※ネタバレ要素も含んでおります。本編(~FINAL STAGEまで)を完全に読了後、目を通してください。
丁度、中学に上がりたての頃だったでしょうか。
当時、まだコロコロを買っていた友人(T)の家に遊びに行った時、「凡ちゃん(実名は伏せます)、新しいロックマンが出るらしいよ」とコロコロのゲーム記事を差し出された時のことは今でも覚えています。
手にとった記事は、「ロックマンゼロ」の予告記事でした。
そこに描かれたゼロの姿はロックマンファンの間では物議をかもしたであろう斬新なデザインでしたが、それに対し私は「アリだな」と子供心に妙にすんなり受け入れられました。
何より興味を惹いたのが、小さな枠で示されたプレイ画面。砂漠でゼロが戦う姿は、ロックマンX2におけるソニック・オストリーグステージを彷彿とさせ、画面端に見える目盛り付きのライフバーも子供ながらに懐かしさを感じました。
しかし、私は結局その時はロックマンゼロに手を出しませんでした。
どうも心の中に「プレイするならロックマンX」という妙な拘りがあり、「ロクゼロはロクゼロでアリ」と思いながらも、購入してプレイするまでには至らなかったのです。
それからしばらく、ロックマンゼロに対する関心はすっかり鳴りを潜めました。
再び興味を抱いたのは、20かそこらになった頃のことです(諸事情により細かな年齢は伏せます)。
「アクションゲームといえばロックマンX」だった私が、メトロイドシリーズに手を出してハマり、すっかり「ロックマンX」への拘りも失せた頃。
手持ち無沙汰に立ち寄った鑑定団で、箱付きで売られている「ロックマンゼロ」に出会いました。
「ああ、そう言えば、Tとこの話したなあ」と思い出し、ふと手を取り、すかさずケータイで評価を確認。なかなかの名作であるというコメントから、「やってみるか」と購入を決意。
それから程なくして、久しぶりに起動したゲームボーイアドバンスの画面に、心が釘付けになりました。
Xとは微妙に異なる狙いが見えながらも、ロックマンシリーズとして洗練されたアクション性。一繋ぎのステージマップも、ロックマンとしては斬新でしたが、メトロイドシリーズを越えた私はすんなり受け入れられ、むしろそれを選んだ制作側の英断に勝手ながら感心させられた程です。
難易度はXに比べて高く感じましたが、かと言って、越えられないほどではなく。その高いゲーム性は、素晴らしいの一言に尽きたと思います。
しかし、何より感動したのはその世界観でした。
ロックマンXの頃より、イレギュラー戦争を過ぎ、荒廃した地球。そこに住む僅かな人類。唯一都市「ネオ・アルカディア」。電子生命体「サイバーエルフ」。四軍団とそれを統べる四天王。そして、国家に抗うレジスタンス。
画面に映し出された砂漠の風景は子供の頃思ったオストリーグステージというより、敬愛するP.K.ディックの描いたSF世界と重なって見えました。
元々、ロックマンは「SFの皮を被ったファンタジー」と思っていた私でしたが、ハードSF的な一面を垣間見えた気がしました。
リセットを繰り返し、何度も挑戦し、そして挑んだ最終面。
最終ボスがロックマンXではない、シエルが生み出した精巧なコピーだったという設定には非常に驚かされました。
そして、そんなコピーエックスを打ち砕いた後。
砂漠で倒れこむゼロに、語りかけるオリジナルエックスのセリフに、自然と涙が溢れてしまいました。
エンディングを終えた頃、一つの映画を見終えたような感慨が胸を包んでいました。
最後の二人のやりとりを反芻しながら「なんて素晴らしい作品に出会えたのだろう」と、感動がしばらく止みませんでした。
「これ程の良作ならば、絶対に続編もプレイせねば」と、同じ鑑定団へ足を運び、直ぐに購入しました。
ただ、そこで見た世界観は、期待したものと少しズレたものでした。
上述したとおり、「Z1」についてはハードSF的な一面を垣間見せられ、個人的にはそこに惚れ込んだ部分が強かったのです。
しかし、どうもこの作品が進む方向は、私が思ったものとは違うのではないだろうか……という違和感が生まれ始めました。
そうして違和感を感じたまま「Z2」をなんとかクリアした後、「Z3」に手を伸ばしましたが、遂に耐え切れず断念しました。
ハードSF的に感じられた世界観が、すっかりファンタジックに彩られて見え、そこに私は失望を感じてしまったのです。
言うなれば「SFの皮も脱ぎ捨てたファンタジー」に見えてしまったのです。
「ダークエルフ」「妖精戦争」と言った用語が、特にそのファンタジー性を助長しているように感じられ、それがどうにも受け入れられなくなりました。
ファンタジーが嫌いかと言われればそうではないですし、SFだからどうこうと言うわけでもありません。
ただ、理屈付けの仕方と言葉の選び方が、作品に対して抱いた期待に大きく反していたのです。
作品として貶すつもりはありません。むしろ問題だったのは、固すぎる私の頭の方だと思っています。
とは言え結局、私は「Z4」には手を付けられなくなってしまいました。
……したがって、皆様に告白し、謝らなければと思うことが一つ。
小説家になろうで投稿した際「ゼロシリーズを愛している」旨を書きましたが、それはこの逸脱した作品を読んでもらいたいがための嘘八百です。
私は「ロックマンX」をこよなく愛し、「ロックマンゼロ」は「1」を最高傑作だと信じ、2以降のゼロシリーズについては失望を抱いていました。
作品を書く際、何度も3以降をプレイしようとしましたが、結局「Z1」をプレイした頃ほどの感動が得られず、それほどのめり込むこともできず断念致しました。
さて、ここまで書くと、私が「俺の思うゼロを書いてやる」と奮起して書いたように思わせるでしょうが、別にそこまでの対抗意識を持って書き始めたわけではありません。
言ってしまえば、作品の構想を始めたのは「Z1」をプレイした後でした。
その時感じた世界観への感動を、自分の手で表現することはできないだろうか。そう思い始めたのです。
その頃から既にゼロの性格設定、デザインの変更は決めていたのですが、それも、別にゲームのゼロに対する対抗意識からではありません。あのゼロは、あのゼロで、十分にカッコイイと思っています。
ただ「私が描くなら、私なりのゼロで」……昔からヒーローと思い、胸にとどめてきた岩本Xの影響全開のゼロで書こうと、単純に思っただけのことです。
初めはノートマンガで始めようと思ったのですが、自分の画力では足りないと断念しました。
とは言え、作品にしたいという願いはあり、それを小説に起こそうと思ったのが、「Z2」をプレイしていた途中のことです。
パンター・フラクロスとの戦いは、ゲームでは列車の上で行われましたが、私の脳内には何故か荒野でゼロと対峙するフラクロスの姿が浮かんでいました。
多くの読者がベストバウトに挙げてくれるフラクロス戦こそ、一番最初に構想した村岡ゼロの戦いでした。
その時から既に、
・激闘から傷だらけで帰ってきて、程なく再び作戦に駆り出されるゼロ。
・嫉妬を抱くエルピス
・ゼロの背に“ロックマン”を重ねるフラクロス
という構図が浮かんでおり、真っ先に文章に書き起こしました。
それからまた程なくして、「これはやはり最初から書き上げていこう」と思い、懸命にケータイのメールフォームで書きなぐったのが、古参の方々はご存知の旧[Z E R O]です。
せっかくやるのならと投稿サイトを探し、行き着いたのが、当時二次創作にも寛容だった「小説家になろう」でした。
ペンネームには、頭を悩ませた挙句、当時好きだったアニメ監督「岡村天斎」氏から名を頂戴し、「村岡凡斎」に決定。
かくして、[Z E R O]の連載は始まりました。
まさか自分が村岡凡斎のペンネームを使い続けることも、3以降をプレイできなくなることも、それでもこうして五年間書き続けることも、当時は思いもよりませんでした。
後の流れは、ご存じの方もいる通り。
稚拙な文体に自分自身で我慢ならなくなり、改訂版の作成を決定。
しばらくの時を挟んで[Z-E-R-O]として小説家になろう(二次創作専門サイトNOS…でしたっけ?)に投稿。
小説家になろうの規約変更に伴い、難民となり、そしてこのArcadiaに流れ着き、ようやく完結致しました。
作品内容についてここで語っておきたいと思います。
構想段階では、ラスボスをオリジナルエックスにしようと考えていました。
というのも、資料としてオフィシャルコンプリートワークスを購入し、読んだ際、コピーエックスになった経緯を知ったためです。
正直、プレイ時には余り気にならなかったのですが、作品完成間際で“大人の事情”として偽物に変えねばならなかったという現場の話を知り、その強引な改変に気付かされました。
“大人の事情”――――というと、なんだか悪いもののように聞こえますが、商品としては当然のことと納得しました。
曰く「現行シリーズの主人公をラスボスにできない」とのことですが、仕方のないことだと思います。
制作スタッフの皆様は正規の社員であり、それに従わねばならないわけで。そうした柵の中でも最高なものを作ったという点で、心から尊敬いたしております。
その一方で、「オリジナルエックスだったらどうなったかなあ」と思う気持ちが湧いたのも事実。
結果、柵にとらわれない二次創作だからこそ、その没設定を活かしてみてはどうだろうかという考えが浮かびました。
しかし、それからすぐに、またもう一つの考えが浮かびました。
原作が、完成間近で捩じ込まなければならなかった為に、偽物であることから生まれる物語を組み込めなかったのは、非常に惜しいことではないだろうか。
すなわち、コピーエックスとシエルの物語――――当初から偽物だと設定できるからこそ、母と子の関係を描けるだろうと思いつきました。
結果、原作同様、シエルの手によって生まれたエックスが最後に立ちはだかる……という構図を残すことになりました。
また、ゲーム上では表現されなかった、と言うよりできなかったであろう人間側の描写にも、力を入れました。
その為に、ネージュを一般のジャーナリストとして配置したり、政治に携わる人間としてオリジナルキャラクターを配置したり……
また、ゲームでは(これも仕方ないことでしょうが)結局「勧善懲悪」的に見えてしまった部分を、そうなりきらないよう苦心して描写したつもりです。
ハルピュイアやクラフト……英雄になりきれず、けれど正義を行おうとする者たち。彼らをそういう風に描いたのはその為です。
イレギュラーハンターの設定は、「イレギュラーを処分するものといえば」と言う考えから直ぐに取り入れました。
当初は四軍団も全てイレギュラーハンターと扱おうと考えましたが、異なる勢力を用意したほうが幅を持たせられるだろうと思い付き、そのようにしました。
「Z4」まで出番のないクラフトをそこに据えるのは、即決でした。
初プレイから随分時間も経ち、希望のシーンまでプレイする気力も浮かばなかった頃、重宝したのはプレイ動画です。
世の中が便利になったなあと感じたものです。
正直、心残りなのは、結局自分の知識、語彙力不足によって、SF作品らしくなりきらなかったことです。
ハードSF作品に仕立てたいと思いながらも、そこまで至らなかったのは一重に自分の力量不足です。
その反省は、次回作に活かしたいと思います。
「次回作」――――と述べた時点で、今後の活動について説明させていただきます。
・[Z-E-R-O]の今後の展開について。
掲示板で告知したとおり、二部、三部の制作は現在のところ予定にありません。(正直、あの時は上手く書けずに苦しんでいたところで。あのようなスレ汚しをしたこと、恥ずかしく思っております……)
とは言え、絶対に書かないとも決めておらず。ぼんやりと書き始めるかもしれませんし、分かりません。
待たないほうが良いと思いますが、期待の声が上がれば、勿論モチベーションも上がり、書く可能性は高まります! ――――とだけ。
ただ、LAST COMMENTARYなどでもちょくちょく匂わせているように、外伝、完全版を予定しています。
外伝は、気が向いた時に少しずつ、この[Z-E-R-O]のスレに投稿していこうと考えています。
内容としては、わざと伏せていたあの戦いや、あの戦い。あのときの裏側など……です(笑
ただし、ホッパー戦は書きません(断言
完全版は、イラストを書きためた頃。
正直、来月か、一年後か、はたまたずっと先かは分かりませんが、必ず投稿すると宣言します。
場所はpixivにて。それまでの投稿作を削除してあげようと考えています。
エックスのイラストを公開しなければ、彼に不義理だとも思いますので。
どうぞ、その際はよろしくお願い致します。
・新作について。
現在、次回作を執筆中です。本当は12月には投稿したかったのですが、こちらも完成しない内にはできないと思い、断念しました。
完成次第別スレで投稿します。作品内容は、できてからのお楽しみということで。
これほど長い物語にはしないつもりです。もっと気楽に更新できるようなものをと考えています。
こちらも、どうぞよろしくお願い致します。
さて、五年間――――です。連載期間は。途中の中断等も含めて。
すっかり自分の状況も変わりました。きっと皆様の周囲もいろいろ変わったことでしょう。
Arcadia移住後より読み始めてくださった皆様、如何だったでしょうか。
どんな批判が来るかと身構えておりましたが、なんとか無事に描き上げることが出来ました。
「なろう」の頃、改定後よりお付き合いの皆様、お世話になりました。
何度も心折れそうになりましたが、感想を何度も読み返し、己を奮起させてきました。
そして、旧版の頃より応援してくださった皆様、本当にお待たせいたしました。
五年の歳月、非常に長かったと思います。その頃の読者の方が残っておられるなら、一言「お疲れ様でした」と伝え、肩を抱き合いたい気分です。
全ての読者の皆様、ありがとうございました。
SSもろくに読んだことがなく。かと言って読書家かといえばそうではなく。
そんな小説のイロハも知らないど新人でしたが、読者の存在を感じることで、こうして作品を完成させることが出来ました。
「読者の皆様のおかげ」とは、こういうことを言うのでしょう。決してお世辞ではなくそう思います。
どうか世界の片隅に、こんなSSが存在していたことを覚えていて頂ければと思います。
そして皆様の未来が、きっと“懐かしい未来”であることを願っております。
皆様、本当にありがとうございました。
それではまた、別のお話で......
村岡凡斎