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気づけば目の前には荒野が広がっていた。どこまでも続く、寂しく乾いた大地。まるでこの世の果てだ。
ふと振り返れば、草原が広がっていた。蒼く茂った優しい大地。きっとこの先に楽園がある。
空を見あげれば、二色の空が天を覆っていた。
荒野の上には真紅の空。禍々しい色を放ち、中心には漆黒の太陽が見えた。
草原の上には紺碧の空。温かいぬくもりに溢れ、中心には眩い輝きを放つ太陽が見えた。
『どうしたの?』
ふと尋ねられ、彼は声の主を見た。声の主――――“彼女”は草原に立っていた。
穏やかな風が“彼女”の栗色の髪を揺らす。“彼女”の顔が彼には分からない。けれど“彼女”は確かに微笑んだ。
『……夢を見ていたんだ』
彼は戸惑いながら、“彼女”に話し始める。
『夢?』
『ああ』
『どんな夢?』
『それは――――』
思い返しながら、言葉を選ぶ。それを言葉にしてしまってよいものかと悩む。
だが、彼女に再び促され、彼はただ一言で、その夢について語った。
『それは……君を失った夢だ』
言葉と共に、一陣の風が吹き抜けた。
[Z-E-R-O]
目覚めた時
涙が頬を流れている気がして
片手で拭ってみたが
そこには何もなかった。