第百十三話 二番目なのに、好きになっちゃう 放課後、約束通りむつきは神楽坂を水泳部の練習に連れて行ったわけだが。 その結果は色々な意味で驚愕に値するものであった。 まずは更衣室で学校指定の水着に着替えさせた神楽坂を、体験入部といって水泳部員に紹介した。 当たり前だが、特待生云々は秘密にしたままだ。 純粋に水泳が好きでやっている子に、お金の為にと妙な誤解や軋轢を生まない為である。 そこからは、いつも通りの練習で軽い準備運動。 アキラ程ではないが神楽坂もなかなかなわがままボディであり、動くたびに胸が揺れる揺れる。 また二-Aかと、幾人がくっと歯噛みしたのは、まだ小さな驚愕であった。 問題は実力毎にレーンに別れての追い抜き練習である。 全部で八レーンあるコースに実力順でグループとなり、一定間隔で飛び込みスタート。 前の人に追いつけばレーンを繰り上がり、追いつかれたら繰り下がりの競争練習だ。 神楽坂は実力がまだ不明なので真ん中の四レーンの一番前だった。「明日菜ちゃん、私が笛を吹いたらスタートしてね」「はい!」 あまり緊張はしていないのか小瀬の指示に元気よく答えていた。 アキラが第一レーンにいるし、むつきや亜子もこの場にいる安心感もあるだろう。 そして第一走者が全員飛び込み台に立ち、構えを取って数秒。 腕時計を見ていた小瀬が、スタートの笛を吹いた。 七つのレーンの第一走者が一斉にプールへと飛び込み、タイミングを逃した神楽坂が遅れて飛び込んだ。 そこが第一の驚愕。 パーンっと思い切り腹打ちをした音が室内プールに響き渡った。「痛ったーーーーーーい!」 それを見ていた皆が見ている方がいたそうな腹打ちに視線を逸らしたり、顔をしかめる中。 水の中から浮き上がって来た神楽坂が、波間を大きく乱しながら分かりきったことを叫んだ。「痛い、超打ったぁ!」 しかしそこで止まらず、痛みをやるせなさを一気に吐き出すように水をかき始める。 助けを求める様に天井に向けて伸ばした腕を、水面に叩きつけて押し出す。 右手が終われば左腕、技術も減ったくれもない力技だが、掻き出した水が白い泡となり水面から飛び出す勢いだ。 右手左手息継ぎ、右手左手と神楽坂が泳ぐ中で、彼女の醜態に笑っていた皆が気づき始める。「あれ、早くない?」「ていうか、なにあれ。ジェットスキー?」「あ、第八レーン抜いた、七レーンも」「ていうか、余波で両隣の子が横に流された?!」 パワーこそスピードを具現化したような神楽坂の泳ぎは、多少の遅れをやすやすと挽回していく。 しかもむやみやたらと動く腕が濁流を生み出し、隣のレーンの子達は酷く泳ぎにくそうだった。 神楽坂の泳ぎをジェットスキーと言った子がいたが、そう言いたくなるのも分かる泳ぎだ。 恐らく今の神楽坂はクロールで泳いでいるのに、周囲の水が白く泡立ち呼び跳ねている。 三つ隣のアキラの泳ぎと見比べると一目瞭然、例えるならアキラが人魚姫で神楽坂は漢であった。 優雅に水の流れにのる人魚姫に対し、荒波を真正面から砕き我が道を進む漢。 本人が聞いたら乙女になんてこと言うのと怒りそうだが、他に表現のしようがない。「よっし、たどり着いた。タイムは?!」「そういうんじゃねーから、練習内容説明したろ!」 対岸にたどり着いた神楽坂が振り返って叫ぶが、そういう練習ではない。 むつきに突っ込まれ思い出したのか、照れ隠しに後頭部を掻いていたが直ぐにお腹を押さえてもいた。「和泉ちゃん、ちょっと笛役変わって」「あっ、はーい」 よろよろと対岸にてプールをあがる神楽坂を眺めつつ、小瀬が笛を亜子に渡していた。 そして隅っこで神楽坂を見守っていたむつきの下へと慌てた様子で駆け寄ってくる。 その顔は驚きに包まれながらも、隠し切れない喜びにも溢れていた。「先生、なに明日菜ちゃん。あの子、本当に凄い。技術はてんで駄目だけど。むしろ、てんで駄目なのにうちの水泳部で上位に入る速さだって」「二十キロのセメント袋でお手玉できる奴だからな。パワーだけは有り余ってんだよ」「一ヶ月もあれば、技術は多少ごまかせる。そしたら、アキラに匹敵するかも!」「匹敵って、アキラ全国六位だろ……」 たかが一ヶ月で全国六位に匹敵とは、神楽坂のポテンシャルをむつきが見誤っていたのか。 それともちょっと興奮した様子の小瀬が、過剰な期待を寄せているのか。 対岸のプール際でしゃがみ込みお腹をおさえ、アキラに心配されている姿をみると後者の気がしてならない。 しかし、小瀬はそう思ってはいなさそうだ。「あんな原石が埋もれてたなんて、勿体ない。しかも、アキラと正反対な泳ぎなのがまた良い。技術のアキラにパワーの明日菜ちゃん。タイプが違う方がライバルとして刺激しあえるし」「いや、あれでアキラ結構力持ちだから。二千万パワーズじゃね?」「例えが古い、けど良い仕事した。明日菜ちゃーん!」 なんだかテンション振り切れた小瀬は、むつきの背をスパンと叩くと神楽坂に駆け寄っていった。 見事な腹打ちと泳ぎを見せた彼女の世話をアキラから引き継ぐ。 まだ立てそうにない神楽坂の前で、身振り手振りを交えて小瀬が指導を行う。 当然、注目の的の神楽坂なので部員の視線も集まるのだが、集中しなさいとばかりに亜子が声を上げた。「はい、よそ見したらあかん。次いくよ」 ピッと笛が鳴らされるとまた次の者が飛び込み台から飛び込んだ。 神楽坂のように腹打ちする者などおらず、元々経験の浅い者はプールの中からスタートしているのもあるが。 対岸の神楽坂も、小瀬に言われたのかその飛び込みを見ていた。 飛び込み台のやや高くなった場所から飛び込んだのに着水は綺麗なものである。 無駄なしぶきはとばず、池に小石が落ちるがごとく。 それを見てから改めて小瀬の説明を受けた神楽坂がようやく立ち上がり、プールサイドを横切り舞い戻ってきた。 四レーンの最後尾に並び直し、今度は前がいる状態で泳ぐことになる。 さすがにあの後なので追いかけられる子はかわいそうだが、これも小さな競争社会であった。「明日菜、頑張って。行くよ」「神楽坂さん、怖がると余計失敗するから思いっきり行こう」「了解」 順繰りに神楽坂の番が回って来た為、特別に亜子やアキラが声を掛けた。 当人も任せてと親指を立てながら、今度こそとばかりに飛び込み台の上に立って構える。 対岸では小瀬が神楽坂の到着を待っているかのように、期待した瞳で見つめていた。 そして亜子が笛を吹くなり、今度はタイミングよく神楽坂が飛び込んだ。 腹打ちはなし、周りに比べればまだしぶきも多いが、素人では上出来の飛び込みであった。 スタートさえできれば問題ないと、またしてもしぶきをあげて波にぶつかる漢泳ぎ。 半分も泳がない間に前の子に追いつき、繰り上がり決定であった。 神楽坂は最終的に第一レーンまで繰り上がり、時々繰り下がったりもした。 練習時間が許す限り力一杯泳ぎ、終わった頃には見たことがないぐらい晴々とした表情であった。 元来活動的な性格の割に、美術部という文科系に所属し、バイト以外にここまで体を動かしたことがなかったのだろう。 同じ体を動かすのでもお金の為と、純粋にスポーツに打ち込むのでは随分意味が違う。 部活の時間が終わり、殆どが着替え終わり寮へと帰っても神楽坂は帰りたく無さそうであった。 まるで遊園地の閉演時間が来るのを恐れる子供の様にプールサイドに座り足で水を蹴っていた。 その隣で小瀬が色々と水泳のレクチャーをしているが、何処まで聞いていることやら。 神楽坂というダイヤの原石を前に、相手のことを考えず詰め込もうとしている小瀬も悪いが。 出入り口以外の窓や非常口の施錠を確認してきたむつきが呼びかける。「おーい、お前ら。夏場でもあまり水着でいると風邪引くぞ。小瀬もそろそろ解放してやれ。正直神楽坂のコンピュータはそこまで情報量ないぞ」「はーい、って先生。全く来れっぽっちも反論できないけど、まあいいわ。なんか気持ち良いし。今日は良く眠れそう」「私が焦っても仕方ないか。あれ、でも明日菜ちゃんは美術部だったんだよね。そっちは楽しくなかったの?」 運動部と文化部で種類は違えど、何かに打ち込むという意味では同じである。 小瀬がぶつけた素朴な疑問に答えたのは、亜子であった。「明日菜は高畑先生が目当てやったしな」「ちゃんと毎年文化祭には課題提出してたわよ。それに目当てというなら、アキラちゃんも」「私が先に水泳部にいたから。先生が顧問になってくれてラッキーだったけど」「へえ、高畑先生ね」 亜子が笑いながら指摘すると神楽坂が苦しい言い訳をしつつ、アキラに矛先を向ける。 ただアキラの方が少しだけ自分に正直なようで、むつきへ振り返りつつ自分の幸運を喜んだ。 今にもお前もかと小瀬が神楽坂に言いたそうにしていた。 この場にいる女の子全員が、教師に恋をしているのだからそう言いたくもなるだろう。「おしゃべりは、更衣室でもできるだろ。本当にそろそろ閉めたいから着替えれ」 放っておくと何時までもお喋りしそうなので、追い立てるように更衣室へと向かわせる。 外は暗くなり始めており、帰り道が全員同じとはいえ女の子に夜道を歩かせるわけにはいかない。 駅までぐらいは送ってやるかと思っていると、途中で小瀬が振り返りむつきのもとまで戻って来た。 なにか大事な話でも思い出したのか。 近づくなり耳を貸してとジェスチャーされ、素直に耳を貸す。「先生、明日菜ちゃんの裸見たくない?」 思ってもみない言葉をささやかれ、思わず後ずさって距離をとってしまう。 自然と目を向けたのは小瀬ではなく、その神楽坂が消えていった更衣室の扉であった。 あの更衣室は隣にあるボイラー室から中を覗くことができるのだ。「おま、お……俺は別にそんなつもりで神楽坂を」「あはは、先生慌て過ぎ。明日菜ちゃん、性格的には子供っぽいけど。体はエッチだよね」「俺は覗かないぞ。それにどうせ役にたたないし」「セックスとオナニーは違うでしょ。最近自分でした? たまには息抜きに自分勝手なオナニーも良いんじゃない?」 言われて思い返し、最後にオナニーしたのが何時だったのか全く思い出せなかった。 美砂と付き合うより以前だとは思うのだが、以降は絶対ありえない。 むしろオナニーする暇がない程にセックスにあけくれていたからだ。「私の体を使ってオナニーしてくれても良いけど。オナニーなら、立つかもよ?」 言いたいことだけ言った小瀬は背を向けてまた更衣室へと向かっていく。 扉を開ける前に男のオナニーのジェスチャーをし、隣のボイラー室を指さしてから更衣室に消えた。 その後姿を最後まで見ることなく、むつきの視線はボイラー室への扉にあった。 あのボイラー室から覗ける更衣室の中で神楽坂が、他にはアキラや亜子が、もちろん小瀬も。 いやいやいかんと思いつつも、足だけは勝手にボイラー室に向かい始めていた。 おいっと脳内で突っ込む間も足は止まらず、また腕も勝手に伸びては扉の取っ手を取ってしまう。 一応そこで躊躇という名の自己保身にもならない思考がよぎったわけだが。 ちょっとだけ、ちょっとだけだからと言い訳しつつも、やれ急げと小走りになる矛盾。 もうどうにでもなれの精神で、むつきは走った。 着替えが終わってしまうと、のぞき穴を隠してある火気厳禁のプラスチック製の看板を外した。 そして俺は壁の一部と一体化する気持ちで小さな穴に瞳を合わせるように覗き込んだ。「ねえ、明日菜。それでどうするん? 水泳部に入ってくれる?」 一番最初に目に飛び込んできたのは、体操服の上だけを脱いだところの亜子であった。 あいにくその姿は後ろ姿であったが、体操服の着替え中というのがまたマニアックである。 背中には例の傷跡がしっかり見えていたが、今のむつきはそれを含め亜子を愛おしく思えた。「体育の時はなにも考えず泳いでたけど、本気でやると面白かったわ」「水泳は楽しいよ。特にタイムが伸びた時は、やったってなる」「あと、シェイプアップにも最適だしね。ほら、明日菜ちゃん。見てこのでかパイ、反面この細い腰、長い脚!」 後ろから忍び寄った小瀬が、アキラの水着の肩ひもを素早く外した。 ぼろんと音が聞こえたかと思う程に、たっぷり重量感のあるアキラの胸が零れ落ちる。 もはや、水着からあふれ出ると言った方が正しい表現か。 重力に引かれ落ちたそれが肌のハリに引っ張られ、たゆんと弾む。「先輩、いきなり止めてくだ。止め、いやぁ」「ああ、アキラのおっぱい柔らかくてあったかい。明日菜ちゃんも触ってみる?」「えっと、遠慮し」「遠慮せえへんと。アキラのおっぱい気持ちええよ」 後ろから小瀬に、前から亜子にとアキラは弄ばれ放題であった。 ピンクのぽっちのある白いお持ちが人の手で自在に形を変えるさまは圧巻だ。 ふざけて亜子がぱふぱふだと、アキラの胸の谷間に飛び込んだ時などハンカチがあればかみしめている。 あれは俺のなのにと歯ぎしりしつつ、むつきはカチャカチャとズボンのベルトを外し始めた。 小瀬に言われたこともあるが、そうせずにはいられない衝動が確かにあった。「ほ、ほら。先輩も亜子ちゃんも、乙姫先生が待ってるから早く着替えないと」 むつきがトランクスまでずり下げ、のぞき穴の奥で息を乱していると明日菜がそう言いだした。 きっぱりと言いたかった、別の意味で待っていると。 やはりまだ立つ気配のない生暖かい竿を握り、衝動に促されるまま扱き始める。「もしかして、明日菜ちゃんこういうの慣れてない? ていうか、腰にタオル巻いて小学生?」「これは、ほら。慣れてないんで、恥ずかしいなって……」「明日菜、寮のお風呂じゃ丸出しやん。水泳部入ったらいずれ、皆にばれるよ?」「水泳部、入るのやっぱ止めようかしら」 初心よのうとニヤニヤしていた小瀬が、改めて見た神楽坂の格好に突っ込んだ。 堂々と体操着を脱いでいる小瀬や亜子、アキラだっていっそ堂々と水着を脱ぎ始めている。 なのに神楽坂は大きなタオルを腰に巻いて、これから水着を脱ごうとしていた。 このままでは胸はあらわなのに、腰から下だけ隠そうというのもおかしな話だ。 小瀬ならずとも壁の向こうでオナニーを始めているむつきだって気になってしまう。 一度はその気になった水泳部への入部をためらう理由とはなんぞやと。「先輩、明日菜な」「亜子ちゃん、言わないで!」 小瀬の耳にそっと告げようとした亜子に、神楽坂が抱き付く様にして止めた。「なんとなく分かったわ、それで。明日菜ちゃん、もしかして生えてない?」「なっ、そんなわけないし。ぼうぼうだし、ツンドラだし」「ある意味、不毛の大地であってるけど」 恐らくジャングルと言いたかったのだろうが、アキラの言う通りある意味で正解を口にしていた。 神楽坂が大げさに腰にタオルを巻いているのは、どうやら恥丘が不毛らしい。 知られてしまったと、神楽坂は亜子を引き留める手を地面につくようにがっくりうな垂れる。 男からすれば美少女のパイパンはご褒美だが、当人はコンプレックスになるようだ。「あの神楽坂がパイパン……」 どの程度、あのタオルの下の水着のさらに下はどの程度、森林伐採が進んでいるのか。 いやこの場合、伐採されるべき森林がないわけで新しいタイプかもしれない。 学術的な、そう将来の恥丘を救う的な意味で非常に興味深のである。 だから目玉が潰れる程に覗き穴に張り付いても、罰せられる理由など何処にもなかった。「もしかしてさ、明日菜ちゃんってオナニーしたことない?」「オナ?!」 いかにもな感じでわざとらしく、神楽坂を下から見上げるように小瀬が爆弾を投げつけた。 一応それ系の知識は中学生らしく持ち合わせているようで、思い切り神楽坂は言葉を噛んだ。 アキラも突然なにを言い出すのかとおろおろしていたが、亜子がふいにこちらを見た。 気のせいでなければむつきと目が合ったようで、そういうことかと苦笑する。 もちろん、エッチ大好きな亜子が覗きを咎めるはずもなく、むしろ小瀬の悪乗りに便乗し始めた。「好きな人の事を考えてエッチな妄想しておっぱい触ったり、あそこもかな?」「亜子ちゃんも何言ってんの、普段となんかキャラ違うわよ!」「そう? 私の中で和泉ちゃんはこういうキャラだけど。なに二-Aの子ってガールズトークしないの? あんな美人ぞろいなのに。ねえアキラ、乙姫先生のこと考えてオナニーしたことない?」「えっ……ない、ないよ。更衣室でしたことなんてな、あっ」 オロオロしている間に小瀬に話をふられ、アキラがついぽろっと漏らしてしまった。 小瀬もかつて、覗き穴からアキラのオナニーを見たことがあるからこそのふりである。 途端に赤面したアキラは、顔を隠すべきか胸か、あそこかでおたついていた。 さっさとタオルなりなんなり巻けばよいのだが、自分の失言に混乱しきっているらしい。 慌てれば慌てる程、そのあらわとなった胸も暴れ、なんというか俺も虐めたいと突撃したくなる。「アキラ、ええってそんなに恥ずかしがらんでも。私も乙姫先生でオナニーしたことあるから」「私も実はあるんだよね。まあ、一番身近な男の人だし。でもオナニーは大切よ。しないとアンダーヘアは生えてこないんだから」「え?!」「証拠見せてあげる」 小瀬の妄言に釣られた明日菜にしっかり釣り針を指すように、小瀬が亜子と頷き合った。 アキラを慰めていた亜子が体操服のズボンごと下着も擦り下した。 続いて小瀬も下着ごとズボンを脱ぎ、アンダーヘアを隠すことすらしない。 混乱中のアキラや、話題の変異に戸惑いつつも釣られた神楽坂に見てごらんとばかりに。 亜子は髪の毛の色素が元々薄く、それはアンダーヘアでもそうだが全体的に薄く範囲も狭かった。 例えアキラや神楽坂と同じように競泳水着を着ても、改めて剃る必要はなさそうだ。 中学生らしい、まさに若草と表現するにふさわしい色合いと生え方である。 一方の小瀬は、最近引退したこともあり処理がちょっと甘かった。 黒々としたアンダーヘアは水着に沿った逆三角形、ただし肌とヘアの境が少し曖昧になっていた。 来年には高校生と昔で言えば十分適齢期であり、処理の仕方からも亜子より一歩大人である。 そんな風に二人が堂々とアンダーヘアをさらしたことで、少しだけ神楽坂が興味を持ったようだ。「う……やっぱ、皆生えてる。小瀬先輩は、なんだか大人っぽい」「実は私も中学一年生の頃はつるつるだったんだけど。オナニーし始めたらすぐに生え始めたんだって」 傍から聞いていると明らかに嘘っぽい言葉を、ここだけの話と小瀬が神楽坂にささやきかける。「ほら、アキラも。結構濃いから、実はオナニーし過ぎちゃうん?」「そんなことない。ないよ、たぶん」「えー、本当かな?」 妙に意地悪な物言いの亜子を不審そうにしながらも、小瀬の挑発にアキラもその気になったようだ。 脱ぎ掛けだった水着に手を掛け、ずりずりと丸めるように下していく。 これまた脱ぎ掛けの体操服と同じぐらいマニアック、膝を超えた辺りで水着は丸まったまま。 アキラは隠していた下腹部からそっと手を離し、こんな形とアンダーヘアを後悔である。 水泳選手らしく小瀬と同じ逆三角形の処理の仕方だが、高身長の為により鋭角的であった。 色の濃さは小瀬より遥かに上で、神楽坂に尊敬をこめて見つめられ微妙な顔である。「さて、オナニー経験者のヘアを見て、オナニーのやり方を知りたい子!」「はい、超知りたいです!」「明日菜……ちょっと待っ」「アキラ、ちょいこのベンチそっちに動かしたいんやけど手伝って」 釣り針が大きすぎて魚の口に入らないレベルなのに、神楽坂は口が張り裂けんばかりに食いついた。 なんかおかしいとアキラが声を掛けようとしたのに気づいてさえいない。 タイミング良く亜子が頼みごとをしたのもあるが。 亜子とアキラが更衣室内のベンチを部屋の真ん中に移動させていく。 むつきが現在覗いている覗き穴がある壁の正面、とても見やすい場所にである。 これにはまさかと、覗きだけでなく公開オナニーショーかと壁をぶち破る勢いでむつきは張り付いた。 当然、期待に胸だけでなく股間が僅かにふくらんだ事に気づかないまま、むつきは右手が忙しくなった。「明日菜ちゃん、お姉さんの膝の間においで」「は、はい。失礼します」 最初にベンチに座った小瀬が、大げさな位に大きく両足を開いた。 現在、一糸まとわぬ全裸の為、覗き穴から見た光景は絶景というほかなかった。 神楽坂を足の間に座らせるため、若干のけぞった格好でヘアだけでなくその下の割れ目も見える。 チラッと覗き穴の方を見たのでわざとかもしれない。 そこへまだ一人だけ水着姿の神楽坂が、ちょこんと遠慮がちに肩を小さくしながら座り込んだ。 水着に圧迫された大きな胸や、パワーを生み出すしなやかな足など生唾ものである。「一人じゃ恥ずかしいだろうから、和泉ちゃんかアキラちゃんのどちらかも一緒にしよっか」「なら、うちが。アキラ、手伝ってくれる?」「うん、良いけど……」 そろそろアキラも覗き穴の有無は別にして、カラクリに気づき始めているそぶりであった。 ある程度納得し、小瀬の様にベンチに座ると亜子を足の間に座らせる。 普段からレズ行為になれている為、アキラが自分より小柄な亜子をきゅっと後ろから抱きしめていた。「それじゃあ、レッスンワン。想い人、または格好良いと思う人を思い浮かべましょう」「高畑先生、高畑先生……」 やはりそこは高畑なんだと、気分が少し冷めむつきの右手が停止する直前。「その人が明日菜ちゃんに甘く囁き、スキンシップ過剰に口説いてるところを想像して」「無理ぃー!!」 小瀬の言葉に、神楽坂が首を激しく振りながら大声で待ったをかけた。「高畑先生はそんな、してほしいけど。イメージが、もっと恰好良くて高潔で」「ありゃ、これはちょっと……」「んぅ、おと……乙姫先生。うちのおっぱい、壊れてまう」「亜子ちゃん?」 ある意味で神楽坂が妄想を爆発させ、小瀬がまいったなと自分の頭をかく。 そんなおり、隣の亜子が早くも艶のある声を上げ始めていることに、神楽坂が気づいた。 後ろから抱きしめたアキラが亜子の控えめな胸を優しく包み込み、ふるふると揺らす様に弄んでいる。 それだけでも十分感じるように、亜子は弄ばれるまま想像していた。 背中にアキラの胸の感触はあるが、この両手がむつきならと。 誰もいない放課後の女子更衣室で、誰もいないから良いだろと俺が好きなんだろと強引に迫られる。 亜子の体の震えを敏感に感じ、アキラも胸の周辺のみならず長い指先で乳首を挟んでこりこりと転がす。「これ、亜子ちゃん……ていうか、乙姫先生って良いの、アキラちゃん?」「亜子と親しい男の人、他にいないし。想像するのは自由だから、想像の中なら私だっていっぱい先生とエッチなことしたし」 実際、想像の中どころか子宮の中まで白くべとつく何かで一杯にされたこともあるが。 弱弱しくも震える声でむつきの名を呼ぶ亜子を見て、神楽坂も改めて挑戦を試みる。 しかし数秒も経たずにぼふりと頭から煙を掃き出し、高畑はどうにも難易度が高いらしい。「明日菜ちゃん、他の人にしよっか。もっと緊張しない、乙姫先生とか」「なんでそこで乙姫先生……好きだけど、男の人の中では二番目に好きだけど。あっ、アキラちゃん勘違いしないで、そういう好きじゃないから!」「今更先生を好きな人が一人、二人増えても気にしないけど……」 その否定の仕方に、むつきは今一度冷めかけた心が熱くたぎるのを感じた。 小瀬も神楽坂の慌てようを見て、これはよっぽど脈ありかなと密かに笑みを深めている。 まだ神楽坂のことは今日初めて知ったばかりで、内面の奥深いところなんて知りもしない。 けれど、高畑への尋常ならざる強い憧れがあることや、憎からずむつきを慕っていることも分かった。 そのどちらが、より恋愛に発展しやすいかも、分かるというものである。「明日菜ちゃん、今から触れるこの手は乙姫先生の手だよ」「ひゃっ、小瀬先輩?」 だから小瀬は壁の向こうにいるむつきへと向けて、そう神楽坂の耳元でささやく。 濡れた水着の上から、押しつぶされまいと自己主張する乳首をまずは指先で軽く引っ掻いた。「なんかくすぐったい」「最初はね、直ぐに良くなるから。ほら、想像して。乙姫先生が優しく撫でてくれたよ」「うぅ……」 改めて妄想相手をむつきに変えて、小瀬が左手で乳首を弄りながら右手で神楽坂の髪を撫でつける。 すると高畑の時は駄目だったのに、気恥ずかしそうに神楽坂が体を縮こまらせた。 憧れの一番よりも気楽さの二番というべきか。 彼女の中でむつきはどのように微笑んでいるのか、悪戯を仕掛けているのか。 それは神楽坂にしかわからないことだが、恥ずかしがるその姿を見せつけられたむつきたまらない。 確実に硬さを大きさを取戻し始めた一物を、神楽坂の名を小声で呼びながら何度も擦り上げる。「恥ずかしぃ」「明日菜、恥ずかしいことなんかあらへん。皆こっそりしとることや、ぁぅ。先生、乙姫先生。エッチ、うちの胸こんなにして。もっとしてぇ」 このままでは緊張からこわばりかねないと、敢えて亜子が声を大きくして愛撫を求める。 実際はアキラの手によるものだが、想像の中でこれはむつきの手だと。 胸だけの愛撫では足りないと、自分で秘部の割れ目に沿って指を擦りつけ始めた。 背中からもたれ掛かりおっぱい枕に頭を預け、アキラの膝に両足をひっかけるように足を大きく開く。「これがオナニー……」「そう、明日菜ちゃんが今してること」「あっ、馬鹿エッチ。教師のくせに、高畑先生ならこんなことしないんだから」 神楽坂の妄想の中では随分と強引にむつきによって迫られているらしい。 普段お世話になった義理から断り切れていないのか。 小瀬の手により大胆に胸を揉みしだかれても振り払うことはなく、弱弱しい言葉での抵抗だ。 そんな言葉を聞かされてしまっては、まさか本当にとむつきも思いたくなる。 あの胸を揉む手が自分の手なら、駄目と身をよじり背けられた顔に先回りして唇をうばいたい。「亜子、一人で楽しまないで。私も混ぜて?」「うん、アキラも。うちより、とろとろやん」「亜子が可愛いから、キスしたい」 一方の亜子とアキラも随分と気分が盛り上がってきてしまったらしい。 背面座位では物足りないと、亜子が立ち上がっては振り返り対面座位の格好に変わる。 男役がアキラであるかのように、亜子のお尻に手を添え小さな体を支えた。 小さな胸と大きな胸で押しくらまんじゅうをしながら、亜子が自分とアキラの割れ目をなぞる。 二人とも既に愛液が染みだしており、指が中に入るまで長くはないだろう。「見て、明日菜ちゃん。男女であれをするのがセックスだよ。乙姫先生が、明日菜ちゃんとああしたいって、明日菜ちゃんの中に入りたいってさ」「乙姫先生が私と、抱き合って。中って、セックスってどうやるの?」「お姉さんが教えてあげる、ここ。明日菜ちゃんのここに乙姫先生がはいるの」 保健体育では勉強しているはずだが、初心な答えを神楽坂がうわごとのように尋ねた。 オナニーのやり方も知らなかったようなので、本気で初心なのかもしれない。 そんな神楽坂に心が振るわされたのか、うなじに軽くキスをしながら小瀬が教える。 左手で変わらず胸を弄びながら、ここだと。 胸から脇、腰と神楽坂の理想的な身体のラインを指先で下りつつ、彼女の水着のブイラインへ。 水着に覆われた恥丘を登頂し、その先の割れ目を指でなぞり上げた。「小瀬先」「違うでしょ、明日菜ちゃん。乙姫先生だよ、この指は乙姫先生の指」「乙姫先生、あぁ。私が好きなのは高畑先生なのに、でも乙姫先生。二番目なんだから、違うんだから。そんな恥ずかしいところなぞらないでぇ」 小瀬の指の動きに合わせ、神楽坂が違うのと何度も口にしながらむつきの名を呼ぶ。 きっと彼女の頭の中で高畑の姿さえない。 二番目の気安さからとはいえ、いま彼女の中で彼女を抱いているのはむつきだ。 この俺なんだと、むつきは息を乱しながらいつの間にか勃起していた竿を強く握りしめていた。「神楽坂……神楽坂、俺が。高畑より、俺の方がお前を分かってる。俺の方が近くで、ずっとお前のことを大事にしてるんだ!」 だから見せてくれと、お前の恥ずかしい姿を見せてくれと穴を覗きながらむつきは願う。 そんな気持ちが神楽坂にではなく、小瀬に伝わったのだろうか。 小瀬が神楽坂の水着の肩ひもをさっと外した。 見事な早業で、零れ落ちた神楽坂の巨乳をほらこれがそうと見せつける様に直接揉んだ。 女の子の綺麗な指に弄ばれ自在に形をかえ、桜色の乳首を指先で転がしていく。「もう、エッチ。アタナシアさんに、本屋ちゃん、那波さん、アキラちゃん。誰が好きなのかはっきりしなさいよ!」「明日菜が一番好きだ」「嘘、私一杯意地悪したし。しちゃったのに、なんでそんなに優しいの」 ささやいたのは小瀬だが、神楽坂の言葉はつい零れ落ちた本心かもしれない。 一学期の特に最初の頃は、担任の高畑よりむつきの方がクラスに良く顔を出し神楽坂は反発していた。 むつきが来るから、憧れの高畑がやってこないと。 事実や因果関係は全く逆だったのだが、恋に盲目的だった神楽坂はむつきに否定的だった。 だが辛抱強くむつきは神楽坂に接し、むしろ協力的でさえあり、随分気にかけて貰っていた。「先生、乙姫先生。ちょっとだけ、二番目だけど好き」 自分でさえ知らなかった気持ちを神楽坂が呟いたその時、頃合いかと小瀬が指を潜り込ませた。 神楽坂の大事な部分をぴったりと張り付き守っていた水着を邪魔だと蹴散らし、その奥へ。 不毛なだけにゆで卵の滑らかささえ太刀打ちできないつるつるな秘部へと。 直接指で神楽坂の割れ目をなぞり、プールの水とは異なる液体を指に絡めてはくちゅりと音を立てた。「な、なにこれ。私、まさか」「違うよ、愛液っていうの。オナニーしてると体の奥から出てくるの。ほら、和泉ちゃんたちを見て」 おもらしかと焦る神楽坂に優しい声色で言い含めた小瀬が、その視線を促した。 ベンチの隣では亜子とアキラが対面座位で絡み合っていたはずだ。 しかしそれでもまだ足りないと複雑に足を絡め、貝合わせの最中であった。 割れ目同士を擦り合わせ、一瞬でも離れれば愛液の糸が二人を繋げているのが分かる。「これはね、男の人を受け入れる為に必要な体液なの。ほら、ここ見て。この穴から出てくるの」「それじゃあ、私のこんな小さな穴に乙姫先生を……」 やや強引に水着を避けた小瀬が、神楽坂の貝を割れ目にそって両手で開いて見せた。 愛液で濡れピンク色に濡れる神楽坂の秘中の秘部、その中でも愛液を染みだす膣。 ぱくぱくと男を待ち焦がれる膣口を指さした小瀬が、そのまま指先を埋めていく。「あっ、嘘。ぞくぞく、これがオナニー」「ほら、指一本ぐらい飲み込んじゃう。乙姫先生のおちんちんを入れる場所だから」 小瀬の言葉を聞き、神楽坂の脳内ではむつきに組み伏せられまだ見ぬそれを挿入される。「そんな、まだ駄目。ちょっと好きだけど、駄目なんだから」「乙姫先生は待ってくれないよ、明日菜ちゃん」 完全に高畑の名は忘れ去られ、神楽坂が小瀬の手を止めようとする。 しかし既にその指先は神楽坂の膣の中であり、無理に引っこ抜こうとしない限り無意味であった。 手そのものが動かずとも、小瀬はその指先だけを駆使して神楽坂の穴を攻めたてる。 いずれむつきが破るであろう処女膜を傷つけないよう、慎重にだが大胆に。 本番さながらに神楽坂の膣を指先でこすりあげては初めての快楽をプレゼントする。 神楽坂にオナニーを教える為に、その痴態を見て壁の向こうのむつきを勇気づける為に。「明日菜ちゃん、気持ち良いでしょ。これがオナニー、毎日しなくちゃいけないよ。毎日、乙姫先生のことを考えて、そうすればパイパンもって聞こえてないか」「気持ち良い、先生。もっと、ぁっ。んふぅ、はぁ」「こっちも盛り上がってるし」「アキラ、気持ちええよ。アキラのおまんこぷりぷりしとる」「亜子、可愛い。ぬいぐるみみたいに、抱きしめて一緒に寝たい」 この場で、むつきを含んで一番冷静に現状を受け止めているのは小瀬一人だろうか。 ちょっと貧乏くじかなと、覗き穴の向こうにいずれのお返しを期待してウィンクする。 それと同時に、神楽坂の膣穴を蹂躙する指の動きを速めていく。 そろそろ時間的にも、他の先生の見回りが来ないとも限らない。「ぁっ、駄目。激しっ、乙姫先生。壊れちゃう、私壊れちゃう!」「うちも、イキそう。セックスしたい、乙姫先生とセックスしたい」「好きなの、大好き。めちゃくちゃにして欲しいの!」 亜子とアキラの声高に叫ばれる望みも神楽坂に聞かせながら、小瀬は最後の攻めを開始する。 膣の中では膣壁のみならず時折処女膜を指で弾き、胸を揉みしだいてはうなじにキスを落とす。「見えない、真っ白に。乙姫先生、来ちゃう。なんか」「イクって言うの。オナニーのクライマックス、絶頂。イクって言いなさい」「イク、乙姫先生にエッチされて。二番目なのに、好きになっちゃう。ひぃゃ、ぁっ。あぁ!」「うちも、アキラ一緒に……ひっ、んぅっ。はぁ、あっ!」「亜子、亜子。イク、いっ!」 乙女の高らかな三重奏が更衣室の中に広がっていった。 それと同時に、一枚壁を隔てた向こうにいるむつきも精液を掃き出し壁を汚していく。 頭の中では神楽坂のみならず、亜子もアキラも小瀬も、四人でもまだ足りない。 己に関わるすべての美少女、美女を大集合させ孕ませる妄想と共に果てていた。 -後書き-ども(略久々に覗き穴の登場。あと明日菜のパイパンネタとオナニーネタはやりたかった。ろくでなし子供先生ズではできなかったので。