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No.36851の一覧
[0] 【チラシ裏から】機動戦士ガンダム00 統合戦争緒戦記[ハヌマーン](2015/09/14 05:22)
[1] 第1部 第1話 GN-XIII無人型[ハヌマーン](2013/03/06 22:37)
[2]      第2話 ドニエプル級防空巡洋艦[ハヌマーン](2013/03/06 22:38)
[3]      第3話 ガゼイン[ハヌマーン](2013/03/03 18:51)
[4]      第4話 フェラータGN-X[ハヌマーン](2013/03/06 22:09)
[6]      兵器設定1[ハヌマーン](2013/03/26 23:42)
[7]      第5話 旧型MS[ハヌマーン](2013/03/11 19:04)
[9]      第6話 ブレイヴ[ハヌマーン](2013/03/24 16:46)
[10]      第7話 GN-XIVフォルティス[ハヌマーン](2013/03/20 20:51)
[11]      第8話 ホワイトスネイクGN-X[ハヌマーン](2013/03/26 23:38)
[12]      兵器設定2[ハヌマーン](2013/03/26 23:42)
[13]      時代設定1[ハヌマーン](2013/03/27 19:04)
[14] 第1部キャラ設定[ハヌマーン](2013/03/27 19:03)
[15]      第9話 バイカル改級航宙巡洋艦[ハヌマーン](2013/05/28 21:24)
[16]      第10話 GN-XIVフルミナータ[ハヌマーン](2013/04/14 21:34)
[17]      第11話 ガデラーザ[ハヌマーン](2013/04/20 23:46)
[18]      兵器設定3[ハヌマーン](2013/04/22 19:01)
[19]      キャラ設定2(第1部終了時)、第1部あとがき[ハヌマーン](2013/04/21 00:33)
[20] 第2部 第12話 アシガル[ハヌマーン](2014/04/05 01:01)
[21]      第13話 ヘラクレス[ハヌマーン](2013/05/01 22:34)
[22]      第14話 チェンシー[ハヌマーン](2013/05/31 01:03)
[23]      第15話 ヘラクレス・ウォールズ[ハヌマーン](2013/06/06 22:22)
[24]      兵器設定1[ハヌマーン](2013/06/16 22:11)
[25]      第16話 00クアンタR1[ハヌマーン](2013/06/22 11:57)
[27]      第17話 レヌス級主力戦艦[ハヌマーン](2013/06/29 22:05)
[28]      第18話 GN-XV(前編)[ハヌマーン](2014/04/05 00:59)
[30]      第19話 GN-XV(後編)[ハヌマーン](2014/04/07 20:44)
[31]      第20話 ブレイヴII[ハヌマーン](2014/04/07 20:41)
[32]     兵器設定2[ハヌマーン](2013/09/17 22:24)
[34]      第21話 ユニオン[ハヌマーン](2014/04/07 20:42)
[35]      第22話 ネクスト[ハヌマーン](2014/04/07 20:42)
[36]      第23話 ジャーズゥ[ハヌマーン](2014/04/07 20:44)
[37]      第24話 ネオGN-X[ハヌマーン](2014/04/07 20:45)
[38]      兵器設定3[ハヌマーン](2014/02/27 20:13)
[39]      第25話 レギオン[ハヌマーン](2014/04/07 20:45)
[40]      第26話 チェンシー歩兵戦闘型[ハヌマーン](2014/04/07 20:45)
[41]      第27話 カレドニア級大型宇宙空母[ハヌマーン](2014/04/07 20:46)
[42]      第28話 サラトガ級駆逐艦[ハヌマーン](2014/04/07 20:46)
[43]      兵器設定4[ハヌマーン](2014/06/23 23:06)
[44]      第29話 ヘラクレス・インペラートル[ハヌマーン](2014/04/07 20:47)
[45]      第30話 ガデラーザII[ハヌマーン](2014/04/07 20:46)
[46]      第31話 ガンダムハルートR1ファルコン[ハヌマーン](2014/04/07 20:47)
[47]      第32話 ガルゼス[ハヌマーン](2014/04/07 20:47)
[49]      兵器設定5[ハヌマーン](2014/02/27 20:14)
[51]      第33話 ガンダムサバーニャR1[ハヌマーン](2014/04/07 20:48)
[52]      第34話 ペルセウス[ハヌマーン](2014/04/07 20:48)
[53]      第35話 ガンダムエクシアR4[ハヌマーン](2014/04/07 20:48)
[54]      第36話 レギオン無人型[ハヌマーン](2014/06/23 23:06)
[55]      兵器設定6[ハヌマーン](2014/07/26 13:29)
[56]      キャラ設定[ハヌマーン](2014/07/18 04:56)
[57]      時代設定1[ハヌマーン](2014/07/18 05:05)
[58]      第37話 ヘラクレス・プレデター[ハヌマーン](2014/10/05 22:25)
[59]      第38話 アシガル治安型[ハヌマーン](2014/11/17 20:12)
[60]      第39話 ガンダムデュナメスR2[ハヌマーン](2015/01/10 18:50)
[61]      第40話 ガウティス[ハヌマーン](2015/01/22 18:28)
[62]      兵器設定7[ハヌマーン](2015/01/22 18:57)
[63]      第41話 オキナワ級強襲揚陸艦[ハヌマーン](2015/04/08 21:50)
[64]      第42話 フォーロン[ハヌマーン](2015/05/20 23:10)
[65]      第43話 ガッディアル[ハヌマーン](2015/07/05 21:12)
[66]      第44話 ヘラクレス・ディアルキア3番機[ハヌマーン](2015/08/11 20:50)
[67]     兵器設定8[ハヌマーン](2015/08/10 11:27)
[68] 第3部 世界設定[ハヌマーン](2015/08/24 21:09)
[69]      第45話 GN-XV後期型[ハヌマーン](2015/09/14 05:22)
[70]      第46話 GN-XVI(前編)[ハヌマーン](2015/09/10 21:33)
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[36851]      第17話 レヌス級主力戦艦
Name: ハヌマーン◆00eed1b7 ID:ab09edcd 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/06/29 22:05
機動戦士ガンダム00 統合戦争緒戦記

第2部 第17話 レヌス級主力戦艦

地球連邦艦隊の存在意義は治安維持にある。
より詳細には太陽系に広がる人類の活動圏の治安維持、活動拠点の防衛と説明できる。

遡れば連邦の前身なる三大国がそれぞれ宇宙軍を設立したのが22世紀後半、
軌道エレベーターとスペースコロニーの防衛、宇宙輸送を主任務としていたのが始まりだった。
23世紀初頭の国家統合とGN技術の提供によって戦力増強を遂げ、
多数の巡洋艦など強力な新型艦船が建造され本格的な艦隊が初めて結成。
続いてイノベイドの技術から、トランザムによる超長距離高速移動を可能にし、太陽系の半分まで軍事行動を可能にした。
一方、軍事的脅威はテロリストや反連邦勢力、ソレスタルビーイングと、どれも小規模で強力か貧弱かの両極端な敵であった。
テロリストは立ち向かえば正面からでは粉砕され、反連邦を掲げたカタロンは政権交代後に解散、
ソレスタルビーイングは組織縮小と資金難で活動を控えている。
2314年のELS戦では圧倒的物量差から壊滅を喫したが、これは想定外の事態で最初から勝ち目の無い戦いであり、
人類側がELSを理解できていなかったのが原因であり、装備の劣悪さや機能不全による物ではなかった。

2317年より勃発した統合戦争という内乱は、連邦艦隊の方向性に変化をもたらした。
戦いは大規模ではないが、連邦より離反した反乱軍の中には艦隊を持ち、彼らと武力衝突するようになったからだ。
ほぼ同じ装備を持つ勢力の争いは、互いに相手を出し抜かんと兵器開発を促すようになる。
そして移り行く政局が、世界情勢が、艦隊編成と装備に一新をもたらしたのだった。



「こう話している間にも、連邦内ではテロと襲撃に晒されているのです!
 構成国はいつ分離するかわかりませんし、分離勢力も反イノベイター勢力も少なくありません!
 そうした不穏分子と敵性分子を黙らせる為にも、この戦艦A案の有用性を唱えます!」

会議の序盤から、こうも熱く叫ぶ男性高級将校は強硬派に属する技術士官である。
忌むべきELS戦直後の連邦軍再建会議から耐え忍ぶこと八年。
内乱にもなお継続される軍縮に警鐘を鳴らし続け、兵器開発の許可を求めるも当時の政権は拒み続けてきた。
何年も続く内乱に既存戦力での状況対応に限界を迎え、情勢不安から市民は軍備増強を求め、強硬派が遂に政権の座に着くに至った。
待ちに待った艦隊再編の会議で艦隊増強を成し遂げ、強硬派の地盤を磐石にする、これとない千載一遇の機会だ。
はやる気持ちを抑えながら両手で端末を操り、全ての参加者のモニターに戦艦のデータを転送する。

「これが戦艦A案の詳細です!
 艦隊決戦と拠点攻撃、そして地球から木星に至る宇宙の活動圏全域の作戦運用を想定!
 全兵装を粒子系に統一させる事で、脆弱なレーザー砲を超えた大火力を可能にします!」

外観はナイル級大型戦艦と同じ、長い艦首と宇宙空間を考慮した三箇所のサブエンジン。
ただし主砲は固定式ではなく旋回可能な砲塔となっており、より大口径の固定粒子ビーム砲が艦首に装備されている。
副砲や対空機銃も全体にハリネズミのように設置。より戦艦というべき設計に仕上がっていた。
ただしその代償に搭載MSは十機に減り、前級よりMS運用能力が落ちてしまっている。

「全兵装のシミュレートの結果ですが、どれも良好な結果にあり!
 たったこの一隻でコロニー群の破壊は可能!
 よって治安維持というドクトリンの観点から見ても、抑止力として機能を果たせます!
 以上、小官ルードウィヒ・ハインツ大佐の挙げるA案です!」

多少の欠点は押し隠して長所を全面に押し出し、治安維持の効果を強調された。
参加している誰もが情報を読み上げ、画像を見回し、しばしの思案する。
一人から始まり二人、六人・・・と意見を述べ始め、

「いくらなんでも過剰なのでは・・・」
「全艦隊に配備するとなると、とんでもない建造費が掛かりますぞ」
「これで本当に・・・果たして、宇宙の抑止力になりましょうか・・・?」
「むしろ連邦の強権と見てますます反発するのではないでしょうか!?」

やがてそれは室内に響き渡るざわめきと化した。
派閥の主義に基づく反発や費用対効果を見越しての論理的な反論、漠然とした躊躇の声。
主に前政権を牛耳っていた穏健派議員達だが、一部の強硬派議員と軍人も混じっている。
だが提案者は数々の反発に冷めたとも見下したともいえる視線で一瞥した。

(ふん。臆病者の穏健派共め・・・。こっちがどれほど内乱の対応に追われてきたかわかるまい。
ここで少しでも情勢を抑えねば困るのは貴様らだろうが!)
「今揺らいでいる連邦軍の優位を取り戻す!
 でなければ、今はなんとか統合に向かった統一国家は崩壊し、
 無数の国家の利害がぶつかり合う戦乱の時代を迎えるでしょう!
 戦艦A案は連邦軍の威信を取り戻す、布石の一つにあります!」

ルートヴィヒの言葉が参加者の反発心に逆撫でさせようとという矢先、

「静粛に!軍人及び議員諸君、静粛に!」

会議の開幕宣言以外押し黙ってい大統領が、ここで再び声を上げた。
私語は収まる気配を見せないが、無闇に反論を上げずにいる冷静な者は彼に注目した。

「案は今のだけではなく、いくつか出ている。意見ならば全ての案を挙げてからいくらでも言えよう」

決して声は大きくなく怒鳴っている訳ではない。
だがその男の存在感と論理的で説得力のある言葉に、それまで参黙らなかった加者達が静まった。
彼ドナルド・マシューズ大統領が強硬派でありながらも、派閥間の意見調整にも長けた政治家だからだ。
でなければ両派の論争を早期に鎮静できるはずはない。
ドナルド大統領の傍らに立つ議事進行役の幹部が口をマイクに近づけ、

「次、B案の説明をお願い頂きたい」
「は」

参加者の中から次期戦闘艦設計者に起立を促した。
ルードウィヒと代わって演壇に別の高級将校が立つ。
終始ヒートアップだった前者と対照的に、理知的で厳格な雰囲気を漂わせる五十代の男が、周囲を見据える。

「宇宙技術本部所属コンスタンス・アナクトリオン大佐です。
 本官が設計したB案は艦隊決戦ではなく対艦戦向けの、いわば主力戦艦に当たります」

背後の大型モニターにその設計図を表示させ、続けてそのデータを参加者に送る。
船体の軸に沿って主砲が並び、周囲にミサイル発射機や副砲、機銃がくまなく配置されている。
外観はナイル級の左右に広がった区間を縮め寸胴にし、サイズはバイカル級航宙巡洋艦より少し大きい程度だった。
A案に比べて火力が劣るが小柄でコンパクトな分、用途は明確で生産性は高まっているのが長所だった。

「戦艦としての性能を突き詰めず量産性を優先した設計がまず特徴で、
 大気圏内から宇宙、果ては木星に至るまでの作戦行動が可能です。
 火力はスペースコロニーの破壊が可能な投射量を持ち、巡洋艦を上回るので用途の混合は避けられます。
 こちらもA案と同じくMS運用は限定しており、巡洋艦などとの混成運用を前提に用いられます」
「戦艦にしては性能は控えめではなかろうか?」
「艦隊決戦などは起きる可能性が低いと判断した上で、敵艦を寄せ付けない事を主眼に置かれています。
 主戦力はMSとMAで、それらを運用する空母の護衛や対艦戦がB案の用途なのです」
「戦艦というにはサイズも火力も中途半端な気が・・・・・・」
「だが使い惜しみしてしまうより、こっちはまだ使い道ありますぞ」
「確かに艦隊決戦はありえませんね。それより火力支援とかにはこの案が現実的でしょう・・・」
「うーむ・・・・・・。それでもなあ・・・・・」

前案と同じく何十もの声。
今度は賛否が入り混じり採用を困難にしていく。

「引き続きC案の説明を願います。」

こうして次々と様々な新造戦艦の案が発表されていった。
C案は前級と同じMS運用に長けており、艦首に固定式の大口径超長距離砲を二基備える。
用途をより先鋭化させ遠距離砲撃しながらMS部隊を投入する、いわば航宙戦艦になる。

D案はこれまでのAEUでもユニオンでもなく人革連系技術者が設計担当した、潜水艦のように飾り気のない外観だった。
主砲も副砲も全て高指向性の固定式という思い切った設計が目玉で、
粒子ビームを湾曲させる事で誘導性を付与させ砲門をこれまでの案より半分に削減されていた。
逆に欠点として粒子制御技術が高度なレベルでなければならず、
何かしらの理由で機能不全に陥れば目視での砲撃すらも出来なくなるという。

どの設計案も一長一短で、誰もが情勢と軍のドクトリンと折り合わなければならなかった。

「揺らいでいる地球連邦の威信を取り戻す為にも、A案で各地に睨みを利かせるべきです!
 敵はカタロンと違ってGN機を保有しておりまして、そうでなくとも粒子兵器ならば持っています。
 そういった相手を圧倒する力を持つべきです!」

強硬派議員の一人が声高らかに主張した。

「この内戦の問題点の多くはイノベイター絡みではないですか。
 武力だけで解決できる問題ではありません。
 抑えたとしても一時の事であって、軋轢自体を止められず長引くだけです。」

それに対して穏健派議員が、内戦の要因を引き出して軍拡の歯止めを図る

「そうして戦火を止めず、内戦を長引かせたのは君達穏健派らではありませんかな?
 敵の良心に期待し恭順を呼びかけるだけに済ませようなど、
 利敵行為でもあり連邦のますます脅かす反逆行為ではありませんでしょうか?」
「イノベイターは今後も増加の一途にあると、既に予測済みにあります。
 反連邦勢力内でもイノベイターに覚醒する者が出続ければ、反イノベイターの意義は崩壊に繋がるではないですか。
 今強硬路線に歩めば各地から反感を買いましょう。
 仮に殲滅でも掲げれば、抗戦以外選択肢無しと見なして死兵となって徹底抗戦する事になります」

二人の論争に触発された両派の議員と軍人が、我もとばかりに口を開き意見をぶつけ合い始めた。
軍拡による国家威信の回復と防衛力強化による治安回復を求める強硬派。
対話を根気よく続け戦争の回避を求める穏健派。
両派の求める先が同じく平和だとしても、その為の手段は決して相容れなかったのだった。

「お前達はそこまで戦争をお求めなのか!?」
「大戦争にさせない為なら多少の戦争はやむを得んではないか!
 A案ならば少ない犠牲と時間で敵を打ち破れる!」
「それでは反イノベイター勢力と分離勢力の態度が硬くなってしまいますわ!
 過度の軍備増強はアロウズの二の舞に繋がるのでは?」
「相手は妥協も対話も余地のないテロリストです!情けを掛けてはなりません!」
「人類の未来を巡る内乱であってただの反乱ではないぞ。
 常に対話のテーブルを用意して絶えず宥和のチャンスを与えるべきだ
 戦艦そのものの建造はすべきではない」

反論を受け付けず批判をまくし立てる強硬派に、痺れを切らした穏健派の一部が怒鳴り返すようになった。
怒鳴られてはこちらも黙っていられない、と相手もますます熱くなり更にヒートアップしていく。
一見艦船建造と関係のない話題で意見対立になっているように見えよう。
だが艦隊の要である主力艦の建造には、政治的事情や世界情勢が嫌でも絡むものである。
そんな騒然とした状況下、議論を続ける大勢とは別に行動する一派が現れた。
ドナルド大統領を筆頭に参謀総長、各軍事企業の代表達ら二十人からなる。

「ま、どう転んでもどの道強硬派の思惑通り地球連邦は戦争に突き進みますな。
 勝てば当然の成り行きで。負けても市民は更に軍備増強を求めて、穏健派は折れざる得なくなりますからね」

誰も彼も、両派を遠くから見守りながら状況分析が行われる。

「十年前まで地球連邦が平和だったのはこちらが一方的に強大だったからだ。
 粒子技術が各地に広まった今では我々と戦力差が縮まっている。今有利なのは物量と組織力だけだろう。
 市民は連邦の平和を重みを知りつつある。この戦乱によって・・・。
 かけがえのない平和を取り戻す為に、市民は我々の政策を、公約を支持した」

ドナルド大統領が現状と過去の要点を整理した。

「なので我々軍事産業はこの開発計画をなんとしても、推進していかなければなりません。
 ・・・・・・何せ・・・統一国家の危機ですからね」

(国家同士の戦争ではない、内戦でしかない現状だ。
戦艦の用途は限られよう・・・・・・。艦隊決戦はまずありえん。
相手は反乱軍だ。旧人類軍は艦隊を持っているが艦隊戦の可能性は低い。
分離勢力は戦艦を持たない、巡洋艦と輸送艦しかないから、A案ではあまりに強力すぎる )

熟慮の末、大統領は席より立ち上がった。

「諸君」

論議で熱くなっている中、怒鳴らずだが大きく声を上げた。

「この私ドナルド・マシューズ大統領は、強硬派として本計画の推進を求めている。
 しかしここで、私より案を上げさせて頂きたい」

参加者の誰もが、それまでの意見対立を即座にやめて大統領に注視していった。

「諸君らも知っての通り、地球連邦は内乱の窮地に置かれている。
 しかし敵はけっして強大ではないが強靭で決して滅びる事はない。
 全ての案は戦艦として実に完成されていると断言しよう。
 だが、どれも連邦の政情に見合った性能ではない。
 一種だけの単独採用では現状の絶え間無い変化に対応できなくなる。
 そこで二種運用を、B案を艦隊主力に、AかC案を艦隊旗艦か独立部隊母艦に充てるべきと考えている。

冷水をかけられたように全員口を閉ざし黙り込む。
尤も動揺したのではなく深い思案に切り替えただけだが。

「まずA案は強力すぎて宝の持ち腐れになる。B案は一番小柄で大型戦艦には敵わないだろう。
 C案はMS運用をより上げていて戦艦として中途半端にある。
 最後のD案は火器慣性の機能不全に脆弱である。
 このように素晴らしい性能には必ず弱点が潜んでいる事を、決して忘れないでほしい。」

未だに沈黙が続いている。
その中で穏健派議員がようやく、一番先に切り返しに出た。

「しかし大統領。仮に状況変化に応じれるよう二種運用を採用すれば、コストがかさむではないですか」

続けて同派議員と軍人達が意見を返す。

「C案だけでも現状では十分事足りるのではないでしょうか?
 既存のナイル級は艦隊戦より旗艦や独立運用に長けていますし、C案はそれの直系の後継艦に当たります。
 無理に採用する必要は無いかと思います」
「あなた方の主張にも一理ある。
 極論だが戦艦が無くても採用した宇宙空母を揃えて機動部隊を作れば、ほとんどの戦況に対応できる。
 しかし情勢不安定で先が読めぬ今、連邦艦隊には決定的な打撃力の必要性があるのだ。
 MAより持続した火力を発揮できる戦力を」

艦隊再編計画はこれより一週間にも渡る熟慮と妥協の末、大統領の二種運用案が採用された。
軍に採用されたのは比較的小柄なB案とナイル級直系のC案。
艦名も艦種も決まり、B案にはレヌス級主力戦艦、C案はインダス級航宙戦艦と命名。
この時をもって、地球連邦軍宇宙艦隊の再編は最終段階を向かえ、建造と配備へと進んでいった。
来る対異星人戦争にも視野を据えて・・・・・・。


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