」
「訓練で市街地戦と民間人の対処を学んでいようとな。市民か敵か見分けるにも限度がある。ゲリラやテロリスト相手じゃな・・・」
「・・・・・・」
海兵隊指揮官の嘆きに黙って聞く。
「そもそも兵士にかける負担が大きすぎるんだ」
ガーランド・トムソン大佐は海兵隊の組織犯罪を容認していない。部下の犯罪防止に、民間人との融和にも努力してきた連邦の軍人だ。
ただ、彼はいくら努力しても覆らない現実の非情さに、無力感に苛まれているのだ。
(海兵隊は切り込み担当だ。敵軍を前にして正規軍よりまず攻めかけ、足がかりを築くのが主任務だ。なのに今の敵はゲリラやテロリストの方が多い。果たして今の連邦軍に海兵隊は本当に必要なのか・・・・・・?)
「この問題は参謀でしかない小官では到底関わるべきではないかと・・・」
(兵士の犯罪に関して参謀ごときの俺に一体何が出来るというのか・・・・・・?俺はMSパイロットで良くてもMS中隊長までで満足だっていうのに・・・・・・)
あれこれと、トムソン大佐と最前線に関して情報交換している内にベガの胸の内に妙な思い当たりが感じられた。
年下の癖に達観していて生意気なアーミアと違う毎日最前線と向き合ってきた男の意見が心に響いたのだ。
降下は艦砲射撃と爆撃が終わる2時間後に始まった。
強襲揚陸艦から2隻の揚陸艇がユニオン部隊及び増援の空母MS部隊の援護の下、敵地である中央アフリカのコンゴ盆地に降下し一度に200以上の歩兵と陸上MAなどを降ろしていく。
やがて降下ポイント周辺の安全が確保されると海兵隊第二波が降下する。彼らはチェンシーからなるMS部隊の他、工兵や輸送部隊など数々の支援部隊も加わり前進基地の設営に乗り出す。
そして第三波が。遠征隊の残りと中隊規模の特殊部隊が地上に降り立ち前進基地が完全に機能を果たした時点で降下作戦は終了となる。
作戦の要は敵地の破壊工作に打って出る特殊部隊の安全にして確実な敵中降下であり、海兵隊はその護衛と旧人類軍に対する牽制役でしかない。
彼ら海兵隊は今回のような敵中降下作戦を何度も実施し、特殊部隊を送り込んでは回収してきたという。
今作戦において、カティ・マネキン中将のα任務部隊は第3、4海兵遠征隊を中央アフリカに敵中降下を成功。
爆撃と艦砲射撃で旧人類軍と分離勢力を妨害したおかげで無傷で海兵隊を展開し、連邦軍は本格的な反イノベイター活動の牽制に入った。
その夜、トムソン大佐と共に地上に降りたベガは部隊本部のテントで今後の作戦行動について盛んに論じ合った。
「では、爆撃の2%が目標に不命中だったと?ガンダムのらしい粒子ビームに妨害されたという証言も」
「報告書がまとまっておらんがな。不命中と申したパイロットの多くが民兵と思わしき一団を反撃予防の為に、とかインフラ破壊による組織機能阻害と弁明していてな」
「例の問題である虐殺行為の可能性があると?」
報告書を手にベガが鋭く訊く。
爆撃に投入されたMSは100機。用いられた爆弾千発以上もの数の、ごく一握りでしかない。
されどもその一握りでも、一度に何百人もの人を殺せる爆弾が虐殺に用いられたとあっては、連邦軍の残虐性を世界中に見せつけ悪い結果に転がり込む事になる。
ますます忌々しいはずのアロウズ時代に自ら戻ってしまうのだ。
「まだ確証は持てん。だが投下対象が敵とはいえ連邦の内戦とあっては、しかも無抵抗の市民を多く巻き添えするなど・・・・・・。
更に憎しみを掻き立て報復に走って、内戦はより一層泥沼となる。だが兵士は目先の敵と憎しみと敵意に囚われ、考えが、認識が曇って事に及ぶ」
トムソンが表情を曇らせ溜め息を吐く。ここでベガは話を少し切り替えを図る。
「報告によれは爆撃時の照準も火器システムに異常はなく、対象物周囲の対空砲火も皆無であり命中確率は100%とあります。
それにも関わらず不命中で、投下直後に爆発。あらゆる対地攻撃も正体不明の粒子ビームに焼かれた・・・。これは恐らくガンダムの武力介入の可能性があります、大佐殿」
「ううむ・・・・・・」
(散々愚痴をぶつけた参謀に俺がなっちまったんだが、あいつらから見た俺は大佐みたいな見えたのか・・・?)
2年前より飛び交うようになったガンダムの目撃情報や噂。
連邦軍の不祥事がまた積み重ならずに済むのは良いがあの私設武装組織ソレスタルビーイングが動き出したとあっては素直に喜べない。
この降下作戦の後も部隊の誰かが悪を企て事を起こすだろう。その時彼らは動き出すはずだ。
たとえ、それが阻止されようとこの事実で連邦軍が組織を改めるほど潔くなれないと思う。
むしろ面子が傷ついたと逆恨みする。新たな敵に内心喜び将兵の不満を逸らしもする。
(アーミア・リー・・・・・・。お前は世界の激しい変革に人は付いていけないでいると言ったな・・・・・。
革新をこの目で見ろと、多くの人らに必要されると・・・・・・。それで俺は何を目指せって言うんだ?英雄になれっとでも?
俺は連邦軍ヒーローのMSパイロットになって最前線で恒久平和の為に戦いたくて入隊したんだ。この参謀中佐ごときが軍隊の中で出来る事がどの程度か、全く知れている!)
だが目の前の現実である、最前線で戦いの指揮と人と物のやりくりに苦労する者達を見ると、参謀ごときの自分に罪悪感と義憤が何故か疼いてしまう。
(それより・・・!もう一箇所内戦を鎮めれば別の所で2箇所3箇所反乱が起きる。それ以上の暴動やらテロが起きる泥沼の極みだ・・・。
人類が統一政体という物を打ち建てたという第一歩を守るべく、与えられた軍務をこなし連邦に尽くす。俺はそれを信じて戦っているんだ!
アーミア、俺にそれだけの力があるとそこまで信じているのか・・・?!俺はわからない・・・・・・!)
かつてガンダムと戦い多くの犠牲の上にやっと世界統一の礎を築いた無数の戦士達。
彼らに憧れて入隊し、苦労の末に配属間もなく最新鋭MSを与えられ、ELS戦後にはすぐ隊長にさせられ奮闘してきたあの若き日々。
程なくエースパイロットとして頭角を現し数々の紛争を潜り抜けた統合戦争前半。
今振り返ると何もかもが輝かしい過去だ。
ベガ・ハッシュマン中佐は泥沼の戦争の中、理想と現実に悩むのだった。