~春原からの電話~
プルル~
と誰もいない個室で電話が鳴った。
風呂場にいた岡崎 朋也は電話が鳴っていることに気づかずにいた。
何分した後、岡崎は、濡れた体をタオルで拭いていると…
プルル
また電話が鳴った。
岡崎は、居留守を使おうとするが、もし早苗さんだったり、おっさんだったらややこしくなると察知し、電話番号を見た。
その電話番号は、懐かしい電話番号だった。
受話器を取り、「もしもし‥岡崎です」
相手は…少しの間無言になり「久しぶりだな!岡崎」
相手は…どうやら「誰だ?オレオレ詐欺なら切るぞ」
岡崎は、分かっていた。相手は春原だった。
相変わらずと言った口調でいきなり『久しぶりだな!』という礼儀のない奴と言えば‥春原以外いないと思っていたからだった。
「オレオレ詐欺じゃないんっすけど‥覚えてないの?」
「誰だ?」
「はぁ~お前ね!ほら、クラスで1番イケメンでスポーツ万能で妹から好かれる人物はだ~れだ?」
「そんな奴は知らないが…クラス1番のパシリでスポーツ万能のフリしていて妹から心配されている奴なら知ってるぞ!」
本音を言われて内心傷つく受話器の相手は硬直していた。
「それ、春原って奴だよね?」
「よく分かったな!お前は誰だ?クラスメイトか?」
「俺が春原だよ!!!岡崎!!!誰が‥1番のパシリだ!」
「違ったか?ラグビー部にいじめられていただろ?」
「ふん!あいつらは、卒業後コテンパンに‥」
「やられたのか?」
「‥‥そっす」
泣きながら答えた。春原と話すのは、渚の葬式以来だった。
「お前は元気か?渚ちゃんの子供の汐ちゃんだっけ‥元気か?」
まだ、春原や一ノ瀬‥他の奴には言ってなかった。知っているのは、同級生では、藤林 杏 と椋 だった。一応‥風子もか!
「そのことなんだけどさ‥今度会わせたいんだ!みんな集まって」
「どうした?いきなり!まぁ‥いいけどさ」
春原は、渋々承諾してくれた。持つべきはパシリだな!と確信した。
「誰誘うんだよ?」春原は、メンツを聞いてきた。
しかし、そんなこと決めていなかった。知っている奴は、全部‥みんなに知ってほしかった。なんて言われようと、殴られようと…岡崎は、覚悟していた。
「もしもし!聞いてる?」
「あぁ‥今のところ、お前の天敵は全員来る!」
「天敵?誰それ?俺に天敵居たっけ?」
「もう1度蹴られれば思い出すだろ?春原」
「いや…思い出したっす」
「それは、何より、今のところ‥3月中旬かな?また分かったら連絡するわ」
「おう‥おやすみ」
「おやすみ‥パシリ」
「誰が‥」プツン
電話を切ってやった。久々の仲間の声を聴いて思い出に浸っていた。
汐が死んでから30日が過ぎていた。
「確か‥49日で最後の審判が言い渡されて、あの世に行くんだよな」
どうでもいい‥知識を口にした。
~岡崎の考え~
渚が死んで‥5年以上経過していた。
一体、あの世には何があるのだろうか?渚は、だんごに囲まれて楽しく歌っているのだろうか?汐も17日後には、渚が迎えに来てくれるのだろうか?
俺は…汐を殺した‥。いや、芳野さんは、言ってくれた。『お前は、良き父だ』風子も同じこと言ってくれた。あの渚の葬式の時、俺は、渚の両親以上に折れてしまった。渚が死んだのは、渚が残した子供のせいと決めつけて、無理押し切っておっさんや早苗さんに汐を預けてしまった。
俺が持っていたら‥渚の死を汐のせいにしてしまうからだ。3人で一緒に暮らして、成長して、旅して‥歌って‥。
そんなことができなくなってしまったのは、汐が生まれてきたからだと思っていた。でも‥違った。
俺は、仕事で感情を押し殺していた。たとえ、芳野さんや社長の命令でも休まず働き、帰ったら酒を飲んだ。気は収まらなかったが、保つことはできた。
5年後‥早苗さんに騙されて、汐と旅をした。そこで、知った。
汐は、俺を待っていてくれたんだって‥。必要としてくれていたと…。嬉しかった。こんな身勝手な俺を『居てほしい‥』と言ってくれた。
一生離さないと決断したのに…その決意は、自分で壊してしまった。
今でも、思う。あの時、渚に話しかけなかったら、きっと、おっさんや早苗さんにも会えなかっただろ‥もちろん、汐にも。
それでも、なぜか‥その道の方が良かった。渚にとっても汐にとっても‥俺にとっても。汐は、俺を恨んでいるだろうか?きっと、恨んでいる。結局、少しの時間だけしか傍に居てやれなかった。「どうしたらいいんだ?」自分に問いかけるも、「分からない」としか返ってこない。答えは、まだ見つからないままだ。
~仲間集め~
次の日
岡崎は、汐を通わせていた幼稚園に向かった。そこで、ある人物に会うためだった。
「せんせい~さようなら」
「は~い!みんなさようなら」
相変わらず元気な振る舞いを見せる。汐の担任で、岡崎の同級生である‥藤林杏に会うために来た。
すべての園児が帰り、殺風景となった幼稚園に岡崎は、足を入れた。
岡崎の姿に気づいたのは、ボタン(大)だった。
「ブブー」
こいつも元気だった。体は、BIGになったけど…。
ドドド
「え?」
ボタンは、岡崎に会えてうれしいのか勢いよく突っ込んできた。
焦る岡崎は、逃げようとするもボタン姿は目の前まで迫っていた。
「え‥ボタン‥待て!」
キキィ~
足を止まらせて、頭を出してくるボタンに岡崎は、汗でぐしょぐしょになった顔で笑った。
「朋也‥」
外で、ボタンと騒いでいるのに気が付いたのか?杏の姿がそこにあった。
「よぉ!相変わらず元気そうだな?」
「うん‥ありがとう。朋也も元気そうね」
「まぁな!いろいろあったけど、めそめそできないからな」
「そうね‥で!用件は何?」
「あぁ‥ちょっと汐のことでな」
岡崎は、みんなを集まらせてすべてを話すことを杏に話した。
杏も岡崎の意見に乗ってくれたが…全員を集めるのは、難しいと考えた。
「全員は無理か?」
「運良ければ、できると思うけど…なかなかその日には無理じゃないかな?それに、なんて言って集めるの?」
「話したいことがある…とか。理由はたくさんあるだろ?」
「簡単な理由じゃ‥みんな「電話で話して」って言うに決まってるわよ」
「‥だよな」
「決まった人はいるの?」
「今は、1人」
「誰?」
「1番のパシリ」
「あぁ‥あいつね」
どうやら『一番のパシリ』で、だいたいの人物は想像つくらしい。哀れだな春原。
「他には‥誰?」
「葬式に来なかった連中かな?今のところ来てくれたのは、お前とお前の妹と風子だけだからな」
「風子?誰よそれ」
風子のことを話していなかった岡崎は、自分の言葉を悔やんだ。改善の余地を図ろうとするが…『真実を言わないと殺す』という意志の伝わる眼差しに追い込まれ話すことにした。
「渚が留年する前に伊吹 公子っていう美術の先生がいたこと知ってるか?」
「知らない」
あっさり答えた。
「はぁ‥その公子さんの妹さんが俺たちの同級生だったらしいんだけど、登校初日で事故に遭って、ずっと植物状態だったんだけど、今は回復して汐の友達だったんだよ」
「へぇ~あ!でも、噂なかった?」
「噂?」
「ほら!事故で死んだ子が学校に現れるとか‥いう噂よ」
そんなことあったような?なかったような?曖昧な思い出を遡るがよく分からなかった。
「思いだせねぇ」
「あっそ!ねぇ!その子に会わせなさいよ」
いきなり言い出す杏に戸惑いが隠せなかった岡崎は、さらに慌てる。
「やめとけ‥あいつは、まだ幼いんだ!」
「岡崎‥ますます会いたいたくなってきた」
ガクリと首を落とした。もう、会わせるという選択しかなかったのだ。
~風子と対面~
日曜日
岡崎は、商店街前で待っていた。それは、杏と無理やり約束させられたからだった。
「いい!岡崎‥日曜日よ」
「はぁ?何が」
「その風子っていう女に会わせなさい!分かった?」
「日曜日は(1用事がある 2用事がない。1を選択すると…「岡崎!!」って言って首を絞められる気がしたので2を選択した)用事がないからいいぜ」
そして、今の現状に至る。
はぁ~
「な~に‥ため息ついてるのよ」
杏が来た。岡崎は、振り向くと杏の私服にうっとりしてしまった。
「な~に!うっとりしてるのよ?岡崎」
「‥‥はっ!してねぇよ」
「遅いわよ。反応」
「ちっ!(すまん!渚!!)」
あまりにマジマジと見てしまったので、渚に謝る岡崎であった。
商店街から公子さんの自宅に向かっていると公子さんの近くの公園で知っている声が2つ聞こえた。
「ほら~来てみろ~」
「わぁ~」
岡崎は、気になって公園を見てみると、無邪気に遊ぶ芳野さんと風子の姿があった。岡崎は、近づき芳野さんに声をかけた。
「楽しそうっすね」
その声に、青ざめた芳野が振り返る。
「いつからいた?」
青ざめた芳野に対し、岡崎は満円の笑みで答えた。
「『ほら~来てろ~』」ってところからです。芳野さん」
「なっ‥お前だけには、聞かれたくなかった」
芳野さんがブルーな時、風子が岡崎の元までやってきた。
「岡崎さん!こんにちはです」
「元気そうだな」
「風子!毎日元気抜群です」
「そうか!今日はな。お前に会いたいって奴を紹介しに来たんだ」
と言って、後ろを向くと杏の姿があった。腕を後ろで組んで、『少しは女の子に見えるでしょ』って言わんばかりの姿が岡崎の後ろにあったが、岡崎は、目を下に向けた。
「風子に興味がある人ですか?誰ですか?」
「こいつ」
と岡崎は、前に腕を組んでいる杏を指さした。風子は、見るなり前進して、杏の元に歩いて行った。
「こんにちは。あなたが風子ちゃん?」
流石、ダテに幼稚園の先生と思うほど、冷静でやさしい杏だった。
「こんにちはです。伊吹 風子と言いますです」
「私は、藤林 杏っていうのよろしくね」
「よろしくです」
自己紹介までは、順調に済んだようだった。問題は、この後だった。
「風子の友達になってくれる証です」
星型の木彫りを出した。うまくできていると褒めてやりたいぐらいの代物だった。
「ありがとう。素敵な星ね」
この一言が大きな問題になるとは、誰も想像していなかった。
~風子vs杏~
「違います‥」
「え?」
何が違ったのか?分からない岡崎と杏は頭の上に『?』がついている状態だった。
「どうした?風子‥」
「これは…」
杏の手のひらから木彫りを取り上げ、掲げて宣言した。
「これは!ヒトデです」
岡崎と杏の背中に電撃が走った。
それもそのはず、今まで星と思っていたのに…いや、誰がなんと言おうと星としか言えない代物がなんと‥ヒトデだったのだ。
「ヒトデ?うわぁ~センスないわね」
「酷いです。ヒトデのセンスは、この可愛いところです」
「可愛いって…これじゃあ星にしか見えないわよ」
風子の背中にヒトデが走った。(ヒトデって…)
「このどこが、星という隕石の塊なんですか?どう見ても、ヒトデです」
風子の迫力に負けじと杏も反論する。
「この星が100歩譲っても星よ!何万歩譲っても、星よ」
「どこがですか!一目でヒトデって分かります。ヒトデを侮辱する人は、ヒトデをあげる資格ありません」
「それが、星っていうならもらってあげるわよ」
「まぁまぁ!」
岡崎は、中正に入るがあまりの迫力に小さくなってしまった。
結局‥夕方まで『星』か?『ヒトデ』か?の討論の末、木彫りの作り直しが余儀なくされた。
「風子って言ったけ‥あんた。なかなか根性あるわね」
「風子とここまで言い合う人間は、あなたが初めてです」
「星やヒトデなんて、どうだっていいわよ!久しぶりに楽しかったわ。ありがとう」
「こちらもです。ヒトデはどうでもよくないですけど…」
杏は笑顔になり、風子との関係を深めたようだった。岡崎は、疲れ果てていた。
ついでに、芳野さんはまだ、ブルーだった。
~帰り道~
すっかり外は真っ暗となった。岡崎と杏は、2人で商店街沿いを歩いていた。
すると、杏は、岡崎の肩にそっと頭を置いた。
「なんだ‥眠たいのか?」
「少し疲れちゃった」
「あれだけ、くだらないことで言い合えばな」
「女にもプライドがあるのよ」
「はいはい」
良い匂いのする杏に少し動揺隠せない岡崎だったが、本来の目的を忘れそうになっていた。
「結局‥誰を呼ぶかな?」
「‥じゃあ、手分けして連絡しましょう」
「いいのか?」
「いいわよ!椋にも手伝わせるし‥」
「いいのか?了解取らなくて」
「あの子なら、優しいし大丈夫でしょ。それより、あんたは、大丈夫なわけ」
「何が?」
「気づいているくせに、全員に言うってことは、デメリットが大きいのよ!空気の読めないパシリとかに何か言われても…」
「平気だ!ありがとうな」
「うん」
商店街を抜けると待ち合わせの場所であった商店街前に着いた。
「岡崎!今日は楽しかった。ありがとう」
「いや、こちらも『女のプライド』を観させてもらったよ」
「もっと見たいなら見せてあげるわよ」
「遠慮しておくよ。怖いしな!何かあったら連絡してくれ」
「うん。おやすみ」
そういうと杏は、夜道の中帰って行った。
岡崎も、少しぬくもりの戻った風に吹かれながら、家に帰った。
(作者の反省)
まだまだ、文章力がないですけど、勉強していきます。
懐かしき仲間達は、前 中 後でやっていきます。