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No.33445の一覧
[0] 【完結】蝉だって転生すれば竜になる(ミンミンゼミ→竜・異世界転生最強モノ)[あぶさん](2014/07/11 00:39)
[1] 第二話 竜は真の慈愛を知る[あぶさん](2014/07/11 00:08)
[2] 第三話 孤独な竜はつがいを求める[あぶさん](2014/07/11 00:09)
[3] 第四話 竜はやがて巣立ちを迎える[あぶさん](2014/07/11 00:17)
[4] 第五話 竜の闘争[あぶさん](2014/07/11 00:22)
[5] 第六話 竜と少女の夏休み[あぶさん](2014/07/11 00:29)
[6] 第七話 蝉の声は世界に響く[あぶさん](2014/07/11 00:35)
[7] 幕間[あぶさん](2014/07/11 00:37)
[8] エピローグ 蝉だって転生すれば竜になる[あぶさん](2014/07/11 00:39)
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[33445] 幕間
Name: あぶさん◆5d9fd2e7 ID:de479454 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/07/11 00:37


生き生き生き生きて生の始めに暗く
死に死に死に死にて死の終わりに冥し    (空海)





変わった蝉がいた。


その蝉は何よりも変わっていたが、誰もそれに気付かなかった。


この世界に何億匹といる蝉の、たった一匹の不審な挙動など、誰の興味も惹かなかった。


変わっていたのは、鳴かないこと。


蝉のくせに鳴かなかった。

雄のくせに鳴かなかった。


求愛の歌を、生涯で一度も歌わなかった。


蝉はただ、飛び回っていた。


木から木へ、いくつも渡り歩きながら、樹液を僅かに舐めとると、すぐにまた別の木へと移るのだ。


まるで自分にとっての、たった一本を探しているかのように


その蝉は、短い生を小さな羽ばたきで、ただただ一本の木を探すことに費やしていたのだろうか。


この広い世界にあるたった一本を。


そもそも、そんな一本が、この世界にあるものだろうか。



蝉の考えることなど、誰にもわからない。


蝉が考える生き物かどうかも分からない。



成虫としての短い寿命が終わると、蝉はアスファルトの上に落ちた。


虫カゴを持った子供が、拾い上げて、捨てた。


黒い蟻が群れをなして運んでいった。





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