<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.34132の一覧
[0]  闇人VS受刑者 (ネタ) 史上最強の弟子ケンイチ、範馬刃牙 クロス[アルゴー](2012/08/04 16:09)
[1]  闇人VS受刑者 その二[アルゴー](2012/07/15 20:18)
[2] ババアVS最強の生物 前編[アルゴー](2012/07/17 21:02)
[3] ババアVS最強の生物 後編[アルゴー](2012/08/04 16:10)
[4] 喧嘩百段VS虎殺し 前編[アルゴー](2014/05/05 15:16)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[34132] ババアVS最強の生物 後編
Name: アルゴー◆175723bf ID:9f458038 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/04 16:10
 ババアVS最強の生物 後編

 美雲と以蔵、対峙した二人の柔術の達人。
その両者の距離が、少しずつ、徐々にだが縮まっていく。
そして互いの間合いに達したとき、両者共に静止した。

 「さて、美雲さん。開始の合図は?」

 以蔵の言葉に美雲はうっすらと笑みを浮かべる。

 「始まっとるよ、既に」

 その言葉が終るや否や、以蔵の鎖鎌の分銅が目にもとまらぬ速さで美雲に迫る。

 が・・・・、

 「残念じゃが、外れじゃよ」

 分銅は空を切り、美雲はいつの間にか以蔵の後ろに移動していた。

 (残像ッッッ)

 以蔵は息をのむ。恐らく先程の美雲は気当たりで作り出した残像。だがあそこまで本物と誤認させるほどの残像は見たことが無い。

 「ったく、まるで忍者の分身の術みたいじゃないかね!!」

 以蔵は後方にいる美雲に向かって鎌を振るう、が、これも空を切る。

 「これも残像かッ!!」

 以蔵が横に視線を向けると、すぐ隣で美雲が口元を袖で押さえて笑っていた。

 「ふふ、どうした本部よ。それではいつまでたってもわしは掴まらんぞ?」

 瞬間、目の前にいた美雲が、瞬きをした瞬間に二つに割れた。
否、残像と本物が分かれたのだろう。両者はそのまま以蔵に迫ってくる。が、以蔵は慌てずに分銅を振るって残像ごと本体を打ち据えようとする。

が、

 「どちらも残像だと!?」

分銅は二人の美雲に命中することなく、地面に落ちた。目の前の二人の美雲はどちらかが本物なのではなくどちらも残像。
 
 (本物は・・・・)

 以蔵は本物の美雲を探し、背後を振り返る。と・・・・、

 「ッッッ!?」

 そこには三人に分かれた美雲が立っていた。

 「ふふ、では『ウォーリーを探せ』ならぬ美雲を探せ、といこうかの」

 「ウォーリーなんてよく知ってるねえ」

 自身の周囲で残像を無数に生みだしながら回転する美雲を見つつ、以蔵は軽口を叩いた。
が、その目は油断なく残像をじっと見ている。

 (本物はどこだ・・・・)

 本物ならば残像とは違う何か特徴があるはずだ。本物にしかない特徴が・・・・。
以蔵はじっと鎖鎌を構え、残像を見続ける。今のところ美雲は攻撃してくる気配はないが、いつ仕掛けてくるか分からない。残像に紛れた本物による攻撃を受けるわけにはいかない。
 以蔵は鎖鎌の分銅を回転させつつじっと残像を観察する。何か本物の手掛かりとなる物はないかと・・・。

 すると、分銅を振り回す風切り音とは別に、かすかに、本当にかすかにだが、ジャラリと何かがこすれるような音が以蔵の耳に入ってきた。

 以蔵ははっとした表情になると、鎖鎌の回転を止めて、瞳を閉じる。
すると、確かに聞こえてきた。ジャラリジャラリと何かが擦れる音が、先ほどよりはっきりと。

 「・・・そろそろ終わらせようかの。そなたもわしが今まで潰した木端柔術と同じであったか」

 美雲の失望気味の声が響き、無数の気配が自信に迫ってくるのを肌に感じる。が・・・。

 「悪いが、種は割らせていただいたよ」

 以蔵は目をカッとひらくと迫ってくる無数の美雲、その背後に向けて分銅を放った。
分銅はそのまま地面に墜落・・・・、することは無くそのまま何者かに巻きついた。
その巻きついた者は、何と櫛灘美雲の右腕であった。そして、それと同時に気当たりで作られていた無数の残像が消え去った。

 「ほう、ばれたか。気配も何もかも完璧に分散させたつもりじゃったがの」

 「何、そんなでかい数珠がジャラジャラなってたら流石に分かるわな。いくらあんたでも身につけているものの音まで気当たりで再現できねえだろ」

 美雲の疑問に以蔵はにやりと笑みを浮かべながら答えた。
そう、以蔵が聞いたあの音は、美雲の身につけている白壇の数珠の音だったのだ。
以蔵はその音を頼りに本物の位置を特定し、そこ目がけて分銅を投げた、という訳だ。
 以蔵の種明かしを聞いた美雲は溜息を吐きながら左手の指で数珠をいじった。

 「やれやれ、前の武器使いの娘の時といい、これで位置がばれてしまうとはな。死合う時にはこれは外した方がよいかの」

 美雲は呟きながら以前に赤羽刀奪取の際に力量を見ようと立ち会った娘、香坂時雨を思い出した。あの時は白壇の発するかすかな香りで位置がばれたのだった。やっぱりこれは外すべきか、結構気に入っているものなのだがと、美雲はぼんやりと考えた。

 「んで、頼みの分身の術は破られたが、どうするね?まだ続けるかい」

 「あまり我が流派を侮るでない。あのような技など、奥義でも何でもないわい」
 
 美雲は口元に笑みを浮かべ、鎖の巻きついた右手をゆっくりと振るう。すると、以蔵の手から鎌が離れて地面を転がり、そのまま美雲の左手に引き寄せられた。
 以蔵はいつの間にやら手から離れた鎖鎌を呆然と見ていたが、鎖鎌を両手で構えた美雲を見て、再び表情を引き締める。

 「こいつは驚いた。まさか無手組が武器を使うとは」

 「これこれ、いくらなんでも早計じゃぞ?確かにわしは無手組、基本的に武器は使わぬが・・・」

 美雲は顔に笑みを浮かべたまま、右手に持った分銅付きの鎖を振るう。瞬間、一陣の風が地面を裂き、土砂が宙を舞った。

 「武器が使えぬといった覚えはないぞい」

 鎖のついた分銅をまるで風車のごとく振り回し、以蔵にゆっくりと近づく。その速さは段々と増していき、ついには鎖に付いているはずの分銅すらも視認できないまでの早さとなった。
 以蔵はそれを見て苦笑いを浮かべた。

 「こりゃぬかった、柔術は本来は戦場格闘技、武器全ての扱いに長ける。なら櫛灘流にも武器使用の技があって当然か」

 「いかにも、我が櫛灘流には剣術、小太刀術、手裏剣術は無論のことながら、槍、弓、鎖鎌を使う技も存在しておる。最近使っておらぬゆえに鈍っておったでの、たまには使って勘を取り戻すのもよいと思うた」

 美雲は再び鎖を振るう。その分銅は確実に以蔵を狙って襲いかかった、が、以蔵は難なくそれを避ける。

 「ほう、やるのう。じゃが避けてばかりでは仕方あるまい?」

 美雲の言うとおり、以蔵は美雲の分銅を避け、受け流すのに精いっぱいであり、接近することが出来ない。接近しようとしたならば、すぐさま分銅が飛んでくる。当たればまず頭蓋骨が陥没するだろう。
 だが、以蔵は不敵な笑みを崩さなかった。一度周囲を見回すと、突如後ろを向いて走りだした。

 「む?逃げるか?」

 突如逃げるかのように走り出した以蔵を、美雲は分銅を振り回しつつ追う。が、以蔵はすぐに立ち止まってこちらを振り向いた。ある物を背にして。

 「・・・なるほど、そういう訳かの。これは一本取られたかの」

 美雲は少し感心したかのような声を上げる。以蔵が背にした物、それはジャングルジムであった。
下手に鎖を投げれば、鎖が鉄格子に絡まって鎖鎌が使い物にならなくなる。武器組の達人ならばまだなんとでもなるのだろうが、あいにく美雲にはそこまで武器は使いこなせない。また、たとえ鎌を使った接近戦を挑んでも、敵も柔術家、接近戦はお手の物だろう。無論自身も負ける気は全くないが・・・。

 「どうしたね、投げ縄ごっこは終わりかね?」

 突然攻撃を止めた美雲に、以蔵は笑みを浮かべてそう聞く。実際はなぜ攻撃しないか分かっているのだが。

 「ふ、まあ少々遊びが過ぎたのう。鎖鎌など、慣れぬものは使うものではないの」

 「いやあ、あんた結構使いこなせてたろ?」

 以蔵の突っ込みに美雲はうっすらと笑みを浮かべた。

 「わしの武器捌きなど達人の中ではそこまで大したことはないわ。本物の武器使いならば、そこなジャングルジムなどものともせなんだわい。
やはりわしは無手の方があっておるのう。返すぞ」

 そう言うと美雲は手に持っていた鎖鎌を以蔵目がけて投げつける。反射的に以蔵はそれを受け取った、が、一瞬美雲から目を離した瞬間、

 (なッ!?)

 すぐ目の前に美雲が立っていた。そして、美雲が右手をゆっくりと持ち上げた瞬間、以蔵の体がバランスを崩し、地面に転倒した。

 (ッッッッ)

 以蔵は地面から立ち上がりつつ、信じられないと言いたげな表情で美雲を見る。
この女は自分を投げた。それはいい、相手も柔術家だ、人を投げる術くらい持っていて当然だろう。
 だが、どう投げるにしろ、投げ技の際には少なからず相手に触れなければならない。それをこの女は、触れることなく自分を投げた。

 (合気の類かッッッ)

 以蔵は自身の大先輩ともいえる合気の達人の顔を思い浮かべながら考えた。
確かに先ほどの技も合気と似てはいる。が、それでも以蔵には腑に落ちないものがあった。

 (投げられたとき、まるで自分の体が操られているかのようだったが・・・)

 そう、まるで相手に動きを誘導されるかのように自身の体が動き、地面に叩き付けられたのだ。まるで糸で拘束された操り人形のごとく、である。

 (妖拳ね、言い得て妙といったところか、だが、この技は、何処かで・・・・)

 以蔵は立ち上がりながらも油断なく美雲を見る。この技自体は初めて受けたものである。だが、これとよく似た技が確かあったはずだ。

 「ふ、立ち上がったか、そうでなくては困るのう」

 以蔵が立ち上がるのを確認した美雲は、再び以蔵に接近し、

 「そうでなくては、壊しがいが無いでのう」

 再び手を触れることなく投げ飛ばした。投げ飛ばされた以蔵は、再び地面に叩き付けられた。頭蓋が固い地面で殴打され、意識が遠のきかける。

 (・・・ああ、なるほどなあ~・・・)

 だが、以蔵はようやく確信した、この技の正体を。
そして痛む頭蓋を押さえながら、再び美雲の前に立つ。

 「ふむ、二度投げられて意識を失わぬとは、大した頑丈さじゃの。じゃが三度目は受け止められるかの」

 美雲は再び立ち上がった以蔵に少々面倒そうな視線を向けながら、再び技を繰り出そうとする。が、以蔵はそんな美雲を見ながら、笑っていた。

 「悪いけど、あんたの技のカラクリ、少し読めてきた気がするね」

 「ふむ?」

 以蔵の言葉に、美雲は少し驚いたような表情を見せる。が、すぐにその表情を引っ込めると、もとの無表情に戻った。

 「ふむ、分かったか、それともはったりでもかましているのか・・・」

 「さてね、自分で確かめたらどうかね?」

 以蔵の言葉を聞くや否や、再び美雲の姿がかき消える。そして、また以蔵を手を触れることなく投げ飛ばそうとした、



 が、以蔵は投げ飛ばされることはなく、逆に美雲の腕を掴み、投げ飛ばしたのだ。
しかし美雲は、投げ飛ばされはしたものの、地面に叩きつけられる寸前に右手で地面を叩き、空中で一回転するとそのまま何事も無かったかのように大地に立った。
 それでも彼女にとってはまさか投げ返されるとは思っておらず、驚いた表情で以蔵を見ていた。

 「・・・・投げ飛ばされたのは、果たして何十年振りかの。まさかわしの投げを破られてわし自身が投げられるとは思わなんだ」

 「ほー、何十年も投げられたことのない妖拳の女宿を、俺が投げることになるたあね。ま、まだまだ俺もすてたもんじゃないってことか」

 以蔵の返答を聞いた美雲は、驚愕した表情から一転、好戦的な表情で以蔵を見る。

 「まあそれよりもじゃ、なぜわしの投げがお主に通じなかったのか、それが一番知りたいのじゃがの」

 「ああ、あれねえ・・・」

 以蔵は美雲の問いを聞いて、にやりといたずらを思いついたかのような笑みを浮かべる。

 「以前同じような技を食らったことがあってな。ま、その技に対処するための技を少し使わせてもらっただけよ」

 「ほう?して、その同じような技、とは?」

 美雲が質問を重ねると、以蔵はさらに笑みを深めて、返答する。

 「無敵超人108奥義の一つ、流水制空圏」

 以蔵の返答を聞いた美雲は、しばらく沈黙をしていた、が、やがてくすくすと口を袖で押さえながら笑い始めた。

 「くくくくく、成程、これは一本取られたのう。確かにわしの先程の技は隼人の技と似ておる、が・・・」

 「ああ、ちとばかし違うところもあるな」

 以蔵はのんびりとした口調で美雲の言葉に同意を示す。美雲は愉快そうに笑いながら、再び以蔵から間合いを離す。

 「さて、それじゃあ頼みの技も破られちまって、まだ続けるかね?」

 「甘いのう。わしはまだまだ櫛灘流の真髄を見せてはおらんぞ。先程の技を破った褒美代わりじゃ。たっぷりと馳走してやろうかのう」

 「は、こりゃ楽しみだ」

 その瞬間、美雲の雰囲気が明らかに変わった。先程までとは違い、まるで槍で刺すような雰囲気。どうやら彼女は、ようやく以蔵に対する手加減を止めたらしい。

 (こりゃあ・・・、命懸けになりそうだねえ・・・)

 以蔵はチリチリと肌を刺すような殺気を受け止めながら、自身も構える。
どちらが勝つか、どちらが負けるか。
それは以蔵にも、恐らく美雲にも分からないだろう。
ただ分かることは一つ。
この戦いで、どちらかが命を落とすということのみ。

 じりじりと、互いに殺気を放ちつつ間合いを詰める二人。

 相手の間合いに、自分の間合いに入った瞬間、どちらが立っているか。

 以蔵と美雲、二人の柔術家は互いに相手の考えを読むかのように睨みあいながら、間合いを詰める。

 そして、互いの間合いが接しようとした時・・・・。




 ピリリッ、ピリリッ、ピリリッ。

 どこからともなく聞こえてきた携帯の着信音に、二人の動きは止まった。
誰か居るのかッ、と以蔵は夜の公園の周囲を見回す。が、いくら確認しても自分と美雲以外の殺気は見当たらない。
 と、言うことはこの携帯の着信音は自分か美雲の携帯以外にない。以蔵は念のために携帯の電源を切っているからまず違う、と、いうことは・・・・。

 「ああすまん、わしのじゃ」

 美雲は謝りながら袖から携帯・・・・、ではなくスマートフォンを取り出した。

 「随分モダンなもの使ってるねえ、オイ。てっきりジジババ用の携帯かと思ったよ」

 「・・・お主なあ、わしはこの程度の機械を扱えんほど耄碌はしておらぬわ。・・・わしじゃ、何か用か?」

 以蔵の軽口に美雲は苦笑しながらスマートフォンを耳に当てる、しばらく何かを話していたが、段々と表情が険しくなっていった。

 「・・・・・何?拳魔邪神がやられたじゃと?・・・・相手はなんじゃ?・・・・ふむ、ふむ・・・・・、分かった」

 電話が終わったのか、美雲は再び袖の中にスマートフォンを入れると、以蔵に背を向けた。

 「すまんが少々急用ができた。今回の死合いは預けておこう」

 「は?おいおいこれからいいところだってのによ。そんなに大事な用事かい?」

 「あいにくとな。まあ主とはいずれまた会えよう。再び熱い夜を楽しみにしておるぞ?」

 美雲は以蔵に妖艶な笑みを浮かべると、そのまま姿を消した。
以蔵は周囲を確認するが、気配は全くない。どうやら本当に帰ってしまったらしい。

 「はあ・・、ま、逃げちまっちゃあしょうがねえな」

 誰もいなくなった公園で、以蔵は一人寂しく溜息を吐いた。


 あとがき

 お待たせしました、櫛灘美雲(ババア)VS本部以蔵(公園最強の生物) 後篇です!
執筆はしていたんですが突然ARCADIAが見れなくなってしまってそれ以外にもキャンプやらテストやらが重なって執筆活動を中断してしまい、再びARCADIAが見れるようになったために執筆を再開、ようやく完成した次第でございます。
 ちなみにこの作中で美雲が武器使っていましたが、これは刃牙での以蔵の発言と、美雲が武器組とも親交があるということから推測したもので、実際に美雲が武器を使えるかは(現段階では)不明です。単純に武器を使わせたかっただけ・・・?

 次回なのですが、逆鬼師匠と本郷先生の過去編に、刃牙キャラをからませたいと思います。・・・・この時点でもう誰が出るか分かるか・・・。

 ではどうか次回もよろしく・・・・・え?この作品の本部が強すぎる?



 本部が強くて何が悪い!!!by板垣


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022814989089966