※ヒデオが英霊になってFateの世界に呼び出される話です。
煌々と輝く光を見ても、男はただ無表情だった。
この身はただ一つの魔術回路。呪文を唱え、現れ出るモノをこの世に繋ぎとめるだけでいい。余分な考えなど今は不要。
手の甲が疼く。この冬木の地において、血で血を洗う戦争に参加できる権利を象徴する右手が。
自分は、何のためにこの戦争に参加するのか。それは自分自身にも解らない。
あえて考えるならば、自分に生きる意味があるのか、それを確かめるために。ただ一つの理想を探すために。そう考える。
だが、本当にそうなのだろうか?
それすらも解らない。心の中はただただ空っぽ。
そして光は弾け、轟き。
「―――――、」
目の前に現れたのはおよそこの場には似つかわしくない、ごく普通の青年。
黒いスーツにサングラス。片手に持っているのはいわゆる――パソコン? というものなのだろうか。パソコンにしては薄い気もするが。
しかし、サングラスの下から除く眼光だけは苛烈を通り越して激烈。冷たく冷え切った眼差しはサングラス越しでも人を威圧し、恐れさせる。
「……」
男は無言のまま軽く会釈。風体や仕草を見るに、日本の英霊? しかしこの現代的な恰好を見るからに近代の英霊だろうか。
まぁ、名を聞いてみない事には始まらないか。
「……汝の名は」
「―――――川村ヒデオ、と申します」
ここに男、言峰綺礼の戦争は幕を開けた。
その果てに待つ本質を、彼含めまだ誰も知らない。
ヒデオが喋らなかった理由=初めて会う人に話しかけられなかったから
良く考えると、時臣師も召喚に立ち会っていそうなものですが……気にしないことにしましょう。
初投稿だったので色々あれだったかもしれませんが、お粗末さまでした。